- 1二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:39:39
「最近お疲れのようでしたから……偶にはこうして、ゆっくりと休んで下さい」とカフェトレの頭を優しく撫でたり、流れで耳かきをして最後に吐息を耳に吹きかけて、唐突の耳ふーに戸惑うトレーナーの様子を見ながら悪戯っぽく笑うカフェとか、突然カフェトレの頭をふわふわの私服で覆い被さり「ふふっ……どうです、温かいでしょう?」と(服の暖かさ的な意味で)言ったカフェに対して、ウマ娘特有の体温の高さから服越しでもその熱を感じ取ることができ、カフェの熱とほんのりコーヒーの良い香りに包まれ耐えきれず起き上がろうとするも、意外と力が強く身動きの取れないトレーナーに関するSSがこちらに置いてあると伺ったのですがまだありますか?
- 2二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:40:19
ここで待ってれば>>1が書いてくれると聞きました
- 3二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:41:54
当店はセルフサービスとなっておりまして
- 4二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:44:46
ご自身でお持ちですね
- 5122/11/23(水) 22:50:19
えっ、もしかして品切れですか?
- 6122/11/23(水) 23:01:42
- 7二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:03:52
すげえかわいい
- 8二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:09:10
頼む、完成させてくれ
- 9二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:14:46
あなたが神か……
- 10122/11/23(水) 23:19:39
皆が書いてくれるであろうSSを燃料に私がこの絵の続きを描きます。
皆の『SS』と引き換えのギブアンドテイクだ - 11二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:29:07
すまねえ……俺がと言いたいところだがカフェ未所持なんだ
だから1が書いてくれ❤️ - 12二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:32:34
くそー完成した絵が見てェ
こうなったら時間かかってもいいなら今晩中に書くぞSS! - 13122/11/23(水) 23:38:07
- 14二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:49:04
この日は休みにしよう、と提案したものの。つい思いついたこと、準備しておきたい事が頭をよぎってトレーナー室に入ったのは良くなかった。
買い物帰りのカフェに部屋の灯を見咎められ、急ぎの用でないことを確認するや否やいつもの準備室に連行されてしまった。
「トレーナーさん……どうぞ」
つん、と珍しい澄まし顔で自身の脚を指すカフェ。
あちらからの提案とはいえ、担当ウマ娘の膝に甘えるというのはどうしても抵抗があると逡巡する──
『ド ン !』
「!?」
直後、誰もいない背後から突き飛ばされ、何かに袖を引っ張られたかして半回転。カフェの隣に慌ただしく着陸する。そのまま逃げるなとばかりに金縛りに遭う。
「大丈夫……ですか?ごめんなさい、お友だちが。……だめだよ。乱暴しないで」
嗜められた不可視のお友だちが、不満気にソファの背を叩いて急かすのが聞こえる。
下手に抵抗してカフェとお友だちが喧嘩するところは見たくないし、元を正せば自分が悪いのだから。
そう自分に言い訳しながら、体を横たえた。
「心配かけちゃったね」
「最近……ずっと遅くまで起きているって『みんな』が言っていましたから」
寮の『彼ら』にさえ見かねる有様だったらしい。……もうちょっとプライバシーに気を遣ってほしいところではあるが。
「最近お疲れのようでしたから……偶にはこうして、ゆっくりと休んで下さい」
不意に頭の向こうから髪を2房摘まれ、ひょいと持ち上げられた。
「お揃いですね」とカフェが笑い、本物にする様に偽ウマミミの根元を撫でる。
歳下の女の子に一方的に撫でられるのが気恥ずかしくなって、こちらを覗き込む彼女の耳に手を伸ばした。
「! ……仕返し、されてしまいました」
一度驚いたようにぴょいと立った耳が、緩やかに手に寄せられた。 - 15二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:49:34
しばらくの間無言のまま戯れていると、仕返しの仕返しに耳たぶを珍し気につまんでいたカフェに耳かきを持ちかけられた。
「自分でするより……リラックスできるそうですよ」
「担当にさせてるのがちょっと気が咎めるけどね……」
「すぐ落ち着いて甘えられるようになるとスーパークリークさんが」
「あの人らは特殊なケースだと思います」
閑話休題。
「人間の耳にするのは初めてですから……ゆっくり、しますね」
体を横に向けると、頬がわずかに脚に沈み込む。肉が薄い後頭部と違い、カフェの柔らかさと体温がはっきり感じられ、途端に熱が移る。顔が見られない位置に耳があって助かったかもしれない。
慣れない耳を相手にしたカフェは真剣そのもので、再び無言になる。聞こえるのは体の内側を丁寧に摩る音のみ。
仕上げの梵天にくすぐられ、反対側を向くと猫の意匠がついたベルトのバックルと目が合った。
視覚も近く狭くなり、身体の内側を相手に任せてしまう安心感にぼんやりと浸っていると。
柔らかさの向こう、確かに鍛えられた大腿直筋の緊張を感じる。
ステイヤーらしい、細くもしっかりと芝を蹴る良い筋肉が出来て計算──
「………ふーっ」
「…………!?」
「ふふっ……だめですよ。今日はお仕事はお休みです」
「なんでバレるんだろう……」
「トレーナーさんが私を見てくれている時、私もトレーナーさんを見ていますから。……はい、お疲れ様でした」 - 16二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:50:09
ほぉ、と力の抜けたため息が漏れる。
丁寧な耳かきと静かな息遣いにすっかり骨抜きになってしまった身体をなんとか起こそうとすると、肩に添えられた手に押し戻されてしまった。
「……カフェ?」
「…………トレーナーさん」
視界を埋めるように、カフェの身体が覆い被さってくる。
「とても、冷えていましたから。もう少しだけ、温まってください」
「……そうしようか」
こちらが思う以上に気にかけていたのだろう。観念して抵抗をやめる。
頭を丸ごと抱きしめられて、微かなコーヒーの香りに包まれた。
「ありがとう、カフェ」
「……はい」
「温まったら……珈琲を淹れましょう。今日は濃くて、甘い珈琲を」 - 17二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:50:30
おしまい!!!書きました!!!
後は頼みます!!! - 18122/11/24(木) 01:05:57
あぁぁぁぁあぁぁ全身に尊みが染み渡る!!!筆が進む本当にありがとうございます!!
- 19二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:21:30
こんな時間帯に2柱も神が降臨する様を見られるとはなぁ…
- 20122/11/24(木) 01:32:52
- 21二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:33:10
なんで週のド真ん中のド深夜に神々が降臨しているのだ?
- 22二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:33:46
ここがエデンですか?
- 23二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:39:43
えっこのSSスレ主製じゃなったの!?
めっちゃ良かったです - 24122/11/24(木) 01:43:53
- 25二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:44:49
SS書いてくれないとこの絵が完成しないぞ!
とかいう新種の脅し - 26二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 04:24:31
- 272622/11/24(木) 04:26:14
「──、──さん…」
遠くで呼ぶ声がする。
「──ナーさん、……トレーナーさん」
「…んん」
温かいものに包まれたような感触に、もう少し微睡んでいたくなる。
「トレーナーさん?……起きられましたか?」
優しい声が耳に届く。
「──カフェ?」
ぼんやりと、担当バの名前を口にする。
目をあけてみたが、視界は塞がっている。
柔らかいクリーム色の、そうカフェがよく着ている服が、こんな色だった気がする。
頭に回された何かの感覚、伝わってくる温もり、目の前の色──。
「……!!?!?!!!!???」
自分の状況を把握して、慌てて飛び起き──ようとしたが動けなかった。
ベッドの上で、カフェに頭を抱きしめられ、動けないでいる。
『自分は炬燵で資料を見ていたはずなんだけど……』などと考えつつ身じろぎするが、逃がしてもらえない。
そうこうしていると、頭上から声が降ってきた。 - 282622/11/24(木) 04:27:10
「……おはようございます」
「……おはよう、カフェ。放してはもらえないのかな?」
「トレーナーさん、……ずいぶん、いろんな資料を見ていらしたのですね」
どうやら放してもらえないらしい。
「私がこの部屋を訪れた時、トレーナーさんは炬燵で眠られていました。炬燵で寝ると風邪をひく、という話もありましたので、こうしてベッドに運びました」
「それはわかった。で、この体勢は?」
「……トレーナーさん、今日は休養日のはずでしたよね……?」
質問の答えは返ってこない。代わりに返ってきた質問には、いささか圧がこもっていたように思う。
「……忙しかった時期も、一段落しました。しばらく休養を取るので、直近のレースはありません。……トレーナーさんは、何を調べていらっしゃったのですか……?」
質問が重ねられる。気持ち圧も増している。
なんのことはない。休養明けに向けて、これまでのデータを整理しつつ、休養明けからのメニューを考えていただけだ。そう、ただそれだけなのだが──
「疲れを取るのは重要、そうおっしゃっていたのは……トレーナーさん、ですよね?」
「……そうだね」
辛うじて言えたのはそれだけだった。どうやら相当に心配をかけてしまったらしい。
「心配かけてごめん、カフェ」
「……わかればいいんです」
素直に謝ると、カフェの声色も普段の優しく穏やかな調子に戻ったようだった。 - 292622/11/24(木) 04:28:17
「本当は、今日はトレーナーさんをお出かけに誘おうと思ってきたのですが……」
「えっ!?それはごめん!ならすぐに準備して今からでも──」
「……今何時かわかりますか?」
残念ながら自分の視界は塞がれたままなので時間はわからないが、聞かれてなんとなく察する。
「……今、何時?」
「17時を回ったところです」
──完全にやらかした。寝落ちしててせっかくのカフェの誘いを不意にしてしまうとは…。
「……部屋に鍵も賭けずに炬燵で眠ってしまっているようでしたので、ベッドに運びました。……起き出してまた仕事に戻られても困りますので、こうして捕まえていることにしました」
「……そうだったのか」
──鍵はかけたはずなのだが……うっかりしていたのだろうか。次からは注意しよう。
カフェの説明で状況は分かったし、だいぶ思考も戻ってきた。
が、冷静になったおかげで、今度は今のこの二人の体勢は非常によろしくないことを思い出す。
「じゃあ、カフェ。わかったから、そろそろ放してもらえないかな?担当バと同じベッドで寝てるこの状態は、誰かに見られたら問題になっちゃうし」
「……誰か、いらっしゃるのですか?」
「いや、そういう予定はないけど……。それにしたって、こんな風に密着して一緒のベッドにいるのは……」
「……お嫌、でしたか?」
その聞き方はズルいと思う。
「……嫌ではないよ。……ただ、こんな風に体が密着してると、さすがに落ち着かないというか……」
そう、ドキドキして落ち着かないのだ。
カフェの温もりは心地よいし、なんだかいい香りがする。が、それよりなにより、こうして密着していると、どうしてもカフェの柔らかな肢体の感触を意識してしまう。
「……トレーナーさんは、えっちですね」
「ごめんなさい!」
まるで思考を覗かれたかのような言葉に、反射的に謝ってしまった。 - 302622/11/24(木) 04:30:31
それが契機になったのか、カフェはするりと自分の元を離れ立ち上がった。
どうやら帰宅の準備をしているようだ。怒らせてしまったのだろうか。
「私はそろそろ帰りますね。……冷蔵庫の中に何もなかったので、簡単なものを作っておきました。食べてくださると嬉しいです。食べたら、今日はもう休んでください」
こちらに背中を向けたまま声がかけらた。どうやら怒っているわけではないようだ。
「わかった。ありがとう。ぜひいただくよ」
ありがたい申し出に礼を言う。何を作ってくれたのかはわからないが、楽しみだ。
「……それでは、また明日」
「……明日?」
「はい。……明日は、一緒にお出かけしましょう」
「……!わかった。行く場所は決まってるの?」
「……はい。あの水族館に行こうかと。……トレーナーさんが、お嫌でなければですが」
「全然嫌じゃないよ。楽しみにしてる」
「……私も、楽しみです。それでは……」
そう言い残すと、まるで風に乗るかのようにするりと、カフェは部屋を出て行った。
去り際に少し見えたカフェの横顔が赤く染まっているような気がしたのは、ドアから差し込む夕日のせいだったのかもしれない。
その日の晩御飯、カフェが作ってくれたポトフはとても美味しかった。
何かお礼をしようと思い、明日の予定を考えるのだった。 - 31二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 04:31:08
カ〜フェ❤︎
- 322622/11/24(木) 04:32:52
以上、「ウマ娘に担当トレーナーに向かって『えっち』と言わせたい」委員会からでした。
耳かき要素なくなってすみません。
『突然カフェトレの頭をふわふわの私服で覆い被さり「ふふっ……どうです、温かいでしょう?」と(服の暖かさ的な意味で)言ったカフェ』のシチュも盛り込めなくてすみません。
これが自分の精いっぱいです。 - 33122/11/24(木) 10:06:05
- 34二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 13:38:37
おいおいおい何だよここはレベル高ぇな
- 35二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 13:40:31
カフェがコーヒー飲んだ後の吐息を嗅ぎたい
- 36122/11/24(木) 13:57:36
- 37二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 20:31:24
- 38122/11/24(木) 21:05:27
- 39二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 23:28:33
- 40二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 23:59:59
新しすぎる脅しの手法を見た
- 41122/11/25(金) 02:18:23
- 42二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 02:24:25
深夜にありがとう。SSなんだけど、ちょっと難産で……
- 43二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 03:06:05
トレーナーが耳かきしてもらって、最後に「ふー」ってされて変な声出しちゃったもんだから、仕返しとばかりに「今度はカフェの番だね」って言った途端に、「私は大丈夫です」って耳を抑えて逃げ回るカフェは可愛い。
- 44122/11/25(金) 03:12:16
- 45 22/11/25(金) 12:49:13
逆に耳掃除されるカフェもちょっとほしい(無茶振り)
- 46122/11/25(金) 13:12:14
- 47122/11/25(金) 16:11:49
- 48二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 18:38:45
>>47のマンハッタンカフェは可愛い。
きっと完成品も可愛いぞ。
- 49122/11/26(土) 00:01:16
- 502622/11/26(土) 04:20:21
素晴らしい絵から耳かきでイマジネーション湧いたので。
- 512622/11/26(土) 04:20:51
動かないように、トレーナーさんの頭を膝の上に固定する。
耳の端を少しひっぱり、中が見えるように位置を調整する。
耳かきをそっと差し込み、傷つけないように、丁寧に、丁寧に、耳垢をこそいでゆく。
耳かきの動きに呼応するように揺れる、トレーナーさんの身体。
くすぐったさに耐えるように震えるその様は、幼子のようで、とても愛らしい。
二人きりのトレーナー室で、トレーナーさんの耳掃除をする私。
コチコチと、耳に届く時計の音。
外からは、たくさんのウマ娘が話す声や、鳥たちのさえずりが聞こえてくる。
そんな小さな音たちは、逆にこの部屋の静謐さを際立たせている。
不意に、「……ふぅ」と声を漏らすトレーナーさん。
力を入れ過ぎてしまったのだろうか。
「……痛かった、ですか?」
「いや、大丈夫。終わり?」
「いえ、もう少しです」
「そっか」 - 522622/11/26(土) 04:21:16
それだけ確認すると、再びトレーナーさんは私に身を委ねてきた。
私は、大きな耳垢の塊を見つけたので、それをきちんと取っておくため、作業に集中する。
コリコリ、コリコリと、慎重に耳かきを動かす。
トレーナーさんが痛がらないように、ゆっくり、焦らず、丁寧に。
周囲から、少しずつ、少しずつ、剥いでいく。
そうしてしばらく格闘していると、やがて浮き上がったその塊は、コロリ、と転がるように取れてしまった。
落とさないようにそっと掬い上げると、広げたティッシュの上に転がしてやる。
あまり見ない大きさだ。どれだけほったらかしにしていたのだろう。
そうして時間を捻出して、それらを全て自分のために使ってくれているのだとしたら、嬉しいと感じるとともに、少し呆れにも似た思いを感じるのも仕方のないことだろう。
先日、“よくないもの”が寄って来ていたため、トレーナーさんの部屋を訪れたが、その時も似たようなことを感じた。
爪の弱い自分のために、様々な角度から考えられ、整理され、まとめられた練習メニュー。
それを生み出すトレーナーさんの部屋は、「混沌に支配されている」とでも言うべき惨状だった。
結局、2人がかりで片づけるために、また別の休日を費やすこととなったのだ。 - 532622/11/26(土) 04:22:21
と、そこまで考えて思考を中断する。
そういえば、耳かきを終えたところだった。
膝枕をしたまま思索にふけり、トレーナーさんは怪訝に思っていないだろうか。
「トレーナーさん、終わりましたよ…。…トレーナーさん?」
反応がないことを不思議に思い覗き込むと、トレーナーさんはすやすやと寝息を立てていた。
起こそうと思い手を伸ばすが、ふと、思い直した。
このまま、少し休んでもらった方がいいかもしれない。
カタカタと揺れる音で返事が返ってくる。
──そうだね。その方がよさそうだね。
『お友だち』にもそう勧められたので、トレーナーさんの体勢を整えた。
膝の上に載せた、トレーナーさんの寝顔を見下ろす。
普段は頼りになる人だけど、こうしてみると随分幼く見えるから、不思議なものだと思う。
自分に向けられるあの眼差しも、自分を信じてくれると言うその声も、時折触れるその手も、どれもとても暖かいものだ。
──生きている。
そう、生きているのだ。彼も、私も。
生きているから、こうしていられるのだ。
以前は、『お友だち』と一緒に居られるなら、現世も幽世も等価だと思っていた時期もあった。
その頃のことを思うと、自分は随分変わったと思う。
──これからも、変わって、いくのかな?
そんな疑問を肯定するように、デスクに飾られた一輪の花が、風の無い室内で静かに揺れていた。 - 542622/11/26(土) 04:22:58
「──起きて。…さぁ、起きて」
私の膝枕で寝顔を見せる、愛しい存在に声をかける。
「ふぁ……終わったの?」
「はい。終わったよ。……もう、眠い?」
「…うん」
「わかった。いいよ。このまま寝ても。ちゃんと運んであげるから」
「…うん」
そういうと、娘はそのまま眠ってしまった。
「カフェ?ちょっと──」
「しーっ。…今、眠ったところだから」
「ご、ごめん。運ぼうか?」
「いいえ。私が運ぶから……あなたは、そちらの片づけを」
「了解。気を付けて」
「はい」 - 552622/11/26(土) 04:23:21
娘を寝室に運び、再びリビングに戻ると、あたたかいコーヒーが湯気を立てていた。
「お疲れ様」
「ありがとう」
一口飲んで、ほうっと一息つく。
私の──いや、二人の好みの味。
「そういえば、耳かきをしていて、昔のことを思い出してた」
「昔?」
「そう。トレーナー室で、トレーナーさんの耳掃除をした時のことを」
「そんなこともあったね。懐かしいなぁ。カフェはなかなか僕に耳掃除をさせてくれなかったね」
「当たり前でしょう。女の子には恥じらいというものがあるのだから」
「当時はそういうのわからなかったからなぁ。我ながらデリカシーが無かったよ」
「本当に。今のあなたと私ならいざ知らず」
「じゃあ、今の君は、耳掃除は必要かな?」
「……そうだね。じゃあ、お願い」
そう言うと、夫は準備をし、ポンポンと膝を叩く。
私はあなたの膝に頭を載せ、そっと目を閉じる。
コリコリ、コリコリと、伝わってくる耳の感触。
私の様子をうかがうように、私を痛がらせないように、ゆっくり、優しく、丁寧に。
ちょうどあの頃感じていたような、穏やかな時間の感覚。
その時に感じていたことを思い出す。
あの頃の私は、確かに変化を感じていた。
が、その変化は、実際はまだまだ始まりでしかなかったのだ。
私は大きく変わった。
でも、これからもまだまだ変わっていくのだろう。
それでも私は私のままで、この人と時間を重ねていく。
きっとそれが、生きるということなのだ。 - 56二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 04:25:55
ああ…(言葉に出来ない尊さ)
- 57二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 04:37:09
このレスは削除されています
- 582622/11/26(土) 04:38:02
以上です。
口調変わるのむずいね。
でも、やっぱ二人の関係が変わったら、その辺りも変わると思うんだよね。
変わるってことは進むってことでもあると思うので、自分はそれを大事にしたい派です。 - 59二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 11:36:53
- 60二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:47:09
アッ無茶振りしたら実際にそういう要素入れてくれたありがとう(尊死)
- 61122/11/26(土) 16:15:28
- 62二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:35:22
>>13見てて思ったけど、ストレス溜まったカフェがこの状態になってトレーナーさんに甘えるギャグ風イチャイチャとかも見て見たいなと思いました。
- 63二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:47:19
ザトーONE...?
- 64二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 00:42:24
今更気づいたが… これは… 素晴らしいスレだ
- 65二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 00:45:02
このレスは削除されています
- 66122/11/27(日) 01:29:47
- 67二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 01:31:21
クリスマスカフェ(20秒の姿)
- 68二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 02:13:25
集中線付きマスコットカフェクッソウケるwww
それ単体で欲しくなるわwww - 69122/11/27(日) 02:18:10
- 70二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 02:19:05
おお…いい!
- 71二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 02:21:42
おお……!
- 72二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 02:22:11
ありがとう主よ
- 73122/11/27(日) 02:44:09
色々未熟ながら、完成までもってこれたのはとても嬉しいことです。
しかしながら、たった一枚の絵を描いただけでカフェに癒して欲しいと思うこの心は満足したのだろうか?いや、してない。
ですので、こっからはカフェにして欲しいことを色々描こうと思います。下書き+カラーラフであれば、時間もそれほどかからないでしょうし。
描いて欲しいシチュなどあれば気軽に書き込んで下さい。私のできる範囲で絵を描きます。(SSも出力してくれると嬉しい) - 74二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 02:45:53
- 75二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 03:41:50
ちょっと悪霊しばいて来る必要があるので今はできないけど、悪霊しばき終わったらSS書きます
- 762622/11/27(日) 04:07:20
イッチGJ!
カフェはあれよね。
クリスマスイベントで「静かに2人で過ごす」のを「いつもと同じ」って言っちゃうのが想像を掻き立てられていいよね。
普段どんな会話してるのかな?とか、特に会話もなくトレーナーさんが資料を読んでてその隣でカフェはコーヒーを楽しんでるとか、ふとした瞬間に目が合ってお互いに笑い合ったりしてるとか、いろいろ想像の余地があって素敵だよね。
部屋の中でちょっと躓いた瞬間カフェを支えようとしたトレーナーさんと距離が近づいて見つめ合ったまま動けなくてその瞬間は呼吸さえ忘れて心臓はドキドキしてどうしようどうしようってなってるところにアグネスタキオンが「カフェ!いるかい?」って乱入して目撃されて「……これはお取込み中失礼した。機会を改めるとしよう」って去ってくもんだからもう真っ赤になっちゃって部屋を沈黙が満たすのはいつものことなのにいつもと違ってなんだか落ち着かなくてソワソワしてていつもと同じ定位置に座ってるはずなのに気持ち距離取ってぎこちなくなっちゃう甘酸っぱい二人とか想像すると浮き立つような気持ちになりませぬか。>>1上。
ちなみに、その後タキオンに「そういえば君のトレーナー君との逢瀬はどうだったのかな?ウマ娘とトレーナーとの絆が走りにどのような影響を及ぼすのかは研究の余地があるのでね。ぜひ感想を聞きたいのだが」とか言われてムカついたから無言でコーヒー(いつもより苦め)を持ってタキオンに迫って「私が悪かった!だから勘弁してくれないか!」って意趣返しする圧の強いところを見せてくれると私は信じている。
- 77二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 13:47:23
耳かきカフェのASMRとかあったら癒されるしかない
- 78二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 22:24:11
このかんたんカフェはこのスレの人だったのか
- 79122/11/27(日) 23:25:11
- 80122/11/28(月) 01:52:50
- 81二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 04:53:18
「はふはふ」ってなってるみたいで可愛い
- 82二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 11:23:55
つまり何か?最初はテーブル挟んで向かい側に座ってたカフェが隣に座るようになったと思ったらいつからか正面から目を合わせるのを好むようになりまた向かい側に行くようになって
ちょっと寂しいなーとか思ってるカフェトレにそれを言わせようと誘導しておきながら「よく聞こえませんでした」といつかのバレンタインの仕返しをしたら
たまに腕に触れてくる尻尾のさらさらの手触りが忘れられないと打ち明けられてしばらく何も言えなくなって
「どんな手触りか自分ではわからないので思い出させてほしい」と愛用のブラシと櫛をカフェトレに預けて
後々タキオンが「そもそも彼女の尻尾は何もしなくても常にしっとりさらさらだと聞いてるのだけど、何の為に手入れをさせているんだろうねぇ」と煽ったらマジレス惚気喰らってやれやれするみたいな話を誰かが書いてくれるってことですか
- 83二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 16:44:36
鍋食べたくなってきた。
- 84122/11/28(月) 23:54:15
- 85二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 02:24:35
- 8685=2622/11/29(火) 02:27:20
いつものトレーナー室で、トレーナーさんと同じ時を過ごす。
隣同士、同じソファ―に腰かけて。
資料を見て練習メニューを考えるトレーナーさんの隣で、私は流れる時を眺めている。
ローテーブルには二人分のマグカップが並んでいる。
私が淹れたコーヒーを飲みながら、勉強したり、本を読んだりと、思い思いに過ごすのが今の私たちの日常だった。
よく見ると、トレーナーさんのカップがほとんど空になっていた。
「……おかわりは、いかがですか?」
「ん?あぁ、お願いするよ。カフェのコーヒーは美味しいからね」
「……ありがとうございます。少し、待っててください」
いつものやり取り。
それでも、素直に私のコーヒーを褒めてくれるトレーナーさんの言葉は、私の心を浮き立たせる。
お気に入りのコーヒーを一緒に楽しめる。
それがこんなにも私の心を満たしてくれるだなんて、以前の私なら考えられなかっただろう。
そんなことを考えながら、おかわりのコーヒーをカップに注ぐと、再びコーヒーの香りが部屋に満ちる。
席に戻り、トレーナーさんが取りやすい位置にカップを置く。
「……ここに置いておきますね」
「ん、ありがとう」
生返事が返ってくる。どうやら集中しているらしい。
私も再びトレーナーさんの隣に腰を下ろす。
──そういえば、こうして隣に座るようになったのはいつからだったか……
最初は正面に座っていた。二人ならそうするのが自然だろう。
が、いつからか、こうして並んで座るようになった。
──あれは確か、クリスマスディナーに行って、URAを乗り越えて、その後くらいだったか…。
そんなことを考えていたからか、次の瞬間起きた出来事に私の反応が一拍遅れた。
なんのことはない。トレーナーさんが私のカップを手に取っただけだ。
が、遅れた反応のままに思考も数拍遅れ、そのままカップを眺めていると、トレーナーさんはそのままコーヒーを口にしてしまった。 - 8785=2622/11/29(火) 02:28:39
「……あ」
思わず声が出る。
「ん?…どうした?」
その声に反応したトレーナーさんは、左手のコーヒーをテーブルに戻すと、顔を上げてこちらを向く。
カップを取り違えたことに気付いていないのだろうか。
数瞬の間を置き、ちょっとした悪戯を思いついた私は、自身のカップを手に取りつつ、不思議そうな顔をするトレーナーさんに一つ質問をする。
「……トレーナーさん。……今どちらの手で、カップを取りましたか?」
「え?それは──ってごめん!間違ってカフェのコーヒーを飲んじゃった!」
そうトレーナーさんのカップは、利き手である右手側に置いてある。そこがいつもの定位置だ。
が、先程のトレーナーさんは、資料を右手に持ち集中していたため左手を伸ばしてしまった、というわけだ。
「……中身は同じものですし、気にしなくてかまいませんよ」
「あ、えっと、…うん」
そう言ってコーヒーに口を付けると、トレーナーさんも気を取り直したように自分のコーヒーに手を伸ばす。
「……それとも、間接キスをしてしまったことを、気にされていますか?」
「ぶっ!…ごほっ、ごほっ、……ちょっ、カフェ!?」
慌ててコーヒーを吹き出さないように堪えるトレーナーさん。
そんな様子がおかしくて、くすくすと笑いがこぼれる。
「……大丈夫、ですか?」
「大丈夫!」
すぐに落ち着いて誤魔化すように咳払いをするが、トレーナーさんの雰囲気はそわそわしたままだ。
そうしていると、トレーナーさんが気まずそうに口を開く。
「え、あー……その、やっぱりごめん…」
そう言ったトレーナーさんを横目で見やると、顔を赤くして視線を逸らしている。
「……トレーナーさんは、いけない人ですね」
「…うぅ…勘弁してくれよ…」
「……言いましたよね?……気にしなくていいです、と」
そう言って、トレーナーさんに身を預ける。
私がからかっていたのが伝わったのか、トレーナーさんは肩に置かれた私の頭を撫でるのだった。 - 8885=2622/11/29(火) 02:30:07
再び沈黙が部屋を満たす。
さっきまでの静謐とは異なる、少しソワソワするような落ち着かない沈黙。
この感覚には覚えがある。……そう、クリスマスのディナーに行った、あの時みたいな感覚。
落ち着かないけど離れがたい、そんな雰囲気。
それを楽しめるようになったのは、いったいいつからだったのだろうか。
きっと考えても答えは出ない。
わかっているのはこの人だからだということ。
私の世界を受け入れてくれて、私の世界を共有してくれた、たった一人のトレーナーさん。
これからも二人の世界を共有していけたら、と思う。 - 8985=2622/11/29(火) 02:35:13
あと追加の後日談。
なんか自分の中ですらカフェが解釈違いかも?という気がしてるが、「スレの恥は書き捨てだ!」と思うので投げてく。 - 9085=2622/11/29(火) 02:35:23
いつものようにコーヒーを淹れると、トレーナーさんはソファーを半分開けてくれる。
しかし、今日は私は、以前そうしていたように、ソファーの半分ではなく向かい側へと腰を下ろした。
「?今日はそっちなのか?」
トレーナーさんが疑問を口にする。
それはそうだ。ここのところ、私はトレーナーさんと並んでソファーに座っていたのだから。
「はい。……トレーナーさんは、『いけない人』なので」
「ちょっ…それは謝ったじゃないか」
「……えぇ。気にしていない、というと嘘になりますが、……嫌ではなかったので、お気になさらず」
「え、…あ?……うん」
「……と、いうより、この方が普通なのではないでしょうか」
「…それはそうだね」
数瞬の沈黙。
そこで私は、意を決して聞きたかったことを聞く。
「……トレーナーさんは、私が隣に座っていた方が、いいですか?」
「え?…それは…。いや、カフェが座りたい場所に座ってもらえればいいと…」
「それは、私がどうしたいかの話です。……トレーナーさんは、どうなのですか?」
はぐらかすような言葉を遮り、再度質問を投げかける。
「それは…」
「……私が隣に座っていた方がいいですか?それともこうして向かい合わせの方がいいですか?」
「……」
再びの沈黙。トレーナーさんは悩んでいる。
立場を考えるなら、どう答えても問題になりそうな質問であることはわかっている。
それでも、聞きたくなってしまったのだから仕方がない。
──少なくとも、悪感情を持たれていることはないはず……
極力表情や態度に緊張を表さないようにしながら、心を落ち着けて回答を待つ。
やがてトレーナーさんは口を開いた。
「ノーコメント」 - 9185=2622/11/29(火) 02:35:42
「……それは、どういうことでしょうか」
「察してくれ…、というのは?」
「……できれば、もう少し」
「…はぁ。……担当ウマ娘と話をするのであれば、この状態の方が普通だし、望ましい」
「……そうですね」
「…だから、ここでその質問の回答をするのは『望ましくない』。これ以上は、何を言われても無理だ」
それが、『トレーナーさん』からの精一杯の回答。
「……わかりました」
そういうと、トレーナーさんは安堵したように息をつく。
「……トレーナーさんは、ズルい人ですね」
「俺が特別そうというわけじゃない。大人はみんなズルいものさ」
「……そうですね。私はまだ、子供ですから。……大人がズルくても、素直に聞いておきます」
「そうしてくれ」
そうして、目を合わせて微笑み合っていると……
──ガタガタガタ!!!!
と、盛大な音が鳴る。どうやら『お友だち』のようだ。
一瞬、目を放して再びトレーナーさんに目を向けると、少し難しい顔をしていた。
「……どうか、されましたか?」
「いや、大したことじゃないんだが……」
「……?」
「『ヘ タ レ』って、言われた気がした」 - 9285=2622/11/29(火) 02:38:34
- 93二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:44:12
- 94122/11/29(火) 18:51:03
- 95二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:58:31
カフェは幸せになると思います。
- 96二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 08:58:20
きっとトレーナーさんの隣で喫茶店をやっていることでしょう
- 97二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 17:58:34
ミッ
- 98122/12/01(木) 01:21:27
- 99122/12/01(木) 02:34:51
- 100二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 03:18:14
シューター?トリオン多そう。
- 101二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 12:58:33
保守がてらぽいぽい
「…~~~寒っ…」
「……寒くなって、きましたね」
「そうだね。カフェは大丈夫?手袋もしてないけど」
「はい。……ウマ娘は、普通の人より体温が高いそうです」
「そうか。少し羨ましいな」
「……トレーナーさんも、手袋をしていないのですね」
「そうだね。今日は忘れちゃって」
「……」
「カフェ?」
「……いえ、なんでもありません」
ゴォ、と風が吹き抜けると、なぜかバランスを失い、軽くカフェにぶつかってしまった。瞬間、
「ボ ク ネ ン ジ ン」
というような声にならない声が聞こえた気がした。 - 102122/12/01(木) 15:44:25
- 103二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 21:31:07
ちなみにカフェの胸の鼓動は早くなったりするの?
- 104二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:14:32
人間の頭ひとつ分ならトリオン7前後かな?
