- 1◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 18:50:09安価とダイスでお辛いモブウマ娘を作りたい|あにまん掲示板百番煎じで初安価ですたくさんの超新星たちに囲まれてお辛い、もしくは出生的に闇が深くてお辛いウマ娘を作ります恥ずかしながら史実知識0なので最初からウマ娘として設定していきます、そのためのモブ設定bbs.animanch.com
↑前スレ
たくさんの超新星に囲まれてお辛い、家族関係も闇が深くてお辛いウマ娘の育成シナリオを安価とダイスで作成するスレです
・小説パートが多いため投稿が1時間以上かけることもあります。ご了承ください
・キャラ立ちしたので前スレの『モブ』表記は相応しくないと思いタイトルから消しました
- 2二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18:55:01
建て乙です
- 3◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 18:56:22
主人公【プロフィール】
名前 マウンテンハヤイ
肌色 微褐色
髪色 銀髪に栗色のメッシュ
髪型 腰まで届くスーパーロング
身長 139cm
胸 ぺったんこ
人称 俺・私 素を見せる時は俺
口調 語尾が伸びがち
得意 ロッククライム
苦手 水泳
学年 中等部(飛び級)
耳のこと 風の噂話が聞こえる(飾りとして白いボロボロのリボンを括り付けていたが、現在は外している)
尻尾のこと 焦っているとピクピクする
勝負服 私立小学校のような子供服
芝、ダート両方に適正あり、適性距離はマイルと辛うじて短距離、脚質は逃げと先行が得意 - 4◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 18:58:10
他よりも早く本格化を迎えた飛び級ウマ娘。父親の残した借金返済と極貧生活の改善を目指しトレセン学園に入学し、デビューを果たす。レースを金稼ぎの手段としか思っていない変わり者。
G1初勝利時に借金を返済し終えたが、同時に燃え尽き症候群に突入。その後父親との望まない再開、母親の精神障害により自身も追い詰められ、母親の治療費稼ぎのために自身の体に無頓着になっている。
素の身体能力では他ウマ娘と比べて劣っており、体のリミッターを外して一時的に並んだり、威圧や走行法などで他走者の脚を引っ張るような走り方を行う。
交友関係は主にキングヘイロー。最初は貧富の差からキングに嫉妬の視線を向けてたが、後に改めることができた。 - 5◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 18:59:38
【固有スキル(領域)】
・クライムスター
NHKマイルで会得。最終直線で競り合うと、星を掴む意思ですごく粘り強くなる。
G1、G2レースにも食らいつけるようになるが、同時に肉体の負担も増す。使用しない素の走りでは掲示板入りは難しい。
・決死(仮名称)
サウジカップで会得。体のリミッターを完全に外すことで、文字通り死にかけるほどの力を発揮する。
世界レベルのダートレースで3位の成績を叩き出したが、その後吐血して意識を失う程体がボロボロになった。 - 6二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19:02:11
このレスは削除されています
- 7◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 19:05:22
【その他人物】
『トレーナー』
マウンテンハヤイのトレーナー。女性、身長188cmの巨躯。ハヤイとの身長差49cm。模擬レースで嘔吐するほど追い詰められていたハヤイを見ていられず、支えてあげなければとトレーナーとなった。
現在は母の為に体も心も擦り減らし続けるハヤイに心を痛めている。
『父親』借金を置いて蒸発し、その後再婚相手の子を連れてG1初勝利後のハヤイと再開する。金を目当てに娘に近づいたが、激昂したハヤイに絶縁を言い渡された。
幼いハヤイの中ではいい父親として記憶されていたため、裏切られたことがハヤイの心の傷の一つ目になる。
『スピードオーシャン』
父親の再婚相手の子。ウマ娘ながらトレーナーを目指して養成学校に通っている変わり者。父親と共にハヤイに接触、境遇に同情してしまい計画を吐露。
血の繋がりはないが、マウンテン、オーシャン。ハヤイ、スピードで名前が運命的。
『母親』
父親の蒸発後、借金とハヤイの子育てなど複数のストレスにより精神障害となる。男性恐怖症、外出恐怖症。また幻覚により芦毛のウマ娘人形を娘として誤認し、現実のハヤイだけを姿も声も認識出来ない。
海外での治療が可能だが、そのための莫大な治療費を稼ぐために娘が奔走中。だがそれを知ることはない。
自分だけが認識されないことがハヤイの心の傷の二つ目になる。 - 8二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19:07:49
建て乙!
- 9◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 19:09:32
目標:500ポイント分の賞金を稼ぐ
現在 300/500
賞金ポイント表
G1 100
G2 50
G3 30
OP 20
1位 100%
2位 50%
3位 30%
4,5位 15%
掲示板外でも最低保障5
小数点繰り上げ
※4位、5位を追加しポイントを少し修正しました - 10◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 19:11:52
爆弾 現在 88/100
G1、G2出走かつ固有発動
爆弾ダイス1d100= -55
それ以外
爆弾ダイス1d100= -80
決死(仮)
爆弾ダイス1d100= (マイナス固定値なし)
※爆発すると大怪我と共に能力が弱体化、2度目はより無理をして走らなければならないため更に爆発しやすくなります。 - 11◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 19:12:49
- 12◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 19:19:10
- 13二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19:27:14
- 14二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19:31:52
ペナルティフォール
使う事による肉体への罰則(ペナルティ)のごとき負荷と、第一固有に冠するクライム(罪)に対するペナルティ(罰)。星の如く輝きへ登ろうとした第一固有に対して、目的の為肉体の破滅へ堕ちて行く決死の覚悟
dice1d100=9 (9)
- 15二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19:54:49
されど頂は未だ遠く
dice1d100=49 (49)
- 16二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:04:03
イカロスの翼
dice1d100=66 (66)
- 17二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:37:13
呼ばい星
流れ星の別名
他の星に近づこうとするも儚く消える星
dice1d100=36 (36)
- 18二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:00:31
- 19二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:16:43
- 20二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:17:38
このレスは削除されています
- 21二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:19:11
- 22◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 21:22:01
- 23◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 21:27:30
ではタキオンとカフェのコミュ行きます
- 24二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:29:05
クライムスター、スターダストフォール
ふと思いついたので絵本調に
ちいさなおんなのこは ほしにあこがれていました。
いつかあのほしみたいに かがやきたいとゆめみました。
ちのにじむどりょくのはてに しょうじょはほしになれました。
しかしながくはつづきませんでした。
えいえんにとぶとりがいないように、
ほしはちきゅうのじゅうりょくにひきよせられました。
あついよ、いたいよ しょうじょのさけびはとどきません。
からだはこなごなにくだけちり、ほしくずになっておちていきます。
そうしてさいごには、しょうじょだったものはどこにものこりませんでした。
めでたしめでたし
- 25◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 21:36:14
何故かアグネスタキオンの実験室にマウンテンハヤイは呼び出された。
学年の違いや出場レースも被っていないため、今まで接点は皆無。優れたウマ娘の肉体に興味を寄せているとのウワサは聞くが。
初めて訪れた実験室、マッドサイエンティストの渾名に違わぬ、学園内とは思えない異質な部屋に改造されている。薄暗い照明の代わりとして、実験器具の中から怪しい液体が発光して最低限の照度を保っていた。
「やあハヤイ君、よく来てくれた。サウジカップ、動画ではあるが拝見させてもらった、そして認識した! 君には、私と同じ大望があると!」
ハヤイの前に立つのはアグネスタキオン。興奮を滲ませた、暗い瞳が覗いてくる。
「君は、ウマ娘の限界、光の如き速度を追い求める、スピードの求道者だろう!?」
「えっ、違うけど……」
「えっ」
言語の吐露時間に比例して、興奮が肥大化しながら椅子から立ち上がって手を広げたタキオンは、風船が急速に萎んでいくように、ちょこんと元の椅子に座り直す。
「あ、ちがう……ちがう、うん、そうか……いやしかし、ならあの脚を潰すようなあの走りは……まあいいさ、今の君は研究対象としての価値がある。話と試薬に付き合ってもらいたい」
その十秒後には元のテンションと格好に持ち直す。乱高下が激しい。
「私に価値があるの? みそっかすみたいなこの体に?」
「ふむ、確かに体躯は下、そこに詰める肉の質も下、走行のセンスだけ並より上、統合してその体は君の言う通りみそカスだ。だから聞きたいのはここの、或いはこっちか?つまりお話してハヤイ君の人となりを知ろうと言うことだ」
脳、そして心臓部を指差すタキオン。心や思い、精神面の話。科学者ながらそれに重きを置くことに、ハヤイは意外な顔をする。 - 26◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 21:42:42
「まず、何故あんな無茶な走りを敢行したんだい? 一歩間違えれば走れなくなるかもしれないのに」
「あそこで勝てたなら、走れなくなってもお釣りがくるからね」
「確か君の目的は金だったな。レースはそのための手段でしかないということか。他の子からはあまり聞かない珍しい動機だ。では次に、君は今後あの時の自分を今後上回れるかい?」
「無理かなぁー」
即答の否定にタキオンの口角が吊り上がる。
「いいねぇ、つまりあれが到達点ということか。それを自覚し、100%を引き出せるウマ娘は学園内にどれ程いることか。かく言う私も引き出せなくてね、伸びしろでもあるが、それだけ体を持て余してるということになる」
「その100%でも3位だったから、結局タキオンさんの言う速さの限界には遠いよね」
「それはそうだが、行き止まりの感覚というのを私は知らないんだよ。知見として、得るべきだ」
「ちょっと待って、思い出して見る。……そうだな、たしか──」
淡々と語られる激痛の吐露。持たざるものだった少女。体で劣るからこそ、誰よりも割合が必要になり、いの一番に登りつめた。それでも、その山の山頂は他と比べて低かった。他の人はまだ七、八合目だというのに。
「──ふぅン、煎じ詰めれば『死ぬ気で走れ』ということか。精神が肉体を凌駕させる最大系。……それにしても、これも感情か……」
「オススメしないよ。ほんの十秒、それだけでこんな体になっちゃったし」
「確かにその体もパドックではなく手術台に立ち給えと言いたくなってくる。今からそこのベッドに横にならないか?」
「いやいいですいいです」
ハヤイは首をぶんぶん横に降る。言うとおりにすれば、あのドギツイ色の薬剤をしこたま体内にぶち込まれるのが目に見えていた。全身発光体になりかねない。
(……そう言えばそんなトレーナー、確かどこかで見たような……) - 27◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 21:47:13
「協力感謝する。これが私の理想には間違いだとしても、失敗というデータが残る。未知の探究というのは、こうして一つづつ成功も失敗も埋めていかなければ進めないから。……と言うわけでこの試薬を飲んでほしい。被検体は多いほどより正確だ。小柄なウマ娘に対してのデータも欲しくてね」
「え、あ、い、いただきます……」
含みのある笑みの前。ずっと年上からのお願いだからなのか、ハヤイは逆らえなかった。
あれに横になるのに比べれば1本だけ、なんと優しいことかと自身に思い込ませる。得意なのだ、そういう自分を錯覚させることは。
液体を喉に流し込む。すると──
>>30 飲んだ薬は何?
