(SS注意) 「ルフィ...バイバイ」

  • 1二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:29:18

    「やらせねえよ?」 突然知らない声が響き渡った。振り返ると大勢の知らない人たちがゾロゾロと集まってきてる。
    「誰...?」『俺たちは全員エレジアの国民だ。』一同声を揃えていった。


    言葉が出ない。どうして、今更、何で。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。感情が溢れ出るも言い表せない。
    「何勝手に一人満足して死のうとしてるんだ」一人の男が集団から出てきていった。
    「あんたは、生きるんだ。生きて天寿を全うして好きな人たちと暮らしていけ。こっちに来ることは許さない。」
    「そうよ、あなたはもっと広い世界を知らないと。世間知らずでしょ、12年間も寂しく暮らしたんだから。こんな馬鹿なことを二度としないように。失敗をもうしないように。」
    「無理やり来るのなら力ずくでもアタシたちがあんたを食い止める。」
    「国王様に12年間も大切に育ててもらえた恩を仇で返すことは僕たちが許さない。」
    「こんな大勢の人に庇ってもらえるほどあんたは愛されてるんだ。一人の価値観でこっちにくるな。」


    少し乱暴な口調でアタシを次々に来るなというエレジアの人たち。
    「でも...アタシは.....エレジアを滅ぼした....救われたいの...」

    『だからだよ。』


    「え?」


    「本当に救われたいと思ってるのなら、エレジアを滅ぼしたことに罪悪感を持っているのなら、生きて大切な人たちに得意な歌を披露してあげるのが、生きるのが一番の罪を償う方法だ。罪悪感から逃げるな。」

    最初に出てきた男の人が言う。


    「さあ、行く時間だ。家族の元に帰れ。」

    そういうやいなや、大きな力に押されて、アタシはまた意識が揺らいでいった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:30:11

    期待

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:43:11

    「ウタ!ウタ!!」
    「シャン...クス...」
    「薬をちゃんと飲めたな。よかった。」

    起きると目の前にはシャンクスがいた。みんなアタシを心配して後始末や海軍を撃退してくれた。アタシのために。こんなことをしてまで。


    「罪悪感から逃げるな、ちゃんと向き合え」

    頭の中にこだますあの男の人の一言。そうだ。アタシはずっと逃げてたんだ。ちゃんとゴードンとも、シャンクスともルフィとも向き合ってなかったんだ。


    「シャンクス.....会いたくなかった。」
    「....」
    「でも...会いたかった。」

    「みんな....ごめんなさい......」アタシは頭を下げて謝った。赤髪海賊団の音楽家なんて言ってるくせに信じきれなかったアタシのために、二度もシャンクス達は命をかけて戦ってくれた。ルフィだって帽子を破ったり仲間を危険な目に合わせたアタシのために戦ってくれた。ゴードンはアタシに国を滅ぼされたのにアタシを12年間も育てて罪を被ろうとしてた。
    逃げてたんだ、アタシは全部から。

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:46:22

    「謝らなくていい。」
    「そうだぞ、ウタ。」
    「娘を助けるのは親の役目だ。」

    口々に言うシャンクス達。


    「アタシ...叱られちゃったんだ。エレジアの人たちから。」

    「!?」

    「罪悪感から逃げるな。罪と向き合え。一人で勝手に死ぬなんて許さない。って。」

    「....」

    「生きて罪悪感と向き合うのが一番の罪の償いだって。」


    「ウタ、あの件に関してはお前は何も悪くない「違うの。シャンクス。」


    「アタシはみんなを二度も危険に晒した。ゴードンにも酷いことをした。ルフィにだって....」

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:48:52

    「帽子を破ったり、仲間を傷つけた。お姉さんぶってたけど変わってないのはアタシだけ。ルフィの方が何倍も成長してた。アタシがそれについていけなかった。」

    「アタシはそれを無視して全部から逃げてて、独りよがりの価値観で大勢の人を巻き込んだ。勝手に死のうと馬鹿なことをした。」

    「本当は薬を飲まないって決めてたのに...国民の人たちに気付かされた。アタシが間違ってるって。」

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 09:51:50

    「だからこれからアタシ、頑張って生きていく。一生この罪と付き合っていく。まずゴードンに謝って一緒にエレジアの人たちの墓を作りたい。それからルフィに一旦会わせててほしい。ルフィや仲間の人たちに謝りたいの。その後は........また音楽家として一緒に旅をしていい?」


    シャンクスは難しい表情をしていた。


    「12年越しのわがまま....聞いてほしいな…」

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 10:01:04

    シャンクス「わかった、12年間ぶんのわがままなんて安いものだ。いっぱい聞いてやろう!」

    ニコッと笑う大好きなシャンクスの大好きな笑顔。

    空がだんだん晴れていき、一筋の雲の隙間から溢れる光が成長した少女を祝福するように輝いていた。


    終わりです。何気に一番ウタを叱ることができる可能性があるのは死んだエレジアの人たちかな...って思って書きました。

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 10:39:01

    またなにか思いついたら書いて欲しい
    ウタを励ました人の中にあの子の歌声は危険だって伝えた人もいて欲しい

  • 9122/11/29(火) 10:40:24

    >>8

    いますよ、罪悪感から逃げるなって言った人が危険だと言った人です

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 10:43:34

    ありがとう、こういうの好きだ…

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 11:13:57

    ちょっと救われました
    ありがとうございます

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 14:00:29

  • 13122/11/30(水) 01:11:21

    ありがとうございます。またちょっと思いつきそうなので次の日書こうと思います。

  • 14122/11/30(水) 11:02:28

    シャンクスが助けに来てくれたのもアタシを本当の家族だと思ってくれたからと今更気づいた。ルフィが止めようとしてくれたのもアタシを本当に大切に思ってくれたからだ。ゴードンだってアタシに国を滅ぼされたのに「悪いのは全部私、私のせいだ」と言ってくれた。それにアタシを12年間育ててくれた。エレジアが滅んだ時もアタシの罪を被ろうとしてくれたらしいとシャンクスから聞いた。アタシはなんて馬鹿だったんだろう。

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています