【ナミウタCPSS】ナミとお買い物デート!

  • 1スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 18:59:19

    初めての島、初めての街へ降り立つ前のワクワクする気持ちは今も昔も変わらない。

    シャンクスたちとレッド・フォース号で旅した時も、ルフィたちとサウザンドサニー号で旅する今も。

    だけど、今日はいつもよりウキウキした気分だ。

    だって本日はサニー号の航海士さん、ナミと初めてお買い物デートする日なのだから!

    「フ~ンフフンフン♪フ~ンフフンフン♪~~」

    高揚感を抑えきれずに思わず鼻歌を歌ってしまう。

    「今日はいつも以上に上機嫌ね」

    ドレッサーの椅子に座る私の後ろからナミが話しかける。

    私は今、ナミに髪を編んでもらっている最中だ。

    「えへへ、楽しみにしてたからね。ナミとのお買い物デート!」

    男所帯で育った私にとって女の子と買い物に行くのは初めての経験だ。今日はきっと私が今まで知らなかった世界を見ることができる。

    「それだけ楽しみにしていたのなら、私も気合入れてエスコートしなきゃいけないわね」

    ナミはそう言いながら慣れた手つきで私の髪を編んでいる。

    私がいつもと違う髪型にしてもらっている主な理由は変装目的なのだけど、普段と違うヘアスタイルにするのは特別感があって益々気分が上がってくる。

  • 2スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:01:58
    【SS】静かな夜にみかんの香り|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    ↑以前投稿したこのSSの続編というわけではないですけど、ナミとウタの関係はこのSSのような感じになります。


    ある程度書き溜めているのでぼちぼち投稿していきます。

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 19:03:22

    >>2

    そのssめっちゃ好きなやつ!

  • 4スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:06:29

    「よし、できたわよ」

    そう言ってナミは手鏡を取り出し、私が後頭部を確認できるようにしてくれた。

    「あっという間に完成したね。ねぇこの髪型は何て言うの?」

    私のツートンカラーの髪が交互になるように編み込まれている。丁寧に纏められており、自分の髪に思わず目を奪われる。

    「これはフィッシュボーンね。ウタの髪がツートンカラーだからすごく編みやすかったわよ」

    ナミは私の質問に答えつつ、微調整をやってくれている。髪を全体的に軽くほぐしてくれたおかげで、ふわふわ感が出ている。

    「こんなもんかな。どうかしら?どこか気になるところはある?」

    「文句の付け所がないよ!ありがとうナミ!可愛く仕上げてくれて!」

    「どういたしまして。ウタの髪ってサラサラで癖がないから編んでて楽しかったわよ」

    ナミは私の髪を楽しむようにさわさわと頭を撫でている。可愛いヘアスタイルにしてもらったうえ、髪質まで褒められてしまうと喜びで爆発してしまいそう。

    「あとは念のため帽子とメガネをつけておきましょう」

    ナミから受け取ったキャスケットという帽子をかぶり、黒縁のメガネをかけてみる。やっぱり変装と言ったら帽子とメガネは必須だよね。

    「うん、これで一目ではウタって思われないでしょ!……まぁ、素材が良すぎるせいで変装しても可愛さがあふれ出てるから、街を歩いているだけで人目を引きそうだけど」

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 19:10:16

    あ!前のナミウタの人か!!
    待ってたぜー!!!

  • 6スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:11:08

    ちなみに服もナミのものを借りている。

    私の持っているお気に入り服を見せるとナミはなぜかしばらく沈黙したあと、今回は私の服を貸してあげるって言われたからだ。

    理由を聞いたら変装するならいつもと違う服にしなきゃ意味ないでしょって言われたけど、なんかそれ以外の理由があるように感じる。

    少し引っかかるところはあったけど、ナミの持ってるたくさんの服で色々とコーデを考えている時間は楽しかったので、些細な疑問はすぐに頭から消し飛んでいた。

    色々試着してみたけど、最終的にはボーダーのカットソーとショートパンツっていうシンプルなコーデになった。お洒落だけど動きやすい服装だ。

    鏡に映る私自身の姿を見て思わずニヤニヤしてしまう。ナミの魔法で変身した私の気分はすでに最高潮になっている。

    「お忍びデートみたいでテンション上がるね!」

    「みたいじゃなくて本当にお忍びなんだから気をつけなさいよ。バレたら大騒ぎになるわよ」

    ほっぺをふにふにと突かれながらナミに注意される。確かにナミの言う通り騒ぎになってしまうとせっかくのデートが台無しになる。

    「うん、そうだね。ちょっと気持ちが浮ついてたね。ふーぅ、よし!気合入れていこう!」

    私は軽く深呼吸し、パンパンと頬を叩いて気合を入れなおした。

    「そこまで気張らなくてもいいと思うけど。それじゃあそろそろ行くわよ。ウソップとサンジ君を待たせてるだろうし」

    私たちは身支度を済ませた後、もう一度ポーチの中身を確認してから部屋を出た。

    サニー号は街から少し離れた桟橋に停泊させているので、街にはミニメリー2号で移動する手筈になっている。

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 19:13:35

    あ、友達みたいな感じか

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 19:13:41

    ワクワク

  • 9スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:17:46

    食料と消耗品の買い出し担当であるサンジ君とウソップ君と一緒にミニメリー2号で街へ向かう。

    天気は快晴で波も穏やかだったので快適な船旅であった。

    ほどなくして街の近くにある港の桟橋に到着する。事前にサンジ君とウソップ君が偵察してくれていたおかげですんなり上陸できた。

    「さて、ここからは別行動になるわね。サンジ君、ウソップ、食料と消耗品については頼んだわよ」

    4人で桟橋を歩いて渡り広場に到着したところでナミはそう言った。いよいよお買い物デートの始まりである。

    「んナミさ~~ん、ウタちゃ~~ん!なにかあったらすぐに電伝虫で連絡してくれよ!すぐに駆け付けるからさ!」

    「わかってるわよ。もしもの時は頼りにしてるわよサンジ君♪」

    今回、私たちはお互いにすぐ連絡が取れるようにそれぞれ子電伝虫を携帯している。私たちがSOSを出せばすぐさま、いやサンジ君の場合はSOSを出す前に駆けつけてくれるかもしれない。

