ふーんこれがあにまんか・・・Part2

  • 1二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 22:27:14
  • 2二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 23:12:26

    ガンバレ

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 00:32:21

    「……よしっ」
     見とれている場合ではない。彼女がすべての敵を殲滅……いや死んでませんが
    した後には拘束が待っています。物陰から出たわたしは指錠をじゃらじゃらと取り出して
    それぞれ親指同士を止めて、動きを制限します。
    ……中々骨が折れます。呻いているとはいえ、成人男性の太い腕を掴んで、後ろに回すのは。
     千束はらくらくやっていますね。本当に本調子のようです。よかった。

    「これで全部かな。誰も隠れてなかったかな?」
    「はい。大丈夫です、ちゃんと見てきました」

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 00:44:04

    建て乙

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 00:53:16

    >>3

    おおおおおおおおきたああああ

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 01:00:51

    >>3

    「ならよかった。クリーナーよぼっかね」

    「あの千束……」


     携帯を取り出す千束にちょっと言っておきたいことがあった。

    なんだろう、違和感。違和感だ。気のせいだとも思いたいんですが、

    それを潰してもおきたい。ほんの少しのこと。だけど前とは少し違う。

    前――入院する前から少しずつだけど気がかりだったこと。

    最初は、そんなこともあるだろうとか、そういう戦い方の方が便利な

    時もあるんだろうとは思ってた。


    今日もそうだった。完全なる気のせいじゃないと思う。いつからか

    千束はそうなっていた。だから――。


    「敵に近寄りすぎではないですか?」


    だから、千束はこの前撃たれたんだ。

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 06:27:33

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 07:53:19

    ほほう

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 08:06:24

    不穏

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 08:19:36

    保守

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 12:13:57

    作者は不穏にさせたがり

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:45:34

    >>6

    「敵に近づきすぎじゃないですか?」

     ……ついにバレてしまった。

     ううん、これは隠さないと。


    近づけば撃ち損じもない。

    撃ち損じなければ、銃弾が節約出来る。そしたら……たきなに褒めてもらえるから、

    なんて口走ったら自分の所為だって絶対に病んじゃう。

    全然たきなの所為じゃないのに、自分が原因だと思ったら責任まで感じてしまう。

    特に節約、という単語は絶対に口に出してはならない。

    これこそ、たきなが発端ということになってしまう。


    「そ、そうかな?」

     とぼけても無駄なのに。

    「そうですよ、危険です……いえ、やめてください」

    「うん、気づかなかったから……ごめんね、ありがとう」

     これでやり過ごせるはずだ。

     その真剣な目。私は嘘を吐いたことを後悔する。たきなはいつだって私に嘘をつかない。

    それなのに、私だけは嘘ばかり。嘘ではないけど、言わなかったことがいっぱいある。


    ――


    千束が自分自身の行動について、気づかないなんてあるんだろうか?

    ……あり得るとは思う。前に、どうやって銃弾を避けているのか? と

    きいたことがあるけれど、うまく説明できないみたいでした。

    だから、自分の行動をうまく言えないこともあるんだろうし、無意識の動きもあるはず。

    だよね……これから気を付けてくれれば、それでいい。

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 07:53:06

    本編が不穏だからね…

  • 14二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 12:53:46

    これから明るくなるから…多分

  • 15二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 22:46:20

    千束ってすぐに影響されちゃうよな……でもすぐに飽きるから……

  • 16二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 08:11:11

    あげ

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 12:52:50

    ゆるゆる来て!!

  • 18二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 22:05:07

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 05:53:32

    ちさとの曇らせ甲斐ってなんだろうな

  • 20二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 15:57:29

    表情豊かだから…

  • 21二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 00:16:24

  • 22二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 00:56:06

    待たせたな……

    >>12

    「千束、見てください! 千束がいない間も経理頑張ったんですよ!」

     わたしは少し鼻を高くして千束にデータを見せます。

     右肩上がりの業績、申告すべき税金は低め、なんと綺麗な図表でしょう!

    近所の区役所でやってる中小企業向け経営相談会に行ってみて、助言指導を受けながらやってみたんです。

    やはりリコリスとしての教育だけじゃ不十分でしたね、人から教わると色々なことが分かります。

    自分が何もわかってなかったということすら分からなかった。


    今までのわたしだったら、誰かに教わろうとなんか思いませんでした。

    目の前で圧倒的な実力を見せてくれたら従うとは思いますが、何をしているのか実際はよく分からない人に

    頼みに行こうなんて思いもしなかったでしょう。

    これも千束のお陰なんですよ? どうですか? わたし、良い方に変わりましたよね?


    「お、すごいじゃんたきな! こんなに儲かるなんて!」

     やった! 喜んでくれた!

    「元々ここ、電波塔の近くだし、大きなショッピングモールも近いから人通りも悪くないですし、とっても

    良い場所ですから、潜在能力とってもあるんですよ。すごいのは千束です、ここを選んだのは千束でしょう?」

    「お、やっぱり千束さんは最強だなあ~」

    「ええ! だから千束――」

     わたしは、躊躇わない。ただわたしが口座の数字の増加を追い求めていると思っているのか?

     わたしが必要以上のお金を欲しているとでも思っているのか?

    「もう、銃弾はそんなに節約しなくていいんですよ」

     千束の顔を、わたしは素直に直視することができなかった。

     わたしの予想が当たっていたらと思うと、申し訳なくて顔向けなんか文字通りできないからだ。

     外れていてくれとわたしは願うばかりだ。

  • 23二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 10:36:05

    >>22

    「っ……!」

     たきなにバレてた。

     

     リコリコに普通に戻ってきて、珈琲淹れてもらって、データを見せてもらうだけで

    もうあの話なんか忘れられていると思っていたんだけと、そうじゃなかったみたい。

    甘かったなあ……私。MAX COFFEEぐらい甘かった。

     どうやって返答しようか迷う。ここでたきなの台詞に肯定的な反応をすると

    やっぱり私が褒めてもらいたいから銃弾を節約していたことがより詳細にたきなの

    脳に刻まれてしまうのだ。


    「……そうなんだ! じゃあバンバン撃てるね! やったー!」

     これでいい。私は元気な千束なのだ。銃を撃ったり、戦ったりするのが好き。

    そういう奴なんだ。だからこの反応が自然なはず。そうだよね?

    「ええ、バンバン撃っちゃってください。千束」

     たきなは私の胸中を覗くことなく、そう言った。

     ずきり、としたのは傷口のある脇腹ではなく、あるはずのない胸。

     でも今日でこういう気持ちとはお別れ。

     唯一の懸念点であった「銃が怖い」というのも実はそこまででもなかったし、

    腕が鈍っているのもあり得たけど、銃弾がたくさん使えるのならそこもカバーできそう。


     これで大丈夫だ、私、完全復活だ!

  • 24二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 13:48:08

    結果オーライ切り替えて元気に行こう!ってなる?ならない?

  • 25二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 16:04:58

    作者を信じろ!!!

  • 26二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 23:46:19

    >>23

    「えへへ……撃つよ」

    「はい……撃ってください」

     こうして私たちの間に微妙な沈黙が流れてしまう。なんだこれは……。

    でも、いつもよりは柔らかい空気か……な?

     私たちだけの空間に、漂う珈琲の香り。どこかで打たれる時計の針の音。

     私の嘘を、たきなはもう知っているのだろう。

    私は、たきなに褒めてもらいたいがために自分の命を危険にさらした。

    節約なんて二の次、三の次、四の次だけど、多分たきなは私が節約したくて

    そうしたんだと思ったままだ。

    たきなは……自分自身が私にどれだけの影響を与えてしまうかなんて全然覚えてないんだ。


    そういうところ、辛くて、悲しくて、でもそれだから好き。


    でも、そういうところがあるから、何も覚えてないところにショックを加えちゃいけないんだ。


    「千束、約束してくださいね? 危なくなったらちゃんと撃つこと。弾の制限はしませんから」

    「する、絶対する」

    あ……そうだ。と私は小指を立てて差し出す。たきなは一瞬目をぱちり、としたけれど、漸く意図が掴めたのか

    彼女の白くて細くて、そして心なしかひんやりした小指が私のそれに絡まる。

    指切げんまん、なんて子供の時以来したことがない。

    いや……他に誰ともしたことがないかもしれない。フキなんかこんなことしないし。

    最初の約束はたきなとで、最後もきっと彼女とだろう。

    これができるようになるなんて、脇腹に銃弾一個もらっても……悪くなかったかもしれないな。

  • 27二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 07:41:49

    ここまでハッピーエンドに見えるが
    漂う不穏さをどうしようもない感じがある

  • 28二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 18:24:42

  • 29二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 23:28:45

  • 30二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 03:00:06

  • 31二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 08:01:32

  • 32二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 11:23:00

  • 33二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 20:59:43

  • 34二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 07:48:03

  • 35二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 12:30:54

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 17:00:40

  • 37二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:08:31

    >>26

    「潜入調査ですか?」

     ある日、お客さんが出払った頃を見計らって店長がわたしを厨房に呼ぶ。

    これは、仕事の依頼だ。お店のドアに注意が向くが、店長にそれを向け直す。

    「そうだ、二人に頼みたい」

    「でも、千束は今配達で……」

     そう、組長さんの所へ珈琲を届けに行っている。

    一番最初にわたしをからかったところだ。いまだに思い出して微笑ましい気分になります。

    ともかく、二人に対して話すべきだし、いつもそうだったのに今日はわたしにだけだ。

    「ん、実は、まあ病み上がりに激しい運動させすぎるのもな……前回のもあまり気が進まなかったんが」

    「ああ……」

     千束はこれを聞いたら余計ムキになりますよね。

    いいえ、ムキになるっていうのはちょっと違いますね、彼女は自由にやっているように見せかけて

    だいぶ人の動向を気にする。人の期待に応えようとしてしまいます。

    自分が辛くても、痛くても、人から頼まれたら無理を押してでもやってしまう。

    千束に頼みごとをするっていうのは、少し注意しなければいけないんだ。

     わたしの得心した顔に店長は少しばかりニコっとしたかもしれない。

     二人で千束のことを話しているとどうも、わたしたは千束の親っぽい雰囲気になります。

    わたしの方が若いんですけどね……。

    「今回は殆ど撃たないだろう。証拠物件だけ回収するという形だ」

     なるほど、それなら大丈夫ですよね。

     千束は退屈がるかもしれませんが、少しは慣らしてもらいましょう。

    ――

  • 38二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:08:45

    >>37

    「お兄さん、ご結婚のご予定とかありますか?……と」

     千束が真面目腐った顔でアプリにぽちぽちと文章を打っている。

    「お、あるってよ、たきな」

     やったー! と楽しそうな声を漏らしています。

    そしてミズキさんはそれを心底軽蔑したような目で睨みながら

    千束に毒づきます。

    「千束は結婚できねーだろーが!」

    「知っとるわ! 私だって辛いの!」

     真昼間のリコリコでこんなのやるのはミズキさんだけだと思ったんですが……。


    遡ること数日前――

  • 39二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:13:10

    出会い系で釣られる可哀想な男が一人...

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 07:23:57

    羨ま可哀想

  • 41二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 12:36:19

    結婚の予定があるやつが出会い系やるなよなww

  • 42二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:02:10

    >>38

    「え、わたしたちの方が、犯罪組織に加担するってことなんですか?」

     てっきり被害者役を装って、相手が犯罪行為に手を染めようとしたときに

    撃ち殺……いえ制圧するんだと思ってましたが。

    「そうだ。相手方はネットを介して離合集散する、実体のない組織と言えるかどうかも怪しい集団だ。

    自分がそのメンバーであるかどうかすらわかっていないケースも多い」

     店長から聞かされた仕組みは中々に難しい。というか失礼ながら店長もよくわかってないのでは……?

     クルミから説明を受けてなんとか把握しました。

    「まあ、マッチングアプリを通して男を吊り上げ、提携している会場に呼び寄せて高価な物を買わせる。んで、判断力を失わさせる薬物を使って、買わせてるのが問題ってわけだ。千束とたきなはこの詐欺グループに一旦入ってもらう」

    「えー! そんなんなんか可哀そうだし、リコリスの仕事じゃないよそんなん!」

     と千束は抗議します。たしかに詐欺などの対処はあまり聞いたことがありませんね……。

     違法薬物のルートだからでしょうか。

    「言ったろ千束。これは薬物のルートと証拠を掴める機会だ。お前らが上手くやれば、薬物をただの砂糖にすり替えられるんだから被害も抑えられるだろ」

    「……そうだけどさ……」

     いつもは潜入捜査と聞くととても目をキラキラさせているのに今回は気乗りしないようです。

    どうしたんでしょう……。犯罪者側というのも気になるとは思いますが、ここまで理屈が通っていれば別に忌避するようなことはないでしょうし……。

    まさか、好きな人が出来て、出会い系サイトに登録するのは気が引ける……とかでしょうか?

     確かに病院にはたくさんの一般人もいましたし……そういう機会がないとは言えませんよね。

    リハビリで一緒になった男の人もいましたし……。なるほど、やはりそういうのは辛いかもしれません。

     しかし、これは仕事です。仕事をおっぽり出すような人はきっと相手方もがっかりしちゃいますよ。

  • 43二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:04:12

    クソボケーッ

  • 44二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:06:20

    やはりたきなはたきなだった

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:17:32

    >>42

    「それに……たきなもやるんでしょ? それ」

     千束の目が怖いです。確かにわたしの対人関係能力が低いのは少し自覚があります。

    しかし、アプリでのメッセージ交換なら即時に反応が出来なくても問題はないですし、

    それにですね、ちゃんとアドバイスも予め貰っておいたのです。


    「勿論、わたしもやりますよ。大丈夫です。『さすがですね』『知らなかったです』『すごいですね!』『センスがいいんですね』『そうなんですね!』と言ってから『一緒にお茶でもしましょう』と言えばいいとミズキさんから教わっています。恐らく大丈夫でしょう」


    「……ミズキからのアドバイスってマジで役立つと思ってる?」

     いつになく真剣な目。思わず目を逸らしてしまう。

    「……いえ、その……まあ、一日の長はあるのではないかと……」

     よかった、ミズキさんがいなくて。

     熱心にやっている割には打率が低いと言いますか……でも他に訊ける人はいないですし……。

     あ、千束がいるじゃないですか! DAに籠り切りのわたしなんかよりきっと経験があると思います。

    常連さんもいますし、もしかしたら同年代の男の人となんかそういうことになったことだってあるかもしれません。

    結婚は戸籍の関係上できないにせよ、現代では別に結婚は前提ではない交際をすることだってありますよね。


    「千束は好きな人にどうやってメッセージ送ればいいと思いますか? ご経験などは?」

    「ヴェッ……!?」

     千束の口が形容しがたい口に歪んでいる。

     あれ、よくないことを訊いてしまいましたか。ああ……もしかしてリリベルの……。

     確かに因縁がありそうでした。でも彼らは……。

     そうか、喪ってしまった……ということでしょうか。リリベルもわたしたちと大して変わらない生活をしているのです。連絡が取れなくなったらそれは死んだことを意味するのでしょう。

    「ご、ごめんなさい。いきなり聞いてしまって」

    「え、うん、あ、いいの大丈夫!」

     やはり千束は強い人です。

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:20:06

    クソボケーッ(2回目)

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:24:44

    がんばれ千束

  • 48二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 07:48:44

    千束が無理してるの、クソボケたきなのせいでは

  • 49二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 10:58:07

    クソボケられたくなければきちんと告白してそういう関係を構築すれば良いのだが…なかなか難しそう

  • 50二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 12:43:33

    狂犬クソボケたきな部

  • 51二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:18:50

    >>45

    SNS上を大学生に扮して回遊すると、「お小遣い欲しくない?」

    「稼げるバイトあるんだけど」というDMがたくさん飛んできます。

    普段こういうSNSを自分自身としてやらないわたしにとっては結構な衝撃です。

    生きているだけで人から声を掛けられまくるというのは危険ですが、

    心構えがない人にとっては自分が人気者になった気分になってしまうのでしょう。


    顔写真を晒すのはとても抵抗がありましたが、クルミが、ぱっと見わたしに似ているけど

    ちょっと違う……みたいな画像を作成してくれましたので安心です。


    それの上に、加工をたくさん掛けます、確かに女の子のアカウントはだいたいこの加工がされていますね。

    そして、日常っぽい投稿をいくつかして、金欠であることを匂わせます。

    これだけ無計画にパフェを食べてる写真を投稿しているアカウントが金欠なのは自業自得ですよ。


    すると、いくつかの勧誘とともに目標とされる詐欺グループからのDMが入りました。

    千束にも見せてみるとああ……ちゃんと来てますね。

    千束は、占いとかが好きな女の子に扮しています。意外ですね、スポーツとか映画とかが好きなはずなので

    そっち系かと思ったんですが。

    「私の映画の趣味をそのまま書いても……男っぽいし……」

     まあ、たしかに銃撃戦が主なので……わかります。


     ともかく、二人とも同じアカウントから「バイト」の依頼が来たわけです。

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 08:31:16

  • 53二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 15:06:37

  • 54二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 00:40:00

  • 55二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 07:33:02

  • 56二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 10:45:38

  • 57二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 14:09:27

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 14:48:54

    >>51

    「なんだか一杯来ますね……目標のところ以外もやたら来ます……。お金に困らなさそうですね」

     この世界にはたくさんのお仕事があるようです。一緒にご飯食べるだけで五万円ほど貰えるとかなんとか。

    リコリスを引退したとして取り敢えずは生きていけるのでしょうか?

    「たきな、そういうのについて行ったらだめだからね?」

    「全部だめなんですか?」

    「基本的にダメ、わかった?」

    「わかりました」

     千束に釘を刺されたのでそれらを一旦おいておき、目標にだけ返信をする。

     かなり返事が早く、いくつか年齢や、居住地、職業、予定、あとアイコンの写真は本人か? 

    などの質問されましたが全てクルミの台本に従って答えると採用? ということになり、

    追って連絡を待ってほしいとのメッセージだけ来ました。これでいいのでしょうか? 

    全部偽物のプロフィールなんですが。


    「千束も採用されましたかね?」

    「勿論よ! 先生やクルミの前情報によると、会場に呼ばれるらしいよ! うーんワクワクするなあ!」

     さっきまで少し落ち込んでいたみたいですが、恢復してくれていてよかった。

     砂糖たっぷりエスプレッソをキーーンと喉に押し込めながら千束は脚をばたつかせて天井を仰ぐ。

    「あ、でも今回は制服じゃいけないですよね? 大学生設定ですし。そしたら銃も持てません」

     取り敢えずは丸腰で行きたくはないのでどうしようか。

    「そらぁ、あれよ、鞄に入れておけばいいんですよ!」

     

     携帯が震える。ああ、会場の連絡が来た。

     ここからそう離れていない場所なのですぐに行けると返事をした。これも台本通り。

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 21:34:24

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 00:48:18

    ほしゅ

  • 61二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 06:50:04

    捕手

  • 62二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 08:32:08

    ほのじ

  • 63二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 12:35:53

    ほす

  • 64二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 13:11:24

    ウホ

  • 65二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 21:47:41

    >>58

    「ここですかね……?」

    「うんうん、ここだ」

     小奇麗なビルの最上階に陣取っているようで、まさかこんなところで犯罪が行われているとは一見思えない。

    いや、これが隠れ蓑として有効に機能しているのでしょう。

    わたしも最初はそう思うのだから。

    「いい? 私は錦木千歳。21歳の大学生」

    「はい、わたしは井ノ上たかこ、20歳の大学生です。錦木さんとは大学のサークルの友達です。はい」

     今回の潜入にあたり最初に千束が潜入して、説明を受けるか、何件か「仕事」をこなしたあと

    「お友達を紹介してよ」と詐欺師に言われて、後輩であるわたしを召喚するという段取りです。

    ですので、わたしは今日来る必要はなかったのですが……千束が呼ぶので。


    「ねえねえ、たきな~どう? 私大人っぽい?」

     ふりーっとその場で一回転してきますが……そんなの決まってるじゃないですか。

    とっても可愛いです。千束の私服が大分落ち着いたものになっていて久しい。

    今回の潜入を見込んでいたかのようです、あ、そうだ、千束の口調。

    入院の頃から徐々に元に戻ってしまいましたね……。少し寂しいです。あれは結構好きだったので。

    やっぱり、自分自身で異様だと思ったんでしょうか? うーむ


    「ねーたきなー」

    「あ、はい。いいと思いますよ」

    「ほんとかなー?」

     ほんとなのにな。千束はあまり私を信じてくれない。





     

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 08:00:12

    保守っとく

  • 67二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 11:13:50

    口調のことすっかり忘れてたけどやっぱりこの2人はいつも通りがいい

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 13:12:10

    わかる
    千束はすぐに飽きるので

  • 69二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 20:42:36

    夜来るかな
    念為保守

  • 70二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 23:11:46

    待っててくれる人がいるとは……有難いぜ……

    >>65

    「こんにちはー」

     千束、いえ錦木千歳の声がイヤホンから聞こえる。


     わたしは当初の予定を千束に自覚させて、まずはひとりで行かせました。

    「およよよ……」などと頓狂な声を出しながらエレベータで目的地まで運ばれていったはずです。

     さて、クルミ特製の盗聴器からの音声をイヤホンで受け止めることにしましょう。あとはビル内の監視カメラは軒並み乗っ取ってもらってます。流石です。

     わたしは何でもないような顔をしながら、近所のカフェでタブレットを見ているような風を装って

    それらを監視します。監視カメラは基本的に千束が連れていかれた室内には着いてないようなので、

    基本は音声を聞き、何か危険なグループが近辺を通らないかどうかだけチェックすることにしています。


    こちらからの音声は彼女のイヤホンに届くはずですが、耳を隠す髪型をしているとはいえ、バレないか心配です。


    「どうもー千歳ちゃんだよね? DMでお話した」

     若い女性のような声がします。……初対面ですよね? なんか千束に対して馴れ馴れしくないですか?

     どうやら三人ほど相手方がいて、みな女性のようです、なるほど……安心させるってやつですね。

     どれも歓迎ムードで温かく千束……千歳を迎えていますね。これは緊張をほぐせる感じがします。

    なるほど、店長たちが言っていた「加担していた者もその自覚がない」っていうのはこういうことなんですね。

    暴力で脅して無理やりやらせているというよりは、こうやって友好的な態度で知らないうちに操っているような。

    ……リコリスとしては確かに経験がないですが、これを熟せれば一段上に行けそうです。

  • 71二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 23:12:02

    >>70

    「そうです、今日はお招きいただきありがとうございます。こんな景色の良いところまで連れてきてもらって

    感激です」

     おお千束! そうです、潜入のための訓練の成果が発揮されていますね! とても自然で大人っぽい。

     余裕を感じられる対応で、詐欺師と会話しています。

    「そうでしょ~? 沢山いい成績が残せれば千歳ちゃんもこういうところに住めるようになるよ」

     ほう……なるほど、これは確かに説得されそうではありますね。

    「ああ、そうですそうです。お仕事の件、誘われたときにはよくわからなかったんですが、確かにこういうところに来られればいいなぁなんて……」

     千束の演技は堂に入っている。ミズキさんが昔、わたしたちは演技が下手と言っていましたが、あまり適切ではなさそうですね。少なくとも今は……。

  • 72二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 23:15:46

    練習の成果がここに来て...

  • 73二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 08:04:26

    保守

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 12:08:02

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 23:13:13

  • 76二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 07:44:42

  • 77二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 10:49:29

    しゅ

  • 78二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 12:40:15

    一日おき投稿なのかな?

  • 79二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 18:15:40

    ほー

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 02:18:56

    >>71

    「でね、千歳ちゃんに是非見てもらいたいものがあるんだけど……」

    「わあ! 綺麗ですねこれ!」

     千束が無邪気に喜んでいます。ああ、これが商材としての貴金属ですね。

     金属としてもクズみたいな値段だという話ですので、ただ綺麗なだけらしい。

    「そうでしょ? やっぱり千歳ちゃんもいつかは結婚したいじゃない?」

    「えっ? まあ……そうデスケド……」

     照れてる演技も非常に上手ですね、顔を真っ赤にして俯いている様子が目に浮かびます。

    こうやって核心を突いていくのですね、流石です。

    「こういうお仕事をしておくと、宝石や貴金属について詳しくなれるし、それを彼氏に教えて

    プレゼントしてもらったりもできるようになるのよ、どう? 素敵でしょ?」

    「えへへ……素敵ですね……」

     畳みかけてきますね、敵ながらあっぱれとも思います。

    「そういえば千歳ちゃん、今って彼氏いるの?」

    「え、あっ? えっ? ……いません」

     と、千束が答えると千束を取り囲んでいる女がやかましく騒ぎ立てる。

    ――えーうそでしょーとか、信じられなーいとか、マジでー? とかなんとか。

     千束……まだ告白できてないのですか? いや、男の方からするものなのでしょうか?

    だとしたら千束を待たせるなんてなんと勿体ない人だろう。すぐに売り切れてしまいますよ。

    ただ……わたしたちはリコリスなので、秘密にしなければいけないことがたくさんあるし

    結婚なんかできない。……相手にとってもいいことなのだと思います。

    それにしても、千束はいいカモの演技がとても上手です。

  • 81二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 08:40:56

    クソボケ定期

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 18:45:39

    早く結婚してやれよっw

  • 83二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 21:33:12

    結婚に気を取られてたが保守

  • 84二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 01:30:39

  • 85二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 11:58:54

    >>80

    「それでね、じゃあ千歳ちゃんには彼氏探しも一緒にできるいい方法を教えたいんだけど――」

     ああ、これがあれだ、彼らの常套手段なのだ。

     カモ役の女性に彼氏がいれば、「もし別れてしまったときの為に~」とか「彼氏がいるなら別に他の人に惑わされたりしないよね、ただの営業だよ」という口実で、いないのならば彼氏探しも一緒にできる~という風に。

    どうやってもカモを逃さないという精神を感じます。

    「あ、はい」

     千束はマッチングアプリを携帯に入れさせられます。そこで男の人を見つけてきて、仲良くなってもらい

    別のお店に呼んで買ってもらうという算段だそうです。

     千束……はとても魅力的なので、引っ掛かってしまう人はたくさんいるでしょう……。

    「大学で気になる人はいないの?」

     千束を囲んでいる人たちはなおも、千束の恋愛事情について知りたいようです。まあ、リコリスの中でも

    こういう話を好む人たちも結構いるので、一般人ともなればそれが中心になるのもあり得るのかもしれませんね。

    「え……まあ、いなくもないですけど……」

     そう、そういう設定にしてある。クルミがニヤつきながら設定を練っていました。

     錦木千歳には気になる人がいるが、奥手なので声が掛けられないと。

     なんとまあベタな設定です。千束が持ってきた漫画にあるものですね、そういう話が多かったので

    多分一般人ウケするのでしょう。

    「えーどんな人?」

     ……ずっとこの話が続くのですかね、いけないとは分かっていますが、少し飽きてしまいます。

  • 86二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 21:47:13

    ある種の羞恥プレイ…

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 03:46:12

    クルミは絶対、気になる人=たきな という設定で作った

  • 88二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 08:06:50

    たきなさんのそういうとこが炸裂してるな

  • 89二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 13:57:25

    >>85

    「まあでも、その人に声掛けるのが難しいのは、経験値が足りないからだよ! 仕事してお金貰いながら

    経験が積めると思ったらいいんだし、ね?」

    「……確かに……そうかもしれませんね」

     千束が押し切られています。まあこのロジック自体は単純だけど、それゆえ破りにくいところがある。

    難しいことがあるのなら、訓練を積んでから本番に臨む。実際のリコリスとなんら変わらない感覚だ。

    「と、言うことで写真とか撮っちゃおうか!」

     千束がどこかに連れていかれる音がしますね……ああ、マッチングアプリに載せる写真を撮るのでしょう。

    どう撮っても可愛いのでそんなに準備しなくてもいいんじゃないでしょうか?

     幾度か、大きなカメラ特有のシャッター音がして、女の人に褒められている千束の少し照れたような笑い声。

    ……デレデレしすぎるんじゃないですよ、まったく。

    「千束のプロフィールが新規登録されたぞ、そっちに送る」

     クルミもこれを聞いていて、時折大笑いする掠れ声が届いていました。今も笑いが止まらない感じです。

    「ちとせ 21歳」

     と書かれたそこには大人っぽい笑顔を見せた千束が写っている。……保存。

     ……! 何ですか? 秒速でハートマークが付きまくってるんですが??

     千束の方からも歓声が届いています。わー! 凄い量のハートだね! とか、有望有望! とか色々。

    ――

    「いやー疲れた疲れた」

     千束がビルから出てきてわたしと合流します。本当に疲れたようで肩をぐるぐる回しています。

    「なかなかいいひとたちそうに見えたけどなあ……あの人たちも犯罪グループなのか……」

     腕をだらんと垂らして寂しそうに零す。ええ、その通りですよ。と返したかったけれど、なぜか憚られる。

     そのままずっと日が暮れた繁華街を歩いていたけれど、あまりにもわたしが喋らないことに不審感を抱いたのか、

    明るく声をかけてくれる。

    「……あ、そうそう! 私のプロフィール見た?! どうだった?」

    「ああ、いつもと変わりませんね」

    「ええっ? そうかよー! もうこんなにハートがついちゃってもう! 私モテモテだぞー? ミズキにみしちゃろ」

    「まあ、ちゃんと段取り通りやってくださいね」

     千束のはしゃぐ声がなんだか気に障る。こんなことなかったのに

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 23:02:31

    ざわ……ざわ……

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 02:05:38

    おお

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 07:53:54

    これは…

  • 93二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 09:00:43

    クソボケに変化が?

  • 94二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 12:30:40

    いうてちょっと前にキスしようとしてましたよ!

  • 95二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:40:23

  • 96二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 23:53:18

    しゅ

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 07:47:55

    ♥️

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 12:33:01

    もう襲ったほうがいい

  • 99二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 21:43:56

    >>89

    「あ、この人カッコよくない?」

     リコリコに帰ってきて早速返信しています。わたしに画面をいちいち見せびらかしてくるけど、

    正直反応に困る。

     ミズキさんは千束の携帯を奪って「うんこ!」とか幼稚な言葉を打とうとしていますが、

    敢無く締め上げられています。自業自得ですね。

    「てめえら、浮かれてんじゃねーぞ! ちょっと若いからってチヤホヤされやがって!」

    「わたしはやってませんよ」

    「どうせ後でやるんだから一緒よ一緒!」

     まあ……たしかに。気が進まないとはいえ、やることになっているのだからミズキさんの言うことは正しいです。

    でも、わたしは浮かれないですからいいんです。問題は千束ですよ千束。

     さっきから鼻の下伸ばしちゃって、シュッシュッとアプリを動かしてまあ……。

     心臓の問題がなくなって長生きできるんです、そうですよね、好きな人だって作ったっていいんです。

    問題は千束がリコリスなことだけ。いえ、これが最大にして最後の関門なんですがこれだけが千束をわたしの許に繋ぎとめてくれている。

    「……でもこの人をだますのは辛いなぁ……」

    「千束にも良心があるんですね」

    「な! なにおーたきなー! 私なんか良心の塊だよ!」

    「そうですね、で、この人にするんですか?」

     へえ……千束の好みってこういう人なんだ。爽やかそう。へえ……年上が好みなんだ。

     アプリに写ったその人は、恥ずかしがり屋なのか顔をあまり見せていないけれど、造形は悪くなかった。

    年齢は(26)とあって、設定上は5歳、本当は8歳も違う。誰を選べとまでは言われていないから

    これこそが千束の好みなんだろう。

    「……あ、いや! 適当に選んだんだからね! ほら、今回のは相手がお金持ってないといけないからさ!」

     何も訊いてないですけど? 確かに会社員でお金持ってそうな写真を上げています。

    なるほどね……。千束はお金持ちの年上の爽やか系イケメンが好きなんですね……そう。

  • 100二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 22:06:22

    あーーー

  • 101二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 07:46:03

    雲行きが……

  • 102二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 12:17:49

    任務だから! 任務だから!

  • 103二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 20:33:52

    >>99

    「……こういう人はどうですか?」

     千束の携帯を借りて、勝手にスワイプしていく。

     千束が選んだ人とはちょっと反対方向の人を提示してみます。

    明るい色の短髪に白い歯でピースしているような人。

    「あ、これもカッコイイね、スポーツマンっぽい」

     確かに、千束はスポーツマンと似合うかもしれない。

    二人でサッカー観戦とか……? うん、楽しそうにする姿が目に浮かぶ。

    「じゃあ、こっちは?」

    「いいね!」

     落ち着いた、線の細い文学青年っぽいのにも好感触です。確かに千束は意外と

    映画やらドラマとかも好きなのでこういう方向性もいいのかな……。

     さっき千束が褒めた人も、どちらかと言うと文学青年っぽいところがありますので

    大体はこういう方向性でしょう。

     でも、どれも好きなんですよね……? まったく、誰でもいいんですか? 

    もう少し自重したらいかがでしょうかね! 


    「……尻軽」

     わたしはもやもやした気持ちを込めて千束に携帯を返す。

    「えっ、いや! 全然尻軽くねえし!」

     千束の抗議もどこ吹く風です。

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 20:47:27

    どこで覚えたの?尻軽なんて言葉

  • 105二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 20:54:21

    >>104

    千束が貸した漫画か映画だろう

  • 106二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 07:50:14

    嫉妬が顔に出るようになったのは成長ともいえるかな……

  • 107二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 12:20:16

    感情を知ってるから…

  • 108二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 21:03:46

    >>103

    「どれ、見してみなさい!」

     ミズキさんは性懲りもなく千束の携帯を奪って今度は割と真剣な表情で千束の選んだ人を

    観察しています。何かオーラがありますね、情報官だったり歴戦の婚活戦士だったりする

    審美眼というか鑑識眼が見抜いてくれるといいんですが……。

    「……こいつ、まあまあかな? 優しいだけのオトコって感じね」

     つまらなさそうに言います、え、そこですか?

    「な! 失礼な! 優しい男はいいじゃんかよー! そしたらこれは?」

    「こいつぅ? うーん、悪くないわね、見た目に反してウブっぽそうだから千束とはお似合いじゃない?」

     千束とミズキさんは、時々こうやって楽しそうに喋る。わたしと喋る時よりもずっと楽しそう。

    そうですよね、わたしが来るずっと前から二人は一緒にいたんですもの。

    千束の男っぽいところ? はミズキさんから来たと考えると自然に思えます。喋り方とか。

    千束はミズキさんと喋る時は少しだけ声が低くなって、多分意識していないだろうけど、そうなるんですよね。

    気を使わない相手にはそうなるはずなんです。千束にとってわたしはただの仕事仲間で、

    そういう、気を許せる相手じゃないんだなって思うと寂しくなります。


     ちらとカウンターの方を見ると店長があちらを伺っています。……ああ、そうですよね。

    娘みたいな千束が任務とは言え男を漁っているのですから心配になって当然です。

    「私を殴れるやつなんかいないよ! 全部見えちゃうし!」

    「ダホ! 殴る時点でダメなんだよ!」

     千束とミズキさんは優しい男がいいかどうかでまだ論戦しています、ちなみに千束は優しいのがいい派です。

     ミズキさんの台詞にうんうんと頷く店長。

     なんか、三人とも本当の家族みたい。店長がお父さん、ミズキさんは姉、千束は妹。

    ……わたしは……なんなんでしょう。

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:41:45

    嫁だろ……

  • 110二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:02:10

    嫁でしょ

  • 111二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:03:28

    嫁だね

  • 112二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:26:09

    嫁ですね

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:59:37

    旦那かもよ

  • 114二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 13:26:26

    嫁で確定してるし……

  • 115二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:42:18

    え、確定してたんだ……

  • 116二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:51:36

    嫁だよ(存在しない記憶)

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 04:14:19

    嫁であり旦那でもある

  • 118二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 13:54:16

    >>108

    「じゃあ……この人にしておこ」

    わたしたちの忠告を聞き入れて優しそうな人を選ぼうとする千束。

    「でも、この人をだましてなんか買わせるわけですけど、大丈夫ですか? できそうですか?」

    「あ、そうだなぁ……そうなんだよなぁ……かといって全くタイプじゃない人と話したりするのもヤだしな……」

     千束は優しい人。こんな任務、とっても嫌だろう。

     罪のある人間すら殺すのを嫌がる、況や無辜の民を手に掛けることをや。

     相互に話始められるボタンをタップするのにたっぷり三十秒は掛かっている。

    「ポチ……っと」

     トーク画面が開かれ、千束が最初のメッセージを送る。

    「よっしゃ! 千束の記念すべき第一歩を祝ってカンパーイ!」

     ミズキさんは泥酔を大きなカップに注いで一人祝杯を挙げる。

    「これで私と同類だな」

     とまで言ってニヤっとミズキさんは笑った。

     そんなことあるわけないでしょ。


    ――


    ありました……わ……。

  • 119二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 14:15:58

    みんなの嫁ラッシュが面白かった

    >>118

    なんか、画面見ながらニコニコニヤニヤしている日が増えた気がしますね。

    いいえ増えています。クルミに頼んで監視させてもらいましたけど

    大した内容ではないのにどうしてでしょうか?

    好きな映画の話が被ってたり、スイーツの話してたり、そんな感じなんですけど。

    そんなに楽しそうにするような話なんでしょうか?

    クルミに訊いてもですね、まあ……なんか「まあお前には分からんか……」

    みたいな反応が返ってきて辛いです。……クルミにはそういうのあるんですかね?


    ――


    渋々始めたけどやってみるとちょっと面白いよね、考えてみれば一般人の友達ってホントいなかったかもしれない。

    他愛もない会話だし、日ごろ何しているかは詳しくは言えないけど、しょうもない話って相手を選ぶからねえ。

    なんか忙しそうだと振れないし、特に中身がないと「……それで千束は何が言いたいんですか?」とか言われると困っちゃうし……特に意味とかオチとかがなくてごめん。あ、たきな京都人だからなぁ、京都人もオチ求めるのかな?

    大阪の人は求めるとか言ってたけどほんとなんかな? 一回大阪とか行ってみたいよなあ、この仕事終わったら一回休暇を取ってたきなとそっち側行きたいなあ……。

    あ、今メッセージ送ってる人って生まれが大阪だって言ってたし、なんか面白い場所教えてくれるかな?


    ……あ、ちゃんと返ってくる。へー。やっぱり食い倒れ人形とかかに道楽は有名なだけあって混んでるし、

    見たら終わりって感じなのか。へえ……。あ、今度の土曜日にお茶する? ってきた。うーん、

    やっぱりだますのは心苦しいよな……。でも、リコリスはあんまり移動の自由がないからな、こういう仕事だと色々理由つけて外に行けるからまあいいっちゃいいか。実際、必要なのはグループが詐欺の時に薬物を使用しているという証拠であって本当に買わせる必要まではないよね……?

  • 120二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:46:42

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:54:39

  • 122二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 04:27:49

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 10:03:25

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:22:09

    ほう

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 00:26:07

  • 126二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 06:07:12

    しゅ

  • 127二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 10:40:39

    ほつ

  • 128二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 22:11:58

    >>119

    「千束、ちゃんとわたしたちが近くで待機してますからね、安心してください」

     ぎゅ、と両手を握られる。嬉しいな。

     今日は作戦当日。誘い出した男の人と一緒にお茶を飲むってだけなんだけどね……。

    今日は関係性構築なだけだから、売り込みはしない。でも、たきなとクルミがモニタリングしてくれている。

    相手は一般人だし、武器も持ってないから別に平気だよって言ったのに心配してくれる。

    ちょっと頼りなく思われてるのかな? って思っちゃったけど、確かに脇腹に被弾しているから

    「大丈夫大丈夫」に説得力が削がれてる……。ううう……。

     待ち合わせの喫茶店の近くの駐車場にミズキとたきな、クルミが来てくれてる。

     クルミ特製アプリを起動させる。音声を向こう側に飛ばす。あとは当然のように喫茶店内の監視カメラれを

    乗っ取っているはずだ。

     ちょっと待っていると……。

     あ、来た! ジャケットが似合うな……。この人。

     私のことをすぐに見つけてくれて、手を振ってくれた。


    ――

    「あれ、千束のヤツうっとりした顔してやがるぞ?」

    「あのマセガキ、仕事だって忘れんなよ」

     クルミとミズキさんがタブレットを覗き込んでワイワイしています。

    ぐいっと後部座席からそれを覗き込む。

    確かに千束がそんなにぼんやりした顔をしているのはなかなか見ないですね……。

     受け答えもぎこちない。緊張している? 潜入調査の時には流暢だったのに……。

    ああ、男の人とやっていくのはやはりまだ慣れていないのですね。

    「大丈夫ですよ、千束には訓練の結果が付いていますから」

    「マジで?」

    「うーん、あのマセガキ、普通にあの男のこと気に入ってね?」

     そんな……いや、千束はそんなことないはずです。

    「わたしにも見せてください」

  • 129二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 08:22:38

    保守する

  • 130二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 09:36:50

    千束しっかりしてくれ〜

  • 131二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 09:38:52

    本編で千束は男とも気安くしゃべれてるから緊張するはずは…

  • 132二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 12:19:44

    百合に挟まる男は排除太郎

  • 133二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 22:46:06

    >>128

    「ぐっ……」

     確かに……もじもじしていますね。なんなんですか?

     コーヒーカップ覗き込み過ぎですよ? 自分自身と目を合わせてどうするつもりなんですか?

    別の角度から覗くと、猫背になった千束が見えます。

     音声もわたしの左耳に飛んできていますが、「あはは……」とか「そうなんですね」、「へぇ……」

    というミズキさん直伝のテンプレートしか聞こえてこないのです。

    この間の潜入の時に見せた当意即妙なやりとりはどうなったんですか。

     

     相手も、千束のことを「千束ちゃん」とか呼んでますけど……そのたびに表情を緩める。

    眉間に皺が寄ってしまうのが、自分でもわかる。

    「やべえよ……たきな怒ってるよ……」

    「うー、千束ォ……」

     前方の二人がミラー越しにわたしについて推測をしてきますが……。

    「……ははあ、なるほど」

     わたしは意図が分かりました。なるほどですね、千束ってばかなり演技が上手になってきてるってことじゃないですか。こういうのに慣れた女より、何も知らない振りをした方が男は喜ぶ……みたいなやつですね。

    その証拠に、相手の男は次第に楽しそうになってきています。映画の話は千束とよく気が合うようで、ぽんぽんラリーが始まっています。

     御見逸れ致しました。やはり千束はあらゆる面から最強でした。

    「まあ、千束なら大丈夫ですよ」

     タブレットを二人に返す。すると、二人は「え?」みたいな顔をしてしまいます。

    ……なんなんでしょう。

  • 134二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 07:37:39

    ヨシ! それなら平気だ()

  • 135二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 12:27:43

    正妻の余裕ってやつよ

  • 136二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 16:30:17

    心配だ…

  • 137二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:53:19

    わかる

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:17:49

    ほしゅ

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 08:19:36

    遅筆

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 12:19:42

    千束の好きなタイプって……ヨシさん?

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 17:24:56

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  • 142二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 17:26:00

    >>140

    スーツの似合う人なんかな?

    てかあんな幼女時代にスーツの着こなしの格付けしてるとは…

  • 143二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 21:21:16

    >>142

    かば焼きたろうの謎が解けたな...

  • 144二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 23:58:30

    >>133

    音声だけを聞いていると……確かにデレデレしているように聞こえます。

    しかし、これは普通に演技だと思います。

    何故なら、ちゃんと欲しい話題に運んでるからです。


    ・普段何をしているか→次も誘うため

    ・お仕事はどんなことをしているか→買える製品の範囲を絞る

    ・趣味は何か→アクセサリーに興味があるか

    ・甘い物とか好きか→……あれ? この項目はいらないかも


    とまあ、相手の収入具合を確認したのはいいプレーです。

    あの詐欺グループもそういうところを確認してこいって言ってましたからね。

    そんなに直接は言っては来ませんでしたが

    「ほら、女の人って妊娠したら働くの大変でしょう? 結婚相手なら金銭的な余裕も必要だよね」

    という建前で探らせているので……。本当に上手いやり方ですよね。


    トップガンとかタクシードライバーとかまあ、千束に見せられた映画の話が

    ポンポン出てくるので千束の緊張も解けてきて、次第に笑い声も聞こえてきますね。

    このまま仲良くなってください。


    ――

    「おい、たきなの奴大丈夫かよ?」

    「正妻の余裕ってやつだろ……ケッ」

     前方の座席に座ったクルミとミズキがヒソヒソと話し合う。

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 06:15:37

    クルミズはちさたきのことどう思ってんだ

  • 146二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 08:42:26

    >>145

    ヘタレバカップル(未成立)

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 13:13:59

    ちょっとやらしい雰囲気にしてこなきゃ

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 18:06:04

    多分たきなは気づかないぞ

  • 149二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 00:59:36

    >>144

    そのあとはお買い物だそうです。

    まあ、楽しいことをすることによって距離を縮めようという作戦です。

    ……ミズキさん発案なのがちょっと気になりますが。

    「我々も動きましょう」

    「おうよ」

     ミズキさんが軽快に車を出してくれますが、都会の車道は非常に混みます。

     ぬっ、ぬっと、毎回信号に捕まってしまう。……じれったいですね。

     千束が行くことになっているお店は決まっているので、そこまで焦らなくてもいいのですが。

    相手は武器も持たない一般人ですし……。

    「クルミ、この人のプロフィールってもう一度見せてくれますか」

    「ん、送ったぞ」

    「どうも」

     ――ただの会社員で犯罪歴もない。駐車違反すらない。反社会勢力との関係はなく、借金も特に見当たらない。

     そうだ、高価な物を買わせるつもりなので、信用情報がきれいな人を取り敢えず選んだのです。

     心配することはありません。でも……。

    「なんか心配か?」

     クルミはもきゅもきゅとポップコーンを頬張りながら訊いてきます。

    「ええ……ちょっとだけですが」

     なんというか、こういうものは不慣れなもので、訓練すらまともに受けたこともない。

    それに対してぶっつけ本番というのは不安としか言いようがありません。

     特に、今回は一人ずつじゃないと効果を発しないものなので……。

    わたしが一緒に居られないことは不安です。……最近自分自身が傲慢になってきて困ります。千束はずっと一人でなんでもやってきたはずなのに……。

  • 150二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 09:01:21

    >>149

    この人、普通に面白い人だな……。

    特に何か凄いとか、人に説明するのは難しいんだけど、落ち着けるような雰囲気を持ってる。

    落ち着ける……うーん、ニコニコしている? 

    まあ、死んだり殺したりという世界にいない人だからかもしれないけど、

    ああ、なんというかホッとするような人だ。


    事前にやり取りしていた通りの人で、会ってから幻滅みたいなことがなかった。

    ミズキから言われてた「プロフ詐欺」みたいなのもなかったしね。

    趣味も合うし、いい人だろう。

    こんな人をだますなんて本当に辛い。でもやらなきゃ……。

    非殺傷弾を相手に放つことだって、死なないにしてもメチャメチャ痛いし、場合によっては

    内蔵や骨を壊してしまうことがある。

    それを相手に向けても私はそんなに心は痛まない、殺すこと以外は職務に忠実な人間だと思っていたのに。

    やっぱり、私が撃てていたのは相手が多かれ少なかれ武装した悪人、というものが大きかったんだろう。

    クルミから貰っていた情報によると、この人は本当に何も悪いことはしてない人で、

    ただなんとなくこのアプリに登録していた人。

    私に捕まったのは、ただなんとなく雰囲気がいいな、と思ったからだった。


    纏めた髪に、落ち着いた青系のジャケット、よくアイロンが掛かったワイシャツ。

    防弾でも防刃でもないだろうそれは、彼にはよく似合っていたし、今後もそうなんだろう。

    この人は絶対傷つけちゃいけないんだ。

    私は……そのようにしたい。

  • 151二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 14:50:34

    >>150

    普通のリコリスより世間知ってる千束とはいえそもそも常識が違いすぎるな。一緒にいる人が「この人は撃てない」とか思ってるって知ったら驚愕でしょ。傷つけないようにも普通は心だけど千束の場合は物理だし

  • 152二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 20:16:22

    >>150

    「そろそろ行こっか、千束ちゃん」

    「あ、はい」

     珈琲だけを飲みに来たのではないことぐらいわかってる。

    この人は恋人を作りに来たんだし、そのために相手と自分が合うかどうかを確かめたいはずだ。

    映画を観たり、ショッピングをすることから始めるのはよくあることだ。

    ……と自信を持って言うことはできない。私自身経験はないから……。

    日ごろからネットにある記事を見るともなしに見ているだけだ。

    ミズキのことバカにしてたのに、私もおんなじことしてるな……。どうせできないことをやってるというか。

     歩く時にも話題を尽きさせないようにしてくれる。


    「最近仕事が忙しくなってしまって、何も出来なくて」

    「そうなんですか、私もですよ、全然家事とかやってなくて」

    「週末にまとめて片付けちゃいますね」

    「あ、わかります! えいやーって」

     たきなと一緒に住まなくなってから、だいぶ部屋は荒れてしまった……けど、週末になんとかやってる。

    この人もそうなんだ。だったらあんまり口うるさく言われないかな?

    「昨日も実は映画見ちゃって」

    「え、何見たんですか?」

     私は今日全然眠れなかった。作戦の前に緊張して眠れなかったのってほんと、十歳にもならなかったとき以来だ。

    ――

    「めちゃめちゃ話弾んでて草なんだが」

    「ほんっと、クソね」

    「……千束、また昨日も夜更かししたんですね……作戦の日なのに」

     二人を先回りしてわたしたちは、予定の駅ビルというか、そういう場所に行く。

    二人が入ってくるのを入口近くのベンチで張る。

    リコリス制服のわたしと、いつものミズキさんとクルミ。当たり前のようにわたしたちの前を素通りする二人。

    誰も二人を注目しないだろう、ごく自然なカップルだ。少し背の高い男と、千束。

    二人ははにかみながら時々顔を向け合って笑って。

    ……千束。

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 20:36:19

    大丈夫なんかな 新年早々たきなが悲しまないことを期待

  • 154二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 01:07:22

    保守

  • 155二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 07:31:48

    あけおめ

  • 156二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 15:04:10

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 21:48:36

    >>152

    千束に馴れ馴れしすぎる、という雰囲気でもない。

    触れたり、近づきすぎたりというのでもないし。

    まあ、千束ちゃんってのは気になるけど……それぐらいですよ。

    ちら、と見ると千束に雑貨屋さんで何か買ってあげてるみたいだ。

    恐らく髪留めみたいなものだろう。鏡の前で楽しそうにしていたから。

    「ミズキさん」

    「なによー」

     不機嫌そうな声。

    「デートってああいう感じなんでしょうか?」

    「……まあ、デートと考えたら別段変な所はないわね」

     んふー。と鼻から抜ける声は冷静。

    「流石にご見識がある」

     わたしの台詞に更に不機嫌になる。んん? おかしいなこれは誉め言葉のはずなのに。

    「そして二人は夜の街へ消えていきましたとさ……」

     などと、クルミがタブレット片手に呟くけど実際はそんなことはない。

     あらら……ミズキさんにげんこつ喰らってますよ。

    「この後は映画館だからな、ボクたちも後ろに陣取るぞ」

     男のクレジットカード情報から映画の予約を割り出していたみたいですね、流石です。

    ――

    「千束ちゃんってリボンが好きなんだ?」

    「え、うーん。まあ好きかもしれないですね」

     雑貨屋さんの前で少し可愛いヘアアクセサリがあってじーっと見てしまった。

    そんなところを気づかれてしまって少し気恥ずかしい。

    「リボンを結んでいる人って最近見なくて、可愛いなって思ったんだよね」

    「……可愛い? ですか?」 

     無意識に自分のリボンを触る。今日はいつもの赤色じゃなくてミズキが選んだ水色のやつ。

    たきなから貰った紺色のもたまにつけるようになったけど、今日はそれじゃなくて、

    服装の系統に合わせたものをミズキに選んでもらったんだった。

    あんまり似合わないかもと思ってたけど、可愛いって言われると……少し照れる。

  • 158二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 01:22:17

    年代が近い男の人から褒められたことってないかもなそういえば

  • 159二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 11:52:13

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 20:02:02

  • 161二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:39:43

  • 162二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 07:49:36

  • 163二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 12:31:23

    >>157

    「クソ! ガキんちょ! 色気づきやがって!!!」

    「ほらほら、嫉妬しない」

     わたしたちは映画館に先に陣取る。彼らのちょうど真後ろに座るようになってけど、近すぎませんかね。

    でも、千束がこちらをちらっと見てパチと目を瞬かせる。

     万事OKというサインだ。よかった。

     大きなポップコーンのカップを抱えた千束とそれに着いて行く男。

     ほんと、ただのカップルでしかない。千束がリコリスじゃなければこういう運命もあっただろう。

    予告で楽しそうにしていて、本編が始まる前の一瞬の暗転にワクワクしていて、そして……。

     その動きは彼女の金色の髪の揺らめきでしか分からないけれど、今は彼女の隣に居られないけれど


    ――千束が楽しそうならそれでいいのかもしれない。


     

  • 164二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 22:18:10

    >>163

    「どうでした千束」

     映画を観て、そのあと喫茶店に行って……で駅前で解散した千束を捕まえます。

     手にはなんかお土産が大切そうに握られていて……なんだか、いいえやめましょう。

    「うん、楽しかったよ」

    「……そうですか」

     まるで屈託のない笑顔、仕事だってことを忘れているんじゃないでしょうね。

    「また次も会う約束できたから……その」

     千束の表情が曇る。ああ、千束は仕事のことを忘れてはいなかった、わたしったらどうしたんだろう。

    「わかりました。わたしも覚悟しておきます」

     段取りが進む。千束は今日の首尾を例の詐欺グループに伝えなければならないのだ。

     Aが見込み客。Bが関係構築中、Cが離脱、という風に男の人にランク付けをしています。

    今の人はBからAに変わったということです。まったく、リコリスめいていますね。

    今の人が千束にとってのファーストみたいで……モヤつく。

  • 165二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 08:23:00

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 12:29:38

    保守

  • 167二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 22:14:37

    >>164

    「すごい! 一回目でそんなに関係が進んだんだね!」

     千束は定例報告の為に例のビルに赴いています。

     わたしも例のビル近くの喫茶店で待機です。

     昨日のデート……の報告会です。首尾を説明するたびに女の人が褒めています。

    「ほんとに、才能あるよ! ね! ほら、食べて食べて。お祝いしちゃう」

    「ありがとうございます。私も楽しかったですし」

     リッツパーティーという形式の、軽食を提供するようなパーティーを彼らは好みます。

    経費が掛からない割には豪勢に見えて、非日常的な感覚が味わえるからだそうです。

    今回から千束のバッグにイッヌの形のキーホルダーの中に小型のカメラを仕込ませています。

    ようやく、詐欺師たちの顔を拝むことが出来ました。

    「クルミ、見えてますか?」

     顔情報がリコリコの押し入れ内にあるクルミ基地に飛んでいく。それがあらゆる網を手繰って結びつけられているが……。

    「はいよー。っでもこいつら前科ないな、マジで普通の人だぜ? 大学出て会社入ってっていうような経歴だ」

    「……そうですか。かなり厄介ですね」

    「うん、こいつらでさえも本体じゃないかもしれない」


    「ねえ、乾杯するでしょ?」

     千束は……お酒を勧められていますね? 

    「いえ、私実は余りお酒はあまり強くなくて……ごめんなさい。アレルギーもあって、すぐに喉が腫れてしまうんです」

     そうです、ちゃんと想定通りです。断っていますね。アレルギー持ちに対して無理やり飲ませるようなことは今日日ないでしょう。況してや親しみやすさを前面に出している組織では。

  • 168二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 07:27:28

    こういう犯罪グループは現代っぽい

  • 169二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 12:37:38

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:37:22

    保守

  • 171二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 08:11:17

  • 172二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 12:32:36

    ミズキが年中酔ってるからな…

  • 173二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 22:03:58

    >>167

    「そっかーごめんね」

    「無理しないでいいよ」

     ほら、やっぱり。こうやって懐柔していってますね……。

     

     わたしが抱いている犯罪者像からどんどんと離れていきます。

     現代って中々怖いですね……と少し震える。

     

     食うに困って犯罪を犯す。許容はしませんが理解はできます。

     恨みを抱いて殺す。これもまあ理解しましょう。

     でもこの人たちは何だ? 調査の結果特に困った生活をしているわけでもなければ

    特定の思想や信仰に基づくものでもない。

     スナック感覚で犯罪に手を染める。意味が分かりません。

     以前のわたしなら「犯罪者の心なんか知るかボケェ」と思っていましたが、いつからか

    この人たちがそれをするに至った理由というのに興味がわくというか、気になるようになってしまいました。

     千束と、まあこれはクルミの所為でもありますね。

     なんというか、今までのわたしは悪人は悪人として生まれると考えてきました。しかし、千束たちと出会って

    少しの踏み違いで人は善人とも悪人とも呼ばれ得ると理解しました。

     千束とクルミを襲ったプロ寄りのアマも、最後にはドローンで狙わられていることを教えてくれましたし、

    そもそもわたしだって、食うに困って犯罪を――犯罪ではないけど、人を殺していました。

    それが今じゃ千束と同じように非殺傷行為に精を出しています。まったく、人というものは変わるものです。

     だからこそ、この人たちはどうしてそうなってしまったのか、今からでも引き返す道はないのかなんて考えてしまうのです。

  • 174二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 02:37:40

    感情を知ってしまった

  • 175二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 13:20:52

    >>173

    「やっぱりすごいね、自信ついてきた?」

    「ちょっとまだ不安ですけど、私で役に立てそうなら……と思ってきました」

     千束は、そういうのも天性の才能が有ります。千束に対して「才能」なんて言葉を使うと

    少し曇った表情をさせてしまいますし、あまり言いたくはないので口には出しませんでしたけど。

    千束は誰とでもすぐに仲良くなれてしまう。情報を引き出すという観点からも有用には違いないですが、

    即席のチームワークだってすぐに上手く回らせることもできるでしょう。

    ……わたしとは違って。

    千束はわたし以外がリコリコに転属されてきたとしても、きっと……上手くやっていけるのでしょう。


    わたしは千束じゃなきゃダメなのに……。


    「おい、たきな? 聴いてるか?」

    「あ、はい! どうしました」

     耳からクルミの音声が脳に飛び込んでくる。いけない、よそ事を考えていました。

    「よく状況を聴いてると思うが、たきな、出番だぞ」

     ……。


    「そうだ、お友達も紹介してくれないかな? 二人で一緒にやればもっと不安がなくなると思うの」

     そう、そういう算段。千束の友達を紹介してくれるように依頼してきている。

    「そういうものなんですかね、私まだ契約に漕ぎつけてないのに……」

     不安そうな千束の声。演技だと分かってても、千束を不安にさせるような奴らは許せません。

    「ううん、二人でやれば大丈夫だよ、ね? 私たちもついてるから」

     なんて、歯の浮くような台詞で勧誘しています。あーあ、まったく。

     

     そして、わたしの端末が震えるのであった。

  • 176二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 00:04:11

    >>175

    「へえ、彼女の後輩なんだ? とっても綺麗……」

    「えへ、そうでしょう。たき――ちゃうわ、たかこ?」

    「ええ、先輩」

     たきなは凛とした表情で私の隣に座っている。ここまでは段取り通り。

     私、錦木千歳は後輩である井ノ上たかこをここに紹介する。

    事前に「バイト」の選考が通っていることも、「偶然」知られていて、なおよしということだ。

    たきなは表情がちょっと硬いけど、それがなんというかあの人たちにもウケてるみたい。

    「たかこちゃんは何かモデルとかやってるの? 凄くきれいだけど」

     ……私の時にはそんなこと聞かれなかったなーっ? 

     ちぇ、いいもん、たきなはめちゃ可愛いのは事実だし、可愛いってだけでなくて大人びていて

    私とは全然違うんだ。二人で並んで歩いても、私の方が妹のように見えるはずだ。

    まあこれ幸いとたきなに甘えてしまうんだけどね。


    凛とした姿のたきな、表情は硬いけれど、接客で覚えた営業スマイルも時折挟めるようになった。

    そのたびに勧誘の人もドキドキしてそうだ。


    いいな……たきな。

  • 177二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 07:42:13

    両片思いなのほんと…

  • 178二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 14:17:47

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 19:38:37

    ちゃんと告れよ!

  • 180二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 00:12:32

    それができたら苦労しないやろ

  • 181二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 06:28:29

    SSは保守しておくよ

  • 182二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 14:36:09

    >>176

    この後は恒例の、井ノ上たかこに彼氏はいる? 学歴は? 職業は? 調べてみました!

    のパターンだった。

    まあ事前に設定した台本通り喋ってくれたから別にいいんだけどね。でも、こんな設定作ったのはクルミ……。

    なんなの? 現在片想い中って?! いや設定なのはわかるし、なんかここは弱みみたいなのは設定たほうが

    いいのはわかってるんだけど、なんか……なんかちょーっと引っ掛かるわけですよ。


    「たかこちゃんのその片想い中の彼ってどんななの?」

    とかほら、みんなニッコニコで訊いてるじゃん! ニコニコすぎるわ!

    「あの、そうですね、人の為にたくさん動いてくれて、自分も辛いのにそんなことおくびにも出さなくて……」

    とたきなが台本を喋るたびにみんなが頷いている。いやね? そりゃあ惚れちゃうよね?

    そんな奴いたら私も惚れるわ、まあ、定番ってことかな? クルミも恋愛経験が少なさそう?  だし、

    ああそっかミズキも手伝ったのかな? ってことはこりぁミズキの趣味か。


    「告白できないのはなんでなの?」

     確かに、そんなに好きなら告っちゃうよね?

    「自分でもその感情が憧れなのか、好意なのか分からなくて」

     と想定問答集を完璧にこなすたきな。リコリス辞めても女優でやっていけると思う。綺麗だし。

    ……うん、綺麗。


    「うわ……たかこちゃんとっても純粋……」

     と感心している皆さん。

  • 183二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 14:56:14

    クソボケカップルがよぉ

  • 184二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:13:33

    いやらしい雰囲気にしてきますわ

  • 185二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 08:00:33

    次行きそう

  • 186二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 12:17:17

    保守しておくか

  • 187二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 23:34:19

    >>182

    ここからは別に言うほどのことはない。

    たきなを褒めて煽てて写真を撮って出会い系サイトに掲載しただけ。

    ……たきなはどう撮っても可愛いんだからそんなにぺたぺた触るな。

    たきなもたきなで……ちょっと嬉しそうにすんなよ。

    可愛いって言われて顔を赤くすんなよ。

    ふざけやがって……


    ……だめだ、これは仕事なんだから……。


    たきながちやほやされている間に私はもっとあの人との仲を進展させるように指導を受ける。

    三回目のデートの時に宝石の勧誘だから、二回目はそれとなく美術に関心がありそうな

    雰囲気を出す必要があるそうだ。だから美術館デートをセットするんだと。

    ははあ、なるほどなあと思わなくはない。っていうか、こんなに色々計画建てられるんだったらさ

    普通にまっとうな仕事すればいいじゃんね?


    仕事は計画が必須だし、色々段取りも立てる必要がある。

    こんな犯罪行為にだってこれが生かされているんだったら、もうちゃんと転職したらいい。

    なんて思ってるけどそんなこと口には出せない。

    ……強襲した時に言ってやろ。


    かくして私は次の一歩を進めたのである。

  • 188二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 07:50:19

    嫉妬か?

  • 189二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:19:56

    その感情に名前はまだない

  • 190二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 21:41:35

    保守

  • 191二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 08:05:59

    来るかな

  • 192二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 12:37:04

    一応保守

  • 193二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 21:39:06

    >>187

    「たきな、帰りに本屋さん寄っていこうよ」

     私は胸中にあるモヤモヤの正体がわからないまま、でもたきなともっと一緒に居たいという

    素朴な感情と共にちょっとした寄り道を提案してみる。

    今のたきななら、うんと言ってくれそう。……たくさん褒められて顔がほころんでいるから。

    「いいですね、最近行ってませんでしたし」

     そうね、最近行ってない。たきな……とこんなふうに出歩くのはとても久しぶり。

    私が撃たれてから、なんかよそよそしかったり、そういう感じ。

    「漫画ですか?」

    「ちがわーい。いっつも漫画ばっかり読んでると思うなよっ」

    「千束が貸してくれる漫画、結構好きなので」

     そういうことをさらっと言う、そういうとこだぞ。

    「えへへ、それは嬉しいなあ……じゃなくて、なんか美術の本? なんか芸術の本が要るみたいだから」

    「……ぁはあ、仕事ですね。でも千束が仕事の為にちゃんと勉強しようとするのなんて偉いです」

    「そうそう、でも千束さんちょっとそういうの苦手だから……たきなに教えてもらおうと思ってね……?」

     ちらっ、ちらっ? どや、私の困り顔。

    「わたしだって全然経験ないですよ、一応一般教養でやったぐらいで」

    「じゃあ二人で面白そうなのさがそっか!」

     たきなはいつもと同じ表情で、でもにっこりとしてくれた。

     これで、同じ本を二人で読むってことで、自然に近づける……かな。

  • 194二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 08:01:31

    保守

  • 195二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 12:26:36

  • 196二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:29:02

    これ次スレ立てたほうがいいかな?

  • 197二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:33:51

    >>193

    大きな本屋さんに行くと画集だけで一つのコーナーになってる。

    何度か来たことがあるはずなのに、全然目に入らなかったなーって。

    身近にあるものなのに、焦点が合ってないと、本当に見えないもんなんだな。


    この動体視力と観察眼を以てしても分からないこともこの世にはある。

    まあ、たきなといなかったらそういう自覚もないままだったのかもしれない。


    美術とか絵画は別に嫌いとか興味がないとかそういうネガティブな印象は持ってないんだけど、

    なにぶん、蓄積された歴史とか文化が厚くておいそれと手を出せない気がする。

    綺麗な絵だなあとは思うんだけど、それだけで褒めていいのか分からない。

    いや、私はそれだけで褒めるけども。


    「ダリの絵ってなんかいいよね、うねーってしてて」

    「そうですね、これがシュールレアリスムですか……わたしにはよくわかりません。もうちょっと写実的な絵の方が分かる気がします」

     さすがたきなさん、うねーっとした絵よりもきっちり描かれたレンブラントとかカラヴァッジヨとかの方が好みですかね?

     そういう方をよく見ている。写実的な絵って家に飾るとかなり圧を感じるよね……。自分の肖像画とかこんなサイズで描かせるとかハンパないよね。

    でも、写真がない時代、自分の事をずっと覚えていてもらいたいと思ったらこうするしかないんだ。

    事実、この絵のモデルとなったおじさんと描いた人は何百年経っても、遠い異国の地である私たちにその名前と顔とを知ってもらえてる。誰かに覚えていてもらいたい、という願いは叶ってる。

    誰かに覚えていて貰いたい、自分の存在のカケラをみんなに持っていて貰いたい。って気持ち……とってもわかるな。私の行動原理そのものじゃない?

    存在の証明っていうかさ。なあんて、ガラにもないことを考えてた。

    私も結構芸術家肌なのかもしれない? 絵も上手いし!


    ちょいちょい、と脇腹を突かれる。

    「どったのたき――」

    「あ、でもそういううねーっとしたの、千束っぽいですよね」

    「私のどこがうねーっとしとるんじゃボケェ」

  • 198二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 18:25:35

    >>197

    結局二人で別々の系統の本を買うことにしてみたわけよ、まあ、これなら二人で本を覗き込むみたいなのいけるしね。

    私は絵だけではなくて、彫刻とかも載ってる、一人分じゃないやつ。いろんな人の作品が載ってるやつかな、

    なんか面白そうでしょ? たきなはルネサンス時代の歴史の本っぽいのになっちゃったけど。


    ……正直表紙がかっこいいから買いました。飾っておくだけです!

    だってーなんか難しいし? 漫画とかならいいのに。

    たきななんか、聞かれてないと思った独り言で、「千束と本を買いに来るのなんて久しぶりですね、楽しかった」なんて言ってる。もーさーこいつ、そういうとこなんだよなあ……。


    それなのに、今は任務で別の人、それも男の人と話さないといけないなんてさ。

    いや、これは……そうだよね。たきなの成長のためだからしかたないよね……。うん。


    たきなはこのリコリコにずっといてくれるんだろうか? 勿論私は居て欲しいし、それは戦力的にもそう。

    私は近接戦闘だから、たきなが後ろの方で備えてくれるととってもいい、経理だってうまいし……。

    でも、たきななら……もっとずっといい場所にいけるんじゃないだろうか? 最近はコミュニケーションも上手いし

    本部だって……。わたしが邪魔をしてないだろうか。クズな千束だからほっとけないと思われてて、それが心地いいけど、でもそれって……たきなの自由を奪ってないだろうか?

  • 199二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:13:23

オススメ

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