【SS】13年前の記憶を喪失した39歳のおじさんととある少女の話

  • 1◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 00:48:17

    おれには今から数えて13年より前の事が全く思い出せない。
    所謂記憶喪失というやつだ。
    何でもその時、ミニオンと言う島で大ケガをしており、仮死状態で雪に埋もれていたのを救助されてから丸1ヶ月意識を取り戻さなかったらしい。おれの腹にはいくつもの銃創がくっきりと残っていた。
    あの島には廃墟の他に寒村があった。廃墟はとある海賊がアジトにしていたためろくに近付けなかったのだが、ある日遠くで騒ぎが起こっているのを不思議に思い、駆けつけた所おれを発見したのだと言う。
    誰かも分からないので身に付けている物を調べた結果、銃に彫られていた文字からおれの名前はロシナンテと言うらしかった。それ以外の事は全く分からない。何故こんなケガをしているのか。何故こんなド派手なメイクをしているのか。そもそも何故こんな何も無いような島に来ていたのか。

    おれは目覚めた後に村人からそれらを質問攻めされたが、あいにく何も答えられなかった。

    村人からの治療を受けている内に、おれは何時しかロシーおじさんと呼ばれるようになっていた。

    最も、それも今では遠い昔の事。
    おれは現在、記憶を探す旅に出ているのだ。
    もう島から島へと移る生活をして何年経つだろうか。
    記憶はまだ戻っていない。

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 00:51:41

    保守

  • 3◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 00:51:58

    ※こんな感じの記憶喪失になってしまったため記憶探しの旅をしているコラさん生存ifのSSです
    設定の元ネタが若干不快になるかもしれない内容なのでそういう人は見ないようにして欲しいです
    後本編の設定との違いがあったりしたらそこら辺はもう見逃してください

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 00:52:18

    期待

  • 5◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 01:01:22

    あの村の事は今でも思い出す。
    村には何も無いため、出稼ぎに行くために若い男達がかなり島外へと出て行ってしまった。
    そのため労働力を必要としていたのだ。
    北の島の極寒地帯だ。そうそう豊かな食糧はゴロゴロと転がっていない。
    村人達は皆針葉樹林の森に生息する野生動物を狩ったり、魚を釣ったりしてそれを売買する等自給自足の生活をしていた。
    ただそれをするにも体力がいる。
    しかし前述の通り男手が少なくなってきて困っていた。
    そうなれば、治療の対価として要求される事は決まっている。
    おれはしょっちゅうマタギと一緒に狩りに付き合わされた。

    しかしおれは3歩進めばすっ転んで2歩下がれば尻もちを着くようなドジっ子だった。
    いやここまでドジかます人間いるか?正直自分でも信じられない。
    その後気まずくなってタバコを吸おうとしたら今度は自分が燃えた。おれは歩く事故だ。

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:09:09

    保守
    期待

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:10:20

    歩く事故
    それはそう

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:10:22

    こんな夜中に面白そうなSS始まってる!

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:15:20

    コラさん生存ifなんかなんぼあっても良いですからね
    保守

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:16:57

    記憶戻った時が楽しみだな

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:19:46

    コラさん生存ifはギャグでもシリアスでもなんでもおいしい

  • 12◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 01:36:57

    それでもおれにはある1つの能力があった。

    それは『あらゆる音を遮断する』というもの。

    おれはマタギに『お前の影響で出る音は全て消えるの術』をかけて、銃声を消す事が出来た。
    おかげで銃声に驚いて他の獲物が逃げないし、村の子供達も怖がらずに済むと感謝された。
    ただその分ドジをしまくっては村人に呆れられるという日々を過ごしていた。

    ふと「採れた食糧はどこに輸出しているのか」と聞いた事があった。
    「となり町やその他の近くの島」と答えられた。しかし輸出して報酬を貰うだけ貰う。それだけらしい。
    ここの村人はあまり積極的に余所者と交流しないらしく、おれはかなり珍しい例だと聞いた。

    結局村の外に出たのは3年後だったし、となり町に行ってもおれの記憶は戻りやしなかった。

    ただ、村外に出て最初に向かったのはそこだった。
    何故だろうか。

    誰かと落ち合う約束をしていたような気がしたのだ。

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:39:36

    3年後…
    ロー達は旗揚げ済みか…?

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 01:41:26

    >>13

    小説情報だとスワロー島から旗揚げして出たのは3年後なんで…

    すれ違ってるっすね…

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 12:21:29

    おバカ!!はよ村から出んかい!!

  • 16◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 19:28:15

    旅を続けて早13年。時の流れというものは残酷だ。

    それでもおれの記憶は一向に戻る気配は無かった。

    数年間は北の海をブラブラとさ迷っていたが、何をとち狂ったかおれは今では偉大なる航路後半に居た。


    最近はドレスローザという国を訪れたな。

    かつてはドンキホーテ・ドフラミンゴという王下七武海が王として君臨していたが、とある海賊達によって旧王権が一日の間に倒され、今はリク・ドルドという人が王に復帰し国を治めている。

    何でもドフラミンゴはとてつもなくあくどい事をやっていたらしいが…新聞を読んだら吐き気がしたな。もし身内か何かにこんなのが居たらおれは間違いなく銃ぶっぱなしてでも止めてる。


    しかし…新聞を読んでいて切に思う。

    本当に何者なんだろうか。国を救った2人の海賊は。

    『麦わら』に『死の外科医』。

    たった一日で王下七武海を打ち倒す程の力を持った奴ら。一体何を考えている?

    それに…


    死の外科医の方はニヤけてる顔が何かクソガキっぽいな!

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 19:36:11

    更新来てて嬉しい!

    撃てたら良かったんだけどね…

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 19:37:07

    記憶すっぽ抜けてもトラ男に対する感想がクソガキなの草

  • 19◆8HAMY6FOAU22/11/25(金) 19:44:14

    今日は随分と寂れた島に来た。
    ミニオンにあったようなゴーストタウンがある。
    ちょっと放浪してみるか。

    人が利用しなくなってもう随分経つのか、至る所に植物が生い茂り、小鳥が囀っていた。
    鳥を驚かさないように自分の音を消してそっと近寄ってみた…が、派手にすっ転んだせいで結局逃げられた。ちくしょう。餌をやりたかったのに。

    とりあえずもう昼だし、飯を食おう。今日はここらで野宿……


    と思っていたが、背後から何か音が聞こえた。
    自分の音を遮断していなかったら聞こえなかっただろうくらい小さかったが、誰かの足音のような…

    野生動物か何かか?

  • 20二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 00:29:40

    小鳥に餌やりたがるコラさん笑う

  • 21二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 11:14:21

    保守しとくわ

  • 22◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 13:15:14

    音のする方向に行ってみた。
    どうやら廃墟からのようだった。
    すると野ウサギがひょっこり出てきていた。
    やっぱり動物だったか…


    と思っていたら、いきなり矢が飛んできた。
    それは野ウサギの体にクリーンヒットし、その場に倒れ伏した。
    そして何者かによってどこかへズルズルと引きずられて行った。


    ウサギーー!!!!!!!!
    いやそんな事思ってる場合じゃねェ!他に誰か人がいんのか!?
    おれは身を乗り出して連れて行かれた方向を見ようとした。




    「動くな!!!!」

  • 23◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 13:28:15

    「動くな!!!さもないとお前の眉間をぶち抜くぞ!!!」

    そう言いながら何者かがおれの前に飛び出して、弓を構えてきた。

    12歳前後くらいだろうか。まだ幼い子供だ。
    身体を布で包んでいるためか容姿は見えにくいが、声からして少女だと分かった。
    傍にはさっきの野ウサギの死体がある。
    矢で射ったのはコイツか。

    おれは咄嗟に手を挙げて何もしないと主張した。

    「嬢ちゃん落ち着け。おれはただここを放浪しに来た旅人だ。何も危害は加えない!な?」

    「うるさい!なら持ってるもんを置いてけ!そしたら見逃す」

    「それは流石に無理だ!頼むから!何もしねェって!」

    すると少女は矢を放つ構えを取った。
    おれは咄嗟に割り込んで少女を拘束し、弓矢を遠くに追いやった。
    抵抗しないと言った直後にこれだが許してくれ。

    「くそ……!!!」

    「あぁすまない…でももうこれ以上傷つける気は無ェか…ら」

    抵抗した弾みで着ていた布が落ちた。


    少女の肌には至る所に赤紫色の斑点が出ていた。

  • 24二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 14:18:52

    うーんパワフルガール

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:22:11

    コラさんレスから来ました
    めっちゃいいレスだ!
    続き期待!!

  • 26◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 20:34:07

    「………お前、その肌、どうしたんだ」

    「………!!!」

    「…あ!おい!待ってくれ!!!」


    少女はおれが動揺している隙をついて逃げ出してしまった。
    しかし…本当に見るも痛々しかった。
    何かの病気なのか?大丈夫か?
    とりあえずこんな荒廃した島で子供一人を置いてはいけない。
    おれは追いかける事にした。

    ​───────
    「おいこの縄外せ!!誘拐!!犯罪者!!!」

    「頼むからじっとしててくれ。お前病気なんだろ?安静にしとかないと悪化するぞ」

    「黙れこのおっさん!!!」

    まぁ…何があったかと言うと、結局追いついて、抵抗されたから荷物から取りだした縄で簀巻きにした。多少手荒だがこうするしかない。おれは少し強引な面がある気がする。すまん。

  • 27二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:49:40

    やっぱりそういうのは変わってないか…

  • 28二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:51:15

    13年前と同じ事してますね貴方

  • 29二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:52:02

    割と強引に突っ走る側面変わってなくて好き

  • 30◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 21:07:06

    「お前…いつからここにいるんだ?迷子か?親御さんは?兄ちゃん姉ちゃんとかはいるか?」

    「…………………」

    黙り込んでしまった。…まずい事を聞いてしまっただろうか。
    しかし、やっと少女が口を開いた。

    「…もう抵抗したって無駄なんだろ。話すよ。」

    この島には数週間前から滞在しており、ここでサバイバル生活を送っていたらしい。道理で服が大分汚れている訳だ。
    どうしてそんな事に、と話しかけると、誰かに追われていたためとの事だった。

    この肌のせいだろうか。

    「んじゃあ、とりあえず病院に行こう。お前の病気治してもら…」


    「あたしは!病気じゃ!!!ない!!!!!!」

  • 31二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:20:55

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:26:12

    赤紫色の斑点って聞いて殴打痕かと思ったけど病気なのか…?

  • 33◆VCj9Ok8TTg22/11/26(土) 23:03:04

    「病気じゃない!伝染りもしないし!こうやって動けてる!あたしは…」

    「分かった!分かったから、詳しく話してくれ」

    「お前に話す事なんざねーよ!ハゲ!!」

    「ハゲ……」

    こんな少女に言うことじゃねーだろうから心ん中で言わせてもらう。


    なんつークソガキだコイツは!!!!!

  • 34◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 23:03:51

    ヤバいトリップミスった!!!!!!

  • 35二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:25:33

    ローの妹?

  • 36二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:26:59

    >>35

    ラミはこんなに口悪くないし歳が合わないぞ

  • 37◆8HAMY6FOAU22/11/26(土) 23:37:48

    こんのクソガキめ!人がせっかく心配したっつうのに!
    半ば苛立ちながら縄を解こうと手をかけた。こんなに態度が悪いとは…
    もう関わらない方が自然か。

    「あぁ…そうか。もういいよ…んじゃあおれはさっさとどっかに行くさ…縛って悪かっt」

    グゥ〜…………………

    「「…………………。」」


    ​───────
    「このおにぎり梅干し入ってる!!すっぺぇ!!」

    「なーに言ってんだよ。そこが美味ェんだぞ?後保存も効くんだ!しかも殺菌効果まで…」

    「知るか!」

  • 38二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:38:46

    あら~

  • 39二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:39:22

    結局飯分けてるの草

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 23:45:48

    梅干し美味しぞ!!

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 10:19:52

    食の好みは変わってないのね

  • 42◆8HAMY6FOAU22/11/27(日) 19:19:30

    酷い腹の鳴りようだったんで結局飯を全部分け与えてしまった。
    多少生意気だがやっぱりガキンチョはガキンチョって所だな。
    さてこっからどうしようか…

    「……あんた、ここで何してんだ?まさかこうやって油断させてあたしを突き出す気じゃないだろうな」

    「だからんな事しねーよ!おれァ長い事島から島へと渡り歩いてるただの旅人だ。実は13年から前の記憶が無くなっててな…何か刺激があれば思い出すかもしんねーと思って、こうやって放浪してんのさ。」

