- 1二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:58:20
- 2二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22:59:21
あなたのことを思いながら、金色の鯛をそっと撫でる。
脳裏に浮かぶのは、あの秋、駆け抜けた2000メートル。
栄光の日曜日。そう呼ばれた日。
スピードの向こう側にたどり着いた日。
あなたとのラストランに思いを馳せて、
私は手元の画面に視線を向ける。
そこに映っているのは、しばらく連絡を取っていないあなたの名前。
――久しぶりに声を聴きたいとは思うのだけれど、
長い時間が過ぎて、どう声をかけてよいかわからなくなってしまっていて。
小さなため息をついて、私は画面から顔を上げる。
あの頃と同じ輝きで、金色に煌めく鯛を見て。
私は――
あなたのことを思いながら、記事の写真をそっと撫でます。
思い浮かぶのは、あの秋、追いかけた2000メートル。
栄光の日曜日。祝福した日。
あなたが幸せになった日。
あなたとのラストランを思い出しながら、
私はスクラップブックの記事に視線を向けます。
英語は殆どわからないけれど、決して見落とすことのないあなたの名前。
――久しぶりに、お話ししたいと思うのですけれど、
突然の連絡は、忙しそうなあなたの邪魔をすることになりそうで。
小さなため息をついて、私は次の写真を手に取ります。
あの頃と同じ輝きのまま、先頭を走るあなたを見て。
私は―― - 3二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:00:30
あなたととても、お話ししたかったの。
あれから数年、久々に日本に帰ることになって。
帰国した当日。偶然同期の同窓会が開かれていることを耳にして。
スぺちゃんにも背中を押されて、こっそりと会場へ足を運んだのだけれど。
入り口から見えた皆の姿は、すっかり変わってしまっていて。
――それは自分も同じだとわかっていても、少しだけ気後れしてしまって。
立ち止まって、竦んでしまった私に、あなたは。
あなたととても、お話したかったのです。
あれから数年、久々に皆で集まろうということになって。
お待ちかねの当日。朝の占いが大吉だったことで期待に胸を膨らませて。
皆さんとお話しながら、楽しい時間を過ごしていたのですけれど。
視界の隅に映ったあなたが、とても元気そうなお姿で。
――それが私には心の底から嬉しくて、少しだけ涙ぐんでしまうぐらいで。
いてもたってもいられずに、走り寄った私に、あなたは。
「お久しぶりです! スズカさん!」
あの頃と同じ笑顔で、話しかけてくれた。
「……久しぶり。フクキタル」
あの頃と同じ笑顔で、返事をしてくれました。 - 4二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:01:33
- 5二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:03:47
- 6二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:04:15
ありがとう…
スズカとフクのホーム会話が繋がってるの好き - 7二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:08:09
とってもよかった
好きな雰囲気だった - 8二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:20:24
このカプすこ
- 9二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 23:23:46
いいSS、ありがとう
- 10二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 00:45:59
しゅき…