- 28二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21:54:30
疲労回復のお薬(副作用で眠くなって寝てしまう)
- 29二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:01:43
このレスは削除されています
- 30二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:03:41
代謝の向上による疲労回復・肉体修復剤の試作品。副作用で身体が火照る以上の悪影響は無いが、効果の程は体質と接種後の適切な影響補給に依存する
- 31◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 22:08:23
安価スレ的に考えるとヴィクトリアマイルの前に1d30くらいで爆弾ポイントマイナスみたいな感じかな?
ガッツリ下げるのは面白みが薄れるから最大値はこのくらいかなぁ - 32◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 22:28:09
「今飲んでもらったのは肉体の修復を促す薬だ。君の体の状態も改善するはず。ただし個人差が大きくてね、何が差を産んでいるのかを目下研究中なのだよ。短期間の大量摂取は出来ないから、人数を募る必要があった。
注意点として、良好な栄養バランスを維持し続けてくれ。それと体が火照ることがある。副作用だが、あまりにのぼせるようなら連絡をくれたまえ。
……それにしても……いつになくこちらを見続けてるね、カフェ。ハヤイ君が何か気になるのかい?」
タキオンとの会話の中でも視線はずっと感じていたが。ハヤイが後ろを振り返れば、マンハッタンカフェが猫目のような瞳孔を向けてこちらを見ていた。
(……この人、の周り……? 何かがいる?)
ただその視線がタキオンとカフェだけではないような違和感がある。この部屋にはハヤイを入れて三人。それは間違いない。
「……あの子が警告しています。ハヤイさん……今のあなたに、死相が見えると」
「死相?」
「ふぅン」
表情からは、怖がらせてやろうなどと言った意図は見て取れない。真剣そのものだった。
「『あの子』って?」
「簡潔に言うとカフェだけに見えるお友だちのことさ。スピリチュアルを信じるかどうかは任せるよ」
「……ハヤイさんには、見えますか……?」
逆に現実にあるのに認識出来ない現象なら心当たりがあるが、とハヤイは思う。母親のことだが。 - 33◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 22:30:58
「何か二人とは違う視線を感じる気がする、かなー」
「…………そうですか。……それなら、信じてくれますか……?」
「うん、信じるとはちょっと違うけど、心当たりが多いからねー」
「確かハヤイ君の次走はヴィクトリアマイルだったね。その体でレースに出走すれば危険は大きいだろうねぇ、それに死ぬ気で走ってしまえば、案外本当に死んでしまうかもしれないよ」
「あはは、ぐうの音も出ない」
「……怖くは……ありませんか。……死が見えると言われて……」
「怖いけど、それより怖いことがあるんだ。だから我慢できる、って感じかな?」
無邪気な笑顔を見せる年下の姿。割り切りが過ぎている。
「成る程、その心がサウジカップでの源なのかな」
「……死相が見えるというだけで……何があなたに近づいているかまでは……分かりません。交通事故などに気をつけて……レースよりも、そちらの方が、あり得ますから……」
「うん、今死んだら困るから死にたくはないなぁ。……それに」
ハヤイの頭に浮かんだのはトレーナーの姿。自分を心底案じている表情。そして先日の誓い。
壊すために走らないという約束。
「死んだら、死んだ後に後悔しそうだから、気をつけるね、ありがとう」
死後の世界を信じるのか、その言葉は二人の口からは語られなかった。 - 34◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 22:35:54
死相→あの世に僅かに触れている→あの子の気配が感じ取れる
みたいな解釈をしました
次はヴィクトリアマイル、その前にお薬ダイス
dice1d30=7 (7) の値、爆弾マイナス
爆弾、現在88
- 35二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:43:47
心許ない…
- 36◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 22:55:06
爆弾88→81 イマイチ!
「タキオンさんの薬、あんまり効かなかったなぁ……うん、残念」
栄養は言われた通り、無理やり詰め込んででも必要分は確保したはずだが、あまり体の傷は変わらなかった。
楽になったか?と聞かれれば首を傾げながら肯定する程度の変化。その旨をタキオンに伝えれば、やはり残念そうな顔をしていた。
自分の結果で、一歩何かが改善するなら、それでいいということに思うようにするハヤイ。元々回復は想定してなかった、棚からぼた餅一個を貰えただけでありがたい。
「ま、ある物でやるしかないな。痛みはまあまあ、可動は良好、今日走るには問題ないさー。……母さん、もう少し待っていて」
ヴィクトリア。勝利の女神は誰に微笑むか。
死相。今日、死神は自分に口づけするのだろうか。
ネームドウマ娘
マウンテンハヤイの人気 18人中
- 37二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:57:02
オグリキャップ
- 38二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:00:00
マチカネフクキタル
- 39二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:00:17
ウオッカ
- 40二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:02:30
ウララ
秋のリベンジ - 41二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:03:32
ハルウララ
芝DマイルB - 42二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:05:34
ダブルハルウララ?
- 43◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 23:06:26
後で最安価します
人気は安価下 - 44二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:07:32
5
- 45二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:07:40
7番人気
- 46◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 23:08:42
- 47二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:11:19
オグリキャップ
- 48二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:11:42
ダスカ
- 49◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 23:24:24
ウオッカ
ダイワスカーレット
ハルウララ(有馬育成?)
最近ダートばかりで芝の方を走っていなかったが、5位という結果になっている。
ダートではあるが、サウジカップでの走りは好成績、しかしその後の吐血から体調の悪化も見抜かれているのかもしれない。
>>53 レース前、マウンテンハヤイの様子
- 50二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:27:43
普段より入念にストレッチ
- 51二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:33:15
一度死線を超えたからか達観してるかの様に平常心
- 52◆05a71cbMe9Vu21/10/29(金) 23:42:15
ごめんなさい、私は……もう寝ます……。
安価下 - 53二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:56:44
- 54二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 09:43:06
保守
- 55◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 09:49:45
ワクチン接種行ってきます
体調次第で続けるかどうか決めます - 56◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 15:43:15
再開します
副反応がしんどくなったらやめます - 57◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 15:47:22
控室の中で、マウンテンハヤイは本を読んでいた。趣味の世界に没頭中の姿、切り取った写真は休日の一風景にしか見えない。
レース直前の状態とはまるで思えない。滾りもせず緊張もなく、心音は波一つ揺れていない。
観客の喧騒、他出走者の武者震いはずっと遠く。静謐な部屋でページを捲る安らぎの音だけが聞こえる。
「もう勝った気でいるのか?」
「それはないよ。けど、これからレースなのにいい気分にはなれてないかなー」
「なら後で反省会の時間だ。前に教えた集中法もう一度叩き込んでやる」
「後でね。うわー、お説教は嫌だなー」
デビュー前には吐いたり漏らしたりしていた少女が、よくここまで達観出来るようになれたものだ。身長はさして伸びていない、外見はかわらないまま、中身だけ別人のよう。
精神が成熟したのか、それとも希薄になったのか。
誰もが熱狂する会場の中、二人だけは冷たく止まったままだった。
レース:ヴィクトリアマイル
固有なし・クライムスター・スターダストフォール
どれ使う?>>60
レース途中経過>>63
- 58二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 17:01:14
使えるものは全部使う
- 59二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 17:29:01
クライムスターを使う
- 60二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 18:12:15
(内心)もうどうにでもなれという思いで
スターダストフォールを使う - 61二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 18:38:43
逃げ先行が多くペースが速めで何とかついていってる
- 62二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 19:22:27
固有のお陰でハヤイが有利──
その時、ヒビが入る音がハヤイの脚から生じた - 63二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 19:38:59
なんとかネームドに食らいついている
- 64◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 19:45:13
- 65二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 19:52:36
ストレスで急に死にたくなってきた
- 66二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:14:37
過信
使っても壊れないと思ってる - 67二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:15:17
(ちょっと別作品の言葉を借りるけど)理性が暴走し、自身の負担とか約束とかの感情的な面を無視して勝利の為の最善手を選んだ
- 68◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 20:53:29
後ろから取り付いてくるのはウオッカ、ハルウララ。自身と並び、そして肉薄しここで抜き去ろうと勝負をかけるダイワスカーレット。スタミナに物を言わせ、早急に、そして長く終盤戦を展開させる気だった。
三人に、完全に射程に捉えられている。それをハヤイは感じていた。
一度前に出られれば敗北は必定。そしてそれを覆す一手をハヤイは持たない。殺気で萎縮させようにも一度他で見せたものは慣れられる。対策される。
そういう戦法なのだと構えられてしまえば、以前ほどの効果は望めない。それが出来たものが勝者であり、一流たるウマ娘。
既に自分は一段落ち、後はこの三人のレースになり始める。
尋常な手段は通じない。身体能力の差が小細工を通用させる域に立ち入らせてくれない。
しかし尋常でなければ、活路はある。
勝ちの目があるのなら、あとは逆算してなぞるだけ。今までどおりに、前のように。
死を受け入れる。その覚悟が、三人にもう一度並び立つためにいる。ならば甘んじて受け入れよう。
三ヶ月、長く続く痛みがハヤイを疲弊させていたのかもしれない。
勝って母親を救い出す。そこから勝利の一部だけが掬われ、他を些細毎と切り捨てられてしまう。
レースのために振り分けた思考以外が蒸発していく。消えないと言った約束さえも。
これでもう一度、死力を尽くして走ることができる。
死星が流れる。一歩踏み出す、二度と、戻れなくなる。
>>71 マウンテンハヤイ、レース結果
(最後までそのまま走りきった扱い)
- 69二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:57:07
1着
1~4着までタイム差無し - 70二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:12:04
このレスは削除されています
- 71二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:13:43
ハナ差で1着
- 72◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 21:16:58
うおおおお2割を引けばいいだけだ!!!!
爆弾dice1d100=90 (90)
現在値81
- 73◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 21:17:19
あっ
- 74二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:17:50
ねぇこれどう考えても予後不良…
- 75二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:20:15
走るの好きじゃないし良かったな(白目)
- 76◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 21:32:59
『■■■■■■■■に故障発生!■■■■■■■■の脚から血が……え、はしっ、てる……?』
ぷちり、白く、ボロボロだったリボンが裂けて耳から外れ落ちる。
「……?ハヤイ、どうしたの? それを外して。もしかして好きじゃなくなったの?」
娘の姿はここにしかいない。映像の先に何が映っても、母親はそれを認識することはない。
『──い、いま、■■■■■■■■が一着で……ゴール……』
お互いに。
取りこぼしたことさえも気づかない。
失ったものは戻らない。そんなことも気が付かなかった。
マウンテンハヤイの様子>>79
(死んではないです)
- 77二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:37:37
ぶっ倒れて、狂ったように爆笑してる
- 78二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:37:52
脚から血が流れ、血反吐を吐き、気絶していて尚、
その顔は狂笑していた - 79二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:39:57
- 80二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:40:14
マウンテンハヤイだけが――嘲笑っていた
- 81二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:41:04
ウワーッ!ウワーッ‼︎
こんなものをウオダスはまだしもウララちゃんに見せるなーッ! - 82◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 22:34:13
会場の誰も、その様を理解できなかった。理解を拒んだ。何もかも分からない。
死相が見えた。
頭が直下してざくろのように弾けて死ぬのを、腕で力の限り、地面を殴りつけることで分散した。骨が裂け出るほどの衝撃が伝播する。代わりに頭の衝撃は、致命ではない程度に和らいだ。
咄嗟に出たのではなく、思案の果てに導き出した生存法。反射を捨て走馬灯から得た回答。
トップスピードからのゼロへの急減速、転倒箇所から数メートルも地面を転がり果てることでようやく終局した。
全身傷と痣まみれ、脚と腕は曲がってはいけない方向にあり、顔は内部からの出血と額が裂けた時の血化粧で醜悪極まる。
「 ハ 」
その顔で嗤った。既に気絶し、体など動くはずもないだろうに。曲がってはいけない方に曲がった手足が痙攣する。
理解が遠い。それを理解してしまえば、今の少女と同じ死の狂気に取り込まれてしまう気がしてならない。その怪我人に誰も、救護班さえ近づけなかった。一人を除いて。
「ハヤイ……」
トレーナーだけがマウンテンハヤイの側に立てた。その姿を受け止めることが出来た。たった一人の、共犯者だから。
「もう……もう、……やめよう。終わりにしよう……走らなくていい。……もう、頑張る必要なんかない……だから……」 - 83◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 22:35:17
『お前は何のために走ってるんだ?』
『母さんのためだよ、楽しくないし、怖いけど、頑張らなきゃ』
ずっとそれだけだった。走り続けた先にあったのは、小さく、貧しい、それでもあたたかな小さなころの思い出だった。
いっそのこと、注がれた愛も、二人が、三人がいた時の幸せも、思い出せないくらい遠くに捨ててしまえたのなら。楽だったろうに。
忘れるだけの強さが無かった。自分も母と同じで囚われていた。
あの頃のまま、前を向くことができないまま。ずっと。 - 84◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 22:36:47
お金400/500
今日はここまでです
理事長代理を超えたトラウマが生まれちまいそう - 85二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:52:33
乙です
正直ちょっと興奮した - 86◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 22:56:06
クライムスターの方でも爆発してたことにはなるから体捨てる判断は正しかったのかもしれない……
ワクチンで右腕が肩より上に上がらないので明日進めるどうかはちょっと分かりません
クッソ痛い、ハヤイちゃんみたいに痛みに耐えては動かせない - 87二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:59:43
ハヤイちゃんには幸せになって欲しいけど…それと同じくらい曇って欲しい…
- 88二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:01:20
- 89二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:10:14
借金返済の頃はこれから少し明るい作品になって行くかと思ったけど一気に曇りましたねぇ…
- 90二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:20:39
文豪
- 91◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 23:33:13
前スレでは足折ったあとの事も書き終わってるとか抜かしましたが、流石にあの時とはハヤイの精神面が違いすぎるのでボツになってます
ジュニア〜クラシック前半の泣き虫だった頃なら使えたけど……今はちょっと虚無になりすぎて…… - 92二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:38:01
- 93◆05a71cbMe9Vu21/10/30(土) 23:40:47
モブ扱いはもう消したから……言わないでくれ……
ネイチャも自分をモブ扱いしてるし多少はね? - 94二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:46:09
とんだ放送事故では
- 95二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 02:23:43
保守
- 96二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:23:40
ついに爆発してしまった…
覚悟してたつもりだしむしろ期待もしていたけど、目の当たりにすると…すごく辛い… - 97二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:29:43
母親まで曇っちゃうし治さない方がいいのでは
- 98◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 16:46:22
ワクワクワクチンで熱が出ましたが寝てたらマシになったので再開します
今ポイントが400/500で5月、怪我治すのに最低3、4ヶ月かかるとして残り3ヶ月かそこら。レースはクソローテ組まなきゃあと1回か2回。弱体化してるのでG1難しい。
最後は募金じゃなくてレースで締めたいからお金ダイスどんくらいにしようかなとか考えてます - 99◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 17:02:42
命を二度も投げ出しかけた体は、その代償に酷く衰弱してしまっていた。菌への抵抗力まで捧げたのか、発熱が中々治まらない。
「とれーな。……どうだった?」
「39.2度……ダメだ、あの時からまだ下がってない……」
折れた脚、頭を庇った結果の腕、四肢はギブスで固定され、頭部から足の先まで包帯に覆われて寝返りさえ困難。転倒時のものを除いたとしても。外から中まで負傷箇所は山ほどある。
無理やり強くあろうとしたツケ。一度目はまだしも、二度目まで許容してくれるほど小さな体には余裕はなかった。
頭部の痛みと高熱で目がぐるぐると回っている。夢か現かがはっきりしない。
ただ横からトレーナーの声が聞こえる事で今の自分がどちら側に存在しているかを判断していた。
「みず、のみたい」
「少し待っていろ」
今のハヤイはボトルの蓋を開けて口に運ぶこともできやしない。医者が、トレーナーが、誰かが支えてやらなければこの小さな部屋の中で、何も出来ずに死んでしまうのだ。
「ふぁ、……ごめん、こぼした」
「違う、私のせいで……あぁくそ……どうして、だろうな、もう慣れたはずなのに……。すまない、替えを持ってくる」 - 100◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 17:03:41
トレーナーの手が震えて口から水が漏れる。
こうなった結果を何もかも受け入れているよう。その姿勢があまりに無機質で、儚すぎて恐ろしい。
ふざけるなと、トレーナーを罵ってくれた方がまだマシだった。自分の選んだことなのに開き直って人に当たってくれた方が、まだ子どもらしくて可愛げがある。
「ねる。もうすこしかいふくしたら、いろいろとききたい。……いまは、あたまはたらかない」
「……ハヤイ。もう、いいだろう? もう、走ることなんてやめてしまえばいいじゃないか。お前の母さんだって、お前がそんなになってまで助かろうなんて、望んでない……」
「どうして、わかるの?」
「……それは……っ」
「……おやすみ。……あのときやくそく、やぶって、ごめ、ん……」
その理由を発する権利が無かった。トレーナーは何処までも結局赤の他人でしかない、夫も子供もいない自分に親の気持ちの何が言えようか。
すうすうと小さく寝息を立てる姿。以前のように痙攣して痛みには呻く様子はない。
少なくとも、死は少しずつ遠のいている。それだけがトレーナーにとっての救いだった。 - 101◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 17:08:01
- 102二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:11:35
あんなにボロボロになるまで走らされるなんてかわいそう
- 103二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:11:49
ksk
- 104二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:26:05
- 105二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:28:05
ちなみに某記者というのは乙名史記者のことです
- 106二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:35:07
自分はあんな指導するトレーナーに担当になって欲しくないorあんなトレーナーじゃなくてよかった
周囲は2人のやりとり知らないと思うし - 107二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:50:56
- 108◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 17:55:19
- 109二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:56:58
ksk
- 110二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:57:51
鉄砲玉にされた少年兵的な
まだお涙頂戴ルート行ける - 111二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:01:42
- 112二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:06:25
- 113◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 18:17:51
75 固定値さまざま
好意的に見てくれているみたいですね
乙名史記者に色々書いてもらって語るも涙なヒロイン作りにしていこうかな - 114二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:23:06
- 115二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:25:45
親が借金ってのは競走馬で言うと多分農場か馬主が多額の借金してるってことだよね…
- 116二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:38:19
そこのドラマの違いは擬人化ならではだなぁ
- 117◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 18:53:49
ウマ娘ってトレーナーがいないとウマ娘単体だけじゃレースに出走登録できないんだっけ……あれ? 書いてると自信がなくなってきた……
- 118二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:54:47
- 119◆05a71cbMe9Vu21/10/31(日) 20:02:00
- 120二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 20:15:11
- 121二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:13:58
無理せずいっぱい寝ましょう!
- 122二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 06:23:03
このレスは削除されています
- 123二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 07:56:47
療養中の間にハヤイちゃんの心を戻さないと次のレースでまたスターダストフォール使いそうだ
- 124二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 17:35:15
保守
- 125◆05a71cbMe9Vu21/11/01(月) 18:17:25
副反応は治まりました、ご心配をおかけしました
ですが今日はお休みします、もしかしたら明日もかもしれません
トレーナーとの口喧嘩シーンを書いてる途中なんですが、あまり不快感のないよう調整するのに難儀しています。
ハヤイの「意思を尊重」してしまったらまた躊躇わず自爆かますしどれだけ速いウマ娘になれても何も感じないし救われないからどこかで叱ってあげないと……
この喧嘩の様子を見られてトレーナーの評判はまた下がる - 126二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 22:08:10
保守
ハヤイには家族のためだけじゃなくて自分の為に走れる道も見つけて欲しいぜ - 127◆05a71cbMe9Vu21/11/02(火) 08:22:14
自ら保守
もし実在馬だったら
トレセン来るまでお腹いっぱい食べたことない
→明日の飯にも困る極貧牧場
毒親、トレーナーの評価
→関係者全員ことごとく糞野郎
狂気じみた走り
→レース勝つと飯食えた→走らないと餓死させられると学習?
他人のためにしか走らない
→金稼いでも関係者の私腹が肥えるだけで本馬のお腹は膨れなかった
死相、足どころじゃない重傷、会場ヒエッヒエの光景
→予後不良どころか即死、お茶の間にスプラッター映像大披露
悪意的解釈しかしてませんがこんなエピソードあるのかなとか妄想しました
終わった後に逆にウマ娘→馬で考えるのも面白そうですね - 128二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 13:45:19
本当にヤバい悲劇はそのまま書かないだろうからまじでヤバい画が流れたけど大丈夫だったって感じじゃないかな、
そうあって欲しい - 129二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 18:34:08
- 130二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 23:49:14
保守
- 131二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 08:32:49
保守
- 132二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 16:00:40
このレスは削除されています
- 133二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:18:14
保守
- 134◆05a71cbMe9Vu21/11/03(水) 17:21:18
↑は私です、ミスった
保守代わりにできた文を順次投下していこうかと思います
再開はまた後日になります - 135◆05a71cbMe9Vu21/11/03(水) 17:43:14
ハヤイの体は徐々に快方に向きだしていた。熱は下がり意識もはっきりとしている。
「少し軽くなったな」
「一週間点滴ばっかりでほとんど食べれなかったから、これからすぐ戻るよ。……今は俺よりトレーナーの方が酷い顔してそうだよ」
「……怪我人は自分の心配だけしてればいいんだ」
父母、親族に頼れないため、便宜上トレーナーが付き添い人になっていた。24時間絶えず容態を見守り続けた一週間。これから休みで積もり積もった業務も捌く必要がある。疲労は深く、安息は遠い。
まだ自力ではベッドから動くことも出来ないが、車椅子に座らせる許可は降りた。トレーナーが小さな体をひょいと持ち上げて座らせ、久しぶりに病室の外に出た。
その中で、二人とすれ違う人の視線で気がついたことだったが──
「なんか病院のみんなに怖がられてない? この体に驚いてたって感じじゃなさそうだけど」
「……特に、他のウマ娘達から露骨に避けられてるな」
ぐるりと病院を一周、部屋に戻って自分たちの評価を察する二人。
チャンピオンCから行き過ぎてしまった悪質さと、ヴィクトリアマイルで見せた悍ましい光景から、現在頭のイカれた二人組とされているらしい。
特にトレーナーは現在トレセン生徒からの評判は最悪の一言に尽きる。マウンテンハヤイを深刻なまでに追い詰めたパワハラ指導者と噂が広がり始めていた。
それを本人が知るのはもう少し後のこと。
「けどトレーナーは……ううん。そういえばお金、集まってないよね。……やっぱり、俺がもう何回かレースに出ることにする」
「できるわけ無いだろうそんな体で。もうあの時みたいに全盛期は出せない、それに更に怪我したら一生車椅子の可能性だってあるんだぞ」
「それで? そんなことは医者からも言われたさ。でもそれ以外に何も方法ないじゃないか」
二人の間で、レース、走る、というキーワードは喧嘩開始のゴングになっていた。
走る、走るな、傍から見れば走りたくて走りたくて堪らないウマ娘とそれを躾ける大人の姿。 - 136◆05a71cbMe9Vu21/11/03(水) 22:42:03
「あれ以上の無理をする気かと聞いているんだ、既に取り返しがつかないことになっているのに」
「俺が勝つにはそうするしかないんだって、アンタもずっと見てきただろ!」
「好きでもないレースに出て動けなくなって幸せになれると思ってるのか!」
「じゃあ走るの好きだ、走るの幸せだ! レースに出せデカ女!」
「もう少しマシな嘘つきやがれバカ野郎!」
「嘘って決めつけるのか? あんたが俺の何を知ってるッ!」
「頭の先から尻の穴まで知ってるわ! 伊達に寝たきりの付き添いまでやってないんだ!」
「トレーナーなんだろ! 担当のお願いくらい聞きやがれ!」
「駄々こねて何でも通ると思うなクソガキ!」
「だまれデカブツ!」
行き着いたのは幼稚な罵倒合戦。遠慮も一切なくどストレートに殴りまくる。確認だったのだろう。これなら何を言っても大丈夫なはずという信頼、あるいは願望による。
トレーナーはハヤイの両肩にそっと触れた。強く握ってしまうと砕けそうなくらいに、ガラス細工よりも今は脆く感じる。
「お前の、……父親に金も何も投げてしまえばいいだろ!? 元々あの男の責任でお前が背負う必要なんか無かいはずだ!」
「俺がいたから母さんが逃げられなかったんだよ! 母さん一人だったらどこにでも逃げれたさ!」
「ふざけるな! 子どもが何を気に止む必要がある、過失は父親の方にしか無いだろうが!」
目に宿していたのは冷たく仄暗い自身への憎悪。自分が一番近くにいたからこそ許せなかった。
父に何もかもを狂わされて、親の業を清算するためだけに狂走し続ける。どれだけ体を傷だらけにしようとも、それが贖罪だと言わんばかりに。
まるで親の操り人形だ。自分という『ヒト』がそこにいない。
悪意の敷かれたレールの上を走り続ける。車輪が擦り減り横転するまで。これが人生だと言わんばかりに。
「俺だって、あんなやつ殺したいくらい憎いさっ!」
「だったら」
「……あっちにも、もう、家族がいたんだ。スピードオーシャンって子どももいて……それを金寄越せって言ってあいつらに借金背負わせて、俺と同じ目に合わせたく、ない」
やさしい子どもだった。自分と他人を重ねて悲しみを共感してしまう。
そうでなければ誰が母親のために一人憧憬さえなく此処に立つ覚悟を持てるか。まだ小学生の年で、その決心を固められるか。 - 137二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 02:32:55
このレスは削除されています
- 138二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 11:09:33
このレスは削除されています
- 139◆05a71cbMe9Vu21/11/04(木) 17:41:47
「──っもういい! 俺の体は俺のもんだ! 無茶しようが怪我しようが」
胸が痛みだすのをハヤイは感じていた。怪我の身で大声を出し続けたからなのだろうか。
「あんたには何も関係無いことだろッ!!」
どうしてかその言葉は今までのどんな罵詈雑言より口吐き出しにくかった。
掴まれた肩が、トレーナーが掴んでいる腕が震えている。
