【CP現パロ閲注】おとなりの歌姫さま

  • 1スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:30:11

     「お前……ウタか……?」
    「え……?」
    「やっぱりそうだ! 久しぶりだなぁ!」
     土曜日の昼頃だった。隣の部屋に引っ越し業者さんが来ていて。外に出たくなくてぼーっとしていたら、思ったより早く静かになって、じゃあ買い物に行こうかと外に出たんだ。
     隣の部屋の扉が閉まるのと同時に聞こえた声に振りかえってその顔が目に入って、それから、名前を呼ばれたことに気づいたわたしの身体は、はじけるように動いた。
    「……ルフィ……ルフィ……!!!」
     ほとんどぶつかるように飛び込んだ腕の中。そのまま逃がさないように抱きしめる……もう、会えないと思っていた。忘れられていると思っていた、なのに彼は、わたしの名前を呼んだんだ。 
    「ルフィ……また会えて、嬉しいよ」
    「おれもだ! ウタ!!」
    「まさかとなりに引っ越してきたのがルフィだったなんて……ルフィ……」
     まだ離れない。だって今離れたら。
     泣いてるのがバレちゃう。

  • 2スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:31:01

     ルフィをわたしの部屋に上げて、それからお茶を淹れてようやくわたしは落ち着けた。手が震えるし、ちらちらルフィの方見ちゃうし。ふふっ。
     ルフィはと言えば、興味津々な様子でわたしの部屋を眺めていた。
    「あんま人の部屋、じろじろ見るもんじゃないよ」
    「わりっ。ししししっ、しっかしウタとまた会えるなんてなー」
    「うん。ほんとに。ここに引っ越してきたってことはえっと……ルフィはえっと……17歳、ってことは高校生か。もう……早いなぁ」
    「あぁ! ウタは大学生か?」
    「あ……う……うん。そうだよ」
    「そっか……ししししっ。あちち」
    「慌てて飲むからだよ。お菓子もいる? クッキーだけど」
    「お、サンキュー」
     高校、か……今行ったら、ルフィと同じクラスになれるかもね。でも……。

  • 3スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:32:04

     夕飯を作りながらふと思う。
    「……んー……そうだ!」
     ルフィ、引っ越しの片付けで大変だよね! だったら。
     ピンポーン。
    「お? おーウタ、どうした」
    「ルフィ、ご飯どうする予定だった? 良かったら一緒に食べない?」
    「お! ちょうどどうしようか考えてたところだったんだ!」
    「よかった。じゃあ、もう作ってあるから、うちに来なよ……あれ? 引っ越しの片付け終わったの?」
    「ん? あぁ!」
    「へー、ちょっと上がって良い?」
    「良いぞ!」
    「やった」
     んで、入ってみたは良いんだけど。
    「すっごい殺風景だね」
     朝に来た引っ越し業者さんがそのまま午前中には帰っていたのが納得だわ。
     リビングにはテーブルどころか椅子もない。ソファーもない。布団が敷いてあって、モニターとゲーム機があるだけ。あと、やけに立派なパソコンがある。
    「ん? どうした?」
    「ルフィってゲームするんだっけ?」
    「あぁ! 結構やるぞ!」
    「へ、へぇ。あ、段ボール……うわ、本がいっぱい」
    「あー、腹減った。ウタんちで食うか? それとも……」
    「あ、そうだった! ご飯だった。うちで食べよっ、盛り付けるからゆっくり来てねー」
    「おう!」

  • 4スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:32:39

     それから日曜日もわたしとルフィは一緒に過ごした。
     ルフィの部屋でゲームというものを初めてやった。色んなゲームがあった。なんか銃を撃つ奴とか、巨大なモンスターと戦う奴とか。どれもこれもなんかやりつくした感があった。
    「ルフィ、身体動かすの好きだったから、あんまこういうのやらないイメージあった」
    「身体を動かすのも好きだぞ。色んな部活やったからな」
    「へー」
    「まー、どれもやめちまったけどな」
    「へー」
     ルフィと遊んで、ルフィとご飯を食べて。子どもの頃に戻れたようで、楽しかった。
    「しっかしルフィの部屋、ほんとに物ないね。最低限? って感じ」
    「まーな。でもあんま困らねぇぞ。ウタの部屋はなんかキラキラしてたな」
    「わたしの部屋だからね!」
    「ししししっ、ウタらしいな。ウタと言えば……歌は続けてるのか?」
    「うん!」
     だってわたしにはそれしかないもの。
    「夕飯は何が良い?」
    「んー……肉―!!!」
    「あいっかわらずそればっかね」
    「ししししっ。またウタが作ってくれるのか?」
    「うん!」
     たぶん、今日までだよね、こういう日々。

  • 5スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:33:04

     月曜日の夕方。
    「なぁウタ」
    「ん?」
    「ウタとおれ、クラスメイトだったんだな……なんで学校来ねーんだ?」
     あー、バレちゃったか。
    「んーいろいろあったの」
    「そっか」
     ……おわりだね。楽しかったよ、ルフィ。二日間。
    「まぁいいや。今日も飯、一緒に食うのか?」
    「え」
    「食わねぇのか?」
    「あ……うん、たべる」
     相変わらず、優しいな。
     色々聞き出そうとして、学校に行くという発言を引き出そうとして、わたしの反応に困って来なくなった先生やクラスメイトを何人も見てきたんだ。
     でもルフィはすぐに、いつも通りに戻ってくれて。
    「ありがとね、ルフィ」
    「ん? なんの話だ?」
    「なんでも」 
     しばらくは、楽しい日々が、続くんだ。

  • 6スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:34:09

    休日だったのでふと思い立って書いてみたものでした

  • 7二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 18:43:53

    なにか事情があって留年してルフィと同学年になったウタか…… いいですよ、ぜひ続けてください

  • 8スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 18:49:19

     呼び鈴を鳴らす。その日からわたしは。
    「ふわー、どうした、ウタ」
    「おはよ、ルフィ。朝ごはん食べるでしょ、学校行くなら」
    「おー」
    「弁当も作ったんだ。どうかな?」
    「マジで! サンキュー」
     嬉しそうなルフィの顔。明るい。眩しい。
    「ここから学校近いからねぇ、この時間なら多少ゆっくりしても大丈夫だよ。ご飯の用意しておくから、ちゃんと身支度してね」
    「おう……ってマジで早いな。六時半だぞ」
    「えー、部活の朝練してる人ならもっと早く起きてると思うよ。部活してたんだよね?」
    「朝練なー寝坊して怒られてたなぁー」
    「えぇ……」
     やめたというよりクビだったのか……もしかして。と思っていたら。机の上に入部届が束になって置いてあった。
    「ルフィ、これは?」
    「お? なんかよー、色んな部活の顧問から、『君なら即レギュラーだ、ぜひ入部を検討してくれって』もらったんだ」
    「へ、へぇ……」
     なるほど、試合では活躍するタイプか。
    「相変らずだね。どれ入るの?」
    「入らねーよ。やめたんだ」
    「そっか、勿体ない」
    「それよりもやりたいことがあるからな」
    「へぇ……」
     何だろうって思ったけど。
    「うめぇ! ウタ、おまえほんと料理うまいな」
     って言葉で疑問が吹っ飛んじゃう。
    「ふふっ、ありがと」
     それから朝、ルフィを送り出す。送り出すときにルフィの洗濯物だけ回収して。わたしのと一緒に払っちゃう。そこからはいつも通り。
     一日、部屋でぼーっとする。世界に溶け込んでしまえないか、考えながらぼーっとする。

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 18:51:44

    楽しみ

  • 10二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 19:28:20

    何でウタが学校にいかなくなったのか
    ここからルフィとどういう関係になっていくのか
    色々期待

  • 11スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 20:37:49

     目を開けると、夕方だった。
     そろそろ起きて、ルフィの夕飯の準備しないとな。何が良いかなぁ、ルフィ。
     時計を見る。授業終る頃か。そうだ、カレーにしよう。
    『家に帰ったら連絡してね』っと。ふふっ。
     


     んー。おかしいな。
     そろそろ六時になる。部活はいらないならそろそろ帰ってくる頃なのに。
    「まぁ、転校したばかりだしね、クラスメイトに話しかけられてなかなか帰れないんでしょ」
     それに時間をかければカレーも美味しくなるしね。
     ……そろそろ七時になる。……どうしたのかな。
     ピンポーン
    「え?」
     なんだろう。わたしの部屋の呼び鈴なんて。回覧板だってポストに突っ込んでさっさと去ってくれる人がくれるはずだし。
     もしかして……! 
     ドアの覗き穴から覗くと。
    「ルフィ! 遅かったね! どうしたの?」
    「いやー運動部の奴に捕まってよ。負けたら入るって条件で全員倒してきたら遅くなった」
    「そ、そっか……」
    「なんだよウタ、寂しがり屋だなぁ」
    「う、うっさいわねぇ。もう、もうできてるから座ってなさい」
    「おう! サンキューな」
     ルフィは学校であったことを話してくれた。
     もう友達出来たんだ、凄いね。流石ルフィだよ。
    「じゃあ、また明日な」
     自分の部屋に帰って行ってしまう。……なんでだろう。ずっと一人だったのに。
    「いまさら寂しいなんて、言えないよ。シャンクス」

  • 12二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 21:09:55

    文体すごい好みです、続き楽しみ

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 21:41:48

    学校行ってないって…

  • 14スレを建てた二次創作初心者22/12/07(水) 22:54:54

     週末の朝のことだ。
    「そういや今日、友達と遊び行くんだ」
    「へ? ……へぇ」
     ベーコンエッグを乗せた食パンをモグモグしながら、ルフィは。
    「なんか買ってきて欲しいものあったら言えよ。帰りに買ってくるから。毎日飯の世話になってるしな」
    「しょ、食費もらってるから、お礼は、良いよ……」
    「まぁ、急に言われても思いつかないよな。わりぃわりぃ。思いついたら連絡くれ」
    「うん!」
     にししっとルフィは笑う……大人になってるなぁとぼんやりと思う。わたしは……。
    「じゃあ、いってくる」
    「いってらっしゃい」
     部屋の前で見送った。……はぁ。
     いつもと変わらない一日。ルフィのおかげで少しだけ彩りが生まれた一日。
     でも一人になるといやでも痛感する。今までよりも痛感する。わたしは一人でわたしはあの時から立ち止まっている。
     はぁ……1LDKの箱庭がわたしの城。ここで得られる安らぎ。けれど。
    「……寂しいよ」
     誰にも届かないようにひとりで吐き出す。
    「……!」
     目に入ったごみ袋。リビングの隅、カーテンの裏に隠している。中身は覚えている。
    「いい加減、捨てないと」
     そう思いながらわたしは、何回失敗したんだろう。
     過去の栄光なんかに、いつまでも縋りついてさ。

  • 15スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 01:54:19

     目を開けてわたしは反射的に目元を手で拭った。
    「……涙」
     ……覚えてるよ。見てた夢。わたしは逃げたんだ。
     みんなを騙したくなくて。わたしは逃げ出した。わたしは一人、この部屋に閉じこもった。
     わたしはわたしがつくった曲をみんなに届けたいだけなのに、それが許されないのなら、もう、みんなの前で歌わなくて良いんだ。



    「おかえり! ルフィ!」
    「おう! 買ってきたぞ、おりーぶおいる? だったか?」
    「お、ちゃんと買ってきたね。ふふっ、ありがと。じゃあ今日はこれを使わせてもらおう」
    「おう!」
     冷凍のフライドポテトをフライパンに広げてその上にオリーブオイルをかける。あとはじっくり油と水分がある程度飛ぶまで揚げる。最後に塩コショウ。大事なのはすべてのポテトがちゃんと油に浸ること。これが美味しいんだ。
    「ふふん」
    「お、美味そうだな」
    「まだ出来上がってないのに?」
    「あぁ! ウタの料理は美味いからな」
    「そっ、ありがと。じゃあ期待して座っててよ」
    「おう!」
     ……これで良いかもしれない。
     ルフィのことを支える生活。美味しそうに食べるルフィの顔を眺める生活。
    どれくらい振りだろう、こんな充実感を覚えたのは。
     わたしは……。
    「なぁウタ」
    「ん?」
    「……学校、行かねぇか、一緒に」

  • 16二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 02:46:19

    おっと……

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 03:00:10

    拒絶か話し合いか...どっちだ?

  • 18スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 03:11:42

     「え、なんで」
    「学校には行った方が良いと思うぞ、今のウタは……なんつーか、あー、いまのウタ、死んでるみてーな顔してんだよ」
    「……それが、学校に行ったら、改善されるの?」
    「しらね。けど、こんなところに引きこもってるよりは良いだろ。いまのお前、全然たのしそうじゃねーじ」
    「そ、そんなことないよ、ルフィにご飯作るの、楽しいよ! とっても! 今だって! ルフィが美味しいって言ってくれて嬉しい! 今のわたしは、それだけで十分だよ」
    「そう言ってくれるのは嬉しいけどよ、ウタ。じゃあ、おれが卒業した後どうすんだ」
    「え……」
    「なんで高校やめてねーんだ。二年も」
    「そ、それは……」
     ルフィ、あんたは。
    「それ、は」
     あんたは、それを聞かないで。
    「そ……れは……」
     それを聞かないで、いまのわたしを受け入れてくれると思ってたのに。
    「出てって……」
    「いやだ」
    「出てってよ! もう嫌なんだよ! いまのままでいたいんだよ!」
    「ウタ!」
    「ルフィ! え……?」
     ぎゅっと温かい何かに包まれたことに気づいた。わたしを捕まえているのは細いけど逞しいルフィの腕で、ふわっと香ったのは微かな汗の香り。でもその向こうには温かい、太陽の香り。
    「ウタ……話してくれ。頼む……おれ、知ってるんだ。これ、ウタなんだろ」 
     ルフィがポケットから取り出したそれには、確かにわたしが歌の動画を投稿していたチャンネルがあった。

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 03:13:56

    こんな夜中までお疲れ様です

  • 20スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 03:25:46

     「いつから」
    「最初からだ。だからよ、あんま聞こうとは思わなかったんだ」
    「え……」
    「最初はよ、忙しいから学校に行く暇がないって思ったんだ。でもよ、おめー活動休止してたんだな。知らなかった」
    「……二年前なのにね」
    「あぁ。ウタ、おめぇ、動画の中じゃこんなに楽しそうに歌ってるのによ、なんで」
    「うん、そのころは、本当に楽しかった」
     気がつけば、言葉が止まらなかった。フライパンの中ではポテトはどんどん焦げ色が付いていく。
    「でもね」
     

     『君の歌も踊りも演奏技術も素晴らしい。だからこそ、今後は歌と踊りだけに集中して、作詞作曲は他の者に任せるべきではないか? 我らが作曲家も演奏者も確保しよう』

    『君がこれから進む先はそれらを全て一人でやってなお、パフォーマンスのクオリティを維持できるほど、甘い世界ではない』

    『君の今後のためを思って言っているのだ。酷な選択だと思うが、三年もすればわたしの言葉を理解し、先十年は遊んで暮らせるほどの金を手にできる』

    『どうだね? 現に一人で動画投稿していただけで、高校生が得るにはあまりにも大金を手にできている。それを今後は我々、才能を持つ者を売るプロが君を歌と踊りだけに集中できるように環境を整えると言っているのだ、魅力的だとは思わないか?』
     
     ここまでは、正直納得してたんだ。確かに、一人でやる限界は、感じていたんだ。

    『安心したまえ、作詞も作曲も、君の名義にしよう』
     なんで。
    『当然だとも、君は稀代の天才シンガーソングライターとして活動するんだ。どんどん忙しくなっていくだろうが、君が確固たる地位を作り上げ、余裕ができたらまた君が曲を書けば良い。これで噓にはならない』
     なんでファンに嘘をつかなきゃいけないの。
     わたしは気がつけば、目の前の男の頬を叩いてそのまま会社を出ていた。後のことはシャンクスが対応してくれたみたいだ。電話もメールも、結構来ていたんだって。

  • 21スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 03:48:10

     それからだ、わたしの動画が荒れるようになったの。
    「気づいてた? ルフィ、わたしの動画、コメント欄閉鎖されてるの」
    「え? あ、ほんとだ」
    「わたしさ、才能あるって思っててさ。でも、わたしの才能なんて、こんなにも簡単に搔き消せるほど、世の中は厳しいんだって」
     もうわたしは、とてもじゃないけど活動できるような場所が残っていなかった。わたしの活動しているアカウントは徹底的に荒らされた。
    「だからもう、動画活動なんか忘れて普通の高校生になろうと思ってさ、でも……だめだった」
     そもそもわたし、大手の会社に声をかけられるほど有名で……そんなわたしの動画やSNSアカウントが荒れたんだよ。
     気がつけばわたしは学校に行かなくなっていた。
    「わたしの浅はかな対応がいまのわたしの状況を作ったの。わかった? もうわたしの居場所は外に無いの」
    「……ある!」
    「え?」
     思わず顔を上げた。ルフィはそれはもう本気の真剣な目をしていて、目を逸らせなくなって。
    「おれが作る! 学校ではおれの隣にいろ!」
    「で、でも」
    「遠くに行くんじゃねーぞ、守れなくなっから」
    「わ、わたしは……」
     何も言えない。ルフィの言葉、その力に圧されて。だってルフィ、本気で言ってるって、わかるんだもん。
    「居場所がなくなっても作ればいい。歌だってそうだ。……ウタ、おれの夢、聞いてもらって良いか?」
    「うん……ん?」
     あれ、今、ルフィの言葉に深呼吸した時、なんかこう、香ばしい匂いが……。
    「あ。やばい、揚げ過ぎた! ごめん、ルフィ、ちょっと離れて!」
    「え、あ、焦げ」
    「まだ間に合う!」
    「おう!」
    「お皿取って、あとキッチンペーパー!」
    「おう!」

  • 22二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 07:18:05

    いいSSだぁ、保守

  • 23スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 16:25:10

     「それで、ルフィ、ルフィの夢って」
    「あぁ! それはな」
     ポリポリとポテトをかじりながらルフィは。
    「ゲーム作りてぇんだ」
    「へ?」
    「ゲーム作りてぇんだ。さいこうの」
    「ルフィが?」
    「あぁ」
    「なんで?」
    「おれが欲しいからな。どこまでも冒険できるゲーム」
    「どこまでも?」
    「あぁ! んで、ウタ。ゲームには音楽はつきものだ。だからよ、ウタにはBGMとOPとEDを頼んでも良いか?」
    「え……わたしに?」
    「あぁ。ウタ、お前に決めた」
     そこでふと思う。
    「どこまでも冒険できるなら、EDなんでいらなくない?」
    「いるに決まってんだろ。ゲームには終わりはつきものだ」
    「ふーん……」
    「知ってるか? インターネットって現実に置き換えるとめっちゃ広い世界らしいんだ! 冒険し放題だろ!」
    「んー?」
    「ししししっ」
     ルフィの言っていることはよくわからない。けれど。
    「うん」
     今、目の前にいる彼について行っても良い、そんな気がした。

  • 24二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 17:32:36

    ルフィの夢…素晴らしい

  • 25二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 20:18:54

    なるほどそう来たか、流石は別世界の海賊王!考えることが大胆で大きい!

  • 26スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 21:06:28

     「じゃあウタ。明日からよろしくな!」
    「うん!」
     ……こわいな。でも。
     行くって、言っちゃった。
     でも……覚えてる。ルフィは、言ったことは絶対に守る奴だって。 だから。
    「がんばろう」
     ……わたし、一人じゃなくなったよ。
     ひと月に一度、シャンクスに近況をメールする約束になっている。海外を転々として仕事をしているシャンクスは、半年に一度くらいしか帰って来れない。そんな中でもわたしを守ってくれた。感謝してもしきれなくて。
    「……ごめん、シャンクス」
     やっとわたし、外に出られるかも。
     制服にしっかりとアイロンをかけて、持ち物の確認をする。
    「うん」
     多分、大丈夫だ。


     伸びをした。わたしは元々早起きだ。学校行っていない二年の間も意味もなく早寝早起き。
     制服に着替えて隣の部屋の呼び鈴を鳴らす。
    「ルフィ! おはよっ!」
    「お、ウタ。早いな」
     どこかふにゃふにゃな口調で、目元を擦りながらルフィが出てくる。お手本のような寝起き顔。
    「朝ごはん用意するから、身支度してね」
    「おう!」
     それから、朝食をテーブルに並べると、制服に着替えて席に着いたルフィ。そこでふと湧いた疑問をわたしは聞く。
    「ルフィの夢のことなんだけどさ」
    「ん?」
    「インターネット世界が現実より広いって話はなんとなくわかったんだけどさ、それを冒険するってどうするの?」
    「あぁ。そうだなぁ……イメージはできてるんだけどよ、それをどうやって実現するかってなるとよ、わかんねーんだ。だからとりあえずゲームを作ってる。ゲームってのは存在しねーけど確かにある世界を冒険してるだろ。おれのイメージに近い」
    「ふーん」
     ちょっと難しい。インターネットはわたしの中では電気とか水道みたいなもので、それを世界と考えて冒険しようって発想には至れなかったから。
    「インターネットというより仮想現実……あるけどない世界の冒険……」

  • 27二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:12:03

    (お、ワンピ世界か?)

  • 28スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 21:23:05

     そこでわたしは、ビビっと電流が走る。
    「それだー!」
    「ウタ? どうした急にでかい声出して」
    「それだよルフィ! それならわたしも……!」
     あぁ、そうか、わたし。わたし……本当にまだ、何も諦めたくなかったんだ。
    「それならわたしも、また、歌を出せる……」
    「え?」
    「ルフィ! わたし、そのあるけどない世界に、ステージを作りたい……わたしの身体が欲しい。そこで歌いたい!」
     そうだよ、居場所が無いなら作ればいい。その通りだ。
    「ルフィ、わたし、存在するけど存在しない歌手になるよ!」
     わたしが人として活動するから、あんな面倒が起きた。なら、わたしが人じゃなくなれば良い。わたしが人として活動するから、外が怖くなった。
     歌手としてのわたしは消えて、代わりにわたしが魂を吹き込んだ仮想の歌手が生まれる。
    「どうかな?」
    「……要はこれだろ」
    「あれ?」
     ルフィがスマホの画面を見せてくる。そこには3Dモデルや2Dモデルを駆使して画面の中で話したりパフォーマンスしたりしている美麗なキャラクターが活動していた。
    「同じ事やってるやつはもういるぞ」
    「ありゃま」
    「でもそっか……そうだな、誰でもアクセスできる場所にステージがあるってのは良いな……誰でもアクセスできるところにもう一個世界か……ありだな」
    「え? ルフィ、何言ってるの?」
    「ウタ、これよりもすごいことしようぜ」
    「ど、どういうこと?」
    「まずはおれとウタの思考を機械に学ばせるんだ。そしてそれを基に二つの人格を作る」
    「う。うん?」
    「んでもって、インターネットの中に仮想の地球を作る。そこに二つの人格を解き放つんだ。そこで何をするかはこれから決めるがな」
    「えー?」
    「ゲームを作りながらそっちの準備も進めなきゃな」
     ……ルフィがなんか難しいこと言ってそれからご飯をかき込んでいく。
     でも、真っ直ぐだなぁ、迷いがないよ、目に。すごいや。

  • 29スレを建てた二次創作初心者22/12/08(木) 21:27:22

    ……どうしよう、今回は短く終わる予定だったのに、結末がぼくの知らないところにいっちゃった

  • 30二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:32:17

    楽しみに待ってる

  • 31二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:34:04

    よくあることよくあること

  • 32スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 01:56:24

     ルフィとの学校生活は確かに平和だった。
     そもそも、わたしを知っている子がいなかった。当然か。それに二年も静かにしていれば、世間はその頃の情報は覚えていても、その時に感じた感情は忘れるというもの。
     だから、怖がっていたようなことは起きなかった。
    「ルフィ、そういえばわたしの弁当って美味しいの?」
    「美味いぞ、いつもありがとな」
    「今日の夕飯は何が良い?」
    「そうだなー……カレー美味かったなぁ」
    「じゃあカレーだね」
    「良いのか? 学校帰ってからじゃ大変じゃねーか?」
    「圧力鍋使えばそんなに時間かからないよ」
    「そうか、サンキュー」
     なんていつも通り話していると。
    『同棲しているカップルの会話じゃん』
    『え、転校生もう彼女できたの』
    『留年して不登校だった子と付き合い始めて学校に来させるって』
    『ってか本当に噂の歌姫じゃん。実物もめっちゃきれい』
     ……あれ。
    「んー? ねぇルフィ」
    「お?」
    「視線感じない? あと変な会話も聞こえる」
    「気にすんな。おれが守っからよ」
    「そういう問題じゃない気がする」
     まぁ、ルフィが気にしてないなら良いけどさ。
     それにルフィ、話しながらなにやら深く考え込んでいるように見えるし。
    「そうか! いけるかもしれねぇ」
    「何か閃いたの!」
    「あぁ!」

  • 33スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 02:06:49

     その閃いた内容というのを教えてくれたのは、ひと月ほど経ってからになる。
     そのひと月の間に知ったのは、ルフィの頭はかなり良いということだった。そんなイメージなかったんだけどな。直感型というか、単純思考というか、そんなイメージがあったのだが、それがうまい具合に嵌まっている感じがする。問題を聞いた瞬間に答えへの直行便が出ている。
     そのひと月の間、わたしはルフィの指示で質問に答えたり、機械の音声と会話をさせられたりした。仮想空間の中にわたしの分身を作るという要望に応えるためのことだとわかっているからちゃんと協力した。
     そして。
    「ルフィ。できたの?」
    「あぁ……できるはずだ。わりぃな、ゲーム作るって言ってたのによ」
    「いいよ。んで、どういうのなの?」
    「インターネットという情報を通る道に世界を作る種を植えた」
    「は?」
    「要はよ、ずっと情報がやり取りされてるってわけだろ。ならよ、そこに情報を学んで成長する種を植えればよ、世界が勝手に構築されていくってわけだ」
    「ええっと?」
    「インターネット空間を間借りして、そんでもって流れてる情報をのぞき見して学ばせてもらって、成長するんだ。そうすりゃもう一つの世界がいつの間にかできてるって寸法だ」
    「それって、大丈夫なの?」
    「そこはやべぇってところで、成長が止まるようにしてある。あとは、そこにおれとウタの仮想人格を組み込めば」
    「アダムとイブか……」
     ん? ……!!!
    「どうしたウタ、顔あけーぞ」
    「あんたは気にしなくて良い!」
     なんでわたし、ルフィに顔を赤くしているのよ。ったく。

  • 34スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 02:29:10

     「まぁ、あれだ。ただ情報を学んでるだけじゃどういう世界を作るのかって言われてもわからねーだろ。だからよ、そこにおれとウタがいれば、どういう世界を作りたいかってわかるだろ? つまりよ、学んだ情報を基におれとウタが、世界を育てていくってわけだ」
    「なるほどね。どういう世界が育ってるのかって見えるの?」
    「あぁ、おれとウタの人格が毎日報告してくれるようになっているから観測できる。ただの情報の集合体を観測しろって言われても難しいからよ、いずれは育ったデータを回収して、色々調べたいところだがな。いつでも追えるようにしてあるから見失うことはない」
     そう言ってルフィはぱたんと床に倒れ込もうとするから、なんとなく受け止めた。
    「? どうしたウタ」
    「疲れたんでしょ」
    「あぁ。流石にな。難しかったし上手くいくかわからねぇし。疲れたー」
     受け止めたルフィの頭を膝の上に乗せる。
    「お?」
    「サービスよ。二年前なら羨ましがる人も多いかもね」
    「ししししっ、だな」
     そしてルフィは目を閉じた。
    「……ありがとな、ウタのおかげで、可能性が、見えた……これが上手くいけば、おれ、本当に冒険、できるかもしれねぇ」
     ……わたしこそありがとうだよ。
     ルフィと再会するまで、一日がとんでもなく長かったのにこの一か月、本当にあっという間だったもん。


     それからさらに一か月して、変化が起きた。
    「えぇ!」
    「どうしたウタ」
    「これ!」
     それはとある動画、そこには。わたしそっくりの3Dモデルがきらびやかなステージで歌って踊っていたのだ。
    「えー!!!」
     ルフィも驚きの表情を見せる。
    「ど、どうなってるんだ……」

  • 35スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 03:05:27

     ルフィが調べてみると、どうやら世界の種に解き放った人格が、その世界の種の中からアカウントを作って動画活動を開始していたのだ。
    「えっとこれは……わたしが……」
    「かもしれねぇ、ウタの仮想人格も同じことを考えたんだ」
    「な、なるほど……」
     仮想人格のわたしは毎日新曲を投稿し続けた。クオリティに差はあれど、凄いペースだ。さらに。
    『今日はゲストにルフィを呼びました!』
    仮想人格のわたしの後ろからルフィそっくりの身体を手に入れた仮想人格ルフィも動画に登場した。
    『今日はね、一緒にこの山を登るよ』
     と言った仮想わたしの後ろに、突如山が出現する。
     ルフィはその動画をじっと見る。その横顔は思わず見入ってしまうくらい真剣な顔をしていて。そして。
    「……すげぇな……どうにか行けねぇかな」
    「へ?」
    「報告されてるデータの話より、ずっとスゲー」
     目を輝かせたルフィはパソコンの前に座り、そして。
    「……あれ?」 
     と首を傾げた。
    「どうしたの?」
    「いや……アクセスできねぇ……ちがう……処理できねぇ、デカすぎて」
    「えぇ!」
    「こうならねぇようにちゃんと制限してたのに……くそっ」
     と、悔し気な声を漏らし。
    「ね、ねぇ。ルフィ」
    「お?」
    「制限が無意味だとしてさ、でもこれ、確かにインターネット上に存在しているんだよね」
    「あぁ」
    「このまま際限なく成長して行ったら、どうなるのかな」
    「……!」
    「これがデータってことはさ、どこかに保存しなきゃいけないんだよね」
    「いまは、インターネットを空間というか、容器に見立てて、そこを間借りしている。実際は、色んなシステムの小さなバグのフリをして紛れ込んでるんだ。でも……デカくなりすぎてる。もうすぐ、隠れきれなくなる……」
     ルフィの顔はどんどん青ざめていく。ルフィの中では実験のつもりだった。ちゃんと追いかけられるし回収するとも言っていた。けれど、それができなくなった。

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 03:26:54

     仮想人格のわたしの歌動画がまた投稿された。
     その日はわたしは一人で過ごしていた。ルフィが、対応を考えると部屋に籠ってしまったから。
    「……すごいファンが増えてる。生配信もしてるな……すごいな、会話もスムーズだ」
     実際、ニュースサイトではかなり話題になっていて。やはりだが二年前に失踪のような形で活動を休止したわたしが新たな形で再スタートしたかのように騒がれていた。
     だが、どの企業、団体もわたしとの関連は否定している。しかし専門家によればこのクオリティの3Dモデルと仮想のセットを作るにはかなりの費用が必要らしく、どう考えても大企業が後ろにいる、となっている。
     シャンクスからも連絡が来ていた。なんでも、わたしが殴ったプロデューサーから連絡が来たらしい。改めて交渉させてくれと。無視するように頼んでおいた。
    「楽しそうだな」
     本当に楽しそう。のびのびと、仮想空間で楽しそうに歌って踊って、色んな挑戦をしている。たまに出てくるルフィは何でも色んな所に旅に出ているから、たまにしか出てこれないらしい。
     そっか、こっちのルフィは夢叶えているんだ。どこまでも広がっていく世界の最先端を行き続けているんだ。
    「良いな……」
     きっとルフィも、同じこと思うだろうな。
     わたしたちの模造品が、わたしたちの夢を叶えている。叶え続けている。
     そして今、知らないうちに世界のインフラの中でも致命的な部分を、破壊しようとしている。


     「ルフィ」
    「……あぁ、ウタか」
    「どうかな?」
    「分割して圧縮して少しずつ解体しようとしたら、拒否された」
    「そっか。どうなるかな」
    「解体は、無理だ。思いつく方法は全部試した。直接削除も反対のプログラムを埋め込みに行くのも仮想人格に指示して解体させるのも全部な」
    「そっか……」
    「おれ……もう、ダメだ……」

  • 37二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 03:28:38

    デジモンとかロックマンエグゼみたいになってきた

  • 38二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 05:25:44

     カーテンを閉め切り、モニターの明かりだけが頼りの部屋で、ルフィは椅子にもたれかかりそのまま床に崩れ落ちた。
     ルフィの降伏宣言。でもわたしは、不思議と落ち着いていた。
    「そっか……じゃあ、もう受け入れるしかないのかな?」
    「え?」
    「んー。ほら、淘汰できないなら共存共栄! よく聞く話でしょ」
    「だ、だけど……」
    「もうルフィの手に負えないものなんだよ」
    「手に、おえない、か……そうか……」
     そう言ってルフィはキーボードに指を走らせる。
    「? 何するつもり?」
    「リミッターを外す」
    「え?」
    「言っただろ、成長しすぎないように制限をかけてたって」
    「う、うん」
    「もしそれが逆効果だったら……おれはこいつを解き放つ」
    「ど、どういうこと」
    「やるしかねぇ……これでだめなら……おれの負けだ」
     そうしてルフィはエンターキーを叩いた。



     結果として、インターネットが崩壊するという事態は免れたらしい。
     相変わらず大き過ぎて回収はできないし、どういう状態なのか確認はできる状態になったけど膨大な時間がかかるらしい。
     ルフィが言うには、制限のせいでその制限の範囲内に収めようとして情報が圧縮圧縮されてそれが爆弾のような状態になっていたが、制限を外したことでその必要が無くなり、最適化され、インターネット空間に同化しながら広がり続けているらしい。
    「同化とは違うな、置換だな。ただの情報の通り道だったところが、観測はできないが、おれたちの暮らす世界にどんどん置き換わっている。条件と方法さえ確立できれば、インターネット世界に新しくできたもう一つの地球に遊びにいけるようになるはずだ」
     と言っていた。その影響かはわからないけど、わたしの仮想人格の動画更新は止まっていて。そして。ルフィのもとにメールが届いていた。
     そこにはわたしの仮想人格の3Dモデルと撮影の時に使っていた仮想空間のセットのデータが入っていた。

  • 39スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 05:28:26

    完全に予定外の方向に進んで行った第一部完です。SFっぽいの初めてだったけどちゃんと走り抜けられた
    完全に予定外ですが二部構成になりました。次回第二部。では僕は寝る。この展開だけちゃんと決着つけてから布団に入りたかったのだよ

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 05:42:28

    SF系が初めて…だと…?この素晴らしい世界観で…?
    コテハン通りなら貴方様の前作も読了しているが…面白いものを書きすぎやしやせんか…?
    ただただありがとう…二部も期待!それとおやすみなさい

  • 41二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 06:45:05

    創作はファンタジーって言うからね
    どう転ぶかは造り手にも分からぬ

  • 42二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 07:17:28

    読んでて続きを……もっと続きを!って引き込まれる文章でめっちゃ好き
    第二部もお待ちしております

  • 43二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 08:18:45

    何故かな、SAOを思い浮かべてしまった

  • 44二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 08:21:00

    >>43

    ネット世界だったり世界の種だったり人工知能だったり連想するワード多いからな

    凄いわかる

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 12:24:12

    そこは世代の差だな
    自分は.hackだわ

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 12:27:21

    ゲーム自体が制作者からの手から離れて現実世界にまで影響まで及ぼすのは.hackだな おれも

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 18:59:01

    ほしゅばーす

  • 48二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 19:18:51

    面白いって気持ちと怖いって気持ちが両立してる…

  • 49スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 20:06:35

    お仕事の休憩中がてらお送りいたします。たくさんの感想ありがとうございます。書きながら僕の思い浮かべていた作品が大体出ててニヤニヤしてます。

    気づいている方もいらっしゃるようなので、こちら僕が前建てたスレです。お暇な時どうぞ。

    【CP現パロ閲注】ここだけウタが毎週週末の夜|あにまん掲示板 「はい今日も配信していこうと思います。お、コメント欄今日も速いね、どれどれ……えぇ、いきなりそれ聞きたいの? 今日は歌配信なんだけどなぁ……新曲も歌いたいのに。はいはい、例の彼ですね。相変わらず子ど…bbs.animanch.com
  • 50スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 20:29:09

     どんどん広がっていくこの世界にたった二人きりだったけど。ひろがった世界の中で少しずつ人が生まれていく。人間の人格情報なんてこの時代、この世界にはいくらでも転がっている。誰もが自分の存在を発信する時代だから。
    それをもとに人格が構築され生まれる。けれどそれは元の人では無くて、この新しく生まれた世界で生きていくことで人格に『歴史』が蓄積されていくことでまったく別の人格と言えるものに育っていく。 
    物質だって同じだ。例えば水素原子を構成する要素、陽子と電子の数、その構造、動き、それらを全て数値化してデータにして再現できれば。それと同じ要領で酸素も再現できれば、それを組み合わせれば理論上、データの水が完成することになる。
    まぁそんなこと、そもそもがデータの存在であるわたしたちだからこそできること。産みの親がなぜ自分でデータ化して再現せず、世界の種をインターネット上に植え付け情報を学ばせたのか、学ばせた情報を基にわたしたちに世界を作らせたのか。それを考えればわかる。手間が膨大過ぎるのだ。
    「ねぇルフィ」
    「んお?」
    「新しいデータが届いたよ」
    「ふーん。なんだ?」
    「今回の事件について記録したデータみたい。……ファイル名は『笑い話』だってさ」
    「ふーん」
    「ちょうど良いや。わたしたちが最初に作り上げたこの島に保存しておこうか。おまけも追加してさ」
    「おう!」
     彼がこの世界に冒険しに来る日も近いかもしれない。この世界の始まりの場所にして果てのこの島に辿り着いた時は、どんな風に歓迎してあげようかな。

  • 51スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 20:29:59

    あれ、段落の一段落としが消えてる。読みづら。すいません

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:36:19

    笑い話…あっフーン

  • 53スレを建てた二次創作初心者22/12/09(金) 21:18:21

     「できたぞ、ウタ」
    「ほんとっ!」
    「あぁ、この装置を付けてくれ。ウタの動きに合わせて動くはずだ」
    「へぇ……すごっ」
    「しししっ、これでまた活動できるな!」
    「うん!」
     わたしのステージをくれたもう一人のわたしへ。ありがとう。
     気づかれていたんだなぁ、歌いたい。踊りたい。あの時のように。
     キラキラ輝くステージで、わたしの歌をみんなに聞いて欲しくて。
     届けたくて。みんなに。
     それからわたしは活動を本格的に再開した。所謂個人勢として。
     色んな企業から契約のオファーが来ているけど、それらは一律で断っている。
     リアルイベントとか難しそうだけど仕方ない。でも、ルフィが。
    「このステージにみんなが遊びに来れるようにしてやるから安心しろ」
     って言っていた。
     正直、嬉しい。
     いずれは仮想世界と現実世界、どちらも変わらなくなる。とルフィは考えているみたいで。その一環でルフィは拡張現実にも目をつけていたみたいだ。まぁそこは既に専門家がいるし、今回の事件でルフィは仮想世界に潜る方向に絞ったみたいだけど。
     楽しいな。わたしたちだけが世界の秘密を握ってしまったみたいで。
     学校に通いながらわたしたちは、見えない世界に没頭し続ける。


     時折、寝て起きると、今どっちだ? と自分に問いかける。
     現実と仮想が曖昧になって。でも、ルフィが用意してくれた装置を付けてないことで今は現実だと当たり前の事実を確認する。
     ルフィは、どうなんだろう。
     夢が見えるところまできて、それを掴もうと必死に手を伸ばしている。今のルフィにとってこっちの世界は、どうなんだろ。

  • 54スレを建てた二次創作初心者22/12/10(土) 03:01:34

     学校で噂を聞いた。わたしが学校に来てから、ルフィの友達付き合いが悪くなったと言っている。
     友達より彼女を優先するのはわかるけど、それにしてもって感じだった。
     別にルフィが冷たくなったわけじゃないと思う。教室で話しかけれれても楽し気に応対している。けれど。それでも放課後になると。
    「わりっ、帰るわ」
     と言って授業が終わればすぐに、ルフィはわたしと帰る。
     それからルフィは、部屋にこもり、わたしが夕飯に呼びに行くまで部屋にこもって研究をしている。
     時折、わたしは恐ろしい想像に駆られる。今度はルフィが部屋にこもってしまうのではないのかと。そしたらわたしはきっとルフィを引っ張り出すことなく、一緒にこもることを選ぶだろう。
     でもそうなったら、ルフィが今いる世界との繋がりが完全になくなってしまう。
     わたしではルフィをこの世界には繋ぎ留められない。
     だからわたしは勇気を抱えてルフィの部屋の呼び鈴を鳴らし続ける。ルフィが出てくればわたしはまた、ルフィをこの世界に繋ぎとめることができたことになるんだ。



     「ルフィ、その……少し出かけない?」
    「お? どこに?」
     夕食の席でわたしはこう切り出す。わたしの作った唐揚げを頬張るルフィは顔を上げて首を傾げる。
    「あー……景色の良いところ。ほら、最近ずっと悩んでるからさ……」
    「あぁ……気ぃ、使わせちまったな。安心してくれ、もうすぐ方法が見つかりそうなんだ」
    「え?」
    「って言っても、冒険とはいかねぇ。精々のぞき見ができるようになった程度の話だがな」
    「へ、へぇ。で、おでかけ……どこに行こうか」
    「あー……」
     断りそうな雰囲気。でも。だめだ。ルフィをこのままにしてはダメな気がするんだ。

  • 55二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 03:06:22

    こんな夜更けまでお疲れ様です

  • 56二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 11:28:49

    保守

  • 57スレを建てた二次創作初心者22/12/10(土) 16:51:04

    「行こう! ルフィ!」
    「今からか?」
    「うん!」
     とにかく連れ出すんだ、外に。そして。そこで、どうにか……。
     ルフィの手を掴んで立ち上がるが。
    「飯、飯だけは食わせろ!」
    「……! うん!」
    「? なんで嬉しそうなんだ?」
    「んーん。美味しい?」
    「おう、うめぇぞ」
     今のルフィ、前の……明るくて前向きな、子どもっぽいわたしのよく知るルフィに、戻った気がしたから。
    「慌てなくて良いよ。食べ終わったいこっ」
    「おう!」
     大皿二皿分作ったんだけどな、唐揚げ。あっという間になくなっちゃった。


     
     夜の街に繰り出した。温い空気の香りを肺一杯に吸い込んで振り返る。
    「さて、どこに行こうか?」
    「決めてねぇのかよ」
    「勢いで飛び出してからね」
    「胸を張るとこじゃねーぞ」
     まぁでも。夜の街だってきっと楽しいさ。歌い出したくなるくらいには。
    「行こっ」
    「おう!」
     新鮮だな、ルフィの手を掴んで歩き出すなんて。いつもわたしが手を引かれる側だったのに。
    「よしっ、とりあえず景色の良いところに行こ―!」

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 00:46:32

  • 59スレを建てた二次創作初心者22/12/11(日) 02:29:52

    やべ帰宅してから力尽きてた

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 02:31:50

    保守はするのでゆっくり休んでください

  • 61スレを建てた二次創作初心者22/12/11(日) 03:23:52

     景色の良いところ、この時間で。と言われると限られてくる。丘の上の公園とか無いのかな。
     ルフィはあちこちチラチラと視線を巡らせながら隣を歩いている。
     ……わたし、なんでいやだなんて思ったんだろ。ルフィが夢を叶えるの。良いじゃないか、わたしもルフィも夢を叶えて好きに生きる。それで。結果的に今、わたしはルフィのインスピレーションを刺激して。ルフィはわたしに衣装とステージをくれた。
     それで良いじゃないか。あとはお互いの夢に向かって全力で走ればいい。それでいい。それで良いのに。
    「……ルフィ」
    「どうした?」
     そこは夜の公園。なんとなくベンチに座って並んで空を見ていた。月が、眩しかった。
    「ルフィ……いなくなっちゃうの?」
    「おれもウタも、やりたいことがあるからな。いずれはそうなるだろ」
     と、当然のことのように言うんだ。ルフィは。
    「……わたし……いやだよ……」
    「? なにがだよ」
    「ルフィと……離れたくない……ずっと一緒にいたい」
     せっかく再会できた。
     外に、引っ張り出してくれた。
     わたしにまた、歌う場所を用意してくれた。
     二年、ひとりだったんだ、ひとりで、あの部屋でただ眠って起きて眠るだけだったんだ。死んでいたようなものだ。
    「ルフィがいなくなったら、わたし……また!!」
    「ウタ! ……安心しろ。」
     そう言ってルフィは笑う。
    「もし旅に出る時が来ても、帰ってくるからよ。だからよ、ウタ。おれはいやだぞ。ウタがもう歌わないのは。おれ、ウタの歌、好きだから」
    「え……」
    「ウタ……もう、負けんな」
    「ルフィ……」
    「約束しよう……おれとウタは夢を叶える。その時までに離れることになってもまた再会する。それじゃあダメか?」
    「……なら、わたしからも一つ」
    「おう」
    「ルフィ……もっと現実を大切にしてほしい……この世界を、捨てないで……!」

  • 62スレを建てた二次創作初心者22/12/11(日) 03:24:26

    ありがとう今日は寝ます

  • 63二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 04:24:24

    「もっと現実を大切にしてほしい…この世界を捨てないで」というこのセリフは本編のウタを思うとなにか感慨がわいてきます

  • 64二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:09:26

    読んでて引き込まれる……
    かいてくれるの嬉しいけどイッチの体のが大事だからね
    ゆっくりおやすみよ……

  • 65スレを建てた二次創作初心者22/12/11(日) 18:45:10

     「ウタ、どうしたんだよ」
    「ルフィ……わたし、さ……」
     わたしにとってルフィは? ルフィにとってわたしは?
    「ルフィと、ちゃんと学校に行きたい。ルフィともっと色んなところで遊びたい……ルフィにもっとわたしの歌、聞いて欲しい。ルフィと話したい、声を聞きたい。抱きしめたい、触れたい……ダメかな?」
    「え、あ……」
    「向こうの世界……きっと体温はあるよね……でも……人の温かさって、体温だけじゃないと思う……心だよ……大事な心……再現、できるのかな……」
     うん……きっとそうだ。
    「わたしはきっと、仮想世界のわたしを超えられる。だって……」
     わたしはこれから心で、魂で歌う。きっと追いつかせない。わたしの中に歌い続けたいという気持ちがある限り。
    「ルフィ、わたしの心を感じてほしい……」
    「ウタ……」
    「少し、遠回りかもしれないけど……わたし、ルフィとの日々が欲しい」



     ルフィはぼーっと空を見上げている。
     ……あれ、わたしの言ったこと……なんか告白っぽくなかった。……それでも良いかな、ルフィなら。
     気がつけば掴んでいた手。伝わる熱。これは向こうの世界にあるのかな。
    そして。
    「そっか……おれ、ウタに心配させちまったんだな」
    「え?」
    「そうだな、おれ……最近、ちょっと周り、見えてなかったかもな。わりっ」
    「謝って欲しいわけじゃない……ルフィ、わたしとちょっとだけ……二年分……できれば会えなかった時間の分……埋めてほしい」
     そうすればきっとわたしも前を向ける。
     そう、これは後ろ向きに前へ進むための、わたしのお願い。