    「ナミ、ウタのお姉さんとしてしっかりエスコートしてやるんだぞ」

    「……ウソップ君、ナミより私のほうが年上なの知ってるよね?」

    そして最近ウソップ君の私に対する扱いが少し雑になっている。だけど、これはお互い気を使わなくなった証なので私にとっては心地よいやり取りだ。

    私たちは子電伝虫がきちんと通じ合うことを確認した後、それぞれの目的地に向かって歩き出した。

  • 10スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:24:23

    私とナミはサンジ君たちが事前の偵察の時に入手した地図を片手に大通りを散策している。

    「活気のある大きな街だね。港には船もたくさんあったから観光客も多いのかな?」

    「そうね。港の船は観光船が多かったわね」

    行交う人を避けて進みながら私たちはおしゃべりをする。賑やかな通りなので会話をするには少し声を大きく出さないといけない。

    「これだけ大きな街で人もたくさんいるから、迷子になったら大変だろうね」

    「ルフィみたいに勝手にどっかに行ったりしないでよね。いい子にしてるのよ」

    ぐぬぬ、デートしてるはずなのに、ナミは私のこと完全に子供扱いしてる。どうにかしてデートの雰囲気を作らないと。

    「じゃあ、迷子にならないようにこうするね」

    そう言って私はナミの腕を組み、肩に寄りかかった。これで少しはドキドキしてくれるかな?

    「ちょっと、いきなり引っ付かないでよ!歩きにくいでしょ!」

    えへへ、少し焦ってるってことは不意打ちは成功したみたいだね。これでちょっとは私のことを意識してくれるかな?