    「………イマイチ信用出来ない。あたしが故郷を離れてから出会った奴らは、皆あたしを敵視してきた」

    「…なぁ、本当に何があったんだ?病気じゃないっつっても…その肌は一体どうしたんだ。マジで…」

    「………………」

  • 43◆8HAMY6FOAU22/11/27(日) 19:31:16

    ……頑なに話そうとしない。
    さっきあったばかりの奴を信用するのは流石に難しいのか。
    どうすりゃいい………


    そうだ。

    「…よし分かった!おれがお前を治してやる!お前を連れて医者探しの旅をすれば刺激されておれの記憶も戻るかもしれねェ」

    「…………ハァ!!?!?頭おかしいのか!?!?大体医者なんぞにかかったって無理だ!お前が思ってるほど甘くない!」

    「んな悲観的になんじゃねーよ。何だお前、病院こえーのか?普通のガキみてェな事言ってんじゃねェ」

    「ガキじゃない!無茶言うな!お前あたしが何でこんな島にいるのかも分かってないんだろ!」

    「へーへー。ほらさっさと船行くぞ」

    「おいやめろ!離せ!誘拐犯!不審者!変態!ロリコン!」

    最近のガキンチョはそんな言葉どこで覚えてくるんだ…

  • 44二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 20:17:06

    強引過ぎるよォ

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 22:04:42

    ローの時はさらに強引だったよ…

  • 46二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 22:12:53

    すごいグイグイ行くゥ…変わってない…

  • 47◆8HAMY6FOAU22/11/27(日) 22:25:17

    「その肌いつからそうなってる」

    「お前に関係ないだろ!」

    「いいから話せ。お前の事を知らないと治せるもんも治せねェ」

    「あたしだって分かんないんだよ!!」

    「分からない?医者からどんな病気か言われなかったのか?」

    「医者なんざいなかった!!」

    どういう事だ?自分でも何の病気か分からない?医者がいない?一体こいつに何があった??
    とにかく診てもらおう。
    無人島を離れ、近くの島の町に着いた。
    ここにはデカい病院があるな。良い薬が貰えそうだ。
    ほら、あと少しだ頑張れ。

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 22:46:12

    あっ⋯⋯(察し)

  • 49◆8HAMY6FOAU22/11/27(日) 23:09:06

    「今日はどうされました?」
    中年の医者がニコニコとした顔で話しかけてきた。しかしガキンチョはただ俯くばかりだった。

    「…………………」

    「ほら、ちゃんと医者に肌を見せてみろ。きっと治してくれっから。」

    「ちょっとごめんねぇ、見る…ね…」

    「…………!?」

    紫色の斑点を見た途端、医者がわなわなと震え出した。
    一体どうしたんだ。
    少し固まった後、周りにいた看護師にヒソヒソと相談し始めた。

    「……おい、あの子供の斑点は……」
    「間違いないです、メープル島で流行っていると報告されて…」
    「…コイツは不味いぞ。とにかく軍に連絡を…!」


    「……!!!」

  • 50◆8HAMY6FOAU22/11/27(日) 23:20:49

    軍に連絡、という言葉を聞いた途端、アイツが逃げ出してしまった。

    「…あ!!逃げたぞ!!あのガキを捕らえろ!!」

    ……どういう事だ!!?

    「おいアンタ!何のつもりだ!アイツは病人なんじゃないのか!?捕まえて何する気なんだ!!」

    「冗談じゃない!あの紫色のアザは間違いない!最近、メープルという島が戦争によって壊滅的な被害を被った。それで調査に立ち入った軍隊の奴らが軒並みあのアザが出た後体調が悪くなり、挙句の果てには死者が大量に出たんだ!!伝染病に罹ったに違いない!恐らく生物兵器か何かを使ってたんだろう、ガキを捕えないと感染が拡大する!」


    『あたしは病気じゃない 伝染りもしない』

    アイツはああ言っていた。
    どっちを信じればいい。

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 07:29:00

    ヒェッ…これはデマ?それとも…

  • 52二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 07:33:50

    どっちかがウソなんだろうなぁ

  • 53◆8HAMY6FOAU22/11/28(月) 16:36:12

    おれは一瞬迷った。この医者の言う事とアイツのどっちを信じればいいのか。
    頭の中でグルグルと考えていると、ある言葉がおれの脳裏をよぎった。


    『ホワイトモンスター!!!帰って!!!お願い!!!』


    何の台詞だ、これは。
    そう思ったが、この言葉がよぎった後、おれがとった行動は一つだった。


    「逃げたぞ!!!あのガキと大男を捕まえろ!」

  • 54二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 16:40:30

    ああ…暴力は振るわないんだ…

  • 55二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 16:47:29

    >>54

    描写してないだけで病院ブッパはやってる可能性

  • 56二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 22:21:05

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 22:32:14

    武器持ってたらやってた、今持ってるか不明なだけで武器持ってたら九分九厘病院ブッパしてる(確信)

  • 58◆8HAMY6FOAU22/11/28(月) 22:48:22

    「だから言ったろ!!もうほっといてくれ!!」

    「うるせェ!!とにかくこっから出るぞ!」

    畜生、まさかこんな大事になるとは。
    マジでコイツ何もんなんだ!?ただの病気でこんな事になるか!?


    ​───────
    追ってきた奴らを軒並みぶちのめして、船に戻った。
    そういえばあの医者が戦争がどうとかこうとか言っていた。
    コイツはまさか戦災孤児なのか?

    「…なぁ、お前」

    「何なんだよアンタ!!急に現れたと思ったら誘拐まがいの事しやがって!挙句の果てに治療とか聞こえのいい言葉で傷えぐるような真似して!!いい事して気持ちよくなってるつもりか!?」

    「違う!おれはお前の病気を治してェんだ!そうしたらおれの記憶も戻るかもしれねェ!」

    「ほら見ろ!結局はお前の自己満足だ!お前の軽はずみな行動で迷惑がかかってんだよ!もう次の島で降ろせ!!」

  • 59二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 08:04:17

    治せる医者見つかるまで続くと思うよ

  • 60二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 17:34:21

    い、医者ーー!!まっとうな医者ー!!
    死の外科医きてーーー!!!

  • 61二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:10:15

    麦わら帽子を被ったファンシーな海賊旗を掲げてる海賊か
    笑ってるような海賊旗を掲げた黄色の潜水艦の海賊を探せ!
    絶対にだ!特に後者!!!

  • 62◆8HAMY6FOAU22/11/29(火) 21:44:13

    「…患者を見捨てるどころか殺そうとする医者がこの世にいるか?さっき行った病院がたまたまクソだっただけだ。次に行く病院でならきっと治してくれる」

    「…………もう何言っても無駄かよ。ここまで馬鹿だとは思わなかった…いいさ勝手にしろ。どうせ、あたしは長く生きられない。」
    「……生きてたっていい事なんざ一つも無いからな。あたしにとっても、アイツらにとっても。」


    大分悲観的になっている…
    まだ幼いガキが病に苦しんで、ひとりぼっちでいると思って同情心が湧いて…勢いで連れ出して病院に向かっちまった。
    本当に何の病気なんだ?そもそも病気じゃないって何だ?コイツが嘘をついてるだけか?
    それとも…何か複雑な理由でもあるのだろうか。
    ……小難しい事を考えてちゃ埒が明かない。次の病院はかなりデカい所だ。きっと良い医者が見つかるだろう。
    …コイツとの旅を通しておれの記憶も少しは戻るといいんだが。

  • 63◆M6RY.TzZR222/11/29(火) 22:13:11

    次の病院へ……と思ったのだが、少し遠かったせいか島に着いた時にはかなり夜が更けてしまっていた。
    仕方ない野宿するか……
    少々デカめのリュックからブランケットと下に敷く布を用意する。
    それから…そういやおれ達まだ晩御飯食ってなかったな。
    焚き木するか。

    そこら辺の枝をかき集めた後ライターで火をつけようとしたら止められた。

    「お前どうせ木に火つけようとしたら自分に火がついてのたうち回んだろ。それ前に船でやらかして転覆の危機だったんだぞ。…あたしにやらせろ」


    ごもっともっす

  • 64◆M6RY.TzZR222/11/29(火) 22:13:48

    無事に火がついた。飯ごうに残り少ない米と水を入れて飯を炊く。オカズは…梅干しを入れたら怒るだろうし山菜にするか。

    木材がパチパチと弾ける音以外何もしない。
    沈黙が落ちた。

    その沈黙を破ったのは少女だった。

    「……何で見ず知らずのあたしをほっとかずに連れ出そうなんて思ったんだ、お前」

    「…ん〜そうだなぁ、お前のその肌見たら痛々しくてほっとけなかったって言うのもあるし…誰かと一緒に旅をしたら記憶が戻るかもしれないって思ったのも一つだ。」

    「…は、いい迷惑。あたしはそのちんけな同情と記憶探しの旅とやらに運悪く巻き込まれちまったって訳か」

    …言い方が少々ムッとくるが確かにそうだ。いくら同情心が湧いたからって自分がここまでするとはおれでも驚いてる。自分がそこまで他人の為に動けるお人好しだとはあまり思っていなかった。

  • 65二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 23:30:16

    身体に染み付いてるお人好し

  • 66二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 23:35:22

    そのお人好しで救われた人がいるから
    そのまんまでいてくれ

  • 67二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 08:21:45

    頑張れコラさん

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 16:57:07

    保守

  • 69◆8HAMY6FOAU22/11/30(水) 21:03:59

    「ほら飯炊けたぞ!お前今日朝からろくに食ってねェだろ?」

    「…食欲が無い」

    「育ち盛りのガキがんな好き嫌いしてんじゃねーよ!お前の分は多くついでやったからたんと食え!」

    「余計なお世話だ!…………後これお焦げ多すぎだろ!下手くそ!」

    ぶつくさ文句を言いながらも結構ガツガツと食っていた。やっぱり腹減ってたんじゃねェか。意地っ張りめ。

    さてと……おれも飯を食うk熱ゥ!!!!!!!!

  • 70◆M6RY.TzZR222/11/30(水) 21:12:10

    気がついたらコートに焚き木の火が燃え移っちまってた。
    …ガキンチョが急いで海水を掬って来ておれにかけてくれた。危うく自分が美味しく炊けてしまう所だった。

    「……馬鹿じゃねーのお前!?」

    「ドジは昔からだ、治らない。おれはドジっ子なんだ」

    「自分で言う事じゃねーだろそれ!」

    「でも助かったよ。お前おれの事嫌ってる割には焦った顔もしてくれんだな!」

    「うるせー!ここで間抜けな死に方でお陀仏になられても困るんだよおっさん!」

    そう言い合っている内にガキンチョが目を擦り始めた。満腹になって眠くなったのだろう。

    「…お前そろそろ寝るか?ほら、ブランケットかけてやる。…あ、そうだ!おじさんが子守唄歌ってやろうか!村じゃかなりの評判で…」

    「いらない!一人で寝れる!こっち来んな!」

  • 71またトリップミスってる…22/11/30(水) 21:14:40

    ガキンチョはぶつくさ言いながらブランケットにくるまって寝ちまった。
    子守唄はお気に召さないか。なら…



    『サイレント』
    指を鳴らした。おれの周りにドーム状の防音壁が出来上がる。


    「………?お前何したんだ?」



    「安眠の術だ。」

  • 72二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:39:59

    ガキンチョかあいいね…

  • 73◆8HAMY6FOAU22/11/30(水) 22:03:42

    「……………………。」

    ガキンチョは黙ったままだった。そしてスースーと息が聞こえてきた。そのまま寝てしまったようだ。

    ……さてと。おれも今朝入手した新聞を読んでから寝るとするか。

    音を立てないよう凪を発動してからバサリと新聞紙を広げる。
    今の世界情勢がありありと書かれていた。
    かなり大物の海賊が至る所で暴れ回っているらしい。
    ハートの海賊団という奴らは特に有名だ。チェックを入れて置いた方がいいかもしれない。

    一通り見回した所で、ある記事が目に止まった。


    『メープル島上空に広がるキノコ雲 島民は安否不明 雲の正体は新型兵器か』

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 08:25:32

    キ ノ コ 雲

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 08:33:15

    あかんこれローじゃないと除去できんやつだ…

  • 76二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 12:06:58

    キノコ雲はホントにまずい……

  • 77二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 15:13:41

    メープル…もみじ……あぁ地名の元ネタそういう事か

  • 78◆8HAMY6FOAU22/12/01(木) 20:06:35

    メープル…?
    そういえばあの医者が子供はメープル島の何とかっつってたな。
    …もしかしたら、コイツはそこから逃げ出して来たのか?
    何があった?


    『新世界 メープル島上空に突如としてキノコ雲が上がった。雲は新型の爆弾によるものと思われ、付近の島より軍の調査が入った。メープル島は他島の国と戦闘状態であり、周辺国は戦意喪失を狙い兵器を投入した可能性があると推測している。』

    『本日未明、メープル島に立ち入った軍隊が謎の体調不良を訴え次々に死亡するという事件が起きた。死亡した者は肌に赤紫色の斑点が浮き出ていた他、前日に黒い雨を浴びたと報告しており、関係性があるとみて調査を行っている。一部では新型爆弾の正体が生物兵器であり、何らかの伝染病に罹ったのではないかと噂されており、周辺国は現在メープル島付近の立ち入りを一切禁止し隔離措置をとっている。』


    『尚、伝染病の拡大を防止するため、万が一島から出てくる感染者がいた場合見つけ次第駆除する事が決定した。』

  • 79二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 20:09:06

    黒い雨って……

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 20:10:09

    わぁ………ァ………

  • 81◆8HAMY6FOAU22/12/01(木) 21:17:18

    駆除。感染者を。
    肌に斑点が浮き出ている奴を?

    おれはそっとガキンチョの服をめくった。
    見るも痛々しい赤紫色のアザ。

    アイツが人っ子一人居ない寂れた島でずっと生活していた理由。
    病院を嫌がった訳。

    全てが繋がった。

    おそらくアイツはあの島から命からがら脱出して、軍に追われないよう逃亡生活を続けていたのだ。

    島民の安否は不明。となるとアイツの家族は……


    「パパ……………」

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 21:31:42

    家族、骨も残ってるかどうか怪しいな……建物の『影』になって焼き付いちゃってるかも……

  • 83◆8HAMY6FOAU22/12/01(木) 21:33:01

    国が戦争中だった。
    男の人は皆兵隊になってしまって、隣の家の人が亡くなったって話も聞く事があった。
    パパは体が弱かったから兵隊にならずに済んだけど、家は貧しかった。
    それでも家族は笑ってた。
    「笑っていたら何もかも上手くいくようになるんだよ」と言うのがパパとママの口癖だった。
    弟はおてんばでよくあたしにくっ付いて回ってた。

    あの時が来るまでいつも通りの日常を過ごすはずだった。
    その日は弟が山に行って昆虫と山菜を採りたいと駄々を捏ねたから一緒について行ったんだ。
    大きなセミがいるから頼むよ姉ちゃんって言われたから、あたしは木の日陰になっている部分に回って代わりに取ってやろうとしたんだ。

  • 84二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 22:31:21

    ヒェッ

  • 85二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 22:33:42

    うっっわ…

  • 86二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 22:34:32

    ピ○ドンじゃん…悪夢の兵器じゃん…

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 22:35:27

    若干不快になるかもしれない元ネタって多分コレの事か…確かに聞いてて気持ちのいいものではない生々しさがある

  • 88◆8HAMY6FOAU22/12/01(木) 22:44:28

    もう少しでセミに手が届きそうと思った時だった。
    辺り一面真っ白になったみたいな感覚だった。
    気がついたら体が宙に浮いてどこかに吹き飛ばされてた。

    気がついたら木の下敷きになってた。しかも木の幹がめちゃくちゃ熱かった。
    どうやら日陰にいたのが幸いしてあまり火傷しなかったらしい。
    まず弟を探した。アイツは日向の方にいた。ヤバいかもしれない。そう思って名前を呼びながら必死に探したんだ。

    そしたら瓦礫の下に弟の腕が伸びてるのを見つけて、助けてやろうとして思いっきり引っ張った。


    出てきたのは焦げた袖が少しくっ付いた腕だけだった。

  • 89二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:02:07

    怖すぎだろ

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:07:25

    実際こんな感じだったらしいからな…
    本当に一瞬の出来事で…

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:10:49

    親御さん早く来てあげて

  • 92◆8HAMY6FOAU22/12/01(木) 23:30:19

    パニックになった。この腕は弟のじゃない、きっと違う人のだろうって。
    でもいくら探しても弟がいないんだ。
    嫌だ。さっきまで笑顔だった弟が腕だけになるなんて。

    パパとママは?友達は?どこ?
    怖い。
    やっとの思いで火が回りかけてる山から降りた。
    原型を留めてる建物が全く無い。
    全部燃えてる。あたしの家は。そう思って必死に走った。

    家は全壊だった。
    でもあたしが心配だったのは家じゃなくてパパとママだ。
    助けて。弟が大変なんだ。一緒に探して。
    そう言いたくてがむしゃらに家だった瓦礫をかき分けた。でも見つからない。
    もう少し深い所に下敷きになっているのか。そう思って黒い木の枝の様なものをどけた。

  • 93二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:35:33

    アッ……アッ……

  • 94二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:36:11

    ああああ

  • 95二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:36:44

    ただの焦げた木の枝……だよな?

  • 96二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:38:11

    何が恐ろしいって、こういう展開は確かにあの世界で実際にあってもおかしくない事である(イムビームを思い返しながら)

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 11:17:26

    つらい

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 18:04:00

    それ本当にどけて良いやつですか…?
    よく見たらわずかに原形をとどめていたりしない?
    ただの木の枝であってくれ頼むから

  • 99◆8HAMY6FOAU22/12/02(金) 18:05:18

    掴んだ物は枝にしては少し柔らかい感触だった。
    ちょっと不思議に思ってよく見てみたんだ。


    焦げた人の腕だった。
    それはパパが持っていた時計を付けていた。

    絶句するしか無かった。
    じゃあママは?ママはどこにいるの。
    泣きながら家の周りを探した。

    結局ママは見つからなかった。
    あったのはいつも着ていたエプロンの切れ端だけ。
    それ以外は何も無かった。
    友達の所に行こうとして川に行ったら動かなくなった人が沢山浮いてた。友達もいた。

    あたしはただ呆然としながら一人燃え盛る町中を歩いた。
    その時ふと雨が降ってきた。


    黒い。

  • 100二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 18:11:26

    妙に生々しいの何とかならないんすか…

  • 101◆8HAMY6FOAU22/12/02(金) 19:58:06

    黒い雨はベタベタしてた。これ何?
    よく分からないけど喉が渇いたから水溜まりの雨水を飲んだ。汚いけどそんな事言ってられなかった。

    軍隊か何かが黒焦げの死体をトラックに積んでた。あたしはそこに隠れた。
    そのまま死体の山に囲まれて島を出た。

    島を出てからしばらくすると少し気分が悪くなった。
    自分の肌をよく見てみると紫色のアザが浮き出ていた。
    …何これ。
    そう思って近くの病院に行って助けを求めた。
    あたしが向けられたのは医者の暖かい眼差しではなく銃口だった。

  • 102二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 21:09:08

    洒落にならん怖さがある

  • 103二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 23:21:39

    死体の山に囲まれて脱出、ってこれロー……

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 08:45:00

    ほんと兵器ってクソ

  • 105二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 09:37:36

    兵器って殆どクソしかないから
    滅べばいいよあんな物
    世界に要らないものだし

  • 106二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 18:49:54

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 21:00:57

    つらい

  • 108◆8HAMY6FOAU22/12/04(日) 01:47:16

    皆があたしを汚い物に触るような目で見てくる。
    医者は病気の患者を治してくれるんじゃないのか。
    何故殺されかけてるのか意味が分からない。
    あたしが何か悪い事をしたの?
    島を出ても常に死と隣り合わせだった。

    寂れた島で軍から隠れる為にサバイバル生活をしていた。
    あのデカいおっさんの事を軍から送り込まれた奴か何かだと勘違いして襲ったが、まさか連れ出されて医者探しの旅をする羽目になるとは思っていなかった。
    結果くらい分かりきっているのに。