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 23:08:42

    Hshs

  • 67スレを建てた二次創作初心者22/12/12(月) 03:05:46

     目が覚めると、自分の部屋、見慣れた天井。そして。
    「……ルフィ」
     こうして寝る時は素直になるんだなぁ。少しごわごわの髪を梳くように撫でた。
    「ん? ウタ……?」
    「おはよう、ルフィ。今日はどこに出掛けようか」
    「……ふわぁーっ」
     伸びをしたルフィは。
    「んー……そうだな、んー……思いつかねぇ」
    「そっか。じゃあ今日は喫茶店巡りをしよう! ルフィ、今日はパンケーキを食べまくろう!」
    「おう! いいなそれ!」
     そしてわたしたちは街に繰り出す。
     たまに外に出ていたけど、近くのスーパーやコンビニで済ませていたから。そしてルフィもこっちに越して来たばかりだから。
    「えーっと、こっちかな」
     スマホさまさまである。なかったらそろそろ迷子になってた。
    「そういえばパンケーキ食べまくるのは良いけど、お昼は何食べたい?」
    「んーそうだなー……この辺の食べ放題の店はまだ出禁になってないんだもんな、おれ」
    「え? 食べ放題で出禁ってなにしたの?」
    「いやふつーに飯食ってだけなんだけどよ、食材が無くなったとかで、毎回こんなに食べられるのなら、今回の食事代はいらないから、もう来ないでくれとお願いされた」
    「えー」
    「い、いや、全部じゃねーぞ。来るときは三日前くらいに連絡してくれって店もあってよ」
    「おー良心的」
    「だろっ! おれだって全部に出禁にされたわけじゃねーんだ」
     そうしてわたしたちは色んなパンケーキを食べた。お昼には。
    「ルフィ、本当に食べきれるの?」
    「おう! 当たり前だろ。残すのは失礼だからな」
     と、次々と料理を身体に収めていくのだ……どこに入ってるんだ……? 
    「パンケーキ巡りいけるんだよね?」
    「たりめぇだ、今日はそのために出掛けてるんだからな。そのための腹ごしらえだ」
     と、なんかよくわかんないことを言ってる気がするがまぁいいや。
     そして気がつけば店に並んでいた料理は消え失せ。

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 12:39:30

  • 69スレを建てた二次創作初心者22/12/12(月) 16:53:08

     「はい、次回からは確実に。はい。三日前には予約します」
     と、わたしがペコペコと頭を下げていた。
    「美味かった! ごちそうさまー!」 
     とルフィは呑気に上機嫌にぽんぽんとお腹を叩いている。
    「いやー、食った食った。ウタ、次はどこの店行く?」
    「いや……あんたの食いっぷり見てたらこっちがお腹いっぱい……ってかあんたまだ食うの?」
    「おう! ウタがもう良いなら良いけどよ」
    「んー……少し身体動かしたい。なんか明日からが心配になってきた」
    「よし! 何する!」
    「んー」
     何しようか……。
    「そうだ!」



     「ひぃ、ひぃ、まって、るふぃ、だめ、しぬぅ……ちょっと、もう、だめぇ……」
    「なんだよ、ウタが言い出したことじゃねぇか」
    「そ、それでも……わたし、もう、だめぇ……」
     まさかわたしが。
     ここまで体力が落ちているとは……。
     足元を抜けていくテニスボール。ルフィが打った球だ。
     ルフィの奴。容赦がないんだ。
     シングルコートの間とはいえ、延々と走らされるのはきついんだ。ってかなんで上手いんだよぉ……。
    「いくぞウタ」
    「待って、せめてポーンって山なりのボールに」
     ズドンっ!
     足の間を抜けていくボール。いや、音でわかっただけで見えてないんだ。
    「わりっ、じゃあ、ほれ」
    「あ、そんな感じそんな感じ」
     ……こいつにはもう、体力じゃ敵わないな。うん。

  • 70二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 17:09:32

    2人がデートしてて微笑ましい…!

  • 71二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 22:45:51

    ほし

  • 72スレを建てた二次創作初心者22/12/13(火) 03:19:47

     次の日、わたしはベッドの中で悶えていた。
    「あ、歩けない……腕が、上がらない」
    「ししししっ、普段から運動しねーからだ」
    「背中が、悲鳴を上げてる」
     二年も部屋にこもってれば、こうもなるか……いや、おかしい。なんか体形だけは維持したくて頑張っていたはずだ。
    「普段つかってねー筋肉を急に酷使すればそうなるだろ」
    「……ルフィが頭よさそうなこと言ってる」
    「ししししっ。風呂入ったらストレッチしとけよって言っただろ」
    「したよ! 見てたでしょ!」
    「あぁ、見てた」
    「それでもなったんだよ!」
     ルフィは楽し気に笑いながら。
    「ほぎゃあっ! 足を突かないで!!!」
    「わりぃわりぃ、ほれ、湿布貼ってやるから」
    「うぅ……ごめんね、朝ごはんとお弁当……」
     そう呻いている間にルフィは足に湿布を貼ってくれる。優しくさすられ感じるひんやりとした感触が優しく悲鳴を上げている筋肉に広がっていく。
    「気にすんな。んで、どうするんだ? 今日は休むのか?」
    「……行く」
    「身体中痛いんだろ?」
    「学校行く……ルフィと少しでも、一緒にいたいの」
     そう言ってわたしはどうにか転がるようにベッドから降りつつ立ち上がった。
    「んー……じゃあ、おれと休むか?」
    「へ?」
    「今日は一緒に家で休もう!」
    「い、良いの?」
    「あぁ!」
     ニカっとルフィは笑った。

  • 73スレを建てた二次創作初心者22/12/13(火) 04:47:22

     「あー! 待って、ピヨッた! ルフィ! 粉塵、あー! あ?」
    「お、ダウンしたな」
     ルフィが持ってきたゲーム機で遊ぶ一日。ソファーの上で少し疲れてルフィの膝に頭を預けた。なんか痛みが引いてきた気がする。
    「お昼どうしようか」
    「出前でも取るか?」
    「何が良いかな」
    「ピザだな!」
    「良いね」
     ルフィがネットであっさりと注文。電話を構えてたわたしに。
    「何してんだウタ」
     と言ってきたのでぺしっと頭を軽くたたく。まったく、便利な世の中だ。
     はぁ……楽しいな。
     ルフィとまさかこんな風に過ごせるなんて……勇気、出してよかった。
     でも……ルフィ、一人でいる時どうしてるのかな……やっぱり、頑張ってるのかな、向こうの世界にいくために。
     それを止める権利はわたしは無いし……傍にいて欲しいけど諦めて欲しくない。……わたし、めんどくさいな。
     届いた大きいサイズのピザ二枚とフライドポテトとフライドチキン。コーラを開ける。
    「乾杯!!」
     とルフィが何故か言い出したのでグラスをぶつけた。
     昼間に学校サボって行う宴。わたしたちは笑い合った。
    「お、ウタ、チーズ伸びてるな。よーしおれも!!」
     なんて言ってルフィもマルゲリータに手を伸ばして。
    「あれ……」
    「ルフィ、一口でチーズ全部食べちゃってるじゃ―ん」
    「お、ほんとだ。ししししっ」
     ……こんな日々が、ずっと続けば良いのに。

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 12:02:29

    ん〜ホホエマシ

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 12:38:03

    >>49

    今さらだけど、このスレすごい好きだった!

    またあなたの作品が読めて嬉しいよ!

  • 76スレを建てた二次創作初心者22/12/13(火) 16:53:21

    前作も読んでくれた方に感謝を

  • 77スレを建てた二次創作初心者22/12/13(火) 16:54:06

     「ルフィ」
    「お?」
     夕方にもまだならない。時計を見てもうこんなに時間が経ったんだと思ったけど、まだこんな時間かとも同時に思う。
     いつもよりゆったりとあっという間に流れる時間の中で。
    「わたし、こんな風にずっと過ごしていたいや」と言うけど。
    「確かに今は楽しいけどよー、飽きるぞ」なんてすぐに言われてしまう。
    「そういやウタ、動画作ってねーのか?」
    「んー……」
     作ろうとは思った。歌いたいとも、踊りたいとも。
     ふと目に入ったのは不自然に膨らんだカーテン。その向こうに隠されたごみ袋。
    「わかんなくて」
     歌いたい、そう思った。みんなに歌を届けたい。でも。
    「わたし、歌い方も踊り方も、忘れちゃってる」
    「できてたじゃねーか」
    「みんなに見せようと思ってやると……なんか、違う」
     顔を伏せたわたしの顔を覗き込んでくるルフィ。下から見上げてくる目はどこまでも真っ直ぐ。どこか歪んでいるように見えていた。最近のルフィは。でも。
     変わってなかったんだ、ルフィ……ルフィはルフィだったんだ。自分のやりたいことにひたすら真っ直ぐ。ただ、見え方が。見えてた角度が違っただけで。
     わたしと全然違う。 
     ……いやだな。今のわたしを見られてるの……違うな。
     負けたくない……そうだ。
     そうだね、死んでるのと同じだ。今のわたしも。
     俯いていても時間は止まってくれない。当たり前。
     この部屋で……わたしの箱庭でずっとこうしていても良いと思ったけど。
    「まったく、ルフィはひどい奴だ」
     わたしが俯いていても、ルフィはどんどん進もうとする。待ってはくれない。
     結局のところごちゃごちゃ考えたけど単純だ。
     ルフィの隣にいるには、わたしも歩き続けなきゃいけない。だからわたしはこんなところで足を止めているわけにはいかない。

  • 78二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 23:15:38

    ほしゅ

  • 79スレを建てた二次創作初心者22/12/14(水) 05:28:22

     夜になると大分痛みもマシになっていた。やっぱりどんなに調子悪くても、余程やばい病気でもない限り、ちゃんと栄養とって休むことが大事だ。
     世の中、どんな人にもちゃんと休む時間ってのが必要なんだよきっと。
    「んー」
    「どうしたウタ」
    「うん」
     わたしはカーテンをめくって黒いごみ袋を引っ張り中を開ける。その中にあるのは。わたしの過去の栄光。わたしが過去に出したCDや表彰された時にもらったトロフィーや音楽番組に出た時の記念品。
    「ルフィ、これ、一緒に捨てない?」
    「良いのかよ。勿体ねー」
    「うん、そう思ってた。縋ってた。わたしにも輝いていた時期があるって。でも」
     もう、いらない。 
     わたしは生まれ変わるんだから。
    「わたしはもう、わたしとしては活動しないんだから」



     歌を歌う。
     踊る。そして3Dモデルの動きを確認して投稿する。
     うん……良い感じ。
     わたしの仮想人格はこの怒涛の新曲発表は二年の間に作ってることにしていた。
     それを繰り返して。
     さぁ、はじめよう。
    「ウタ、できたぞ」
    「うん」
     ルフィが作ったアプリはルフィが作った誰でもアクセスできるステージに繋がっている。
     それは。
     スマホを向けた方向がステージになってる。画面に確かにステージがある。
     仮想世界体験版、前に言っていたインターネット上にできた世界を覗き見ることのできるアプリを利用したもの。
     市販されてるVR機器にも対応したバージョンも用意されている。
    「ウタ、見てみろよ。ここがお前の新しいステージだ!」
     ルフィはそう言ってVRゴーグルを貸してくれた。

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 13:33:06

    過去の栄光と決別するウタの決意はすごいと思いました…

  • 81二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 23:24:59

    保しゅ

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 05:57:06

  • 83二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 10:03:47

    ウタの歌なんだから、何度だって何処にだって響くに決まってる
    ちゃんと進んでて偉い

  • 84スレを建てた二次創作初心者22/12/15(木) 13:22:48

     「わ、わぁ」
     手を伸ばすとわたしの手が……付けていない筈の水色のアームカバー……わたしの身体があの3Dモデルに……すごい。
     ここが、わたしのステージ。
     キラキラしてる。
     現実じゃきっとできないような夢のステージ。
    「ここで、歌って良いの? 踊って良いの?」
    「あぁ」
    「ふふっ!」
     あんなに怖かったのに、あんなに不安だったのに。
    「~♪~」
     今は。奏でたくて、歌いたくて、しょうがない!!



     学校にもちゃんと行った。
     少しずつ。少しずつ。
     二年も経てばクラスメイトの間での流行りも全然違くて。
    今の三年生がわたしが不登校になり始めた時の一年生の時の生徒だけどまぁわたしのことなんて有名人としてのわたししか知らなかった。
     ん? なんでそんなことに気づいたのかって?
     わたしがまた時の人になってしまったからだよ。
     とはいってもわたしのバーチャル体が活躍しているという体でやっているから。何とも言い難いけどわたしにしてみれば。
     なんとも言いづらい状況だ。でもこれがわたしの選んだ道だ。
     音楽番組はもちろん、情報番組から出演の依頼があったけれど、やはりかつて生身で活動していたから、わたし本人に来て欲しいという声ばかりで、わたしのいまの身体でという条件を付けると、まぁなんとも。
     最初からこの身体で活動していたならまだしも今はこっちの身体でって言うと。
    「いやいや前は生身でやってたんだから」って感じになる。
     ただ、一部の音楽番組は上に話して用意させますって。
    「さーて、新曲を作ろう」

  • 85二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 13:27:08

    ルフィのステージでウタが歌う
    あなたと最強だな

  • 86スレを建てた二次創作初心者22/12/15(木) 16:45:15

     もう一つ変化があったとすれば、ルフィがわたしの活動を熱心にサポートするようになったことだろう。
    「ウタ、新衣装のモデリングもできたぞ」
    「え、マジ」
    「あぁ! 確認してくれ」
     突然ルフィがわたしに「新しい衣装欲しくないか?」と聞いてきたのでデザインを起こしてみたら作ってくれたのだ。
     気がつけば七月。夏休みも目前。
     ルフィがまたどこか違うところをまた向いている気がした。違うな……自分が向くべき方向がわからなくなってきているように見えたんだ。
    「そういえばルフィ、ゲームはもう良いの?」
    「ん? あぁ、ゲームはできてるぞ。世界の種を作った時の副産物でな。このアプリもそうだ」
    「あぁ……曲、作ろうか? ゲーム用の」
    「え?」
    「せっかく作ったのなら出してみようよ、それ」
    「んーでもなぁ。ウタ、お前の活動あるだろ」
    「とりあえず遊ばせてみてよ」
    「あ、あぁ……」
     どこか微妙な表情を見せたのが気になったが、ルフィはすぐにコントローラーをパソコンに繋いで起動してくれた。
     広がるのはダークな雰囲気の廃城の景色。
    「意外だね、こういうの」
    「世界の種から取り込めたデータがそれだったからな」
    「なるほど。って、モンスター!」
    「ゲームだからな。R1ボタンで普通の攻撃、R2ボタンで強い攻撃、×ボタンで回避、L1でガードだ」
    「急に言われても―!!!」
     わたしが操作したキャラは無惨にもゴリラみたいなモンスターに殴り倒された。

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:44:04

    闇の魂を追い求めそうな死にゲーかな?