  • 11スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:29:28

    「ゆっくり歩けば問題ないよね。これなら私が勝手にどっかに行くことはないから安心でしょ」

    ナミの腕をぎゅっと抱きしめる。今日は絶対にナミの傍から離れたりしないという意思を強く伝えるために。

    「もう、悪かったわね子供扱いして。だけど、ずっと腕組みは疲れるから、手をつなぐくらいで勘弁してもらえないかしら?」

    「しょーがないなァ。今日はそれで我慢してあげるよ。ほら、手を出してナミ」

    私はナミの腕を離し、差し出された手を握る。簡単には離れないようにお互いの指の間に指を絡めるように握った。

    「……ねぇウタ?どうしてこの握り方なの?」

    「え?一番手が離れにくい握り方がこれだと思ったからやってみたんだけど?」

    「……そういうことなら離れないようにしっかり握ってなさい」

    「? うん、わかった」

    妙な間があったけど、何か思うことがあるのだろうか?手をつなぐことを嫌がってるわけではなさそうだけど。

    だけど、思い返してみると誰かと手をつないで歩くのは久しぶりのことだ。子供の頃にシャンクスと街に出かけた時以来だと思う。

    ナミの小さくて柔らかい手は大きくてごつごつしたシャンクスの手とは大違いだ。

    だけど、どちらの手も優しさと温もりに溢れている。安心感を与えてくれる頼もしい手だ。

  • 12スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:36:32

    「っと、ここのお店みたいね」

    大通りをしばらく歩いていると、目的のお店を発見したナミは足を止める。どうやら今回のデートの第一目標はこのきらびやかなお店みたい。

    「ほら、行くわよウタ」

    キラキラ輝くお店の看板に目を奪われて立ち竦んでいると、ナミに手を引かれた。

    扉の先には私の知らない世界が待ち受けている。頼もしい航海士さんに導かれ、私は未知の領域に足を踏み入れた。

    「いらっしゃいませ」

    扉を開け切った瞬間、中から上品な声でお出迎えされた。声がしたほうに目をやると店員さんと思われる綺麗な女性が頭を下げていた。

    そのまま店内をぐるりと見まわしてみる。お店の中はキラキラとふわふわで覆いつくされていた。

    「お花畑みたい」

    私は思ったことをそのまま口に出してしまった。売り場は一面カラフルで、華やかな雰囲気に包まれている。

    「ねぇナミ、これ全部下着なんだよね?」

    「そりゃそうでしょ。ランジェリーショップなんだから」

    そう、ここは女性用下着の専門店。店員さんもお客さんも女性しかいない。男子禁制の聖域である。

  • 13スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:43:41

    今回のデートでランジェリーショップに行くことなったのは数日前、脱衣所でのやり取りが発端となった。


    <数日前>


    「ねぇウタ?あなたのショーツお尻のところに穴が開いてない?」


    ナミと一緒にお風呂へ入るために衣服を脱いでいると後ろからナミに話しかけられた。


    「え、ウソでしょ?」


    ブラを外そうと思い手をかけていたのだが、先にショーツを脱いで確認してみる。


    「あぁ、ホントだ。とうとうこのショーツもダメになっちゃったか」


    もともと手持ちの下着が少なく、今は穿いていたショーツは数少ない無傷のショーツだったのだが、とうとう寿命を迎えてしまったようだ。


    「どうしようナミ。私のショーツ、ほぼ全滅しちゃったんだけど。もう手持ちはくたくたのやつと穴あきのやつしかないよ」


    「なら、次の島で買いに行くしかないわね。それまでの間は私のショーツを何枚かあげるからそれで我慢してもらうわよ」


    私からショーツ全滅の報を受け、心優しいナミお姉さんは私にショーツを恵んでくれた。ありがたやありがたや。


    「それにウタ、ブラのサイズもあってないでしょ?」


    「え、なんでわかるの?」


    ナミの言う通り、確かに最近ブラが少しキツイと感じるようになった。だけど我慢できる範疇だし、そこまで気にしてはなかったんだけどな。

  • 14スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:49:40

    「いやだって、胸の谷間が前より少し窮屈になってるじゃない」

    「? そうなの?」

    いままで自分の胸の谷間を意識したことがなかったので、ナミに指摘されてもピンとこない。

    「あとはそうね、ちょっとブラを外してみて」

    「うん、わかった」

    ナミに促されブラを外す。ナミは私の後ろに回り込み背中を観察しているみたいだ。

    「あー、やっぱり少しブラの跡が残ってるわね。ウタからは見えにくいと思うけどわかるかしら?」

    ナミに言われたところを鏡で確認してみようしたけど、よく見えない。

    「どう、ここなんだけど」

    ナミは跡が残っているところを指先でさすっている。ナミは優しくさすっているつもりなんだろうけど、何とも言えない力加減なのでむずむずする。

    「ふふ、ナミ、くすぐったいよ」

    私が笑いを堪えていると、ナミはごめんと言いながら咄嗟に指を離した。

    「ふぅ、ありがとうナミ。体を診てくれて。次は私がナミの体を診てあげるよ」

  • 15スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 19:55:34

    「そう?じゃあお願いしようかしら」

    私の申し出に二つ返事で答えたナミはさっとブラを外した。両手で髪を束ねて腕を上げ、背中が見やすいようにしてくれている。

    私はナミの後ろからその背中をじっくり眺めてみる。瑞々しくて健康的なお肌が一面に広がっている。

    「うーん、ブラの跡どころかシミの一つも見つからないね。めちゃくちゃ綺麗だよナミの背中」

    「ん、ありがと。日頃のお手入れは無駄じゃなかったみたいね♪」

    背中を褒められたナミはとても上機嫌になっている。やっぱり日頃のお手入れって大事なんだね。

    「それじゃあ、さっさとお風呂に入るわよ。いつまでも脱衣所に裸でいたら風邪ひいちゃうから」

    「そうだね。へへへ、お風呂の中でもじっくりナミの体を確認してあげるよ!」

    「なんか言い方がおっさん臭くて気持ち悪いわよ」

    「ナミもたまにこんな笑い方してるよね?」

    お金やお宝が絡んだ話になるとナミは下衆っぽい笑い方をすることがある。私はその笑い方が結構気に入っているので真似してみたんだけどな。

    「……うん、私もこれから気を付けるから、ウタも真似しちゃだめよ」

    「えー、ナミのゲス顔好きだからやめないでほしいな!」

    「いや、ゲス顔褒められても嬉しくないわよ!」

    こんなやり取りをしながら、私たちは浴室に入った。そして、お風呂に浸かりながら下着について作戦会議を行い、次の島では2人でお買い物に行くという話になった。

  • 16スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:02:13

    そんなこんなで只今初めてのランジェリーショップに戸惑っている最中である。

    助けを求めてナミのほうに目をやると、彼女はニヤニヤした表情を浮かべていた。

    「……困ってる私を見て笑うなんて、ひどいよナミ」

    ナミに対抗して、私は少し大げさに不貞腐れた表情をする。今の私はぷんぷんプンスカ状態だよ。

    「ふふ、ごめんごめん。初々しい反応が可愛くてつい」

    ナミはてへっとした表情でウインクしながら謝ってきた。なんでそんなに自然にウインクできるんだろ。可愛すぎてずるいんだけど。

    「それで私は今からどうしたらいいの?」

    ランジェリーショップの作法的なものは何も知らないので、率直に助けを求めることにした。

    「ウタの場合はブラのサイズを確認しないといけないから、最初は店員さんに採寸してもらうところからね」

    そう言ってナミは店内を見渡す。手が空いている店員さんを探しているみたいだ。

    すると一人の店員さんがこちらの様子に気が付いたらしく、さりげなく近づいてきた。

    「ねぇお姉さん、この子の採寸をお願いしたいのだけどいいかしら?」

    近づいてきた店員さんに気づいたナミはすかさず採寸のお願いをする。このお姉さんも美人だなァ。

    「かしこまりました。では奥のフィッティングルームで採寸させていただきますね」

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 20:04:02

    付き合ってるのかな

  • 18スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:13:10

    上品に微笑むお姉さんに案内され、私たちはお店の奥にあるフィッティングルームへたどり着いた。

    「それじゃあ私はここで待ってるわね」

    「えっ!一緒にいてくれないの!?」

    「いや、採寸の時に私が居ても邪魔になるだけでしょ」

    なんてことだ。初めてのランジェリーショップで右も左もわからない私をこんな美人な店員さんと二人きりにするなんてどういうつもりなんだナミは。

    「初対面の美人なお姉さんと二人きりだと緊張するからナミも一緒にいてよ」

    「私なら喜んで二人きりになるんだけど。採寸なんてすぐに終わるからちゃっちゃと入りなさいよ」

    「もー、緊張しておっぱいが縮み上がったら正確なサイズ測れないじゃん!一緒に入ってよ!」

    「一時的な緊張でおっぱいが小さくなるわけないでしょ!あんたのおっぱいどうなってんのよ!」

    お店の中でもいつものノリでくだらないやり取りをしてしまう私とナミ。ふと店員さんのほうを見ると何かを堪えているようだった。

    「ひひwひひひwwwおっぱいがw縮むwwってwww」

    「ほら、ウタがおかしなこと言うからお姉さんがツボってるじゃない」

    「えー、ナミが一緒に入るのを頑なに断るのがいけないんだよ」

    必死に笑いを堪える店員さんは私たちから顔を背けてプルプルしている。おっぱいが縮むってそんなに面白かったの?

  • 19スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:21:12

    「はーぁ、ふーぅ」

    ようやく笑いが収まった店員さんがゆっくりと息を整えている。

    「いやー、すいません、お見苦しいところをお見せして。お姉さんたちめっちゃ面白いですね」

    えっ、なんかすごいフランクなしゃべり方になったんだけど。最初の上品さは何処へ?

    「あら、お姉さんの素はそんな感じなのね。私としては今のほうが接しやすいからこのままでいてくれると助かるわ」

    「あははは、よかったー。お姉さんたちなら崩した話し方でも大丈夫かなって思ったんですよ」

    店員さんは最初に案内してくれた時の上品な笑顔と違い、今は親しみやすい朗らかな笑顔になっている。

    「あたし最近このお店に入ったんですけど、堅苦しい接客って苦手なんですよね。あっ、他の人には内緒ですよ」

    彼女はしーっと人差し指を口の前に立てながらにっこり笑う。見た目はとても清楚なお姉さんなので、言動とのギャップで脳がおかしくなりそうなんだけど。

    「あと採寸ですけど、ここのフィッティングルーム広いからお姉さんたち2人入っても余裕ですよ。おっぱいが縮むとあたしも困るんで、一緒に入っちゃってください」

    「だってさナミ。私のおっぱいが縮まないように見張っててね」

    「はーぁ、わかったわよ。というかこのお姉さん相手ならもう緊張することないでしょ」

    店員さんが助け舟を出してくれたおかげでようやくナミも折れてくれた。だけど、ナミの言う通りもう店員さんと二人きりになってもさほど緊張はしないと思う。だって、距離感が友達感覚になってるもん。

  • 20スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:33:23

    フィッティングルームは確かに広々としており、3人入ってもまだ余裕があった。

    「それじゃあ、採寸始めますね。ん-、今の服装ならこのままでも採寸できますけど、どうします?下着姿のほうが正確な採寸できますけど?」

    「えっ?むしろブラ付けたままで大丈夫なんだ。私てっきりブラも外さないといけないって思ってたよ」

    なんだ、ブラ付けたままでよかったんだ。じゃあさっさと服は脱いでしまおう。

    「お姉さんってめちゃくちゃスタイルいいですね。モデルさんとかですか?」

    帽子と眼鏡を外して、シャツを脱いでいると、店員さんは私のことを褒めながら質問してきた。

    「んー、そういうのじゃないけど、一応お忍びって来てるから、このことは秘密にしてもらえると助かるかな」

    ナミに服を渡し、店員さんにお忍びデート中であることを伝える。なんとなくだけど、この店員さんは口が堅い人だと思う。

    「このお店はお客様の秘密は絶対に口外しないって規則になってるから安心していいですよ。じゃあ、採寸始めますね」

    そう言ってさっきまで穏やかな表情だった店員さんには、一転して真剣な顔つきになった。だけどすぐには採寸せずにまずは私の胸をじっくり観察していた。

    「それではトップを測りますね。失礼します」

    店員さんの指示に従い、メジャーを通しやすいように少し腕を広げる。かと思ったらあっという間に測定が終わっていた。

    「アンダー測りますね」

    そう言って店員さんはすぐさまアンダーを測定し、これまたあっという間に測定が終わった。

    「お疲れ様でした。これにて採寸は終了です」

  • 21スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:42:39

    私があっけにとられていると、店員さんは何かの紙にペンを走らせていた。

    「はい、これがお姉さんに合うブラのサイズですよ」

    店員さんから渡された紙を見てみると、数字とアルファベットが書いてある表に何カ所マーカーで印がつけてあった。

    「お姉さんの場合、このブランドならマーカーで印をつけたサイズ、こっちのブランドならこのサイズを選ぶといいですよ」

    いまいち要領を掴めていなかった私に対して店員さんは丁寧に説明してくれた。へー、ブランドによって違いがあったりするんだね。

    「サイズが合いそうなブラを持ってきましょうか?」

    「あっはいお願いします」

    テキパキ動く店員さんに圧倒されてなぜか私も敬語になってしまった。ランジェリーショップの店員さんって皆こんな感じなの?

    「ちょっと待っていてくださいねー」

    そう言って店員さんはサッとフィッティングルームから出て行ってしまった。

    「よかったわね、いい店員さんに巡り合えて。あのお姉さんかなり出来る女よ」

    店員さんが出て行ったあと、ナミが私に向かって話しかけてきた。ナミは感心したような表情をしている。

  • 22スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:47:28

    「確かに仕事ができる人って感じだよね。採寸する瞬間に目つきが変わったのはちょっとドキッとしちゃったよ」

    普段は遊び心のある人が仕事の瞬間にスイッチが入ったり、いざという時に頼もしくなるのは正直言って私の好みドンピシャである。

    「ウタってあんな感じの人がタイプなんでしょ?」

    「へっ!な、なに言ってるのナミ!」

    「あーぁ、デート中なのに他の女の子に目移りするなんて悲しいなァ」

    ナミは私からそっぽを向いて悲しそうな声で話す。えっ、もしかして私、ナミを傷つけちゃったの?

    「いや、ちょ、ちょっと待ってよ。私、目移りとかしてないよ!今日はナミのことだけしか見てないから!」

    どうにかナミの誤解を解くために弁明する。店員さんのことをまじまじと見ていたのは事実だけど、そういう目では見てないというか、とにかく違うから!

    「というかナミも店員さんと二人きりになれたら嬉しいみたいなこと言ってたよね!」

    思い返せばナミもフィッティングルームに入る前のやり取りでそんなことを言ってた。自分のこと棚に上げるのは良くないよ!

    「あら、そう言えばそうだったわね♪」

    そっぽを向いていたナミは振り向くと、舌を出しながら自ら頭をこつんと叩いていた。

    「もー!私をからかってたでしょ!」

    したり顔のナミをポカポカと叩く。純情な乙女の心を玩ぶなんてナミは悪い女だ!

  • 23スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 20:55:43

    「お待たせしましたーって何やってるんですかお姉さんたち?」

    ごめんと言いながら笑っているナミをポカポカ叩いていると試着用のブラを持った店員さんが戻ってきた。

    「取り込み中でした?」

    「ああ、ごめんなさい。じゃれてただけだから気にしないでいいわよ」

    状況がわからず少し困惑している店員さんに向かってナミが入っていいわよと言いながら手招きする。ちょっと恥ずかしいところを見られてしまった。

    「ふふ、お姉さんたち仲いいですね。それではブラのフィッティングを始めますね」

    そう言いながら店員さんは手にしたブラをフィッティングルーム内のハンガーにかけていた。

    「今からブラをつけてもらいますけど、お姉さんたちだけでやりますか?それともあたしが手伝ったほうがいいですか?」

    「店員さんに手伝って欲しいな」

    店員さんの提案に対して私は即答した。ここまで来たら一から十までしっかりと教えてもらいたい。

    「了解です。なら、今つけてるブラを脱いでもらっていいですか?」

    店員さんの指示に従いブラを外す。外した瞬間に開放感があるってことはやっぱり今のブラはあってないんだろうな。

    「それでは失礼します」

    採寸の時と同じように店員さんは一瞬で真剣な顔つきになり、ブラの付け方を一つ一つ丁寧に説明してくれた。

  • 24スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 21:10:28

    「うん、これでよし。どうお姉さん?痛かったり苦しかったりしない?」

    「全然苦しくないよ!むしろ爽快感があるっていうか、なんか胸が軽くなったんだけど!」

    店員さんの手ほどきを受けブラを無事に着け終えた私はあまりの感動にテンションが爆上げになる。ジャストフィットしたブラってこんなにすごいの!?

    「はーぁ、よかったー」

    「あら、やっぱりお姉さんもお客さんのフィッティングをするときは緊張するのかしら?」

    「そりゃそうですよー。こんなあたしでも店の看板を背負ってるわけですから、お客さんに不快な思いをさせるわけにはいかないですからねー」

    ホッとした表情を浮かべる店員さんはナミと和やかにおしゃべりしていた。一仕事終えて肩の力が抜けて店員さんは柔からな笑顔になっていた。

    「サイズが決まったから、あとは売り場で好きな下着を選ぶだけね」

    「うん、そうだね。可愛い下着がたくさんあったから、時間がいくらあっても足りないかもね!」

    フィッティングルームに移動するまでに軽く売り場を見まわしただけでも、気になるブラとショーツがたくさんあった。まさに選り取り見取りな状況だ。

    「それで店員さん、お願いがあるんだけどいいかな?」

    「ん、なんですかお姉さん?」

    「その、よかったらこの後も下着を選ぶのを手伝ってほしいんだけど大丈夫かな?」

    私はランジェリーの種類やブランドについてはまったくわからない。なので、プロの方に道案内をしてもらわないといつまで経っても店内を彷徨い続けるのは目に見えている。

  • 25スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 21:17:44

    「お安い御用ですよ。あたしもお姉さんたちとおしゃべるするの楽しいから同伴のお誘いは素直に嬉しいです」

    そう言って店員さんは嫌な顔ひとつせずに、私のお願いを聞き入れてくれた。

    「あと、今付けているブラは購入したいから、そのまま付けていても大丈夫かな?」

    店員さんが試着用に持ってきてくれたブラは淡いピンク色のレースのブラだった。デザインも私好みだし、元々付けていた窮屈なブラに戻したくないのでこれを付けたままでいたい。

    「いいですよー。お買い上げありがとうございます。なら、元々着けていたブラはこちらの紙袋に入れておきましょうか」

    店員さんは手際よく紙袋を取り出し、外していたブラを袋に入れてくれた。その間に私はナミから手渡された服を着て、フィッティングルームから出る準備を進めた。

    「それでは店内を案内しますね。いま付けているブラとセットのショーツもすぐに準備しますね」

    ナミと店員さんという心強い2人に連れられて私は華やかな売り場へ足も踏み出す。素敵なランジェリーに向かってヨーソロー♪

    「ここのスペースは今流行りのランジェリーコーナーですね。どれもフィッティングOKなので、気になるものがあったら遠慮なく言ってくださいね」

    最初に案内されたのはお店の出入り口にほど近い場所だった。正直流行については全然わからないけど、どのランジェリーも宝石のように輝いて見える。

    「へぇ、素敵なものばかりね。私もいくつか買っていこうかしら」

    ナミもいくつかのランジェリーを手に取り、じっくりと眺めている。ナミも買うならブランドを揃えたりするのもいいかもね。

  • 26スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 21:28:37

    その後、1時間ほど店内を物色し、気になるものを見つけるたびにフィッティングルームへ駆け込んだ。

    店員さんが用意してくれた購入予定のランジェリーを掛けるハンガーラックはすでに窮屈になっている。

    「ねぇナミ、本当にこれ全部船のお金で買っても大丈夫なの?あとでお小遣いから引いたりしないよね?」

    今回のデートで買う下着はナミが管理している船の共有資産で買うことになっているのだが、不安になり思わず確認してしまう。

    「そんなことしないから安心しなさい。下着は必需品で消耗品なんだから、ちゃんと船のお金で買ってあげるわよ」

    「でも、これ全部買うと結構な金額になるよね……?」

    一応、下着を選ぶときに値札にも目を通していたけど、一つのブラでパンケーキが何枚も買える値段のものばかりだった。

    「予算内に収まってるから気にしなくていいわよ。それにこんなに質の良いランジェリーが買えるチャンスなんてそうそうにないから、このチャンスを逃したら後悔するわよ」

    「……それもそっか。じゃあこれ全部お願いします!」

    これ以上変に遠慮してもナミを困らせるだけなので、ここはすっぱりと気持ち良くお願いすることにした。

    「お買い上げありがとうございます。あっそうだ、いまセール中で対象商品を5点以上買ってもらってるから、サービスであと1点お付けできますよ」

    「へぇ、そうだったのね。んー、私はお手洗いを借りてくるからその間に選んでていいわよ」

    そう言い残してナミはお店の奥のお手洗いに向かって歩き出した。うーん、あと1点って言われても悩むなァ。

  • 27スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 21:41:43

    「お姉さんどうしますか?あと1点はもう決めてますか?」

    ナミの背中を見送っていると横から店員に話しかけられる。

    「んー、まだ悩み中。いま選んでいる分で大満足してたから、どうしようって感じだね」

    「それなら、あたしのおススメがあるから、案内しますね」

    あと1点で頭を悩ませている私に向かって店員さんが救いの手を差し伸べてくれた。店員さんおススメなら間違いはないでしょ。

    「これなんですけど、どうですか?」

    私たちはお店の出入り口から少し離れた場所に移動し、店員さんから渡されたランジェリーを手に取る。

    「私が今まで選んだ下着とは雰囲気が全然違うね。なんでこれがおススメなの?」

    「ふふふ、そのランジェリーを身に着ければナミお姉さんをビックリさせることができるからです!」

    私の質問に対して、店員さんは何かを企んでいるような笑い方をする。ナミがビックリするってのはどういうことだろうか?

    「んー、どういうことかよくわからないからもう少し詳しく説明してくれない?」

    いまいちこのランジェリーの使い方がわからないので説明を求めると、店員さんは周りを確認してから私の耳元でこのランジェリーの使い方を教えてくれた。

    ふむふむ。ほうほう。なるほど。そうやればナミをビックリさせることができるのね。

  • 28スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 22:01:04

    「おまたせ。追加の1点は決まったかしら」

    「うん、もう決まったよ。選んだ下着は全部袋に入れてもらったから、あとはお会計だけだね」

    「そう、それでどんな下着を選んだの?」

    「えへへ、それは内緒♪」

    ナミをビックリさせるために選んだのだから、すぐに教えるわけにはいかない。ただ、披露するチャンスがいつになるのかわからないけど。

    「何か変なこと企んでるわね。……まぁいいわ、店員さんお会計お願いね」

    「お買い上げありがとうございます!」

    財布を取りだすナミに向かって、店員さんは満面の笑みでお礼を言っている。

    支払いが終わると店員さんは袋を手に取り、お店の外まで見送りに来てくれた。

    「店員さんが一緒に選んでくれたおかげで楽しく買い物することができたよ。ありがとね!」

    「いえいえお礼を言うのはこっちのほうですよ。あたしも楽しかったし、たくさん買ってくれたからオーナーも喜んでましたよ」

    下着でいっぱいになった袋を受け取りながら、私たちは互いに感謝の言葉を伝えあった。

    「今日はありがとね。私たちは旅の途中だから、また来るとは簡単に約束できないけど、また会えることを願ってるわ」

    ナミも店員さんとの別れを惜しんでいるみたいで、少ししんみりしたトーンで話している。

    「それじゃあ名残惜しいけどお別れですね。またのお越しを……じゃなくて、お姉さんたちの旅が幸せなものになることを心から願ってるよ!今日買ってくれた下着、大切にしてね!」

  • 29スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 22:04:29

    船に戻るまでがデートなのでまだ続きがあるのですが、本日の投稿はここまでになります。

    お付き合いいただきありがとうございました。

  • 30スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 22:09:50

    これ以降の話は最後まで書き終えてから投稿する予定ですので、再開予定は今のところ未定です……

  • 31スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 22:15:27

    そもそもこの後の展開を先に思いついてから書き始めたので、今日投稿した内容は私の中では導入部って扱いなんですよね……

    無駄に長い導入部だけを投稿していまい本当にすまない……

  • 32二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 22:17:01

    この2人って付き合ってるの?

  • 33スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 22:28:59

    >>32

    今のところ私は仲の良い姉妹をイメージしながら書いてますね。


    ナミは面倒見の良いお姉さん、ウタはお姉ちゃんが大好きな妹って感じです。


    なのでこの話もデートと言うよりはデートごっこって言ったほうがいいのかもしれないです。

  • 34スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/22(火) 23:24:52

    このSS書きながら考えてたんですけど、ナミの身長が170cmでウタが169cmだから服の貸し借りはできそうなんですけど、ウタの3サイズがわからないから下着の貸し借りができるかはわからないんですよね

    ウタの3サイズが判明する日は来るのだろうか?

  • 35二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 23:43:52

    俺は正当なナミウタ読者
    スレ主の所為でナミウタにハマったと言っても過言ではないが他の供給がなくて干からびそうだった
    供給いただきありがとうございます…ありがとうございます…!!

  • 36スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/23(水) 00:12:09

    >>35

    ナミウタのSSって全然見ないですよね

    いまだにpixivでナミウタのタグを付けてるは私が投稿した作品しかない……

    ルフィとウタの二人に対してナミが絡む話はたくさんあるんですけどねェ

  • 37二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 00:29:05

    ナミとウタって映画でもあの短期間でも打ち解けたのか楽しそうに話してたからすぐ仲良くなれそうだよね

  • 38二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 02:14:32

    >>36

    まあ...映画でも絡みが無いようなもんだし、あの2人のある程度の固定概念も無い

    後ルフィとウタの組み合わせが強すぎる

  • 39二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 11:51:19

    ナミとウタが仲いいの好きです

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 21:22:16

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 08:09:04

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 19:07:19

  • 43スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/25(金) 06:53:08

    続きの投稿は早くて27日の夕方以降になると思います

    土日に書き進める時間があればですが……

  • 44二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 17:08:07

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 04:14:19

    ホッホッホ、保守

  • 46二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:32:29

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:56:33

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 09:04:24

    ほしゅ

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 19:10:18

    保守

  • 50スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:08:36

    保守してくれた方ありがとうございます。

    まだ、書き終えてはないですが、ある程度書き溜めたのできりが良いところまで投稿しようと思います。

  • 51スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:13:50

    元気いっぱいに手を振る店員さんに見送られ私たちはランジェリーショップを後にする。

    「ほら、片方は私が持つわよ」

    両手を買い物袋で塞がれている私に向かってナミが手を差し伸べてくれた。

    「ありがとナミ。でも、自分で持つから大丈夫だよ」

    「だけど、それじゃあ手を繋げないわよ?」

    「……確かにそうだね。それなら、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

    差し出された手に私は買い物袋を手渡し、空いたほうの手でナミの手を握る。私の我儘が発端で手を繋ぐことになったのに、ナミのほうから誘ってくれるなんて。どうしよう、嬉しくてたまらないんだけど。

    「ねぇ、次はどこに行きたい?今回の買い物の目的は達成してるから、あとは好きにしていいわよ」

    「なら、カフェで一休みしたいな。ちょっとお腹空いたし、甘いものが食べたいな」

    お昼過ぎにデートを開始して今は15時前になっていた。おやつを食べるにはちょうど良い時間だよね。

    「んー、ならこの辺りを散策してみて、気になるお店があったら入りましょうか」

    そうして私たちは甘味を求めて街の散策を始めた。素敵な出会いがあったおかげで足取りは軽やかだ。次のお店では素敵なパンケーキなんかに出会えるといいな。

  • 52スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:18:32

    私たちは敢えて地図を見ずに街を歩いて回っていた。地図ばかり見ていると街の風景を堪能できないし、私は行き当たりばったりの旅ってのが結構好きだからだ。

    「ん、あそこにあるお店はカフェっぽいわね」

    大通りから少し外れた通りを歩いているとオープンテラスのあるお店が見えてきた。

    「ねぇ見てナミ!メニューにパンケーキって書いてあるよ!」

    店先に立ててある黒板には「本日のパンケーキは季節のフルーツたっぷり!」と書いてあった。

    「“本日”のってことはいつもパンケーキが自慢のお店なんじゃないかな!?ここにしようよ!」

    おそらくパンケーキが看板メニューであるお店に出会えて私のテンションは跳ね上がっていた。お客さんも多くて賑わっているしきっと人気のお店なんだろう。

    「そうね。雰囲気もいいし、このお店にしましょ」

    「やった!ほら早く入ろうよ!」

    ナミの手を引き、足早にお店の中へ向かう。お店の中はスイーツの甘い香りとコーヒーのほろ苦い香りが交じり合った昼下がりの匂いがした。

    「いらっしゃいませ!二名様ですか?」

    お店に入ると明るく爽やかな声で笑顔の素敵な店員さんがお出迎えしてくれた。お店の内装は明るくて開放的なものなので、店員さんも爽やかな感じにしているのかな?

    「はい!二人です!」

    私はVサインをアピールしながら、店員さんに人数を伝えた。可愛らしい店員さんだったので思わずじっと見てしまいそうになったけど、またナミにからかわれても嫌なので、ぐっと我慢してナミのほうを見ることにした。

  • 53スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:22:49

    「ん?どうしたの?急に私のほうを見つめて」

    不自然に店員さんから顔を背けた私に気づいたナミはキョトンとしている。うん、少し困った表情のナミもキュートだ。

    「どうもしてないよ。ナミの可愛さを再確認していただけだよ」

    「は?ちょっ、急に何言ってんのよ!?」

    私の突拍子の無い発言にナミは少し顔を赤らめていた。ナミって結構不意打ちに弱いよね。

    「ふふ、お客様、お席は店内とテラス席どちらになさいますか?」

    私たちのやり取りを見た店員さんは温かな眼差しを向けながら問いかけてきた。なんかすっごいホクホクした表情になってるんだけど。

    「オープンテラスが気になってお店に入ったけど、店内の席も素敵ね。ウタはどっちがいい?」

    「うーん、せっかく天気もいいから今日はテラス席にしようよ」

    「OK、じゃあテラス席でお願い」

    「かしこまりました。お席にご案内いたしますね」

    終始笑みを絶やさない店員さんに連れられ、私たちはテラス席に案内された。テラス席は緑に囲まれていて木漏れ日が降り注いでいる。周囲の木々は柔らかな風が吹き抜けるたびに爽やかな音を奏でており、午後のひとときをのんびり過ごすにはうってつけのロケーションだ。

  • 54スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:27:29

    「ご注文がお決まりになりましたら、こちらのハンドベルでお呼びください」

    案内された席に着くと店員さんにメニューとお冷を渡され、テーブルの上に置いてあるハンドベルの説明を受けた。ちょうど別の席で他のお客さんがベルを鳴らしており、テラス席に心地よい音が通り抜けていた。

    「それでは失礼します」

    店員さんは軽くお辞儀をすると、先ほどベルを鳴らしたお客さんの席に向かて歩いて行った。背筋がピンとしていて、とても上品な歩き方をしている。

    「さて、何を頼もうかしら」

    ナミのほうに目をやると、手渡されたメニューをパラパラとめくっていた。覗き込んでみると写真付きのメニューになっており、どのスイーツも美味しそうに見える。

    「うわァ、パンケーキに惹かれて来たけど、ケーキもパフェも美味しそうだね!迷っちゃうよ!」

    「あら、オレンジのタルトがあるわね。私はこれとイチゴのショートケーキにしようかしら」

    「うー---ん、悩むなァ。……よし、私は本日のパンケーキにしよ!」

    悩みに悩んだけど、結局はパンケーキを選ぶ私。ナミがタルトやケーキを選んでくれたから、私がパンケーキを選んでおけばお互いに食べさせ合いができるんじゃないかって打算が正直あったりする。

    「ドリンクはどうする?私はホットコーヒーにするけど?」

    「私はどうしよっかなァ。よし、ホットカフェオレにするよ」

    「じゃあ、店員さん呼ぶわね」

    そう言ってナミはハンドベルを軽く振って音を鳴らした。私たちが席に着いたときに他のお客さんが鳴らしたベルの音とは少し違っていた。もしかしたら、席ごとに全部音が違ったりするのかな?

  • 55スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:31:50

    「お待たせいたしました。ご注文を承ります」

    ベルを鳴らすと私たちを席に案内してくれた店員さんがスッと注文を聞きに来てくれた。店員さんが来るとナミが私に向かって目配せをする。私に注文係をやってほしいみたいだ。

    「本日のパンケーキを1つ、オレンジのタルトを1つ、イチゴのショートケーキを1つお願いします。あと、ドリンクはホットコーヒーとホットカフェオレで」

    私が注文を伝えると、店員さんは「承りました」と言った後、注文内容を復唱して確認してくれた。

    「それでは少々お待ちくださいませ」

    店員さんはそう言ってお辞儀をすると、メニュー表を手に取り、店内に向かって行った。

    「行き当たりばったりで歩いてたのにこんなにいいお店を見つけるなんて私たちって持ってるんじゃないかな?」

    「確かに地図は見ないで歩いてたけど、人の往来を見ていたらこっちの方向に飲食店がある雰囲気はしてたんだけどね」

    「えっ!?ナミってそんなこともわかるの?すごっ!?」

    ここにたどり着くまでの行先はナミに任せていたけど、飲食店があるところを見極めながら歩いてたんだ。一流の航海士さんは街歩きのほうも一流みたい。

    その後、注文したスイーツが届くまでの間、私たちは地図を眺めながら、今後のデートルートについて話し合った。さすがにカフェを出たあとは行き当たりばったりで歩いている時間はないので、今のうちに行きたいお店を決めておくって作戦だ。

  • 56スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:38:21

    「お待たせいたしました」

    私たちが熱心に地図を眺めていると、横から店員さんに呼びかけられる。どうやらお待ちかねのスイーツがお出ましのようだ。

    私たちはそそくさと地図を片付け、店員さんにスイーツとコーヒーを配膳してもらった。

    「ごゆっくりどうぞ。失礼します」

    注文したものが全て揃ったことを確認すると、店員さんは上品に頭を下げ、静かに席から離れていった。私たちの目の前には今、華やかに盛り付けられたスイーツが光り輝いている。

    ナミのほうに目をやると、彼女もスイーツを前にして自然と頬が緩んでいる。いつもは気が強くて姉御肌な彼女も、甘味を前にすると子供のような笑顔になっていて可愛らしい。

    「は~ぁ、食べちゃうのがもったいないほど綺麗なパンケーキだね」

    「そうね。このオレンジも宝石みたいでキラキラしてるわね」

    私たちはしばらくの間、視覚でスイーツを味わっていた。あいにく私たちはカメラを持っていないので、この光景は脳裏に焼き付けるしかない。いつかカメラを手に入れる機会があれば絶対にものにしよう。

    「よし、しっかり脳に焼き付けたよ!」

    「ええ、私もOKよ」

    「「いただきます!」」

    私たちは眼前のスイーツとこれらを作ってくれた人たちに最大限の感謝の気持ちを込めて手を合わせた。

  • 57スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:45:18

    フルーツとホイップの山に囲まれたパンケーキを慎重に切り分けていく。ふわふわのパンケーキはナイフを当てるだけでスッと切れるような柔らかさだ。

    切り分けたパンケーキにホイップとフルーツを乗せ、静かに口元に運ぶ。大きめに切り分けたせいで一口で食べるには口を大きく開かないといけない。はしたないって思う人もいるかもしれないけど、人がどう思うかなんてどうでもいい。これが私流のパンケーキの楽しみ方なのだから!

    はむぅっ!

