【落語ＳＳ】助っ人だらけ

1二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:34:36

トレセン学園では定期的にチームレースが行われ、各トレーナーが凌ぎを削っておりますね。
また、最近ですと「アオハル杯」というチームレースの大会が創設されましたが、現実はチームメンバーが易々と集まるトレーナーさんばかりではございません。このお話の主人公のトレーナーさん、出走するためのメンバー探しに難儀しておりました。

……………

「うーん、困った。まさかチームを組むためのメンバー５人を集めるのにここまで苦労するなんて…あと一人、誰か走ってくれる人を見つけないと…」

『お困りですか？』

「あ、はい、今ちょうどチームレースのメンバーで困ってたところで」
『次のチームレースは確か東京レース場・2000mでしたね。私が助っ人として出場しましょう』
「…君は、もしかして！？」
『私ですか？"天皇賞秋のエイシンフラッシュ"です』

2二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:35:32

エイシンフラッシュ、天皇賞・秋での快挙を知らない者はトレセン学園には一人もいません。東京レース場ではまさに敵なし、彼女の働きもあって無事勝利を挙げることができたのですが…
「助かったよ。次の中山レース場2000mも頼んだよ！」

『中山レース場ですか。……残念ですが、出走はできません』
「えっ？」
『私は"天皇賞秋のエイシンフラッシュ"、東京以外のレース場は得意としていないので、期待に応える走りはできないかと…』
「そう言われても困るよ！？弱っちゃったなあ、誰かなんとかしてくれないかな…」

『…おや、お困りかい？』

「あ、はい、今ちょうどチームレースのメンバーで困ってたところで… も、もしかして！？」
『中山2000なら任せてもらおうか、私は"皐月賞のアグネスタキオン"』

3二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:36:14

アグネスタキオンといえば無敗での皐月賞制覇を成し遂げたウマ娘。彼女の働きもあって無事勝利を挙げることができたのですが…
「助かったよ。次の京都レース場2000mも頼んだよ！』

『京都か。京都は…無理だね。』
「無理！？」
『仕方ないだろう！中山と京都はどう見ても違うじゃないか？！第一私は京都で走ったことすらないんだ！』
「そう言われても困るよ！？弱ったなあ、また誰か助っ人を探さないといけない…」

『…もしかして、お困りでして？』

「あ、はい、今ちょうどチームレースのメンバーで困ってたところで… も、もしかして！？」
『わたくしは"秋華賞のカワカミプリンセス"ですわ！』

4二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:37:02

そんなこんなで東京・中山・京都・阪神・中京…あらゆる距離・レース場だけを得意とするウマ娘が集まりましたが、チームメンバーに登録するだけでもコストは膨らむ上に、肝心のチームレースも皆さんが口々にこのレース場には出ない、この距離は無理だ、というので話になりません。そんなこんなであっという間にチームは空中分解してしまいました。

…と、ここでお話は終わりません。誰もいなくなり、すっかり広くなったチーム部室を前にトレーナーと担当ウマ娘がポツンと黄昏ておりますと、一人のウマ娘が声をかけてきました。

『なんだお前？最近大負けしたチームのトレーナーじゃないか、どうしたんだそんな顔してよー？……よくわかんないけど、また一からやり直せばいいんじゃないか？なんならアタシが助っ人として協力してやるぜ』

なんとこのウマ娘中々人徳があるようで。寄せ集めではありますがあっという間に次回レースのメンバーを揃えてくれました。
「…色々と協力してくれてありがとう。君のおかげでなんとかやり直せそうだよ。ところで名前を聞いていなかったね」

5二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20:37:27

『アタシか？アタシは"宝塚記念のゴルシ"』
「なるほど、道理で立ち上げが上手いわけだ」