【閲覧注意・ダイス】ここだけキッドが【クロス注意?】part3

  • 1二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:04:55

    代理で建てましたァ2の主ではないので2の主はお好きにお使いください

  • 2二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:06:55

    >>1

    すいません。ありがとうございます。


    実はリゼロのスバルみたいなオートセーブ&記憶引き継ぎタイプの死に戻り能力を何故か持ってて、死にまくって何度もループしている世界。SS多め。

  • 3二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:08:29

    今のところ出てる人たち
    キッド→一番始めに死に戻りし始める羽目にあった人。未だに死に戻りは解除されてない。現在4950回目のループ中。知識欲の神という名の邪神に気に入られ人生を実験されてる。死に戻りをありがたいと思っているうえに仲間が一人でも死んだら即ループしていた。今のところは正規ルート進めてる。解除条件は「海賊王もしくはそれに近い地位を得ること」。ifルートがものっすごい地獄。「仲間の存在」が鍵か?
    試練である『ありうべからざる今を見よ』に耐えきれずSAN値チェック大失敗した結果発狂したがルフィたちのお陰で回復した。過去のループにおいて仲間に打ち明けたが失敗し、諦めたら相棒が目の前で亡くなり発狂で投げやりになってたが、ようやく誰かを頼る気になった。
    ルフィ→未だに死に戻りは解除されていない。ブルックが死に戻り解除されたことにより仲間に死に戻りがバレた。現場は勿論大混乱に陥った。ニカの悪ふざけで死に戻り能力を得るはめに。解除方法は「仲間を死なせずにラフテルへ行く」。ぶっちゃけifルートが存在しないので順調とも言える。死亡回数は68回。太陽神。ギザ男?友達だ!だから頼ってくれていいんだぞ!
    トラファルガー→今のルートで最初にキッドが死に戻りしていると知った人物。キッドのことは信頼してる。キッドの死に戻りを知ってるのは正規ルートでもifルートでもあり得る可能性。ルフィもしてると聞いて度肝抜かれた。推理担当。ごめん、未だに君の能力どう書けばいいか分かんない。

  • 4二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:08:41

    (現在アダマントに攫われステュクスに囚われてる人たち。2日以内にアダマントを倒さないと出れなくなる。)
    麦わら→ブルックの解除で死に戻りのループ内の記憶が入ってきたうえルフィもしてると気づいて大混乱になった。ブルックはルフィと共に死に戻りさせられてたが、ルフィがワノ国で四皇になったため解除条件の「海賊王もしくはそれに近い地位を得る」が四皇のクルーにブルックがなったという形で満たされ解除された。
    キラー→幼い頃ですら見たことがないくらい弱ったキッドに混乱しつつ知ってる人たちに頼ってくれた人。アダマントのキッドをループさせた理由に激怒して刺したが、逆に全身を刺された。ループ内でキッドが完全に諦めた周回でキッドを庇い目の前で死んでいる。
    キッド海賊団→キッドが『死に戻り』していることに気付いた。過去のループにおいてキッド除いた30人中28人死んだ経験あり。過去にキッドは話したが、キッドが目の前で死亡する形になった際ひどく落ち込んだため、それがキッドのトラウマになった。
    ハートの海賊団→完全に巻き込まれ事故。ごめん。

    アダマント(知識欲の神) 多分邪神。キッドの死んでも死んでも耐える根性を気に入って死に戻りを与え観察していたが、飽きたので三船長のクルーを連れ去ってきた。見た目が旗揚げ当時のキッドに似ている。ただ目隠れボッサボサ長髪。コイツの言う脳だけ云々はアレです。パワ/プロのバカ王子のバッドエンド的なアレです。
    ニカ 知識欲の神の死に戻りに悪ふざけでノッてルフィとブルックに死に戻りを与えた。でも、分岐ルートありでそのルートが地獄な知識欲の神に対してこっちは解除しやすい条件&ifルート無しとまだ優しいほう。

  • 5二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:10:01
  • 6二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:20:33

    立ておつ

  • 7二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:21:14

    たておつ~
    ここからどうなるのか楽しみ

  • 8二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:25:10

    こっちも10までksk

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:26:00

    楽しみ

  • 10二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:31:35

    曇らせも晴らしも楽しみ

  • 11二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 16:37:55

    よし200でハッピーエンドになる呪いが掛けられましたね

  • 12二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 17:59:18

    でえじょえぶだ。今のところトゥルーエンド路線には行ってるから。ハッピーは…欲しいですかね?キラーさんの笑い声忘れすぎだろ!


    「っ!」

    「あ!動いちゃダメだ!まだ傷口が塞がってないんだ!」

    「ファッファッ。お前は…麦わらのところの…」

    「そうなんすよ、キラーさん!このタヌキが助けてくれて…!」

    「そうなのか…。すまねえ、タヌキ。恩に着る。」

    「無事なら良かった…って、タヌキじゃねぇ!!!」

    「タヌキが怒ったぁ!?」

    「にしても、ファッファッ。何処だ?ここは」


    ここは

    1、「記憶の間『レーテー』らしいわ。」

    2、「おれ達もよく分かってなくて…取り敢えず安全そうな所に連れてきたんだ。」

    3、「なんか、本がいっぱいあるところだな…」

    dice1d3=1 (1)

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 19:21:14

    個人的なイメージですが、キッドも「泣いた赤鬼」の話聞いたらくだらないなって感想言いそうなイメージです。「マッチ売りの少女」はハートの海賊団特攻なイメージもある。


    「ここは記憶の間『レーテー』らしいわ。」

    「ファッファッファッ。…ニコ・ロビンか。」

    「ええ。無事そうで何よりだわ、マスクくん」

    「……お前らの仲間は」

    「いま、ゾロたちはアダマントと戦っているわ」

    「!」

    「『倒すことさえ出来れば戻れる』って走っていったのよ」

    「………ファッファッ。…ここで何をしているんだ」

    「ここはどうやら、」

    1、島の過去の記録が残っている

    2 、“アダマント”の歴史が事細かに書いているものがあった

    3、上記2つ+古代文字で書かれているためロビンが解読してる。

    dice1d3=2 (2)

  • 14二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 21:27:09

    今日はここまでにします。アダマントに関してはマジで色んな神話と俺の偏見を混ぜたような感じなので、苦手な方はお気をつけください。

  • 15二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 21:59:17

    乙です!!楽しみに待ってる

  • 16二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 08:01:12

    ほしゅっ

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 08:14:36

    Ifルートを書いてみました。かなり雑ですし、深夜テンションで仕上げたのでかなりぐちゃぐちゃな内容です。直接的な描写は流石にありませんが、キャラの死亡描写や殺害描写、無駄に目立つオリジナルキャラ、キッドのキャラ崩壊などが含まれています。苦手な方はご注意ください。


    【ifルート】punk ass chump(文章力がないので短いです。ダイジェスト形式。オリジナルキャラがやけに出張ります。ガッツリというほどではないですがキャラの死亡描写と殺害描写があります。)


    ――――――――――目が、冴えている。

    酷く、混乱している。

    なのに、落ち着いている。

    冷や汗が、止まらない。


    「お前、ら…」


    いない。

    いないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいない。

    どこ?何処へ行った?おれの仲間は何処へ行った?

    ……………。

    なぜ?なにが、あった?

    目の前に広がる無数の屍をじっと見つめる。

    自分がへたり込んでいるのが分かる。それなのに、立ち上がろうとしても力が入らない。

    自分が自分でなくなってしまったように。肉体を乗っ取られてしまったように。自由を奪われたように。

    それなのに、頭だけはやけに回っている。

    理解を拒絶しているのに、処理するのを拒んでいるのに、勝手に分かっていく。

    痛みと苦しみの中、溢れ出ている自身の頭からの血が影響したのか。

    冷静に、理解をしてゆく。

    やめてくれ、頼む。


    倒れてる仲間を、相棒を、自分は、

    溢れ出て、落ちていく血を見つめるしかできない。


    後悔、している…
    telegra.ph
  • 18二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 09:26:54

    >>17

    キッッッツ…

    けどいいな、〆の言葉めっちゃ好き

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:01:44

    >>17

    あーーーーー…………(虚無)

    誰かの下についてるとかいう正規のキッドがタヒんでもやらなさそうな事をしているifキッドさん…尊厳破壊だぁ…(白目)

    ハト麦の2人が最後までキッドを止めようと足掻いてくれてるのが、より悲しくて好きです

    …あら?首持ってきてないという事は、つまりその場で息絶えるまで見守ってから首を獲らずに埋葬した可能性が?

    それかニカの奇跡が起きて、何とかライフちょい回復して復活したルフィが、死にかけのローを抱えて逃げたのを2人とも見逃がした可能性?後者であって欲しいなぁ~…そしたら、ちょっとだけ希望が潰えてない感じがするし

    まあ勝手な妄想なんですけどね!!


    めちゃくちゃ良かったです…ありがとうございました!!


    🍢🔫🐉<語り継がれる…

  • 20二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:13:06

    >>18

    >>19

    ありがとうございます!!実はTelegraph初めて使いました。…おまけじゃないですけど、解説ならぬ設定があるんですけど…。いります?

  • 21二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:17:11

    >>20

    是非!!解説で希望を持つのか絶望に叩き落とされるのか…楽しみー!!

  • 22二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:25:29

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:26:46

    >>21

    スミマセン。間違えたので載せ直します。ありがとうございます!!!


    【ifルート】punk ass chump(文章力がないので短いです。ダイジェスト形式。オリジナルキャラがやけに出張ります。ガッツリというほどではないですがキャラの死亡描写と殺害描写があります。)


    ――――――――――目が、冴えている。

    酷く、混乱している。

    なのに、落ち着いている。

    冷や汗が、止まらない。


    「お前、ら…」


    いない。

    いないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいない。

    どこ?何処へ行った?おれの仲間は何処へ行った?

    ……………。

    なぜ?なにが、あった?

    目の前に広がる無数の屍をじっと見つめる。

    自分がへたり込んでいるのが分かる。それなのに、立ち上がろうとしても力が入らない。

    自分が自分でなくなってしまったように。肉体を乗っ取られてしまったように。自由を奪われたように。

    それなのに、頭だけはやけに回っている。

    理解を拒絶しているのに、処理するのを拒んでいるのに、勝手に分かっていく。

    痛みと苦しみの中、溢れ出ている自身の頭からの血が影響したのか。

    冷静に、理解をしてゆく。

    やめてくれ、頼む。


    倒れてる仲間を、相棒を、自分は、

    溢れ出て、落ちていく血を見つめるしかできない。


    後悔、している…
    telegra.ph
  • 24二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:33:50

    >>22

    >>23

    大丈夫です!!貼れてますよ!!

    わぁ……ァ……好きです(血涙)

    最後は飽きた神様に解放されてて欲しい所ですが…つら…

    おお、2人の事は此方の想像に任せて貰えて良かった…勝手にニカパワーでの超回復と、それで少し動けるようになったローによる適切な処置で命からがら2人とも生き延びたと思っておきます…せめて、ifキッドが死んでいたなら、それをちゃんと知って埋葬してあげて欲しい

    そのまま2人で意地でも生きていって欲しいです

    ここからでも海賊王目指してこう!!(無茶振り)

  • 25二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 10:58:12

    >>17

    すみません。貼り直します。


    【ifルート】punk ass chump(文章力がないので短いです。ダイジェスト形式。オリジナルキャラがやけに出張ります。ガッツリというほどではないですがキャラの死亡描写と殺害描写があります。)


    ――――――――――目が、冴えている。

    酷く、混乱している。

    なのに、落ち着いている。

    冷や汗が、止まらない。


    「お前、ら…」


    いない。

    いないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいない。

    どこ?何処へ行った?おれの仲間は何処へ行った?

    ……………。

    なぜ?なにが、あった?

    目の前に広がる無数の屍をじっと見つめる。

    自分がへたり込んでいるのが分かる。それなのに、立ち上がろうとしても力が入らない。

    自分が自分でなくなってしまったように。肉体を乗っ取られてしまったように。自由を奪われたように。

    それなのに、頭だけはやけに回っている。

    理解を拒絶しているのに、処理するのを拒んでいるのに、勝手に分かっていく。

    痛みと苦しみの中、溢れ出ている自身の頭からの血が影響したのか。

    冷静に、理解をしてゆく。

    やめてくれ、頼む。


    倒れてる仲間を、相棒を、自分は、

    溢れ出て、落ちていく血を見つめるしかできない。


    後悔、している…
    telegra.ph
  • 26二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 15:52:22

    最近ポ|ケ|モンをしてるんですが、とうとう男主人公を男の娘にするという暴挙を犯しました。一個前の剣|盾でも女主人公を雄んなの子にしました。おれはもうダメだ。ちなみに御三家はニャ|オハです。ブレねえなオイ。


    「ここはどうやら、書庫みたいね。」

    「ファッファッファッ。なんでそんなもんが…」

    「分からないわ。でも、」

    そう言ってロビンは手に取っていた本の中身を見せる。

    その中身は

    「“アダマントの歴史”?」

    「ええ、どうやらアレは本当にこの島…アダマン島の神様みたいね。

    しかも、これはここ最近のものではないわ。百年以上前、もしかしたらもっと古いのかもしれない」

    「、!?」

    「ニコ・ロビン。それがなんか関係あんの?」

    「………アレが本当に神様なら、それに至る何かがあるはず。そこを探れば倒す方法も分かるかもしれない。」

    「ロビン、それ、おれたちにも読めるのか?」


    1、いいえ、これは古代文字の中でも古い方の文字だわ。

    2、……恐らく。

    dice1d2=1 (1)

  • 27二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 16:03:49

    ロビン以外解読不可か……

  • 28二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:01:07

    関係ないかもしれませんがifルートのキッドの見た目のイメージはこんな感じです。

    朔太郎製メーカー楽しかったけど大変でした。男の人が作れます。

    不具合が出る組み合わせが多いので使いにくいと思います。

    ランダムだと大変な化け物が生成されるのでお気をつけて。

    アイコン、TRPGでの使用、色加工などご自由にどうぞ。

    トレス、自作発言、商業利用など、一般常識に従って迷惑行為はおやめください。

    (追記)アイコンや立ち絵等で使う際には「朔太郎製メーカー」を明記していただければ作者が見回ってうふふするのでよろしくお願いします!!!

    その際にこのパーツが欲しいとか添えて貰えたらそのうち入れたりするかもしれない。

    ・2022/06/01 諸々付け加え

    ・2022/06/02 入れ忘れ付け加え

    ・2022/06/07  追記
    picrew.me

    さんのをお借りしました。



    「え?でもさっきのは読めた…」

    「あれは恐らく、簡易版だ。子どもでも読めるようにしてあるんだろう。」

    「じゃあ、どうすれば!?」

    「大丈夫だぞ!ロビンなら読めるんだ!でも…」

    「ええ。でも少し量が多いのよ。でも、少し調べたら、こんなものがあったの」

    「なんだ?」


    1、アダマン島は元々は『クロノス島』という名前だった。

    2、かなり古い記録書の生贄リストに『アダマント』の名前があった

    3、ある時を境に生贄制度が無くなり島の名前が『アダマン島』になった。

    dice1d3=2 (2)

  • 29二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:07:57

    うぉおifキッドさんかっこよ…!!これはアサシンですわ

    てかアダマントさん!?まさかの生け贄とは…!

  • 30二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 19:58:29

    「確か…ここね」ペラペラ
    「?」
    「…×××年、ナイト、メアリー」
    「は?」
    「××○年、アイオ、ホーラ」
    「ファッファッ、いきなりどうした?」
    「随分と表紙が古いから、何なのかと読んでみたの。そしたら、これは、」
    「……生贄の記録とか?」
    「!?」
    「…ええ。そのようだわ。」
    「生贄って…!」
    「……この島では定期的に生贄を捧げる風習があった。」
    「ファッファッ。
    ニコ・ロビン、それとあの自称神がなんの関係があるんだ?生贄がアイツのためってところか?」
    「いえ、この記録は一時を境に止まっているわ」
    「じゃあ、もうやってないんだな!」
    「ええ、そして、最後に捧げられた人物の名前は“ダリーナ”と、」

    「そして、“アダマント”。そう記されていたわ。」

  • 31二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:17:32

    今日はここまでにします。そろそろキッドたち目線と戦ってるゾロたち目線も書きたい!

  • 32二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:19:05

    乙です!!いよいよ核心に迫ってきた!!

  • 33二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:16:43

    ほしゅまにあった!

  • 34二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 09:11:57

    一時グ|ノー|シ|アをずっとやってたんですが、あのゲームをキッド海賊団でパロディするならセ|ツのポジションはキッドなのかなーって思ってます。キラーさんは意外とジ|ナなイメージ。


    inアダマン島港


    「「は?」」

    「……………。」

    「………いきなりどうした?」

    唐突に自分を気絶させろ、と言われたら人はどうなるだろうか?

    答えは、意味が分からなくて困惑する、である。少なくとも自分たちはそうなった。


    「……理由もなく言ってるわけじゃねえぞ」

    「じゃあなんだ?まさか、また、もういいなんて言うんじゃねーだろうな!」

    「………言わねえよ。……少し落ち着いたからな。」

    「……なにか、考えでもあるのか?」

    「ああ」


    1、『試練』が最初に発動したのが自分が寝落ちかけた時だった。

    2、先程、眠っている時に、また『試練』が起きた

    3、上記2つ+そこから考えると自分の意識が無くなると『試練』が起こると考えた

    dice1d3=1 (1)

  • 35二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 12:04:48

    キラーさんのあだ名が分からないのでルフィ→マスクのやつ、ロビン→マスクくん、ロー→マスク屋にしてます。殺戮武人屋もありかな?


    「……その『試練』っての時、おれは寝落ちをしかけてた。」

    「?」

    「あまり詳しくは覚えてねえが、確か船で寝てた筈だ。」

    「……そういえば、マスク屋もそう言ってたな。寝て起きたらいきなり様子が変わった、と。」

    「……ああ。」

    「で、それがなんだ」

    「『試練』がまだ受けることが出来るってなら何か条件があるはずだ。」


    1、そういやギザ男、寝てる時めちゃくちゃ魘されてたな。それも関係あんのか?

    2、……眠ったら、『試練』が始まる、と?

    3、……おれが意識を無くせば『試練』が起こるんじゃねえか?

    dice1d3=1 (1)

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 15:36:38

    「そういやギザ男、寝てる時めちゃくちゃ魘されてたな。それも関係あんのか?」
    「……あんまり覚えてねぇが、恐らく、その時も、」
    「……意識が飛んだら『試練』が受けれるって言いてえのか」
    「…………ああ。」

    「正直に言うが、上手くいくか自信はねえ。一度見ただけなら兎も角、二度目ですらあのザマだからな。」
    「ならおれは『試練』をユースタス屋が乗り越える方に賭ける」
    「じゃあおれは『試練』にギザ男が成功する方に賭ける!」
    「何をいきなり…。しかも、どっちも同じかよ。どっちも勝ったらどうする気だ」
    「…さあな、だがお前の話に興味がある」
    「宴だ!一緒に宴しよう!」
    「はは、そうか…」

    「それじゃあ、
    また後で会おうぜ」




    「…、…………おれを、死なせないでくれて、信頼してくれて、」

    「………………ありがとな」

  • 37二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 15:41:52

    どうやって気絶させる?

    1、ゴムゴムの象銃

    2、ガンマナイフ

    3、両方

    dice1d3=3 (3)

  • 38二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 15:45:05

    オ、オーバーキル……まあキッドは頑丈だからそれくらいしないと気絶しないか

  • 39二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 16:34:51

    容赦なしかテメェら。🎲くんが相変わらずで安心したよ。お前船降りろ。

    in“ステュクス”
    「っ!!!」
    「っ、オラァ!!」
    刺す、蹴る、打つ。
    攻撃の手を止めない。
    アダマントを倒すためにも。
    元の世界に帰るためにも。

    〘ずいぶんと〙〘必死だな?〙
    「っ当たり前だろ!!」
    〘それもそうか〙
    後ろからのペンギンの蹴りを躱しつつアダマントは話し続ける。

    「っらぁ!」
    〘そんなに現し世に戻りたいのか〙〘理解出来ねえ〙
    〘まあ魅力的なのは認める〙〘帰る場所があるのはいいことだ〙
    「っっ!!言ってることが矛盾してんぞ!?」
    多勢に無勢。一対複数人。そのはずなのに、圧倒されているのは複数の方だ。
    ゾロは焦りを感じ始めていた。
    先程も斬った筈だった。
    にもかかわらず―――

    〘どうした〙〘そんなに見て〙
    傷口が、キレイに消えている。
    まるで、最初から何も無かったかのように。

    「……どうなってやがんだ…っ!」

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:23:32

    今日はここまでにします。見ていただきありがとうございました。

  • 41二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 22:56:09

    乙です!!頑張れ!!皆頑張れ!!

  • 42二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 07:49:08

  • 43二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 07:57:45

    「っオラァ!!」

    〘浅い〙ガスッ

    「っ!?!」ドゴッ

    ブギの身体が壁に勢いよく叩きつけられる。

    なぜだ。先程からこちらの攻撃は確実に当たっている。にもかかわらず、ダメージを受ける様子がない。

    先程見た傷口の消滅にも驚いたが、ずっと攻撃を受け続けてダメージゼロなど、有りえない。


    〘気になったんだが、〙

    「!?」

    〘どれくらい痛めつければ内臓が爆発したりするんだ?〙〘試してみるか〙


    〘安心しろ、ここで死ぬことはない〙〘ちょっと耐えろよ〙


    1、煉獄鬼斬り!!(左腕切断)

    2、ウオラッ!!(左腕を刺す)

    3、ブギから離れろっ!!(左腕貫通)

    dice1d3=1 (1)

  • 44二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 13:21:17

    おっいいかんじじゃないか!?

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 15:29:46

    「煉獄鬼斬り!!」

    「おわ!?」〘?〙

    手応えが、あった。

    斬れた、左腕は。

    ……………いや待て。違う。

    斬った際の重さが、違う。

    硬さが、違う。

    「!?」

    ガシャン!、ゴト!

    “明らかに人の腕では無い音”を立ててアダマントの左腕は地面に落ちた。


    「…!?」

    「なんだ、その腕、」

    〘ああ〙〘これか〙

    〘何故か初めから無い〙

    〘だから〙〘作っただけだ〙


    その左腕は“鉄で出来た義手”だった。

    「は?」

    「………カシラ、?」

    あまりにも、酷似、している。

    〘?〙

    「なんで、頭の能力を、テメェが」

    〘は?〙〘この能力自体は初めから持っていた〙

    「なら…」


    1、「アンタ、キッドの頭なのか!?だったら、なんでこんなこと!?」

    2、「なんで、テメェが持ってんだよ!」

    3、「…カシラ、は…」

    dice1d3=3 (3)

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 15:59:08

    〘…………。〙

    腹に一撃。腹を、貫通して、刺さる。
    左腕が無いにも関わらず。
    「っグブッ!?」
    〘鬱陶しいな〙〘戦う気ないなら寝てろ〙
    「ヒート!!」
    〘五月蝿い〙
    「っ、ア、!!」
    駆け寄ってきたワイヤーが蹴り飛ばされる。
    地に付したまま、疑問を投げ掛ける。

    「……ッ、デメ、ェは、何者、だっ、!?」
    〘決まってるだろ〙

    〘神様だよ〙
    〘求められた、な。〙

    〘なりたくて成ったわけじゃねえぞ〙

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:01:11

    ちょっと戻ってる?

  • 48二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:06:26

    「「「………!」」」
    「ヒートさん!ワイヤーさん!」
    キッド海賊団のクルーが二人へと駆け寄る。傷は深くない。だが、痛みを堪えている。
    〘にしても、〙〘腕を斬られるとはな〙〘油断は…〙〘…してなかったな〙
    〘じゃあ〙〘“対等に戦う”か〙
    「あ!?」
    そう言うと斬られたはずの左腕が形を変え、そして、
    「………んだソレ」
    強大な剣に形を変えた。

    〘…あ〙〘これだと片手で戦いにくいな〙
    「は?」
    〘こうするか〙
    剣が形を変える。すると、
    〘コレでよし〙
    剣は巨大な鎌に形を変えた。
    「どこが、コレでよしだ!?」
    〘ほざけ〙〘誰だって鎌なら片手で使えるだろ〙
    「使えるわけねーだろ!!?」
    〘………え?〙キョトン
    「何その顔!?」
    〘……へ、ヘエ〙〘知らなかった〙〘人間って〙〘そんなにひ弱だったか?〙
    〘最後に現し世に出たのって何時だったか〙〘もう覚えてないな?〙
    〘…………俺が出てこない内に、〙〘人間、不器用になったか?〙
    「もとから人間は片手で大鎌なんざ使えねーよ!!!?」

    〘ま、まあいい〙〘そこまで戦いたいなら〙〘徹底的に、だ〙
    そうして大鎌を構える。
    戦いが、再開した。

  • 49二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:18:23

    片手で大鎌…鎌ぞう…?

  • 50二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:26:36

    in??????


