- 1二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:10:21
前スレ
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麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル SSまとめwiki【9/9更新】麦わら海賊団 占い師 マチカネフクキタル SSまとめwikiへようこそ SSまとめ(元スレ1~10) SSまとめ(元スレ11~20) SSまとめ(元スレ21~) 以下元スレです。 まとめにはもしかしな...w.atwiki.jpワンピ、ウマ娘双方へのリスペクトを忘れずに。
相手の存在しない記憶は極力否定ではなく、より強力な存在しない記憶で殴り返しましょう。
基本的により厳格な設定を考える場ではなく、より面白い記憶で殴り合う場所なので思いついた幻覚は流れ無視して気兼ねなく投げてok。
スレが荒れて来たらバスターコール発動(フクを変な声で鳴かす)。
荒れるからルドルフ夫とルドルフの年齢のことはモンジョン構文で話す
荒れるから原作でまだわかってない部分・未実装キャラの話はなるべく避ける
SS書き様は神。
次スレは>>190が立ててください。
- 2二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:10:38
よくやった若い大将
- 3二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:11:14
そろそろ中年定期
- 4二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:15:26
はいっ!マチカネスレキタルです!
前スレ埋めもお忘れなく! - 5二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:19:53
はい! マチカネスレキタル(二人目)です!
フンギャロフンギャロ!! - 6二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:21:16
ロシナンテ(えっ?ルドルフ中将が駄洒落倶楽部を?めっちゃ参加したい…)ソワソワ
センゴク「ロシナンテ。」 - 7二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:24:32
ネイチャさんが海軍に居ないのが悔やまれる……
- 8二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:25:11
ガープ「は? 今なんか言ったかルドルフ。良う聞こえんかったわ。ぶわっはっはっは!!」
- 9二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:25:57
- 10二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:28:24
海軍から離反したテイオーを追うネイチャさんが有る可能性……?
- 11二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:29:50
- 12二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:37:50
カノープス海軍ルートだと南坂が元海兵とかだろうな。
海軍の支部が壊滅する大事件が起きて数少ない生き残りの南坂がカノープスのウマムスメがいるところに流れ着く。
カノープスと穏やかな交流して死んだ心が回復していく。
ぼんやりとカノープスに戦い方を教えている日々の中、悪い海賊が来襲してカノープスが戦うが負けかける。
南坂が再起して倒して引取にきた海軍が生きていたんですか南坂大佐とあれやあれやで海軍に復帰する話に。
カノープスがついていくことになって海軍に参加とか。
- 13二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:38:09
- 14二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:39:34
- 15二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:40:08
実際、離反した戦力の補強(主に青雉とはいえ)のため、
赤犬が世界徴兵を敷いたのかと思えばしっくり来るしな - 16二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:40:45
ちょっとそこで頭冷やしとけ(物理)されたチケゾー……?
- 17二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:41:43
まあでもカノープスは階級抑えられるよなぁ
- 18二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:43:52
- 19二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:44:04
いくらチケゾーでも自分の立場捨ててまでクザン個人の為についてくとは思えないし(この二人は仲はいいけどそういう関係ではないはず)、クザンもチケゾーのこと考えたら黙って置いていきそうではある
ただそれはそれとして「チケットを置いてくつもり?」と睨むタイシンに「チケゾーちゃんはおれがいなくなったくらいでダメになるような子じゃねェよ」って返すクザンは見たい - 20二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:45:19
なんか海軍本部のマンハッタンカフェが主にやってた(七武海監視係になったあとは他の人が継いでる)カフェが、夜になるとネイチャが手伝うスナックも兼ねてるっていう妄想が浮かんだ
そうするとネイチャは親も海兵で本部のスナックも兼任してたっていうことにもなってそう
カノープス海軍概念なら階級にも語り合いたいなあ - 21二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:47:11
あ、エピソードオブライスシャワーの者です
新スレになったので投下しても大丈夫でしょうか…? - 22二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:47:27
来い!
- 23二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:49:55
カワイイカレンチャンがカワイイので初投稿です
では少しの間スレお借りします……
第一章
麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 78スレ目|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/84086/https://w.atwiki.jp/luckycomestrue/pages/1.html#atwiki-jp僕はナミフク…bbs.animanch.com第二章
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0.
――夢を見た。
気づけばおれはひとり、花畑に突っ立っていた。見たことのない場所だ。果てなんかないみたいに、どこまでもどこまでも広がっている。
見上げた空は不自然なくらいに青くて、どこか不安を煽られた。
花畑の中に小さな影が見えた。おれにとってはよく見知った姿だ。
細長い馬の耳とふさふさで艷やかな尻尾。それらと同じ色の黒髪。穏やかで優しい面持ち。
ウマムスメ族の少女、ライスシャワー。おれがファミリーにいた頃、おれの手を握ってくれた女の子。そして……恩人であるコラさんの大切な"青いバラ"。
ライスはあの時の幼い姿のまま、ひとりで花畑に座り込んでいた。夢中になって花を冠の形に編んでいる。
きっとコラさんにくれてやるんだろう。ライスはコラさんが大好きだったから。思い出の絵本になぞらえて、"お兄さま"なんて呼んで慕うくらいに。
おれはコラさんとの旅でライスがあれほどまでにコラさんに懐いていた理由を痛感した。
すると、花冠を編んでいたライスがおれに気づいた。あどけない顔がまるで花が咲いたみたいにぱっと輝く。
「ローくん!」
あの頃とまるで変わらない鈴を転がすような声でおれを呼んで小さな手を振った。それがなんだか少し嬉しくて、つい手を振り返す。
ライスは立ち上がり、おれに向かって駆け寄ってくる。おれは小さなライスに合わせて屈んで、手を広げてあいつを待って――
瞬間、銃声が響いた。
立ち止まったライスの胸元が真っ赤に染まって、華奢な身体が花畑に沈んだ。
おれは息を呑んだ。
……彼女のすぐ後ろには、白い煙を立ち昇らせる拳銃を手にしたドフラミンゴの姿があった。
そこになんの情緒もないかのような冷たい顔で、動かなくなったライスを見下ろしている。
明瞭な言葉にならない絶叫はおれから迸ったものだった。倒れたライスに向かって駆け出して、必死に手を伸ばす。
けれど、届かない。それどころかライスの姿は遠のいていくばかりだ。
辺りは気づけば真っ暗な闇の中で、助けたかったあの子の姿はやがて見えなくなっていって。
まるであの時と同じように―― - 25二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:51:46
- 26二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:52:15
今何時か知らないが、朝食の準備が遅れるとヴォルフのじいさんがうるさい。今日の当番はベポだった筈だ。
おれがそう言うとベポとシャチとペンギンは寝室を後にした。ベポの奴は寝室を出る直前まで何度もこっちを見ていた。
三人がいなくなって、大きな溜息をついた。
ヴォルフの世話になって、ベポとシャチとペンギンと一緒に暮らしてもう三年になる。あいつらには珀鉛病のことや、ファミリーにいたこと。大体の事情は話した。
けど、ライスのことは話していなかった。……話せなかった。
どれだけ傷つけられても、悍ましい悪意に晒されても、優しくあり続ける強さを持った子。……おれが見捨ててしまった女の子。
あの時、ドフラミンゴよりも先にあの子を見つけられたら。あの子と一緒に逃げることができたなら。考えても意味のない"もしも"が浮かんでは消える。
生きていてほしいと切に思う。けれど、ドフラミンゴは血を分けた実の弟であるコラさんすら容赦なく撃ち殺した男だ。
もし、ドフラミンゴがライスのことを裏切り者と見なしたら――?
花畑の悪夢がフラッシュバックする。やりきれない思いで、寝床に拳を叩きつけた。
大きく息を吐いてベッドサイドの抽斗を見遣る。
あの中には、あの時雪の中で拾ったライスの落とし物が――コラさんから贈られたという青いバラの髪飾りが、ずっとしまってあった。
……数日後、おれは知ることになる。
ドフラミンゴの謀略。コラさんが救おうとしていたもの。
そして一面記事の写真に小さく写り込んだ黒い姿を。――ライスシャワーの生存を。
- 27二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:52:37
【エピソード オブ ライスシャワー】
【エピローグ しあわせの■■バラ】 - 28二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:53:21
1.