    あいつは何故必死になる?
    …単純に自分の記憶を思い出す為にあたしを利用してるだけなのか。

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 07:51:02

    少女ちゃんよ、君にもその内分かる
    その人のとんでもねえ愛ってやつが

  • 110二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 18:23:10

    愛じゃよ愛

  • 111◆8HAMY6FOAU22/12/04(日) 20:39:13

    「パパ………」

    ガキンチョは確かにそう言った。
    あの島で一緒に暮らしていただろうコイツの家族がどうなったのかは想像に難くない。

    あの無人島にいたのも、殺されかけた所を逃げてきたからか。

    畜生。何でまだこんなに小せェガキが辛い目に遭わなきゃいけねェんだ。
    大丈夫だ。こないだ訪れた病院の医者がクソ過ぎただけだ。
    おれがあらゆる病院を回って絶対にお前を治してやる。
    きっと1人くらい良い医者がいるはずだ。

  • 112二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 07:13:36

    コラさん優しいよほんと…

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 07:36:10

    でもその発想は何か嫌な予感するんすけど…

  • 114二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 16:49:27

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 23:35:20

    コラさん……コラさんは一生懸命だけど、一生懸命が報われるとは限らないのが辛い……

  • 116◆8HAMY6FOAU22/12/06(火) 01:14:33

    「「ガキを早く殺せェ〜!!あの島から出てきたガキだァ〜!!」」

    「病気罹ってる小せェガキに向かって殺せとは何だてめェら!!全員ぶっ殺してやろうか!!」

    「もうやめろお前!早く逃げるぞ!!」

    「「近寄らないでェ〜!!伝染ったらどうするんだ!!どっか行けバケモノ〜!!!」」

    「どいつもこいつもふざけた事抜かしやがって!!誰がバケモンだ!!もういっぺん言ってみろ!!」

    「だからいい加減にしろってば!!」


    ​───────

    「……これでもう分かっただろ。仮にこの世界に治療法があったとしても、誰もあたしを診ようとしない。あたしはもう死ぬしかないんだ。」

    「またそんなバカな事言ってんのか。…その…おれァ人を見る目ってのがあまり無ェのかもな!おれが目星をつけた奴らがどいつもこいつもクソ野郎ばっかだっただけでまだきっと良い医者が…」

    「…そっか。もういいよ。アンタの無茶ぶりには慣れたからな。…あたしが死ぬまでせいぜい自分の旅を続けろよ。」

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 08:29:48

    くっ…そうか、自分の為とも言っちゃってるもんな

  • 118二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 17:25:32

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 19:26:45

    やっぱりこうなるか…

  • 120二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 20:00:06

    なんとかローと合流できんもんか

  • 121二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 02:46:31

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 08:49:51

    コラさん…

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 20:15:14

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 01:44:30

    ほしゅ

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 12:51:22

    ほしゅ

  • 126二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 20:01:54

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 07:39:03

    少女よ救われて

  • 128二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 08:52:47

    外科医早く来てくれ

  • 129二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 08:54:22

    このレスは削除されています

  • 130◆8HAMY6FOAU22/12/09(金) 15:33:01

    ガキンチョの体には斑点の数が増えていく。
    最近は髪の毛が束のように抜けている。女の子なのに禿げてしまったりしたらあまりにも酷だ。早く何とかしてやらねェと。
    今日の病院もダメだった。もうここの近くには全て回った。お陰で指名手配じみた事をされてる。とりあえず今日は寝て、朝起きたらここを離れた方がいいな。

    「寒くねェかお前。おじさんと寝るか?」

    「誰が寝るか!向こう行け変態!」

    「相変わらずつっけんどんだなぁ…」

    その後しばらく沈黙が流れた。もう寝たのか…と思っていたら、向こうを向いたままのガキンチョがボソリと呟いた。

    「…お前、政府の役人とかじゃないんだよな」

    「…?だから何度も説明したろ。ただの記憶探ししてる旅人だって」

    「……そっか」

    「…何か思う事があんのか」



    「…あたしの国が滅びたのは政府のせいだ」

  • 131二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 01:59:28

    ほす

  • 132二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 11:43:57

  • 133二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 12:57:56

    oh…薄々は気づいてたけど
    ローに重なる
    つーかこれコラさんの生存フラグ大丈夫?
    13年前の事するなよ?絶対にするなよ?
    フリじゃないからね?!

  • 134◆8HAMY6FOAU22/12/10(土) 13:33:57

    「あたしの両親は戦争を早く終わらせてくれと国に訴えてた。もうこれ以上戦っても負けるのは確実だろうから、犠牲を増やさず降伏しろって叫んでたんだ」

    「でも上の奴らはそんな事聞き入れてくれなかった。むしろ国の為に戦って死なないなんておかしいっていつも蔑まれた。親はそれでもめげなかったけれど…」

    「あたしは、逃げてる時に話を耳にした」

    「メープル島と戦争をしてた国は世界政府に多額の寄付金を送って、ベガパンクって科学者が研究してたデータの一部を横取りしたんだ。そのデータに載ってた新種の元素ってやつを使えば、凄い破壊力を持った新しい爆弾が作れるかもしれないって」

  • 135◆8HAMY6FOAU22/12/10(土) 13:43:24

    「政府はその新しい爆弾の性能を知りたがった。どれくらい人を殺せるのか、どれくらい家を壊せるのか…」

    「……あたしの国は元加盟国だった。降伏するって宣言を受け取って戦争を終わらせれば、戦争をしてた国の了承を得て世界政府にまた加盟出来たんだ…そのはずだった」

    「親が来る日も来る日も必死に抗議してたらね、次第に仲間が集まってきてくれたんだ。それで全員で国のトップに訴えかけたら、とうとう折れてくれて、宣言を受け取るって言ってくれた。これでようやく戦争が終わるんだって皆思ってた」


    「……親は何もかも上手くいくって言っただろって言ってくれたのに」

  • 136◆8HAMY6FOAU22/12/10(土) 13:54:14

    「…」

    「爆弾の効能を知りたかった政府は…投下する前にそれをされると…戦争が終わってしまうと都合が悪かった。もう降伏した国にそんな事したら当然非難される。だから…」

    「政府は戦争をしてた国に多額の賄賂を渡して、メープル島が宣言を受け取ったのを無かった事にしたんだ…もう負けるって分かりきってるのに、それでも頑なに戦争を続けようとするバカな国だって、事実を書き換えたんだ」

    「これなら例え爆弾を落として国が滅びても…自業自得だって言えるから…むしろ、爆弾で戦争を早く終わらせたって口実に使えるから…」

    「……これは全部、裏で生きてる人達が話してたから、多分世の中の奴らは皆知らない」


    「……悔しい」

  • 137二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 14:48:13

    うーんこのクソ政府

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:34:41

    ひでぇ…

  • 139◆8HAMY6FOAU22/12/10(土) 21:02:23

    今日はここまでれす

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 03:24:52

    乙です!!やはり政府はクソ案件でしたね…
    ロー!!早く来てくれロー!!

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 09:46:35

    ベガパンクのデザイン元がおそらくアインシュタインなのも相まって生々しい…

  • 142二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:51:18

  • 143二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 20:50:33

    しゅ

  • 144二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 05:03:37

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 14:39:32

    続き気になるワクワク

  • 146◆8HAMY6FOAU22/12/12(月) 21:55:58

    あまりにも惨い話だった。
    コイツの大切なものがいなくなったのは、おそらく一瞬の事だったのだろう。

    「……そいつは………酷ェな」

    「…だから、政府に関わりのある奴らは顔も見たくない。会ったらぶっ殺してやりたいぐらいだ」

    「……安心しろ。おれは政府関係者でも何でもねェよ」

    「……そっか」

    「最後まで聞いてくれたんなら、スッキリしたよ。ありがとう。…どうせ言った所で何も変わらないけど」

    「もうそんな事言うな。明日にはここを離れてまた次の町に行こう。…そうだ!美味ェ食いもん買ってやる!人間メシ食ったら元気になるぜ!」

    「………勝手にしろ」
    「」

  • 147◆8HAMY6FOAU22/12/12(月) 21:56:55

    (最後の「」は入力ミスれす…)

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 07:08:22

  • 149二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 13:57:59

    嗚呼そうだよね今のコラさんは政府の人では無いよね……

  • 150二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 22:58:48

    しかしこれまた政府はクソ案件…ひぇ…

  • 151二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 10:59:02

    このレスは削除されています

  • 152二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 15:17:28

    なーんか聞いたことある話ですねぇ...?
    だとしたらガチヤバなんですが...?

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 23:45:32

  • 154二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 06:35:16

    hs

  • 155二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 17:37:07

    保守!

  • 156二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 22:20:35

    さあどう転がるのか

  • 157二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 06:57:27

    hs

  • 158二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 17:23:15

    続きが気になる。どうかハッピーな方へ転がってくれ。

  • 159二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 18:49:32

    ハピエンのため保守

  • 160二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 21:28:07

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 04:36:16

    ほしゅ

  • 162二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 14:21:02

    保守しましょう

  • 163二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 21:48:52

    少女とおじさん、行く果ては

  • 164◆M6RY.TzZR222/12/17(土) 22:00:43

    島を離れて遠くの町まで来た。病院に行く前に腹ごしらえをしようと思い、近くの売店で食いもんを買った。今正直金があまり無かったので、粘って値引き交渉をしていたらガキンチョを長く待たせてしまった…

    「よし何とか安く買えたぞ!そら食え!」

    「……………」

    「………どうかしたか?」

    「………別に」

    ガキンチョの見る方向には、戯れている家族の姿があった。
    姉弟だろうか。姉の方が弟にアイスクリームを分けていた。

    「……ちょっと羨ましいなって思ってただけ」

    「……………」

    「よし、じゃあおじさんとお前とで分けっこしようぜ!」

    「…いらない。お前の分はお前が食えよ」

    「いーやおれは大丈夫だ!お前はまだガキだからたくさん食べねェといけねェがな、おれみたいなおじさんになると少し食っただけですーぐ胃もたれ起こすんだぜ!?」

    「…………」

    「…ははっ 不健康」

    旅をしていて彼女が笑ってくれたのはこれが初めてだった。
    おれはその僅かな笑顔を見て、何としてでも病気を治してやりたいと改めて思ったんだ。

  • 165◆8HAMY6FOAU22/12/17(土) 22:16:39

    「…よし食ったな!病院行くぞ」

    「だからもう何やっても無駄だっつったろ」

    「またそんな事を……」


    「メープル島の事件聞いたか?戦争に負けて滅びたっていう」

    ガキンチョを説得している時に、ふと通行人の会話が聞こえてきた。

    「あーあれだろ…相手国がもう降伏しろって何回も説得してたのに戦争続けようとしたやべー国」

    「自業自得だよな 相手国も大変だよ」

    「逆にこれ以上犠牲が増えないよう戦争を終わらせてやったんだから感謝しろって感じだよな 滅びてざまぁみろって話だ!」

    「しかもあの新型兵器伝染病か何かばら蒔いたって聞いたぜ?あの島に入った軍隊軒並み死んでるらしい」

    「うげぇ気の毒過ぎるな軍隊 島に生き残りとかいんのか?いたらヤバくね?おれらに病気伝染んじゃん!」

    「もうさっさと滅んでくれって感z」

  • 166◆8HAMY6FOAU22/12/17(土) 22:28:22

    おれは気がついたらその通行人を殴り飛ばしていた。
    やっちまった。

    「キャーーー!!!誰か来てーー!!人が襲われてるーー!!」

    「お前何してんだ!!?!?!?」

    ガキンチョが冷や汗をかいて駆け寄って来た。だがおれはお構い無しだった。

    「…もういっぺん言ってみろ」

    「は!?何だよおっさん!!おれ達何もしてねーだろ!?」

    「もういっぺん言ってみろっつってんだ!!!何が自業自得だ!!何が伝染病だ!!?何も知らねェ癖に好き勝手言いやがって!!!」

    「んなもん知るかよ!?おれは思った事をそのまま言ってただけなんだよ!!国が滅びたのは身から出た錆だろ!?」

    「この……」

    「もうやめろ!!!!」

    おれがもう一発殴ろうとした時、ガキンチョが声の限り叫んだ。

    「………もういいから…行くぞ」


    駆けつけてくる警察を振り切りながら、おれ達は町を後にした。

  • 167二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 10:18:31

    保守

  • 168二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 11:50:32

    コラさん…(泣)

  • 169二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 11:51:04

    ですよね〜…

  • 170◆8HAMY6FOAU22/12/18(日) 14:39:34

    「……もうこの町にはいられねェな。次んとこ行くか」

    凄く気まずい。怒りに任せてついやりすぎちまった。
    どんな顔をしてコイツと目を合わせりゃいいのか分からない。
    クソッタレ。コイツの病気を治すはずの旅なのに、結局迷惑を被り続けちまってるのは誰だ。おれはどうしていつもこうなんだろうか。

    「……………」

    ガキンチョは黙ったままだった。
    そりゃそうだ。怒ってるに決まってるだろう。あの町に良い医者がいたかもしれないのにおれの行動のせいで行く機会がパーになったんだ。

    「…すまねェ。カッとなって…考えるより先に手が出ちまったんだ。お前は…ずっと耐えて、頑張って来てたのに、真実を知らないとはいえ…平気であんな事言う奴らがムカついて仕方なかったんだよ」

    「…お前がおれと一緒にいてもいい事なんて無いよな。…悪かった。おれの勝手に巻き込んじまって…もう旅はやめに」


    「嫌だ。ついてく」

  • 171◆8HAMY6FOAU22/12/18(日) 15:02:12

    !?