    「……イッテェ!あいつら、容赦なくやりやがって…」

    ユースタス・キッドは目を覚ました。正確には気絶したのだが、意識がある。

    辺りを見渡す。なにもない、暗い場所だ。



    「……何処だ?此処は」

    ゆっくりと立ち上がり、探索をしようとする。


    [ここは『追憶の間』“ムネモシュネ”だ。

    本来ならアダマン島の地下にある聖廟でここに来れる。]

    「!?誰だ、テメェ!」

    […ユースタス・キャプテンキッド、だな]

    「…あ?」

    そこにいたのは

    1、なんか見覚えのある人

    2、キラー

    3、キッド海賊団のクルーの一人

    dice1d3=1 (1)

  • 51二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:28:16

    見覚えある?誰だ……

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:38:58

    「………あ!?」
    何故、ここにいるのか。
    「ブギ、お前、なんでここに…!」
    [勘違いしているようで悪いが、私は君のいうブギとやらではない。]
    「!?」
    姿が、変わった。先程まで、“ソレ”はブギの姿をしていたのだ。それが、
    [おれは『試練』の案内人、ウィルだ。
    ようやく正式に『試練』に受ける気になったか]
    ヒップに、なった。バブルガムに、なった。パパスに、なった。キラーに、なった。
    変わる、変わる。見た目が、声が、話し方が。


    「………もう訳分かんねぇよ」
    顔が引き攣ってるのが嫌でも分かった。

  • 53二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:39:56

    きつっっつ……

  • 54二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 17:52:27

    動揺している。いきなり理解の範疇を通り越した者が現れてしまった。

    [ようやくまともに『試練』に受ける気になってくれて助かるわー。
    今まで勝手に受けては勝手に消えてたから案内するに出来なくて何だコイツ…ってなってたんだ]
    「待て、待ってくれ。
    ………お前のその姿は、何だ?」
    [いやー、何度も無断で受けてたから、とてつもない馬鹿が来たなって思ってたんだよ]
    「おい、コッチの話聞く気なしか」
    [にしてもどうやって来……え?気絶してきたの?なにしてんの?]
    「話しを!聞け!あと誰がバカだ!!」
    [いやいや普通に島の聖廟に入ってお祈りすれば受けられるものですよコレ、なんで気絶してるです?は?え?]
    「その姿は!何だ!」
    [寝てたら来てた人は見たことあるが、気絶してきた人は初めてだな。弩級の馬鹿かドジとみた。]
    [話し聞く気ゼロかテメェ!!]
    動揺はどこかへ吹き飛んだ。

  • 55二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 17:53:37

    話が通じるやつが来た……

  • 56二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 19:08:01

    今日はここまでにします。ようやく試練とウィルが出てきてくれました。あと、アダマントは大鎌を片手でぶん回して戦ってます。筋力どうなってんだ

  • 57二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 23:12:00

    アダマントさんが天然ボケかましててワロタ
    頑張れキッド!!乙です!!

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 08:05:16

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 09:15:56

    >>54

    最後のセリフミスしてますが、キッドのセリフです。ようやくキッドの調子が戻ってきた気がする!


    [あーうん、聞いてる聞いてるよー?『試練』に挑みたければここに来るのは正解だしな。

    いやーでも、気絶って…何があったんだ?コケて頭でも打ったの?]

    「打ってねえ!…っていうか気絶した意味なかったのかよ…クソッ」

    [……事情は聞かない。説明に移るよ?

    ここは『追憶の間』ムネモシュネ。ここに来た者には『試練』を3つ受けてもらう]

    「……3つ?」

    [ああ、ソナタの場合は『現在』『過去』『未来』の順で受けてもらう。

    が、うーん?『過去』は受け入れてるっぽい?要らなさそう?

    いやでもここでのことは全て意味が有る筈だしそれで要らないかもって出るということは、うーん?]

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 09:17:27

    「……おかしくねえか?」
    こういった『試練』で『現在』から『過去』にそして『未来』に移行などするだろうか?
    「…ふつーに考えりゃ『過去』、『現在』、『未来』の順じゃねえのか?」
    若しくは逆か。どちらにせよ『現在』から行うことはあるのだろうか。さらに言えば、そこから『過去』に遡ることなどあるだろうか。

    「………」
    考えすぎなのかもしれない。が、先程のウィルの言葉の通りなら、『試練』の順含め何らかの意図がある。創造したアダマント本人ですら理解できていないであろう意図が。
    [どうした?もう怖気づいたか。]
    「んなわけねえだろ!!」
    [だろうな。
    そんな根性無しなら、最初の一回ですぐ止められてるだろうよ]
    「………改めて聞くが、お前のその姿はなんだ?」

  • 61二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 14:57:45

    [……テメェに言う義理があるか?]
    「………ッ」
    声のトーンが低い。明らかに嫌悪されているとわかるような態度に変わった。
    先程までの態度が嘘のようだ。

    [はいはい、『試練』一名様ご案内〜。
    次こそは失敗しないようにせいぜい気をつけてね]
    なにより、見知った声と見た目で言われるのが酷く応えた。どこか、言いようのない感情に襲われる。哀しい。怖い。辛い。
    それでも、挑まなければいけない。
    二人の、麦わらとトラファルガーの信用に、応えたい。
    ……仲間たちのことは、その後からだ。

    「っ!」
    白い光が視界を犯してゆき、真っ暗闇の世界が徐々に侵食されてゆく。
    気付けば体が地面に横倒しとなり、意識が乖離して別世界へ引っ張られていくのがわかった。
    朦朧とする意識の中で、−−−−。



    『――ありうべからざる今を見ろ』


    そう告げる、自分の声が聞こえた気がした。

  • 62二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 17:23:28

    in“レーテー”


    「アダマント!?」

    「さっきのやつが名乗ってたのだ!」

    「最後の生贄?」

    「ええ、それ以降は人身御供…生贄を捧げたりはしていない。けど……」

    「けど?」


    「この島はこの周辺の島と戦争を度々していた。」

    「………。」

    「この島自体は裕福で平和だったみたいだけど、激しい戦争を7回ほどしてるみたい。かなり昔だけれど。その時の記録だと、」


    1、その戦争は守護神が先導していたらしい。

    2、島民は皆、「アダマントさまのお陰だ」と言っていた。

    3、それ以前は『クロノス』という時の神を信仰した邪宗が島を支配していた、とあるわ。

    dice1d3=3 (3)

  • 63二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 17:52:40

    「……それが?」

    「生贄を捧げるのはそちらの方が行っていた。そして、それ以降は出ていないし、クロノスの名もほとんど出ていない、ということは、」


    1、信仰した神が変わったのかも

    2、その邪宗が崩壊したのかも

    3、島内で内乱が起きて邪宗が負けたのかも

    dice1d3=1 (1)

  • 64二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 19:03:14

    ちなみに各海賊団の女性陣は仲良し設定で書いてます。是非女子会してくれ…。なので、アダマン島探索の際には女性陣は一緒に行動してた。

    「…………」
    「前の記録がほとんど残ってないことから考えても、恐らく信仰対象ごと変わったと考えてもいいと思うわ。そして、そこからアダマントが出てきた。」
    「なんだ?まさかあのアダマントとソイツが同一人物だとでも言う気か!?だとしたらおかしすぎるぞ!?」
    「…………ねえ、ホップ。島の探索してたときに、なんかそんな伝説、あったわよね」
    「………うん。バカバカしいって思ってあんまり調べなかったけど……」
    「?どうかしたの?」
    「……イッカクと島の探索をしてたときに、聞いたんだよ。


    “人が神に成った伝説”ってやつを。」

  • 65二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 19:26:25

    今日はここまでにします。うーん、展開がグダグダしてる…。そろそろキッドの試練の内容書くつもりです。

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 19:31:02

    乙でした!!うわ~気になる~

  • 67二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 23:50:30

    乙です!!

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 07:27:47

    割とガッツリ閲覧注意かつキャラ崩壊展開なのでご注意ください。

    微睡みの中にいるような心地から目が覚める。
    何が起きたのか、わからない。
    意識の覚醒は唐突にやってきた。それはまるで、強い衝撃を与えられたようだ。

    糸が切れるように、ぶちりと、意識が切り替えられる。『死に戻り』の際、自分はそれに似たような感覚を覚える。
    死亡する直前の凄惨さと、『死に戻り』した直後の状況の齟齬は、意識や肉体の状態はもちろん、魂にすら刻み染み込まれるものなのだが。

    『――――――――』
    声を出そうとした。だが、出ることは無い。喉でも潰れたのかと喉を触ろうとした。だが、喉がない。
    いや違う。喉どころか手足や口、目という身体のすべてが存在していなかった。意識だけが宙に浮かび、まるで視点だけの存在になったように世界を俯瞰している。

    『―――――――――!』
    先程の『試練』の際には、こんなことなかった。正式な『試練』とやらだからこうなっているのかもしれない。
    不自然な、まるで夢の中にいるような肉体の欠落した感覚。それなのに、こんな状態になるのが初めてではないように思える。夢見心地だから、ということなのだろうか。

    『−−−−−−−−−−−−−−−−』
    目の前を、見る。いや、目が無い今は、首を別の方向へ向けることも目を逸らすことも出来ない。
    ただ、目の前にある――――意識に否応なく焼き付けられる光景を、見ていることしか出来ない。
    でも、それを、意味もわからず見ていることすら出来ない。

  • 69二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 07:28:34

    「――――――んで」

    直感的に、聞いてはいけないと思った。
    だから、耳を塞ごうとした。
    でも、今のおれには、耳が無かった。

    「なんで…?、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでっ!?!?」

    聞いてはならない声だった。
    気付いてはいけないことだった。
    知ってはならないものが、そこにあった。
    だが、意識がどれほどそう思ったとしても、焼き付く光景は変わらない。消えてもくれない。ただその『結果』を押し付け、刻み込んでくる。

    「なんでなんだよぉっ!頭ぁ!!」

    目から涙を流し、膝から崩れ落ちたワイヤーがそう叫ぶ。
    裏切ったことを弾劾するように、目の前の悪夢を否定するように、子どものように髪を振り乱して、狂乱したように縋りつきながら叫ぶ。



    ーーー庇うように息絶え横たわるキラーの隣で、短刀で首を掻き切って自害したユースタス・キッドの亡骸が、泣き叫ぶワイヤーの前にあった。


    なんで、自分は今ここにいるんだ。
    どうして、こんなことに気付かされた。
    失敗した。誤った。判断をしくじった。気付くべきじゃなかった。知るべきじゃなかった。思い知らされるべきじゃなかった。

    今一度。その事実に、彼は打ちのめされかけていた。

  • 70二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 14:37:50

    今、おれはいったい、何を目にしているのだろう。

    悲鳴を上げながら、なんで、と繰り返し、泣き叫ぶワイヤー。
    倒れている自身の肉体は力なく、見開かれた瞳からは生気が消えている。
    当然だ。短刀で喉を破られて、水溜りのように血を流していて生きていられるわけがない。
    自分の死体、自分の死に様を俯瞰するという稀有過ぎる状況。まるで幽霊となって、死後の情景を見せつけられているような歪な感覚がそこにはあった。そして、その感覚は大部分は間違っていても、肝心な部分は間違っていない。

     ――今、見せつけられているのは、まぎれもなく自分が死んだ後の光景なのだろう。

    覚えがある。
    おそらく、これは自分を庇ってキラーが死んだ時の、自分が完全に諦めに走ったときの結果だ。
    ひどく絶望した。それと同時に、次こそはと思った。諦めるなんて、駄目だと思った。誰一人死なせずにと心に決めた。だから、すぐにでも過去をやり直さなくてはならないと考えたのだ。
    深い考えがあったわけでもなく、衝動的に首を近くに落ちていた短刀で掻き切った。

  • 71二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 14:39:22

    命を落とした後の世界がどうなったかまでは流石に把握していない。否、把握することなどできない。
    それでも、考えたことはあった。自分が死んだ後はどうなったのだろう。せめて上手く行っていたらいいのだが、と。

    その結果がこれだった。
    ヒート一人で上手くいくのだろうか?なんて他人事のような感想すら浮かんできてしまっている。軽はずみな行いだった。だからか。こんなことになっているのは。

    「ワイヤーさんっ…!」
    「なんで、なんでなんだよぉぉぉおおおおお…!」
    壊れたように叫び散らし泣き喚くワイヤー。
    それを動揺しつつも抑えようとするみんなの姿。
    ヒートとワイヤーであればワイヤーのほうが冷静なことが多かった。
    だから、あんなふうに感情的なところなど、見たことがなかったのだ。

    「…ああああぁぁぁぁあぁぁあぁああ!!!!!」
    子どもが親に泣きつくように、なにかに縋るかのように、ワイヤーの伸ばした手は空を切った。


    『――――――――。』
    なんてことを、してしまったのだろう。
    取り返しのつかないことを自分は、みんなに対して叩きつけてしまった。
    ワイヤーの泣き喚く声と仲間の絶叫が耳に残る。
    目の前が、急速に白んでゆく。
    終焉を黒い絶望を入り混じりながら埋め尽くしてゆき、そして。
    『――――!!』

    ぷつりと、世界の色が失われた。

  • 72二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 18:03:01

    マジでご注意ください。苦手な人は本当に申し訳ない!