夜の帳が下がる頃。海原をゆったりと進む船を月の光が照らし出す。掲げる旗は黒い布地に白い髑髏を大きく描いた海賊旗(ジョリーロジャー)。この船が海賊船であることを主張していた。
樽や木箱に座って月見酒を楽しむ者。肉や魚を貪る者。船内で休む者。海賊達は思い思いに夜を過ごしていた。
――そんな彼らが海面を駆ける小さな"影"に気づく筈もなかった。
酒を飲んでいた船員の一人の手から木樽ジョッキが滑り落ちた。軽い音を立てて甲板に転がり、半分ほど残っていた酒が全てこぼれてしまう。
「おい、何やってんだ。勿体ねェ……」
別の船員がそれを咎めるも、返事は帰ってこなかった。酒をこぼした船員の身体がぐらりと傾き、甲板に倒れた。
酔い潰れたのかと思ってさして気にしなかったが、直後漂ってきたのは血のにおい。アルコールに浮かされた脳が冷めていく。
「お……おい……?」
倒れた船員を確認すると、その喉笛が真一文字に切り裂かれ……絶命していた。
声を上げそうになったが、それは叶わなかった。次の瞬間にはその船員の喉も切り裂かれていたからだ。
また一人、二人と甲板の船員が倒れていけばやがて誰かが異変に気づく。穏やかだった夜が死臭にまみれていることに。
「て……敵襲だァーーーーッ!!」
叫んだ直後。その船員は心臓を一突きにされた。
叫び声が上がって間もなく、船室にいた海賊達が武器を手に続々と甲板に出てくる。
海賊達は目を丸くした。死体だらけになった甲板でただ一人立っていたのは、小柄なシルエット。
月の光でその姿が浮き上がる。頭をすっぽりと覆い隠すフードに、膝下くらいの丈のマント。顔は分からないが、マントの間から見えるスカートと足元のパンプスからかろうじで少女であることは分かった。
小さな手に握られているのは短剣。まさか、彼女がこの惨劇を生み出したというのか。幾ら油断していたとはいえ、たった一人で。
- 29二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:53:52
「テメェ……何者だ!?」
海賊団の船長が少女を睨みつける。
返答はなかった。フードの奥の瞳が海賊達を捉えると、一瞬にしてその姿を消した。
どよめくのとほぼ同時。海賊の一人が喉元から血を吹き出しながら倒れた。いつの間に移動したのか、海賊達の中にフードの少女が立っていた。
「こ、このガキ――!」
海賊の一人が少女に殴りかかった。
「――一期狩(イチゴガリ)」
瞬きする間もなく、少女は海賊の背後に立っていた。海賊は腕を突き出した姿勢のまま、斬り裂かれた動脈から血を吹いて倒れる。
「なっ……!?テメェ!!」
今度は曲刀を手にした海賊が斬りかかった。振り下ろされた刃は確かに少女を捉えたかに思えた。しかし、斬った手応えがない。それどころか、斬りかかった筈の少女の姿もない。
「狩初(カリソメ)――」
「かふっ……!?」
「突明狩(ツキアカリ)」
いつの間にか懐に潜り込んでいた少女は、海賊の胸に刃を突き立てていた。
海賊達は漸く思い知る。この少女が、決して只者ではないことを。
- 30二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:54:20
「い……一箇所に固まるな!散らばれ!」
誰かがそう叫んで、海賊達は甲板に思い思いに散っていく。
しかし、少女はまた一瞬にして別の場所に移動していた。足音もなく消えては現れるさまはまるで幽霊のよう。
見えない軌跡を辿るかのように、海賊達がバタバタと倒れていく。
「凪歩行(カームウォーク)――華咲狩(ハナザカリ)」
ある者は喉を裂かれ、またある者は胸元を色濃く染めて。真っ赤な飛沫が花咲かす。
「こ、このっ……!」
海賊の中にはウマムスメ族もいたらしい。ウマムスメは蹴りを放つも、少女は首を少し動かしただけで簡単に避けてしまう。
「芙蓉(ムタビリス)」
「きゃあっ!!」
カウンターで放たれたのは舞うような蹴り。優雅な動きとは裏腹に威力は強烈で、ウマムスメをふっ飛ばして船室の壁を破壊した。
「調子に乗ってるんじゃねェぞ、小娘ェ!!」
叫んだのは少女よりもずっと大柄で肥満体型の海賊だ。たっぷりと蓄えた脂肪に守られた身体であれば、小さな刃物程度はある程度防ぐこともできるだろう。
巨大な斧を片手に、大柄な海賊は少女を見下ろした。
- 31二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:54:54
「よくも好き勝手やってくれたなァ!?ただで済むと思うなよォ!!」
口角泡を飛ばす勢いの海賊に対し、少女の表情は微動だにしていなかった。
巨大な斧が少女に向けて振り下ろされる。轟音と共に甲板が砕かれ――けれど、そこに少女の姿はなかった。
「鬼華衝(モルフォリューム)」
声は大柄な海賊の懐から聞こえた。
刹那、海賊を襲ったのは凄まじいまでの衝撃。
少女の細い脚から放たれた蹴りにより海賊の肥えた身体はふっ飛ばされ、マストに叩きつけられる。ズルズルと座り込んだ海賊は目を剥き、血の混ざった泡を吹いて、そのまま動かなくなった。――内臓破裂による即死であった。
その後、行われたのは殆ど一方的な殺戮。船員達は次々と倒れて甲板を真っ赤に染め上げていった。
気づけば、立っているのはこの海賊船の船長ただ一人であった。この短時間で数十人もの船員達を始末してしまった少女に、船長は戦慄する。
船員達を全員殺された以上、ここからこの海賊団を立ち直らせるのは至難の業だ。
それならせめて、こんなふざけた真似をしでかしたこの少女をどうにかしなければ気が収まらなかった。
「へ、へへ……どこのもんかは知らねェが、残念だったなぁ……」
船長は引き攣る顔でなんとか不敵な笑みを作る。
少女の攻撃方法はなんとなく読めてきた。基本的な攻撃は短剣を用いて急所を狙う一撃必殺に、高い身体能力を生かした武術。
そして恐らく、悪魔の実の能力者だ。どれだけ速く動けても、目にも留まらぬ速さで動き回り続けるのは普通ありえない。
瞬間移動(ワープ)か、高速移動か。どちらにせよ超人(パラミシア)系の実の能力者である可能性が高い。
それならば船長には勝ち目がある。直接攻撃しか手段がないのであれば、少女は絶対に勝つことができないからだ。
船長の片手がドロリと溶ける。流動体となったそれは重たい音を立てて甲板に落ちた。
- 32二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:55:26
「おれはドロドロの実の泥人間!お前の攻撃はおれには効かねェ!!」
悪魔の実の中でも最強と称される自然(ロギア)系。身体を自然物そのものに変化させるその能力はほとんどの場合、物理的な攻撃を無効化することが可能だ。剣で斬られようが、銃で撃たれようが、元通り再生することができる。
流動体の泥となった腕が文字通り伸ばされる。鞭のようにしなる泥腕の先端はトゲのついた球体の形になっていた。泥状にした身体の一部を変形させ、その密度も硬度も自由自在だ。
少女は身を反らしてそれを避けた。泥製のモーニングスターは少女の後方にあった樽を粉々に破壊する。
攻撃の風圧で少女の頭を覆っていたフードが外れた。飛び出したのは外に跳ねる特徴的な黒髪と、頭頂部にひょこりと生えた細長い馬の耳。船長は目を見張った。
「ウマムスメ族、か……」
それならばあの高い身体能力も頷ける。加えて悪魔の実の能力者であれば、それなりの実力者だろう。
思わず笑みが溢れた。見目麗しいウマムスメ族を求める好事家は未だ多い。こいつを売り飛ばして資金を作ればやり直す為の足がかりにもなろう。
船長はもう片方の腕も変化させ、鞭のようにしならせて少女を襲う。息をつく間もなく放たれる泥腕のラッシュを、少女は少しの無駄もない動きで避けていった。
攻撃が当たらないことに苛立つが、しかし少女の方は決定打がない。対してこちらは当たりさえすれば勝ちだ。船長は下卑た笑みを浮かべる。
次の瞬間、船長の視界から少女が消えた。咄嗟に周囲を見回すも見当たらない。
「クソッ、どこへ……!」
「鬼華衝(モルフォリューム)――」
――声は上から降ってきた。
見上げるよりも速く脳天を襲ったのは頭蓋をも砕く衝撃。視界が大きく揺れて、為す術もなく倒れ伏す。
「――枝垂(フォーリング)」
上空から踵落としを見舞った少女は頭を踏みつけてくるりと回り、何事もなかったかのように甲板に着地した。
船長は何が起きたのか分からなかった。ただ一つ分かったのは……少女の攻撃が、船長に致命傷を与えたこと。
- 33二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:55:58
「な、何故……だ……ロギアのおれに……何故……」
「……ごめんなさい」
「……は……?」
朦朧とする意識の中。少女が初めて口を開く。
その声は見た目通り幼く、まるで鈴を転がすよう。そして――この海賊団を壊滅させた殺戮者とは思えないような、どこか申し訳無さそうな声だった。
「苦しませて……ごめんなさい」
月光を反射する刃が光り、船長の喉笛を裂いた。
喉に詰まっていたのは泥ではなく、血液だった。
船長が絶命したのを見届けると、少女は小さく息を吐いた。
背後から聞こえてきた物音に少女は振り返る。船室にふっ飛ばしたウマムスメが、怯えた表情を浮かべて少女を見つめていた。
「ね、ねぇ、待ってよ!」
青褪めた顔のウマムスメは、震える声で少女に訴える。
- 34二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:56:35
「み、見逃してよ!ほ、ほら、私達同族じゃない?同じウマムスメ族なら分かるでしょ?私、こいつらに無理矢理従わされてたの!トレセンから誘拐されて、それで……ッ!」
少女は黙って聞いていたが、やがてそのまま踵を返した。
ウマムスメは安堵の表情を浮かべた。
……そしてそのまま走り出し、後ろ手に隠した曲刀を突き出して少女の背中を狙う。
鈍く光る刃が少女を貫くことはなかった。まるで背中に目でもついているかのように、少女は身体を捻って刃を避けると、逆手に持ち替えた短剣でウマムスメの心臓を一突きにしていた。
少女が短剣を引き抜くと、ウマムスメは力なくその場に崩れ落ちた。
――こんな噂がある。
王下七武海であるドンキホーテ・ドフラミンゴ。無謀にも彼に敵対した海賊を粛清する存在がいると。
名前も分からず、顔も定かではない。その"刺客"の標的となった海賊は、誰一人として生きてはいないのだから。
あるとき、幽霊船となった海賊船付近で海を駆ける黒い影が目撃された。それすらも事実なのか、どこの誰が言い出したのかも分からないが……"黒い刺客"の存在は、まことしやかに囁かれた。
――静寂に包まれた夜。金色に輝く月下。血にまみれた甲板で、少女……ライスシャワーだけが立ち尽くしていた。
- 35二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:57:15
2.
エキゾチックな音楽が聞こえる。
独特なスパイスの香りが鼻腔を通り抜けていく。
ドレスローザに帰ってきたのだと、ライスシャワーは改めて実感した。港はたくさんの人々が行き交い、そこかしこから明るい声が聞こえてくる。
その中にはこのドレスローザでしか見ることのできない不思議な光景もあった。
それは、自立して動き回るオモチャ達。このドレスローザでは普通の人間と同じように話し、ものを考え感じる"生きたオモチャ"が暮らしていた。
ライスシャワーも最初こそ驚いたものだが、今ではすっかり慣れたものだ。顔見知りになったオモチャも多い。
「あっ!ライスちゃんだ!」
港にいた子供の一人が声を上げると、人々の視線が集まった。ライスシャワーは少し照れながらも笑顔を浮かべて控えめに手を振った。
「ライスちゃーん!おかえりー!」
「う、うん。ただいま」
「外のお仕事お疲れ様。大変だった?」
「ちょっとだけ……。でも、大丈夫だよ」
人々に次々と声をかけられる。その表情はみんな朗らかで、それだけで気持ちが晴れるようだった。
この笑顔を守ることができるなら、あの月夜の粛清も決して無駄ではなかったのだ。
「ねえねえ、ライスちゃん!お仕事終わったなら一緒に遊ぼうよ!」
「あ……ご、ごめんね。これからドフラミンゴさんに報告に行かないといけないの」
ライスシャワーがそう言うと、女の子はえー、と不服そうに眉を下げる。女の子の母親がそれを咎めた。
「こーら、ライスさんを困らせないのよ。ごめんなさいねぇ」
「い、いえ。大丈夫です。……また今度遊ぼうね」
ライスシャワーがそう言うと、女の子はパッと顔を輝かせた。
- 36二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:57:58
「絶対、ぜーったいだよ!約束だからね!」
「……うん。約束、守るよ」
たくさんの人々とオモチャ達に見送られて、ライスシャワーは港を後にした。
かつて、ドレスローザを治めていたリク王の乱心事件から五年の歳月が経過していた。
当時、ライスシャワーはたまたま別の任務をあてがわれていてその場に居合わせることはなかった。けれど遅れてドレスローザに到着した時、その惨状に絶句した。
ライスシャワー以外のドンキホーテファミリーの面々がいたお陰で被害は抑えられたようだが、それでも家を壊されて住む場所を無くし、怪我を負った人々の数は決して少なくはなかった。
何よりも――信頼していた王に裏切られた人々の痛みを思うと、今でも涙が出そうになる。
――可哀想になぁ。そう思わねェか、ライス。
――信じていたものに裏切られる辛さは、お前ならよく知ってる筈だ。そうだろ?
この五年間。ライスシャワーはドフラミンゴから与えられる"外の仕事"をこなしつつも、このドレスローザの復興に尽力してきた。
建物や景観を直すだけじゃない。リク王によって傷つけられた人々の心にも寄り添ってきた。生前の"お兄さま"――コラソンがライスシャワーにそうしてくれたように、ドレスローザの人々も笑顔にできたら……幸せにすることができたならと、そう願って。
- 37二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 20:59:34
ライスシャワーは浴室で物思いに耽っていた。
ドフラミンゴは丁度コロシアムの方へ視察に向かっていたらしく、入れ違いになってしまったのだ。
熱いしぶきが降り注ぎ、あまり日に焼けていない肌を濡らす。華奢な肩を、控えめな膨らみを流れ落ちて、うっすらと割れた腹直筋を伝う。
いつもは外に跳ねる黒鹿毛も、たっぷりと水分を含んで首筋や背中に貼りついた。
小さな吐息は水音に混ざって消える。
過酷な訓練をこなすこと数年。復讐を果たすのなら他者を殺すことに慣れなければならないとドフラミンゴは言った。
"最初"はどこからか連れられてきた、名も知らない男だった。支払いを渋った末に商品のみを持ち逃げしようとしたクズだとドフラミンゴは言っていた。後ろ手に縛られ、猿轡を噛まされて床に転がされ、陸に打ち上げられた魚みたいに藻掻いていた。
震える手で心臓を刺したつもりだった。実際には刃先が逸れて臓器を貫くことは無かった。歪む表情、くぐもった呻き声、薄汚れたシャツに広がる赤黒い染み。その何もかもが恐ろしくて、ライスシャワーはそれ以上何もできなかった。男はそのまま放置されて、たっぷりと時間をかけて苦しみながら命を落とした。
お前は悪くない。悪いのはこのクズだとドフラミンゴは優しく囁いた。――苦しもうが、そうでなかろうが、死ぬのは一緒だと。
殺さなくてはならないのであれば必要のない苦痛を与えるのは嫌で、だから学んだ。どこを傷つければ苦しませずに死なせてやれるのか、その知識を。どう傷つければ苦しまずに死なせてやれるのか、その技術を。
ドフラミンゴが王下七武海となり、敵対者を粛清する任務も今では一人で任されるようになった。それでも、未だに即死させてやれない場合は決して少なくない。数日前の月夜の晩のように。
- 38二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:00:02
- 39二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:00:42
身体の水滴を拭き取ってから新しい下着を身につける。濡れた髪と尻尾を拭いていると、部屋の扉が数回叩かれた。
「あ……はい」
「おれだ。どうやら"仕事"は無事終えたようだな。ご苦労だった」
扉越しの声だけで分かった。驚いてピンと跳ねた尻尾から飛沫が飛ぶ。
ドンキホーテ・ドフラミンゴ。ドンキホーテファミリーのボスにして、ドレスローザの新たな王。ライスシャワーにとっては戦いの師でもあった。
……そして頭にタオルを被った下着姿は、どう考えても上司である彼と顔を合わせるに相応しい格好ではない。
「あっ……!ご、ごめんなさい!えっと、その、さっきまでシャワーを浴びてて……!」
「ああ、急がなくていい。ゆっくり身なりを整えてから、"スートの間"に来てくれ。大切な話がある」
慌てるライスシャワーに、ドフラミンゴは穏やかな声色で返した。
ライスシャワーは目を瞬かせた。
スートの間。ドレスローザ王宮の2階にある大広間には、四つの席が置かれている。
それぞれスペード、ダイヤ、ハート、クローバーを象ったその席は、ドンキホーテファミリーの最高幹部に与えられるもの。現在はハートの席のみ空席であった。
ライスシャワーは緊張した面持ちでスートの間に足を踏み入れる。ドフラミンゴは窓の前で城下町を眺めているようだった。
「……きたか」
「お……お待たせして、ごめんなさい……」
「フッフッフ……気にするな。女は身嗜みに時間がかかるもんだ」
- 40二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:01:15
振り向いたドフラミンゴに、ライスシャワーはおどおどと頭を下げた。
窓から差す陽光が薄暗い広間を微かに照らす。沈黙がなんだか気まずくて、そわそわしてしまう。
とうとう耐えきれずに、ライスシャワーは口を開いた。
「あ、あのっ。お話って……」
「おっと、そうだったな。……ライス。お前を本日付でドンキホーテファミリー最高幹部――三代目"コラソン"に任命する」
息を呑み、目を見張った。
"お兄さま"であるコラソン亡き後、長らく空席だった"ハート"。その席をライスシャワーに与えると、ドフラミンゴは言っている。
「ら……ライス、が……?」
「ああ……。お前は本当に大したものだ。先代コラソンが死んでから八年で、最高幹部に相応しい実力を身に着けた。これもお前のコラソンへの愛の賜物だろう」
ドフラミンゴは懐から豪奢な装飾の小箱を取り出した。ゆっくりと蓋を開けて見せる。――その中には、黒いバラのブローチが二つ並んでいた。
「お前の変わらぬ愛を讃えよう、ライス。これはおれからの就任祝いだ」
差し出された小箱をおずおずと受け取る。
コラソンが身に着けていたコートの羽を連想させる漆黒。数年前に失くしてしまった"繋がり"が戻ってきたかのようで、ライスシャワーの目尻に涙が浮かんだ。
- 41二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:01:53
――その日の夜。ライスシャワーの最高幹部就任を祝う宴が幹部以上のメンバーのみで行われた。
「――それでは、新たな"コラソン"の就任を祝して」
ドフラミンゴが取る音頭に合わせて、ワイングラスが掲げられる。
ドフラミンゴの隣で緊張気味にグラスを掲げるライスシャワーの胸元と帽子には、貰ったばかりの黒いバラが咲いていた。
「ウハハハ、ライス。折角最高幹部になったんだ。何か一言ねェのか?」
「ふえっ!?あ、あ、あのっ!こ、これからもがんばる、ので……よ、よろしくおねがいしまひゅ!!」
「べへへ!肝心なとこで噛んでやんの〜〜〜」
突然ディアマンテからの無茶振りを受け、元々緊張していた思考はパニック状態になる。
動転しながらもどうにか絞り出した月並みな台詞も最後の最後で噛んでしまった。トレーボルの笑い声を受けながら、ライスシャワーは顔を真っ赤にして俯いた。
乾杯が終われば、後は各々用意された食事と酒を楽しむことになる。
ライスシャワーはベビー5、バッファローらと共にいた。ファミリーに加入した時期や年齢も近く、付き合いも長い。
「まさかライスが最高幹部なんてね」
「おれらの中で一番弱っちかったのにな」
幼かったあの頃を思うと、なんだか感慨深い。
元々大柄だったバッファローは更に大きくなった。ベビー5はといえば少し前からライスシャワーの身長をぐんと追い越して、今では見上げる羽目になっていた。豊かに実って谷間を作る胸元に、きゅっと括れた腰。程よく女性らしい脂の乗った太腿。いつまでも子供のような体型のライスシャワーとは真逆で、美しい曲線を描くグラマラスな美女に成長した彼女のことは密かに羨ましく思っていた。
- 42二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:02:37
「それにしても、ライスが"コラソン"ねぇ……」
ベビー5がしみじみと呟く。
モネやシュガー、ヴァイオレットといったコラソン死後に加入したメンバーを除けば、ライスシャワーがコラソンに拾われ、子供を嫌っていた(ということになっている)コラソンのお気に入りだったことは誰もが知っている。
そのライスシャワーが三代目コラソンに任命されたとなれば、まるで彼の跡を継いだのようにも見えるだろう。
バッファローは笑いながら言った。
「いっそライスのことも"コラさん"って呼んじまうか?」
「だめっ!!」
ライスシャワーは思わず鋭い声を上げた。
途端、談笑が止み、周囲の視線は一斉にライスシャワーへと向けられた。楽しい宴が一転、居心地の悪い沈黙に包まれる。
「あ……。ご、ごめんなさい……。でも、その呼び方はお兄さまの、だから……。ライスのことは、今までと同じように呼んでほしいな……」
「ぐ……。ちょ、ちょっと言ってみただけだすやん!ノリ悪い奴だな」
「……ご、ごめんね……」
折角の宴の雰囲気を壊してしまった。申し訳無さでいっぱいになって、ライスシャワーは目を伏せた。
輪から離れ、ライスシャワーは壁際にぽつんとひとり佇む。
グラスの中で波打つ赤紫色の葡萄ジュースは、彼女の憂いを帯びた表情を映し出していた。
- 43二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:03:15
「どうした?今日の主役が随分と浮かない顔だな」
ライスシャワーは隣にやってきたドフラミンゴを見遣り、また俯いた。
「……ライスにこの名前を背負う資格があるのかなって」
「おれと他の最高幹部全員で下した決定だが、不満か?」
「ち、違うの!」
ライスシャワーは慌ててドフラミンゴの言葉を否定した。それから、伏し目がちに言葉を洩らす。
「ドフラミンゴさん達がライスなんかを認めてくれたのは嬉しい、けど……お兄さまのこのお名前は、ライスにはまだ相応しくないんじゃないかって……思っちゃって」
ライスシャワーにとって"コラソン"は特別な名前だ。
大好きだった"お兄さま"。ライスシャワーに笑顔と幸せをくれた人。あの暖かくて大きな背中は遥か遠くにあって、まだ追いつけていないのに、その名を背負ってはいけないように思えて。
……何よりライスシャワーはまだ、彼の無念を晴らせていない。
「……心の整理がつかない、か。無理もない」
そんなライスシャワーの内心を汲み取ったかのように、ドフラミンゴは静かに語った。
「まだ自分が"コラソン"を名乗るに相応しくないと思っているのなら、それでも構わねェ。その名を使わずとも、今やお前は最高幹部だ。それは覆ることはない。……お前の覚悟ができた時、改めて"コラソン"を名乗れ」
「……はい」
頷いたライスシャワーの頭を大きな手が撫でる。華奢な身体が一瞬強張った。手つきは至って優しいのに、上から押さえつけられているみたいに微動だにできなくなってしまう。
「フッフッフ……。大丈夫だ、ライス。お前は良い子だからな……」
静かな囁き声は、やけに響いて耳に残った。
- 44二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:03:58
3.