    口いっぱいにふわふわな感触が伝わり、シロップやホイップの甘味とフルーツの酸味のハーモニーが広がる。

    「おいひい……」

    幸せの暴力で私の意識は一瞬吹き飛んでしまったかと思うほど、私の脳内は幸福感が駆け巡っていた。

    パンケーキ自体はサニー号に乗っている時もたまにサンジ君に作ってもらっている。超一流のコックさんであるサンジ君が作るパンケーキは一級品で、私の舌はだいぶ肥えてしまっていた。

    だから、久しぶりにお店のパンケーキを目の前にした今、口にするまでは正直不安な気持ちもあった。

    でも、そんな事は杞憂だった。このパンケーキはサンジ君が作るパンケーキと甲乙付け難いレベルの代物だ。

    「ナミ、このパンケーキすっごく美味しいよ……」

    「ふふ、そうでしょうね。言わなくても顔を見ていればわかるわよ」

    ナミは私の顔を眺めながらオレンジのタルトをいただいていた。ナミの表情も幸せで満ち溢れているように見える。オレンジのタルトも絶品なんだろうな。

  • 58二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 21:46:23

    めちゃくちゃかわいい

  • 59スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:52:08

    「ねぇオレンジのタルト美味しい?」

    「ええ、とっても美味しいわよ」

    「一口ちょーだい♪」

    「……はい、どうぞ」

    そう言ってナミはオレンジのタルトが乗ったお皿を私のほうに近づけてきた。

    「……ねぇナミ?わかってやってるでしょ?」

    「さあ?なんのことかしら」

    「……だから、その、食べさせてほしいんだけど」

    ナミと根競べをしても私が痛い目を見ることが多いので、ここは素直にお願いする。

    「そういうことなら最初から素直に言ってくれなきゃわからないわよ。もう、仕方ないわね、ほらあーんしなさい」

    仕方ないって言ってる割にはノリノリでオレンジのタルトを切り分け、私の口に近づけてくる。

    「むー、知ってて言わせたくせにー。あーん」

    ぱくっ

    うん、すっごく美味しい。オレンジの酸味が甘味で包まれていて爽やかな風味が心地よい。

  • 60スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 21:56:38

    「それで当然私にも食べさせてくれるのよね?」

    ナミはオレンジのタルトを味わう私を見つめながら、チラッとパンケーキのほうに目をやっている。

    「当たり前だよ!ナミにもこのパンケーキの素晴らしさを味わってもらうよ!」

    ナミに食べさせてあげる分を手早く切り分ける。私基準で切り分けると大きくなりがちなので、意識して少し小さめに切り分けた。

    「これでよし!はいあーんして♪」

    パンケーキをナミに口元へ運んであげる。ナミは右手で髪を抑えながら、口を開けて待っていた。

    ぱくっ

    ナミは目を閉じて、ゆっくりと咀嚼している。人が食べているところをあまりまじまじと見ることはないけど、ナミが食べている姿を眺めているとなんかドキドキする。

    「ん、おいしいわね♪」

    ナミは食べ終えると私に向かってウインクしながら微笑んだ。ナミが嬉しそうに食べているところをみると、パンケーキを全部食べさせあげてたいって感情が湧き出てくる。

    「ほら、ショートケーキも一口あげるわよ♪」

    私がナミを見つめていると、呆けている私に向かってショートケーキを近づけてきた。

    「えっ?あ、うん、ありがとう」

    ぱくっ

    ふわっふわなスポンジが口の中で羽ばたいている。パンケーキとは違ったふわふわ感。生クリームの甘さは控え目になっていて、イチゴの甘みを引き立てていた。

  • 61スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 22:11:36

    「ふふ、いい顔で食べるわね。こんなに幸せそうな顔をされるとずっと食べさせたくなっちゃうわね♪」

    どうやらナミも私に食べさせてあげることを楽しんでいるみたいだった。どうしよう、ずっとこうして食べさせ合ってちゃダメかな?

    「まぁ、ずっとこんなことしてたらいつまで経っても食べ終わらないから今日のところはここまでね」

    だけど、ナミのほうは至って冷静だったみたいで、食べさせ合いはここで終了となった。……ちょっと残念。

    そのあとはお互い自分が頼んだスイーツを心ゆくまで堪能した。ドリンクとして頼んだホットカフェオレは甘さ控えめで、パンケーキとの相性はばっちりだった。

    「「ごちそうさまでした」」

    お互いに相手のペースに合わせながら食べ進めていたらしく、私たちはほぼ同時に食べ終えていた。

    「ふ~ぅ、とっても美味しかったしお腹もいい感じに満たされたし、幸せな時間だったね!」

    「サニー号で波風を感じながら食べるサンジ君のスイーツも絶品だけど、こうして緑で囲まれた静かな場所で食べるスイーツも乙なものね」

    私たちはスイーツの余韻に浸りながら、それぞれ頼んだドリンクをゆっくりと味わっていた。

    やがて、私たちはドリンクも飲み干し、ふぅと軽くため息をつく。幸せな時間ってあっという間に過ぎ去るよね……

    「まだまだのんびりしていたいけど、あまり時間も残ってないから、そろそろ出るわよ」

    「うん、そうだね。ありがとう愛しのパンケーキ様。またこのお店に来る機会があることを心から願っているよ」

    パンケーキのおかげでふわふわとした足取りになった私はナミに手を引かれてお会計を済ませる。私は今日という日を、このお店で食べたパンケーキを決して忘れることはないだろう。

    よし!いつの日かパンケーキの歌を作って、今日感じたこの思いを世界中に伝えてあげよう!みんな!パンケーキは最強のスイーツだよ!

  • 62スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 22:14:18

    本日の投稿はここまでです。

    お付き合いいただきありがとうございました!

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 22:15:23

    可愛い…
    寿命が延びる…

  • 64スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 22:20:33

    投稿再開の予定は未定です!書き終わってから投稿再開する予定です!今週中に書き終わるといいな!

  • 65スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/27(日) 22:29:25

    今回投稿した内容も元々書く予定のなかった話なんですけど、デートならカフェのシーンはあったほうがいいかなって思って書き始めたら、思った以上に時間がかかってしまいました……

  • 66二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 04:06:14

    かわいいです!

  • 67二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 12:06:17

    カフェを通り抜ける風になりたい

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 21:56:10

  • 69スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/29(火) 07:02:48
  • 70二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 18:23:57

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 00:00:14

    応援してます!
    保守!!

  • 72スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/30(水) 07:20:02

    保守ありがとうございます

  • 73スレ主◆ItVKZj/d9o22/11/30(水) 18:48:22

    現パロでナミとウタがルームシェアしてるSSとかあったらいいのになァ

  • 74二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 18:53:55

    私はちょっと子供っぽいウタと年下だけどお姉ちゃん感のあるナミの組み合わせが大好きでねェ

オススメ

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