    「…いや、おれといても迷惑だろ、だから」

    「こんなだだっ広い町に子供1人無責任に放り出すつもりなのか?お前があたしを連れ出したんだ。最後まで面倒見ろ。それに……」


    「あの時、怒ってくれて、嬉しかった」

    ガキンチョからとんでもない台詞が飛び出た。

    「…ああいう事は、逃げる途中で何度も聞いてきた。もう慣れたと思ってたけど…やっぱり悔しかったんだ。どうしてあたしの家族や国が、あんなに侮辱されなきゃいけないんだって、どうしてあたしばかりこんな目に遭うんだって…」

    「…でも、あんたはあたしの為に怒ってくれた。それが…凄く嬉しかったんだよ」

    「だから…あんたと一緒に行きたい。駄目か?」

    …………
    答えは1つしか無かった。

    「駄目じゃねェに決まってんだろ。2人で一緒に世界を旅しよう。そんで、病気を治すんだ」


    「……あぁ。好きにしてくれ。ロシーおじさん」

  • 172◆8HAMY6FOAU22/12/18(日) 15:33:13

    アイツが初めておれをあだ名で呼んでくれた。
    こんなに嬉しいのは初めてだ。
    でもおれはこの感覚を随分前にも味わった事がある気がする。
    でもそれより深い事は思い出せない。どうしてなのか。
    アイツと過ごす内に何かデジャヴの様なものを感じる事が多くなった。
    もしかすると、おれはこんな風にガキを拾って一緒に旅をした経験があるのかもしれない。

    「ロシーおじさん、夜ご飯出来たよ」

    ガキンチョがスープの入ったお椀をスプーンと一緒に持って来た。でも手渡してはくれない。何故なら渡した途端おれがひっくり返して大惨事になった事があったからだ。なのでガキンチョにお椀を持って貰って食うという介護みたいな絵面になってしまう。

    「もういい歳したおっさんがこんな子供に世話されてるなんてな…」

    「おれはドジっ子なんだ。許してくれ」

    「開き直んなバカ!」

    「お前怒った顔怖ェな!?」

    「うるせェ!余計なお世話だよ!」

    そうやってしょうもない事で喧嘩していると、茂みからガサガサと音がした。
    目をやると、2匹の子猫が出てきた。
    兄弟だろうか?

  • 173二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 22:33:56

    うぉおおお(号泣)
    良かった…良かったねぇ…
    次はにゃんことな?

  • 174二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 22:43:09

    はやく黄色の潜水艦と合流して……

  • 175二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 07:04:15

    ほしゅ

  • 176二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 18:55:00

    保守

  • 177二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 06:23:48

    ほしゅ

  • 178二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 07:19:50

    続きが気になるぜぇ…

  • 179二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 18:53:50

    早く死の外科医きてー
    わたあめ大好きでもいいから!

  • 180◆8HAMY6FOAU22/12/20(火) 19:08:54

    「「猫?」」

    みゃあみゃあと鳴いて近寄って来た。少し大きい猫は小さい方の猫を庇うようにして出てきている。

    「…もしかして、お腹空いてるの?」

    ガキンチョが言うと2匹の子猫は返事をした。どうやら正解のようだ。
    おれがどうしようかとあたふたしていると、ガキンチョがスープを持ってきて、具材の肉を分け与えていた。
    大きい子猫の方が口でパクリと咥えると、そのままもう一方と一緒に離れて行ってしまった。

    2人で見守っていると、兄猫が弟猫に肉を分けていた。

    「…いい兄ちゃんだな」

    ガキンチョが俯きながら呟いた。

    「………あたしにも弟がいたんだ」

    「あたしと比べたらヘタレな奴で…でもお転婆で、よくあたしの後ろに引っ付いて来てた…本当に可愛くて自慢だった」

    「それなのに…」

    「……故郷が滅びた時、あたしは誰よりもアイツの傍にいたのに、助けられなかった」

    「…あたしって 本当に駄目だな」

  • 181◆8HAMY6FOAU22/12/20(火) 19:27:33

    「お前は悪くないさ」

    今のおれは励ます事しか出来ないけれど。

    「何もかも失った訳じゃない…現にお前の優しさはしっかり残ってんじゃねェか。おれがどうしたらいいかって悩んでる隙に…お前は何の迷いもなく飯を分け与える事を考えた。優しさや思いやりが無きゃ出来ねェ事だ」

    「弟にとって、お前は誰よりも自慢出来る立派な姉ちゃんだった筈だ。きっと…お星さんになってお前を見守ってくれてる」

    「お前は1人じゃない。よく頑張ったな」

    人は死んだら星になって生きてる奴を見守るようになるなんて、根拠の無い迷信を持ち出してしまった。でもコイツの心に寄り添うにはこれが最善だとも思った。
    おれは、コイツにいつも笑顔でいて欲しい。


    「………っふ」


    ガキンチョが泣き出した!!?

    「…うぉおお!?大丈夫か!?おれ傷ついちまう事言っちまったか!?すまねェ!!」

    「違う…違うの………」

  • 182◆8HAMY6FOAU22/12/20(火) 19:42:59

    「……あたしが一番言って欲しかった言葉を言ってくれたから、つい…」

    「ずっと…辛かった。孤独だった。誰かに助けて欲しかったんだ…自分はひとりじゃないって…言って欲しかった」

    「ありがとう」


    ガキンチョはそう言いながらポロポロと涙を零していた。
    おれはコイツをどうしようもなく愛しく思って、ただ黙って抱きしめていた。

    静かだ。

    この胸に広がる暖かな感覚。
    きっとこれは「愛」だ。
    13年前にも味わった事がある気がする。
    誰かをこんな風に愛した事があるのだろうか。
    おれはまだ、思い出せない。

  • 183◆8HAMY6FOAU22/12/20(火) 19:43:58

    区切りがいいので次スレに続くれす

  • 184二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 19:49:11

    乙でした!!うおお「愛」…!!
    ビッグラブ…!!

  • 185二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 19:54:13

    愛は地球を救うから…(適当)

  • 186二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 20:20:11

    はよ思い出したげて…

  • 187二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 20:41:23

    頑張って思い出してローに会いに行って欲しい

  • 188二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 21:54:08

    埋め

  • 189二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 06:39:06

    埋め

  • 190二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 09:02:35

    次レス期待!

  • 191二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:04:33

    次スレきたので梅

  • 192二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:48:00

    誘導お願いしたいな…検索で出てこない…

  • 193二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:48:23
  • 194二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:53:17

    ありがとう!!埋め!!

  • 195二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:55:00

    ロシーおじさんと少女の行く末や如何に

  • 196二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:56:37

    果たしてロシナンテの記憶は戻るのか

  • 197二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:57:47

    ローとの再会は叶うのか…

  • 198二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:58:28

    過去は繰り返される?

  • 199二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:59:04

    未来は変わる?

  • 200二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:59:21

    続き楽しみにしてます

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