ライスシャワーが最高幹部となり、数年の月日が流れた。
戦闘訓練も続けながら、ドレスローザをより良い国にする為に手を尽くし、頭を回す。"外の仕事"も変わらず続いていた。それでも、ドレスローザで過ごす日々は至って平穏なものだった。
「ライスちゃん、いつもありがとう!本当に助かるわ!」
「い、いえ。ライス、皆さんの役に立てるのが嬉しいから……」
今日は果物屋の主人が腰を痛めてしまった為、荷運びを手伝ったところだった。
寝込んでいる主人の代わりに店番をしている婦人は豪快に笑う。その明るい笑顔を見ているだけで、ライスシャワーは幸せだった。
婦人は少し待っててね、と言うと店の奥に引っ込んでいった。ややあって戻ってきた彼女は、見事に実った大ぶりのメロンを抱えていた。
「これ、いつも頑張ってくれてるからそのお礼。受け取って!」
「ええっ!?こ、こんなおっきなメロン、ライスなんかがもらっていいんですか!?」
「ライスちゃんだから、よ!ほら、持ってった持ってった!」
半ば押し付けるように大きなメロンを持たされる。実がしっかりと詰まっているのだろう。見た目通りずっしりと重みがあった。
人々の視線をそこそこ集めつつ、メロンを抱えたライスシャワーは王宮に戻ってきた。
「あ、ライス姉!」
「あ……デリンジャーくん」
廊下で丁度鉢合わせたのは、ドンキホーテファミリー幹部の中で最年少、闘魚の半魚人デリンジャー。
中性的な容姿と見事な曲線美を描く生足。ハイヒールを履いて女性のような喋り方をするが、れっきとした"少年"だ。
- 45二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:04:42
「きゃー!ライス姉、いいもの持ってるじゃなーい!」
デリンジャーはライスシャワーが抱えるメロンを見て高い声を上げた。確か、彼の好物だったか。
「よかったら……一緒に食べる?時間も丁度いいし、おやつにしよ?」
「えー!いいのー!?きゃー!!」
戦う時の凶暴さが嘘のように年相応の姿を見せる彼に、ライスシャワーは苦笑した。
厨房で包丁を持ったライスシャワーに、デリンジャーは言った。「ライス姉、半分にしたやつそのままちょうだい」と。
ライスシャワーは一瞬目を丸くしたが、すぐにその意図を理解した。半分に切ったメロンを器に見立て、スプーンで掬いながら食べたいということだろう。贅沢な食べ方に憧れる気持ちは分かる。
若くしてドンキホーテファミリーの幹部となり、ドフラミンゴが王下七武海になる頃には既に懸賞金がかけられていたほどの彼が少年らしい部分を見せるのが微笑ましい。
ライスシャワーは言われた通り、デリンジャーの分は半分に切った者をそのまま皿に乗せ、自分の分はくし切りにしてテーブルまで持っていった。
手持ち無沙汰に脚をぱたぱたさせながら待っていたデリンジャーは、ライスシャワーがメロンを持ってやってくると黄色い歓声を上げる。
ライスシャワーは向かい合うように椅子に座った。
「きゃー!いただきまーす!」
「はい、召し上が――」
言うが早いがらデリンジャーは横に添えられた銀色のスプーンには見向きもせずに半分にカットされたメロンを手で掴んだ。
え、と声を洩らすよりも先に鋭い牙が黄緑色の果肉を皮ごと喰らう。テーブルクロスに甘い香りの果汁がぼたぼたと飛び散った。
ライスシャワーは表情を引き攣らせ――彼が"闘魚"の半魚人であることを思い知った。
「きゃー!おいしー!!」
「そ、そっか……」
- 46二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:05:23
口の周りを果汁でベタベタにして上機嫌なデリンジャーに、ライスシャワーは引き攣った笑顔で返した。
皮ごとメロンに齧り付くデリンジャーを遠い目で見ながら、くし切りにしたメロンにスプーンを滑らせる。
口に入れた瞬間果肉が弾け、洪水のように果汁が溢れる。甘い香りが鼻を抜けていくのがたまらない。そのくせ甘ったるいわけではなく、後味は寧ろすっきりとしていて、もう一口、二口と自然に手が進む。
一切れ食べ終えたところで、ライスシャワーは小さく息を吐いた。
おいしいものを食べて、ファミリーの誰かと何気なく過ごして。ひとりぼっちだった頃と比べれば、これ以上ないほど幸せな状況と言える。だけど……。
「ライス姉、なんかくらーい!あ、元からか!きゃー!ごめーん!!」
「えっ?あ、ううん、こっちこそごめんね……?」
さっきまでメロンに夢中になっていたデリンジャーに声をかけられる。台詞の内容を半分ほど聞き逃したせいか、なんだか気のない返事になってしまった。
「何々?なんか悩み事?あっ……もしかして、恋の悩みとか!?きゃー!!」
「うえぇっ!?そ、そんなことないよ!?」
あまり免疫のない話題にかぁっと顔が熱くなる。
「そっかぁ!相手いないもんね!!」
「えぇ……」
ずけずけとものを言うデリンジャーに、一瞬で熱の冷めたライスシャワーは引き気味に声を洩らした。
――そう。このドレスローザで過ごすのは"幸せ"だ。平和に過ごす日々は楽しい。人々の幸せに貢献することができたら嬉しい。
けれど……幸せに浸る度に、どうしようもない不安が押し寄せてくる。
「ライス姉?」
「あっ……。ご、ごめんね、デリンジャーくん。はい、ライスの分も食べていいよ」
「うっそぉ!きゃー!さっすがライス姉!」
残りの分のメロンが乗った皿を差し出す。
きゃーきゃー叫びながら再びメロンに夢中になり始めたデリンジャーを眺めながら、ライスシャワーは溜息をついた。
- 47二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:06:02
――その日の深夜。
ライスシャワーはまだ眠れないでいた。胸の辺りでモヤモヤした重い感覚がずっと渦を巻いていて、目が冴えてしまう。
原因は新聞に掲載された"ある海賊"の手配書だ。ティーテーブルに置きっぱなしになっている薄っぺらい紙に視線を下ろす。
ハートの海賊団 船長 "死の外科医" トラファルガー・ロー
そこに写っていたのは、確かにあのローの面影を残した青年だった。
最初にこの手配書を見た時、ライスシャワーが感じたのは安堵であった。
あの時、残り一年も生きられないかもしれなかった少年は無事珀鉛病を完治させ、こうして大人になることができたのだ。そう思うと、胸がいっぱいになって……。
だが、それはコラソンを……"お兄さま"を裏切って得たオペオペの実の能力によるもの。しかも今ではその力を使い、億を越える懸賞金をかけられた海賊となった。
憤りを感じずにはいられない。よりによって、コラソンを裏切って手に入れた力で海賊になるなんて。
暫く手配書をじっと見つめていたライスシャワーだったが、やがて意を決したように鞘から短剣を抜いた。数多の血を吸い続けてきた短剣を手配書目掛けて振りかざす。
手が震える。今までたくさん、たくさん殺してきたのに。血の通っていないただの紙に刃を突き立てることすらできない。
とうとうライスシャワーは何もできずにそっと手を降ろした。
「……どうして……」
ぽつりと洩れた言葉は、次の瞬間決壊した。
「――どうしてお兄さまを裏切ったのッ!?」
半ば八つ当たりのような激昂が虚しく響く。当然、ただの紙でしかない手配書から返事が帰ってくる筈もなく、写真のローの表情は微動だにしない。
「……っ、うぅ……!ぐすっ……!うええぇぇぇん……!!」
その場に崩れ落ちたライスシャワーは顔を覆って泣き出した。
痛くて、苦しくて、たまらない。涙は止め処なくこぼれ落ちる。
……どれくらいそうしていただろうか。鼻を啜ってしゃくりあげていると、部屋の扉がノックされた。
- 48二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:06:44
「おれだ」
「ドフラミンゴ、さん……」
扉越しに聞き慣れた声が聴こえてくる。ライスシャワーは涙を拭いて、扉を開けないまま返した。
「夜なのにうるさくして……ごめんなさい……」
「気にするな。それよりも、少し話をしようじゃねェか」
ライスシャワーは濡れた瞳を瞬かせた。
「え……で、でも……」
「……いいから出てこい。泣いているお前を放ったままじゃおれも寝られねェ」
「……!!」
ライスシャワーは息を呑んだ。
扉越しに聞こえる声は穏やかで、とても優しかった。
ドフラミンゴに連れられ、ライスシャワーは彼の私室へやってきていた。椅子に腰掛けた彼女の前に、ハーブティーの淹れられたティーカップが置かれる。
鼻を抜ける爽やかなハーブの香りは、取り乱していた心を少しだけ落ち着かせてくれた。
「大方、ローのことだろ?お前の悩み事は……」
「……はい」
向かい側にゆったりと腰掛けたドフラミンゴに、ライスシャワーは静かに頷いた。
- 49二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:07:18
「ドフラミンゴさん……。誰かを憎むって、つらいね……」
伏し目がちな瞳の上で、濡れた睫毛が揺れる。
「お兄さまを裏切ったあの人は許せない。でも……」
膝の上で握りしめられた拳が震えた。ローを憎く思う度、まだ幼かった頃の記憶が蘇る。
映るもの全てに敵意を向けているかのようなギラついた瞳。あまりにも悲惨で壮絶な過去。不器用で、口が悪くて、意地悪で――お前はダメじゃないと手を握ってくれた、本当は優しい男の子。
わざわざ時間を割いて応急処置のやり方を丁寧に教えてくれたのも、能力のデメリットのせいで倒れた時に必死に呼びかけてくれたのもローだ。事実は変わらない。あの暖かな記憶はなくならない。
「……ずっとずっと憎んでるのは、苦しくて……痛い……」
ローへの憎悪と幼き日々の記憶がぐちゃぐちゃに混ざり合って、小さな胸を内側から圧迫しているようで。だから痛くて、だから苦しい。
「……ドレスローザで暮らしてるとね、すごく幸せで……痛いのや苦しいのが薄れていく気がするの」
もうすっかり顔馴染みとなった街の人々、絵本を読み聞かせたり一緒に歌って踊ったりした子供達、気さくに接してくれるオモチャ達。誰もがみんな幸せそうで、それこそライスシャワーにとっては何よりの宝だった。
彼らと共にある日々は、ライスシャワーの内側で渦巻く憎悪を忘れさせてくれる。
「でも、そしたら今度はお兄さまの苦しみまで忘れちゃいそうで……!!」
けれどライスシャワーが憎悪を忘れてしまったら、コラソンは――お兄さまの無念はどうなってしまうのだろう。
必死に助けようとしたローに裏切られ、殺されてしまった彼の痛みを、苦しみを、置き去りにしてしまうのではないか。
「……怖いの……」
ライスシャワーは震える声で小さく吐き出した。
彼の無念を晴らさないまま幸せを享受してはいられない。彼の痛みと苦しみを忘れていい筈がない。そんなことは許せない。
- 50二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:08:04
「……そうか。本当に優しい女だなぁ、お前は」
黙ってライスシャワーの話を聞いていたドフラミンゴは、改めて感心したように言った。
「安心しろ、ライス。お前のコラソンへの愛は決して失われることはない。今まさにコラソンを想い、悩み、心を痛めているのがその証拠だ」
「……!!でも……っ」
「ライス、焦るな」
ドフラミンゴは静かにライスシャワーを諭した。
「お前の苦しみはよく分かる。だが、今は耐える時だ。コラソンの為にも、お前自身の為にも」
「……ごめんなさい」
ライスシャワーは申し訳無さそうに俯いた。
「ライス、時々頭の中がぐちゃぐちゃになって……どうしたらいいか、分からなくなっちゃうの……」
「そういう時はおれのところに来い。今夜みたいに話をしよう。口に出せば、心や頭の中を少しは整理できるだろうよ」
「え……。で、でも、迷惑じゃ……」
「フッフッフ……迷惑なもんか。もう何年の付き合いになると思ってる?おれにとってお前は、歳の離れた妹のようなもの。遠慮することはない」
「ドフラミンゴさん……っ!」
顔を上げたライスシャワーは、感極まって目を潤ませる。
- 51二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:08:34
「……今やあいつは億超えの賞金首だ。お前も強くなったとはいえ、一筋縄ではいかないだろう。……現状に満足せず力をつけることだ、ライス」
「……うん。ライス、がんばるね」
「その意気だ。フッフッフッ……やはりお前の愛は本物だよ」
ドフラミンゴは小さく笑って、ライスシャワーの頭を撫でた。
ライスシャワーは一瞬ギクリと身体を強張らせたが――やがて目を細め、その温もりを受け入れた。
「――遅い時間だったのに、たくさんお話してくれて……ありがとう」
あの後少し雑談してから、ティーカップを片付けて深夜のお茶会はお開きだ。涙の痕こそあったが、ライスシャワーの心はさっきよりずっと晴れやかだった。
「おやすみなさい、ドフラミンゴさん」
「ああ……おやすみ、ライス。いい夢を」
微笑みを浮かべて部屋を出るライスシャワーを、ドフラミンゴは見送る。
……彼女がいなくなってひとりになると、口角を吊り上げて妖しく笑った。
- 52二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:09:03
4.