    「――――っ!」

    顔面が地面に叩きつけられる痛みに、意識が覚醒をもたらされた。
    顎を湿った床に打ち付け、鋭い痛みに涙を浮かべ頭を振る。
    と、即座に顔を上げ、周囲に素早く視線をめぐらせる。
    ――異常は、ない。

    「…こ、こは」
    [あ、一回目お疲れ様でーす。で、どうだった?]
    軽薄な調子でウィルが尋ねてくる。
    ーーーーよりにもよって、その姿はワイヤーのものだった。

    「…………ふ、ぐ、…オ、エ、」

    「お、げえええええええ」ビチャビチャビチャ
    [うわ、きっっったな!]
    思い出した瞬間、臓腑を絞り上げられるような苦痛に背中を折り、胃の中身を床にぶちまけた。そうはいっても、出たのは胃液のみだったが。
    それを盛大に吐き出す素振りを繰り返すことで、胃を収縮させて肉体の要求に答えた振りをする。ビチャビチャと嫌な音がする。頭が割れるように痛い。異臭が、する。呼吸が、乱れる。心臓が、痛い。

    「……ゲホッゲホッ、はっ…はっ…、……」
    [………ああやって仲間を泣かせて、]
    「……はっ、ゲホッ…」
    [いろんな人を苦しませるんだな。]
    「………はーっ…、ゴホッ…」
    [ああ、そういうところ]
    「はーっ………………」
    [あの“邪神”と何ら変わりないな]
    コロコロと、姿を声を話し方をおれの仲間のものへ変える。ただ、一貫しているのはおれへの嫌悪だった。

  • 73二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 18:39:26

    「………フーッ、はーっ………」
    荒かった呼吸を落ち着かせ、深々と肺の中身を空にすることで無理やりに落ち着きを呼び戻す。
    だが、内臓が根幹から震えるような感覚を追い払うことだけはできなかった。

    「………いまの、は」
    [あー、説明してなかった?]
    軽い調子で、それでいてこちらを睨みつけながら、告げられる。
    [お前が殺した自分の、先の世界だよ。本来なら存在しないけど。で、感想はいかが?]
    「……………………」
    絶句する。理解は、覚悟はしてたつもりだった。それでも耐えきれなかった。
    しかも最悪なことに気付いた。二度目の時の記憶は朦朧としているが、少なくとも一度目の時、

    先程の記憶は無かった。

    4950回。なら、そこから選び放題だということか。最悪だ。
    「………最悪だ……、…まだ、あんのかよ…!」
    [当たり前でしょー。合格するまで続くからな。]
    「…………………」
    [やめたければどーぞ。根性ないなって思ってやるよ。]
    先程吐き出した胃液は、いつの間にやら消滅していた。
    「………?」
    [不思議そうな顔をしているな。そりゃそうでしょう?ここは追憶の間だ。吐いたところであんたの口の中が苦くなるだけー。で、どうすんの?やめる?感想は?]
    「………お前、確か案内人って言ってたよな」
    [言ったね。それがどうした]
    「さっきのどこが案内してたんだよ…」
    [ハァー!?言っとくがな、このムネモシュネはおれが作ったの!!あんなアホのアダマントが作ったタルタロスと同じにしないでくれませんかね!?『試練』は確かにあのアホが作ったけどさぁ!]
    「アダマント…?タルタロス…?」
    [あーもう、説明すんのめんどい!]
    ウィルはイライラした様子のままコンポの姿で頭を掻き毟りまくっている。何か聞けば分かるだろうか

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 18:39:45

    何を聞く?

    1、アダマントって?

    2、ここはなんなんだ?タルタロスって?

    3、…『試練』で出てきた、アレは本当なのか?

    dice1d3=3 (3)

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 18:44:28

    さて、核心は掴めるのか

  • 76二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 19:04:56

    […ここは君の記憶と願いを元に形作られた仮初の世界。ただ、『試練』の司る世界構築力は人智を超えている。
    この世界を生きる人々は、ボタンの掛け違え一つで実際にこうして息づいていただろう姿そのものだぜ。]
    「へえ…」
    […あんまり驚いてなさそうだな]
    「…何が言いたい。」
    [あれは、あんたが、それこそ欲しがってた答えってことだよ?]
    「………………?」
    [……自覚なさそうだね。そんなに汝は弱かったか?]
    「……………」
    呆然とする。つまり、あれは存在しない世界なのだ。でも…。

    「おれを、おれのやったことを責めるため…?」
    […なーんにも分かっちゃいないんだな。残念です。]

    『ありうべからざる今を見ろ』
    「!?、な!?」

    引くか留まるかで迷っていた耳朶を、唐突に誰かの囁きが掠めていった。
    そのことに驚き、体を強張らせた途端――意識の喪失が、肉体に訪れる。
    腕をつき、支えていられずに肩から再び床に倒れ込む。
    意識を保っていようと懸命に顔を上げるが、瞼も首もその見えない力に逆らうことができずに一気に奈落の底へと引き込まれる。最後に見えたウィルの顔は、ひどく哀しげだった。

     ――そして『試練』が、再び迎え入れてきた。

  • 77二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 19:10:48

    今日はここまでにします。グダグダですみません!そろそろアダマントと試練解決したいので頑張ります。雑かもしれませんが全部書こうと思ってますので気長に待っていただけると幸いです。

  • 78二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 21:42:44

    楽しんでますのでダイスに振り回されつつ好きなペースで好きなようにがっつりやっちゃってください!

  • 79二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 07:41:25

    乙でした!!作者さまのお好きなペースでどうぞ!!いつまでも楽しく待ってます

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 17:34:56

    このレスは削除されています

  • 81二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 17:58:26

    in“タルタロス”
    一方その頃、ナミたちはタルタロス内を走り回っていた。
    「なあナミ!!走り回ってなんとかなんのか!?」
    「わからないわ!」
    「「ええーー!!?」」
    「おい、泥棒猫!おれたちはお前が走れ!探せ!って言うからずっと走ってたんだぞ!?」
    「ええ!探すのよ、出口を!」
    「は?!」
    「これだけ広い場所なら、出口だって有る筈よ!無くても、それならアイツを倒すという理由になる!」
    「そ、そうか!」
    「納得できるか!もう無茶苦茶走っただろうが!」
    「ええ!これだけ走っても別の部屋が見つからないのよ!?それなら逆に確かめたほうがいいわ!」
    「っ、」
    「はっ、確かに、場所だけでも把握して置くべきじゃな!」

    走る、走る、走る。今のところ、レーテー以降の廊下には部屋が一つもない。
    先程言ったことは事実だ。戦うにしても地理を把握していなければいけない。

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 17:59:19

    走る、走る。すると

    「っ、部屋!!」
    「本当だ!」
    「ウソップ!確認しといて!」
    「え!?」
    「まだ廊下は続いてる!わたしたちは先を確認するから!ブルックもよろしく!」
    「お、おう!分かった!」
    「ヨホホホホホ!お任せを!」

    ウソップたちは部屋の前に立ち止まり、掛けられている看板を見た。
    「“プレゲトン”?」
    「…なんか、ここ…暑くない?」
    「ハートの海賊団の奴らは暑がりだな」
    「違う!いや、おれは違わないけど!」
    「静かに!………開けるぞ〜…」
    ガチャリ。部屋を開けた。すると、そこは

    燃えていた。
    「うわっ!火!?」
    「燃えてる!?」
    「ヤバい!火事になるって!?」
    一面、火の海だった。しかも、燃え盛った柱がこちらに向かって倒れてきている

  • 83二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 17:59:58

    「!、どうすんだ!?長っ鼻!」
    「まずい!今すぐにでも、てった」
    「―――――――黄泉の冷気。
    “魂の喪剣”!!!」
    キン!!!
    剣を仕舞うのと同時に柱が切り落とされバラバラに落ちていく。
    火の海だったはずの場所は、いつの間にやら一面が真っ白な氷になっていた。
    「…悪ぃ、ブルック!助かった!!」 
    「いえいえ!お気になさらず!」
    「で、ここは…」


    そこにあったのは



    機械の破片と肉片が混じったような、グロテスクな赤いモノだった。
    その中に、先程の島の者たちが、胸像のような形で呑み込まれている。
    呑み込まれた者たちの目は虚ろで、何も映していなかった。
    「……なんだよ、コレ」






    〘おい〙〘お前たちなんでここにいる〙
    先程の微笑が嘘のような表情でソレは後ろにいた。

  • 84二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:39:08

    遅くてすみません。IP規制かけられてました。

    「っ…!」
    いつの間に。
    「っ…お前、いつから、」
    〘どけ〙
    触れられていないはずなのに、プレゲトンの扉の前へ、全員が吹き飛ばされる。
    「ぐ、っ!?」
    「うおっ!?」
    「…っなんだ!テメェ!いつからいた!?」


    〘……………………、………〙
    アダマントは無表情のまま、その肉塊たちに触れて回っていた。
    まるで、安否を確認するかのように。
    〘………………無事のようだな〙
    「お前!いつからいたんだよ!?ゾロたちは?!」
    〘お前らがここに来たと〙〘直ぐに気付いたのでな〙〘アイツらは知らん〙

    〘何故ここに来た?〙〘島の者に触れるな〙
    「島の者…?まさかその人たち…」
    後ろにいたウニが前に来たことで気付いた。

    「さっきの…!」
    〘良かったなお前ら〙〘怪我の一つでもさせてたら〙〘問答無用で“脳だけ”にしていたぞ〙
    ゾワッ
    射殺すような絶対零度の視線がウソップたちを貫く。
    それでも、果敢に尋ねる者がいた。
    「……この人たちは、一体?」
    〘………………〙

  • 85二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:55:14

    〘アイツラを、島に置き去りにしたのは失敗だったかもしれない〙〘、と考えてな〙
    「は?」
    〘この地を守るためにも〙〘島の者に危害を加えさせないためにも、〙
    〘おれが肉体の支配権を奪った〙

    「………!」
    〘今頃、船の奴らは島の者に船事沈められているだろうよ〙〘“今まで”もそうしてきた〙
    「今まで…?」
    〘この地はな、今まで〙
    〘周辺の地を、国を、潰すことで安全を得た。〙
    〘おれが先導し、勝利へ導いた〙
    「………そのための、犠牲は」
    〘仕方あるまい〙〘“戦争”に犠牲は付き物だ〙〘それでも少数に揃えた〙〘意識は良い被験体になってくれたよ〙
    〘それでも満たされなかったがな〙
    〘生き残った者は信仰する〙〘実に効率が良いと言えるな〙

    「……………!」
    〘なんだ〙〘言いたいことがあるなら言え〙
    「じゃあ言わせてもらうけどよぉ!」

    「お前なんかが、“神”なわけあるか!!」
    〘………〙
    「この地を、守るため!?自分が満足するための間違いだろ!?」
    〘…………………〙
    「おい長っ鼻!逃げるぞ!」
    レックに抱えられる形で全員が逃げ出した。
    そこにいるのは、アダマントだけだった。

  • 86二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:55:48

    〘………………〙




    〘………神じゃない?〙〘なら、おれは〙

    〘なにものなんだ?〙〘いったいだれなんだ?〙

    〘あれ?〙〘おれは〙



    〘だれだ?〙


    1、…あれ?

    2、……………だれ、だったっけ

    3、……おれ、は

    dice1d3=2 (2)

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:56:50

    〘だれ、だっけ…〙〘だれ?〙〘あー…うあー…〙


    〘………………〙


    〘…なにかを〙



    〘わすれている?〙〘なんだった?〙
    〘わすれてることすらわすれていた?〙
    〘なんでだ?〙




    〘………………………………〙

    〘…まあいいか〙




    〘忘れるってことはどうでもいいことだったんだろう〙

  • 88二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 20:57:45

    今日はここまでにします。ありがとうございました。遅くなってすみませんでした!!今回強引だった気がします!

  • 89二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 21:38:34

    多少強引でも主が書きたいように書けばええんやで……それを楽しませてもらってる身からしたらね……

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 03:25:59

    このレスは削除されています

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 10:36:00

    寒くなってきましたね。みなさまも風をひかないようお体を大切にしてください。

    inアダマン島港
    「トラ男ー、ギザ男大丈夫か?」
    「……ああ、少し怪我はしてるが無事だ。」
    少しやりすぎたな…と内心思いつつ気絶したユースタス屋の傷を治療する。むしろ、象銃とガンマナイフの両方をくらって気絶で済む辺りユースタス屋も化け物である。

    すると、島の様子がおかしいことに気付いた。
    「!?なんだ!!?」
    ゆらゆらと、倒れていたはずの島民たちが、船の方へ歩いてくる。手には鈍器、銃、刀、と物騒なものを持っていた。
    そして、目が金剛色に輝いていた。

    「海賊をコロセ!!」
    「カエレ!」
    「船をコワセ!!」
    「うわっ、なにすんだ!!」

    近づいてきたうえ船を壊そう、ルフィたちを殺そうとする。こちらからは攻撃するわけにもいかない。更に言えば、こちらは一人気絶しているのだ。
    「っRoom!!」
    「!?」
    「“シャンブルズ”!!」

    慌てて、付近の別の場所に船ごと移動させる。だが、これもいつまで持つか分からない。こっちは能力者が3人。しかも一人は気絶中だ。

    「……早く目を覚ませ!ユースタス屋!」

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 10:42:25

    『ありうべからざる今を見ろ』

    『ありうべからざる今を見ろ』

    『ありうべからざる今を見ろ』

    『ありうべからざる今を――――』


    何度心をへし折られれば、おれは許されるのだろうか。
    何度、世界に裏切られればおれは報われるのだろうか。
    何度、自分の愚かさを突きつけられれば、おれは理解できるのだろうか。


    ――終わった世界を次々と見せられて、キッドは地べたに横たわっていた。
    [……おつかれー]
    自分が今、どこにいるのかもよくわからなくなっている。
    現実にいるのか、夢の中なのか。繰り返される悪夢を見ているのか。あれを悪夢と、そう断じて片付けることは許されるのか。単なる可能性の世界でしかないのか。あるいは本当にあったものなのか。またおれの頭の中から都合のいい世界を生み出しているんじゃないのか。ならば明らかにおれの知らない情報が流れ込んでいる世界はなんなのか。
    妄想が生み出した世界か。現実が異なる現実を侵食しつつあるのか。いずれだったとしても、心が受けた苦しみは甚大だった。
    とても、まっすぐ、立っていられず、顔を上げていられないほどに。
    […………もう諦めたら?見てらんねーよ。]
    ため息混じりにウィルから投げかけられた言葉を、受け入れてしまいそうになる。
    でも、それではだめだと心が反発する。
    首を、弱々しく振った。まだ、まだ。
    [………諦め悪いな。そこまでいくと感心するわ]


