- 1二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:30:42
山田(私の名前は山田奈緒子。偉大なマジシャンの父を持つ天才マジシャンだ)
山田(私が一度舞台に立てば、客席は常に満員御礼。黄色い感性が響き渡り――)
*ほぼ無人のベンチ群:ヒュウゥゥゥゥゥ・・・・・・
山田(――ようになることが、私の夢のひとつでもある)
団長「そういうわけで、キミ、クビだから!」
山田「そんなあ・・・・・・」
山田(今日も今日とて仕事をクビになり、いつものボロアパートに帰ってくるのだ)
◆◆◆◆◆◆
大家「山田ァ!!今月の家賃、いい加減払ってもらわなきゃ困るのよ!!!私もジャーニー君も人生設計ってものがあるんだからぁ!」
山田「あ、明日には必ず・・・・・・」
◆◆◆◆◆◆
*ある日、山田奈緒子がアパートに帰ると――
??「遅かったじゃないかYOU」
山田「上田さん!?どうして勝手に上がり込んでいるんですか!!?」
山田(こいつは上田次郎。体と態度がデカいだけで、ビビリで何の役にも立たないウドの大木だ。一応日本化学技術大学の教授などをしている) - 2二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:31:29
- 3二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:32:03
*上田が袖をまくり上げると・・・・・・ひじの辺りから、輪ゴムを張り付けられた割り箸が転がり出てきた!
山田「そんなことだろうと思った。腕を振って見えにくくして、その隙にゴムの力で袖の中にひっこめただけじゃないか。大体、ものが突然消えるなんて、あるわけがないじゃないですか」
*その言葉を聞き、上田はにやりとほくそ笑んだ。
上田「本当にそうかな?そんな君に聞かせたい面白い話があるんだ」
山田「聞きたくありません。帰ってください」
上田「私がとあるツテで知り合った女性から相談があってね。なんと女性の勤め先で『幽霊が出る』というんだ」
山田「聞きたくないって言っただろ!!!!」
◆
上田「その女性はかの名高い名門アスリート養成学校『トレセン学園』に勤めているのだが、ある時期から生徒の間で『夜な夜な幽霊が走り回っている』という噂が流行り始めてね。面白半分で夜に校舎内へ侵入するものもいるため、毎日夜間の見回りをしているそうだ」
上田「ある晩のことだ。いつものように見回りをしていた彼女の前を、突然、ちょうど人ほどの大きさの白い影が、ものすごいスピードで横切っていった」
上田「慌てて追いかけたところ、ふっと闇に吸い込まれるようにしてその白い影は消えてしまった。それも彼女の目の前でだ!」
◆
- 4二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:32:34
上田「どうだ、面白いだろう?」
山田「で?」
上田「特別に、調査に連れて行ってやる」
山田「興味ありません。一人で行ってください」
上田「いいじゃないか、どうせ仕事クビになって暇なんだろう?」
山田「何でそれを!?」
上田「本当にクビになってたのか。君の行動は実に読みやすいなエヘヘヘヘヘヘ!!」
山田「・・・・・・」
上田「とにかく!!一緒に来るんだ、わかったか?」
山田(上田さん、なんでこんなに必死に?)
山田(もしかして・・・・・・)
山田「ひとりで行くのが怖いんだろ?」
上田「!!・・・・・・な、なにをバ鹿なことを!」
山田「怖いんだ?そうですよね、上田さんビビりだからこういうの苦手ですもんね」
上田「そんなわけないだろ!大体、この私が幽霊なんて非科学的なもの信じるわけが――」
山田「あ、幽霊」
上田「ッッッッッッ!?!?!!!」
山田「やっぱり怖いんだ?」
上田「解決の暁には謝礼金も出る、もちろん君にも半分やろう。君にとっても悪い話じゃないはずだ。聞いてたぞ、今月も家賃が払えなくて大変みたいじゃないか」
山田「全部よこせ。それなら考えてやる」
- 5二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:33:01
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園・理事長室~
???「感謝ッ!!幽霊騒ぎの解決に向けて力を貸してくれてありがとう!わたしはトレセン学園の理事長、秋川だ!」
上田「科技大教授、来年にはノーベル賞受賞予定の上田です。どうぞよろしく」
山田(小学・・・・・・生?)
???「改めて、秘書の駿川たづなです。上田先生、本当に受けてくださってありがとうございます!」
たづな「私、もう怖くて怖くて・・・・・・どうしようか悩んでいた時に、この先生の書かれた『ちゃんとこい、超常現象』を読んで――」
上田「ハハハ『どんとこい、超常現象』です」
たづな「――『どんとこい、超常現象』を読んで、お願いするなら先生しかいないって思ったんです。先生、どうかよろしくお願いします!」
*たづなが上田の手を包み込むように握った。
上田「・・・・・・ッ!!」
上田「ハハハなあに、お安い御用ですよ。この上田次郎が来たからには、大船に乗ったつもりでドーンと構えてください!」
山田(こいつッ!さては色気に惑わされて引き受けたな・・・・・・!?)
- 6二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:33:23
- 7二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:36:36
- 8二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:40:14
前に書くって言ってた人じゃないか!待ってました!!!
- 9二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:40:54
再現度が……再現度が凄い……!
続きに期待 - 10二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:42:07
脳内再生余裕でした…最高でしゅ…でもここから不幸なウマ娘ちゃん達が出てくる可能性もあるのがTRICKの怖いところ…
- 11二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:42:49
TRICKの文法に引っ張られて、理事長がやたら濃ゆいオバちゃんの姿で脳内再生されるんだ…
- 12二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 22:43:42
まあインチキ霊能力者退治じゃないからいつもより被害も少なめだろてん
- 13二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:07:15
いつものSEが脳内で聞こえてきたぜ
- 14二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:18:17
せめてスリットやよいくらいにしてあげて……
- 15二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:19:45
- 16二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:20:37
これは期待
- 17二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:23:22
面白い……
- 18二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:26:47
フクキタルが可愛そうな展開にならないことを祈る
- 19二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:32:49
なんかフクキタルの♀トレが仲間由紀恵なスレなかったっけ?
- 20二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:33:22
- 21二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:35:30
なんかクオリティ高くなーい?
これは期待しちゃうわよ - 22二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:37:50
科学な
- 23二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:11:14
保守
- 24二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 09:46:27
夜まで書けないのでセルフ保守させていただきます。
ご感想ありがとうございます、励みになります。 - 25二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 10:27:56
導入がいつもの過ぎて懐かしくなったわ
- 26二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 14:01:43
母之泉教祖で最後服毒自殺するスペのおかあちゃんとか辛すぎん……?
- 27二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 14:05:46
面白かったならちゃんと♡押してけよな!!!
俺は押したぞ!!!! - 28二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 18:10:46
ちょっとTRICK借りてくるわ、久々に見たくなった
- 29二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 19:53:58
◆◆◆◆◆◆
上田「では早速ですが、幽霊に遭った日のことについて教えてください」
たづな「はい・・・・・・」
◆
たづな「私が幽霊を見たのは、ひと通り見回りを終えてそろそろ帰宅しようかと思っていた時でした」
たづな「1階にある宿直室の窓から、まっ白なものが屋上でゆらゆらと揺れているのが見えたんです。なんだろうと思ってじっと見ていたら、それは突然屋上から飛び降りて中庭をすごいスピードで横切って行きました。そして、木陰に差し掛かったあたりで――ふっと、まるで吸い込まれるように消えてしまったんです」
◆
上田「それは怖い思いをされましたね。駿川さん、安心してください。この私が来たからには二度とあなたにそんな思いはさせません」
たづな「先生・・・・・・!」
上田「駿川さん・・・・・・!!」
たづな「先生っ・・・・・・!!」
上田「駿川さんっ・・・・・・!!!!」
山田(・・・・・・?)
山田「あのー、それだけ・・・ですか・・・・・・?」
上田「こらっ、失礼だぞ!!」
たづな「いいんです上田先生。山田さん、『それだけ』とは?」
山田「いや、なんかほら。大金まで払って原因を追究するんだから、『幽霊が生徒にとり憑いて様子がおかしくなった』だとか、『呪いで被害者が出た』だとか、てっきりそういうことがあるのかと思っていたんですけど、そういうわけじゃないんですよね?」
たづな「うーん、そういえば・・・・・・にんじん倉庫から何本かにんじんが無くなっちゃっていましたね」
秋川「謝罪ッ!!それはわたしだ!実に美味だった!!」
たづな「あとは・・・・・・。・・・・・・??」
山田「いやそれだけかいっ!幽霊関係ないし!!」
山田「だったら別にほっとけばいいじゃないですか。どうせ偽物でしょうし、害があるわけじゃないんだし」
たづな「それは――」
- 30二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 19:54:35
秋川「説明ッ!!その理由はわたしの方から話そう!」
*秋川理事長がバッと扇子を開いた。そこには、「解説ッ!」の筆文字がでかでかと書かれていた。
秋川「わが校の生徒たちは思春期真っ盛りだ!肉体的には優れていても、心はまだまだ不安定な子も多い!」
秋川「懸念ッ!!心の不調は時にパフォーマンスに大きく影響を及ぼす!すべてのウマ娘たちが十全に競技へ打ち込めるように、可能な限り安心して日々を過ごせる環境を整えたい!」
秋川「恐怖ッ!!あと、わたしもすごく怖い!!!」
たづな「すで何人か、幽霊を目撃してしまってからうまく実力を出し切れなかったり、驚いた拍子にケガをしてしまった子たちもいるんです。まだ軽いもので済んでいますが、これから先どんなことがあるかわかりませんから、お二人には原因の究明をお願いしたいんです」
上田「ええ、そういう事であればぜひ協力させてください」
秋川「期待ッ!!目撃した生徒のリストは手配しておこう!」
- 31二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 20:47:23
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園・中庭~
山田「ええっと、話だとこのあたりに・・・・・・」
???「うわーっ、スッゲー!!本物!?」
*向こうからボーイッシュなウマ娘が駆け寄ってきた。
???「あ、あの!もしかして『どんとこい』の上田先生ですか!?」
上田「そうだが、君は?」
ウオッカ「失礼したっす!俺、ウオッカっていいます!俺・・・・・・俺、先生の大ファンで!先生の本、全部読みました!!」
上田「そうか・・・そうか!はっはっは、それはそれは!!見込みのあるお嬢さんだ。挨拶がわりにこれ、私のプロマイドをあげよう!」
山田(常に持ち歩いてんのか?)
上田「・・・・・・それで、どのあたりが特によかったんだい?」
ウオッカ「はいっ!先生が常に困難に挑戦して乗り越えていくとこ、マジカッケーって思ったし、特に『“ホラー”なんて“ホラ”だ』って言ってる先生が認めた魔法の言葉、あれ、今でも俺の座右の銘にしてるっす!!」
上田「ああ、あれね」
- 32二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 20:48:06
上田&ウオッカ「「“なぜベストを尽くさないのか”!」」
上田&ウオッカ「「“ワーイ・ドント・ドゥ・ユア・ベスト”!!」」
上田&ウオッカ「「はっはっはっはっは!!!」」
上田「フフフ私もね、あれは我ながら完璧な一言だったと思っているんだよ。どうだ、よかったらプロマイドをもう1枚――」
???「ちょっとウオッカ!あんた急に走って行っちゃってどうしたのよ、まったく!!」
*髪をツインテールにした女の子が走ってきた。どうやらウオッカを追ってきたようだ。
ウオッカ「スカーレット!わりーわりー。でもほら、上田次郎先生だぜ、本物の!!」
スカーレット「はあ?上田次郎って、あんたがよく読んでるあの怪しげな本の・・・・・・?」
山田(『スカーレット』?じゃあ、この子が目撃者の・・・・・・って)
山田「(でっか!!)」
スカーレット「え?」
山田「あ、いえ、何でも。あなたがダイワスカーレットさんですね。幽霊について話をお伺いしたいのですが」
スカーレット「は、はい。構いませんけど・・・・・・」
- 33二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 22:27:16
ダメだウオッカが面白すぎる
- 34二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 22:31:21
ウマ娘分からんけどTRICKの再現度高くて普通に面白い
- 35二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 07:23:25
保守
- 36二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 12:30:40
保守
- 37二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 16:56:33
これでTRICK知ったんだけどメッチャ面白いじゃん。アマプラで見れるぞ(ダイマ)
- 38二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 17:01:12
すごいな
期待だが、TRICK特有の湿っぽいラストが怖い - 39二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 21:55:05
山田「あなたが幽霊を目撃したのはいつですか?」
スカーレット「この日の夜です」
上田「(駿川さんが見たのと同じ日だ)」
スカーレット「その日はトレーニングに熱が入りすぎちゃって、帰るのが遅くなっちゃったんです。」
◆
スカーレット『うぅ・・・すっかり遅くなっちゃったわ・・・・・・・』
スカーレット『毎度のことではあるけど、この時期ってすぐ暗くなるから何か出そうで苦手なのよね・・・・・・』
*草むら:(ガサガサッ!)
スカーレット『きゃああ!な、何!?』
*草むら:(ガサガサッ!ガサッ!!)
*揺れていた草むらから誰かが飛び出した!
ユタカ『武でした。』
スカーレット『な、なんだ・・・ユタカね・・・・・・』
◆
山田「いや、なんでだよ!」
- 40二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 21:55:50
スカーレット「アタシ、おばけとかじゃなくてホッとしたんですけど、次の瞬間、内股を何か毛だらけのもので撫でられるような感覚があって――」
◆
???:(シュッ!)
スカーレット『ひゃああああ!!?』
スカーレット『い、今なにか足の間通ってた・・・・・・!?!?』
?????『――ぇ――ぇぇえ―――』
*遠くの方から声が聞こえる・・・・・・
スカーレット『ああもう!なんなのよぉ、いったい・・・・・・!!』
*スカーレットが恐る恐る声のする方を振り向くと・・・・・・
*真っ白で顔のない何かが、こちらに猛然と向かってきている!!
スカーレット『 』
◆
スカーレット「そのまま気絶しちゃって、気づいたときには朝でした。それからなんか調子が出なくて。ウオッカ――さんとの勝負も控えているのに・・・・・・」
山田「なるほど・・・・・・ほかに、何か気づいたことはありますか?」
スカーレット「気づいたこと・・・・・・そう!アタシ気絶する直前に、幽霊の声を聞いたんです!」
スカーレット「地獄の底から響いてくる悲鳴のような声で・・・・・・『シラオキ』って・・・・・・」
山田(『シラオキ』・・・・・・?)
- 41二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 21:56:23
- 42二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 22:02:00
- 43二次元好きの匿名さん21/11/02(火) 22:11:58
- 44二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 00:12:28
- 45二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 00:20:33
- 46二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 03:18:30
保守
- 47二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:16:07
~トレセン学園・食料庫前~
山田「ん?んんん~~??」
上田「何をやってるんだ君は。本当にこの道であっているのか?」
山田「ええ、間違いないですよ。だってほら、ここに『こうとう・ここ・あるところ』って」
上田「見せてみろ。・・・・・・『高等穀庫在所』じゃないか!おそらくこの学園を経営するうえでカギとなるような、重要な穀物の類を保管する倉庫なんだろう」
山田(江戸時代か!)
上田「だいたい、その読み間違えは無理があるだろ!」
山田「金持ちのいるところって、いつも無駄に広いんですよね。迷うばっかりでいいことなんて何一つないのに。くそぅ、私のアパートなんて・・・六畳一間だぞ・・・・・・!!」
山田「!」
山田「“っ・・・!!金持ちっていつもそうですよね・・・・・・!”」
上田「言い直さなくていい!!!」
上田「君みたいな貧乏人には分からないだろうがね、広くて整備された住居というのは、それだけで対外的な信用を勝ち取るステータスなんだよ。また、精神を休めて貴族性を高める空間でもある。君も私のようにオートロック式の高級マンションに住んでみるといい、そのゴルディアスの結び目のようにねじくれ曲がった性格が多少なりともまっすぐになるだろう。まあ、できるならの話だがね」
- 48二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:16:34
???「あのぅ・・・こんなところでどうされたんですかぁ・・・・・・?」
山田「あなたは・・・・・・?って」
山田&上田「デッカ・・・・・・!」
???「は、はいぃ!メイショウドトウですぅ!」
ドトウ「普段ほとんど誰もこないところですし、何かお困りの様子だったから・・・でも、私みたいなドジでグズなウマ娘が話しかけたら迷惑でしたよね・・・・・・ごめんなさい、聞かなかったことにしてくださいいいぃぃ~~~!」
山田「ああいえ、全然。あの、もしよかったら、この『フクキタルさん』という人がいるところに案内してもらえませんか?」
ドトウ「・・・!!はい!私でよければ!!ついてきてください!」
~トレセン学園・中等部~
ドトウ「あ、あれ?すみません、間違えましたぁ!」
~トレセン学園・三女神広場~
ドトウ「あれ?あれあれあれ???」
~茨城県・御獅舞村~
ドトウ「ひゃううぅぅぅ~~~!!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃ~~~~~!!!」
~トレセン学園・映像資料室前~
ドトウ「うううぅ・・・道案内もまともにできないドジなウマ娘でごめんなさいぃ・・・・・・」
上田「あの、ドトウさん。そんなに――」
- 49二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:16:58
???「はーっはっはっは!こんなところでどうしたんだい、ドトウ。我が永遠のライバルよ!」
ドトウ「あ、オペラオーさん・・・・・・」
ドトウ「あの、じつは――」
オペラオー「はーっはっはっは!実に素晴らしい!!優れた王宮の理髪師でも、君の未来を測りきることは不可能だろう!」
オペラオー「おかげで、その人たちは究極の美を目撃することができたね。いや、ボクの美に極まるところなんてないのだが――」
オペラオー「沈みゆく太陽、煌めく夕陽、そしてその中でたたずむ美しいボク。まさに沈まぬ太陽!この姿こそ、映像資料として未来永劫残していくべきだと思わないか?ドトウ、やっぱり君は最高の演出家だね!!」
ドトウ「オ、オペラオーさん・・・・・・!!」
山田(なんだこいつら)
オペラオー「まあ、それはそれとして――さすがにこの時間では先輩方もお帰りになっているだろうから、お二人は栗東寮に案内するよ。君も共に来るだろう、ドトウ?」
- 50二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:20:32
いつも保守・感想をくださる方々、ありがとうございます。
アプリを見ながら書いているので更新に時間がかかりすみません。
よっぽど荒れない限り、自由に団らんしてくださると幸いです。
TRICK、ウマ娘、是非見てください!両方とも私は大好きです。 - 51二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:28:22
オペラオーがTrickによくいるイカれたテンションの村人に見えて面白い
- 52二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:21:59
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学院・中庭側の廊下~
山田「上田さん」
上田「なんだ」
山田「ここ、例の幽霊が出たって場所ですよ」
上田「ああ。しかしこうも暗くなってしまっては何も見えないな――ん!?あれは!!?」
*中庭にひとりのウマ娘が立っている。
*周りは真っ暗闇にもかかわらず、ウマ娘の体はぼうっと薄く光って見える。
*ウマ娘は駆けだして、そして――
山田「消えた・・・・・・」
オペラオー「バ鹿な!あれが噂の『ウマ娘の幽霊』!?まさか、実在したとは・・・・・・!!」
ドトウ「え?どうしたんですかぁ?」
山田「上田さん、見に行きましょう!」
上田「 」
山田「上田ァ!!」
オペラオー「近くに保険室があるから、とりあえずそこに彼を運んであげてくれたまえ!!ドトウ!一人じゃ大変だろうから、山田さんの手伝いを!」
ドトウ「オペラオーさんは!?」
オペラオー「ボクは中庭を見てくるよ!」
- 53二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:22:31
~トレセン学園・保健室~
上田「・・・っはっ!?」
ドトウ「あ、気が付きました!よかったぁ!!」
上田(ち、秩父山脈・・・・・・!!!!)
山田「やっと気が付いたか」
上田「いやあ、私は普段から徹夜で研究活動に励んでいるものだからちょっと気が緩むと眠気が襲ってきてしまうんだ。幽霊というからどんなものかと思ったら子供だましすぎて超余裕で逆に気が緩んでしまったんだよはっはっはっはっはっはっ」
山田「上田」
山田「まだ何も言ってないぞ」
上田「・・・・・・で、どうだったんだ?君のことだから、私を放っておいて中庭を見に行ったんだろう?」
山田「いや、それが・・・上田さんを運び込んだ後、オペラオーさんの後を追って見に行ったまではよかったんですけど・・・・・・」
- 54二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:23:25
◆
~トレセン学園・中庭~
オペラオー『はっはっはっはっ!』
オペラオー『暗い!!』
山田『思ってた以上に真っ暗ですね』
オペラオー『スマホのライトを使おう!』
*オペラオーがライトであたりを照らし、そのあとをついていく山田
山田&オペラオー『いたかー?』『いないぞー』
山田&オペラオー『あったかー?』『ないぞー』
山田&オペラオー『いたかー?』『いないぞー』
・・・・・・
・・・
◆
上田「YOUもスマホで照らしながら探せばもっと効率よかったんじゃないか?」
山田「持ってないんだ!」
上田「ふっ、まあ持っていても電話をかけてくるような数寄者の人間がいるわけないしな」
山田「いるわ!・・・・・・・・・・・・お母さんとか・・・・・・!」
上田「じゃあ、収穫はゼロか」
山田「明日もう一度探してみましょう。何か見つかるかもしれません」
上田「こんな時間に女生徒の寮を訪ねるわけにもいかないな、今日のところはお開きか」
ドトウ「あ、あの・・・・・・上田先生はもう少し寝てた方が・・・・・・」
上田「え?」
- 55二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:23:57
- 56二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 17:59:43
ドトウ初見は仕方ないよね
- 57二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 19:24:38
ドトウの胸を揉んでいるとふるさとの秩父山脈を思い出すよ…
- 58二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 20:58:45
まとめて読みたいから保守だけしとくね……
- 59二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 06:28:31
TRICK数えるほどしか見たことないけど確かこんなんだった
- 60二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 07:20:24
ほ
- 61二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 09:58:14
しゅ
- 62二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 20:10:48
すごくどうでも良いことなのですが、オペラオーがスマホで照らす前に自身の美の輝きで闇を照らそうとするシーンを入れ忘れました。
◆
山田『思ってた以上に真っ暗ですね』
オペラオー『少し待っていたまえ』
オペラオー『さあ、闇よ!ボクの美しさの前に退くがいい!』
山田&オペラオー『…………』
オペラオー『バ鹿な!?ボクがこれほどまでに輝いているというのに明るくならないだと!?』
山田『(できるわけないだろ!)』
オペラオー『スマホのライトを使おう』
山田『最初から使え!!』
◆
本日更新できるか分からないので、念のためセルフ保守させていただきます。 - 63二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 07:48:46
保守
- 64二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 18:00:16
捕手
- 65二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:17:40
脳内再生余裕すぎる
続きが気になるので保守らせていただく - 66二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:41:33
>>55◆◆◆◆◆◆
【翌日】~トレセン学園・正門前~
山田「しょうもんまえ」
上田「違う!せい・もん・まえ!」
~トレセン学園・中庭~
上田「で、なんか見つかったのか?」
山田「いやー、まだだ。って、何言わせるんだ!」
上田「勝手に言ったんだろ!!」
山田「あれ?上田さん、ちょっと来てください。この大きな切り株、中がウロになってて空洞ですね」
上田「ああ、これか。これはその名も『大樹のウロ』といって――」
山田「そのまんまじゃないか」
上田「――ここの生徒たちが悔しいことや辛いこと、抑えきれない青春のパッションを叫ぶ場所だそうだ。どうだ、結構深くていかにも叫びたくなるデザインだろう。こうだ!」
上田「どんとこーい!!!」
*ウロの中の反響『どんとこーい!!!』
*ウロの中の反響『どんとこーい!!』
*ウロの中の反響『どんとこーい!』
*ウロの中の反響『どんとこーい』
*ウロの中の反響『裂けて―』
上田「ふっふっふっふっふ」
山田「えらくご満悦じゃないか。しかし、よくそんなこと知ってましたね。いつの間に聞いたんですか?」
上田「パンフレットに書いてあった。ん?これは・・・・・・?」
山田「なにか見つけたのか?」
上田「これがウロのふちに引っかかっていた。どこかの白い布の切れ端のようだな」
山田「白い布・・・・・・『木綿のハンカチーフ』・・・・・・!?」
上田「・・・・・・」
山田「こっいっびっとよ~♪」
- 67二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:41:55
山田「上田さん。ここに、なにかが立ってたような跡が」
上田「ああ、地面にも『ここに何か立っていた』と書いていてあるな」
◆
上田「こんなところか。よし、撤収して今日こそ遅くならないうちにフクキタルという生徒から話を聞くぞ」
*草むら:(ガサガサッ!)
山田「ユタカ!?」
*草むら:(ガサガサッ!ガサッ!!)
たぬき「ヴッフ、ヴッフ・・・・・・」
山田「たぬき?たぬきなんて棲んでるのかこの学校」
山田「・・・・・・おい、上田。なにしてる」
上田「ん?いや、少し銀河の回転曲線問題について思いを馳せていたんだ。このポーズをとることによって頭脳の回転効率が実に30倍にも跳ね上がることを私は中学校の頃ボーイスカウトをしていて気づいたんだよはっはっはっはは!決して音にビビったとかそんなことは無いからな!!」
山田(ビビったのか・・・・・・)
- 68二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 23:47:00
必要以上に喋るあたりが実に上田さんっぽい
- 69二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 00:01:40
木綿のハンカチーフとか知ってるやついないだろw
一気にたたみに来た?な…… - 70二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 07:58:46
メッチャ懐かしい気分になったわ。また新作出ねえかな……
- 71二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 13:21:32
ショウモンマエすき
- 72二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:44:35
◆◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園・栗東寮~
フクキタル「呼ばれて飛び出てマチカネフクキタルです!なんて・・・・・・あ、あの~、どんな御用でしょうか?」
フクキタル「はっ!もしや隠していたアレやコレやがばれたとかっ!?」
山田「心当たりがあるのか?」
フクキタル「い、いや、そんなことは、無いような~あるような~・・・・・・ですが!そこまで悪いことはこのにゃーさんに誓ってやっていませんよ!」
*フクキタルに猫を模したリュックが無表情な眼でこちらを見据えてくる・・・・・・
上田「実は私たちはこの学園で起きる怪現象について調べていて。参考までにあなたが信じているという――」
フクキタル「むむっ!そこのあなた、お名前は?」
上田「に、日本科学技術大学教授の上田次郎だ」
フクキタル「上田さん!伸長占いによると、今日のあなたの運勢は・・・・・・ふおおお!!なんと!大々吉です!!運命の出会いがあるうえに、探し物は何でも見つかるでしょう!!」
上田「ふ、ふふふ、そうか?大々吉?」
フクキタル「ええ、ばっちりです!」
山田「上田、乗せられるな!」
フクキタル「さらに結果を決定的なものにするためのラッキーアイテムはお香です!えーっと、たしかこのあたりに・・・・・・」
*フクキタルは懐から未開封の線香を取り出した!
山田「『拝静香(はいせいこう)』・・・・・・?」
フクキタル「かつてものすごい強さと人気を誇った伝説のウマ娘が愛用していたといわれている、それはそれはありがたーいお香です!これを差し上げましょう!」
山田「ははーん、わかったぞ。そうやって高価な品を売りつけて回っているんだな・・・・・・って、あげちゃうのか!?!?!?」
- 73二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:45:05
フクキタル「はい?」
山田「だって、ご利益のあるありがたーいお香なんだろ?タダであげっちゃったら、もったいないじゃないか!!」
フクキタル「いやー、でもでも。普段から皆さん私なんかに良くしてくださるわけですから、少しでもハッピーのおすそ分けができたら素敵じゃないですか」
フクキタル「それに私はもう、今持っているものだけですでに幸運ぱぅわー全開!満願成就ですからね!」
山田「ウッ!眩しい!!」
山田「上田さん・・・・・・この人、何の利もないのに自分からものをあげるだなんて、ものすごーーーーく怪しいですよ」
上田「YOUはもう少しその卑しい心をどうにかしたらどうなんだ!」
フクキタル「さあ!それを握りしめて一緒にセイ!ハッピーカムカム福よこ来ーい!」
上田「ハッピーカムカム福よ来ーい!」
山田「乗るな!」
- 74二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:45:30
◆
フクキタル「はて?『シラオキ様』について聞きたいと?」
上田「調査の過程で名前が浮上したのでね。話を伺いたい」
フクキタル「全然かまいませんが・・・・・・」
フクキタル「私がシラオキ様に出会ったのは、まだ小さかった時なんです」
フクキタル「かけっこが大好きな子供だったんですが、足は全然遅くって。だから、いつも運動会では立候補する勇気がなかったんです」
フクキタル「ですがある日、夢の中で――
*シラオキ様『フクキタル、フクキタルよ。かけっこに出るのです。そうすればあなたは一等賞になるでしょう』
――私はかけっこに出て、お告げの通り一等賞になったのです!」
フクキタル「私が占いを始めたのも、シラオキ様のお告げを聞くためなんですよ!」
- 75二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:45:55
◆
山田「上田さん、どう思います?」
上田「なるほど、科学的に説明するのなら、自らを勇気づけるために幼い心が生み出した、第二人格やイマジナリーフレンドといったところか」
フクキタル「ぎゃーーーーー!なんてこというんですか!シラオキ様は本当にいるんですよ!!シラオキ様ーシラオキ様ー、どうかお怒りにならないでくださいー!」
山田「いるといっても、お前の夢の中の話だろ。どうやって証明するんだ?」
フクキタル「ですからさっきも言った通り、お告げとか――」
???「どうしたんだいフク?すごい叫び声だったけど」
フクキタル「あ、フジキセキ先輩!この人たちが『シラオキ様なんていない』なんて言うんですよ!」
上田「いや、何も私はそこまでは――」
フジ「なるほどね。なら、本当にいるんだーって証明したらいいんじゃない?シラオキ様のお告げでね!」
フクキタル「へ??」
- 76二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:46:16
◆
フジ「いいかい、ここにトランプがある。フク、裏側のまま一枚選んでくれるかな?もちろん、よーくシラオキ様に聞いてからね」
フクキタル「は、はい!えーっと・・・・・・これ・・・・・・いや、やっぱりこれです!」
フジ「ありがとう。じゃあ、選んだトランプはこの封筒に入れて、私がここに置いておくよ」
フジ「次に、もう1セットのトランプを開けるね。じゃあこんどは・・・・・・上田先生!これをよく切ってください」
フジ「そのあと、好きなところで半分に分けて、上半分と下半分を入れ替えてください。そうしたら、それを私に」
フジ「はい、これでこのトランプは完全に混ざって、どんな順番で並んでいるか誰にも分からなくなったね」
フジ「これでもし、この山札の一番上のカードが、さっきフクが選んだカードと同じだったとしたら・・・・・・シラオキ様がフクに、どのカードが来るのかお告げしたってことになるね。よし、じゃあいくよ!」
フジ「山札の一番上のカードは――『ハートの5』!」
フジ「次に、フクの選んだカードは――」
*フジキセキが封筒を切って中身を取り出すと、『ハートの5』のカードが出てきた!
◆
フクキタル「ふ、ふおおおおおお!!さすがシラオキ様です!」
上田「ばんなそかな!私はかなり念入りにシャッフルしたし、その間、私以外の誰もカードには触れていなかったぞ!」
フジ「ふふっ。さあ、事情聴取も終わったみたいだし、早く自分の部屋に戻りなさい。先生方も、だいぶん暗くなってきましたから、お気をつけてお帰りを」
フジ「では」
- 77二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 15:46:43
山田「待ってください!」
山田「こんなの、ただのインチ――むぐっ!?」
*山田の口元にフジキセキの人差し指が優しく押し付けられた。
フジ「魔法を解くのはもう少しだけ待ってもらえるかな、賢いポニーちゃん。せめて、このささやかな舞台の幕が完全に降りきるまでは」
フジ「・・・・・・はい、もういいよ。手荒い真似をしてごめんね」
山田「っ!こんなの、ただのインチキマジックじゃないか!」
上田「どういうことだ?」
◆
山田「最初にフクキタルさんにカードを選ばせるとき、フジキセキさんはそのカードを封筒に入れましたよね。あの封筒に仕掛けがあって、おそらく封筒に封筒をかぶせて二重にしてあったんです。片方の封筒に選んだカードを入れて、もう片方にはカードをあらかじめ入れておくんです。取り出すときに片方の封筒の口だけを切れば、自分の選ばせたいカードを、あたかも相手が選んだように見せかけられる」
上田「しかし、それだと私がシャッフルしたほうの山札の一番上と同じになるかわからないじゃないか」
山田「それは簡単です。フジキセキさんは手のひらの中にカードを一枚隠しておいた。そして、上田さんが顔を真っ赤にしながら必死にシャッフルした山札を受け取る際に、こっそり一番上に置いたんです。そうすればほら、いくら順番がバラバラになろうが関係ないでしょ?」
◆
上田「ふ、だいたい私が推理した通りだったな。どうですか、フジキセキさん」
フジ「ふふふっ、さすがです先生、それに山田さん!その通り!」
上田「ん?だとすると『シラオキ様』なるものは本当は存在しないことになるな」
フジ「いえ、それは少しちがいます。だってね、私がこんなことをするまでもなくフクの選んだカードは――」
*二重になっている封筒の、もう片方の口を開けると・・・・・・『ハートの5』のカードが出てきた!
山田「ぐ、偶然だ!」
フジ「そうかもしれない、でも、そうではないかもしれない。いぜれにせよ、あの子はそれを心の支えにしてやってきたんです。どうかそっとしておいてあげてもらえないでしょうか?」
- 78二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 16:37:05
フクキタルのエミュの難しさは三本指に入ると思う私です。
- 79二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:15:50
保守
- 80二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:46:33
保守
- 81二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:51:13
ほしゆ
- 82二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 09:19:09
TRICKもウマ娘も好きなので超俺得SS
しかもクオリティ高い - 83二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 09:19:26
ほっしゅっしゅ
- 84二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:11:01
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園(帰路)~
上田「YOU」
山田「・・・・・・」
上田「YOU」
山田「なんだ?」
上田「あそこで簡単に引き下がるとは、いつもに比べてずいぶん素直じゃないか。君らしくもない」
山田「私だって、ちょっと大人気なかったかなーって思うときくらいあります!それに、今回フクキタルさんは無関係だってわかったわけですから」
上田「それはまたなんで」
山田「駿川さんとスカーレットさんが幽霊を目撃した時刻、複数の生徒が、フクキタルさんが寮にいたことを証言していました。というか隣にいただろ!」
山田「それに、もう大体のことは分かったからな。あとは報告して報酬をゲットするだけだ!ウシャシャシャシャ!!!」
上田「・・・・・・」
上田「やはりYOUもか。私もずっと前から真相には気づいていたんだがね、あえて黙っていたんだよ」
上田「――だが、報告する際に万が一君が変なことを口走ったら困るから、君の見つけた真実が本当に合っているのか、私が答え合わせしてあげよう」
山田「仕方のない奴だな。いいか、まず最初の目撃例については――にゃああ!?!?」
*突然誰から背後から山田にズタ袋をかぶせて担ぎ上げた!
- 85二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:11:33
- 86二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:12:00
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園・?????~
山田「上田!おい、上田!しっかりしろ!」
上田「う、ううん・・・・・・はっ!YOU、無事だったか!」
山田「無事も何もないだろ!なんでお前まで捕まって縛られているんだ!」
*二人とも簀巻きのようにグルグルに縛られている。トレセン学園のどこかではあるようだが・・・・・・
栗毛のウマ娘「目覚めましたか」
*ドアが開き、3人のウマ娘が入ってきた。
山田「お前らは!」
栗毛のウマ娘「手荒な真似をして申し訳ありません。落ち着いてお話がしたく、しかたなくこのような手段を取らせていただきました」
栗毛のウマ娘「あなたたち2人には、この幽霊捜索の件から手を引いてもらいたいのです」
山田「この状況で話し合うも何もないだろ!お断りだ!」
栗毛のウマ娘「そうですか、それでしたら――」
鹿毛のウマ娘「あー、ちょっといいかい?アタシの方から補足するね」
鹿毛のウマ娘「実はここ最近続いてた幽霊騒ぎの犯人、アタシたちなんだ。といっても、目撃者が少ない時間を狙って、この布を被って走ってるだけなんだけど」
鹿毛のウマ娘「ほら、この布。裏が黒いから、物陰でひっくり返せば、暗いところだと消えたみたいに見えるでしょ?」
山田「なんでそんなことを?」
- 87二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:12:26
◆
鹿毛のウマ娘「実は、私たちの友達で足を骨折しちゃった子がいてね。お医者さんのいう事には、元のように走れるようになるかは分からないんだって」
鹿毛のウマ娘「すごく明るい子だったんだけど、それ以来元気がなくて。気丈には振舞っていたけど、ふとした時にどこかへ消えてしまいそうな雰囲気があって。心配だったんだ」
鹿毛のウマ娘「だけど、ある日を境に少し明るさを取り戻したんだ。それとなく聞いてみたら、幽霊の噂のおかげだったんだ」
鹿毛のウマ娘「幽霊、ずっと昔にこの学校を中退した人なんだって。すごく頑張り屋で走るのが大好きな人だったんだけど、当時あったチームリーグの途中で、頑張りすぎが祟ってケガをして。そのまま治らずに失意のままいなくなっちゃったんだ」
鹿毛のウマ娘「でも、そんな人が幽霊になってまでも走っているって。今はできなくても、どんな状況でも、好きなことは諦めなくていいんだって、そういう勇気をもらったって言って笑ってたんだ」
鹿毛のウマ娘「だから私たち、相談して、その噂を本当にしようって。幽霊がずっと走り続けて、それであの子が希望を持ち続けられるんだったら」
◆
葦毛のウマ娘「いきなり襲ったのはほんっっっとにごめん!特にそっちの先生は、自分、ちょっと腕に自信があったのもあって熱くなっちゃって・・・・・・すみませんでした!」
鹿毛のウマ娘「そういうわけで、ちょっとだけ見逃してもらえないかなって。・・・・・・ダメ?」
山田「それでも、お断りだ。実際、驚いてケガしちゃってる人が出ているわけですし、このまま続けていたら、それこそ関係ない人がその友人と同じことになってしまう可能性もあるじゃないか」
栗毛のウマ娘「・・・・・・そうですか、それでしたら仕方がありません。あなた方にはもうしばらくここにいてもらいます。明日、またお返事を伺います。いい返事をいただけることを期待しています」
山田「おい!待て!縄、ほどいていけ!!おい!」
- 88二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:12:49
*3人が部屋を出ていき、扉が施錠された。
上田「おーい!誰か!おーい!!クソッ、なんて分厚い壁だ。音が外まで届いていない!」
山田「さあ、困ったことになったぞぅ・・・・・」
上田「このまま誰も来なかったらどうする!?水は!?食べ物は!?一生このままなのか!?」
山田「んん~、裂けてー!・・・・・・ダメか。指一本動かない、やつら無駄にしっかり結びやがって。これは本当にまずいぞ」
上田「ふざけるな、私が死ぬのは人類にとって最も大きな損失だぞ!!こんなことが許されていいわけがない!!!ああ、やだ!!死にたくない!!!!死にたくない!!!!!ああ!!ああ!!ああ!!!!あぁぁ・・・・・・」
上田「・・・・・・?」
上田「!!」
山田「上田、うっさい!!少し静かに――」
山田「――上田さん?どうやって縄から抜け出したんですか!?」
上田「ふっふっふ、私くらいになると簡単なことだ。熱膨張の原理を利用したんだ」
山田「熱膨張・・・・・・?」
- 89二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:13:10
上田「ああ。物質には熱がたまると大きくなる性質があるんだ。縛られるときに自分の体と縄の間に『大きな棒』のようなものを挟んでおけば、それが冷めて縮むことによって、縄と自分の体の間に隙間ができる」
上田「私は常に『大きな棒』を持っているのだが、今日は特にそれが一段と『大きな棒』になっていたんだ」
上田「私が先ほど死を覚悟したとき、私の持っている『大きな棒』が急激にギュッと縮んで縄にかなりの余裕ができた」
上田「あとは簡単だ。私はオオトカゲの尾のようにパワフルに体をくねらせ、縄から脱出したというわけさ。どうだ恐れ入っただろ」
山田&上田「・・・・・・」
山田「・・・・・・それ、昨日からずっと大きいままだったんですか?」
- 90二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:26:16
ここまで熱膨張を有効活用できるのは、上条さんと上田先生くらいだよ…
- 91二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:27:31
熱膨張というか勃起………
- 92二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:55:50
- 93二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:56:15
◆◆◆◆◆◆
~トレセン学園・理事長室~
秋川「賞賛ッ!!幽霊について調べが付いたとか!」
駿川「ありがとうございます!それで、どうだったんですか?」
上田「はい。実は幽霊騒動を起こしていた3人組が理由とやり口を白状しましてね。これから――」
山田「ちょっとまて上田!実は後2人、この件を語るうえで不可欠な人をここに呼び出しているんです。度々ある目撃例のほとんどは、この報告書にある3人なのですが――」
*山田は『ほう吉しょ』とミミズののたくったような字で書かれた資料をたづなに渡した。
山田「最初と、その次の目撃例だけ、違う人の仕業だったんです」
たづな「違う人?それはいったい誰なんですか?」
???「「失礼します」ぅ」
*理事長室の扉が開き、2人組が入ってきた。
ドトウ「あ、あのぅ・・・何かあったんですかぁ?」
オペラオー「はーっはっはっは!まさかボクたちが呼ばれるとは!」
秋川「驚愕ッ!!まさか、その2人とは!?」
山田「はい、彼らです」
- 94二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:56:37
◆
山田「まず、駿川さんとスカーレットさんが目撃した『幽霊』は、白い布、例えばカーテンか何かを被ったドトウさんだったんです」
山田「これは完全に偶然だったと言っていいでしょう。夜、とある理由から先を急いでいたドトウさんの上に、屋上に干されていたカーテンが風で飛んできたんです。とっさに取ることもできずカーテンを被ってしまったドトウさんを、こちらもたまたま通りかかったスカーレットさんが見て、幽霊と勘違いしてしまった」
山田「その後、前が見えないまま走っていたドトウさんは『大樹のウロ』につまずいて転落。暗い中だったため、遠くからはあたかも突然消えたかのように見えたのです。その際に破れたカーテンの切れ端が『大樹のウロ』に引っかかっていました」
上田「じゃあ、幽霊が言っていたという『シラオキ』というのは?」
山田「それは聞き間違えです。おそらく本当は『白くて大きい布がぁ~!』と言っていたのでしょう」
上田「『シロ』くて『オ』お『キ』い布が、か。人間は耳から入った情報を、一度脳内で知識と照合して意味のある文として組み立てなおす。カーテンを被っていたという事は声もくぐもっていただろうから、確かに、あり得ない話ではない」
- 95二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:56:59
山田「次の目撃例、私と上田さんが見たものと同じだったと推測できますが、これはオペラオーさんが仕込んだものでした」
山田「中庭の木陰に巻き取り式の黒幕のようなものを立てて、そこに練習風景を撮った映像をプロジェクターで投影したんです」
山田「映像資料室のプロジェクターの近くに手鏡が置いてありました。おそらくオペラオーさんはこれを使って仕掛けを作り、光を曲げて、木陰まで映像を持って行ったのでしょう。映像はタイマー機能を使って自動的に再生され、切れるようになっていたはずです」
山田「上田さんが驚いて気絶した後、オペラオーさんは『様子を見てくる』といって中庭へ出ていき、黒幕を巻き取って『大樹のウロ』の中へ投げ込んだ。そして私が現場に到着したことを見計らい、自らライトを取り出して私の代わりに照らして見せたのです。このとき、『大樹のウロ』の中を自然に避けるにして照らしてしまえば、仕掛けが見つかってしまう可能性は低いでしょう」
◆
山田「2つの目撃例のトリックはこんなところです」
駿川「ちょっと待ってください!最初に目撃された幽霊は偶然の事故だったんでしょう?だったら、次の日にドトウさんがスカーレットさんに理由を説明して謝っていれば、続く目撃例なんてなかったはずです!」
山田「そのとおりです。しかし、ドトウさんにはそれができない理由があった。オペラオーさんが偽装の幽霊工作を行った理由も同じで、それはおそらく――」
オペラオー「はーっはっはっはっはっは!」
