- 1122/11/26(土) 15:39:10
訳あって立て直し、なして消えてもたん?
コンコン「入りまーす」
ノックと共に一人のウマ娘が入ってくる。小柄な体と長い黒髪、青のリボンをつけたそのウマ娘こそ僕の担当ウマ娘、ディープインパクトだ。
「トレーナーさん、今日の練習メニューを教えてください!」
「今日は坂路トレーニングだ。スタート練習はもう大丈夫だ」
「りょーかい!じゃあ行きましょう」
彼女と一緒に坂路へ向かう。思えば彼女との出会いは知人からの依頼だった。
八大競争を制覇して名前も売れた僕は次の担当を誰にするか探していた、その時「君に担当してほしいウマ娘がいる」と知人から頼まれた。
彼のウマ娘を見る目は一級品だ、昨年も彼の見繕ったキングカメハメハというウマ娘が日本ダービー制覇を成し遂げている。
そして僕の元にやって来たのがディープだ。
初めて見た時は小柄であまり強そうには見えなかった、しかし彼女の走りを見た時衝撃を受けた。
まるで飛ぶような走りだった。
他のウマ娘たちのストライドよりさらに大きな歩幅、それでいて対空時間は短く次の一歩が出るまでが早い、一切の無駄を省いた走り
もうこの時すでに歴史に残る怪物の誕生を感じていた、なんとしてもこの子を担当したいと言って彼女は僕の担当になった。 - 2122/11/26(土) 15:41:25
「トレーナーさん、坂路トレーニング終わりました!」
「お疲れ様、いつも通り良いタイムだ、最後まで加速し切っているしこれなら皐月賞も狙えるだろう」
「でも初めてのG1出走は不安ですよ〜」
「なに、若駒ステークスの時と同じで直線で抜け出せば良いだけさ」
「まぁそれもそうですね、頑張ります!」
「良い返事だな、僕も出来ることは精一杯やるからなんでも言ってくれ」
「じゃあ坂路もう一本走らせてください!」
「疲労が心配だしそれはダメだ」
「プイ〜…ケチ〜…」
不満げな顔で彼女は言う。
「勝つためだ仕方ないだろう。今日の練習はここで終わりだ。」
「分かってます〜、トレーナー室で作戦会議ですね」
彼女はデビュー戦からその力を見せつけていた、新人としては破格の3ハロン33秒台の末脚を繰り出した。
この界隈に長くいるベテランがインタビューで「今までで一番驚いたレースは?」と聞かれた時に「この前のディープインパクトのデビュー戦」と答えたと聞いた時は本当に驚いた。
次のレースでも圧倒的な末脚を見せつけて勝利し皐月賞は確実、三冠すら狙えると言われていた。
弥生賞では僅かにクビ差での勝利だったが皐月賞への心配は一切ない。
そんなことを話していると誰かがノックをした。
「どうぞー」
すると勢いよく扉が開き謎のウマ娘がトレーナー室に入って来て言い放つ
「やーやー我こそはー、京成杯の勝者にしてディープインパクトの終生のライバルなり〜!」 - 3122/11/26(土) 15:41:46
「…すごい子が来たな」
「なんとも言い難い登場ですね…」
「なんですかこの微妙な感じの空気は!まさか私の事を忘れたとは言わせませんよ!」
「「ど、どなたですか?」」
「えええー!!あなたの勝った弥生賞で三着のアドマイヤジャパンですよ!ディープさんはともかくトレーナーさんは覚えておくべきでしょう!」
「成程、確かに見かけた事がある顔だとは思っていた」
「むむ〜…まぁ良いでしょう。私の事を忘れていたのは少々不服ですが些細な事です、次の皐月賞、あなたに勝って見せましょう!」
「唐突な宣戦布告だな…」
「では失礼します!」
そうして彼女は部屋から出て行った。
「アドマイヤジャパンか、負けるつもりは一切ないが気をつけておこう」
「そうですね、彼女も相当強いでしょうし」 - 4122/11/26(土) 15:44:56
〜皐月賞〜
「ついにこの日が来ましたね、クラシック1戦目の皐月賞!」