  • 88二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 00:50:09

    🙌

  • 89スレを建てた二次創作初心者22/12/16(金) 01:38:26

     「これ付けるとこのキャラを動画撮影の時みたく動かせるぞ」
     そう言ってルフィはVRゴーグルを持ち上げる。
    「え、こわ。やだ」
    「なんだよ臨場感あるぞ。まぁだがよ、これもまだ完成品じゃねぇんだ」
    「どういうこと?」
    「コントローラーで動かせる程度の動きしかできねぇんだ。例えばよ」
     ルフィがVRゴーグルを繋ぎゲームを開始する。そして。
    「ウタ、離れてろよ」
    「うん」
     そしてルフィは先ほどわたしを殴り倒したモンスターの目の前に立ち、攻撃モーションに入ったのを確認して。
    「よっ」
     と言って華麗にバク宙を決めるが、キャラクターにその動きは反映されず棒立ちのまま殴り倒されてしまう。
    「って感じでよ」
     最初から再開し、今度は先ほど教えてくれたガードや攻撃、回避を駆使してゴリラモンスターを斬り倒す。
    「今のおれの技術じゃよ、足りねぇんだ」
    「何が?」
    「自由に冒険するにはよ……これ以上はおれの技術じゃ足りねぇ。世界の種の副産物で覗き見てVRアプリまで作ることはできても、それ以上は無理だ。プログラムで決められた動き以上のことができねぇ」
    「あぁ」
     要は入れても行動に制限がかかってしまうのか。
     ゲームの電源を落としたルフィは、パソコンの画面を指さす。
    「おれのやろうとしていることに興味を持った奴がいてよ、そいつ同い年なんだが医者を目指してるんだ。セントヘレナって奴なんだけどよ」
    「本名?」
    「ちげーよ。おれもニカって名乗ってやってる。そいつが」
     ルフィが指さした部分を覗き込んでみると。
    『これ以上は脳科学の分野だ。脳の電気信号をダイレクトにゲーム上のキャラの動作に変換できれば可能性はある、が、ゲームのためにいちいち脳に電極を埋め込むわけにはいかねぇだろうから……そうだな。おれが協力する、おまえは機械の方を担当しろ』
    「ってな。だからよ、ウタ。向こうに行くのは後回しだ」
     その言葉を聞いたとき安心したのと同時にルフィは着実に、向こうに行く準備をしていることに気づいた。……わたしのところに帰ってくる。そう言ってくれたけどそれ以上に。
     ルフィとのつながりが欲しかった。

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 10:20:55

    技術が足りないとは言っているがすでにとんでもない技術力な気がするぞルフィ

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 17:29:59

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 19:51:01

    SFルフィはわりとインテリなのが似合う

  • 93スレを建てた二次創作初心者22/12/16(金) 21:07:21

     でもまぁ、それがどういう繋がりかと言われるとさっぱりで。
     わたしはルフィとどうなりたいのか。傍にいるにはどうしたら良いのか。
     具体的な方策は湧かなくてでもどうなれば良いのかはわかる。
     人はどこで習うのだろう。人間との関わり方なんて。わたしが知らないだけでどこかで説明会でもあったのだろうか。わたしがサボってた二年の間にとか。
     友達の作り方。
     恋人の作り方。
     人との距離の測り方。
     苦手な人との距離の取り方。
     攻撃してくる人への対処法。
     教えてくれないだけで知りたいことがたくさんある。
     ルフィとは、どれ?
     マンションの廊下。ルフィの部屋の前。
     いつの間にか預けられていた合鍵。「いちいち呼び鈴鳴らすのも面倒だろ、もっとけよ」って言われた覚えがある。
    差し込めば当然のことながらガチャっと扉が開いた。そのことに少しの感動を覚えながら、ドアノブを回した。明かりはついていない。当然だ、ルフィが寝ていそうな時間を選んだのだから。
    時刻は丑三つ時を回ったころ。いつもそのころにルフィは力尽きて眠ってしまう。
    ルフィの寝室。その扉を小さく開いて中の様子を確認して。
    「……ねぇ、ルフィ」
     ……わたし。
     そうだ……。
    「ルフィが離れていくのは、いやだよ」
     ルフィはこの世界で、わたしとずっといるの。
    「わたしの全部あげるから」
     ルフィはわたしのそばに、ずっといて。
    「……? ウタ、何してんだ?」
    「ん? んーなんだろ……」
     ルフィが目を覚ましてもわたしは意外と冷静で。
    「夜這い、かな?」
    「……そうか」
     ルフィも不気味なくらい冷静で。
     手を伸ばすと握ってくれた。

  • 94スレを建てた二次創作初心者22/12/17(土) 04:22:49

     布団を捲るとルフィはズレてわたしの分の場所を作ってくれる。温かい。ルフィの温もりだ。
    「なぁ、ウタ」
    「ん?」
    「おれはよ、夢をあきらめるのは嫌だ」
    「……そう、だよね……」
    「でもよ……嬉しかった。ウタが、そこまでおれのこと、思ってくれててよ。ありがとな」
    「……なんでお礼、言うんだよぉ」
    「ウタ?」
     繋がれたてを両手で包むように。きっとルフィに伝わっている温もり。
    「わたし今、ルフィを……縛ろうとしたような、ものなのに……」
    「かもな……でもよ……それはウタの気持ちを踏みにじって良い理由にはならねぇ。そうだろ? おれはウタに思ってもらえて嬉しいんだ」
     暗闇の中でもルフィが明るく笑っているのがわかった。
     わたしの中に描かれるルフィと歩みたい未来。それはきっとルフィとは違っている。
     そもそもルフィの未来にわたしがいるかわからない。でも。……ぶつかろう。
     いま、わたしと彼で成り立っている隣り合った二つの部屋でできた世界。そこから出て。
     彼が未知も未知なよくわからない世界に行こうとしているなら。
    「ルフィはどうやってさ、向こうの世界に行こうとしているの」
    「身体を送り込むのは不可能だからな。だからよ、ゲームみたく向こうにアバターを用意してよ、そこに意識を繋ぐんだ。身体はこっちで眠っているみたいになる」
    「えっ? どういうこと? え?」
     あれ? わたしが思っているのと、違う?
    「ん? こう、ルフィがパソコンの中に消えていくとか、そういうのじゃないの?」
    「流石に無理だな。肉体のデータ化して保存して取り込むってことだろ。元に戻す方法まで見つけられれば色々できそうだけどよ。宇宙を冒険する時とかによ! ししししっ」
     まだ見ぬ世界に思いをはせたのか楽し気に笑うルフィ。
    「つまり、例えばこの部屋で機械を付けて、意識だけをパソコンに飛ばして、疲れたら戻ってくる感じ?」
    「そういうことだな!」
    「……何だ……」
    「まぁ、色々開発するからよ、もうおれの部屋にある設備だけじゃ足りねぇからこの部屋でってわけにはいかねぇな」
    「そ、それは、そうだよね」
     でも……そっか……。
    「良かった……」

  • 95二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 14:59:01

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 15:01:00

    続き期待保守

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 15:26:05

    ウタワールドで言ったセリフを現実で言うの良いなぁ

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 15:58:23

    これって向こうの世界でバグが起きたらどうなるんだろう...

  • 99二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 21:18:27

    このレスは削除されています

  • 100スレを建てた二次創作初心者22/12/17(土) 22:32:45

    「なぁウタ」
    「ん?」
    「おれ、お前の活動応援するって決めてるからよ。それをほっぽり出すようなことはしねぇよ。だからよ、安心してくれ!」
    「……! うん」
    「ししししっ、おめぇが世界一の……あーなんだ?」
    「歌手?」
    「そう、それだ! おめぇが世界一の歌手になるまで、いや、なっても応援すっからよ」
    「うん……」
    「だからまぁ安心しておれを信じろ」
    「うん」
    「いやー意外と楽しいな、よばい」
    「ん?」
     あれ、ルフィ、もしかして……。
    「いや、これ、夜這い未遂だよ」
    「ん? そうなのか? 夜に部屋に行って楽しく話す奴じゃねーのか?」
    「違う違う」
    「ふーん」
    「……知りたいなら本当に夜這いするよ。じゃあ」
     身体を起こしたわたしはルフィの腕を押さえて覆いかぶさる。少し驚いたように目を見開くけどルフィはニッと笑った。
    「おう、なんか真剣だな。来い」
     ……暗闇に目が慣れてきたな。さっきよりよく見えるや。
    「言ったね。何されても文句言うなよ。それなら。なんであんなパソコンに浸ってるのに……検索とかしないの?」
    「開発するかゲームばっかしてるからな」
    「そう……じゃあわたしがたっぷり、教え込んであげる」
     ネット仕込みの知識だけどね。
     その日わたしはルフィを美味しくいただいた。

  • 101スレを建てた二次創作初心者22/12/17(土) 22:34:10

    IP規制されてて職場でなんもできんかった保守してくれた方感想くれた方ありがとうございました
    三回問い合わせたけど解除されなかった……

  • 102スレを建てた二次創作初心者22/12/18(日) 01:05:30

     ……これって付き合い始めたってことで良いのかな。
     そう考えながら朝食を作る。もう少ししたらルフィを起こしに行かなきゃ。
     ……んー。
     歩き辛い……でもなんか、幸せって思うのは頭がほわほわし過ぎてるかな。
    どうしよう。ルフィの気持ち、確かめたい。
     ……そうだ。今日起こすとき。ふふっ。
    「ん?」
     ぴんぽーん。
    「え?」
     ガチャガチャっと部屋の扉が開く音。これは、ルフィがわたしの部屋の合鍵を使って入ってくる音。律儀に一回呼び鈴鳴らしてから入ってくるんだ、ルフィは。
    「よっ」
    「はやいね、どうしたの?」
    「ん? なんか目ェ覚めちまってな。気がついたらウタがいねぇんだもん」
    「朝ごはん作ってたから。席についてなよ、すぐ用意できるから」
    「そっか、ありがとな」
     ……目覚ましチュー作戦、頓挫。なんでこんな日に限って早起きなのさ! 空気読んでよルフィ!。なんて、無茶な怒りをルフィに視線でぶつけると。
    「どうしたんだよウタ」
     とすぐに気づいてくれる。
    「……えいっ」
     だからわたしはその唇を奪ってやった。マナーに則って目を閉じて。だからルフィがどんな顔をしているかわからないけど。でも優しく抱き留めてくれる腕があった。避けようとも押しのけようともしなかった。
     だからもっと欲しくなる。
    「ぷはっ、はぁ、ねぇ、ルフィ」
     息苦しくなって離れても、それでも聞かずにはいられない。
    「わたしたち、恋人?」
    「んー……よくわからねぇけど」
    「……けど?」
    「ウタは大事だぞ」
     そう言ってニッとルフィは笑った。ルフィの言葉に嘘が無いのはわたしが一番知っているんだ。だから。
    「ん。今はそれで良いよ」
     と、わたしは静かにホッと息を吐いた。

  • 103スレを建てた二次創作初心者22/12/18(日) 04:16:02

     それはもうすぐ期末試験が始まるという頃だ。
    「ねぇルフィ」
    「なんだよ」
    「意外と勉強できるの、やめなよ」
    「なんでだよ」
    「なんでルフィが現代文も古文も漢文も数学も化学も物理も生物も地理も世界史も日本史も政治・経済も倫理も普通にできてるのさ!」
    「そりゃ、全部できなきゃ欲しいもの作れねぇじゃねーか」
    「そんな単純な理屈でできたら誰も苦労しないよ!」
    「掲示板で海外の奴らと議論する時は最低限英語と中国語と、あと最近ドイツ語も覚えたな」「は?」
    「海外の奴らと話すとき、自分の国の歴史くらい覚えてねぇと馬鹿にされるんだよなぁ、あと有名な古典の一説も平気で引用してくるんだよ。仕方ねぇから勉強した」
    「へ、へぇ」
     しみじみとルフィはその掲示板とやらの画面を見せてくるが。
    「うわ、全部英語。……なるほど」
    「って感じでおれは必要だから全部勉強したんだ! やっぱ読む力は大事だしな。自分の国の古典を外国の人に紹介することもあるからな」
     ……そうだった。こいつは、やりたいことのために全力になれるやつだった。
    「ししししっ。ウタ、おれが勉強教えてやる!」
     と言われたは良いものの。
    「ここはこうだろ、だからこうなる!」
     って感じで。
    「いや、それがわからないんだって」
    「んー……なにがわかんねーんだ?」
    「全部」
    「じゃあ一から説明するか」
     って感じでルフィの説明があっさりし過ぎてわたしがついていけなくなって。腰を据えてルフィが一から教え始めると理解できるのだが。というかそこまでいくととても分かりやすいのだが。
     ……これじゃわたし、ルフィの足手まといじゃん。
    「しししっ、ウタ、ちゃんとできたな!」
     でも、ルフィが嬉しそうに褒めてくれるから
    「うん! ルフィのおかげ」
     ちゃんと頑張ろう。夏休み、補習にならないように。

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 10:58:56

    >「意外と勉強できるの、やめなよ」

    理不尽で草

    現パロルフィが勉強できる設定、なんか意外と違和感ないよね

  • 105二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 19:59:23

    このレスは削除されています

  • 106二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 23:44:27

    ほし

  • 107スレを建てた二次創作初心者22/12/19(月) 01:17:09

     テスト期間が終わった。結果待ちではあるけどまぁ頑張れた気がする。
     テスト期間が終わればあとは午前で終わる日々になる。
    「ルフィ、テストの手ごたえは?」
    「んお? 大丈夫だぞ。いつも通りだ!」
    「ルフィのそのいつも通りをわたしは知らないけど……」
     まぁ大丈夫なんだろう。 
    「ん?」
    「どうしたのルフィ?」
    「グルグルのサーバーがダウン? なんだー?」
    「へぇ? あ、ほんとだ、検索しても無理だって」
    「イエーイの方は生きて……あ?」
     ルフィの横顔に焦りの表情が浮かぶ。そして。走り出した。あっという間にわたしを置いてけぼりにする速さで。
    「てっ、まってよルフィ!!」
     慌てて追いかけるがルフィはあっという間にわたしたちの住むマンション、エレベーターも待たずに階段を一気に駆け上がっていく。五階の高さ。
    「うそだろ……もしかして……」
     ルフィが慄く。その画面をわたしは見た覚えがある。
    「……世界の種?」
    「とは正確には違う。育ちインターネット世界と置き換わった新しい地球。そこに大きな変化が生じている」
    「え? どういう?」
    「なんだ……大きな情報体……大きな情報体が、育とうとしている?」
     ルフィが表示された文字列に目を走らせていく。
    「これは……世界の種!?」


     ルフィが言うに、新しい世界の種が生じている。つまりはインターネット世界に置き換わった世界の中に新たに別の世界が生まれようとしているというのだ。
     ルフィは静かに頭を抱え、そして……。
    「行くしかねぇか」
     と言ってVRの器具を付ける。
    「どうするの?」
    「向こうの世界に行って、実際に何が起きてるか確かめる……前とは違う。インターネット全体が世界だ。入ることはどこからだってできる」

  • 108二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 11:54:09

    VR器具付けたせいで戻って来れないみたいな展開にならないといいけど…

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 11:54:52

    >>108

    そんなSAOみたいな…

  • 110スレを建てた二次創作初心者22/12/19(月) 13:12:27

    「あ……ね、ねぇ、ルフィ」
    「お?」
    「それ、ルフィがやらなきゃ、いけないことなの……る、ルフィの他にだって、どうにかしようとしている人は……」
     なんでルフィは、そんなすぐに決められるの? 何でルフィ……焦っているようで、ワクワクしてるの? なんでルフィは飛び込むことを選べるの?
    「ねぇルフィ……聞いてるの! ルフィ!」
    「……わりっ、ウタ」
    「え?」
    「おれ、行くよ! 行かなきゃ行けねぇんだ」
    「待ってろウタ。……安心しろ、約束は守っから」
     そう言ってルフィは機材の準備を終え電源を付けて。ろくな説明もせずに旅立った。
    「あぁ、言い忘れてた。ウタ、勘違いするなよ。普通にこっちでも話しできっから。そんな不安そうな顔するな」
    「あ……うん」
    「よし……そこの画面から見てろ、おれが見ている景色が見えるはずだ」
     そう言われて目を向けたモニタールフィが見ている景色……これって……。
    「海?」
    「みたいだな」
     ここはどこかの島のようで。そしてルフィが振り返ると。
    「……なんだ、これ」
    「え……」
     そこにはあらゆるものが詰まっているように見えた。過去現在未来、あらゆるすべてが情報として。それが少しずつ、少しずつ広がっていく、時間と空間のゆがみになって。
    「インターネット上に突然このサイズの情報が生まれて重くなったんだ」
     世界そのものを作れてしまう情報量の塊が突然現れて、そのせいで……。
    「る、ルフィ、これ、どうするの……ルフィ」
    「……おれが作ったものじゃねぇ。おれが作ったものより、遥かに完成している」
    「え?」
    『正解だよ、ルフィ』
    「! お前は……」
    「え、わたし……?」
    『これはわたしたちが完成させてバックアップとして残したもの……世界はこの『一つの欠片』から作れちゃうの……そして、これを見つけ出した人がいたの、この世界で生まれた人に』
     現れたのはわたしの姿をしたもう一人のわたしだった。