- 105122/12/02(金) 01:04:49
- 106二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 01:32:26
ウ゛ッ可愛い(尊死)
- 107二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 02:07:10
あーいいですねいいですねーキテますよこれは。姿勢にトレーナーさんとの絆が感じられて100点。顔赤らめてる乙女らしさ全開で100点。ハート飛ばして100点。合計1万点ですよこれは。
- 108二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 02:09:10
アッ
- 109二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 03:24:59
あー好き
- 1108522/12/02(金) 04:54:15
尻尾ハグで小話を一つ。
『尻尾ハグ』なるものがあるらしい。
最近ドラマのクライマックスで取り上げられたとかで、クラスの何人かが色めきだって話していた。
「最後に尻尾を絡ませ合ってさ……はぁーッ…これで二人は恋人同士になったんだよ!」
「いや、特別は特別なのはその通りかもしれないけれど、あれを簡単に恋人同士のものとするのは短絡的だ。あの二人にある感情は俗なものとかけ離れたもっと純粋なもので、あの行動で表現されている親愛とも友愛とも情愛とも取れない複雑な二人の関係は──「うっさい。萌えたら正義なんだよ」──それはそう」
「うわぁ。いきなり冷静にならないでよ!」
どうやら恋人同士とも言える程親しい間柄のウマ娘同士で行うようだ。
が、関係ないとその話から意識を離した。
なぜなら自分は影だから。気配がなく、誰も気づかない。そんな自分と特別な関係になるウマ娘なんて、いない。
『…やぁ、今日こそは実験に付き合っておくれよ』
ふいに、聞いていてあまり愉快ではない声が脳内に響いた。
そのウマ娘を思い浮かべると、
──特別、といえば特別ですが……。あの人は、そういう対象では、ないです…。
誰にともなく心の中で独り言ちる。
ほっとくと脳内でもやかましくなりそうなそのウマ娘の想像をかき消すように一度頭を振ると、彼女は日常を思考に戻していった。 - 1118522/12/02(金) 04:54:42
放課後の練習後、トレーナー室にて。
トレーナーに愛用のブラシと櫛を差し出し、所定の位置の椅子に座った。
トレーナーは愛用の道具を手に取り、私の尻尾の手入れをしてもらうのだ。
その手つきは、まるで宝物でも触るかのように丁寧なもので、くすぐったく感じる時もあるが、とても気持ちいい。
『カフェの黒髪も尻尾も、とっても綺麗だ』
きっかけは、トレーナーさんのそんな言葉だった。
どうやら癖っ毛の家系らしいトレーナーさんは、家族や友達の「黒髪ストレートは美しい」という言葉に影響され、自分もそう思うようになったらしい。そんな雑談の流れだったか。自分があまり熱心に手入れをしていないことを知ったトレーナーは、『もったいない』と言ったのだ。
確かに、今は綺麗かもしれないが、放っておけば時間とともにバサバサになっていくだろう。
かといって、これまで気にしていなかったためか、どうしていいかわからない。
同じウマ娘に聞こうにも、同室のユキノさんには、詳しくないと謝られた。
あとはタキオンさんくらいだが、彼女に聞いたところで変な薬品を差し出されるだけなので問題外。
そうして早々に断念した私は、トレーナーさんに手入れを頼むことにしたのだ。
尻尾の手入れをしながら、練習の反省点を話し合ったり、今後の予定を話し合ったり、時には雑談をしたりもする。
そんな穏やかな時間は、私にとって、コーヒー以外の新しい憩いの時間だった。 - 1128522/12/02(金) 04:55:44
ところが、今日はそんな部屋に闖入者が現れた。
「カフェとそのトレーナー君!いるかい?」
ノックもそこそこに扉をあけ、件の問題外のウマ娘がそこにいた。
「おやぁ?どうやらお楽しみ中だったかな?これは失敬失敬」
尻尾の手入れを目撃されてしまったのはいただけないが、まぁこの人だ、変に言いふらすことはしないだろう。
何より、自身の担当トレーナーにあれこれ世話されているウマ娘に、尻尾の手入れくらいで咎められる謂れはない。
「あ、こ、これは……」と背後で慌てるトレーナーさんを制するように口を開いた。
「タキオンさん、うるさいですよ。……何か御用でしょうか」
尻尾に触れる手を通して、トレーナーさんが驚いた様子が伝わってくる。が、私はそれを気にせず続ける。
このウマ娘はこちらの都合を考慮しない。ならば、さっさと要件を聞いて追い払ってしまうのが吉だ。
「あぁ、すまないね。二人は『尻尾ハグ』というものを知っているかな?」
「尻尾ハグ?何だい、それは?」
「……昼間、クラスで噂している生徒がいましたね」
「そうかい、そうかい。なに、簡単に説明すると、二人のウマ娘が尻尾を絡めあう行為のことだ。特別な関係にある二人が、自身らの絆を確かめあうための行為、とでも言おうか」
「……そこまではクラスで聞きました。で、その『尻尾ハグ』がどうかしたのですか?」
「二人は私がウマ娘の走力に影響を及ぼす『人間関係』についても研究していることは知っているだろう?ウマ娘とトレーナー、ウマ娘とファン、そして……ウマ娘同士!」
「……つまり、『尻尾ハグ』による走力への影響を見たい、と?」 - 1138522/12/02(金) 04:55:59
「ご明察だ!『尻尾ハグ』により走力が上がるとするなら、『お友だち』という目標がある君にも有益なのではないかと思ってね。そこで、だ!『尻尾ハグ』による走力への影響のデータを取るのに、君に協力してもらおうと──」
要件はわかった。ので、その辺りで遮るように、手で制した。
「……私と特別親しいと言えるのは、他でもないタキオンさん、あなたくらいです」
「……えぇ?」とたん、豆鉄砲を食らったような顔になった。少し間をおいて、「……あぁ、そうか、そうだね。なるほど、そうか。」と、納得したような表情に変わる。すでに最初に現れた時の勢いは消えていた。
「ちなみにカフェ、君は──」
「……あなたと『尻尾ハグ』をする気はありません。というか、したくありません」
「……と、なるわけか。ふむ、これは確かに、勇み足だったようだ」
「……らしくありませんね」
「いやぁ、これは本当に失礼した。新しい研究テーマができたかと思ったらつい、ね。では、私は失礼するとしよう」
そういうと、来た時とは天と地ほど差があるテンションで、タキオンさんは部屋を出て行った。 - 1148522/12/02(金) 04:56:54
「…いつもながら、嵐みたいだったね」
タキオンさんが去ったトレーナー室で、尻尾の手入れをやり直してもらう。
「……そうですね。この部屋の空気を荒らしていくのはいつものことです」
「ははは。カフェは相変わらずタキオンには厳しいね」
「……あの人はこれくらい言わないと聞いてくれないので」
「それもそうだ。……しかし、『尻尾ハグ』か。生徒の間で流行ってるのかい?」
「……いえ、そういうわけではないと思います。テレビのドラマでやっていたとか」
「それでか。確かに、ドラマで取り上げられたものは話題になるよね」
「……はい。……親愛とも友愛とも情愛とも取れる、仲のいい二人がやる行為だとかで、クラスメイトが話していました」
すると、トレーナーさんが「なるほど、百合か」と、不思議な言葉を口にした。
「……百合?……花ですか?」
『尻尾ハグ』と百合の花に何か関係があるのだろうか。
「あ、いや、…えっと、サブカル界隈で使われる仲のいい女の子たちのことを差すスラングだよ。親愛とも友愛とも情愛ともつかない曖昧?な関係をそうやって言ってるのさ」
「……そういう言葉があるのですね」
「ファンには色んな人がいるからね。いろいろ調べてたら偶然知れただけさ。ただ、一般的な用語じゃないから、使うことは無いと思うよ」
「……なるほど、そうでしたか」──あまり使い道はなさそうだ。
そう納得したところで話が途切れ、トレーナー室に沈黙が下りる。 - 1158522/12/02(金) 04:59:23
トレーナーさんの手は、まだ私の尻尾の手入れのために動き続けていた。
その間手持無沙汰の私は、先ほど話題になった『尻尾ハグ』についてぼんやりと考える。
……特別な二人の間で行われる好意。
私にとっての特別。好意的で、信頼できて、尻尾に触れられるほどの──
「さて、終わったよ」
そこまで考えたところでトレーナーさんから手入れの終わりを告げられた。
私は、トレーナーさんをじっと見つめる。
「カフェ?どうしたの?」
不思議そうなトレーナーさんに、それを告げる。
「……もし、トレーナーさんがウマ娘だったら、トレーナーさんとなら『尻尾ハグ』をしてみたかったかもしれません」
「え?……そうなの?」
「……はい。私はトレーナーさんを信頼していますし……、トレーナーさんには、尻尾の手入れもしてもらっています。……お返しに私がトレーナーさんの尻尾の手入れをするとか、『尻尾ハグ』しながらコーヒーを飲んだりするとか、……心落ち着く時間になりそうだと思いました」
「それは……確かに、素敵な時間になりそうだ」
笑顔で答えた後、少し思案顔になったトレーナーさんに釘をさすことにする。
「……尻尾を生やそうとしてタキオンさんに頼ったりしないでくださいね?」
「え!?……いや、……しないよ?」
やはり、図星だったようだ。
「……そこはちゃんと言い切ってください。……トレーナーさんとの間には、既に信頼関係があります。『尻尾ハグ』できるかどうかで、それが変わるわけではありません」
「それもそうか。…わかった、大丈夫。そんなことしないよ」
「……では、そろそろ帰宅しましょう。トレーナーさんはお仕事は終わりですか?」
「あぁ。既にキリはついてる。だから、今日は送ってくよ」
「……ありがとうございます」
そうして他愛もない会話をしながら、私たちは帰途についたのだった。 - 1168522/12/02(金) 05:01:26
後日談。
「はぁ、何か新しいネタは無いものかねぇ」
いつもの部屋でタキオンさんが独り言ちていた。
それを見ていたカフェは疑問に思う。先日は『尻尾ハグ』の研究をするのだとあれだけ息巻いていたというのに。
グチグチとうるさいのも耳障りなので、聞いてみることにした。
「……『尻尾ハグ』はもういいのですか?」
「あれかい?少し問題があってね。しばらくは静観することにしたよ」
「……問題、ですか?」
「そうだよ。『尻尾ハグ』は、文字通り『尻尾が交わる』行為だ。『尻尾』が『交わる』と書いて何を意味するか、君もわかるだろう?」
「……なるほど」
年ごろのウマ娘たちには、確かに過ぎた刺激だ。
「大っぴらに騒いでまた反省文など書かされるのはごめんなのでね。まぁ、テレビ等で扱われたのだから、徐々に流行するかもしれない。その時に研究すればいいのさ」
納得して頷きで返答し、会話を終える。
そうこうしている間に、新しいブレンドのコーヒーが出来上がった。
香りを確かめ、味を見る。
──いい出来だ。今度、トレーナーさんにも飲んでもらおう。
満足いく出来になったブレンドを楽しみながら、トレーナー室での時間に思いをはせる。
トレーナー室で、二人静かに、コーヒーや会話を楽しみ、尻尾の手入れも──
そこまで考えたところで、先日交わした会話が脳内にリフレインした。
『トレーナーさんとなら、『尻尾ハグ』をしてみたかったかもしれません』
そう、私は確かに言った。
『トレーナーさんと』なら『尻尾ハグ』を『してみたい』、と。
──ああああああああああああああああ!
声にならない声を上げる。
急激に顔が熱くなり、コーヒーの香りも味もわからなくなる。
私は手元にあるコーヒーを無理矢理飲み干し、バタバタと部屋を後にした。 - 1178522/12/02(金) 05:01:55
「???」
部屋に残ったタキオンは、不思議そうにカフェを見送るのだった。
END - 1188522/12/02(金) 05:07:22
- 119二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 06:46:29
やばいてえてえ
- 120二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 17:43:59
尻尾の手入れを異性にさせている時点で相当に親密なのでは????
- 121122/12/02(金) 17:48:48
- 122二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 22:39:55
濃密だなここは
- 123二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 22:54:26
そのツッコミを聞きたかった…!
