- 1二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:01:41
12月25日。
街はすっかり赤や緑で彩られている。
そんな中、トレーナーである自分は仕事を休み、かつての担当ウマ娘を待っていた。
「………あっ、いたいた!トレーナーさん!」
元気な、大きな声が耳に届く。
駆け寄ってきたのは、待ち合わせの相手だった。
『…やあ、バンブー。元気だったか?』
「もちろん!健康は大事っスからね!」
『相変わらず君らしくて安心するよ』
そんななんてことないやりとりの後、共に街を歩く。
「いやぁ…懐かしいっスね。トレーナーさん」
『あぁ、本当だな』
歩いていると、一際イルミネーションに彩られた店が見えた。
「あっ!あそこ昔トレーナーさんと行ったレストラン!まだやってるんスね!」
『食べていくか』
「はい!」 - 2二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:01:55
店に入った。
「………変わらないっスね」
『本当だな』
「…こうしてると、昔に戻ったみたいっス!走りたくなってきたなぁ…」
『まずはゆっくりご飯を食べよう』
「っとと、そうっスね!」
適当に注文を済ませ、彼女との会話を楽しむ。
『最近、どうだ?何か困ったこととかないか?』
「大丈夫っス!トレーナーさんは?」
『順調だよ。新しい担当も見つかったし、チームも持てた』
「おぉっ!すごいじゃないっスか!!!」
『………』
それもこれも___
「…トレーナーさん?」
『あぁいや、なんでもないよ』
君が、自分と駆けてくれたから。
なんて、気恥ずかしくて口には出せなかった。
料理が届く。
「おぉっ!美味しそうっスね!」
『本当だな』
「いただきまーす!…美味しいっス!!!」
大盛りの食事を、ものすごいスピードで、しかし美味しそうに平らげてゆく彼女。
『…ふふっ』
「ん?」
みていてこちらも気持ちが良い。やはり彼女は元気をくれる。 - 3二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:02:08
食事を終え、店を出る。
「はぁ…!美味しかったっス!」
『味、昔と変わらなかったな』
「はい!それに、味だけじゃなくて…トレーナーさんも、変わってなくて安心しました!」
『そうか?』
「そうっスよ!」
…それならこちらも嬉しい。
「はぁ…!にしても本当に走りたくなってきたっス!トレーナーさん、行きましょう!」
『えっ?…おわっ!?』
彼女は自分の手を引き、走り出す。
『………い、いくってどこにだーっ!?』
「わかんないっスー!!!ただ、今は走りたいっス!!!」
『…そうだな、走ろうか!』
手を取り合い、彼女の抑え気味のスピードに合わせて自分も走る。
『………あ、雪だ』
「わぁ…!ホワイトクリスマスっスね!!!」
『ロマンチックだな』
しかし自分達にはロマンチックさなど必要ない。
自分達に降り積もろうとする雪は、自分達に触れた瞬間溶けてゆく。
ロマンチックさより、何より。
自分達の象徴であるこの熱の方が心地よい。
あの頃から変わらぬ熱を身に宿しながら、クリスマスの街を行く当てもなく走っていた。 - 4二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:03:06
以上です
お付き合いありがとうございました
バンブーとクリスマス過ごしたい
前作↓
【CP風味注意】イベストのさぁ!ヤエノがさぁ!【SS】|あにまん掲示板「親愛なる強者」って言ってるけど(俺調べで)ヤエノがそう呼ぶのはバンブーだけなんだよね!!!※CP風味注意=====「…私も同じように、親愛なる強者を失ったとしたら…その時、私は___」不意に嫌な光景…bbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:05:37
貴重なバンブーSS助かる
あの頃と変わらない笑顔で素敵な大人の女性になっているのが伝わってくる