  • 111二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 16:58:07

    SFしてるなー
    続き期待保守

  • 112二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:37:34

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:43:44

    ルフィが知的な発言をしてるの、中々面白いな

  • 114スレを建てた二次創作初心者22/12/20(火) 03:07:01

    おつかれさまです。また職場で使ってるWi-FiがIP規制されてましたわ。
    仕事中でしたが職場の休憩室のテレビを占拠してウタちゃんのライブを観ました。ウタちゃんのクリスマスプレゼントに欲しいものが!!! 私は最強の振り付けが!!! 最後の負け惜しみぃのポーズが!!!
    このSS終わったら二次創作とはおさらばしようかと思っていたのになぁ……おのれウタちゃんめ

  • 115スレを建てた二次創作初心者22/12/20(火) 03:09:00

    まって、文字数オーバーって何? 文字数が多くても投稿できなくなるのか

  • 116スレを建てた二次創作初心者22/12/20(火) 03:10:02

     もう一人のわたしは世界の種に手を伸ばして。けれど触れる直前でバチっと電流が走り弾かれる。
    『その人が欲しがっちゃった、もう一つの世界。でも使い方を間違えた。この世界の中で起動しちゃった。世界の外に植えなきゃいけないのに。そこにアクセスする方法をこの世界の普通の人はまだ確立できてないのに』
    「どうすれば止まる」
    『……止まらない。止められるならわたしやこっちのルフィが止めている……ルフィ、触っちゃダメ! この情報量を直接浴びたら、脳が処理しきれない!』
     もう一人のわたしの警告に首を横に振り、何かを決意したようにルフィは口元を引き締め、世界の種に手を伸ばす。
    『ルフィ!』
    「ルフィ! もう一人のわたしの言うこと聞いて!」
    「意識を直接ここに持ってきてるわけじゃねぇから大丈夫だ。おれの身体も意識も外に置いてある。解体が無理、止めるのも無理。なら……」
    「なら?」
    『どうするつもり?』
    「この世界にオブジェクトとして追加するしかねぇ」
    『どういうこと?』
    「世界を一周するような壁のような高さの山。とんでもなく巨大な生き物が蠢く海域、それでも余った分は空や深海に浮かぶ島にでもすれば良い」
    『そんなこと……』
    「やるしかねぇ。ここは情報の世界であることには変わりねぇはずだろ。できないこともできるはずだ。そしてそうすれば、ここに辿り着く奴も減るだろ? わかってるんだ、この世界の種が起動した時点でもう一つのバックアップが作られて、そこに入ってるんだろ?」
    『うん。オリジナルデータは残すようにしてあるから。この世界が崩壊しそうになった時に使うために。でもこの世界の人に見つけられてしまった……うん、そうだね、ルフィ、ここには簡単に辿り着けないようにする。賛成だよ』
    「よし」
    『おれに任せろ、それは』
    「お、もう一人のおれだな」
     もう一人のわたしの隣に着地した彼はしかし世界の種に目を向けず、その反対側、海の方を見る。
    『こいつは早くどうにかしなきゃならねぇ、じゃねーと』
    『ゼハ、良い感じに育ってるじゃねーの。おれの求めた闇が……』
     船に乗って現れた男は陸に上がると、真っ直ぐにこちらに向かって歩いてくる。
    「なんだ、こいつ……」
    『もうきやがった』
     見上げるようなガタイの男だ……そいつは世界の種『一つの欠片』に手を伸ばす。

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 12:57:19

    最大30行/最大1000文字までなことを教える

  • 118スレを建てた二次創作初心者22/12/20(火) 16:14:54

    >>117

    なるほどありがとう覚えておきます

  • 119スレを建てた二次創作初心者22/12/20(火) 16:15:14

    『高密度の情報の塊……いわばブラックホール! この状態でも十分強力だが、ここから望む情報を取り出せるようになれば、おれは万能と言える存在になる』
    「うそ、まさか」
    「狙いは世界を作ることじゃねぇのか……くっ」
    『やらせねぇよ。そいつはおめぇみたいなやつにわたって良いものじゃねぇ』
    『ゼハ、こんなものを仕舞っておくような物の価値もわからねぇような奴の手に留まり続けるくれぇなら、おれが使ってやるって言ってんだよ』
    『これはよ、可能性なんだ、新しい自由へのな』
     そう言ってもう一人のルフィは黒い稲妻迸る拳を振るい、男を殴り飛ばした。
    『それはもう効かねぇ!!』
    『なら、これならどう?』
    『お、おい、ウタ。それは』
    『大丈夫。本気ではいかない……これは、わたしのファンがわたしに送ってくれた気持ち。その集合、あなたにこの熱量、耐えられる?』
     もう一人のわたしが歌い出す。後ろに影が現れ、そして。
    『おいおいおい、これはやべぇんじゃねーの? ゼハ、ぐあーあちぃ、あちぃ、あちぃ!!!』
    放たれた熱線にのたうち回る男。そして。
    『そのくらいにしておけ、ウタ。それ以上は世界が歪む。よし、ぶっ飛べ!』
     と追いうちの蹴りが炸裂する。天を叩き割り地を揺らすような衝撃が画面越しに伝わってくる。男は天高く飛び上がっていく。しかしそうなりながらも聞こえる声。
    『ゼハ! あぁ、今はお前らの方が圧倒的に強い! だが忘れるな、諦めんぞー!!』
     執念の言葉を残し男は空の点となり消えていった。

  • 120二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 23:13:52

    保しゅ

  • 121スレを建てた二次創作初心者22/12/21(水) 02:33:06

    『よし、さっさと始めるぞ……でもよ、変化し巨大になり続ける情報をオブジェクトに変換して固定するのは賛成だが……おめぇ、それをしちまうともう入って来れねぇかもしれねぇぞ』
    「だろうな」
    「え、どういう……」
    『大きく作り替えることになるから、そっちのルフィが仕込んだマーキング……本来観測できないこの世界を観測するためのマークが消える可能性があるの。わたしたちの作った世界の種には付けてない。二つの世界の種による世界を統合しようとしているのだから、もう見つけられなくなってもおかしくないの』
     という言葉に思わずルフィに振りかえる。行きたいと夢見ていた世界をもう見つけられないという宣告、それに対しルフィはニカっと笑い。
    「大丈夫だ。見つけるから。さっさと始めよう」
    『おう!』
     そして世界は変わっていく。
     世界を二つに分断する壁のような高い大陸が生まれた。
     巨大な魚が悠々と泳ぐ世界を一周するような海域が生まれた。
     空に浮かぶ島が生まれた。
     世界の種を持つルフィ。ルフィはどうしてか触れたんだ、世界の種に。そしてもう一人のルフィ、もう一人のわたしは天を進み少しずつ世界の種をオブジェクトに変換して世界に設置していく。けれど。その途中で。
    「? なんだ?」
    『! これは』
    「世界の種が……それは、実?」
    『わからないけど! ルフィ!……あ!』
     ルフィが抱えていた世界の種が突如バラバラになり世界に散らばっていく。そして。
    「ぐわっ」
     突如画面が暗転し、ルフィがひっくり返った。
    「くそっ、追い出された」
    「えぇ?」
     慌ててパソコンに飛びつくが。しばらくして。
    「……だめだ、アクセスできねぇ」
    「え?」
    「本当に消えたんだな、おれが付けておいたマーカー……」
     そう言ったルフィはニッと笑って。
    「また振り出しだな!」
     そう言ったルフィは椅子に崩れ落ちるように座った。

  • 122二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 12:22:33

    ホジ

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 16:58:01

    今おれは「おー」ってなっている
    「ほっほーう」ともなっている
    続き期待ほっほーしゅ!

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 23:11:47

    保しゅ

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 06:59:34

    保守。

  • 126スレを建てた二次創作初心者22/12/22(木) 15:25:00

     あの事件から一週間たって、わたしたちは夏休みに突入した。
     連日のニュースは今や世界で最も重要なインフラの1つがダウンしかけたという事件で持ち切りだった。
     とはいえど複数の専門家がサイバーテロの可能性を指摘したことで誰かがクビになったとかそういうことが起きていないのが幸いだった。むしろそれを迅速に対応し解決して見せたということで激しく非難し責任を追及する声は比較的小さい。むしろ恐怖の方が大きかった。
     自分が住んでる世界。それが足元から壊されるかもしれない。壊されかけた。その事実が怒りすら覆い潰したんだ。
     そんな中でルフィは。
    「よし、ウタ。できたぞ」
    「ありがとう」
    「そーいやウタ、明日出かけねぇか?」
    「え?」
    「部活の助っ人で試合出たんだよ昨日」
    「うん。大活躍だったんでしょ」
    「おう! そしたらよー、これ、もらったんだ」
    「へぇ」
     それは映画の割引券だった。
    「あとよ、これ」
    と言ってさらに取り出したのは映画館近くのスイーツバイキングの券。
    それぞれ二枚あった。
    「良いものもらったね」
    「だろっ」
    「うん、いいよ」
    「しししっ、何見るか考えとけよ。おれ、そこらへんよくわからねーから」
    「うん」
     今なら確信を持って言える。今のルフィはわたしの前からいなくならない。
     ルフィから熱を感じないんだ……ワクワクしてるって熱を。
     でもわたしは聞けなかった。ルフィにあの世界はどうなっているのかって。

  • 127二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 15:29:26

    なんか現実と仮想空間の境界線がぼやけてきてるな...

  • 128二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 22:39:12

    ほしゅです

  • 129二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 06:04:04

    ほしゅです

  • 130スレを建てた二次創作初心者22/12/23(金) 13:32:40

     「みんなー、ありがとー!!」
     ルフィが用意してくれた最後のライブ演出の花火が仮想空間の空を彩る。
     当日の昼に急に思いついて呟いたら本当に作ってくれちゃったのだ。
     配信を切る。明日はルフィとお出かけだ。早めに寝よう。
    「……あれ、ルフィ、部屋に戻ったのかな。もう」
     どうしようかな……んー、行っちゃえ。
     隣の部屋を訪れる。明かりはまだ点いていた。作業部屋と化しているリビング。覗いてみる。と同時に。
     ドン!!!っという音に肩がビクッとした。そっと扉を開いて覗いてみると、ルフィの拳が床を殴っていた。
    「ちょ、ちょっとルフィ、下の階の人びっくりしちゃうよ」
    「あ……そうだな。ウタ、ライブ終ったのか?」
    「うん。おわったよ。みんなめっちゃ盛り上がってくれたよ」
    「そっか! 良かった」
     めっちゃ早く流れるコメントしか見てないはずなのに、どうしてか声が聞こえてくるくらいに。って。
    「それよりも、さ……ルフィはどうしたの?」
    「……いや、今日は終わりだ。おれはもう寝る」
    「答えになってない」
    「大丈夫だウタ。しししっ。もう一個方法は浮かんでるんだ。ただよ、これは下手に使えねぇやつで時間はかかりそうだがな」
    「そ、そっか……」
     ルフィは諦めていない……違う。
     この感じ、わたしはよく知っている。
     ……だめだよ、ルフィ。
     わたしみたいになっちゃ。
     諦めてるか諦めてないか、どっちつかずのまま、義務感で足を動かしちゃ。
     ゾンビだよ、そんなの。
     ううん。ごめん……自分でも、わからないんだよね。

  • 131二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 23:36:52

  • 132二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 08:56:04

    続き期待保守

  • 133スレを建てた二次創作初心者22/12/24(土) 13:51:37

    すまねぇ車救出したり室外機発掘したり駐車場開拓したり玄関前に道を切り拓いてたら力尽きてた今夜続きどうにか出すぜ

  • 134二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 23:41:56

  • 135スレを建てた二次創作初心者22/12/25(日) 03:40:54

     「ん?」
     朝起きて、少しだけダンスの練習をしておきたくVRの機械を付けたのだけど、少しだけ感覚が違う気がした。
     なんかこう上手く言えないけどすごく馴染んでいる。神経が直結しているような魂に馴染んでいるような。
    「んー」
     なんかこう、動かしてからの微妙なラグが無くなってる気がするな。普段は気にならないくらいのラグだけど、減ったことには気づけるような。
    「んー?」 
     一人だから気づけた。音とダンス、こっちの身体が完璧に反応しても仮想の身体はそうはいかない。でも。
     もうすっかり自分の身体のようで。
     どうしてだろう。わたしが仮想の身体に合わせて少し早く反応しているのか? だとしたら。
     機材を外してスマホのカメラで自分の動きを録画してみるが。
    「うん」
     我ながら完璧だ。体力が殆ど戻ってるなぁ。全然動きが鈍ってない。
    「んー……」
     まぁいっか、より良いものを届けられるなら、それで良いか。

     ルフィと見たのは多分今年一番の話題作になるであろうアニメ映画だった。
    「すごかったなぁ」
    「だね!」
     日本を代表する監督の才能は死んでいない! むしろ進化している! と言わんばかりの作品だった。
     その一年の話題をかっさらった映画を公開してからというもの、新作の度にハードルが跳ね上がっているだろうにしっかりと期待に応えてくる。凄いなぁ。
     満足感そのままにスイーツバイキングに足を踏み入れて。さぁ、食べるぞぉ!

    「追い出されたな」
    「うぅ、パンケーキ……もっと食べたかった」
     空を見上げるとまだ日は高い。
     目的もなく歩き出す。足を止めたくなかったから。
    「なにする?」
    「このまま散歩でも良いぞ」
     ルフィの目は静かだ。
     気がつけば川沿いに出ていた。建物やアスファルトに囲まれた道から気がつけば流れる水とそのわきに土と芝生の台地。青臭さが鼻をくすぐる。

  • 136二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 14:35:54

    パンケーキが足りないウタちゃん可愛いな

  • 137スレを建てた二次創作初心者22/12/25(日) 18:37:05

    「……なんでそんな気落ちしてるの?」
    「気落ち? してねーよ」
    「してるでしょ。わかるよ。ねぇルフィ、良い機会だし、ゲームクリエイターでも目指せば? ルフィくらい色々できれば欲しいって会社もあるでしょ」
    「んなことねーよ。行こうぜ」
    「ルフィ!」
    「わりぃ、ウタ。おれ、見ちまったんだよ、そこに確かに世界があるのを……目指さねーと」
    「……諦めるのなんて簡単じゃん」
    「それ、ウタが言うのか?」
    「っ!」
    「諦めるのはな、簡単じゃねぇんだよ。おめぇが誰よりもわかってるだろ」
    「……なんでだよ。なんでだよ! ルフィ! わたし……わたしは、今のルフィを見ていたくないんだよ!」
    「うるせぇ! おれは絶対にもう一度あの世界に行く! おれはこの目で見た! 諦めるものか!」
    「だったら……だったらなんで! 今こんなところにいるんだよ! 部活の試合なんか助っ人して、なんで中途半端にこっちに居場所作ろうとしているんだよ!」
    「な、なに言ってんだよ、ウタ……」
    「なんでわたしに何一つ相談しないんだよ! なんで急に一人で戦おうとしてんだよ! 散々わたしにも協力させて、わたしの新しいデビューを、活動を手伝って……ふざけんな!」
     手に力が入る。気がつけばルフィの肩を掴んでいた。食い込む指にルフィの顔が少し歪む。
    「ウタ……」
     それでも。ルフィのその死んだ瞳を真っ直ぐに見る。絶対に、逃がさない。
    「わたしたちはずっと一緒にいる……なら……支え合わせてよ……わたしの人生くらい、一緒に賭けてみてよ……ルフィ!」
     視界が滲んでもわたしは目を逸らさない。今のルフィを許さない。
     ルフィはどこまでも真っ直ぐで、どんな荒波にも屈しなくて……向かい風でも押しのけて歩いて見せて。だから!
    「もっとシャキッとしろ!!!」

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 02:21:22

    今度はウタが励ます番ですか
    良いですね

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 13:50:34

    二人で支え合ってるのが最高
    やっぱスレ主さんのss大好きだな

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 23:45:34

    楽しみです、保守

  • 141スレを建てた二次創作初心者22/12/27(火) 05:36:10

     帰り道、ルフィは何も言わないで黙々と歩いて、その背中に静かに続く。その後ろ姿は、心なしか背筋が伸びている気がする。ルフィはわたしの部屋の前には立たない。
    「わりぃ、ウタ」
    「ん?」
    「明日には何か別の方法見つけるからよ」
    「! うん!」
    「ちょっと待っててくれ」
     ルフィはそう言って自分の部屋に入った。
     ……戻ってきた。何も進んでないけどそう確信できた。きっとルフィなら……!
     


