シャカトレ SS 約束の噛み跡

  • 1エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:36:23

    「エアシャカー、……ル?」
     しとしとと雨が降る午後。日没前のこの時間、天気も相まってトレーナー室は薄暗い。唯一の光源はテーブルの上でこうこうと光るノートパソコン画面だけだ。
     ノートパソコンの前で机に突っ伏しているウマ娘。エアシャカール。規則正しく肩が上下していることからどうやら寝ているのだろう。トレーナーは「やれやれ」と言わんばかりに己の上着を脱ぐと彼女にかけてやる。

  • 2エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:37:12

    ノートパソコンの画面には様々なデータの解析途中なのだろう、グラフや表をまとめるソフトが起動している。
     部屋に帰ったら同室のヤツがうっとーしくて集中できない。などとぼやいていたが、正確には危なっかしくて面倒を見ずにいられないから。という彼女なりの優しさが原因であることをトレーナーは知っていた。

  • 3エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:37:36

    さらり、と上着をかけた拍子に彼女の髪が手の甲をくすぐった。まるで絹のような細くしなやかな髪。そのまま指でつうっと髪を絡めながら遊ぶ。
     起きているときにやったら彼女はなんと言うだろうか?お叱りの言葉が飛ぶか。はたまた照れるか。ひょっとするとはにかむかもしれない。
     襟足の外にぴょんと跳ねている髪から、ヒトなら耳があるはずの側頭部、そのままもみあげを通り、彼女の顔にかかる一房まで髪の流れに指を遊ばす。

  • 4エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:38:08

    指先に冷たい感触が走る。彼女の眉上のピアスだ。割れ物に触れるように、ゆっくりとそれをなぞる。一つ、二つ、と。
     ピアスの下には形のいい眉が、薄墨で引いたかのようにそこにあった。さらにその下には長いまつ毛がゆらゆらと揺れている。
     肌をなぞるように指を滑らせる。ピアスから眉、目尻を通って頬へ。
     ふにふにと、柔らかな頬をつついてみる。起きる気配がないのでもう一度、白桃のように柔らかく滑らかな頬をつつく。
     そして、彼女の薄桃色の唇へとたどり着いた。半開きになっている唇の隙間からは、彼女のチャームポイントのサメの様な歯が覗く。
     唇を指でなぞる。柔らかく潤いを持ったその唇を、人差し指で、中指で、薬指で、鍵盤に指を走らせるように。

  • 5エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:38:29

    途端、彼女の唇が大きく開き、唇をなぞっていた指に食らいついた。
     ぶつり。という音と共に彼女の鋭い歯が皮膚を裂き、肉へ刺さる。
     反射的に引き抜こうとしたその指を、すんでのところで抑える。
     「もしも勢いよく引き抜いて彼女の歯を傷つけたら?」「ひょっとするとただ寝ぼけているだけなのでは?」
     そんな考えが頭を巡る間にも、指から滴る鮮血が彼女の唇を、歯を、舌をじっとりと赤く染める。がりがりと、肉食動物が骨から肉を削ぎ落とすかのように牙をたてる。

  • 6エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:38:47

    痛みが鋭痛から鈍痛に変わり始め、なおもぎりぎりという痛みに堪えていると、それは唐突に止まった。
     呆気なさと名残惜しさを感じるていると、次に指に感じたのは指に舌が這う感触であった。形容し難い、強烈な快感。
     「つっ〜〜!」
     先程は堪えた声も、今度は堪えきれずに口の端から漏れ出す。

  • 7エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:39:08

    にじみ出る血をもっと出せ、と言わんばかりに舌が巻き付けられ、ぬるりと官能的な感触が脳髄を支配する。
     ぴちゃぴちゃと湿度をおびた音が部屋に静かに響く。エアシャカールの舌はまるでそれ自体が一つの生き物のようにうごく、強くシゴいたかと思えば舌先でチロチロと優しく、かと思えば少し歯を立てて強く吸い込む。飴玉でも舐めるかのように、暖かく湿った舌は執拗にこちらを責め続ける。
     「ぐっ、ふっ、ふ〜っ」
     逆の指を噛み締め、必死に声をころす。まだ一分も経っていないはずなのに体感的には一時間も続いているようにすら感じる。まるでこちらをイジめるように舌は動き続ける、先程流れた血の代わりに唾液を流し込むように、指紋一つ一つをなぞるように執拗に舌が這う。
     すでに足は震え腰は砕けそうになり、立っているのも声をころすのも限界だ。

  • 8エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:39:40

    と、それもまた、噛まれていた時と同様に止まった。
     ゆっくりと、指をエアシャカールの口から引き抜きざまの快感に耐えながら、引き抜く。
     指と舌に唾液の銀糸が弧を描き、ぷつりと切れた。
     すとん、とそのまま倒れるようにソファへと腰を落とす。指は液晶が放つ光に照らされて、てらてらと輝いている。
     「よォ、あんまり美味そうな匂いがしたから思わず噛みついちまった」
     猫を思わせる金色の瞳が二つ。こちらを楽しそうに見つめている。にいっと口が三日月のようにして笑った。
     「そのまま食いちぎられるかと思ったよ」
     「アハハ、すまなかったな。今、手当てしてやるよ」
     エアシャカールはぴょんとソファから飛び起きると、楽しげな足取りで救急箱を取りに行く。満足気に揺れる尻尾と耳を眺めながら大きく長いため息をつく。
     「なあ、エアシャカール」
     「うん?」
     「この指にしたのはわざとかい?」
     ぴたりと手を止め、こちらを数秒じいっと睨むように眺めてから、
     「さァな」
     と、彼女は先程よりも楽しそうに、私の薬指に絆創膏を巻いていくのだった。

  • 9エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:40:24

    以上、いつもシャカトレSSを書く人に憧れて自分も書いてみました。

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:41:05

    エッッッッッッッッッッ

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:41:17

    シャカトレ助かる

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:41:19

    最高の栄養素だよ
    ありがとう
    まとめスレで紹介してもいい?

  • 13エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:42:40

    >>12

    ぜんっぜん構いません!

    むしろありがとうございます!!

  • 14エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:43:23

    少しでもうまだっちする作品になってたらいいな。

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:44:50

    >>14

    バッチリしちまったよどうしてくれる

    また書いておくれよ

  • 16エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 21:46:58

    >>15

    書くスピードは遅いですが、お眼鏡に叶うものをまた書ければとおもっております!

  • 171521/10/31(日) 21:50:58

    >>16

    申し訳ないが>>15は毎日シャカールの人ではないのだ、一般SS読者なのだ……間に挟まっちゃってすみませんでした


    それはそれとして今後も投稿してくれたら喜んで読ませていただきます

  • 18二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:06:22

    あらあらうふふ。良いSSを見つけてしまった。

  • 19エアシャカール好き好きマン21/10/31(日) 22:16:14

    >>18

    感想。嬉しい。読んでくれてありがとうございますっ!

  • 20二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:21:18

    乙なのですよ。エローイ

  • 21二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:16:41

    雰囲気がいいですね…2人だけの、暗い空間で、指噛みプレイ…尊い…

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:32:02

    正直うまだっちした

  • 23二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:33:08

    正直いつもの人のより好き

  • 24エアシャカール好き好きマン21/11/01(月) 01:40:08

    みんな、感想、ありがとね。

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