――それは、暖かな過去の記憶。
レベッカがまだ兵隊さんと暮らしていた頃。会う度にいつも優しくしてくれた女の子がいた。
不思議な女の子だった。頭からは馬の耳が、お尻からはふさふさした馬の尻尾が生えていた。レベッカが成長して少しずつ大きくなるのとは対象的に、その子はいつも同じ姿をしていた。
彼女は、名前を"ライスシャワー"と名乗った。
最初に出会った時。彼女はお腹を空かせたレベッカにパンを分けてくれた。ほんのり温かくて、ふかふかで、少しだけ甘くて。夢中になって頬ぼったのをよく覚えている。彼女は穏やかな笑顔で見守っていてくれた。
その後も彼女はいつも食べ物を分けてくれたり、似合うと思ったからと花をプレゼントしてくれたこともあった。
優しい女の子だった。困っている人を見かけたなら手伝いを申し出て、子供達にせがまれれば一緒に遊んだり、歌ったり、踊ったりして。
沢山の人達に囲まれて、慕われて。この国にこんなにも優しい人がいたのだと、感動を覚えた。
――裏切られたと分かったのは、レベッカが囚えられコロシアムの剣闘士となった時だった。
鉄格子の窓から見えたその光景にレベッカは息を呑んだ。
- 53二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:09:44
コロシアムの入口に立っている派手な身なりの長身の男――この国の現国王にして、レベッカから家族を奪った憎き存在……ドンキホーテ・ドフラミンゴ。
そのすぐ隣にいたのは、あの時の優しい馬耳の少女……ライスシャワーだった。
会話の内容まではよく聞こえなかった。けれどドフラミンゴと共にいるライスシャワーは、小さかったレベッカに向けていたような穏やかな笑みを浮かべていた。
ドフラミンゴもまた、ライスシャワーに笑いかけていた。大きな手で彼女の小さな頭を撫でて、彼女の方は特に嫌がる素振りも見せずに受け入れていた。
やがて、二人は互いに手を振ってコロシアムの前で別れた。……まるで、とても親しい仲のようで。
後から聞いたのだが、信じられないことに彼女はドンキホーテファミリーの最高幹部の一人だという。それも、ドフラミンゴが一際大切にしているのだとか。
ショックだった。パンをくれたのも、花をくれたのも。全部全部演技だった。
――見て。このお花、あなたにとっても似合うと思ったの。どうかな……?
あの笑顔も全部嘘だった。何もかも分かっていて、レベッカを弄んでいた……そう思うと悲しくて仕方がなかった。
それでも、泣いて俯いてはいられない。
レベッカは前を向き、歩き出す。今日も戦場へと向かう。罵声と怒声の飛び交うスタジアムへと。
- 54二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:10:24
――ライスシャワーは思い出していた。ドレスローザの復興に勤しんでいたあの頃のことを。
ひとりの女の子に出会った。花のような髪色で、絵本に出てくるお姫さまみたいな女の子。いつもフードを被っているのが勿体ないくらい可愛らしい子だった。
名前は分からなかったけど、強く印象に残っている。あの子にはどんな花が似合うだろうと考えるのが楽しかった。
けれど――いつからか、パタリと見かけなくなってしまった。
せめて名前だけでも聞いておけば探すこともできただろうか。そう思うと、なんだか少し寂しかった。
「……どうした?ライス」
ドフラミンゴから声をかけられ、ライスシャワーは我に返った。
視察に向かうドフラミンゴに散歩に誘われ、こうしてコロシアムまでの道をのんびりと歩いているところだった。折角誘ってもらったのにぼんやりしてしまうなんて。
「ご、ごめんなさい、ドフラミンゴさん。ちょっと考え事、してて……」
「おれとの散歩はそんなに退屈だったか?それとも……誰か気になる相手でも?」
「ち、違うの!ほんとに、ちょっとした考え事で……!」
「お前も少しは大人の女になったということか。仕方ないとはいえ、寂しいもんだ……」
「も、もう!違うのに……!」
「フッフッフ、冗談だ。そんなにむくれるな」
そのやり取りは身長差やライスシャワーの幼い子供のような見た目も相俟って、兄妹というよりは親子のようにも見えた。
――ライスシャワーが同伴するのはコロシアムに着くまでだ。コロシアム内の視察はドフラミンゴのみで行う。
コリーダコロシアムを取り仕切る、最高幹部の一人ディアマンテ。ライスシャワーは彼から直々にコロシアムへの立ち入りを禁じられていた。
- 55二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:11:01
「お前が、コロシアムに?ウハハハハ!馬鹿言っちゃいけねェよ」
一度中を見てみたいと申し出た時、ディアマンテはバッサリとこれを切り捨てた。笑い声を上げてはいたが、目は全く笑っていなかった。
五メートルを越える体格で小柄なライスシャワーを見下ろし、長い指を突きつけて言った。
「そもそもだ。戦うことそのものを苦手としているお前に"魅せる闘い"のなんたるかを理解できるとは到底思えねェ。そんな奴にあれこれ口を出されたくはねェし、可哀想だなんだとメソメソ泣かれるのも面倒だ」
ディアマンテの言う事はもっともだった。ライスシャワーは無闇な争いを好まない。わざわざ傷つけ合うところを見せつけ興行とするのも、理解できない文化ではある。
ドフラミンゴからコロシアムを任され、見事な手腕で連日溢れかえるほどの観客を集め、大いに盛り上げているディアマンテからすれば素人から口を出されるのは確かに不快だろう。ライスシャワーは口を閉ざし、俯くほかなかった。
たまたま居合わせたドフラミンゴは「悪く思うなよ、ライス。ディアマンテはああは言っているが、お前が傷つくんじゃないかと心配しているんだ」とは言ってくれたが、結局、ライスシャワーがコロシアムに立ち入ることができないのは変わらない。
……ライスシャワーはあくまでドレスローザを良い国にしたいだけだ。コリーダコロシアムだってドレスローザの一部なのだから、協力できることがあるならなんでもしたかった。それだけで。
だが、ドフラミンゴやディアマンテを困らせたいわけじゃない。関わることそのものが迷惑だと言われれば、引き下がるしかない。
他愛ない話をしている間に、コリーダコロシアム前に辿り着いた。ライスシャワーはここで別れることになる。
「付き合わせて悪かったな」
「ううん。ドフラミンゴさんといっぱいお話できて嬉しいよ」
「フッフッフ……そうか。ありがとよ」
骨ばった大きな手に撫でられるのももう慣れてきた。髪を乱さない優しい手つきから与えられる温もりが嬉しくて、ライスシャワーは目を細めた。
「見て、国王様とライスさんだわ」
「相変わらず仲がよろしいのね」
「ああしていると――本当の親子みたい」
通りがかった街の人々は、その様子を微笑ましく見守っていた。
- 56二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:11:33
「それじゃあ、もう行くね。ドフラミンゴさん、お仕事がんばって」
「ああ、その前に……ライス」
改まったような雰囲気に、ライスシャワーは目を瞬かせた。
「……お前は本当によくやっている。これほどまでにドレスローザを想い、尽くすことのできる女はそういまい」
「そ、そんな……。ライスはただ、ライスにできることをしてるだけで……」
「それが立派だと言っているんだ。……コラソンもきっと、お前を誇りに思うだろうよ」
「っ……!!」
ライスシャワーは瞳を大きく見開いた。ややあって目尻にじわりと浮かんだ涙を指で拭うと、満面の笑みを浮かべる。
「うん……、うん……!そうだったら、嬉しい……!ありがとう、ドフラミンゴさん……!」
「フッフッフ……。それじゃあ、またな」
「はいっ!」
そうして、互いに手を振り合って二人は別れた。
コリーダコロシアムに背を向け、ライスシャワーは歩き出す。
ドレスローザに降り注ぐ陽射しのように晴れやかな表情を浮かべたコラソンが微笑んでくれたような気がして、心が弾む。
(お兄さま……ライス、ちゃんと咲けたかな。……そうだといいなぁ)
バラの少女は今日も華やかなドレスローザの街並みを往く。
その足取りは、踊るように軽やかだった。
「……幸せな夢の中で踊るといい。なあ、ライス……」
ライスシャワーと別れた後。コリーダコロシアムの廊下を歩くドフラミンゴはひとり、呟いた。
- 57二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:11:50
【エピローグ しあわせの黒いバラ】
- 58二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:12:14
5.