っていうのはともかく。
カフェって距離感がバグってると思うのですよ。
クリスマスに二人きりで過ごしてて、「いつもと同じですね」って言っちゃうあたりとか。
その足で一緒にディナーに行って楽しそうにしてるあたりとか。
信頼の延長で、普通に恋人同士がやるようなシチュエーションをやっちゃう。
でも、じゃあ本当に気にしていないかというとそんなことはない。
実際に周りから「デートかな?可愛い~」って言われると照れちゃうあたり、単に無自覚なだけだと思うのです。
手をつなぐのも寄り添うのも、尻尾の手入れやってもらっちゃうのも、最初は平然としてしまう。ところがそれを「ラブラブじゃん!恋人みたい!」って言われちゃうと一気に恥ずかしくなったりする。
なんかそういう人間関係のアンバランスさを持ってるのが、私の中のカフェのイメージですね。
周りにいるウマ娘も、タキオンとユキノくらいなので、ツッコミ性能はお察しなイメージです。
誰かカフェに「トレーナーさんと付き合ってるの?」or「トレーナーさんのこと好きなの?」って聞いてほしい。
やっぱ聞いてほしくない。心が二つある~。
- 124二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 01:47:07
- 125122/12/03(土) 02:01:04
- 1268522/12/03(土) 02:40:23
- 127二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 02:44:03
私めは概念投下ぐらいしかできませぬが尻尾を見せつけてくるカフェには非常に需要がございます
- 128二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 05:35:04
はふはふ、と。熱さを堪えながらも美味しそうに鍋をつつくカフェ。
冬の寒さも厳しくなって来たことだし、と僕はカフェと共に鍋パをすることにした。
「…どうかな。味、変じゃない?」
「はい…問題ありません、美味しいですよトレーナーさん」
ドキドキしていた僕の心は、その言葉にホッとする。少しばかりか鼓動もゆっくりとなったような気がした。
「なら良かった。僕料理なんてほとんどしないから、上手くできるかどうか不安で不安で」
「ふふっ…大丈夫ですよ、お上手です。それに…お鍋は失敗しにくいので…初心者にも向いているんです」
「そうなんだ、じゃあ心配しなくても良かったんだ〜」
僕の心配はどうやら要らなかったようだ。安心したような、残念なような…なんとも言えない気持ちだ。
「ですが……ここまで美味しいお鍋は初めてかもしれません」
「なんでだい?」
「トレーナーさんと……一緒だからですよ」
「……あ、ありがとう」
いきなり何を言い出すのだろうか僕の愛バは。照れるじゃないか……!
「照れないでください…私だって恥ずかしいんです…」
「ご、ごめん…」
どうやら、カフェも照れていたみたいだ。……照れるなら言わなければいいのに。なんて心の中で悪態をついてみる。
「ほら…トレーナーさん。お豆腐…如何です?」
「ありがとう、貰うよ」
多少の気まずさをスパイスに、僕らは鍋を食べ進めた。 - 129二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 05:36:30
ーーーーーーーーー
なんて甘い空間なんだろうねぇ。寮だと火気厳禁だからって、私も居る研究室でやらないでほしいねぇ。トレーナーくぅんお腹すいたよ〜
ちゃんちゃん♪ - 130二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 05:37:52
>>74でお鍋カフェをリクエストしたままだったので、SS書いてみました。SS書き慣れてないからエミュとか大丈夫かな…?
- 1318522/12/03(土) 09:35:39
Good!
恥ずかしいとか言いつつ意図して言ってる辺り、これはイチャがラブってますよ!
でも俺の中の『お友だち』は「悪態ついてる暇があるならもっとアピールしやがれ」って言ってます。
これはもう「コ ン ヤ ハ カ エ サ ナ イ」からの「ユ ウ ベ ハ オ タ ノ シ ミ デ シ タ ネ」コースですね!
- 132122/12/03(土) 10:53:16
- 133二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 20:27:15
穴空いちゃってません???
- 134122/12/04(日) 00:36:26
- 135二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 01:13:15
ウマ娘ちゃんが尻尾を上げて見せるのってすごくえっちなことだと思うのですよ。
ほら、牝馬って、ね? - 1368522/12/04(日) 03:50:25
とりあえず片方。
~~前置き~~
先日のドラマの影響か、トレセン学園では『尻尾ハグ』が流行していた。
もともと手をつないだりハグをしたりと、スキンシップが激しい子たちが真似しだしたところから広がり、仲が良い友人同士、憧れの先輩にお願いする後輩、時には人気ウマ娘と尻尾ハグを希望し行列を作るウマ娘たち等々、さまざまな尻尾ハグの光景が新たな日常風景となっていった。
ある日そこに、余りにも大きな一石が投じられた。
とあるウマ娘が、トレーニング中に、担当トレーナーにその尻尾を巻き付けたのだ。
「そのウマ娘が誰か」という話は複数のパターンがあり、誰が発祥だったのかはわからない。もしくは全員が同時期に行い、等しく発祥となったのかもしれない。
が、重要なのはそこではない。
重要なのは、「担当トレーナーに対して尻尾ハグを行う」という行為が多くのウマ娘に認知され、それは「担当トレーナーに対する『独占欲』」の表現として、瞬く間にウマ娘に広まったことだった。 - 1378522/12/04(日) 03:51:45
~~グラウンド~~
夜、マンハッタンカフェはグラウンドを走っている。
他にいるのはカフェの担当トレーナーのみで、カフェの走りを見守っている。
カフェの走る音以外何も聞こえない、二人きりの静かな時間。
でも二人にとっては、二人きり“ではない”いつもの時間。
最後の直線、カフェは前方を走る『お友だち』に向かって、スパートをかける。
今日こそは、『お友だち』に追いつくために。『お友だち』を追い抜くために。
しかし、自分の限界まで速度を上げても『お友だち』には届かない。
担当トレーナーの指導を受けて、トゥインクル・シリーズを走り抜き、自身が成長した実感は確かにある。
が、それでも今なお、『お友だち』に追いつけてはいない。
──……あと、少し……っ!
彼女に追いつくために、一層の力を足に込め、ゴール板を駆け抜ける。
その様は黒い影が風と化したかのようだった。
が、しかし、結局『お友だち』に追いつくことはできなかった。
走り切った後、カフェは少しずつ速度を落としながらトレーナーの元に戻る。
「どうだった?」
「……」黙ったまま、フルフルと首を横に振る。「……以前より、近づけた気はします。……ですが、こちらが距離を詰めても、最後に離されてしまいます」
「そうか。…まずは今日の走りを振り返ろうか」
トレーナーはそう言うと、手元のメモに記したラップタイムと気になったところらしき走り書きをカフェに見せる。
カフェはトレーナーに近づくと、手元を覗き込むようにそれを見る。
必然、二人は身を寄せ合うようになる。
そんな時、ふと、一陣の風が吹き抜けた。 - 1388522/12/04(日) 03:52:04
「……~~~っ!」
トレーナーは言葉にならない声を上げ、身体を少し震わせる。
その様子に気付いたカフェは、トレーナーに密着するようにして、さらには自身の尻尾をトレーナーの足に巻き付けたのだった。
「!?!??…か、かふぇ…!?」
トレーナーの声が上ずる。
「……こうしたら、温かいかと」
「え、と…でも…」トレーナーは落ち着かないように周囲を見回す。「その…近くない…?」
「……すみません。お嫌でしたか?」
「嫌じゃないよ!全然、うん、嫌じゃない」
トレーナーは慌てて否定する。
「……でしたら、トレーナーさんが、寒くならないように、このままで。……ウマ娘は体温が高い、らしいので」と『離す気はない』と言外にアピールする。「……それに、今の時間なら、私たちを見ている人は誰もいません」
そう言うと、トレーナーは観念した様だった。一つ息を吐くと、
「…わかった。…じゃあこれを見て」
と先ほどの走りについて振り返るのだった。 - 1398522/12/04(日) 03:53:09
~~マンハッタンカフェ~~
「──と、まぁこんなとこかな。…それじゃ、今日はこの辺で上がろうか」
「……わかりました」
そう言って、トレーナーさんと距離を取る。ほんの少し、残念な気持ちもあるが、このままくっついているわけにもいかないので仕方ない。
尻尾を解き、トレーナーさんの足を解放する。
すると「…あ」と、トレーナーさんが声を漏らした。
「……どうかしましたか?」
「いや、えっと…少し、名残惜しく感じちゃって」
一瞬、固まってしまう。
トレーナーさんからそんなことを言われると思っていなかったので、驚いた。
──でも、それなら……
「……もう少し、続けましょうか?」
ほんの少しの期待を込めて、そう言ってみた。
我ながらずいぶん回りくどい言い方をしていると思う。
本当は、もっとこの時間が続けばいい、と思っているのは自分だというのに。
しかし、トレーナーさんは首を横に振る。
「いや、もう遅いし早く上がろう。カフェの身体が冷えちゃうよ」
私を気遣う言葉──こうなると、変に食い下がるのはトレーナーさんに申し訳ない。
それでも、トレーナーさんが、私と同じ期待をしてくれているのなら、少しくらいはいいかもしれない。
そう思い、グラウンドを後にしながら、横を歩くトレーナーさんに声をかける。 - 1408522/12/04(日) 03:55:04
「……トレーナーさん」
「ん?」
「……してほしければ、いつでも言ってください」
「え…」
「……今、学園では尻尾ハグが流行っていますから。……担当トレーナーとであれば、そこまで不自然ではないと思います」
と、気持ちばかりの言い訳を添えておく。
「でもそれは、ウマ娘同士の…」
「……私は尻尾ハグをするほど仲のいい子はいませんから。……それに、トレーナーさんとであれば、嫌ではありません」
密かな嘘で、本当の想いに蓋をする。
まだしばらくは、私はトレセン学園所属のウマ娘で、この人は私のトレーナーだから。
「そんなものなのか。…いやでも、距離が近いだけでもいろいろ言われたりするからね」
「……それは、確かにそうですね」
「だから、ありがたい申し出ではあるけれど、遠慮しておくよ」
「……わかりました。人目のいない時だけにしますね」
「そういうことじゃないよ?!」
慌てるトレーナーさんの様子が、なんだか可笑しくて、とても楽しくて。
私はクスクスと笑い、それを見たトレーナーさんも困ったように笑うのだった。 - 1418522/12/04(日) 03:56:22
夜、寮の自分の部屋で。
隣では、ユキノさんが穏やかな寝息を立てている。
少し緩んだ愛らしい顔。きっと素敵な夢を見ているに違いない。
そんな横で、自分は、トレーナーさんとのやりとりを反芻している。
トレーナーさんは気づいていない、私の『尻尾ハグ』の、本当の意味。
──『尻尾』が『交わる』と書いて何を意味するか、君もわかるだろう?
先日、タキオンさんが言っていた言葉がよみがえる。
もちろん、わかっている。
大人に近づいたこの身が持ち始めた、かすかな熱(おもい)。
トレーナーさんに身を預けたり、その手に触れたり、そうして逃がしている、確かな熱。
その熱の正体は、もはや誤魔化しようがないほどはっきりと輪郭を持っていて。
胸の奥で、この身を焦がすようにじりじりと、開け放たれるその時を待ち続けている。
遠からず、競争バとしての私のピークも過ぎていくだろう。そしてその時は、遠くない。
もしそうなれば、『お友だち』に追いつくどころか、ともに走ることすら叶わなくなる。
それでも、隣を歩いてくれる人がいるならば。……二人で並んで往けるのならば。
そんな未来もいいのではないかと、今の私には思えるのだった。 - 1428522/12/04(日) 04:05:30
- 143122/12/04(日) 11:10:20
こういうのさ!こういうのが良いのよ!!互いに思い合いながらもダメだと分かっているからこその絶妙な距離感がもどかしくて甘酸っぱいアレでとても素晴らしい!
- 144二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 12:15:12
- 145二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 19:47:08
保守派筆頭
- 1468522/12/04(日) 22:45:05
ずっと違和感感じてたから何かと思ったら三点リーダの位置だった!