「初めてのG1レースだ、他のレースとは空気感、観客の数、熱気は桁違いだ、雰囲気に当てられるんじゃないぞ」
「プイィ〜…とはいえ緊張しますよぉ…」
「まぁ緊張はするだろう、でも緊張しすぎていつもはしないようなミスだけは避けよう」
「もちろん分かってますよ!任せてください!」
「そうです!まだクラシック1戦目、緊張している場合ではありませんよ我がライバル!」
「うわぁ!いきなり入ってくるなアドマイヤジャパン!」
「これは失礼、しかしライバルが緊張しているという聞き捨てならぬ話をドアの外で聞きましたのでつい…」
「あははありがとう…少しジャパンを見たら元気が出たよ」
「それは良かった!ライバルとは友!緊張で万全でない友など見過ごせませんからね!」
「うん、今日のレース一緒に頑張ろう」 - 5122/11/26(土) 15:45:46
ゲートの前にウマ娘達が並ぶ。
三冠の期待がかけられたディープにとっては一番大切なクラシック1戦目、ここで負ければ三冠はナシだ。
ファンファーレが鳴り響き会場の興奮は最高潮になる。
ウマ娘達がゲートに入り終える。
(頼むぞ…ディープ!)
心の中で祈る
運命のゲートが開き、そしてディープは
大きく躓いた
「あ…」
会場でも躓きに気づいた人もいるようで少しどよめきが起こる。
不味い、幾ら序盤は後方につけるディープとはいえこの躓きは大きい、ディープよりは少ないとはいえ僕にも三冠の期待と重圧はかけられている、心臓の鼓動が早まるのを感じる。
私は躓いた、初めてのG1レースの緊張のせいだろうか、一瞬頭が真っ白になりかけたがなんとか体制を取り戻して走る。
大丈夫だ、私の脚質的にそれほど問題はない、ただ落ち着いて残りのレースをするだけだ。
そんなことを考えながらコーナーを前にして私は位置を少しずつ上げていく。
集団はもうすぐコーナーに差し掛かる、この伸びにくいタフな馬場ではディープの切れ味も活かしきれないという読みで彼女には位置を途中で押し上げるように言ったがしっかり上がり始めた。
コーナーを回りディープが加速し始める。
そして
他のウマ娘達を切り捨てた - 6二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 15:45:57
- 7122/11/26(土) 15:46:57
- 8二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 15:48:09
その右手の端末で調べるのだ
- 9二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 15:48:51
なんか広域でIP規制入ったっぽいぞ
- 10122/11/26(土) 15:55:09
- 11122/11/26(土) 15:55:38
初心者のガバ文章なのであしからず
- 12二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 15:56:03
さっきまで全部の IPが規制されててあにまん掲示板全体で更新順が止まってたりしてた
今回はちゃんとSSっぽいスレタイにしてるなと思ったら立て直した後のスレタイががが - 13122/11/26(土) 16:00:09
- 14二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:12:11
- 15二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:13:38
えらい
- 16二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:19:35
続編はどっちに上げるんや?
- 17122/11/26(土) 16:21:26
一応こっちにも載せておきます
ゴール後大歓声が上がる、私だけに向けられた歓声。
昔から走るのは大好きだった、でもこれほどの高揚感は感じたことは無かった、私だけを讃える歓声。
「ああ…楽しい…」
そして思いっきり人差し指を突き立てて掲げる。
かつて皇帝・シンボリルドルフもした自分が勝者だと示すサインであり、これから三冠を取ると言うクラシック路線を目指す全てのウマ娘達への宣戦布告だ。
「おめでとうディープ、まずは一冠目だな。」
「ありがとうございます!G1初制覇で三冠ウマ娘への第一歩ですね!」
「スタートで躓いた時は肝が冷えたけどな。」
「私も焦りましたね…まぁ勝てたのでいいんですよ!」
「そうだな、次は全ウマ娘とトレーナーの夢日本ダービーだ、絶対取りに行くぞ!」
「全ウマ娘の夢…一生に一度きりの大舞台…!」
すると控え室の扉が開きアドマイヤジャパンが入ってくる
「素晴らしい走りでした我がライバル!私もついて行こうと頑張りましたが届かず三着…しかしダービーではこうは行きませんよ!日本ダービーの日本とはこのアドマイヤジャパンのジャパンの事ですから!」
「ありがとう、ダービーに向けてトレーニング頑張ろう!」
相変わらずジャパンはハイテンションだった。
ディープと掴んだ一冠目、次は日本でも屈指の大レース日本ダービーだ、逃すわけにはいかない。
「トレーナーさん、今日のトレーニングの予定は何ですか?」
「今日は東京コースの分析だ、日本ダービーはそれ一点狙いで挑んでくるウマ娘も多い、生半可な対策じゃ負ける可能性もあるからな。」
「一点狙い…つまり究極仕上げのことですね、ダイユウサクさんやライスシャワーさんがそうだと学校で学びました」
「ああ、これ以上ないほどに仕上げると100%をはるかに上回る力が出るからな」
ビデオを見ながら彼女に話す、中山の皐月賞とは全く違う馬場で直線も東京の方が遥かに長いのでまた作戦を変える必要があるかもしれない。
僕もトレーナーとして多くのウマ娘を担当し結果を出してきたが三冠ウマ娘の担当はしたことがない。
とにかく彼女が必ず勝てるように今まで得た知識を全て使って彼女が勝つ方法を考える。 - 18122/11/26(土) 16:22:00
〜日本ダービー〜
5月後半、春の涼しさもかすかに残る初夏だがまるで猛暑のような熱気が東京レース場を包んでいた。
レース場の中にあった謎のディープインパクトの銅像(プラスチック製)には驚いたがそれすら記憶から薄れるほどの大衆がウマ娘の一度きりの輝きを見ようと押し寄せていた
しかしその熱気は控室の彼女には春の陽気のようなもでしかないようだ。
「調子はどうだディープ?」
「プイ〜…大丈夫…です…」ウトウト
「もうすぐレースだ、シャッキリ頼むぞ。」
「分かってますよ…トレーナーさん…ただ昨日は…興奮で夜も目が冴えてて…」
(本当に大丈夫か…?)
レース前だというのに半目になり今でも寝てしまいそうな彼女を見て不安になる、しかしこの精神力こそが強さの一つかもしれないと思い彼女を起こすことは諦めようとしたその時。
「そうです、これはレースに携わる者達全ての夢!微睡んでいる場合ではありませんよ我がライバル!」
「なんだかデジャヴを感じる登場だなアドマイヤジャパン」
「前と同じ台詞で登場というのは少し悩みましたがやはり私らしさを出すにはこれかと思いまして!」
「そんな事はどうでも良いのです、あなたは二冠目で私には夢がかかっているのですからここで寝られては困ります!」
「ジャパンの声を聞いたら嫌でも目が覚めたよ、今日もよろしく」
「よろしい!では私は控室に戻ります!」
相変わらず嵐のような子だ。
あんなキャラだが弥生賞、皐月賞と好走してディープに食らいついてきている、流石ディープのライバルを名乗るだけはあるだろう。 - 19122/11/26(土) 16:22:29
その戦いを勝てたら引退しても良いと言うトレーナーがいる
その戦いに勝ったことで燃え尽きてしまったウマ娘もいる
それが日本ダービー
全てのウマ娘達が求めるゴールであり
僕達の勝つべき通過点
皐月賞の時よりもさらに多くの観客が東京レース場に押し寄せていた。
過去に三度このレースを自分の担当ウマ娘で掴み取ったが未だにこの空気感には慣れない。