――ドレスローザの港町、アカシア。
人造悪魔の実"SMILE"工場の破壊、及び錦えもんの仲間の侍"カン十郎"の救出を目指すべく、ルフィ達は活気と情熱溢れるこの町にやってきていた。
咲き誇る花々、料理のスパイスの香り、麗しい女達の踊り――そして人々と共存する命を持った不思議なオモチャ。ドレスローザを訪れた人々は目を奪われ、心を奪われる。
「悪ィな、案内してもらって。ありがとう!」
「う、ううん。気にしないで。役に立てるの、嬉しいから……」
ルフィ達の前を歩くのは、小柄なウマムスメ族の少女だった。
背中まで伸ばした外に跳ねる黒髪に、黒いショートドレス。顔立ちはあどけなく、仲間のウマムスメであるマチカネフクキタルよりも幼く見える。
はしゃぐルフィと道でぶつかった彼女は、ルフィ達がドレスローザの外から来たことと、どこか食事ができるところを探していることを知ると、自ら案内を申し出てくれたのだ。
「いや、助かったよ。ええと……」
少女にそう言いかけたサンジは、彼女の名前をまだ聞いていなかったことに気づいた。
彼女の方も、まだ名乗っていなかったことに気づいたらしい。
ルフィ達を振り向くと、鈴を転がすような声と花の咲いたような笑顔でこう言った。
「――ライスシャワー……です。よろしくおねがいします」
【FIN.】
- 59二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:13:00
ついにモブ海賊の名前を考えることすら放棄
一応調べはしたけどドロドロの実既出だったらごめん……
【後書、及び解説など】
→キャラ解説
○ロー
冒頭時系列はNovel LAW。ヴォルフに保護され、ベポやシャチ、ペンギンと出会って三年過ごした頃なので16歳くらい。ローのパートがローの一人称視点なのはNovel LAWがロー一人称視点で書かれてるのでリスペクトのつもり
この後新聞でドレスローザの事件を知り、一面記事の写真にライスが小さく写り込んでいるのを見つけて彼女の生存を知ることになります。またスワロー島での事件後、出港を決意した後にやっとライスのことをベポ達に明かすイメージ
この世界だとコラさんの本懐を遂げること、及びライスをファミリーから解放することが彼の目的になるのかなと
拙作のローの中でのライス像は「優しくて心は強いが、戦えない(戦いに向かない)女の子」だと解釈してます。ファミリーにいた頃のライスが銃声に驚いてひっくり返ったり能力をサポートメインで使っていたりしたのが大きい
何が言いたいかと言うと、ロー視点だと「虫も殺せないほど優しかった女の子がおれを殺す為に能力の精度を殺意高めに仕上げてきた」になるのがいいですよね
- 60二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:13:27
○ライス
作中年齢は22→25→27になるのかな
実はラストはベラミーとの出会いにするかルフイ達との出会いにするかで最後まで迷った
22歳の時点で既に覇気習得済。ドフラミンゴがドレスローザの新たな王となってから、ドレスローザを守る為という名目で敵対する海賊を狩ることに。標的はあくまで"海賊"であることがポイント
王下七武海になる以前はドフラミンゴが意図的に彼女に目立つ行動を取らせなかった為、懸賞金はかかっておらず手配書も出回っていません。ドフラミンゴが粛清者である"黒い刺客"を抱えているという噂のみが広がっている状態
種族どころか性別すらも知られていない為、ドレスローザで国民から慕われるアイドル的存在やってるライス像とは全く重ならないってわけ
一番書きたかったのは戦闘シーンに加え、ローへの愛憎。そもそも優しい彼女は誰かを憎むのは向いていない筈。他者に憎悪を向けること自体がしんどいだろうに、対象が数年仲良く過ごしたローなので余計に苦しむことに
決して好んではやっていない暗殺任務にローへの愛憎を抱え疲弊しきったライスにとって、ドレスローザでの幸せな日々は救いだったんです
ちなみに、ライスのドフラミンゴへの感情はベースに"恐怖"、"畏怖"があり、その上に少しずつ親愛が積み重なっていったイメージ。"お兄さま"ではないけれど、同じ痛みを抱え(ているとライスは思っている)、親身に面倒を見てくれた大切な人ではあるんですよ
○デリンジャー
初期構想になかったシーンが急に生えてきた。びっくりした
ライスとは145cmコンビ。最年少幹部なのもあって、ライスからは割と可愛がられてる
「ライス姉の好きなとこ?甘やかしてくれるとこかな!」
○ディアマンテ
ライスに剣術の基礎を教えた人。ライスに対しては実力は認めていますが、甘ったれた性格は好んでいない感じです。素直に言うことを聞いてる分には可愛いとは思ってる
ライスをコロシアム出禁にしてるのは作中の理由に加えて工場の件を知られないようにする為でもあります
まあドフィからコロシアムを任されて盛り上げてる身としては辛気臭い顔で闘われるのも囚人に同情してメソメソ泣かれるのも面倒くさいからいっそ関わるな、っていうのはかなり大きい
っていうかただでさえ際どい精神状態でコロシアムの実情知ったら本当にぶっ壊れちゃうよね。ドフィストップです
- 61二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:13:52
○レベッカ
リク王の事件からコロシアムに囚われるまでの間に実はライスとの交流があった設定です。ライスの方はレベッカの名前と素性は全く知らない
レベッカの方もライスがドンキホーテファミリーの一員だと知らずに交流していたのですが、作中でのドフラミンゴとのやり取りを見て裏切られたとショックを受けることに
この誤解が解けるのはドレスローザ編内の鳥カゴ以降になるんでしょう。レヴェリーでビビ達とウマムスメの話題になった時にライスのこと思い出してくれると嬉しい
○ドフラミンゴ
自分の中で解釈が一転二転して一番描写に困ったのはこの男
かなり早い段階でライスの暗殺者運用を考えてたのが功を奏した
初期の構想では「どれだけ殺させても決して優しさを失わなず根っこのところが変わらないライスに苛立ってて本当は嫌ってる」くらいで書く筈だったんですが、最終的には十三年間も面倒を見ているのだから当然愛着は湧いているって具合に着地。「歳の離れた妹のように思っている」という言葉に実は偽りはありません。お兄さまと呼びたいと申し出があったら受け入れる気でいました
勿論裏切れば切り捨てるんですけど、可能なら手元に置いておきたいと考えているというか。実弟の置き土産でもありますし、上手く言えないけど複雑に拗れた想いを向けているんだと思います
作中では上手く描写できませんでしたが知識豊富で話し上手なイメージがあります。ライスも緊張がある程度解けたあとはドフィとのお喋りは本当に楽しかったんじゃないかな
国民視点だとライスとの関係は「仲睦まじい親子or兄妹」のように見られてます。微笑ましいといいますか、親しみやすさを感じさせるのに一役買っていたのではないでしょうか
- 62二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:14:18
→作中使用技
ライスの使用した技はざっくり"ウマムスメ武術を魔改造した武術"と"カリカリの実の能力を利用した短剣術"ってイメージで書いてます
ドフラミンゴならある程度その手の書物持っててもおかしくはないかな…と
カリカリの能力を利用した技名に関しては以前過去スレで見かけた語尾が「かり」で終わる言葉を使った言葉遊び系にいたく感銘を受けてパk…リスペクトして構想してみました
○一期狩(イチゴガリ)
カリカリの加速を乗せた高速の斬りつけ攻撃
名前の由来は一期一会+いちご狩り。お前の一期(一生)を狩り取ってやるぞ的なサムシング
○狩初(カリソメ)
高速移動を利用した残像で対象を惑わせてからカウンターを狙う
名前の由来は仮初
○突明狩(ツキアカリ)
カリカリの加速を乗せた刺突攻撃
名前の由来は月明かり
○凪歩行(カームウォーク)
カリカリの実の能力は関係なしに、音と気配を消して移動する技術。"ライスの出す音はみんな消えちゃうの術"である
名前の由来は勿論、大好きな"お兄さま"の能力
- 63二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:14:53
○華咲狩(ハナザカリ)
カリカリの高速移動を連続で行い、次々と対象を斬りつける。後には真っ赤な血の華を咲かす
名前の由来は花盛り
○芙蓉(ムタビリス)
ウマムスメ武術をベースにした武術。舞うような動きで蹴りの連撃を繰り出す
名前の由来は芙蓉ステークス、及び芙蓉の学名から
○鬼華衝(モルフォリューム)
ウマムスメ武術をベースとした、カリカリの加速を乗せた強烈な蹴り。イメージはローリングソバット
名前の由来は菊花賞、及び菊の学名・クリサンセマム・モリフォリウムを語感重視でもじって
名前はこうだが菊花掌とは似ても似つかない技である。そもそも掌底じゃなくて蹴りだし……
○鬼華衝・枝垂(モルフォリューム・フォーリング)
上空からカリカリの加速を乗せた踵落としをかます。多分ウマムスメ武術をベースにした技
→作中未使用
○鬼華傷・散花(モルフォリューム・ブレイク)
カリカリの全力の加速に力強い踏み込みを加えた凄まじい刺突の後、再度カリカリの加速を発動し突き刺した刃物で肉を断つように抉り斬る
実は魔改造ウマムスメ武術の中では比較的本来の菊花掌に近い技
- 64二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:15:19
拙い部分やガバガバ描写多いですが、麦フクライスの幻覚を少しでも強めるお手伝いができたら幸いです
トラ男の誕生日に第一章投稿して約一月に渡ってこれ書いてたんだと思うと色々感慨深いものがありますね…
というわけで、長々とお付き合い頂きありがとうございました。ちゃんと書き切れて満足です
カレンチャンがカワイイのでいずれはキッドカレンも書きたいと思いつつ、フレバンスルートも書きたいしライスがウララちゃんと出会うWCI編も……と書きたいネタが多くて困る……
とはいえ、ひとまずはこの辺で筆をおかせていただきます
- 65二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:21:49
乙良かったす!ドフラミンゴ許せねぇ〜
- 66二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:24:07
いやぁめちゃくちゃ良かったっす、乙でした
- 67二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:24:32
ここのライスの自分が信じてたもの全てが噓だと気づいて絶望する瞬間の顔が見てみてぇなぁ!
- 68二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:25:50
さすが、作者さんさすが!
ドフィライス……アリかナシかで言えばアリ。だけどドフィは磔刑に処されてほしい。
イヤほんとドレスローザは愛憎の魔境だな! 最悪だよ!
ありがとう! - 69二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:26:31
とても良い……
- 70二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:27:10
素晴らしい....
一つのスレとかでまとめて読みたい..... - 71二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:27:22
- 72二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:27:49
ドレスローザはこの後キングカワカミ ウンス ウオッカが出てくる魔境だからな、41歳には頑張ってもらおう
- 73二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:28:30
そこの麦わらさん、早くあのふざけたサングラスぶっ飛ばしてくださいよ
- 74二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:29:35
- 75二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:32:00
最低なんだ!
- 76二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:33:47
……本気(マジ)で言ってらっしゃる?
もし、そうだったのなら……ヴァナータ、相当のバッキャブルね!!
まあ要するに、傷心の少女を洗脳して可愛い手を真っ赤に染めさせた男を書いたやつに言える言葉じゃねー!
- 77二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:39:45
俺はドフラミンゴが情のある振る舞いをしていてホっとした勢なので、
今回のSSはとても見ごたえありました。いつもありがとうございます。 - 78二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:44:25
- 79二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:46:29
この世界のドレスローザ編作中屈指の人気エピソードになってそう
- 80二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:48:43
多分都合が良すぎるとか言われてない
- 81二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 21:53:58
ウマムスメ多いねって事くらいか、まあみんな濃いメンツだしセーフよな
- 82二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:03:19
ホーディとナックラーSSが出来たんで上げてもいいっすか?
- 83二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:03:54
今夜は豪華だねぇ来てくれ
- 84二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:04:54
許可がでたので行っきまーす。
──魚人街、ノア近海にて一人の魚人が泳ぐ。
その男は、かつてウマ娘たちの楽園にて非道の限りを尽くしてきた魚人、ヴィ・ナックラー。しかし、一年前にトレセン諸島から釈放され、ジンベエより”ある人物”の一生を聞き、これまでの狼藉を深く後悔し、以来ネプチューン軍の兵士として魚人島の平和を守る防人となった男である。
(──胸騒ぎがする。ここしばらくの不自然なほど減少した海賊どもの入国、それに比例するように増加した沈没船の目撃情報。 なら、答えはただ一つだ……ッ!?)
「ハチさん!?」
海流に流され、全身に矢の刺さったタコの魚人──かつて己の憧れた海賊団の一員、ハチ。実力者である彼の惨状に胸騒ぎが確信に変わる。
「どうしたんでい!? アンタほどの男が……まさかホーディの野郎が……!?」
「……ニュ~……ナックラーか……おれのことはいい……早く、アイツを……ホーディを止めてくれェ……!」
「だ、だが……アンタのこの姿をみて何もしねェってのは」
「いいから早くしろ! ……おれのことは、気にするな……!! お前なら、ホーディの兄貴分だったお前なら……可能性が……!!」
「……わかりやした。おれが戻ってくるまで無事でいてくだせぇ!!」
ハチさんを助けたい気持ちを押し殺し、己の役割を……弟分である魚人、ホーディを止めるべく方舟・ノアへと急行する。 - 85二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:05:56
──ノア、船内
新魚人海賊団とフライング海賊団。2つの魚人率いる海賊団が手を組み──竜宮城へと乗り込む算段をつけた時。
「ホーディ~~~~!!!! キサマァ、何をしているゥ!!?」
「……あぁ、アンタか。ナックラーのアニキ!」
怒髪天を衝くが如く、全身を怒りで震わせるウマヅラハギの魚人、ヴィ・ナックラー。
新手に警戒するデッケンを手で制し、冷淡な眼差しをナックラーへと向けるホーディ。
「何をしているのかって? 昔、アンタと語り合った時に言ったはずだが?」
「……っ、バカが……! 世界も知らねぇ井の中の蛙に捕れるほど、この国は甘くねェ! いい加減現実ってやつを見ろい!」
逸る拳を抑え込み、説得を試みるナックラー。もう、暴力だけで解決できるほど世界が単純でないことを知った男は、過ちを犯そうとする弟分に言葉をかける。
「……現実、ねぇ。おれはこの上なくこの魚人島の”現実”ってやつを見ているぜ。──この腑抜けきった魚人島をよォ!!」
「っ、バカな事を……一年前におれが言った言葉をもう忘れたんでい!?」
「忘れてなんかいねぇさ! あんなにイカしていたアニキが、腑抜けきった姿で帰ってきた時の事は特に忘れてなんかいねぇさ! ……あの淫売な種族である”ウマムスメ族”を滅ぼさんと飛び出た時はあんなにカッコよかったってのによォ……。アンタには失望したよ……ナックラー!」
「ほざけぃ! 世界に歩み寄ろうと努力する彼女らの努力の尊さを、なぜ一度も出会ったことも、言葉も交わしたことのねぇ貴様が否定できる!? お前は、お前たちはオレの過ちから何一つとて学んじゃいねぇ!!」
振り下ろす拳、その拳圧だけで床に罅割れが走る。もう、言葉では解決できぬと魚人空手の構えを取る。
「……そうかい。なら、もう交わす言葉は必要ねぇよな……?」
「ああ、お前らはこのおれが直々にブチのめす……! そうしなくちゃアイツラに、タイガーさんに顔向け出来ねぇ!!」
床が砕けるほどに踏みしめて、弾丸の如くホーディへと殴りかかる。
古ぼけたソファから立ち上がり、なんの構えも取らず、ホーディはただフヌケた男を見下す。
- 86二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:06:35
(身体能力は兎も角、魚人空手の腕前はおれの方が上! 一撃でも入れられれば後は──!)
「ハァ、鈍っちいぜアニキ……」
「っ、なに!?」
破門にされたとは言え免許皆伝かつ師範代に並ぶ魚人空手を、ホーディは欠伸をしながら掴み取る。
実力はたしかにナックラーの方が上、順当に殴り合えば勝つのはナックラー。しかし、ホーディが己の拳を容易く掴み取った事実。ナックラーの脳裏に一つの薬剤がよぎる。
「まさかエネルギー・ステロイド……量産に成功していたというのか!?」
「ああそうだ……! おれたちには既にこの国の首を取る算段をつけた、後はそれを実行するのみ……もうアンタに止められようなおれじゃあねぇんだよ……! 粗鮫!!」
「グォアアアア!!? ……ッ、なんだこの力は!? 以前とは、まるで違う!」
「そうさ、寿命こそ縮めるもののその効果は絶大……! こうしてアンタをしがにかけねぇほどおれたちは強くなったのさ! てめェらやっちまえ!!」
「っ、貴様ら……良いだろう、おれの怖さをお前らに刻み込んでやるゥ! ウォオオオオオオ!!!!」
- 87二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:06:53
──数時間後、魚人島”サンゴか丘”……
霊験あらたかなアクセサリー(贋作)を身に付け、途方に暮れるウマ娘、麦わらの一味の占い師であるマチカネフクキタル。
「むぅ……参りましたねぇ。シャーリーさんはご乱心の様子、それ故か私は魚人の皆さんに狙われてしまい、さらにはサンジさんたちとははぐれてしまいましたし……(キャー!)む、向こうに何かある様子。とりあえず行ってみましょう」
なんとなく、事態が進展する、なんて予感を感じながら人だかりへと走ると……
「おい、こいつって最近ネプチューン軍に入隊したやつじゃ……!?」
「と、兎に角病院に運ばないと! 医者を呼んできて!」
「はいはい、失礼しますよ~私の占いで救えるの、で……あれ、ば……!?」
人だかりの中央、そこにいたのはかつて故郷を荒らした敵……ウマヅラハギの魚人、ナックラー。
「っ……! どうして、貴方がここに!?」
「う、うぅ……この声は……アンタか……っ、すまねぇ……早く、この島から出ていくんだ……!」
「……事情は分かりませんが、このただならない様子は……(おーいフクキタル~! どこだ~!)──チョッパーさんの声……っ、少し揺れますが我慢してください」
「て、てめェ何を!?」
「貴方を助けておけば、なにか良いことがありそうなので……勝手に死なないでくださいね?
──チョッパーさぁん! ここですよぉ~!」
揺れる身体。傷が痛むがこの程度、あの日己が犯した過ちに比べれば、あまりにも矮小すぎる自業自得。
(すまねぇ……すまねぇ! 本当に、おれたちはバカで……愚かだ……!!)
ただ、ナックラーは己の犯した過ち……本当の罪を自覚し、それを謝罪するしかなかった。
- 88二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:09:19
- 89二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:11:42
いいっすね、改心して出てくる悪人もこうやって出てくると好きになっちゃうタイプなのよね僕
- 90二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:12:17
今夜はなんか豪勢だな……良いぞ……
- 91二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:12:52
ええやん
なんかこうなるとキョーシのその後も読みたくなってきた - 92二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:16:42
投下乙です!
改心した悪役の再登場はいいもんですね… - 93二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:28:10
絶対扉絵連載
- 94二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:32:10
- 95二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:38:56
実は…マジなんだ
- 96二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:41:34
- 97二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:49:31
このレスは削除されています
- 98二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:50:18
ちなブロワイエの元ネタモンジューさんの獲得金額を現代日本の価値で換算すると大体3億5,300万6,705ベリーってとこかなポンドに直すと2,263,832ポンド
- 99二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:54:44
ブロワイエならアニメ一期のラスボスだし、懸賞金以上に強くてもいいと思うが。
まあ、この辺りはブロワイエの役どころ次第ではあるな。 - 100二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 22:56:58
- 101二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:01:05
いい物語は健康に良い
- 102二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:01:22
正直麦わらの一味の懸賞金はそんな参考にならん気がする……
- 103二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:02:00
- 104二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:06:31
- 105二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:08:39
海外勢との獲得賞金格差は日本の平均レース賞金が高過ぎる
- 106二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:08:46
- 107二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:09:23
ジンベエ曰く、3億からは懸賞金額はなかなか上がらないって話らしいから、
そこまでいくと、単純な戦闘力よりも海軍や世界政府、市民に対しての脅威度が主軸になっていくのかなぁ。
単純に強い方が脅威度高いのは間違いないんだけど、やらかした事の内容のが問題になるというか…
そう思うと賞金が高い=強いとは限らない事も多そうだし、色々キャラの賞金額と照らし合わせつつ考えると、
色々なアイディアだせそうだなーって。 - 108二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:09:54
まあね、まあ正直いい感じの出し方は思いつかんから一時撤退で
- 109二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:10:18
まあ強さ議論はほどほどにしてね?
トレセン諸島、オペラオーなどなどこのスレで度々強さ議論はされてきましたが、結局はフクキタルが鳴くなどロクでもない結末になりがちだからね - 110二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:10:33
近い金額のキャラはダイフクやオーブン、アプーやホーキンス、キャベンディッシュなんかか
- 111二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:11:32
3億そこいらから四皇配下でもそれなりの地地位になる感じかな?
- 112二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:11:44
- 113二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:11:59
おもちゃ化
- 114二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:12:14
麦わらのルフィ:エニエスロビーを襲撃・破壊
インペルダウンを襲撃し集団脱獄を先導
頂上戦争が行われるマリンフォードで大立ち回り、後日再度侵入し挑発行為
ヤベーぞこいつ!! - 115二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:12:23
強さの方は別にしても、何かしらの大きな組織のボスとか、
結構な大事件に関わっていたとか、そういう感じの設定を組み込んでも面白いかもしれない。
政府が隠ぺいした事件が結構あるという話だし、色々盛れそうだなーって。 - 116二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:14:06
ライスとか最低限の白兵戦能力はあるにしたって単純な戦闘力で7億届くまで行くか?ってなるしな
要人暗殺に最適な能力ありきなら世界政府から見た驚異度込みで納得いきそうだけど - 117二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:14:07
本家と違って曇ったりする必要がねえからな
- 118二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:14:17
世界を滅ぼす云々言われたバーンディ・ワールドが当初2億、脱獄後に5億か。
そこら辺も参考に出来るかも。 - 119二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:14:52
このレスは削除されています
- 120二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:15:17
- 121二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:15:36
ロブロイだわ誤字った
- 122二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:18:33
ライスに関してはドフラミンゴと深い関係だったと見られてるっていうのも重要じゃないかなと思ってる
こう、この辺まだ明かされてないけど盛れる理由は作れそう - 123二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:19:49
ドフィは国宝(ヤバいらしい)の存在を知っているからなー
ローへの嫌がらせに、ライスにちょっと言っちゃったわメンゴとか獄中でほざいたりとか? - 124二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:19:51
まあライスに関しちゃ今後もローと一緒に出番あるし焦らなくてもいいさ
- 125二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:22:17
- 126二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:23:27
まあ例えば本編カワカミに送られた手紙に「自分勝手最低なお姫様」みたいのがあるけど海賊なんだから自分勝手に決まってるだろ!で終わっちゃうしな
- 127二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:23:31
- 128二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:24:08
これを見ると本家も天竜人殴って懸賞金稼いでるんだな
- 129二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:24:29
- 130二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:25:44
- 131二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:25:55
- 132二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:26:54
- 133二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:27:49
- 134二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:28:21
- 135二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:29:00
- 136二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:31:06
100スレ越えてるししゃーないよ……ゆっくり存在しない記憶を高めていこう……
- 137二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:31:15
解説してやろう、わかんねえ事を言いな
- 138二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:35:11
過去にクロコダイルみたいな計画立てた奴がいてそれに参加してたとか海軍の艦隊潰して逃げたとか億越え複数のいる海賊団を単身で全滅させたとかそのくらいやらかさないと到達しなさそうな額
- 139二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:37:57
ロブロイはあれだ、オハラみたいな古代研究してる島や学者を守るためにバスターコール返り討ちにしたとかそういう
- 140二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:40:07
バスターコールって返り討ちにできるようなもんやないんや…仮にカタクリでも無理だと思う
- 141二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:43:30
ゼンノロブロイの噂
所在不明のロードポーネグリフを発見し、その写しを所持しているらしい。
この噂を聞きつけたマムやカイドウの部下や海軍をマーベラスサンデーと一緒に返り討ちにして懸賞金が上がるとかどうかな - 142二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:45:27
海外レースや特別報奨金を含めると13億超えになるらしい
- 143二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:46:30
- 144二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:46:47
ロブロイの年齢設定が何歳って感じだったか忘れたから、すっごい雑な考えになるんだけど…
古代兵器復活をもくろむ海賊や組織がロブロイをめぐって大規模な戦争を起こして、
その余波で凄い数の街や島が巻き込まれて壊滅した事件があって、
結局その事件はドンパチやった連中が全員共倒れした事で幕引きになって、
それが起きた原因をロブロイになすり付けて、ONLY ALIVEで懸賞金をかけた…とか?
事件の詳細は隠ぺいしたんだけど、事件が起きた事自体は隠せなかったから、
「ロブロイが何かした」みたいな情報だけ流してやってる感じ。
こう…『凶悪な海賊団や犯罪組織を扇動し、周囲に壊滅的な被害を与えた危険な活動家』って感じかな? - 145二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:48:36
- 146二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:48:48
むしろロブロイが何処に出て来るかだよな
この賞金額だと、下手したらラフテルに住んでるんじゃないか? - 147二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:51:36
- 148二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:52:45
その辺でも2、3人で来たらやばそうやな
- 149二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:53:23
マーベラスサンデーが同行してるとなると追手の記憶をマーベラス☆してそうだから
噂はあっても居場所が全く掴めないとかもありそう - 150二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:53:24
このレスは削除されています
- 151二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:55:48
- 152二次元好きの匿名さん21/10/30(土) 23:58:34
- 153二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:00:53
すっごい悲惨な人生を送っている可能性もあるし、
早い段階でマーベラスと巡り会って、それなりに救われていたりするかもしれない。
そんな感じでふわっと考えていたりします。
多分、ロビンとは考古学や歴史だけじゃない部分で話が合ったりするのかなーって…
- 154二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:03:40
オハラと関わりがあるとするとロブロイはロビンと同い年か少し上くらいか
- 155二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:04:57
- 156二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:10:00
まあロビン並って感じか?ロビンもブラックマリア以上はあるし
- 157二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:11:53
単純に強くもあるから生半可な追手だと返り討ちにあうし、さりとて大々的に強力な追手を仕向けようとすると、
他の勢力が気づいてそうはさせぬと妨害にやってきたり、新しい勢力がロブロイの価値に気が付くかもしれない…
そんな感じでめっちゃ面倒なポジションを維持し続けた結果、その賞金額になってる…とかかな?
- 158二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:17:55
あとは強力な悪魔の実の能力者でそれの危険性も上乗せされてるとかか
- 159二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:34:16
このレスは削除されています
- 160二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:34:41
- 161二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:35:01
コラさんってダンバトの6月記念アクセサリーで花冠つけられたんだよね
白い薔薇のやつ - 162二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:45:06
- 163二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:46:26
- 164二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:46:49
ウンスはストロングワールドでゲストとして出てた概念もあったな
- 165二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:46:51
また繋がってしまったか……
- 166二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:47:21
- 167二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:50:09
- 168ワンピ未所持ss書き21/10/31(日) 00:53:03
【全ての海兵を育てた男と最後の教え子】
NEO海軍の総帥、ゼットはシェリー酒を片手にいつものように教え子たちの墓参りに訪れると、先客がいることに気付いた。
始めは元海軍大将、青キジことクザンかと思っていたが、どうやら違うようだ。
彼よりもはるかに小柄で、何よりも正義が刻まれた外套を羽織っている。そして何より、その人物の頭に馬の耳が生えている。
「ウマ娘か……」
ゼットは最初の弟子にして元同僚のウマ娘のことを思い返す。
彼女は彼の教え子の墓標に膝をつき、手を合わせている。
酒も花も持っていないあたり、ここに墓があることすら知らなかったのだろう。しかし、そうであっても死者への礼節がしっかりしている彼女の行いに悪い気はせず、むしろ好感を抱いていた。
そう思いながら眺めていると、そのウマ娘はすくっと立ち上がり、ゼットのほうを向いた。
見聞色の覇気だろう。存在には気付いていたようだ。
「ここに来ればゼファーって人に会えるって聞いたんですけど、あってますか?」
「……ああ、あっている」
ゼットは自分の孫ほど差のある海軍ウマ娘に昔の名前で呼ばれたことに一瞬面食らったが、何か惹かれるものを感じて否定せず、素直に応えることにした。
少女は安堵の溜息を吐いた。
「よかったぁ……」
「俺に用でもあるのか?」
一応相手は年端のいかぬ少女とはいえ海兵。負けるつもりは毛頭なかったが、念のため心の戦闘準備を完了させる。
しかし、彼女の返答は全く別のものだった。
「えっとですね、ゼファーって人にしごいてもらえって、ルドルフさんが」
「……今ルドルフと言ったか?」
「はい。あたしの師匠です」
「師匠! 師匠か! ふはは! あいつが弟子をとったのか! オレの最初の教え子が教え子を持つようになったとは……久々にいいニュースだ!」
いきなり大声で笑い始めたゼットに少女は困惑している。
「えっと……」
「だがルドルフも見る目があるな。素質は十分以上、怪我もしにくく叩けば叩くだけ伸びる! 将来有望じゃないか」
「ホントですか?!」
「嘘はつかんさ」
そこでゼットはとある若い海軍ウマ娘のことを思い出した。
少し前の新聞に載っていた、昔の自分と似たような戦い方をするウマ娘。
海軍の正義に失望した身ではあるが、若く胸に抱いた正義を信じて前に進もうとする若い海兵を嫌いになることは出来なかった。 - 169ワンピ未所持ss書き21/10/31(日) 00:53:07
そして思い返してみれば、目の前にいるウマ娘と、新聞に載っていたウマ娘が同じ顔をしていることに気付いた。
「お前が『黒王』キタサンブラックか?」
「知っているんですか? なんかとんでもなく大仰な異名を付けてもらってますけど……」
キタサンブラックは照れたように頬を掻いた。
ゼットはそんな彼女を見てふっと微笑む。
「そういうのは大仰な方がいい。多くの人がその名前に安心を覚えるようになるからな。異名に見合う人間になった時、初めて一人前の海兵になる」
「一人前の海兵になる……頑張ります!」
「その意気だ。しごけと言われてきたらしいが、お前は能力者か?」
「はい! ブレブレの実の能力者です」
「ブレブレの実か……止められはしなかったのか? あれは白ひげのグラグラの実と同じく世界を壊す力と称されるもののはずだが」
「ガープさんには止められました。でも、もっと守るための力が欲しかった。足りないと思ったんです」
「破壊の力を守るために……か。悪くない。ならまず前提として、能力に頼りすぎるな」
「頼りすぎるな……」
キタサンブラックが両手から破壊エネルギーの黒い波動を放出し、それを見つめた。
「悪魔の実は確かに強力だ。実によっては食べるだけで前半の海で十分にやっていけるほどにな。だが新世界ではそうはいかない。鍛えられた肉体と技、それがあって初めて能力は真価を発揮する。あくまで能力は添え物と考えろ」
その言葉を聞いて彼女は拳を握り、それと同時に黒い波動も消失する。 - 170ワンピ未所持ss書き21/10/31(日) 00:53:11
これは一日やそこらで成立するものではない。これからもずっと続けていくことが重要な心構えだ。
「武装色と見聞色は使えるな?」
「はい! あと覇王色も使えます!」
「覇王色! 海軍にしては珍しいな。オレが使えたら詳しいことを教えてやれるんだが……仕方がない。俺が最も得意としていた武装色を教えてやる。お前も得意だったはずだな?」
「はい!」
「いい返事だ。お前がどこまで使えるかは分からんが、『鎧を纏う』ようにするのではなく『流す』ように使え」
「流すんですか?」
「ああ。俺も昔は出来たんだがな、衰えるってのは嫌なものだ」
ゼットは懐かしむようにサングラス越しに目を細めた。
しかし、すぐにニヤリと笑みを浮かべ、スマッシャーを構えた。
「何時までここに滞在する?」
「明日の朝には」
「いいだろう! 構えろ! お前が最後の教え子だ、稽古をつけてやる!」
「はい!」
ゼットも多分流桜を使えたはずなので、いずれ使うであろうキタちゃんにそのコツを教えるお話。キタちゃんは相手がゼットだってことは感覚的に理解してるだろうけど、教えてもらっているという義理人情で黙ってるかなって。 - 171二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:56:16
個人的にはゼファーと同年代なの
バ
レ
バ
レ
説推してるけどありだと思ういいssや - 172二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:57:32
強力な悪魔の実…戦闘方面に強いよりも、考古学や歴史方面で強そうな実だとより際立つかな?
『リビリビの実』の復元人間とかはどうだろう?
触れた物をもとあった状態に復元する能力(人間や動物は無理)で、
これを使ってオハラの図書館や、池に沈められた後読めなくなった本を復元しようとしたところを見つかる…とか
- 173二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:57:37
てかZ先生ってほんへ時空だと多分居ないんだよね…
- 174二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:58:15
だからこそ本編でありえんシチュも出来るんや
- 175二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:00:03
- 176二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:03:00
- 177二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:05:04
『黄金世代』の通称がある程度知られていたりするんだったら、
シャッキーさんが11人の超新星について語るところでその名前を出しても面白いかも。
そこでスペも結構名の知れてる人物なんだと、ルフィが初めて知る…みたいな。 - 178二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:10:19
読者視点だと
ロックスターが白ひげのとこに出向いて追い返されたとき
スペとグラスが知り合いなのを知らなくって
マルコとかモブとかが「黄金世代を知らないのか、若けえなぁ」
って言ってるのが初めて黄金世代の単語が出る場面かもね - 179二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:12:34
- 180二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:13:52
- 181二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:14:24
あ、それいいなぁ…自然に意味深な単語が出て来る感じ、すごく良い…!
- 182二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:16:43
なるほどだとすると2年前までは4人とシャンクスで戦争後に諸々バレてあんな奴らも居たのかって感じでエルとバギーも黄金世代に入るみたいな
- 183二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:21:44
前にバギーが四皇になるんじゃないかって考察見たけどそうなるとエルの賞金少なくね?ってなるやん実はフランスでの賞金合わせると大体8億4000万になってすごくいい感じになるんだよね
- 184二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:54:35
- 185二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 08:34:13
おでんはシャンクス達を赤太郎バギ次郎と呼んでたけどスペちゃん達はどう呼ばれるんだろ、スペ子グラ子みたいな形か普通にスペやグラス呼びか
- 186二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 08:58:57
- 187二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 09:47:12
そういやトレセン諸島と女ヶ島と国交があるのなら、余計にレヴェリーが地獄になるな。
- 188二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:14:13
大体ワニくんと41歳のせい
- 189二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:16:54
わりかしマジでオグリン可哀想だな……
- 190二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:17:29
- 191二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:20:00
- 192二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:26:49
ハッピーカムカム!
- 193二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:31:27
人の不幸に(ry
- 194二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:31:28
200ならライスのバストが以下略
- 195二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:33:05
200なら姉キタルとシラオキ様のフクのここが可愛いのコーナー
- 196二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:33:22
200ならナックラーはハンコックに処される
- 197二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:33:44
200ならフクキタルの故郷焼失
- 198二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:34:21
200ならトレセン諸島で麦わらの一味と九蛇海賊団がすれ違う
- 199二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:34:24
200ならスペちゃんがフードァイト
- 200二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:34:51
200ならオグリの食レポ