(なんで、そんな顔……俺、言ってること間違って、ないよね? だって、もう一人しかいない家族なんだ。何したって、助けたいに決まって……)
「……お願い……そんなこと、言わないでくれ」
(……あ、泣かせた、俺が。……なんで、そんなに俺のこと)
何を言われたところで、母親を助けたいという思いは捨てたくない。バカみたいにそれだけは死んでも変わりはしない。
なのに。この人はどうしてこんなに。
(……なんで、この人は俺と一緒にいてくれたんだっけ)
ズキリ。胸の痛みが強まる。
「……っ、もう、帰って……今日は一人で大丈夫だから」
「ハヤイ」
「帰れ!」
力なんて僅かも入らないはずの腕で、トレーナーの手を容易く払いのけられた。
優しくされているのに。愛してくれていると分かっているのに。うれしいよ、ありがとう。それを言いたくて、どうしてか口から出てきたのは拒絶だった。 - 140◆05a71cbMe9Vu21/11/04(木) 17:44:14
ウソでしょ…祝日がありながらこれだけしか書けてない…
- 141◆05a71cbMe9Vu21/11/04(木) 21:49:00
「やめ、ろ。くるなって」
言葉に逆らってトレーナーは更に一歩近づいてくる。そして長い腕を、大きな体を、マウンテンハヤイに寄せてきた。肩を掴むよりも、もっと近くに。
頭を胸の中にまで抱き寄せて、離れないようにしてくる。心臓の音が聴こえてきた。
「ハヤイ、ごめん……ごめんね…………」
自分の二倍以上も生きていて、怪我もしてない綺麗な体で、遥かに大きな背丈なのに、震えながら縋りつくその姿は恐ろしいほど弱く見えた。
「私は、お前を幸せにしてあげたかった……なのに、何も、できなくて……安心できる居場所にもなれなくて…… 私が、駄目なトレーナーなせいで……」
初めての練習の時。母親のために頑張ろうと思って走った。初めてレースに勝てたときに喜んでいる顔を見て、十回に一回くらいこの人が喜ぶために頑張ろうと思った。
父と別れて、母が見てくれなくなって、空っぽになった。そう思い込んで、一人がまだいることを見ないように目を背けていた。
それが弱さになるとハヤイは思い込んでいた。覚悟を揺らがせるものとして。
「私は、嫌だよ……私は、ハヤイが傷つく姿を見たくないんだ……」
自分勝手にただ本心だけを伝える。
あなたが必要なんだと、あなたが傷つくと私も悲しいんだ、私はあなたに幸せでいてほしい、そう真っ直ぐ伝えることが、今のハヤイに一番必要なことだった。
「お願いだから……もう、あんなことはやめて……」
ハヤイは、自分の中身が全てぐちゃぐちゃにしてひっくり返されるような衝撃に目を眩ませていた。零度が、覚悟が、ぶん殴られてひっペがされていく。
「……あの時、トレーナーが居てくれたから、俺はここに居られるんだ。だから、何も出来てない……なんて、そんなこと、ないよ」
「ありがとう、……担当に慰められるなんて、私は、弱い大人だね」
「トレーナーが泣いてくれて、やっと気がつけたから。だから、ありがとう」
流した涙がハヤイの顔に落ちる。とても熱く、じんわりと痛みを和らげていく。
誰かが自分を思ってくれていた。それを認識するだけで、心のがらんどうが埋まっていくのを感じていた。 - 142◆05a71cbMe9Vu21/11/04(木) 22:10:23
心臓の音を聴きあうと、何故かとても落ちつける気分になる。きっとずっと一緒にいるから、どれだけ近くに来ても心が許してしまうのだろう。
包容が解かれる。ずっとこうしていたい心地よさが、すうっと離れていく。泣き腫らした目を拭い、いつもの調子に戻ったトレーナーが言う。
「……明日、また来る。学園寮から取ってきて欲しいものはあるか?」
「……冷蔵庫に置いてたゼリー。賞味期限が近かった。もう過ぎてたかも」
「そんなものなら買ってくるから……あぁ、貧乏性だったなお前」
「ん……またね」
「あぁ、また明日」
トレーナーが後ろを向くとハヤイは逆を向いてベッドに横になった。足音が遠ざかるのをピンと張った耳で感知する。
結局泣かせてしまったことを謝りはしなかった。自分の言ってることは間違っていないはず。それは今もある。
けれど、身を削りきるような走りはやめようと感じた。おそらくそう思ってしまった時点で、もう出来なくなってしまっているのだろう。
だけど、それでよかったのだと思う。 - 143二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 03:14:54
保守
- 144二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 11:01:39
二人で家族になるのもいっそアリなのかも知れない…
だってハヤイのこと、ちゃんと見てあげてるのはもはやトレーナーだけじゃないか - 145◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:08:33
最近、熱が冷めてきたなぁと感じてきた私です
これ以上長引かせるとなんだかエタる気がしてきたのでさっさと巻いていきます
小説パートに時間かけすぎなんじゃいボケ - 146◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:15:30
病院から解放されたトレーナーは久しぶりに一人出勤した。
理事長からは誤解されていないこと、そして曲がりなりにもハヤイが結果を出していること。この2つがあることでまだマウンテンハヤイのトレーナーでいれている。
そうでなければ契約解除の紙に印を押す羽目になっただろう。そしてハヤイは他のトレーナーに直ぐに確保、いや、保護される羽目になったかもしれない。
(そうだな、逆にこの悪評を利用してみるべきか)
ハヤイの悪評は全てトレーナーに吸収させ、マウンテンハヤイをその被害者として確立させる。頼れるはずの大人さえも敵になってしまった、家族の為に身を粉にして頑張る子ども、これでそんな幻想が生まれる。
そうすれば、同情票的に現在募集中の寄付金も加速するだろう。
そして、トレーナーはそのようにした。先日のレースのとハヤイの今後についてマイクを向けてきた取材陣に、自身の過ちを語った。
「しかし、あなたとハヤイさんの関係は語られるほど険悪なものでは……いえ、私も噂を広めた一端です、語る資格はありませんね」
「私が担当バに無理を重ねさせたことは真実です。その結果、大きな怪我を負わせてしまったことも変わりません」
「しかし、よろしかったのですか? 噂が終息したとしても悪評は今後、ハヤイさんの引退後、新たなウマ娘のスカウトを難しくするかと思われますが」
乙名史記者、月刊トゥインクルの記者である。今回の騒動のために利用させてもらった人だった。 - 147◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:17:42
「今回の件でトレーナー資格が剥奪されたとしても後悔はありません。あの子が走らずとも幸せになってくれるのであれば」
「今なんと! 後悔はないと仰いましたか!?」
「……えぇ」
「素晴らしいですっっっ!! つまり一生を捧げることになっても構わない、たとえ殺されたとしても受け入れると……!?」
「それであの子が生きるのならば、そうです」
感極まって彷彿の表情を浮かべる乙名史記者。妄想の世界から意識を現実世界に戻すのに長い時間がかかる。
「まるで親御さんのようですね、ウマ娘の走る姿、輝く姿が見たいではなく、幸せにしたいと仰るなんて」
「……ハヤイには血の繋がった母親が、正式に居ますので。それに私は親代わりにはなれませんでした」
その言葉に、トレーナーは答えに戸惑った。幼子にそうするように接してきた節はあった。
しかしハヤイにとっての親代わりになれていたかと言われれば。傷ついて心が磨り減るハヤイを止められなかった以上、否定するしかなかった。 - 148◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:21:39
と言うことで寄付金ダイス
dice1d100=92 (92)
全く集まらないとこの先まずいので『最低保障30』
現在400/500
- 149◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:24:32
492/500
あと2回順位何でもいいからレースに出たら終わりじゃないか!
ハヤイがレース復帰可能になるのにdice1d3=3 (3) +2ヶ月
- 150二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 20:26:57
復帰は10〜11月か
G2以上だと毎日王冠・JBCレディスクラシック・マイルCS・チャンピオンズカップあたりが選択肢かな?