他のレースとは違う、自分の応援しているウマ娘ではなくこのレースに出た全てのウマ娘を讃え応援するかのような空気。
血反吐を吐くかのようなトレーニングをしてきてやっとこの場に立てるというのにその中からさらに一着を決めるとは学生の彼女達にはなんと酷な事だろうか。
しかし三冠のためには取らなければならない、ディープで三冠取れなければもう僕が三冠を取る事は不可能だろう。
そんな不安を置き去りにしてレースの準備は淡々と進められる、ゲートに全員が入り終わりそしてゲートが開く、夢の2400mが始まる。
逃げでは調子の良いコスモオーティンがハナを切る展開になった。
どうやら彼女はトレーナーさんの弟さんの担当ウマ娘のようだ。
初めての東京、最後の長い直線に加えてクッション性の高い芝でスピードを出しやすいので私には有利だと言っていた。
皐月賞の時とは違い遅めの四コーナー始めのあたりから位置を上げる。
コーナーを曲がり終えると聳え立つ壁のようにも見える長い坂の直線が見える。
思いっきり脚に力を込める、歯を食いしばり、思い切り蹴り上げる。
苦悶の表情を浮かべ沈むジャパンを横目に一気にウマ娘の集団を飲み込んでいく。
そしてついに先頭に立った、後ろから他のウマ娘達の気配や足音は感じない、恐らく遥か後ろだろう。
毎年デビューするウマ娘は7000以上いる、その7000の夢の頂点に私は立った
ゴール後、思いっきりピースサインをする、
喜びと二冠目だという意味を込めて。 - 20122/11/26(土) 16:23:11
「やったなディープ、五馬身差圧勝で二冠目だ!」
「私、やりましたよトレーナーさん!」
「ああ、残すところは後一つだけだな」
「菊花賞!初めての長距離ですか…」
「さらにレースは苦しいものになるだろう、トレーニングのメニューも変える必要があるだろう」
「そうですね、ところで気になっていたんですがジャパンは部屋には来てないんですか?」
「まだレースが終わってからは見てないな」
「むむー…?てっきり飛び込んでくると思ってたのに」
レースやトレーニングが終わればすぐにディープの元にくるジャパンが来ないことに一抹の不安を覚えながらも僕達は二冠目を喜んだ。
次は最後の一冠、菊花賞だ。
ここまで辿り着いても怪我などの理由で夢を絶たれた二冠ウマ娘たちは少なくない、とにかく怪我だけは無いように気をつけなければならない。 - 21122/11/26(土) 16:24:36
〜夏合宿〜
「ん〜やっぱり北海道は涼しいですねぇ〜」
「そうだな、これから2ヶ月ほどここでトレーニングだ」
「しかし夏合宿は暖かい方に行くことが多いのになぜ北海道に?」
「こっちの方が涼しいから疲労が溜まりにくいからだ。万が一倒れられても困るしな」
「なるほど〜。ジンギスカンや海鮮が楽しみですねぇ、食の宝庫北海道!」
「食べるのもほどほどにするんだぞ、長距離はあまり体重が重くない方がいいからな」
「私は特別な食べ方してるので太らないです〜」
「それならいいんだかな」
「むむっ少しバカにしましたね?」
「シテナイヨ〜」
わざとらしく目を逸らしながら言う
そんなことを話しているうちに僕達は合宿の宿に着いた。
荷物をそれぞれの部屋に置いてからディープと合流してトレーニングメニューをつまえる
「ここからしばらくの間前にウマ娘がいたら前に行きすぎる癖を直すトレーニングだ、長距離ではできるだけスタミナのロスは減らしたい、その中で不要なペースアップの癖は命取りになるかもしれない」
「うっ…痛いところをつきますね、つい前に行っちゃうというか気がついたらふらふら〜っと行っちゃうんですよね…」
「ここのウマ娘達も協力してくれるらしい、前にウマ娘がいる状態で僕が指定したタイムで一定の距離を走ってくれ、途中途中でタイムを測るからそこのペースが変わらないようにするんだ」
「了解です!」
そう言ってディープと協力してくれるウマ娘が走り出す - 22122/11/26(土) 16:25:07
「じゃあ一旦休憩にしようか」
「りょーかいです!」
「はいこれ」
ディープに水とスポドリとバナナを渡す
「とれーなーはん、たいむは…」
「飲み込んでから喋ろうか」
「ふぁい」ゴクン…
「私のタイムどうでしたか?」
「まだばらつきがあるからトレーニングが必要だな」