お詫びに>>134系ネタで。
ただ、書いてたらやたらエロくなったので諸々変更した。違和感あったら失礼。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
練習後のトレーナー室。
大きなレースが一段落した今、トレーニングは軽めの調整メニューにしている。
そのため、いつもより早めにトレーニングを終えた。
──今から帰っても手持無沙汰になるかな……
そう思った私は、いつもの部屋でお気に入りのコーヒーを淹れると、トレーナーさんへの差し入れと共に再度トレーナー室を訪れていた。
最初、トレーナーさんは驚きこそしたものの、差し入れを見せると、笑顔で私を招き入れてくれた。
二人きりでいても、私たちは積極的に会話をするわけではない。
トレーニングで気になったことやレースについての話を終えると、沈黙したまま何時間も過ごすこともしばしば。
しかし、沈黙したままでも、二人でいる部屋の空気は温かく、穏やかに流れる時間はとても心地よいものだった。
ただ、その日はいつもと違って、トレーナーさんが尻尾のお手入れについて話題に出してきた。
- 1478522/12/04(日) 22:45:39
「カフェは、尻尾の手入れはどうしているんだい?」
「そう……ですね。……あまり、気にしたことはありません」
「そうなの?そんなに綺麗なのに」
「…っ。……ありがとう、ございます」
一瞬言葉に詰まるが、辛うじてお礼を言う。
トレーナーさんは、時々こういうことを言うから、そういう時は少し困ってしまう。心臓が跳ねて……鼓動が早くなってしまうからだ。
「トリートメント……くらいでしょうか。」
気を取り直して会話に戻る。と言っても、自分は特別なことはしていない。
トリートメントをするのも、一応最低限やっておいた方がいいだろう、というもので、自分から積極的に何かやろうと思ったことはなかった。
「これまであまり気にしたことはなかったのですが……何か問題がありましたか?」
「ん?いや、問題ってわけじゃないけど…。ほらこれ」
そう言うと、トレーナーさんは先ほどまで読んでいた資料を私に見せてきた。
恐らく、レースに関する記事か研究だろうかと想像しながら資料を覗き込むと……『尻尾の手入れで身体のバランスを向上』──英語の見出しから読み取れるのはそんな内容だった。
「かいつまんで言うと、尻尾のケアをすることで全身のバランス感覚を整えて、その結果走りもよくなる、って感じかな」
「……なるほど」
確かに、これまで尻尾は気にしたことがなかった。
でも、これでタイムが縮むというのであれば、少しくらいやってみてもいいのかもしれない。
「でも、ケアと言ってもどのようにすればよいのでしょうか」
「基本はトリートメントとブラッシングだけど、他にもオイルを塗ったりとか毛先を整えたりとか。人によっては編み込みをしてみたりとかもするみたいだね」
「そう、ですか……」
と言いつつ思案する。トリートメントくらいはしているが、それ以外はなじみがない。毛先を整えたり編み込みをするのは自分の尻尾だとやりづらそうだし、オイルについてはどこに売っているのかすらわからない。
そうして返事をしあぐねていると、トレーナーさんがすごいことを言い出した。
「カフェが困ってるなら、僕がやろうか?」 - 1488522/12/04(日) 22:48:43
驚きの余り、トレーナーさんを凝視する。
──この人は、自分が何を言っているのか、わかっているのだろうか。
ウマ娘の尻尾の根元はかなり敏感で、他人に触れさせるなどとんでもない場所だ。そして、尻尾を他人に触れさせるというのは、その部分を無防備にさらすということでもある。
言い換えれば、「尻尾を触れさせる。それも異性に」というのは、「二人が相応の関係である」と言っているようなものなのだ。とはいえ、尻尾ケアの専門店があったり、マッサージ店では尻尾を対象としたメニューもあるのだから、邪推と言ってしまえばそれまでなのだが。
「…カフェ?あ、いや…そうだよね、トレーナーとは言え、人に触れられるのに抵抗がある人もいるよね。…ごめん」
私が言葉を発せないでいると、何か一人で納得したのか、謝られてしまった。
先ほどの言葉を聞くに、自分の発言が何を意味しているかはわかっていないようだ。下心が全くないのであろう事実に安心するとともに、そんなトレーナーさんの危うさに呆れてしまう。
──私以外に、こんなこと言ったら問題になりかねないのだが、大丈夫だろうか…
それはそれとして、尻尾の手入れについて考える。
確かに手入れをやっていろいろ試してみるのはいいが、自分一人だと些か難しそうだ。できるようになるまで頑張る、というのも一つの案ではあるが、既にシニア期に入っている自分は、いつピークが終わるかもわからない。それじゃあ誰かに頼もうか、となっても、自分にはそれを頼めるほど親しいウマ娘がいない。特に同期のアグネスタキオンに、無防備な自分に触れさせるなど以ての外だ。
──トレーナーさんに触れられるのは……嫌ではない。それに……
せっかくの申し出だ。嫌ではないのだし、下心がないこともわかっている。トレーナー室であれば誰かに見られるわけでもないのだし、特に問題もなさそうだ。
「……」
「…カフェ?…本当にごめん。セクハラって言われても仕方ないよね。だからこの話は──「トレーナーさん」──ん?」
「お手入れ……お願い、できますか?」
「え!?」
「トレーナーさんであれば……信頼できるので、問題ありません。他に頼める人もいませんし……」
「あ、あぁ、僕は大丈夫。…でも、他のウマ娘とか…」
「……私が親しいのはタキオンさんくらいです。……あの人に無防備に体を晒せ、と?」
「すまなかった」 - 1498522/12/04(日) 22:49:33
そんなやり取りから数日後、私はトレーナーさんに背を向けて椅子に座っていた。
今日は、トレーナーさんがオイルマッサージをしてくれるのだ。
「じゃあ、始めるよ。痛かったりしたら言ってくれ」
「はい……。お願い、します」
少し緊張するが、できるだけ意識して力を抜く。
さわり、とトレーナーさんが尻尾に触れる感触が伝わってくる。
ゾクリとした感覚が、全身を駆け抜け、鳥肌がたち、少し身震いしてしまう。
「カフェ?」
「……大丈夫、です。……続けてください」
できるだけ心を落ち着けて、トレーナーさんの心配そうな声に応える。
「わかった」
トレーナーさんはそういうと、再び尻尾に集中したようだった。
最初はブラッシング。
ゆっくりと撫でるように、櫛を通す。トレーナーさんの手つきは、とても優しい。痛くしないように、傷つけないように、めいっぱい気遣って、触れてくれているのが伝わってくる。
お互い無言のまま、何度か櫛が尻尾に差し込まれ、梳いていく感覚が続く。
しかしそのせいか、さっきからぞわぞわとした感覚が止まらない。
腰の後ろ、尻尾の付け根から伝わるその感覚に、声が漏れそうになるのを我慢する。
何か他のことを考えようとしても、その感覚が邪魔をして、思考がまとまらない。
『ウマ娘が尻尾に触れるのを許すのは、恋人同士である証なんだって!』
そんな噂話を聞いたことを思い出す。
あの時はそんなものかと流していたが、実際にはとても”そんなもの”で済ませられるものではない。
──…こんなの、トレーナーさん以外の誰かに任せられるものじゃない! - 1508522/12/04(日) 22:49:47
そんなことを考えていると、ふと、トレーナーさんの手が止まった。
「はい。ブラッシング終わり。カフェの尻尾はさらさらだね。ブラッシングも必要ないかもって思うくらい」
「……そう、ですか……」
大きく息をつき、体の熱を逃がす。そのせいか返事が一拍遅れる。
「カフェ?どうした?」
「なんでも……ありません。人にやってもらうのは初めてだったので……少しくすぐったかっただけです」
本当は違うのだけれど、あの感覚をそのまま口にするのは憚られたため、誤魔化す。
「……次は、なんですか?」
「あ、あぁ…。次はオイルを馴染ませていくよ。全体に馴染むように、マッサージするみたいな感じだから」
「……お願い、します」
その時、私の胸にあったのは『期待』だった。
私は、トレーナーさんに、もっと触れられたい、と思っていたのだ。 - 1518522/12/04(日) 22:50:30
ピチャピチャと、オイルの音が響く。
私はこれから来る感覚に耐えるため、必死に心を落ち着けていた。
さっきまでは櫛を通しただけだったが、それでも伝わってくる感覚は、耐えるのに大変苦労した。
今度は、トレーナーさんが直接手で、全体に触れるという。
──恥ずかしい姿は、見せられない。…見せたくない…
何度も深呼吸をし、大丈夫、大丈夫、と、何度も心の中で唱える。
「じゃあ、始めるよ。痛かったりくすぐったかったりしたら言ってね」
「……わかりました」
心の準備をして、その時を待つ。
ひたり、と、尻尾の先が濡れた感覚が生じるとともに、再び先ほどと同様の尻尾を触れられる感覚が伝わってくる。
軽く息をついて、熱を逃がす。
──大丈夫。これなら、大丈夫。
先ほどと同じように伝わってくる感覚。今でも油断をすれば声が漏れそうになる。
しかしそれでも、先ほど耐え切ったという事実もあり、私の心には余裕が生まれ始めていた。
その余裕から尻尾に触れられる感覚に、意識を集中する。
すると、トレーナーさんの手の感覚がよくわかる。
毛先から慎重に、優しく、丁寧に、トレーナーさんの手が、尻尾にオイルをもみ込んでいく。
何かに似たような経験をしたことがある、と思い思考を巡らすと、すぐに回答に思い至る。──髪の毛をマッサージする美容師さんの、あの手つきだ。
そう思うと、今尻尾から伝わってきているこの感覚も、慣れ親しんだもののように感じるから不思議だ。
もちろん専門家の手さばきとは比べるべくもないが、それでもトレーナーさんの優しい手さばきは私の心を温かいものにしてくれるのだ。
そう思ったら、さらに余裕ができてきた。 - 1528522/12/04(日) 22:51:26
トレーナーさんにこうして手入れをしてもらうのは、嫌ではない。……むしろ、好ましく思っている。
傍からみたら恋人同士に見えるというのも、トレーナーさんとなら、私は嫌ではない。
これまで色恋とは無縁に生きてきた自分だが、別に恋愛を厭っているわけではないのだ。
単に、自分の側にいてくれる人がいなかった、というだけで。
改めて、トレーナーさんとそういう関係になった後のことを考える。
学園を卒業し、レースの無い日々を、トレーナーさんと共に過ごす日々。
日中は仕事もあるため、トレーナーさんを見送ることになるだろう。
その分、休日はともにコーヒーを楽しんだり、時折街へ出かけたりしたい。
たまに尻尾の手入れをお願いして、日々のことを語り合う。
考えるだけで、心が温かくなる。
トレーナーさんとともに生きていくのは、とても幸せなことだと思う。
──そうか。私はトレーナーさんのことが……
そんなことを考えていたからか、「その時」が来たことに気付くのが遅れた。 - 1538522/12/04(日) 22:52:34
トレーナーさんの手は、既に尻尾の付け根の部分に差し掛かっていた。
そしてそれまでと同じように、尻尾の内側にトレーナーさんの手が滑り込み、”その場所”に触れた瞬間──
「ふあ…っ!?!」
これまでと異質な刺激に声が漏れる。慌てて口を抑えるが、もう遅い。
「カフェ!?ごめん、痛かった!?」トレーナーさんの慌てた声がする。
「……大、丈夫、です」
私はなんとか、言葉を口にする。
「…よかった。くすぐったかったかな?」
トレーナーさんの声色が優しいものに戻ったのを聞いても、
「……はい。続きを……」
と促すのが精いっぱいだった。
心の中は荒れ狂っていた。
──恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしいっ!あんな声を聴かれてしまうだなんて…!