     「ここ、は?」
      海が見える。迂闊に身体を動かさないで耳を澄ます。……話し声?
    『余ったデータ、深海に島は無理が無かった?』
    『仕方ねぇだろ。これ以上この世界に歪みを与えるわけにはいかねぇ』
    『そりゃ、巨人に小人に人魚に魚人に……あと何いたっけ……というかあの実、結局何なのかわかった?』
    『わからねーけどよ、手に入った実を解析してわかったのは急に現れた色んな種族と同じだ、憧れから生じる願いだ』
    『ということは……』
    『こういう力があれば良いのに、こういう生き物がいたら良いのに、そんな願い、ネット上にはいくらでも溢れてる』
    『わたしのと同じか。インターネットの向こうにいる人の感情がこの世界では力に変換される』
    『そういうこった。……この世界をどうにか向こうの世界と切り離して独立させねーと、今度はただ存在するだけでインターネットが歪むかもしれねぇ。今はまだちいせぇが置換面積で地球より広くなったらやべーかもしれねぇ』
    『やっぱりそうだよね……』
    『この世界の成り立ちに気づかれねぇようにするシステムも必要だ』
    『自由な冒険を求めて作られた世界で情報統制する方法の話、か』
    『歴史も用意しなきゃな』
    『ルフィ、残念そうだね』
    『……あいつなら、もう一度辿り着いて見せると思うんだがな』
    『……そうだね』
     意識が遠のいていく、浮上していく。
    「……なんだったんだろ」

  • 142二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 10:09:26

    創世神話だねー

  • 143二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 21:59:22

    たのしみ

  • 144二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 06:03:50

    楽しみです

  • 145スレを建てた二次創作初心者22/12/28(水) 16:52:42

     朝食ができるころ、鍵が開く音がして見てみればルフィがノートパソコンを携えて入ってきた。
    「何かわかったの?」
    「あぁ。ウタの3Dモデル送られてきただろ、あと向こうのウタが投稿した動画。それらがどこから来てるのかを辿ったんだ」
    「そんなこと、できたの」
    「できたぞ。そしたらよ、見つけたんだ。入口と言える場所。そこにマーキングができた」
    「じゃあ!」
    「だけどもうおれに権限はない。だから入り込めねぇんだ」
    「え……でも……そうだ」
    「ん?」
     わたしはルフィに全部話した。最近感じた違和感、見た夢。その全部を。
     突拍子のない話。信じてもらえなくても文句は言えない。けれどルフィは真剣な様子で何やら考え込んで。
    「なぁ、ウタ」
    「ん?」
    「ちょっとつけてみてくれねぇか」
     断る理由なんてない。すぐに機材の準備をして。
    「一曲歌ってみてくれ」
    「うん」
     いつも通り、歌って踊って一曲。身体に染みついた全てを全力で表現して見せる。ルフィはじっと何やら考え込んでいるようだ。あの時感じた、妙にしっくりくる感じはそのまま。動作からのわずかなタイムラグを全然感じない。
    「よし」
    「何かわかった?」
    「あぁ……そういうこと、なのか……」
    「どういうこと?」
    「この3Dモデルは向こうのウタが使っていたもので、ウタの人格データも入っている。けれど……どんなにデータを集めてもそれで100%その人を再現できるわけじゃない」
    「えっと……不気味の谷、だっけ?」
    「あぁ。おれはその差はその人の心や観測する側の心の中にあるその人への思いや印象をデータで再現できるかってところにあると思ってる、ってのは置いておいてよ。今、ウタ自身がこの身体を使っているっている。つまり今のウタは外付けの元データって状態だ、その3Dモデルってわけだ」
    「へ、へぇ」
     よくわからないけど、えーっと……。
    「つまりわたしがこれを完成させてるってこと?」
    「あぁ!」

  • 146二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:04:47

    ネット世界の入り口は見つけたけどルフィは鍵を持っていない状態
    ウタが3Dモデルの中に入ることで、ネット世界のウタを完成させることができる
    ウタが3Dモデルに入った状態で振舞えば、ネット世界のウタとして入口を通れる可能性がある、みたいな話?
    全然違うってなったら恥ずかしいなこれ

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 06:25:23

    ほしゅ、

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 17:25:18

    期待

  • 149スレを建てた二次創作初心者22/12/29(木) 18:58:51

    >>146

    合ってます

  • 150スレを建てた二次創作初心者22/12/29(木) 18:59:28

     朝ごはんを食べ終え場所を改めルフィの部屋。
    「ウタなら行けるかもしれねぇ、向こうの世界に!」
    「な、なんで」
    「ウタは向こうの世界でちゃんと生き物として動けるはずだ! 何より向こうのウタが作ったものが送ったものだから紛れ込めるかもしれねぇ」
    「う、うん」
    「何より向こうの世界で生きているウタよりもウタだ。インターネット上に完璧に落とし込めたウタだ。元のデータの世界の種もアクセスを拒否しないはずだ。おれの持ってるアバターじゃおれだと認められないからな。まっ向こうのウタをウタと言って良いのか怪しいけどな!」
    「ウタウタ多いよ……」
    「とにかく、良いか、おれが前に向こうの世界に行った時とは違う。もっと自由に動けるはずだ。ウタが思うままに」
    「ふーん」
    「おれも自分の身体を作れれば良いんだが、どういう仕組みなのかわからねぇ……そもそもこのVR用のコントローラーにそんな機能はねぇ。この3Dモデルのどこかにウタの思考や動きを収集、解析、適応するプログラムが仕込まれていると考えるべきだが解析は難しそうだな」
    「う、うん」
     話はよく分からないけど、ルフィが嬉しそうなのはわかる。そして。
    「おれが誘導する……ウタ、見てきてくれ、変わった世界を!」
    「……うん! わかった。わたし、行くよ!」
     少しだけ、緊張する。誰も知らない世界。ルフィが行ったことがあると言っても、世界はとっくに作り変えられている。何より。
    『世界を切り離して独立させる』
     こんなこと言えるということは……あるけどない。ないけどある。
     少なくとも。
    「もうすぐだ、ウタ。いつでも戻れるようにしてある。目の前に見える光に飛び込んでくれ」
    「うん!」
     こうして陸地に立つ限りではこの世界は確かに存在する場所……リアルだ。
     鼻孔をくすぐる潮の匂いも、聞こえるさざ波も。足元を濡らす海水も。そこに確かにあるものだ。

  • 151スレを建てた二次創作初心者22/12/29(木) 21:05:16

     『よう、ウタだな』
    「! ルフィ」
     声に振り返るとルフィが後ろの森から出てきたところだった。
    『来てくれてよかった。伝えなきゃいけねぇことがあるんだ。あいつ……もう一人のおれ、見てるんだろ』
    「うん!」
    『そうか……なら、おい、もうひとりのおれ。わりぃ、この世界はもう、おめぇらの世界から誰も来れねぇようにすることにした』
    「あ……」
    『このままここで情報を吸い続けたら、この世界はどんどんデカくなってしまいにはおめぇのいる世界に迷惑かけちまう。だからよ、わりぃ』
    「うん……」
    『でもよ、もし来れたら、歓迎してやるっ!』
     そう言ってもう一人のルフィは上を見上げる。
     大きな影が見えたと思ったら空に何やら砲台のようなものが浮いていて。足音に視線を下ろすともう一人のわたしがいて。
    『今からこの世界を独立させるの。これらはね、もしもの時にこの世界を破壊するための防衛機能、でも今からこの世界を切り離すために使う』
    「え……?」
    『空から、陸から、海からの最終兵器だよ。最初はこの世界を壊すつもりだった。そのためのもの作るためのデータも手に入っていた。でも……この世界はすっかり世界として成立するくらいの生き物が存在するようになった』
    『おもしれぇだろ、データでできた存在の筈なのによ、もうすっかり本物だ。それぞれのデータの生き物に、歴史が積み重なってるんだ』
    『ねぇ、もう一人のわたし。……覚えていて。歩んできた歴史が、その人をその人足らしめるんだ。……だからまぁ……頑張ってよ。歩んできた日々を信用してあげて』
     空が燃えている。地の底も海の底のさらに底が燃えている。
     見えないけどわかる。世界がズレていくのを感じる。
    『よし、送り返すか。このままウタを連れていくわけにはいかねぇ』
    『そうだね』
     もう一人のわたしが指を鳴らして、もう一人のルフィが地を叩いた瞬間、わたしの意識が暗転する。弾かれた。ということだけはわかった。

  • 152二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 06:06:24

    ほしゅ、

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 15:23:05

    >>149

    合ってた! よかった!

    あと展開予想してごめんね

  • 154スレを建てた二次創作初心者22/12/30(金) 16:33:13

    >>153

    大丈夫です先の展開を当てられるということはちゃんと組み立てて書いてることが読者に伝わってるってことだと大学時代のゼミの教授に言われたことがありましたので良かったです

  • 155スレを建てた二次創作初心者22/12/30(金) 16:57:58

     遠ざかっていく。意識が、感覚が、海に沈んでいくようだ。目を開けばそこには世界のすべて、過去現在未来あらゆる時間が存在して。そして。
    「ウタ!」
     聞こえた。情報の奔流の向こうから、伸びてくる手が、わたしの手を掴んだ。

     ルフィは、ウタが帰って来た時にくっついていたファイルを開いていた。中には。「記録」が入っていた。

    『これから書くことは世界を切り離したことの余波で文明が一度滅んだ後に起きた出来事だ。こればかりは覚悟していたことだから仕方がない。かなり発達した文明だったが、このままいけばこの世界の正体に辿り着くかもしれなかったから必要な犠牲だ』
    『この世界の時間はそちらの世界の千倍の速さで流れている』
    『起こった出来事を書く前に前提として、おれたちの作った兵器について。場合によってはこの世界を破壊するためにだ。初めに生まれたのはウタが歌で海に放った巨大生物を操る力だ。これは世界を独立させる際、他二つの兵器でつなぎ目を破壊したのち、この世界を引っ張り独立させる役目を担った』
    『他二つ、一つは天から地を焼き払う兵器。これはおれが操作する権限を持っていた。もう一つは海を自由に行き来し島をも吹き飛ばす兵器だ。これはおれたちの普段の移動手段でもある』
    『世界を切り離した後、おれたちはこの世界の神となっていた。太陽の神がおれ、月の神がウタだ。おれたちの間に生まれた子はウタのように翼を持ち、太陽の熱を背中に宿していた。』
    『おれたちは兵器を封印することにした。ウタの海を泳ぐ巨大な生物を操る能力については深海に住む民族、彼らが数の多い地上に住む民族への対抗手段として渡すことにした』
    『その後、世界が必要以上に成長しないための仕組みを作った。それはおれとウタ、そしてそっちの世界のおれたちで作った壁のような大陸と海を泳ぐ巨大な生物たちをそのまま使ったおかげで島々の交流が難しくなったことである程度達成されていた』
    『実際、滅んだ文明の発達スピードは突如出現したそれらによってかなりのペースダウンが確認されていた。今回は文明の初期段階からだ。かなりローペースで発達することになるだろう』
    『今後のことははわからない。現在、各地の代表者たちが協力して発展していこうと集結しようとしているのが確認されている……早くお前の目で見に来い。お前がこの世界を訪れる日を楽しみにしている』

  • 156二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 23:37:31

  • 157二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 06:25:15

  • 158二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 13:40:34

    ちょっと映画のマトリックス感がある話

  • 159二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 17:15:48

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 22:41:21

  • 161スレを建てた二次創作初心者23/01/01(日) 00:59:42

     わたしたちは高校三年生になった。
     あの日以来ルフィは。
    「こうじゃねーな……アプローチの仕方から間違えてるな」
     なんて言ってどこかにある世界を探している。
    「あるけどない……証明はできないが間違いなく存在はしている。存在している以上、どこかに……世界を切り離すってのはどういうことだ……」
     と暇さえあれば悩んでいる。
     いつもは直感的に答えに辿り着けるルフィが、腕を組んでうんうんうなっていた。
     そんな横顔を気がつけば眺めている。
    「ルフィは大学に行くの?」
    「ん? あぁ。行くつもりだ」
    「そっ」
    「ウタはどうすんだ?」
    「わたしも行こうかなって」
     わたしもわたしで悩んでいた。
     段々と窮屈な感じがしてきたんだ。今の活動が……バーチャルの限界を密かに感じていた。いや、違う……わたし個人での活動に、だ。
     大きなイベントをやろうとすると、わたし一人ではどうしても足りないんだ。
     わたしは間違えていたのか、それとも……。
     歩んできた歴史がその人を形作る、か。
    「はぁ」
     でもなぁ……だからと言ってどうしたら良いんだろ。本当にその通りだよ……。わたしのこもり続けた二年……ただ自分の時間を止めていた二年。
     ルフィに現実で生きることを伝えながら空想に心を飛ばしていた。
     ルフィくらい真っ直ぐにどちらかに振り切れれば良いのに。
    「……んー」
    「存在はする。間違いなく。現に現実に影響を及ぼす数値として存在を証明できるほどの量はあったはず……それが完全に観測できない……仮にそれが世界から切り離すという行為なら……? じゃあどこに行ったんだ」
    「……ねぇルフィ。さっきまでわたしたち進路の話してたよね」
    「ん? あぁ、わりっ」
    「もう」

  • 162二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 12:37:44

    ほしほし

  • 163二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 20:27:25

    ちょっと早いけど保守

  • 164二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 08:20:11

  • 165二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 08:20:58

    一日遅れだけどあけおめです
    今年もスレ主の作品が読めるのは嬉しいな
    いつもありがとうございます

  • 166二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 19:08:56

    保守

  • 167スレを建てた二次創作初心者23/01/03(火) 00:10:52

     一日の殆どをルフィの近くで過ごしていたけど、その距離が近づいた気がする。
     ルフィが思索に割く時間が増えたからだ。画面に向き合う時間が減ったから。わたしがルフィに何か作って欲しいと頼むことが減ったことも大きい。
     何か思いつかないとルフィはパソコンに向かわなくなった。
    「なぁ、ウタ」
    「ん?」
    「大学決まったら部屋見にいこーぜ。色々候補あってよ。二人で住むならやっぱ広い方が良いよな」
    「うん。ん?」
    「? どうした?」
    「ううん」
     なんか当たり前のように一緒に住むことになっていた。
     ……わたしたちの関係の名前ってなんだろうな。
     ううん。良いや。わたしたちはこんなんで。
     