    『ありうべからざる今を見ろ』

    ユースタス・キッドは、もはや、惰性で挑み続けていた。

  • 93二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 12:52:01

    関係ないですが、キャベンディッシュの名前の元ネタ的にドレークとホーキンスにどっかで絡んだりしないかなーって思ってます。割と相性は良さそう。

    ウソップたちはさっきまでの道を全力で逆走していた。
    「…こ、怖かった…!」
    「さっき啖呵きってた度胸どこいった!?」
    「し、仕方ねぇだろー!思っちまったうえ、言ってみろって言われたんだから!衝動的に!」
    思ってしまった。争うことで守ったというが、それは守ったというのか?と。
    しかも最後の言葉がどうしても許せなかった。死者の意識を利用した。生き延びた者は何も知らず信仰し続ける。何が神かと考えてしまったうえで衝動的に口に出た言葉がさっきのだった。
    「…………ウソップさん」
    「どうした?」
    「…世の中には戦争の神も存在しています。もしかしたら、アダマントはもしかしたら、その神様なのかもしれません。」
    「っいやいや悪いが、それは違うぞ!骨屋!あいつは島じゃあ『知識欲の神』って扱われてる!」
    「っなら尚更たちが悪いじゃねえか!」
    全力で走る。すると部屋が見えてきた。

  • 94二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 13:22:34

    in“レーテー”
    「人が神に成った伝説?」
    「うん…あんま詳しくは聞けなかったけど…」
    「ファッファッ。ホップ、詳しく聞かせてもらっていいか?」
    「えーと、たしか…」

    その時。

    ガチャン!
    「うお!」
    「ヒートさんとワイヤーさんが怪我を!」
    「いやだいぶマシになったから…」
    「あの野郎!どこ行きやがった!!」
    「ゾロ!お前ら、ソッチじゃねえ!!」
    「うお、ここさっき見つけた部屋か!」
    「ウソップ!?それにブルックも!」
    「あ!サンジさん!フランキーさん!」
    「ファッファッ。どうしたお前ら!?」
    「アダマントがどっか行った!」
    「さっき別の部屋にアダマントがいた!」
    「なんか、島の人が捕まって肉塊になってて!」
    「は!?」
    レーテー内は混雑していた。

  • 95二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 13:38:58

    やらなきゃいけないことは、決めていたはずだった。そのやらなきゃいけないことは、今も変わってない。それは間違いない、はずだった。

    でも、それは、行いの結果を突きつけて、覚悟という言葉で誤魔化していた非情な現実で心を引き裂いた。


    あれ?……………おれは。なんで、死んでまで、助けようとしてるんだっけ。

    「カシラ!!」

    叫ぶ声が聞こえる。まただ。まただった。4桁を超えて死んでいれば、キリがなかった。

    ーーーそこには、頭から血を流し目を見開いたまま死んだユースタス・キッドの亡骸があった。
    そして、自身の亡骸を囲むようにして、仲間が、みんなは、いた。


    …………あ、
    この、死に方、は、

    「カシラ…!カシラァ…!!」
    「………………」

    −−−−−−−−悪夢にまで見た。仲間には話さないよう決めた。あの時だった。

  • 96二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 13:41:52

    何故、『死に戻り』のことを話したか。
    軽い気持ちだった。これを共有すれば、少しは気持ちが楽になるんじゃないか、と。

    ……いや、違う。分かって欲しかった。今までこんなことをしていたんだ。大変だったんだ。抱え込んでいたそれを、どうしても共有したかった。


    「カシラぁ……」
    ダイブが泣き崩れた。ブギも、UKも、クインシーも。
    耐えるようにしている者もいた。
    キラーは、

    「……………どう、してなんだ?」
    ポツリ、とそう呟いた。

    ………ああ、
    仮面越しでも分かる。今ならわかるが、声のトーンも落ちている。こんな顔にさせるくらいなら。初めから言うべきじゃなかった。なんて酷なことをしてしまったんだ。そう思ったのだ。

    「………なあ、」
    くぐもった声だった。目の前の亡骸に、語りかけていた。
    「おれたちも、連れて行ってくれよ……」
    ………連れていける訳が無い、こんな、ことに。

    「全部、一人だけで抱えるのはズルい……だろ」
    どうして、そう思うんだ。おれは、助けたい。自分勝手かもしれないが、お前らを、助けたい。
    でも、

    「キッド……!」

    こう、思ってくれたことを。忘れたくない。そう思ってしまう。
    悪夢として刻み込まれた記憶が、形を変える。

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 16:07:42

    ………なんで、そう思ったんだった?
    疲弊と、相手の能力の影響で、声があのとき聞こえなかった。
    こんなこと、言ってたなんて知らなかったから。
    呆然と亡骸の自分を見つめる。顔色は白い。意外と綺麗なまま、自分は死んでいた。

    思う。自分は、何を誤ったのか。何故、自らの行く末の未来に強い憂いを感じていたのか。
    どうしておれは、このキラーたちの無意味な涙に強く罪悪感を抱いているのか。先程のトラファルガーの言葉を、無条件に受け入れてしまったのか。揺らいだはずの覚悟が、繰り返される『試練』により忘れた信念が、また戻ってきている。
    先程のウィルの言う、俺の欲しがっていた答えとは何なのか。

    おれは、自分の行いを糾弾するためだと思ったのだ。だから、死んだあとの世界を見せられていると思った。間違ってしまった世界の責任を取らせようとしていると思ったのだ。
    でも、違うのか?
    死に目を見る。仲間は、みんなおれに生きていてほしいと願ってくれていた。
    『―――――――――――………。』

    ………………なんだ。麦わらたちの言ってた通りだったのか。
    別に俯瞰に見ているわけではない。自分が起こしたことを、しっかりと味わいながら見ている。どうすればよかったのか、考えながら見ている。そうして、少しずつ少しずつ消化していく。やったことは消えない。いや、こんな世界は無いのかもしれないが―――それでも、受け入れ消化していく。

    ―――――何を、勝手に諦めていたんだ。
    何を諦めた?仲間との意思疎通を。自分も共に生きるという考えを。自分自身の未来を。
    『死に戻り』に依存するようになったのはいつからだったか。

    自分が生きていなければいけないのは百の承知のつもりだった。おれが死んだら、ループするから。でも、違った。これはおれ自身のためだ。『試練』は、おれが間違った結果、誰がどれだけ悲しんでいたのかを見せつけていたのだ。大切な人たちの隣に、笑って立つ資格があるのか、知りたかったのだ。

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 16:08:12

    約束を、した。一方的なものでしかなかったが、それでも忘れることのない、約束を。ドルヤナイカが死んで、ギャングを潰した。こんな狭い世界にいたくない、と船出するとき、船に、キラーたちと約束をした。
    『必ず、海賊王になる』と。
    ……………度重なる『死に戻り』による精神の摩耗で、そのことを忘れてしまっていたのかもしれない。それでも、一人も欠けずに共に有りたいと思う。なら、おれが死なずとも、仲間を死なせずとも、未来に進める方法を作ればいい。それを、望んでいいはずだ。

    自分勝手だ。傲慢だ。強欲だ。でもソレは、当然だろう。だっておれたちは海賊だ。海賊ごっこではない、本当の。



    恐怖によって壊れた姿が、少しずつ形を取り戻してゆく。



    そして―――――――


    『ありうべからざる今を見よ』
    意識が薄れてゆく。
    でも、もう迷いはなかった。

  • 99二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 20:08:32

    今日はここまでにします。ありがとうございました。そろそろキッド復活しそう!

  • 100二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 05:15:25

    乙でした!!大切なモノ、思い出せたねキッド!!

  • 101二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 10:51:40

    すいません、今日ちょっと遅くなります。

  • 102二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 14:34:08

    キッドの精神にとどめを刺したのは『試練』であってカイドウさんたちじゃないってのがポイントです。


    inレーテー

    「ちょっと待て!肉塊!?」

    「ああ、そこにアダマン島の人たちが捕まってた!」

    場が荒れていたレーテーは落ち着きをなんとか取り戻し、ウソップたちとチョッパーたちは情報交換をすることにした。

    新たに何かが引き起こされていること。アダマントは何者か?ここはどこなんだ?

    疑問は尽きない。なんならウソップたちの話から更に疑問が増えた。


    「………なあ、お前ら」

    「ん?おお、どうした麦わらのところのタヌキ」

    「タヌキじゃねえ!………お前ら、キッドが何回死んだか、もう聞いてるのか?」

    「……………」

    「ファッファッ。………いや、知らねえ。」

    「!?、話されてないのか!?」

    「………ああ。お前らの話を聞く限り、解除されたら死に戻りの際の記憶が入ると聞いてはいるが。」

    「え!?キラーさん、聞いてませんよ!?」

    「話す機会を見失っちまった、すまねえ」

    「いや、いいですけど……」


    「…………」


    どうする?

    1、素直に回数を教える

    2、4桁を越えているとぼかしつつ教える

    3、4000回以上と教える

    dice1d3=3 (3)

  • 103二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 16:14:37

    「えと…確か、」
    「……4000回以上、死んだってさっき言ってたんだ」
    「!?チョッパー?」
    「……おれたちの時は、まだ、回数が少なかったし、死んだ時の状況もまあ、納得出来るものだった。」
    「…、………」
    「でも、お前らは…大丈夫なのか?……死ぬんだぞ。自分でどうすることも出来ないで、殺されたり死んだりするんだ」
    「……ああ。」
    「っ!本当に死ぬんだぞ!おれだって、ワノ国のときにウィルスで全身を凍らされたし、ビームで貫かれて死んだんだ!覚悟しても、それすら崩れるかもしれないんだ!!」
    「……………」
    「………ごめん。キッドを責めるわけじゃないんだ。でも、そんなに死んでたら思い出すときに、大変なことになる。それが、心配で…」
    「………お前らは、やっぱりお人好しだな」
    キッド海賊団の者たちはチョッパーの言葉を噛み締めざるを得ない。4000回以上。それを今知った。知る機会は、いくらでもあったのではないか。
    でも、

    「………………」
    ここで、「知りたくないからまだ死んでいてくれ」と言う気など全員無かった。ちゃんと、話をしたい。そう思う。

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 18:19:56

    キッド海賊団のクルーたちの空気は重く、無言が続いている。
    その中で口火を切ったのはキラーだった。

    「……少なくとも、おれはキッドに怒るつもりだ」
    「えっ?」
    「なんで言ってくれなかったんだ、そんなにおれたちは信用できなかったのかって」
    「うん」
    「で、ちゃんと謝りたい。気付けなくて悪かった。何回も死なせちまって悪かった。」
    「……うん」
    「“キッドが耐えれたんだから、おれたちだって耐えられる”なんて馬鹿なこと言う気はねえ。
    でも、ちゃんと共有したい。」
    「…………」
    「………甘い考えだと思ったか?」
    「いや」

    「ちゃんと心決めてるみたいで安心したよ」
    そう言ってチョッパーは、安心したような笑顔で微笑んだ。

  • 105二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 19:42:40

    今日はここまでにします。いつも読んでいただきありがとうございます!

    in“ムネモシュネ”
    「フーッ…。」
    目を閉じる。迷いはもうない。必ず、戻る。
    信じてくれた人に、約束をした仲間に、応えたい。
    きっとそれが、いまおれの成すべきことだ。
    まずは、そこから。


    『――ありうべからざる今を見よ』

    そうして目を覚ますと、そこには―――――――






    「………キッド?寝とんのか?」

    見知った、女の顔があった。

  • 106二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 02:07:16

    頑張ってください~

  • 107二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 10:38:16

    言葉がすっと出てこないのに使い方はわかる現象のことってなんていうんでしょうね?

    In“レーテー”

    「いやー、それにしても4000回ですか……」
    「?どうした?」
    「いえ、失礼を承知のうえで言わせてもらいますが、そちらの船出の道はそんなに厳しかったのでしょうか?」
    「………それなりに?でも、そんなに死ぬほどじゃ………」
    「……………もしかしたら、自死をされたこともあるのかもしれませんね」
    「は!?」
    「実は私も過去に『死に戻り』をしていました。まあ、一度過去に本当に死んでしまっているんですが。ヨホホ」
    「はあ!?」
    「あ、宴のときなんかギャーギャーなってたのソレ!?」
    「ええ!よく覚えてますね!………それだけ、死ぬのは不自然ではないか、と思うのですがどうでしょうか?」
    「………少なくともおれは、怒る理由が増えただけだな」
    「ヨホホ。是非ちゃんと怒ってあげてください。
    そして、もうしないでくれとちゃんと言ってあげてください。
    私はルフィさんがいましたが、ひとりで耐え続けるのはとても辛いことですから。そう言った言葉が欲しくなりますから。」

  • 108二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 11:30:27

    inムネモシュネ?