海外含めればBCマイル・香港マイルあたりも入るか - 151◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:27:14
ヴィクトリアマイルがゲーム的に5月前半なので復帰は10月前半ですね
- 152◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 20:48:56
「シューズ履くのも久しぶりだねー」
「そうだな。じゃあ今から、どのくらい動けるか確かめてみよう」
長いはずの治療期間、全身のダメージを回復させるのには逆に早いくらいだった。
レース用に鍛えた脚もすっかり消えてしまっている。これでどの程度タイムが落ちてしまっているか、動かさないことにはわからない。
そして調整し終わるには、10月くらいにはなってしまうだろう。
「何か不調を感じたらたら直ぐに中断するんだ」
「はーい、みなまで言わずとも分かってるって」
ゲートに入るハヤイ。5ヶ月ぶりの走り。その顔は少し安心しているように見えた。
金という、追い詰められるようなものが消えたからか。
レースに出ずともこのくらいの不足なら私が出せる。そうトレーナーは言ったが、ハヤイはまだこの場所にいる。
やはりウマ娘にとってこの場所は特別なのだろう。
目的を忘れて、純粋に走ることだけを考えれる期間。3年間の中で、ようやく始まるのだろうか。
ハヤイの現在の走り
dice1d100=67 (67)
怪我直前が99、メイクデビュー前が40
- 153二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 21:14:03
意外と行けそう
- 154◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 21:21:36
コースを一周。タイムを見ずとも風圧の肌感覚だけでどれだけ遅くなったかは大体分かったらしい。
「うん、思ったよりは調子良くてよかった」
「それでも厳しいな、確か初勝利の時を少し上回るくらいか? また1から鍛え直すには時間が足りない」
「出来たとしても、同じタイムには戻れない」
一度自ら壊してしまった体は、超回復などでより強靭に、などと都合の良い展開にはなってくれなかった。寧ろ以前より壊れやすく、出力も低い。
元々安っぽいエンジンだったが、錆の腐食まで進行してしまったらしい。
「ま、絶対勝たなきゃいけないってこともなくなったから大丈夫だよね」
「……なら、どうして復帰したんだ? 同じように、絶対走らないといけない理由も、もう無いんだぞ」
「……なんでかな、俺にも、よく分からない……」
飛び立つ翼は一本圧し折られた。ただでさえ遠かった星は、己が停滞し、堕ちた間にさらに遥か彼方へ飛んでいる。
なのに。どうして自分はここにいるのか。
>>158 次レース
あと2回しか走らないし自爆はもうやめたしで爆弾はもう無しで
- 155二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 21:30:10
太秦ステークス
- 156二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 21:56:07
毎日王冠
- 157二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:17:01
ksk
- 158二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:18:05
毎日王冠(※G1ウマ娘次々と集結中)
- 159◆05a71cbMe9Vu21/11/05(金) 23:34:50
- 160二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:39:31
ksk
- 161二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:40:47
ウオダス
- 162二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:44:37
シンボリルドルフ
マルゼンスキー
ミスターシービー - 163二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 00:04:25
サイレンススズカ
エルコンドルパサー
ニシノフラワー - 164二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 00:15:27
15番人気
- 165二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 00:34:07
10番人気
- 166二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 00:35:33
dice3d6=2 6 6 (14)
- 167◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 08:14:12
勝手に寝ていました、申し訳ない
朝からゆるゆると再開します
ウオッカ
ダイワスカーレット
シンボリルドルフ
マルゼンスキー
ミスターシービー
サイレンススズカ
エルコンドルパサー
ニシノフラワー
なんだこれ、ウィンタードリームトロフィーの予行練習かな? - 168◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 08:21:23
マウンテンハヤイの人気は14番。復帰後のタイムが芳しくなく、この狂った大舞台の中では劣る存在に違いない。
トレセンの伝説的存在までここに出張している摩訶不思議空間の出現に頭を抱えるトレーナー。さながら時代をかけた決戦か。ならもっと相応しい場所に行って戦ってくれ頼むから。
結末がどうであろうと、きっとこのレースはウマ娘界の歴史に記されるだろう。立ち昇る闘志に当てられ空がうねっているような気さえする。
今の世界の中心は間違いなくここにあった
>>171レース前、マウンテンハヤイの様子
- 169二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 12:24:38
ksk
- 170二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:05:35
不思議なほどに落ち着いている
- 171二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:28:47
- 172◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 16:07:49
「まさに圧巻だな」
「うん、同じ場所に立てるだけで感動するよ」
不思議なほどにハヤイの顔は落ち着いていた。やわらかで緊張感の薄い雰囲気。ヴィクトリアマイルの時に近い。
「勝てると思うか?」
「さぁねー、勝てたら伝説、負けても、二度とない景色を実際に体験出来る。そう考えたら、終わったあとに出走出来て良かったと思えるようになるかな」
「なら色んなものをその目で体感していくといい。知らないものを見るのは、好きだろう?」
「分かった。……もう時間だ、行ってくるねー」
てててっ、とそう言ってハヤイは本バ上へと駆けていった。
怪我なく終わってくれればそれでいい。あの子を縛るものはもう必要ないはずだから。トレーナーはそう願う。
レース結果、順位
- 173二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 17:52:39
5着
- 174二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 17:59:53
このレスは削除されています
- 175二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:00:33
- 176◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 18:01:44
2……?
このメンバーでどうやったんだ…… - 177◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 18:23:32
唯一手段があるとすれば、サウジカップとヴィクトリアマイルで用いた、決死の領域だけだろう。
それとて今の継ぎ接ぎだらけの体が用いても以前の劣化、万全の状態とは雲泥の差だ。
「……どうやったんだ?」
だから、掲示板に入ることも万が一程度だろうと思っていた。
しかし現にマウンテンハヤイは2位と掲示板が示している。トレーナーは呆けたようにぽかりと空いた口が塞がらなかった。
今日という日は、最初から最後まで驚かされてばかりだった。
>>180 マウンテンハヤイの様子
※ポイント目標達成
- 178二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:28:07
ハヤイ自身も困惑している
- 179二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:36:59
好レーンを走っていた子が崩れたのを見ていて心配している
- 180二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 19:01:56
疲労困憊で倒れそうな所を皇帝に助けられる
そしてはじめて、
レースを楽しいと思った - 181◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 19:38:49
なんだ、最終回かこれは
- 182二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 20:18:01
成ったな──
- 183二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 20:23:02
ようこそ ウマの世界へ
- 184◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 20:38:30
体がとても軽かった。
夢を見るように不安や緊張が遠くに行って感じない。
それとも、本当に今も夢を見ているのだろうか。
脚が地面を蹴りつける感触。ドン、ドン、ドン、蹄鉄の音色。
鼻いっぱいに広がる芝の青々とした匂い。
自分の心もちが変わるだけで、何度も見ていたはずの景色がまるで違うように視えてきた。全てが新しい、面白い、もっとそれを感じたい。
今は目的も、目標もない。
だからこそその脚はどこにだって行ける。なんだって掴めるような気さえする。移り変わる、先の景色。
ひた走る内に、光が見えた。 - 185◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 20:41:06
「ああ、そうだ、走るのって、気持ちよかったんだ」
気がつけばマウンテンハヤイはゴール板を通過していた。今はコースのどこなのか、自分が何位なのか、あまりに感じるものが衝撃すぎてそんなことも抜け落ちる程に呆けていた。
立ち止まった瞬間に雪崩の如く押し寄せる疲労。完全にハイになって気が付かなかったが、すでに体力は底をつき立っていられないくらいに消耗していた。
ふらりと崩れかけた体を誰かに支えられる。その腕から先を目で追うと、シンボリルドルフがそこにいた。
「愉快適悦。君の走りが、あまりに楽しそうに見えた。まるで遊園地に初めて来た園児のように、加減を忘れていたみたいだった」
「……どうしてか、初めて、走ることが楽しいって思えました」
「……そうか、みなまでは聞かないが、君はようやくただ純粋に走れるようになったんだろうな。……もう一人で歩けるかい?」
「はい。ありがとう、ございます」
段々と口角が上がり、にんまりとした顔しか作れなくなってきた。胸からこみ上げるものに身を任せると、全身で転げ廻ってよく分からない何かを表現してしまいそうな気がする。
ハヤイは自分のトレーナーの元に戻った。そして、笑った。
「レース、楽しかったよ。トレーナー」
明日晴れたらいいな。また走りたいな、なんだか自然に、そう思える。 - 186◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 20:43:16
目標達成したけどどうする?
何かラストランする・温泉旅行行ってエンディング - 187二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 20:49:17
レースは終わりでいいと思う
- 188二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 20:58:45
適性無いけど有馬走らせてあげたい
- 189◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 21:07:38
- 190◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 21:08:06
安価ミスった
- 191二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:09:07
20年ぶりの大雪
- 192二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:22:13
イルミネーションを見に行く
- 193二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:27:21
星を見に行こう
- 194◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 22:36:46
今日はクリスマスイヴ、街は夜が深くなるほどに活気に満ちていた。、飲み、食らい、騒ぎ、そして愛を紡ぎ──そんな世間の喧騒は遙か彼方。
街灯もない真っ暗闇、辺りには人っ子一人うろついてはいない。
マウンテンハヤイとトレーナーの二人は小山の頂上、その岩に腰を降ろしていた。久しぶりに山を登りたい、何故か今この時にハヤイが言い始めた。トレーナーはその我満に付き合った。
「寒くないか?」
「うん、平気だよー」
ここに来るまで使っていた懐中電灯を消した。月明かりだけが二人を照らす。手を繋いでなければ、何処かに消えても気が付かないような闇の中。視界には、天に煌めく星以外は何も映らない。
「綺麗だな。久しぶりに星を見たよ、毎日見る機会はあった筈なのに、もう何年もこうして空を見上げていなかった」
「うーんと小さい頃は、毎日見てたかな。それで流れ星に願い事をしたりした」
夜空を遮るものが無い。人の作る灯りは下に小さく見える。
それだけで、空はどうして違った色を醸し出すのか。本来の色に戻るだけなのに、何故か夢のように幻想的。
元々の景色が、こんなにも見えていなかった。
ほうと白い息が漏れる。 - 195◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 22:38:41
「……トレーナー。俺はあの星みたいに、一等星みたいに輝けたかな」
「あぁ、誇りに思っていい。だからこうして有馬記念に選ばれたんだろう」
燃え尽きる程に少女はその命を輝かせた。今は、黒の死星になったとしても。
「……一つ、関係ないことだが聞いていいか?」
「なに?」
「サンタクロースのプレゼント、ハヤイはいつまで信じていたんだ?」
「……父さんが出ていく前かな。それから色々、子どもっぽいこと信じるのやめようとして、母さんのためにって早く大人になろうとして、色々心も体もおかしな感じになっちゃったのかな」
「それが早期の本格化に繋がっていたのかも知れない、か」
「そうだ、今は信じてるよサンタさん」
「いや、確かにお前にプレゼント渡す時に変装したが……お前、似合ってないって一目見て爆笑してただろ」
「あははは、だって、サイズ全然合ってなかったんだもん」
無理して背伸びして我慢して、大人のような真似事をしなくてもいい。ようやく子どものままでいられるようになった。
「ねぇトレーナー、膝の上、座っていい? 冷たい風防いでほしいな」
「仕方ないな、どうぞ」
大人になる年は、まだ先でいいなら。誰かにワガママ言って甘えたくなっても、仕方ないで済ませてくれる。期間限定でもう少しだけ通じるそれが、堪らなく嬉しかった。 - 196◆05a71cbMe9Vu21/11/06(土) 22:41:53
- 197二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:53:13
シンボリルドルフ
- 198二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:28:20
テイエムオペラオー
- 199二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:38:43
- 200二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:41:20
ハルウララ
- 201二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:14:28
10番人気
- 202二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:17:07
- 203二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 06:25:35
やべぇちょっと泣きそう。もうすぐ最終回か・・・
- 204◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 11:28:28
再開します、今日こそエンディングまでイクゾー
シンボリルドルフ
テイエムオペラオー
ハルウララ
…普通だな!(感覚麻痺) - 205◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 11:46:16
有馬記念、マウンテンハヤイの人気は10番だった。
飛び級ウマ娘という要素から生い立ちへの同情、魔境と化した毎日王冠での好走まで、話題性には事欠かない存在ではあった。
だがそもそも彼女は中距離以上のレースに出走したことは一度もない。練習風景での2500mタイム自体も適正のあるマイルに比べて明らかに見劣りしていた。
有終の美を飾らず、最後に醜態を晒してケチをつけさせる気なのか、そんな声も、確かにあった。
>>208マウンテンハヤイの様子
- 206二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:14:12
気負うものなど何もない彼女は毎日王冠で感じたレースへの楽しさを思い出してワクワクしていた
- 207二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:50:05
すごい爽やかな顔をしてる
- 208二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:57:51
- 209◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 13:25:16
いつもとは違い、ハヤイはそわそわとしていて落ち着かない様子だった。これからあなたの大好物のにんじんハンバーグを作ります、そんな形のワクワクに包まれているように。
走ることの楽しさを知った。あまりにも遅すぎてしまったが、それでも笑えるようになってくれたのだ。
精神の高揚に体は付いていかないし、興奮は優秀な頭を曇らせるし、勝つことを考えるならあまりに良い状態ではないかもしれない。だとしても。
「見ててねトレーナー!ばびゅーんと一着、とってきちゃうから!」
「……誰の真似だ?」
「ウララだよ。いつもすごく楽しそうだったし、見習らおうかなって」
「そうか、ならあの子を見習って行ってこい。そして誰よりも笑顔で帰ってくる。それが出来れば、お前の勝ちだ」
「うん、勝ってくるよ、最後にはね」
最後の舞台が始まる。
>>212 途中経過、最終コーナー、直線付近
- 210二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 13:59:40
こんなに楽しい舞台なのに足がうまく動いてくれない
- 211二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:04:14
追い付かれる。追い抜かれる。差は開く一方。
それでもなお彼女は笑っていた。 - 212二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:16:19
- 213◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 14:38:13
既に体力は尽きてしまって、最終直線に残す力は残っていなかった。形も崩れて失速していくのが目にはっきりと映る。
末脚をしっかりと、計画的に残して加速していく他のウマ娘達に今もどんどんと追い抜かれていく。
観客の視線は既になく、先頭争いを繰り広げるウマ娘達に向いている。僅かに残ったハヤイを見る目は、哀れみを含んでいた。
よく頑張りました、けれどここまで、どうして意味もなくここに出てしまったんだい? そんな疑問と悲壮の目。
そんな中で、マウンテンハヤイは。
(あ、笑った)
楽しそうな笑顔を見せた。後悔なんてこれっぽっちもなさそうに。
「がんばれ、ハヤイ」
トレーナーは誰にも聞こえないように呟いて、そっとハヤイに向けて手を伸ばす。
ずっとハヤイが走ろうとするのを止めようとしてきた。
こうやって、背中を押してやりたくなったのは、もうどれだけ前だっただろう。
初めて、なのかもしれない。
レース結果
>>216マウンテンハヤイの順位
>>219ついでにハルウララの順位
- 214二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:39:32
8 + dice1d8=2 (2)
- 215二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:49:40
8 + dice1d8=4 (4)
- 216二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:50:19
6 + dice1d10=7 (7)
- 217二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:52:42
dice1d5=2 (2)
- 218二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:54:06
dice1d5=5 (5)
- 219二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 14:54:35
一着
- 220◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 15:32:22
『夢のグランプリを制したのはハルウララ! 年末最後の大一番を制し、栄光のセンターの座を手に入れた!』
会場が震撼した。あのハルウララが、皇帝や覇王を下して頂点に咲いたことに。そも、彼女は当初同期達に比べて劣っていて、芝への適正さえも皆無だった筈。
一体全体何がどうなってこの結果を導き出したのか、ウマ娘に詳しいものほど理解の出来ない現象だった。
必然注目は勝者のハルウララと、そのトレーナーの元に寄せられることとなる。
走る才能が無いと貶められてきた。果て無き探求の末に頂に君臨した。努力は才能を凌駕する、その証明が今日成されたのかもしれない。
マウンテンハヤイにとってそれは、その結果は夢の中で思い描いていた、紛れもない理想そのものだった。
それを見て、ハヤイは何を感じているのだろうか。トレーナーは考える。何であっても、あたたかく迎え入れてやろう、そう思った。
>>223レース後、マウンテンハヤイの様子
- 221二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 15:41:20
大の字に寝転がって笑顔
- 222二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:13:56
空を見上げながらぼーっとしている
- 223二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:15:40
ひとしきり笑ったあと悔しいなあと泣き崩れる
- 224◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 17:32:47
ウイニングライブ。センターのハルウララはまさに花のような満面の笑みで会場を魅了した。
バックダンサーに過ぎなかったが、マウンテンハヤイも、その笑顔に負けず劣らずの楽しさいっぱいの表現でウララの煌めきを際立たせていた。
キングの言っていた似た者同士という評価は、今こうしてみると的を射ていたように思える。
日程が全て終わった後、外はもうすっかり夜になっていた。トレーナーは控室でライブ終わりのハヤイを待っていた。ハヤイを回収した後は控室の後片付けをして帰るだけ。
扉が開かれた。ハヤイが部屋に入ってくる。その口元が緩んでいた。
「ただいま、トレーナー」
「おかえり、楽しかったか?」
「もちろん! 凄かったんだー、まずオペラオーさんが第三コーナーで──」
興奮し早口のまま、あの時見てきた全部を語り明そうとしてくる。より近い場所にいたからこそ、ただ観客席から見ているだけでは分からないものも見えてくる。感動と衝撃はひとしおのものだった。
走るのは楽しかったし、そこでしか味わえない最高のものが特等席で堪能できた。出走できて良かった、嬉しかった。心からそう思える。
この嬉しさは紛れもなく本心だった。それでも。
「それで最後の直線、ルドルフさんが来たって時に、もう一万回に一回出来るかどうかってぐらい完璧な形で、ウララ、が……上がって、……あ、あれ……」
後から遅れて涙が零れてきてしまったのはどうしてだろう。
飛び上がりたいほど嬉しいのに。
分かっていたはずなのに、ずっと前から納得していただったのに。一位になんかなれるはずがないと。 - 225◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 17:33:07
「うぁ……ごめん、笑顔、でき、ないや……笑ったら勝ちって言って、くれたのに……」
「……ハヤイ」
「すごく、たのしかったんだよ……!けど、けど……くやしくよぉ……勝ちたかったよぉ……」
ハルウララでなければ、きっと涙は出なかった。
あの背中を見て希望が生まれたのだ。自分にも、可能性があったことに気づかせてくれたから。
「うぅぁあ……ぁああぁあ……」
ハヤイはトレーナーの中に頭を埋めて、声を殺して泣き続けた。トレーナーはずっとその頭を撫で続けていた。
大きい手のひらで包まれるのは、ハヤイは好きだった。
ひとしきり、もう頬がふやけるくらい泣き果てて、ハヤイは涙を拭う。
そしてへたくそな、今できる精一杯の笑顔を浮かべて言う。
「……それじゃ、帰ろっか」
「あぁ、何でも好きなもの食べに行こう、美味しいもの食べて、いっぱい寝て、それで幸せになろう」
「……うん、そうだね、お腹空いちゃった」
舞台は幕を下ろす。
世界の中心から少しだけ外れた場所で、少女は遅咲きの小さな花を咲かせた。 - 226◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 17:37:28
温泉行きます、その後エンディング
- 227二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 17:41:02
応援してます。エンディング楽しみ
- 228二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21:21:02
保守
- 229◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 21:30:37
【温泉旅行】
約一年前に手に入れた温泉旅行券。もうすぐ期限が切れるという時に、ハヤイは自分のトレーナーを誘った。私でいいのかとトレーナーは困惑していた。
現地に到着する。商店街の景品の割にはかなりの高級旅館での一泊だったことに驚く二人。特にハヤイはその豪華さに恐縮までして落ち着かない様子だった。
「ねぇ、温泉一緒に入ろうよ?」
「うん?いいぞ別に」
ごく自然体に二人は並んで湯のれんを潜る。同性だからというのも、もちろんあるが。
(もしトレーナーが男だったとしたら、俺はこうやって誘ったかな。……あれ? 別に裸見られてもなんともなさそうだぞ?)