     三年生の夏休みは受験勉強に費やされる。
     わたしもとりあえず勉強していた。ルフィに教わりながら……教わりながら……。なんで……。いや、ありがたいんだけどさ。
    「いいか、この公式を使うんだ。さっきのところまで解けるのならこの問題はすぐだぞ」
    「……こんな公式習った覚えないんだけど」
    「そりゃ、おれが作ったからな。覚えておくと便利だぞ」
    「は?」
     はぁ……まぁいいや。
    「ねぇルフィ」
    「んお?」
    「世界って、見つけたの」
    「あぁ」
    「へぇ……えっ! 見つけたの?」
    「見つけたって言うか……あるかもしれねぇ場所が見当ついたというか、もう手元にあるって感じだな」

  • 168二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 09:48:59

    相変わらずルフィの知能が限界突破してる

  • 169スレを建てた二次創作初心者23/01/03(火) 16:57:37

    遅ればせながらあけおめです30日大晦日から仕事続き三が日の最後にお仕事おやすみだったのでニューイヤー振袖ウタちゃんをもらいに行ってきました今パソコンの横に置いてありますが……かわえええ
    紅白も職場の休憩室のテレビを占拠して店を閉めた後バイトの子とウタちゃんのライブ見てました最高でした
    ちなみにこのSSはもうすぐ完結です保守してくれた皆様ありがとうございました冬休みだからか職場で使ってるポケットWi-FiがIP規制連発されてスレ落ちるのでは落ちたら立て直して良いのかと悩みながらヒヤヒヤしていましたが助かりました

  • 170スレを建てた二次創作初心者23/01/03(火) 16:58:09

     ルフィはディスクを一枚取り出し、それをパソコンに読み込ませる。
    「……ゲーム?」
    「あぁ。ストーリーのあるアクションゲームだな」
    「どう、なってるの?」
    「どういう仕組みかわからねーが、圧縮してゲームとしてあの世界のを少しだけ体験できるみたいだ」
    「へ、へぇ」
    「よく見りゃわかるが少しずつデータが変化しているんだ。だけどゲームとして開くとある時点を固定化して抽出された部分で遊べる。あの世界で生きている人の人生はすべてデータ化されて、その中でも劇的な人生を歩んだ人をアバターとして追体験する形みたいだ」
    「ん、んーうん」
    「おれは元データをコピーしてディスクに焼くことで変化を止めた状態にして保存している。元データは今もこの中で表向きはゲームデータとしてアップデートし続けてるんだ」
    「ん? ん。うん」
     首を傾げながらもなんとなく、ほんとーになんとなーく理解した気がする。
    「ま、見た方が早いか! 遊んでみるか?」
    「うん……どうしたら向こうの世界にいけるの?」
    「そーだなーこのデータをフル展開できる容量を持ったやつを用意できりゃいけるかな」
    「……そっか」
    「あとはトラ男と協力して向こうにおれたちの身体と同じように動かせるアバターを作る技術を完成させられれば、いける!」
    「トラ男?」
    「前話しただろ、セントヘレナって名前で掲示板やってたやつ」
    「あぁ!」
    「こないだ初めて通話したんだよ。ウタのアバターの話したら興味持ってよ。詳しい話を聞かせてくれってな!」
     ルフィは楽しそうに笑っている。
     この時ばかりは、そのトラ男って人がうらやましかった。ルフィと対等に夢の話できる人が。
    「完成したらウタも一緒に行こうな!」
    「え?」
    「トラ男が言ってた。ウタのデータのおかげで仮説がいくつか立てられそうだって。ウタのおかげだ! だからよ、一緒に来てくれよ!」
    「……うん!」

  • 171スレを建てた二次創作初心者23/01/03(火) 19:20:55

     「ところでさ、元データの方で遊べたりするの?」
    「んーあんまおすすめはしねぇな」
     ルフィのパソコンの中に入っているという元データ。今も変化し続けているというもの。
    「難易度が滅茶苦茶だからよ操作覚える前にボコボコにされるぞ」
    「へ?」
    「まぁやってみるか」
     そう言ってルフィからポンとコントローラーを渡された。



     「ねぇルフィ」
    「んお?」
    「……無理なんだけど」
    「だから言っただろ。なんで二時間も粘ってるんだ?」
    「ファーストエピソードすら突破できないんだけど」
    「だからやめとけって言っただろ」
    「最強の少年兵って……」
     さっきから敵国をボコボコにした後に味方で上官である将軍の命令で暗殺されそうになって戦争をしていた二つの国どっちも滅ぼす部分で敵に袋にされてクリアできない。
     って……冷静に考えて理不尽過ぎるストーリーだ。過酷過ぎる。
    「そのエピソードはよ最後、海軍の当時最強の二人に捕まって終わりだ」
    「えぇ……ってルフィはクリアしたんだ」
    「まぁな。苦労したけどな」
     そう言ってルフィは当時の苦労を思い出したのか伸びをする。
    「当面の目標は、このデータをフルに展開できるやつを手に入れることだな!」
    「うん! わたしもできること頑張るね!」
    「だからよ、ウタ」
    「ん?」
    「高校生活、残り、楽しもうぜ!」
    「……うん!」

  • 172二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 00:32:55

    保守

  • 173二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 10:23:42

    誰の子供時代だろ?
    理不尽な難易度はワンピース世界ならしょうがない

  • 174二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 20:40:55

    保守

  • 175二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 06:09:07

    >>171

    ダグラス・バレットかな?

  • 176スレを建てた二次創作初心者23/01/05(木) 13:18:33

     「ねぇルフィ……辛いんだけど」
    「あぁそれか……そうだな」
     夏休み受験勉強に疲れてルフィのパソコンで勝手に例のゲームやっていたんだけど……。
     黄金の怪物の誕生って言うからきっとゴージャスなストーリーだと思ったのに……。
    「ルフィ!」
    「んお?」
    「これってこの世界で生きている人たちなんだよね!」
    「おう」
    「絶対行こう。こんな辛い世界変えないと!」
    「それは無理だと思うぞ」
    「なんで!」
    「もう起きて記録されて蓄積されたデータだ。例えばだぞ、おれたちのこの世界が今ウタがやっているゲームと同じようにデータで作られた世界だとするぞ」
    「うん」
    「おれたちみたいな観測者がいたとして、おれとウタが再会するのが気に入らないってやつがいて、おれとウタが出会わないようにデータを勝手に書き換えるようなものだ」
    「で、でも、辛い過去なら……」
    「そのデータ一つ書き換えるだけでどれだけの影響が出ると思う。まずはウタはまだ活動再開してないかもしれねぇ」
    「あ……」
     そうなったらわたし……どうなっていたんだろ。
     あの世界も生まれない、もしくは生まれるのがもっと後になっていたかもしれない。
    「な、だからよ。ダメなんだよ。一人に入れ込んだらよ。観測する側が……もう、おれが好き勝手冒険して良い世界じゃないかもしれねぇ。本当に観光くらいしかできないかもな」
     どこか後悔を滲ませた声でルフィはつぶやく。
    「世界を一つ作るってことをよ、甘く見ていたかもしれねぇ。でもよ……やっぱ行ってみてぇよな……なぁ、ウタ」
    「ん?」
     ルフィはどうしてかそっと手を重ねてきて。
    「ずっと一緒にいてくれよ……おれ、ウタとまた会えてよかった」
     そう言って太陽のように笑うから。気がつけばわたしは……。顔を近づけて。
    「ウタ……?」
    「隙あり……だよ」

  • 177二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 23:39:08

    保守

  • 178二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 08:56:26

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 09:05:19

    キス…

  • 180スレを建てた二次創作初心者23/01/06(金) 20:30:42

     ……なんてことをしてしまったのだろうと頭を抱えた。
     ルフィにキス、してしまった。いや、その前に美味しくいただいているんだけどさ。でも……。思えばキス、したことなかった……。
     最近忙しくて忘れていた。ルフィとわたし、付き合っているのだろうか。今。
     ちょっと出かけてくると言ったルフィの顔はいつも通りで、それが逆に怖かった。
     嬉しかったんだよ。ずっと一緒にいてくれって言われて……舞い上がっちゃって。はぁ。
    「……ずっと順番間違えているんだよねぇ」
     現状、仲の良いお隣さん。半同棲みたいなことにはなっているけどそれは単に仲が良い友達なら家が近所なら入り浸ることも無くはないだろうということで。とも見れるんだよねぇ。
    「帰ってきたルフィになんて言えばいいんだろ」
     唇と唇を合わせて。少しだけ堪能して、顔を離した後のあいつ、どんな顔してたっけ。


     「ただいま」
    「おかえり」
    「ウタ、これ食わねーか?」
    「え?」
     帰ってきたルフィはケーキ屋さんの箱を持っていた。それを机の上に置くと開いて。中に入っているのはショートケーキが二つだ。
    「? 突然どうしたのさ」
    「お祝いの時ってこういうの食うんだろ?」
    「なんのお祝い?」
    「ウタがチューしてくれたからな」
    「えぇ? それがお祝い?」
    「あぁ! だってよ、嬉しかったんだよ。チューはあれだろ、大好きな奴にしかしねーことだろ。それをしてくれたんだからよ。嬉しくないわけがねー。一緒にいてくれって言ったのおれだからな。驚きはしたけどよ」
    「……ルフィ!」
    「ししししっ、これからもよろしくな!」
    「……ねぇルフィ。わたしたちってさ、恋人同士?」
    「知らね」
    「えぇ……」
    「でも良いじゃねーか。一緒にいりゃそんなの関係ねーよ。おれたちはおれたちだろ」
    「! ……そうだね」
     順番滅茶苦茶でも関係の名前わからなくても。どうでも良いよね。

  • 181二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 07:05:16

  • 182二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 13:37:39

    ルフィとウタの関係は、ルフィとウタっていう関係なんだな
    はー尊い

  • 183スレを建てた二次創作初心者23/01/07(土) 23:17:51

     受験が終わった。わたしたちは大学の進学を決めた。
     そして……。
    「ルフィ……相談があるんだけど」
    「どうした?」
    「んーなんて言えば良いのかな……わたし……もっと活動の幅を広げたいんだ」
    「おう」
    「ルフィが目指してる技術が普及するにしても何年も先の話だと思うの。ルフィなら完成させるだろうけど、それが世の中に広まるのはずっと先かもしれない」
    「だろうな」
    「……ルフィ……わたし……」
     息を深く吸って大きく吐いて。
    「大きなイベントをしてみたい……ファンのみんなが直接見に来れるような」
    「生身でステージに立つのか?」
    「そ、それは、まだ……こわいんだけど……でも……ルフィ、もしもできるなら……できるなら……」
    「……ウタ。三日くれ」
    「三日? どうしたのさ急に」
    「待ってろ。お前をステージに立たせてやる。ファンのやつらの前に立たせてやる!」
    「えぇ? って、あ、今日……」
     呼び止めるころには既にルフィは部屋を走り出ていてすぐに隣の部屋からドタドタと足音が聞こえる。……今日は一緒にお買い物行って夕飯食べて一緒に寝る約束だったのに、ああなったらわたしの方から行かないと本当に出てこなくなっちゃう。わたしが言い出したことなんだけどさ。
     それに……ルフィの言う通りなら、わたしの方からファンのみんなのところに会いに行くってことができるかもしれない。
     向こうのわたし、ファンの思いが本当に力になっていた。でもそれはきっとわたしも同じだ。
     だって、動画で歌を届けて満足していたのに、ライブしたいなんて言い出して。そして今……。変だな。
     そっか、これが。
     わたしの中に本当に残っていたんだね。熱さが。本当に歩んできた日々がその人を形作るんだ。これがルフィの言っていたデータの蓄積なのかな。

  • 184二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 10:26:58

    保守するべ

  • 185スレを建てた二次創作初心者23/01/08(日) 19:18:51

     そして三日後。自由登校期間であることを全力で活かしたルフィは。
    「できたが……ちゃんと勉強して見ると思ってたのと全然違ったな」
     そう言ってルフィはプロジェクター? を机の上に設置して電源を入れる。するとリビングの中央に。
    「え、わたしだ。あ、プロジェクションマッピングか!」
    「あぁ。でもよ、ウタが求めてるのは。録画されたパフォーマンスをライブ会場で流して満足できねぇだろ」
    「録画された? それはそうだけどさ」
    「どっかのシアターに投影して生配信ってのも違うだろ?」
    「うん」
    「わりぃ、ウタ……今はここが限界だ。今は届かねぇ。ソフトを用意できてもそれがちゃんと動くか確かめられねぇ」
     そう言ってルフィは頭を掻く。その目には少しだけ疲れが見えて。
    「ううん。わたしこそごめん。よく考えずに」
    「いや、ウタ。おめぇが謝ることじゃねぇ。ウタのやりてぇことだろ。なら手抜くなよ。欲しいものをちゃんと言え。リアルタイムのAR技術。ウタのやりてぇことに必要なのはこれだ。ぜってぇ作ってやる!」
    「わかった……わたし、もっと頑張るよ。……ルフィがやろうとしてることはきっとお金いくらあっても足りない。ルフィがお金に困らないようにする。だから現実にも仮想世界にも、わたしのステージ、作ってよ……そしていつか、向こうの世界に連れてってよ」
    「おう!」
     拳を合わせた。未来を誓った。この時初めてわたしは、本当に前を向けた気がした。


     「みんなー! ありがとー! これからはこんな風に、わたしの方からも会いに行けるようになるからねー!」
     わたしとルフィ、そして大学でようやく直接会えたトラ男って人と会社を立ち上げた。
     ゲーム会社「超新星コーポレーション」重厚で容赦のない世界観と圧倒的グラフィック、そしてどこまでも広がる物語が売りだ。会社を設立して一年目にしてルフィとわたしが思い描いていたリアルタイムAR技術、既に別の会社が完成させていたけど、作り上げることができて。わたしの現実での活動基盤ができた。そして。ルフィの夢も。

  • 186スレを建てた二次創作初心者23/01/08(日) 19:19:06

     社長室に響くトラ男の怒声。
    「おい! 本気で言っているのか」
    「当たり前だ! おれがまず最初に確かめる!」
    「まだ安全が確認されたわけじゃねーんだぞ! 安全装置もまだ理論の域だ! 戻って来れなかったらどうする!」
    「知るか!」
    「なっ、おまえ、社長だという自覚はあるのか!」
    「ルフィ、準備できたよ」
    「おう……って、ウタ、おめぇも来るのか?」
    「当たり前でしょ。約束したじゃん、ずっと一緒にいるって、戻って来れなくなってもこれなら安心でしょ」
    「……だな! じゃあトラ男! あとは任せた!」
    「ったく言っても止まらねぇか……会社乗っ取られれれても文句言うんじゃねぇぞ」
    「おう! ……よし、行くか」
    「うん!」
     さぁ行こう。夢の果て。

  • 187スレを建てた二次創作初心者23/01/08(日) 19:21:19

    ここまでお読みいただきありがとうございましたこのSSはここで閉じさせていただこうと思います
    おかしいな……お隣さん同士のルフィとウタが仲良くイチャイチャする話を書こうとしたら……やっぱこの二人イチャイチャするよりそれぞれ夢を追いかけてる姿が似合う
    そして僕の悪い癖だな短く済ませようとしても結局長くなってる
    また何か書くかは知りませんがどこかでお会いしましたらよろしくですそれでは!

  • 188二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 19:27:47

    乙でしたー!!

  • 189二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 22:49:18

    乙でした!
    また次の作品楽しみにしています
    ありがとうございました

  • 190二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 10:34:14

    お疲れ様でした
    近未来sfチックなのが斬新で面白かったです
    今作のルフィとウタの関係性も素敵で空気感も最高でした
    素晴らしいssをありがとう!

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