    「…………悪い。寝てたかもしれねえ」
    「疲れとんのか?」
    「ああ、なんか…」
    頭をガシガシとかく。ふと気になって手を見つめる。左腕がある。左手がある。
    「……………………」
    「寝惚けとんのか?さては昨日も勝手に酒飲んだな?キラーに怒られるぞ。もう子どもちゃうんやから自分のことは自分でなんとかせえよ。」
    ドルヤナイカはそう言ってカラカラと笑った。顔は、体は、火傷している。左目が隻眼だ。それでも、五体満足だ。元気そうだ。

    「………ドルヤナイカ」
    「ん?どした?」

    「…………、昨日は飲んでねえよ!それで叱られるならお前も巻き添えだ!」
    「ハァ!?なんでやねん!」
    一気にワアッと明るい空気になる。逃げるような形で船の上を走ると、おい!とドルヤナイカが追いかけてきた。周りのクルーたちもいいぞ!やれ!と囃し立てる。

    もちろんこの後、船内から出てきたキラーに止められた。

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 11:42:32

    ドルヤナイカちゃ〜ん!!!

  • 110二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 11:54:46

    目の前の光景を見つめる。キラーたちはペペロンチーノを山程食っている。モッシュが喉に詰めかけて慌てた様子でポンプに水を渡された。
    ドルヤナイカは酒を飲んでいる。どうやら5人抜きしたらしく流石だアネゴ〜!という声が聞こえた。

    おれは、ひとりで黄昏れているエマに話しかけた。
    「さっきのと違うじゃねえか…。ここはなんだ?」
    「………よく分かったね」
    ……恐らく、コイツはウィルだ。普段と雰囲気が違うクルーが何人かいたが、それはウィルが別のクルーの姿に何度もなっていたと考えれば納得がいく。

    […先程も言ったが、ここは君の記憶と願いを元に形作られた仮初の世界。ただ、『試練』の司る世界構築力は人智を超えている。
    この世界を生きる人々は、ボタンの掛け違え一つで実際にこうして息づいていただろう姿そのもの。]
    「へえ……。」
    [……ありうべからざる今を見て、この世界に沈みたいとは思わなかったのか?]
    「…………思わないわけ、ねえだろ。それでも、」
    [親しくした者の幸せより、彼ら彼女らが不幸な結末を過去に迎えた現実を選ぶ。
    結局のところ、何より己を優先させる。
    実に『傲慢』な人間だというのがお前の『試練』の結果だよ]
    突きつけられた言葉は、グサリと心の柔らかいところを刺した。

  • 111二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 12:18:14

    「…………………」

    [これまでの『試練』の影響か?自覚が芽生えたようで何よりだな。それに、『試練』は挑戦者の人格まで考慮することはない。

    資格がある者であれば、どんな性格破綻者であろうと、大量殺人犯であろうと利己主義と自己愛の塊であろうと等しく受け入れる。


    安心したまえ。貴様の目的は、間もなく叶う。]

    「ずいぶんと…痛いところを突いてくるじゃねえか。」

    [まさか。安心しろ、おれが厳しいのは今のところお前一人だけだ。

    資格や過去関係なしに私は貴方が嫌いだ。

    簡単に命を投げ出し周りを泣かせるテメェが嫌いだ。]

    「そうかよ」


    「そりゃ、嫌われて当然だな」 

    [それを理解してるなら海賊を辞めるなり何なりできただろう。]

    「そういうわけにもいかねえだろ。『試練』での様子を知ってるんだろ?…おれは、生きて戻る。胸を張って海賊王になるためにも。そのために、これを突破する。」

    [海賊王になるとは随分と大口を叩くね。辿り着けた者は今までいない。しかも、君は何度も失敗して死なせては泣かせているのに。]

    「………そうだな。」

    視線を下に向けてしまいそうになるのを堪える。『試練』の記憶は、まだ自分の心を蝕んでいる。ひび割れたところが戻ることはない。

    「………でも、それが諦める理由になるか?」

    傷は開いたままだ。でも、強い口調で反論した。どこか驚いたような顔をしているウィル―――いつの間にか見た目が変わっているその目を真正面から見て話す。


    「結局のところ、ただの自己満足に過ぎなかったのかもしれないな」

    「?」

    「いや、思っただけだ」

    1、何を落ち込んでたんだ、おれは。ってな。

    2、馬鹿だな、おれは。

    3、くだらねえことを考えてたんだな、おれは。

    dice1d3=3 (3)

  • 112二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 15:18:14

    「思考停止してただけだったんだな。」
    一度、そうだったからそうなんだと思い込んだ。それで、勝手に諦めた。それを自覚できた。自覚できたなら、後はなんとかするだけだ。
    「………ありがとうよ。心残りがないつもりだったんだが、これで満足できた。」
    [……乗り越えれた、と?]
    「いや」[?]
    「全部引っ括めて引きずっていくことにした。
    おれがやっちまったことも、それで起こった出来事も、思いも。」
    […そっちのほうが辛いだろ。]
    「だろうな」
    [重荷に耐えられず潰れるかもしれんぞ]
    「元々重荷は背負ってるようなもんだろ」
    [それもそうか。流石海賊やな。]
    「それだけじゃねえよ」[?]
    「あいつら…あいつらならきっと分かってくれる。そう確信してる。これはありうべからざるじゃねえ。『有り得べからざる』ことじゃなくて『必ず起こり得る』ことだ」

    先程の言葉は、ウィルからの本当の意味での問いかけだったのだろう。
    やってしまった過去とありえない今、その『試練』によってキッドの覚悟を確かめた。その上でウィルは言葉で、覚悟の先を問いかけてくる。
    それをキッドは真正面から答える。理想論かもしれない。めちゃくちゃな言葉を。それでも、答える。いつの間にか、ウィルの姿はドルヤナイカのものになっていた。
    [………ただの、過信やないの]
    「いや違う。これは過信じゃねえ、確信だ。
    あいつらなら耐えてくれる。信用してるじゃねえ、そう信頼している。」
    「………馬鹿だな、おれは。おれが死ぬだけで助かるって、そう、思い込んで…。」
    […………。]
    「いや…本当に傲慢だな。ただの独りよがりだ。」
    [……間違いなく、許されないやろ]
    「だから、あいつらが無事なうちに謝りたいし頼りたいんだよ。贖罪じゃあねえけど、相手が、生きてなきゃあ感謝も謝罪も出来ないだろ?だからよ、戻ったらアイツラと、ちゃんと、話がしたい。」
    [………ただの、開き直りじゃん]
    「そうだな、でも、もっと早くに開き直ってりゃあ良かった。迷惑かけちまうけどごめんなって…。」
    [……せいぜい、残りの『試練』を楽しむといい。それが済めば、『試練』よりよほど辛い未来が君を待つ。そこで、並べた夢とやらを守るのがどれほど難しいことなのか悟ることになるだろう]
    「わざわざありがとよ。ちゃんと、覚えておく。あと……」

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 15:29:49

    「……………おれに、この世界を見せてくれてありがとう」
    「………………」
    「ここはありえない世界なのかもしれねえ。けど、おれが見たかった世界には違いないんだ。あんな風に並んで笑うみんなを、
    ……ドルヤナイカを、見れる日がくるなんて、思ってなかった。だから、ありがとう」

    「話したいこともあったはずなんだが……。それは本当に全部終わってから、だな。」
    そう言ってキッドはカラカラと笑った。もはや迷いは無い。本来のキッドの形へと戻っていた。実現しない世界であったと、そう断言されたことには痛切な思いがある。しかしありえない世界だとしても、つらい思いがあったとしても、ありえたはずの光景を見たのだ。そこにあったのは確かな幸せと、暖かさで、それが震えるほどに嬉しくて悲しく感じた。
    でも、この光景に出会えてよかったと、心の底から思うことができる。


    ウィルの表情を見つめる。
    ウィルは、
    [――――――――――――……、それでこそ、ユースタス・キッド、やな]
    ドルヤナイカの姿のまま、嬉しそうな、優しい笑顔を浮かべ、そう呟いた。

    音を立てて世界が粉々に砕け散っていく。
    幸せで、手放したくない、けれど別れなくてはならない夢の世界が、終わる。

  • 114二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 15:41:16

    「…、…う、おっ」
    周りの光景が変わっている。またムネモシュネに戻ってきたらしい。
    慌てて顔をあげると先程と同じ位置でウィルが立っていた。

    「…………ありがとうな。あと、意図に気づけなくて悪かった」
    色んな人に迷惑をかけた。だからこそ、超えなくてはいけないと覚悟を決めた。
    「で、『試練』は、…………いまので終わり、でいいのか?」
    [………ええ。もう、出ていったって構わない。]
    「!!!そうか、なら…!」
    [だが、]
    「あ?」
    […………いいこと、教えてやるよ。
    ある意味これが、最後の『試練』は、私が、おれが、お前に与える形になるかもな]

    [必ず役に立つ。お前に託したいから、心して聞け。]
    ウィルの目は真剣そのものだった。

  • 115二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 17:33:22

    すいません、今回はここまでにします。見ていただきありがとうございました。ようやく試練終わったけど、もう少しドルヤナイカちゃん話させたかったな〜…でもあれ以上書くと完全にオリキャラだもんな〜

  • 116二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 02:17:29

    情報少ないキャラ動かすのって大変ですよね!乙です!

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 08:14:10

    乙でした!!またワクワしながら待ってます!!

  • 118二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 14:40:33

    多分こんなお話あったらあの世界なら規制されてなかったことになってると思います。昔話風を書いたことがないので読みにくいかもしれません!

    in“レーテー”
    「えーっと、それでさっき話そうとした伝説とやらなんだけど……」
    イッカクたちがどこか話しにくそうにロビンに話しかける。情報共有で騒いでいた周りが一気に静まった。
    「ええ、正直情報が少ないから…。だから、少しでも情報があるとありがたいわ。」
    「……つっても、昔話風にアレンジされたようなやつで…」
    「それでも構わないわ。教えてくれる?」
    「………わかった。えーと、確か…」

    「………むかしむかし、この地は、クロノス様という神を信仰する悪人によって支配をされていました」
    「悪人たちのせいで、人々は飢餓に苦しみ、そこら中に死が蔓延していました」
    「“おなかがすいた”“くるしいよお”人々は訴えかけましたが悪人たちにその声は届きませんでした」
    「そうしていた、ある日。悪人たちはお祭りをすることにしました」
    「“クロノス様を讃えよう!永遠の幸せを讃えよう!” そう言って人々も巻き込んでお祭りをしました。ですが、そのお祭りを楽しんでいるのは悪人たちだけでした。人々はむりやり働かされ、食べるものもなく苦しみ、今にも死んでしまいそうです」
    「そんな時にある青年がやってきました。その天使のような青年は人々に尋ねました
    『あなたたちは、なぜ立ち向かわないのですか?』
    『無理を言わないで下さい。逆らったら殺されてしまいます。もうご飯を何日も食べていません。仲間だって病気なんです』
    『立ち向かえる力があれば、戦いますか?』
    『ええ勿論。そうすれば、自由になれる。腹いっぱいご飯が食えて、死ぬことだって無くなる』
    『おれが、その力をあなた方に与えましょう。さあ、おれに着いてきて。』
    青年がそう言うと人々は勇気が湧いて出てきました。人々は、勇気を振り絞って悪人たちと戦いました。そして、悪人たちを倒すことができたのです」
    「自分たちは自由だ。そうして、青年をリーダーとし広い広い世界を作り上げました。人々は、その青年を神様のようだと思いました。そして、彼の名前としてこの地の宝であるアダマントを捧げ、彼を神様としたのです」
    「この島の名前は神様の名前からもらったものです。そうして、この島は自由で緑豊かで死とは無縁の美しい島となりましたとさ。」

  • 119二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 14:43:46

    「っていう…」
    「………意味がわからねえ。」
    「ですよねー……」
    「……英雄扱いから神様に引き上げられた、みたいなものなのかしらね」
    「…さあ?私らも本に書いてたのチラッと見たくらいだし。解説とかは読んでない。」
    「それでよく覚えてるな…」
    「だって子ども向けにしては変な内容だったから…」
    「え?そう?だいたいこんなもんじゃない?」
    「………あんた地元の海どこだっけ?」
    レーテー内は変な空気になっていた。

  • 120二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 18:20:38

    すいません、今日はここまでにします。少し纏まらないのでまとめ直します。そろそろキッドたちもタルタロスに入ると思います。

  • 121二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:42:29

    乙でした!!よくわからない童話…ムムム気になる!!