間違いなく首が飛ぶし檻の中にブチ込まれるから混浴など認めないだろうが。
もしを考えたときの妄想には逃避感が入らなかった。かと言って恋簿のような胸の高鳴りも感じない。おそらくは今のように自然なまま。
付き合い浅い時から小便の後始末をさせてしまったし、入院時に至っては寝たきりなためにそのあたりの世話もされるがままだったためだろうか。
ハヤイの中でトレーナーに対する距離感はものの見毎にぶっ壊れていた。
「何をぼーっと考えてる?」
「いや、トレーナーがもし男だったら今どうなったかなーって」
「入ってもないのにのぼせたのか……?」
「失礼だねー」
過去に『もし』はないとしても、あの時はそうするしかなかったし、性別が違うくらいなら戻ったとしてもきっとその手を取った。
この人だから、一緒に入ることも嫌じゃないし今こうしていられるのだろう。 - 230◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 21:49:43
ざぷん、トレーナーは湯船に浸かり端にもたれ掛かる。その膝の前にちょこんとハヤイが座っていた。
「ふぁあぁああ、なにか効いてるような気がする〜」
「湯加減はどうだ?」
「い〜いか〜んじ〜、温泉って初めて入ったけど、全然違うんだねぇ〜」
トレーナーの目にはまるで氷が融解するようにハヤイが溶ろけているように見えた。
散々痛めつけた体に薬効成分が染み渡る、ような気がする。気持ちいいのだからそれでいいのだ。
「3年間、あっという間に終わっちゃったねー」
「これから走る気持ちはあるか?」
「うーん、どうだろう。母さんの治療のために一緒にアメリカ行って、そこでどのくらいあっちに居るかもまだ分かんないし。あとドリームトロフィーのレベルにはさすがに追いつける気がしないよ、体ももうガタガタでついて行かないし」
「……まるでお婆さんみたいになってるぞ」
「だからさ、他のことやってみようかなって。蹄鉄の代わりに登山靴履いてさ、山登りしたり。そうだ、ロッククライミング、今よりもっと時間割いて勉強したいな。あっちでも出来るよね?」
「確かあっちの方が本場と聞くな。流石にクライミングの知識は何もないし、ただの伝聞だが」
ハヤイはすいーっと温泉内を一周してトレーナーの目の前前という定位置に戻ってくる。
四つん這いのまま、トレーナーの顔を見上げてきた。紫紺に浮かぶ星が、僅かに潤んでいるようだった。緩んでいた先ほどまでとは違う。
「…………ねぇ」
「どうした」
目線が下にずれ向き直る。その仕草には不安が滲んでいた。これからの言葉を断られるのではないかと言う不安。
ややあって、ハヤイはもう一度口を開いた。
「アメリカ、いっしょに来て」 - 231◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 21:54:18
「もう俺は、走らないかもしれないし、トレーナーはトレセン学園のトレーナーじゃなくなるけど……それでも、いっしょにいて、ほしい……」
その声はどんどん震えて尻すぼみになっていって、終わり際にはほとんど聞こえなかった。
「わがままなのは、分かってる……トレーナーになるって夢、せっかく叶えたのに、捨てさせることにしちゃうって……」
トレーナーになるには資格がいる。専用の学校もある程の狭き門で、特に中央トレセンでの資格は並大抵の難易度ではない。トゥインクルシリーズに夢をかけるウマ娘と並び立つからこそ、それと同じだけの熱量がいるのだ。
「けど今の俺には、あなたしか、たよれる大人がいないんだ……」
母親は治療出来るか分からない。もしかしたら、一生あのままの可能性だってある。
そんな時に、誰かが側で支えてくれないと、瀬戸際で何も感じないように自分を我慢して騙して保ってきた心が、今度こそ砕けてしまう。自分は孤独に耐えられないほど弱いから。
「ついて行くさ。何処にだって」
ぱたりとハヤイはトレーナーに倒れ掛かる。胸に顔を埋めて「うれしい」小さくそう呟いた。胸に感じる額のぬくもり、これだけ暖かいのは湯の温度だけではないはず。
「ずるいよね……泣き落としまで、使ってさ」
「それだけ不安に思っていただけだ、何も恥ずかしがることじゃない」
この胸のなかのぬくもりを、手放したくはない。
離れたくないと思っていたのは、ハヤイだけではなかった。 - 232◆05a71cbMe9Vu21/11/07(日) 22:01:56
温泉終了
学業の問題とかはハヤイちゃんは優秀なのでそのへんの資格とかはパパっと取得できます
飛び級で入学させたなら飛び級で卒業してもかまへんやろ
エンディング名>>235
スペなら 『ただいま』
ダスカなら プリモ・リンケージ
みたいなの
- 233二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:03:20
そこに『それ』があるから
山の名言にあやかって - 234二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:17:31
新天地
- 235二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 23:18:04
キミトノボル
- 236◆05a71cbMe9Vu21/11/08(月) 00:31:41
【キミトノボル】
マウンテンハヤイはトゥインクル・シリーズで結果を残すことができた。とても大事な『最初で最後の3年間』を無事乗り切ることが出来たのだ。
周囲が困惑するほどなんの未練も無いように、ぱたりと走る姿を見せなくなって、気がつけばトレセン学園を止めて母親の治療と称してアメリカに飛んで行った。
そして──
「ハヤイ……?」
「母さん、俺のこと……ちゃんと、見えてる?」
「……なんのことかしら?」
「えへへ、いや、なんでもないよ」
母親は幻想から解放され、ようやく自分の娘の姿を認識できるようになった。外出、男性に対してのパニック症状はまだ残ったまま。
それでも一歩、快復の兆しが見えた。進んでいるという実感は、ハヤイだけでなく医師たちにも希望を齎した。
ハヤイはその間の幻覚のことを、自分の怪我のことを、ほんの最小限にしか語らなかった。知る必要のない痛みは胸の内に秘したまま。まだ不安定な時期に語るべきではない。
それを吐き出すのは、母の代わりにその間を見てきた一人の大きな女性の前で。心中を吐露するそれを、彼女は優しく撫でてやっていた。 - 237◆05a71cbMe9Vu21/11/08(月) 00:34:40
時は流れる。
誰も生活できないような、厳しい自然の要塞があった。凍てついた白道を踏み締める二人の女性の姿。
一人はそこらの男性よりも遥かに大きく、一人はその女性の胸ほどしか背丈がない。凹凸感が満載の二人組。
崖を踏みしめ、景色を眺める。月明かりと夜空の星の色彩、白雪が煌めく様が幻想的。
「ここまで雲に近づいたのは初めてだ」
「クリスマスに見たそれとはまた違うな、星が段違いに輝いて見える」
「すごいね……」
ぴょんと突き出た岩に飛び乗って、ハヤイは少しでも大きい方と目線を合わせようとする。
「ねぇ、とれ、……あー」
「まったく、いつになったらトレーナー呼びをしなくなるんだ?」
「3年もずっと呼んでたんだから、癖になっちゃったんだよ」
彼女はトレーナーを辞めていた。後になってトレセン学園の方で噂の方は訂正されたという話は聞いたが、今は戻る気はないらしい。
「行くぞ、もう少しで頂上だ。そろそろ夜も明ける。最高の夜明けを拝むために、ここに来たんだろう?」
「うん、道はこっち!早く行こう!」
とてとてと、しかし熟達したように凹凸ある地面を踏みしめて駆けるハヤイ。その後ろ姿を見て、彼女は苦笑を溢した。
どこまでも純粋で楽しそう。これまでの道中、辛い道だった筈なのに苦言一つ零すことなく登り続けた。そんな純粋さを、少しだけ羨ましく思う。
寄り添い、支え、見守る。そんな日々も、あの子が自分がいることで笑っていてくれるのなら悪くない。
夜が明ける。今日は昨日になって明日が来る。
そんな明日は、きっと幸せな日になってくれる。
それがどうしてかは、上手く言葉にできないが。 - 238◆05a71cbMe9Vu21/11/08(月) 00:39:30
END
育成完了です(引退)
やっぱりリアルタイムで反応があるのはやる気というかやらなきゃいけない感が働きますね
そのおかげでエタらずに済んだんだと思います
他の方の安価を保守する時は一言でも感想も書くようにしよう、って書いてて思いました
保守がずらっと続くとなんか精神的につらい
これまでお付き合いいただき誠にありがとうございました - 239二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 01:26:38
乙!面白かった!
- 240二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 01:27:52
乙!
ハヤイが幸せになれて良かった! - 241二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 07:26:46
乙です
- 242二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 11:43:17
乙です
- 243二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 13:17:05
乙です!
寝てる間にいつの間にか終わってた
楽しかったし面白かったし、何もかもが良かったぜ!
長く続いてたのが終わると寂しくなるなぁ…
また、いつか何処かで会えたら良いな - 244二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 00:05:51
乙です!
毎日の楽しみが消えるのは悲しいですね
文章も読みやすくて、盛り上げるとこは盛り上げててとても面白かったです
またの機会があったらぜひ!