「難しいですね〜行けたと思ったんですけど」
「休憩中暇ですし私とゲームしません?」
「いいけど何をするんだ?」
「ストップウォッチを見ずに相手が指定したタイムピッタリに止めるゲームです」
「ああ、いいぞ」
「私が先行でやるのでタイムを決めてください」
「じゃあ1分で」
「それじゃあ行きますよ〜……………えいっ!」
「1分15秒だな」
「ええ!?そんなにズレてました!?」
「しっかりズレてるな」
「むぅ…じゃあ次はトレーナーさんがやる番です、タイムは1分3秒で」
「随分刻んだな、まあいいけど」
「スタートして、………….今!」
「すごい!ピッタリです!」
「実は得意なんだよこういうの」
「そんなぁ!?先に言ってくださいよ!」
「ごめんごめん、じゃあそろそろ再開しようか」
「次は負けませんからね!」
「いつでも受けて立つよ」
そんな捨て台詞を残して彼女はトレーニングに戻る。 - 23122/11/26(土) 16:25:47
〜菊花賞〜
10月も後半、すっかり秋になり少し肌寒い。
つい1ヶ月ほど前に行われた神戸新聞杯を難なく勝利しついに最後の一冠菊花賞がやってきた。
「ううぅ…流石に少し緊張しますね…」
「僕もだよ…三冠に加えて無敗なんて緊張して当然だ、でもディープの事だ楽しみの方が大きいだろう?」
「ふふふ…よく分かってますねトレーナーさん、史上2度目のあの皇帝シンボリルドルフ以来の無敗の三冠ウマ娘、興奮がおさまりませんよ」
「ダービーみたいに寝不足なんてことはないだろうな?」
「そこはぐっすり9時間睡眠なので大丈夫です!」
そんなことを"目指せ三冠ウマ娘!ディープインパクト号弁当"なる物ディープと食べながら話す。
「ところでいつもならそろそろあの子が来る頃だと思」
バアン!
凄い勢いで扉が開けられ見慣れたあのウマ娘が入ってくる。
「…ああ驚かせてしまったならすみません、前回は大敗をしてしまった私ですが今回は負けるつもりは一切ありません、世間は貴方のことしか見ていませんが勝たせていただきます」
いつものようにジャパンはディープに啖呵を切る、しかし前までとは雰囲気が違う。
「もちろん私だって評価で慢心するつもりは無いしあなたの強さは一番分かってるつもりだよ、最高のレースをしよう」
ディープもいつもののほほんとした雰囲気ではなく真剣な目で言い返す。
「一切の驕り無き態度…それでこそ我がライバルです…もし今の貴方に負けるなら一切の悔いはないでしょう…それでは
アイタッ!」
キメ顔でディープの方を見て歩いていたためかドアの角にジャパンがぶつかる。
「締まらないなぁ…」
「はは、最後の最後で台無しだったね…でもあの目は本気だろう、足元を掬われないようにしないとな」
「さっきも言いましたが彼女の強さは私が一番分かってますから油断はないですよ」
「そうかごめん、一番油断していたのは僕かもな」
「それじゃあ行ってきます!応援しててくださいね!」
「ああ、行ってこい!」 - 24122/11/26(土) 16:27:51
ファンファーレが鳴りゲートインが終わる
さっきから心臓がうるさい、ディープがペースを守って走れるかだけが気がかりだが夏合宿でみっちりやったから大丈夫だろう。
そんなことを考えているうちゲートが開く。
事前に宣言していた通りシャドウゲイトが飛び出して行った。
シャドウゲイトはかなりの差が開く逃げで2番手のジャパンがウマ娘達を引っ張っていく形になった。
気になるのはディープだ、ジャパンが予想より前に居るからか掛かって少しペースが早くなっているように見える
さっきコーナーで掛かってしまった、内に入ってなんとか一息つけたがそれでも少し不安だ。
ジャパンが前に居るのが見えてから少しペースが上がってしまっていた、夏合宿中に体内時計を鍛えてなかったら自分でも気がつかなかったかもしれない。
ジャパンが少しずつ位置を上げて逃げウマ娘の後ろにピッタリと付く。
ディープはまだ後ろ、予定通り向正面でかなりリードを作れた、確かに菊花賞は外回りだから直線もある程度は長いがそれでも届くのは至難の業だろう。
2番手からロスの無い内を通ってレースが出来ているからまだ私は体力に余裕がある、これなら行けるかもしれない。
直線に入ってリードを保ったまま先頭に立つ、ここまでは完璧…あとは意地と速さのぶつかり合い!
ゴールが見える、ディープがスパートをかけ始めたがまだリードはある、内回り用のコースと合流する点でもまだディープの足音は聞こえない、ゴールはまだ遠く感じる、少し足も止まり始めた、早く…ゴールを…
その時外からあのオーラを感じた。
直線に入った時のペースじゃ追いつかないと思っていた。
しかし違った、彼女はまだ余力を残していた。 - 25122/11/26(土) 16:28:23
彼女を初めて見た時衝撃を受けた、どこまでも駆けていくような美しい走り。
彼女と戦いたい、戦って勝ちたい、そう思った。
弥生賞で戦えると聞いた時興奮が収まらなかった、クビ差で負けたがいつか届くと思った。
でも現実は違った、彼女のライバルを名乗ることにしてから必死に彼女の走りを研究した、すればするほど絶望した。
無駄があまりになさすぎる走り、ほぼ走法の完成系のような走りだった。
それでも負けまいと必死に勝ち方を模索した、授業中もトレーニング中も寝る時も彼女の事を考えていた。
まるで恋する乙女のようだが合っているかもしれない、私は彼女の走りに恋をしていたのだ。
憧れて、戦って、捻じ伏せたい、あまりに偏った恋かもしれないが誰がなんと言おうと恋は恋だ。
ダービーで大敗したあと寝る間も惜しんでトレーナーさんと作戦を考えた、そして5ヶ月間考え抜いた結論がこの作戦だ。
そしてその作戦は破られた、貴方は今日も涼しい顔をして私の横を駆け抜けていく。
どうせ貴方が勝つんだもっと行け、何馬身も付けて抜き去っていけ、人々を魅了するその脚で、私を虜にしたその脚で。
『世界のウマ娘よ見てくれ!これが日本近代競争の結晶だ!ディープインパクト!!』
私の勝利を伝える実況が響く。
大地を揺らすほどの大歓声が聞こえる、涙で空はダイヤモンドのように輝く、勝利を祝福するように一筋の飛行機雲が目に入った - 26122/11/26(土) 16:28:57
「三冠ウマ娘か…感無量だな」
「そうですね…いまだに夢みたいですよ」
「でも紛れもない現実だ、君は三冠を取ったんだ、本当におめでとう」
「トレーナーさんの指導の賜物ですよ!」
「いや、間違いなく君の能力さ、本当に素晴らしい脚だ」
「そう言われると照れますね〜」
ディープと話していると扉が開く
「三冠達成、おめでとうございます我がライバル」
「ありがとうジャパン、ジャパンも凄く強かった」
「君のレースは完璧だった、作戦を考えた君とトレーナーさんには感服するよ」
「完璧だったはずなんですけどね〜どっかの誰かさんがそれを上回る力で抜き去って行ったもんで負けちゃいましたよ」
「嫌味か〜?それでも私の勝ちは勝ち!」
「ふふっ、そうですね。心から祝福しますよ」
「今日のレースが一番楽しかったよ、今までで最高のレースだった!」
「三冠ウマ娘様にそう言ってもらえると光栄ですね、でも戦いは始まったばかりですよ」
「まだ話していたいのは分かるがそろそろウイニングライブが始まるぞ、モタモタして遅れましたは笑い事じゃ済まないからな」
「今までで4度しか歌われたことのない伝説の楽曲、『winning the soul』ですね!練習の成果を見せてあげましょう!」
ライブも終わりディープと次の目標について話す。
「次は初めてシニアウマ娘達と戦うことになる、目標は何処にする?」
「もちろん一年の総決算有馬記念です!」
「僕も同じ意見だ、今年最後の戦いを勝って年間無敗を達成しよう」
「ふむ…ディープインパクトが有馬記念に参戦か、私達も参戦予定だがかなり厳しい戦いになりそうだなトレーナー」
「réflexion sur la stratégie」
「そうか、ならば勝ち目もあるかもしれないな」 - 27二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:34:05
- 28122/11/26(土) 16:35:06
- 29二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:37:25
- 30二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:40:12