オペラオー「理由なら簡単だよ!ドトウが幽霊と間違われたのを見て、ちょうどハロウィンも近かったからね、少し趣向を凝らした悪戯を演出してみようと思ったんだ。学園を覆うワイルドハント、そしてその美しき王ことボク。これは素晴らしい演目になりそうじゃないか!だから――」
- 96二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:57:21
ドトウ「ち、違いますぅぅぅぅぅ!!!!!!」
オペラオー「ド、ドトウ!?」
ドトウ「オペラオーさんはそんなことしません!全部、全部私が悪いんですぅ!」
ドトウ「実はあの日、この子たちがいなくなっちゃったから探しに行ってたんですぅ」
たぬき’s「「「「「「ヴッフ」」」」」」
山田「(連れてきたのか。しかも、数多っ!)」
ドトウ「この子たち、夏合宿からついてきちゃったみたいでぇ・・・・・・見つかったらどうなるか分からないからって、フクキタルさんに手伝ってもらいながらこっそり面倒を見てあげてたんですぅ」
ドトウ「でもあの日、1匹どこかに行っちゃってて・・・見つけて追いかけてたらスカーレットさんと・・・・・・」
ドトウ「オペラオーさんは、きっとそんな私たちのことをかばうためにこんなことをしてくれたんですぅ!そうしたら・・・・・・」
上田「使った映像がたまたま故障で中退した先輩のもので、それを心の支えにする生徒が出てきたために言い出せなくなってしまったのか・・・・・・」
オペラオー「・・・・・・ふっ。はーっはっは!」
ドトウ&オペラオー「「ごめんなさい!!」」
- 97二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:58:18
◆◆◆◆◆◆
~次郎号・車内~
山田「上田さん」
上田「なんだ」
山田「今回、珍しくちゃんと報酬をもらえましたね」
上田「そうだな」
山田&上田「・・・・・・」
山田「上田さん」
上田「なんだ」
山田「あのたぬきたち、伝染病とかの検査の為に一度保健所に引き取られるって言ってましたね」
上田「ああ」
山田「あの3人組も、何も言いませんでしたが、私たちが帰るとき恨めしそうにこっちを見てて・・・・・・友達の子、立ち直れますかね?」
上田「さあ、どうだろうな」
山田&上田「・・・・・・」
上田「・・・・・・まあ、心配はいらないだろう。あれだけ心配してくれる友人がいたんだ。やり方はともかく、今回のことが明らかになったことで、どれだけ思ってくれていたのかがはっきりとわかったはずだ」
上田「幽霊なんて不確かなものなんかより、確かな友情の方がはるかに心強い支えになるだろうさ」
山田「なんだ、今回はずいぶんわかったようなことを言うじゃないか、上田」
上田「せっかくのコラボだ、最後ぐらいかっこよく締めたいだろ」
山田「おい、上田」
上田「なんだ」
山田「・・・・・・コラボって・・・・・・なんだ?」
山田&上田「・・・・・・」
- 98二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:58:35
上田「しかし、君の解説で一点だけわからなかったことがある」
山田「奇遇ですね。私も一つだけ納得がいかなくて」
上田「なんだ、言ってみろ」
山田「どうして駿川さんは、宿直室からあんなにもはっきりと中庭の様子がわかったんですかね?近くで見ても真っ暗でほとんど何も見えなかったのに」
山田「もしかしてあの2人、最初から全部知ってたんじゃないですか?」
上田「ふん、そんなバ鹿な。だいたい、それにどんなメリットがある?」
山田「全部知ってて、そのうえで外部の私たちに調査させることで、『幽霊なんていないんだ』と社会的に印象づけたかったとか」
上田「もともといないのだから、印象付けるも何もないだろう」
山田「それは・・・・・・そうですが」
山田「上田さんは?」
上田「ああ。大したことではないんだが・・・・・・朝から晩まで屋上で踊っている人影があったり、私たちが『幽霊』を見たときに2階にズラッと並んでこちらを無表情に見下ろしてくるウマ娘たちがいただろう?君の説明では全く触れられていなかったが、あれはいったいどういう手口だったんだ?」
山田「は?なんの話ですか?そんなもの、私、見てないですけど。まるで典型的な怖い話じゃないですか」
上田「 」
山田「おい、上田?上田さん?おい!運転しながら気絶するな!!おい!!」
- 99二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 16:58:53
*完結ッ!!
- 100二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 17:01:10
以上です。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。
感想や保守、非常に嬉しかったです。
両方の原作も、よかったら是非、手に取ってくださいね!
最後にもう一度、ありがとうございました! - 101二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 17:18:27
乙!
俺は勘が悪いから結局3人組のウマ娘が誰なのか分からなかったけど面白かったよ - 102二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 17:31:15
- 103二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 17:52:42
- 104二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 18:29:55
- 105二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 19:42:47
>山田「それは聞き間違えです。おそらく本当は『白くて大きい布がぁ~!』と言っていたのでしょう」
>上田「『シロ』くて『オ』お『キ』い布が、か。
引っ叩くぞwww
- 106二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:03:59
最後特に意味もなく巻き込まれるフクキタルで芝
乙でした - 107二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:05:27
なげえ!力作すぎる……
- 108二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:08:24
例のBGMが聞こえてくる…
- 109二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:09:35
- 110二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:14:03
- 111二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:19:52
- 112二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:22:30
久々にトリックみたら卵の色が毎回変わってるわけじゃなくて驚いたの思い出した
シーズン毎だったんだよなあれ - 113二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20:34:40
- 114二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21:44:22
- 115二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:11:45