  • 122二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 01:28:58

    乙です

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 07:17:47

    うーん更新たのしみ

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 08:33:17

    外に出たくない時期になってきましたね。みなさまもご自愛ください。

    inタルタロス内

    「っ!っ!」
    走る、走る。ウソップたちと別れたあとナミたちはまだ部屋を探すため走っていた。
    今のところ、新しい部屋は一つもない。
    「おい!泥棒猫!もう戻った方がいいんじゃねえのか!?」
    「これ以上探索したらはぐれちまうぞ!」
    「っ……そうね!一度戻りましょうか」
    これだけ走っても部屋が一つもないということはここから先に部屋があるかも怪しいのかもしれない。一度戻って作戦を練り直そう。
    そう思い逆方向へ走ろうとしたその時

    〘先導したのはお前らか〙
    背後に、化け物がいた。

    「っ!?」
    慌ててクリマ・タクトを構え見据える。一緒に行動していたジンベエたちも構えの姿勢にすぐ入った。
    アダマントは見た目が変わっていた。いつの間にか、頭に赤い輪っかのようなものがある。血のように赤い輪っかが。なにより、明らかに殺気立っている。口元だけ笑みを浮かべているのが更に歪さを上げていた。
    〘、……初めてだ。〙〘ここまで頭を掻きむしりたくなるようなことは〙
    〘島民に手を出そうとしたうえ、〙
    〘お前ら、おれに何をした?〙
    「は………?」
    頭を抱えている。様子がおかしい。
    〘流石は〙〘海賊だな〙
    「いったい、なんじゃ急に…!」
    〘もういい〙

    〘待つ意味が無かったみたいだ〙
    アダマントは手に持った大鎌をナミたちに向けて振るった。

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 08:36:27

    動く、かわす、攻撃する。

    アダマントは片手にも関わらず、廻るように大鎌を振り回す。それは剣技としてはお粗末な戦い方だったが、戦う側からすれば充分脅威になるものだった。

    「七千枚瓦――――」

    「あ!!」

    〘?〙

    「――――回し蹴り!!!」

    見事にその攻撃はアダマントに当たった。恐らく、気絶する。もしくはしばらくは動けない威力だった。

    が、

    〘……………〙〘……鬱陶しい〙

    「!?」

    〘どけ〙

    やり返すかのごとく放たれた回し蹴りがジンベエの体を吹き飛ばす。

    〘魚は、〙〘じっとしてろ〙

    「っ!ジンベエちゃん!!」

    〘余所見している〙〘場合か?〙

    真正面にアダマントがいる。既に大鎌を振りかぶっている。

    「っっ!!」

    〘トドメだ〙〘くたばれ〙

    殺される。そう覚悟を決めたとき

    1、「“磁気弦”!!!!!!」

    2、「“磁気万力”!!!」

    3、「“破壊弦”!!!」

    dice1d3=1 (1)

  • 126二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 09:32:56

    キター!!!!!!ユースタスキャプテンキッド!!

  • 127二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 09:35:52

    〘!?〙
    どこからか大きな鉄の塊がアダマントを吹き飛ばした。

    バターン!!!

    大きな音を立てアダマントが壁にぶつかる。
    〘………??〙
    頭を抱え、呆然とした顔をアダマントは浮かべていた。
    「うおおおおわああーーー!!」
    「おい、うおお!?」
    〘…あ〙

    〘お前か〙〘生きてたんだな〙
    「テメェの言うとおり『試練』乗り越えてきてやったわクソが!!!」 
    〘へえ〙〘良かったな〙〘乗り越えられて』〙
    〘それにしては随分時間がかかったみたいだが。〙〘昼寝でもしてたのか?〙
    「…ああ。ずっと寝惚けてたようなもんだろうよ。」
    〘……目つきが〙〘変わったか?〙
    「お陰様でな」
    〘?????〙〘どういたしまして〙〘で、いいのか?〙

  • 128二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 09:37:26

    「あ!ナミ!ジンベエ!」
    「いっ……!ベポ!無事か!?」
    「ルフィ!?」
    「あ!キャプテン!」
    唐突に現れた3人に全員が動揺する中、ユースタス・キッドは叫びながら、走る。
    「走れ、バカども!!!」
    呆然としていたナミたちは同じ方向へ慌てて走った。

    〘…………?、?〙
    アダマントは考えていた。口から、鼻から血を出しながら。
    〘…………〙〘………血。〙
    〘痛、い?〙
    〘傷を与えられた?〙〘さっきの攻撃で?〙
    〘『試練』を越えてから攻撃が当たるようになった?〙〘『試練』にそんな効果あったか?〙〘?????????〙

    攻撃によって切れた口の中の傷や顔の傷が、先程と違い完治ではないにせよ塞がっていく。
    〘……………………面白い〙
    血は、付いたままだった。

    走る、走る、走る。
    「っっ、どうやって来たの!?」
    「っギザ男が手元に黒い空間?みたいなの作れるようになっててよ!それ通ってきた!」
    「どういうこと!?ギザ男!!?」
    「………『試練』を、クリアした。だが、開けたら閉められる。もう、あれは使えねえぞ」
    「ええ〜〜!!!」
    「………!!流石だ、頭!!」
    「おい、ユースタス屋。さっきのやつは、」
    「……………あいつは、“おれ”だ。
    “おれが本来なる筈だったモノ”だ」
    「ハア!?」

  • 129二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 09:41:28

    時は遡り、数分前。ムネモシュネにて。

    「アダマントの正体?」
    [ああ。この先に出るんなら、この情報は必要になるだろう]
    「…ずいぶん調子がいい野郎だな。それがさっき言ってた『試練』か?」
    [勘違いするな。おれが好きなのは“今の”貴男であって、先程のてめえには嫌悪しかない。]
    「意味がわからねえ…」

    […………………あれは“神っぽいなにか”だ]
    「は?」
    [正確には神ではない。神は一人でも成るものだ。だが、アレは神に“異物”が混ざり合っている不完全なもの。]
    「……なにが違う?」
    [君たちの言う悪魔みたいなものだと思ってくれ。悪魔とは“神の成り損ない”だ。まあ万物に神が宿るならアレも神なんだろうが]
    「…………なんでおれがお前の自論を聞かないといけねえ」
    [自論ではない。これは事実だ。少なくとも、この世界線ではこれが事実だ。]

  • 130二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 10:02:31

    [まあ、オメェも似たようなもんだろ。]
    「あ?わけ分かんねえこと言ってんじゃねえ」
    [キミはあの生まれの地では、英雄扱いをされていた]
    「………何の話だ」
    [誰もがこのままでいいのかと考えていた。グループに分かれ争いを繰り返し続けていても焦りは隠せなかった。あのまま停滞をし続けていいのか、とな。
    そこであの事件が起こり、彼女―――ヴィクトリアが死んだ。そしてあんたが全てを纏めあげ、権力者を殺し、海に出た。あのとき、オマエを内心疎んだ奴も居ただろう。だが、半数以上は称賛しあなたを“英雄”、もしくは“救世主”と見做した。]
    「……それと、なにが関係あるんだ」
    [救世主には神に成る素質がある。
    なら悪魔と救世主の違いはなんだ?]
    「…………………善意の有無、とかか?」
    [お、割とノリがいいね]
    「テメェの話に乗らなきゃあ、ここから出られねえだろう。」
    [理解が早いようでなによりだ。で、お主はそう感じたのかね?]
    「………ああ」

  • 131二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 10:03:04

    [残念ながら私はそうではない。英雄と悪魔の決定的な違いは魂だ。崇高なる魂。悪魔は弱者、例えるなら無垢な子どもには強い。が、強者には弱い。だが救世主は違う。ありきたりな言葉だが全てに平等だ。そしてこれを実行できた者のみが神に成れる。]
    「俺のどこが崇高な魂だ。」
    [自身の行いを悔いず、ガムシャラに目的のために前進し続けることは崇高だ。傲慢で強欲であるとも言えるがね。まあ、神なんて人間がなれるのは一握りの狂人だけだよ。
    だから自分は汝のことを“救世主”か“悪魔”のよう、と称した。]
    「…その話と、その“混ざり合っている異物”ってのは関係あんのかよ」
    [ああ。]


    [混ざり合っているモノの正体は、

    ユースタス・“キャプテン”キッド。オマエだ。

    アレはそなたが“成り果てるモノ”だ]

  • 132二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 15:04:15

    ようやくここに繋げれました。

    「は?」
    [言葉の通りだ。アレはお前の将来の姿だ。]
    「いやいやいやいや待て待て待て待て!
    は?そのアダマント?だったかがおれだ?」
    [ああ。アレはお前が『試練』にぶつからなければ確実になっていた姿だ。]
    「………まさか、あの『試練』の順は、」
    [貴様の経歴だ。アレは未来の汝だし、アレ的には貴殿は過去の姿だ]
    「理解できるかぁ!!!見た目に変わってんじゃねえか!!!」
    [ああそうだ。ちなみにテメェは何故か見た目が若返る。あのまま進んでいけばお前は子どもになる。]
    「どういうことだよ!?!?」

  • 133二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 16:01:11

    AIでロリ化したルッチが割とツボで何も言えなくなりました。

    [……あのまま行っていたら、お前らは全員死んでいた。]
    「!」
    [ああ、そなたを除いてな。勿論、君は何度も何度も何度も取り戻そうと繰り返した。が、戻ることは一生無かった。
    最初のうちは、アダマントも幾度繰り返すかを楽しんでいた。だが、ある時気付いた。『このままでは、条件を達成することが出来ないのでは』と。]
    「……それで?」
    [そしたら貴方は過去へ飛ばされた]
    「は?」
    [そして、神に成り、アダマントに成ったわけだ]
    「待て待て待て!!過去になんで飛ばされてんだよ!?」
    [正確には神でもないけどね。簡単なことだ。アダマントも無い頭で考えたらしい。
    『条件を達成出来るような過去に飛ばせばいい』とな。]
    「…それで、なんでアダマント本人になるんだ」
    [あやつは間違えて自身が誕生する前に貴様を飛ばした。すると、『死に戻り』は形を変え『不死』に変化した。]
    「…………」
    [……聞く気になった?]
    「……ああ。」

  • 134二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 17:35:25

    今日はここまでにします。これからアダマント過去編です。気長に見てくださると助かります。

    ――――――――いま、何度目だ?

    ふと思った。そして、死んだ数と死の痛みを、指を折りながら数えた。


    「……………………」
    途中で止めた。イカれそうだなと思ったから。

    ……………おれはまだ、こんなイカれそうなことを繰り返さなくてはいけないのか?

    (……………頭おかしくなりそう)
    疲れた。おわりたい。すべて。何もかも。


    でも、
    「頭?」
    「どうかしました?」
    「………………」

    「いや、何でもねえ」
    続けなくてはならない理由がある。

    そうしてズルズルズルズル続けた末に得たものは、


    「あ、ああああああああ嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

    底知れぬ孤独だった。

  • 135二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 00:41:47

    ついに正体が…

  • 136二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 08:10:39

    ほほ~!!面白くなってきたー!!

  • 137二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 08:39:24

    ループ・陦ィ諠??譚・縺セ縺帙s 回目
    「ハァッ……ハァッ………」
    何度目だ。これは。
    ユースタス・キッドは『死に戻り』を繰り返していた。
    道筋は険しく、あらゆる命が犠牲となる。その度に彼は死に、戻り、生き返らせを繰り返した。
    そうして行き着いたラフテルへの道のさなかで、自分を除き全員がしんだ。理由は忘れた。
    死に戻れば元に戻る。しかし何度繰り返しても、目の前には見覚えのある死体があっただけ。
    信じきれず、何度も何度も死ぬ。
    が、皆は生き返ることはない。
    一度死んだ人間が帰ってくることはないのだから。
    人間は本来なら一度しか死ぬことが出来ない。
    そんなこと分かってる。
    なら自分が何度も死んでいるのは何だったんだ。
    戻れ、戻ってきてくれ。血塗れになった自分の手のひらを見つめる。落ちていた刃物で胸を貫いた。
    そして、また見覚えのある骸の前へと戻るを繰り返すのである。

    そうして死を何度も繰り返した中で、彼の意識と身体はなにかに引っ張り上げられるような感覚に陥った。


    次に目を覚ますと、彼は見知らぬ場所に居た。

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:16:31

    「………あ?」
    何処だ、ここは。
    船は?みんなは?
    「……………」
    頭が痛い。つかれた。もうこのまま、眠ってしまおうか。
    「……………」ドサッ
    倒れたことで更に分かった。もう立てない。
    「…………」
    ………眠い、痛い、つかれた。
    目を閉じた。


    「あの…大丈夫ですか?」
    キッドが倒れていたのは人通りの多い砂浜だった。

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:34:50

    「大丈夫ですか?うわぁ片腕痛そう…」
    「………」
    顔をあげる。女の顔があった。
    「あ、起きてる。良かった!」
    「…………ここはどこだ」
    「おお話した!えーとここは、クロノス島です!怪我酷いですねー。よいせっ」
    そう言うと女はキッドを運ぼうとしたのか、肩を担ごうとした。
    「うお、なにすんだテメェ」ズリズリ
    「怪我した人を放っておけませんよ!よいせ、よいせ!」
    残念ながら体格はキッドのほうが遥かに大きいため、引きずられる形にならざるを得ない。
    それでも、女は運ぼうとしている。
    「……何処に連れてく気だ。」
    「とりあえず、私んちに!」
    「……お前、なまえは」
    「っ!っ!え!?名前ですか!?

    ダリーナです!」

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:51:49

    ダリーナちゃんかわよ…台詞と行動だけで既にかわよ…

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 18:56:19

    今日はここまでにします。まだちょっとダラダラパートです。過去編ってどれくらい箍外していいのかな?

