トレーナー「へー、舌も太るらしいぞ」

1二次元好きの匿名さん21/08/21(土) 22:57:34

「むぐぅっ！？」
モンブランを美味しそうに頬張っていたマックイーンがその一言で沈黙してしまった。
しまった、世間話の一貫として言っただけであって、マックイーンを咎める意図は全くなかったんだが。
今食べているモンブランだってしっかりしたカロリー計算の元で食べても問題ないと判断された分だし。
「すまんマックイーン……」
謝ろうとしたところで半泣きのマックイーンがこちらにぐっと身体を乗り出してきた。
「わ、わたくしは大丈夫ですか？！　メジロ家たるもの舌が醜く太っているなどと恥ずかしくて人前に出られなくなります……！」
「いや、そんな目に見えて変わるものでは……」
「確認、確認してくださいまし！」
そう言ってマックイーンが健康診断の時のようにあーと口を大きく開けた。
指で自分の舌を指差して、触って確かめてくれとジェスチャーを送っている。
……俺は専門家でもなんでもないし、触ったところで何もわからないと思うのだが、とにかくなにかしらやっておかないとマックイーンは納得してくれなそうだ。
恐る恐る、彼女の口の中に触れる。規則正しい健康的な歯並びだ。唾液に濡れててらてらと光って見える口の中は、ともすれば裸よりも見てはいけない、見ることが難しいものなのではないかと思う。
喉の奥の方にはなるべく目を向けないようにしながら、マックイーンの舌に触る。
「ろうれふか……？」
恐る恐るという様子で問いかけてくるマックイーンは少しくすぐったそうにしている。どうと聞かれても色もきれいで何も問題ない、健康的な舌にしか見えない。
大丈夫だよ、と言うとほっと胸を撫で下ろしたマックイーンだったが、半分残ったモンブランは夜のデザートに回すことにしたようだった。
……マックイーンの唇とか舌の感触とかを思い出さないようにしながら手を洗ったが、気にしないように努めるほど余計に鮮明に浮かんできて困った。

後日その話題をテイオーに話したところでようやく自分の行動に羞恥を覚えたマックイーンは、三日くらい口を利いてくれなかった。