- 31二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:41:52
これは…うーん
- 32二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:43:33
- 33122/11/26(土) 16:45:57
- 34二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:53:14
渋でもハートつけさせてもらったで
しかしトレーナーがユタカで再生されてしまうな… - 35二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:54:52
- 36二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 16:58:43
- 37122/11/26(土) 17:05:30
- 38二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 17:06:38
なんとなく聞き入れてもらえなくてお気持ちスレ立てる予感がしてきたぞ
- 39二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 17:19:08
- 40二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 17:40:06
とりあえず有馬
〜有馬記念〜
「ついに今日ですねトレーナーさん。」
「ああ、緊張することは無いぞ、君なら勝てると自信を持って言える」
16万票の支持を得たディープは有馬記念、中山へと向かう
「プイ〜…逆に緊張しますよ〜
ん?あれは…」
「ハーツクライさんだ!」
ディープがハーツクライの側へ駆け寄る
「ああ、君は三冠ウマ娘の…」
「はい、ディープインパクトです!よろしくお願いします!」
「Je suis son entraîneur. Enchanté de faire votre connaissance」
「ディープのトレーナーだ、よろしく頼む」
「ああよろしく、互いに全力で戦おうじゃないか」
ハーツクライ、未だG1勝利はないが日本ダービーや宝塚記念先日のジャパンカップで2着に入っている実力者だ、ディープと同じ追い込みを得意とするウマ娘であり末脚勝負ならディープに部があると考えているがレース経験の差がどこまで影響するかわからない。
「控室に行こうかディープ」
「分かりました、行きましょう!」
控え室に入り作戦の振り返りをする
「まぁ作戦と言ってもいつものように後方待機からコーナーでスパートをするだけだけどね、気にすべき点は短い直線とタフな馬場だ、末脚が少し伸びにくいかもしれないからそこだけは気をつけよう」
「そこら辺は皐月賞の時に大体感覚は掴んでるので大丈夫です!」
「ところであのハーツクライさんのトレーナーさんなんて話してたんですか?英語ではなさそうでしたけど」
「フランス語だな、よろしくって言ってたよ」
「トレーナーさんフランス語もわかるんですね!」
「トレーナーたる者海外のトレーナーとの交流もあるからね、なんとなくなら分かるよ」
「そろそろレース場への移動の指示が来るだろう、初のシニアウマ娘相手だけど落ち着いて行くんだぞ」
「まっかせてくださいよ!」
そう言って彼女はさっきの緊張は消えたように自信たっぷりに行く、僕もそれを見送ってからゆっくり移動する、ディープなら勝つだろうという甘い見積もりをしながら。 - 41二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 17:40:35
G1のファンファーレが鳴り響き大歓声が起こる、もちろん観客の視線の先はディープインパクトだ。
しかし去年の菊花賞覇者デルタブルースや逃げのプロタップダンスシチー、秋シニア三冠を達成したゼンノロブロイなど強力なウマ娘達が集まっているこの有馬記念、決して油断はできない。
ゲートインが終わりついに2500mの扉が開く。
トレーナーさんの作戦通り後方につけた、ペースも普通、この感じならいける…!
もうすぐ3コーナーに差し掛かる、脚の回転が悪いような気がするが大した問題じゃない。
コーナーに入り位置を押し上げていく、そして4コーナーに差し掛かるところで外に持ち出した時に私は気づいた。
…内側に居ない、いるはずの彼女が、私と併せで上がっていくと思っていた彼女が。
嫌な予感がして前を見た、多分トレーナーも気づいただろう、私の遥か前に彼女はいた。
「ハーツクライさんッ!」
(流石に気づいたかディープ、でも気付くのが遅すぎだ!)
やられた、なぜ気づかなかった、スタートの時隣にいなかったことに。ハーツクライさんが先行策を取っていたことに!
作戦通り中盤は前目に付きながら直線に入り先頭に立つ、今までは追い込みをしていたが末脚勝負ならディープ相手は勝ち目は少ない。
あとはこのままゆっくり押し切るだけだ。
その時背筋が凍る、本能が私に語りかける。
「あれは化け物だ、死ぬ気で逃げろ」と
恐る恐る振り向く、そこには今までのレースを楽しんでいた三冠ウマ娘は居らず鬼神が私を差し殺さんとばかりに追いかけて来ていた。
(届け届け届け!あと少し、あと50m直線が伸びてくれれば!届く、届くのにっ!)
『なんとハーツクライだぁー!ディープインパクト敗れる!』
(ここまで詰められるか…短い直線とタフな中山という条件があって!)
手の震えが止まらない、脳裏に焼き付いたディープの鬼の形相が離れない。
(なんと恐ろしいウマ娘だ…)
目の前が暗くなる。初めての敗戦、完璧な作戦負け。ハーツクライさんを讃える大歓声は私を嘲り笑っているようだった。 - 42二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 17:40:58
無敗の三冠ウマ娘の敗北、衝撃の有馬記念の後トレーナー室は失意に沈んでいた。
(なぜ負けた、ディープの末脚の伸びが悪かった?直線が短かったから?中山の馬場だから?いや違う、完璧にハーツクライの作戦にハメられた。決死の先行策、府中なら届いていたと彼女に言われた。しかし負けは負け、いつも通りでいいと言った僕に勝ち目はなかった)
「すみませんトレーナーさん、私のせいで…」
「違う、僕のミスだ。君の強さに甘んじてレースの基本が抜けていた。本当にすまない」
「謝らないでください…でも負けてしまうなんて…」
「何を落ち込んでいるのです御二方!」
扉を開けジャパンが部屋に乗り込んでくる
「たかだか一度の2着でその落ち込み方なんてしてたら私なんか心がいくつあっても足りませんよ!」
「でも三冠ウマ娘って期待されてたのに…」
「あの皇帝ですら敗北したことはあるのです、今一番大切なのは負けたことより次勝つことでしょう、私はそんなメンタルの弱いウマ娘に負けたつもりはありませんよ!!」
「ジャパン…」
「トレーナーさんもです!今まで数多の勝利と記録を手にしてきた方、まさかここで案が無いとは言わせませんよ!!」
「勿論、戦い方を少し変えるつもりだ、脚が鈍ったりイレギュラーが発生しても勝てるような策を考えている」
「よろしい!ではあとすべきことはただ一つ!」
「「あと一つ?」」
「よく食べてよく寝る事です!腹が減り気持ちが落ちているようでは作戦会議なんてやってやれません!今日はご飯を食べたら一旦負けは忘れてぐっすり寝るのです!」
「確かにジャパンの言う通りだな、今日は解散して今後のことは明日考えよう」
「そうですね、じゃあ先に失礼します」
「では我がライバルよ一緒に食事に行きませんか?」
「うん、行こう!」
「門限までには帰るんだぞ〜」
「「はい!」」
こうして激動と失意の有馬記念はアドマイヤジャパンによってまとめられた。 - 43二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:11:48
そんな>>1に二次創作雑談スレを勧めようじゃないか
- 44二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 03:54:55
保守
- 45二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 15:32:27
プイ
- 46二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 15:35:03