後悔が頭を支配する。
しかし、再びトレーナーさんの手が”そこ”に触れると、
「…んんっ…ふっ…んっ…」
息が、漏れてしまう。
恥ずかしさのあまり、体中から冷や汗が噴き出る。
顔が熱を持ち、耳まで赤くなっているのは想像に難くない。
トレーナーさんは、そんな私の様子を気にした風もなく、「もう少しだから、我慢してくれ」とマッサージを続けた。 - 1548522/12/04(日) 22:53:17
一度触れられたままになってしまえば、その後の刺激は比較的緩やかになったので、思考はすぐに戻ってきた。
変な聞かれてしまった。その事実を変えることはできない。
そして、恥ずかしいけれど、その一方で湧き上がるもう一つの感覚が、私を戸惑わせていた。
トレーナーさんの手に触れられた場所から生まれた熱が、身体の中に蓄えられていく。
先ほど自覚した恋心が、その熱の輪郭を浮き彫りにする。
『もっと、触れられていたい』
逃げ出したいほど恥ずかしいのに、それができないのは、他でもない私が望んでいるからだ。
トレーナーさんとのこの触れ合いをもっと、と。
先ほども考えていたが、私は色恋を厭っていたわけではない。
が、本物の恋をがこんなものだとは思わなかった。
圧倒的な熱が思考を溶かし、濁流となって何もかも呑み込んで流されてしまいそうな……。
恐ろしい、なのに、心地よい。
その心地よさに抗えない。
──もういっそ、このままトレーナーさんにすべてを委ねてしまおうか…
そんなことを考えていたら、トレーナーさんの手が、離れていった。 - 1558522/12/04(日) 22:53:59
「あ…」
離れる温もりの名残惜しさに、声が漏れてしまう。
「よし、終わり。…カフェ、大丈夫かい?」
私の様子をうかがうような、トレーナーさんの声がする。
頭上の声にぼんやりと顔を上げると、私を覗き込んでいるトレーナーさんの顔があった。
──トレーナーさん…もっと…
湧き上がる気持ちのままにトレーナーさんに身を預ける。
「カフェ?…疲れちゃったのかな?」
優しい声がする。
私を受け止めてくれたトレーナーさんの手を取り、頬ずりをする。
「トレーナーさん……もっと、触れて……」 - 1568522/12/04(日) 22:57:18
「か、カフェ!?」
驚いたトレーナーさんが大きな声を上げる。
「……?……っ!!??!!?!?!?!」
その声に我に返った私は、自分の言動を思い出し、恥ずかしさのあまり顔を隠し身を丸める。
トレーナーさんの顔が見られない。
「…大丈夫?」
「……大丈夫、です……。今は……その…」
「うん」
気まずい沈黙が部屋に満ちる。
何も言えず、動けないままの私に、トレーナーさんは、
「その……そういうのは、学園を卒業してからな」
「…っ!!」
その言葉に思わず顔を上げる。
「トレーナーさん……今のは……」
「え?…あ!いや、今のは言葉の綾で!……ほら、今でもその恋愛禁止というわけではないのだけれど、とはいえトレーナーとしては集中してほしいという気持ちもあるから……それに俺とってわけでもなくて……」
しどろもどろになるトレーナーさんを見ながら、考える。
ウマ娘とトレーナーの恋愛には、難しい物がたくさんある。
レースに勝てずにうまくいかなくなるとか、引退後別の担当を持ったトレーナーとのすれ違いだとか、年上への憧れや年下への庇護欲との混同だとか。
それでも、私のトレーナーさんなら、優しくて真面目で、嘘の付けないバカ正直なトレーナーさん相手なら、勝算は悪くないのかもしれない。
「トレーナーさん」
「んぁ!?…えっと、何だい?」
「その話は、卒業後にまた」
「……はい」
遠回しな宣戦布告。もちろん、負けるつもりはない。
「それと……」
「……?」
「また『尻尾のお手入れ』を、お願いしますね♪」
その時まで私は、あなたを追いかける。 - 1578522/12/04(日) 23:11:20
以上です。
最初適当に書き進めてたら、尻尾マッサージで体の奥に溜まった疼きに突き動かされたカフェがそのままトレーナーに襲い掛かって、夜のステイヤーズステークス10ハロンになっちゃいそうだったから修正入れてたらめっちゃ難産になった。
エッチなのはいけないと思います。
うっとりしたまま手に頬ずりするカフェがエロいって?それに関しては、コメントを差し控えさせていただきます。
ちなみに、自分は>>144よりの解釈で、「ウマ娘が異性に向けて尻尾を上げて落ち着かない」のがどういう意味かくらいは、割と有名な話だと思ってます。
そして、それが有名だからこそ、カフェが無自覚に尻尾持ち上げて「お手入れしてください」なんていうものだから、トレーナーはドギマギしつつも、「これはマッサージ…これはマッサージ…」って念仏のように唱えて鋼の意思を発動しする、っていう流れが考えやすいなと思いました。
ただ、今のテンションだと、実は自覚のあったカフェが貧弱種族ヒトミミをハグでホールドしたまま耳元で「…もっと、もっと触れてください…マッサージ、してください…」って囁きながら『トレーナーに尻尾の付け根をマッサージさせ続ける』とかいう何そのプレイ!?な内容になってしまいそうなので私は失礼する。
- 158122/12/05(月) 01:31:23
- 1598522/12/05(月) 01:58:27
言い方悪かった。
自分はイッチの解釈も良いものだと思うのですよ。
ただ私の解釈と違うから、イッチの解釈持ってる人から見て不自然なところがないといいな、と思ったのです。
悩んだポイントは、以下2つ。
・トレーナーが「尻尾の手入れ」と二人の関係性の話を知らないのに申し出るところ
①尻尾ケアの専門店やマッサージの存在が一般的なので、ボクネンジンは裏の意味を知らない
②論文による理由付けでトレーナーなら言っても不思議じゃない状況にする
③尻尾手入れと恋人の関連は、「尻尾の付け根が敏感で、それを他人に晒す行為が元」でそこに後付けされた
・最初抵抗感があるところから「すべて委ねても」に至るところ
①美容室との共通点で安心させ、思考に余裕を持たせて考えさせる
②最初は抵抗感あったけど考えてみると「トレーナーさんは大丈夫」&「恋人に思われても平気」に至る
③尻尾の付け根からくる熱を「トレーナーへの好意」で分解することで「もっと触れられていたい」につなげる
④「もっと触れられていたい」を「色恋の濁流」で押し流すことで「身を委ねてしまいたい」
イッチにとって自然に受け入れてもらえるものになってたなら嬉しいです。
あと、逆にこの辺気になった、ってとこは聞いてみたかったり。これは>>146に限らずだけど。
最初は変な方向に筆が進んで「こんな声聞かれて、こんなはしたない女はトレーナーさんに相応しくない」みたいな恋心封印する方向に進みかけました。
そこから軌道修正して蕩けたカフェの「もっと触れて」ってつなげられたので私は満足です。
- 160二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 13:42:37
いい……………………
ここまで踏み込んだ関係で卒業してからとまで言わせてるんだからもう勝利確定では? - 1618522/12/05(月) 13:42:55
>>142で言ってたその2は、「N.Y.のマンハッタンにセレブを見に行った翌日の空港のカフェで、飛行機見ながら尻尾ハグ甘々空間展開してたら、ニューヨーカーに流行りました」的なお話だったのだけど、悶々としてるところにつながらなかったので虚空へ消えました。
というわけで代わりの小話を保守用投下。
「おやすみなさい…」
疲労困憊の夫をベッドに運び、自分もその隣に潜り込む。
最近はトレーナー業が忙しい時期なせいか、会話する時間もろくに取れていない。
自分はレースを引退し、家庭に入った身。いまだ最前線で頑張る夫と、同じ時間を共有することはできない。
『せめて少しだけでも温もりを……』と思い、夫に身を寄せて、その足に尻尾を巻き付ける。
最後に一緒にコーヒーを飲んだのは、もう何週間前だろうか。
「少し……寂しい、です」
そうつぶやいた瞬間だった。
突然、強い力で身体を仰向けに固定され、自身の上を影が覆っていた。その影の奥にある瞳は、ギラギラと光っている。
「あ……疲れて、いるのでは……?」
「疲れてはいるね。でも……」
「?」
「あんな言葉を聞かされたら、とても眠ってなんかいられない」
「//////」
しばらくぶりの夫婦の時間は、とても甘いものになった。
夜のお誘いに尻尾ハグするのってえっちじゃね?と思ったので書いた。ただ、「このキャラである理由」部分が薄くなったせいかどの子にも通じる話だと思う、ので、固有名詞を消した。
- 162122/12/05(月) 21:18:40
- 163122/12/06(火) 02:30:41
- 164二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 10:07:20
- 165二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 11:10:20
- 166二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 16:01:20
- 167122/12/06(火) 18:50:39
- 168122/12/07(水) 00:21:07
- 169二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 08:01:41
- 170二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 19:26:54
半分無意識にトレーナーさんに尻尾巻き付けるよあになっちゃったカフェの話が読みたいです
ので自分で生産しようかと思いますから気長にお待ちくださいませ - 171122/12/07(水) 21:54:57
- 172122/12/07(水) 23:26:38
- 173二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 00:09:44
ティッシュ君ちょっとそこどいてもらえる?
- 174二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 06:02:20
なんか絶妙にMother3にいそうでいなさそうだなこいつ
- 175二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 16:34:17
カフェは土下座して頼み込んだらこういうの着てくれそう(偏見)
- 176二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 01:28:17
このレスは削除されています
- 177二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 01:29:05
生産しようとしたはいいが経験がなさすぎてどうしたものか………
多分土日の私がなんとかします - 1788522/12/09(金) 05:28:05
- 1798522/12/09(金) 05:28:58
俺がカフェの尻尾の手入れを手伝うようになったのは、カフェからの申し出がきっかけだった。
「トレーナーさん……1つ、お願いがあるのですが……」
「なんだい?」
「尻尾の手入れについて……トレーナーさんは、御存じでしょうか?」
「……えっ!?」
予想外の質問に驚いてしまう。ウマ娘の尻尾に関する話題は、かなりデリケートな内容が多いからだ。……中には性的な部分に関連する話もあるため、トレーナーの前で話題に出すのを厭うウマ娘もいるくらいだ。
トレーナーの講習でも尻尾について話に出ることはあるが、それはどちらかというと「セクハラにならないように注意する」といった方向性のものが主となっている。
「……?」
が、カフェは不思議そうにコチラを見ているだけで、普段のテンションと変わりないように見える。
どうやら”そういう”話ではないようなので、気を取り直して理由を確認する。
「一応、知識はあるよ。…でも、なんで?」
「はい……尻尾の手入れについて、教えてもらいたいのですが……」
「ふむ…」
知識があると言っても、基本的なケアの仕方について簡単に調べたことがある程度だ。
何か言えることがあるだろうか、と思いながら、まずは話を聞いてみる。
「普段はどんなことしているんだい?」
「普段は……特に何も。……これまで、気にしたことは、ありませんでしたから……」
「そうなの!?」
返ってきたのは意外な答えだった。
どうやらカフェは特にケアをしていなかったようだ。 - 1808522/12/09(金) 05:29:09
でも、それならなんで…という疑問が思い浮かぶ。すると、
「やっぱり、トレーナーさんも驚かれるのですね……。同室の方と話をしたとき、驚かれて……。それから、ちゃんとケアした方がいい、とも言われて……」
なるほど、と得心する。
尻尾のケアを気にしていなかったのが、友人とそういう話になったから気にするようになった、と。しかしそれなら…。
「その友達には聞かなかったの?」
「聞いたのですが……あまり詳しくないため、詳しい人に聞いた方がいい、と言われてしまい……」
「それで俺のところに来たのか」
「……はい」
おおよその事情は把握できた。
が、それなら基本的なところを伝えるなら問題にはならないだろう。そう思い、自分の知識の範囲で基礎的なことを教えようとした。が…
「じゃあ、基本的なところになるけれど、トリートメントはしているよね?」
「そうですね。髪質にも合っていますので…」
「髪質?…髪用トリートメントと尻尾用トリートメントは同じブランドを使ってるの?」
「……?尻尾用トリートメント……というのがあるのですか?」
「……えっ!?」
再び衝撃の発言が飛び出した。
「……?」
「…わかった。基本的なところから説明するよ」
どうやら、これまで本当に気にしてこなかったのだろう。
俺はこの時になってようやく、一から教える必要があることを理解したのだった。 - 1818522/12/09(金) 05:30:20
「──とまぁ、こんなところかな」
トリートメント、ブラッシング、マッサージの基本的な説明と、尻尾にいいとされるサプリメントの話を一通り終える。
「……ありがとうございました。……次のお休みは、よろしくお願いします」
ついでに、今度の休みに尻尾用トリートメントと尻尾用ブラシを買いに行く約束をした。
サプリメントについては様子見だ。
カフェの尻尾はとても綺麗なサラサラのストレートなので、今は必要ないだろう。
「他に何か他に手伝いが必要なことはあるか?」
「……」
少し考えこんだ様子のカフェから次に出てきた言葉は、驚くべきものだった。
「マッサージ……なのですが、実際にやっていただけないでしょうか」
「……えっ!?」
今日一番の衝撃発言が飛び出した。
「…あー、その…尻尾に触ることになるけど、大丈夫なのか?」
「何か……問題、でしたか?」
「いや、その…な、ほら、…トレーナーの教育では、不用意に尻尾に触るのは、ウマ娘が驚いて蹴り上げることもあるからよくないって習うんだよ。…それに、セクハラって言われることもあるし。…何より、カフェは嫌じゃないのか?他人に、しかも男に尻尾を触らせるのは…」
デリケートな話題だけに、語尾が尻すぼみになってしまう。
なんだかいたたまれなくて、カフェの目を見ていられない。
しかし、数瞬の沈黙の後、カフェは気にした風もなく言ってのける。
「……トレーナーさんには、足のケアをお願いすることもありますので……」
「それは、、、そう、だね…」
確かに、『身体に触れる』という観点で言えば、足のケアと同じなのかもしれない。
それでも尻尾を触らせても大丈夫と思われるとは、どうやら自分は相当に信頼されているらしい。
「……トレーナーさんなら、安心なのですが……ダメ、でしょうか……?」
再びカフェに目を向けると、期待するようにこちらを見上げるカフェの視線と視線がぶつかる。
「…わかった。」
そうして、俺はカフェの尻尾のブラッシングとマッサージをすることになったのだった。 - 1828522/12/09(金) 05:31:09
休養日にトレーナー室で尻尾の手入れを行う。
それが俺たちの日常に加わった。
彼女と前後に並んで腰かけ、その尻尾を手に取り、ブラシで梳いていく。
ブラッシングが終われば、彼女の尻尾が床につかないように自分の膝上にシートを敷いて、その上で手ずからオイルを馴染ませていく。
手入れを終えた彼女の尻尾は美しく、『自分がこの美しさを保つ手助けをしている』と考えて満足気な気分になれた。
忙しいトレーナー業の合間の、いい気分転換だと言えるだろう。
しかし、そんな日々を過ごすある日、その事件は起こった。
「…あ。…すまない。オイルとシートの準備を忘れてた。少し待ってて」
と言って席を立つ。
部屋に着くなりそのままブラッシングを始めてしまったので、シートとオイルの準備を忘れていた。
手早く所定の場所から取り出すと、
「お待たせ──っ!!……カフェっ!?」
「……はい?」
驚きの余り、大きな声を出してしまう。
カフェが尻尾を大きく上げて、ゆらゆらと揺らしていた。
慌てて椅子に戻り、尻尾を下げさせた。 - 1838522/12/09(金) 05:31:33
元来ウマ娘にとって、尻尾を上げたまま背中を見せるという行為は重要な意味を持つ。
文明が発達する前は、それはそのまま「発情」のサインだったらしく、昔はそのまま性的な場での行為とされたらしい。
今はもう少しおおらかになり、告白の際に「あなたに私の全てを知って欲しい」の仕草の一つとか、恋人同士なら逢瀬のサインとか、そういう時に使われているそうだ。
そのため、ウマ娘は「外で尻尾を上げない」ように教育される。
それらの教育は基本的に幼いころから躾けられ、成長に従って理由を教えていく。
おおよそ思春期に入る辺りで、ウマ娘自身もそれらの話を認知し、尻尾を上げることを恥ずかしく思うようになる。
人間に対する性教育のようなもの、とでも言うべきか。
一部の例外を除き、トレセン学園に入る前に小学校等で習う。
もしそれが済んでいなくても、友人同士で会話する中で、相応の知識は身について行くものだ。
そのはずなのだが──
「……トレーナーさん?……どうか、されましたか?」
先ほどの行為の意味を知らないのだろうか、カフェの様子に変わったところはない。
が、さすがに放置するわけにもいかず、確認する。
「カフェ…。その、尻尾を上げたらダメっていうのは、教わっていないのか?」
「……?……それは、幼い頃からよく言われていました。……外では尻尾を上げたままにしてはダメ、と」
「じゃあ、さっき尻尾を上げていたのは?」
「……今からマッサージしていただくのに、床に付けて汚すのはダメかと思ったのですが……」
「そうか…。その、外で尻尾を上げたらダメな理由、とかは?」
「……幼いころに、『大きくなったらわかる』と言われて、それきり、ですね……。何か、あるのですか?」
「あー…どうったかな…。誰か知ってる人がいるか、ウマ娘の先生やルームメイトに聞いてみてくれ」
ともすればセクハラになりかねないため、同性に効くように促し、ここはお茶を濁す。
「さ、マッサージを始めよう。練習開始が遅れてしまう」
「……?……わかりました」
カフェも疑問がないわけではないだろうが、ここは飲み込んでくれるようだ。
願わくば、自分の行動を知って、できればマッサージやブラッシングも自分でやってくれるようになればなぁ…と思わずにはいられなかった。
そして、後になって思えば、ここが分水嶺だったのだ。 - 1848522/12/09(金) 05:32:47
次の休養日、いつも通りやってきたカフェに例の話の確認をした。
「先週のこと、誰かに聞けた?」
「…………そういえば、忘れていました。……すみません」
「ああ、いいんだ。まぁ、理由がわかって、俺に伝える必要があったら、教えてくれ」
「…………はい」
どうやら確認していないようだ。
──まぁ、教えらえても困るのだけど…
などと、心の中で独り言ちながら、その日は手入れを続けた。
次の休養日はどうするか、とも考えた。
─とはいえ、知らない体のことをしつこく確認するのもおかしいだろう。
その内彼女も真実を知り、恥ずかしく思うだろう。
ならば、今度は自分が忘れたフリをするのがベストだな。
彼女が手入れを自分でやると言い出す流れになれば万事解決か。
─そうなると、自分が再び彼女の尻尾に触れることはないだろう。
この時間を失うのは惜しく感じるとも思うが、それが正常なのだ。
寂しく感じる気持ちを押し殺し、『あるべき姿』に戻れる安心感を感じていたのだった。
しかし、予想に反して、その後も手入れの時間は続いた。
彼女はいつものようにトレーナー室にやって来て、ブラッシングとマッサージを受け、帰っていく。
──結局彼女はあの行為が何か理解したのだろうか。…それとも忘れたか?
少し不思議に思わないでもなかったが、変につついても不快にさせるだけなので、余計なことはやめておく。
今更過去の失敗を掘り返して、わざわざ恥を掻かせることもないだろう。 - 1858522/12/09(金) 05:34:59
そして今日も彼女はトレーナー室にやってきた。
先日引退レースを走り切り、もうすぐ卒業式だ。
「トレーナーさん……今日も、よろしくお願いします」
いつもの位置に座り、手入れを始める。
その間、2人で走ってきたこの数年を振り返る。
いろいろなことがあった。本当に、いろいろ…。
そして、この時間もきっとこれが最後──そう思うと、様々な思いがこみ上げてきる。
卒業式はまだ先なのに、油断すると泣きそうになるので、作業に集中することにした。
手入れを終え、カフェに声をかける。
「改めてお疲れさま、カフェ。もうすぐ卒業だね」
「……はい。トレーナーさん……ありがとう、ございました」
「こちらこそありがとう。カフェの尻尾はとっても綺麗だから、手入れさせてもらって俺も楽しかったよ」
「…………ありがとうございます」
「さて、これで終わりかな。思わず気合が入っちゃったよ。…このまま卒業式でも大丈夫なくらいさ」
「……ふふっ。まだいろいろと、お片付けがありますから……。このまま卒業式だと、困ってしまいます……」
「それもそうか」
そんなことを喋りながら片づけを始めようと席を立った。すると、
「……トレーナーさん」
カフェから背中越しに声をかけられた。
「……卒業してからも、私の尻尾のお手入れをお願いしても、いいでしょうか?」
振り返ると、少し顔を赤らめたカフェが、横目でこちらを見ていた。
大きく上げられた尻尾はゆらゆらと揺れて、窓から差し込む日差しを反射して煌めいていた。
今でも忘れられない、二人の思い出である。
- 1868522/12/09(金) 05:39:46
- 187122/12/09(金) 12:07:59
- 1888522/12/09(金) 13:04:56
ありがとうございます!ではこのままにさせてもらいます。
「『尻尾を上げる』行為の、由来とそれに関する現在の印象の設定」とか「その件をなんでカフェは知らなかったの?→『お友だち』を優先して他の子と距離があった」とか「年ごろなのになんで手入れしてなかったの?→何もしなくてもサラサラだったから(プロフィールネタ)」とか、書いてないところで整合性取るのに悩んで、自縄自縛になって苦しみましたな。
SS書くなら「細けぇことはいいんだよ!」っていう勢いは大事だと改めて思いました。(小並感
- 189122/12/09(金) 22:11:00
- 190二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:13:40
カフェは、自覚する前は無自覚にぐいぐいいって、自覚したら真っすぐ行く印象。
そんなカフェの上目遣いは危険が危ない。 - 191二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:33:26
- 192二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:34:54
- 193122/12/09(金) 22:51:33
- 194122/12/10(土) 09:13:41
- 195二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 09:31:08
別スレ建てるか?
- 196二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 17:40:27
- 197122/12/10(土) 20:19:58
今描いてる上の絵がここで描き終わらなさそうなのが正直な所。だけどこの絵のためにわざわざもう一回スレ建てるのも違う感じ……いやまあカフェのSSをもっと見たいのは確かなんだけど……
というわけで、今回は一旦ここまでにしようかと思います。皆さんSSを出力してくださりありがとうございました!特に>>26さんは複数のSSを投下してくれて、本当にありがとうございます!尊かったです!
カフェの顔を見たら大抵すっ飛んで来るのでSS,概念等お書きになられた際はよろしくお願いします。
宣伝というアレでは無いですが、過去に私が描いたイナイレ、忍者カフェ、GGstの方も見てくれると嬉しいです。
- 198二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:27:10
ありがと...もしかしてなんだけど前にディキンソンの棺桶振り回すカフェ描いてくれた人?
- 199二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:29:17
乙
良い絵とSSがいっぱいで幸せ - 200二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:29:37
またな!