    「……ふーん……」
    マズイ。本当に眠い。意識が朦朧としている。
    「聞いたくせに興味無さそう!!て、あれ?お兄さーん!?」
    もういい。寝よう。そのまま意識を失った。
    「ちょっとぉ!?」

    「もー…なんなのー…」
    ズルズルと自分より大きな体を引きずって歩く。
    「……やだなあ。メンドクサイなぁ…」
    近々、“お祭り”がある。本当はやりたくない。でもやらなかったら、どうなるか分からない。
    「……おっも。」
    肩にかかる重量に思わず本音が溢れた。

  • 142二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 19:41:33

    すいません、オマケです。

    ダリーナちゃんはこんな感じ。服装はイメージ。

    picrew.me
  • 143二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 19:42:57
  • 144二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 01:05:18

    楽しんでますので個人的にはやりたい放題ぶちかましちゃってください!です

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 01:14:28

    めちゃくちゃ面白いです!!!どうぞお好きにやっちゃってください!!それが面白いです!!

  • 146二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 03:00:05

    キッドのどんなひどい目に合ってもバカやらかしても絶望しても最終的に立ち上がるし何とかするし、船員に怒られて叱られて抱きしめられてとひっくるめて愛されて笑ってる未来が見える信頼感が強すぎて心は痛いけど安心感がある不思議な感覚

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 06:35:48

    書き忘れてましたがオリジナルキャラがしばらく出張りますし、マジで閲覧注意の要素が入りそうなのでお気をつけください。

    目の前に山程ロールキャベツがある。
    「おおー!」
    「キラー!これ全部食ってもいいのか!?」
    「ファッファッ。全部はだめだが。まあ、たくさん食えよ」
    「うおおお!!!」
    「ありがとな、キラー!」
    嬉しい気持ちのままロールキャベツを口に入れた。

    (…………あれ?)
    おかしい。
    (…………なんか、あんま、旨くねえな…?)
    気のせいだと思い、もう一度噛む。
    やはり美味しくない。味のしない固形物を口に入れたようだ。温かいのは分かるのに。
    (いや、これは………)

    (……味が、しない?)
    よく見る。好物、のハズのロールキャベツのはず。
    「………?、………」
    「頭?どうかしました?」
    「いや、…あー、と、」

    「な、何でもねえ……」
    「キッド」
    「頭、いっぱい作ったから食べてよー!」
    「…………」

    「…あ、ああ。ありがとうな!」
    むりやり口角を上げ、明るいふりをした。

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 06:36:27

    「お腹いっぱいですね!」
    「そうだな」
    「あれ、頭どうしました?」
    「わりい、便所行ってくる」
    「おー、いってらっしゃ~い」
    「頭喜んでくれて良かったですね」
    「ファッファッ。久しぶりだったしな。」
    「でもなんかキッドの頭、様子ちょっとおかしくなかったか?」

    「う、ぶ…」
    無理やり口に捩じ込んで胃に消化しようとしたのが良くなかった。まるで土を食べたようだ。
    「っ…」
    おれの、体はどうなってしまったんだ。
    味がわからなかった。無理に飲み込もうとすると嘔吐きかけた。体が、食べてはいけないと拒絶している。無理やり口の中に詰め込んだが、ただ胃を圧迫しただけだった。

    「…お、げええええええええええ」
    耐えきれず、胃の中の全てを吐き出す。
    …ああ、なんてことを。せっかく、おれが喜ぶと思って作ってくれたのに。

  • 149二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 08:18:09

    目が覚めると見知らぬ天井だった。

    「あ!起きました!?」

    ……なんつー夢を、見てるんだ。…今のは過去の記憶だった。
    「あ~よかった!昨日いきなり寝だしたしびっくりしましたよ!あ、朝ごはん食べます?」
    「…………わりい、助かった。」
    「ん?いやいや無事そうで何よりですよー。あ、林檎食べます?」
    「………ありがとう」
    「え、いやあのジョークのつもりなんですけど…」
    「……腹の足しになれば、何でもいいだろ」
    「!?」ポカーン
    「…なんだその顔」
    「…やっぱり朝ごはん作ってきます!待っててくださいね!」
    「いや、いらねえけど…」

    数分後
    「どわーー!!!??」
    「何やってんだ!?」
    キッチンらしき場所は燃えていた。

  • 150二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 12:41:25

    「…何やってんだお前」
    「いやー…あの、料理すんの久々で。まさかあんなに油が出るとは…」

    「と、とりあえずこれ!林檎、食べましょう!一応、これうちの家のなんで!毒とか入ってないんで!」
    「………お前がおれに毒盛れる器用さはない気がする」
    「失礼な!あと、お前じゃなくてダリーナです!昨日言いましたよね!?」
    「そうだっけ?」シャクシャク
    「忘れてる!?そういや昨日興味無さそうだった!」

    「………ありがとうな。助けてくれて、よ。」
    「いやいや、倒れてた人がいたら助けるのが当然ですって。にしても、アイツラに気づかれなくてよかったですねー。」
    「アイツラ?」
    「…あー、言うべきかなぁ…」

  • 151二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 13:43:21

    「……外。見てみてください。あ、バレないように気をつけて」
    外にはなんともへんてこな格好をした集団がいた。
    「…なんだあの変な奴ら」
    「クロノスさま信仰の過激派ですよ。……この島は元々はクロノスさま信仰の聖地って言われてたんです。でも…」
    「…20年前にアイツラが、この島を占拠して、私のお父さんとお母さんも、連れてかれて…私も働かされてるし。…もう、この家しか。」
    「………」
    「………初対面の人に何話してるんでしょうね。忘れてください。すみません。」
    「………その、再度言うが助けてくれてありがとう。あと、ここは船とか来るのか?」
    「………一年に3回だけ。」
    「あー…なら船作るしかねえか…」
    「……え?船作るの?」
    「泊めてくれてありがとう。悪いが鉄か木材が何処かにねえかも教えてもらっていいか?」
    「ていうか片手で!?どうやって!?」
    「は?ナメんな。こんくらい、」
    悪魔の実の能力を使う。鉄が引き寄せられた。
    「うおお!?」
    「……ん?」
    鉄は、くっついた。だが、形を作れない。
    扱えない。いや、うまく動かせない。
    「……あれ?」
    「うおびっくりしたー…。というか、船作るったって行くとこあるんです?船作るにしても寝るとこいるでしょ?」
    「……それは、まあ、そうだな」
    「無いならしばらく私んち居ていいですよ?正直一人で寂しいな~ってなってたんで!」
    「……なにが狙いだ、テメェ」
    「ヒエッ、顔怖…
    あー、……実は〜、ですねー…。」

  • 152二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 13:43:54

    「私、家事すんのメンドクサくて…」
    「……は?」
    「お兄さん、片手でも意外と器用に色々やってましたし、さっきの消火とか。家で代わりにやってくれたら助かるなぁ〜って…だめですかね?」
    「は?」
    「あ!大丈夫ですよ!代わりと言っちゃなんですけど、島の変な奴らからは全力で隠しますし船作りも手伝いますよ!
    だから、お願いします!!」
    「………………」呆然
    ……まあ、無いよりマシ、なのか?
    キッドは心から呆れながらもその提案を受け入れることにした。

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 17:06:58

    しばらくこんな感じです。すいません。

    ………そうして、しばらくお世話になることになったのだが、存外心地よさをキッドは感じ始めていた。

    「おいどけ、こぼれんぞポンコツ」
    「はいー!?この家私のなんですけどね、お兄さん!?」
    「この飯作ったのおれだろうが」
    「野菜の皮は私が剥きましたけど!?」
    「指切ってすぐやめてたじゃねえか」
    「うぐう」
    「ガキかよ」
    「私もう、23歳ですー!」
    「おれと同じじゃねえか」
    「え!!?見えない!老けてる!」
    「失礼だな、テメェ!!」

    船を作るといっても材料がやはり少なかったため、ダリーナの手を借りることになった。ダリーナに島にある船に使えそうな素材をなんとか集めてもらえないか、と頼んだところ思ったより多く集まったため、もはやキッドは完全にお手伝いさん状態である。仲間のところへ、早く戻らなくてはならないのに。………生きている、のだろうか。少し、不安だが。

  • 154二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 17:28:23

    「そういえば、お兄さんの名前聞いてませんでしたね?お兄さん、名前は?」
    「食ってる途中で話すな。……ユースタス・キッドだ。」
    「ゆーすたすきっど。へーいい名前じゃないですか。」
    「……あ、でもおれは海賊だからあんま名前呼ぶなよ」
    「さらっと言いましたけど海賊!?、あ、だから船!?えーと、じゃあなんて呼べばいいんです?」
    「あー…そうだな、あー、と…。」
    ふと目を逸らした先にあったのはこの地の名産として過激派共に献上され、別の国に売り捌かれているという石。

    「……アダマント、とか?」
    下らないが、名前はあったほうが良いだろう。
    「アダマント…金剛石!?高貴!!調子乗りすぎでは!!?」
    「んだと、ゴラ!」

  • 155二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 19:35:57

    今日はここまでにします。そろそろ本腰に入るつもりでいます。気を長くお待ちしてくださると嬉しいです。

  • 156二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:08:51

    ダリーナちゃんかわいいな

  • 157二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:32:24

    島にしばらくいて、ようやく能力があまり使えない理由がわかった。どうやらこの島はそこかしこにアダマントの石を使っており、それが磁力阻害の効果を出しているらしい。
    それはつまり、島の中さえ外れてしまえば問題無く能力を使えるということで。
    「おおー!作れるもんですね!あ、鉄まだ要ります?」
    「ああ、ありがとうな。まだ時間はかかりそうだが作れるもんだな。」トンテンカン
    「いや、私の手伝いあり気だと思いますけどね!」
    「あーはいはい。じゃあそれで」トンテンカン
    「扱い方が雑ゥ!?」
    「………そういや、気になったんだがよ」
    「んぐう……はい?」
    「お前のその帽子、なんなんだ?家の中でも外さねえし。」
    「……常時、頭にゴーグルくっつけてる人が言います?それ。ただのトレードマークですよ?」
    「おれのこれは目の保護の為。はい、おれは言った。お前も言え」
    「うぬん、強制的…。
    ……………これは、お父さんの遺品なんです。」
    「…?」

  • 158二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:33:37

    「……元々、私んちは島一番の林檎農家なんですよ。で、日差し浴びたら大変だからって、お父さんが被ってて。」
    「へえ」
    「……20年前に、死んじゃったんですけどね。お祭りで。それから、みんなアイツラのせいで、ご飯とか、まともに食べれてませんし。病院とかも占拠されちゃって。」
    「…ずっと気になってたんだが、その“祭り”ってなんなんだ?」

    「………人身御供」
    「あ?」
    「……この島の番の男女を生贄にするっていうお祭りなんですよ。」
    「………うえ」
    「……やりたくないなぁ〜、嫌だなぁ…。お祭りのときってただでさえキツいのに、更に働かされるから大変で…。しかも生贄出さないとですし…。」

  • 159二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:34:16

    あー…なるほど…アダマントってそういう…つら…

  • 160二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:35:29

    祭りの内容がクソだった…

  • 161二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:36:11

    「…………」
    「………その初代が私のお父さんとお母さんなんですよ。私、その時3歳なのにしっかり記憶に残ってて……。

    …正直、もう島にいたくないと思ってるんですよね。できるだけ、早く、出ていきたい」
    「……なら、」
    「ん?」
    「おれと一緒に来いよ。そんで、おれの船探すついでに旅しようぜ。」
    「…………勧誘かい!?」ポカーン
    「…悪いかよ」
    「………ひひっ、いいね。キ、違ったアダマントの仲間なら退屈しないかも」
    「!なら来いよ!そん時におれの仲間も紹介してやる!」
    「なら、まずは船完成させないとねー!」
    「グッ…」
    「ひひっ、楽しみにしてる!」

  • 162二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:45:36

    「ってな感じだ。知らねえのか?俺らの船はそこそこ名前は知られてるはずなんだが。」
    「うーん…知らないですねえ。なんか最近だと、ジョイ、…?なんとかがっては聞いたことあるようなないような」

    すると、唐突に、足が滑って、
    「あ」
    勢いよく、刃物が頭に刺さった。
    ブシャ
    「っ!?アダマント!!?」
    頭を貫通する。トマトのように。

    だが、
    「は、あれ」
    すぐに、治った。
    傷口が、キレイに消えている。
    まるで、最初から何も無かったかのように。
    「アダマント!?大丈夫!?」
    無事だった。怪我すらしてなかった。
    「は?いやおれ死、」
    キッドは、
    「ん、」
    ドターン!
    「アダマーント!!?」
    時間差で気絶した。


    どうやら、怪我や死にかけてもすぐ治るようになったらしい。有り難いと思うべきなのだろうか。

  • 163二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 08:25:34

    ここから本題。

    酒は、いい。味は分からないが、飲むと頭がふわふわするから。何も、考えずに済む。

    「頭!一緒に飲みましょ!」
    「………ああ」
    ユースタス・キッドは心身ともに疲弊していた。
    何度、死に戻ったか分からなくなるほどに。
    船員の暢気な声に、苛立ちを募らせるほどに。
    そうして、ゆっくりゆっくりと削れていった彼の正気は、

    「あ」
    (あーもう無理だ。)

    ふつり、と切れた。



    目の前が、真っ赤になった。

  • 164二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 08:46:24

    そうして、船も完成した頃。
    「………………」バタバタ
    「おー、おかえり。船なら海に置いたぞ。」
    「…………………」
    「どうした、なんかあったのか?」
    ダリーナの顔は蒼白だった。

    「…アダマント、いや…キッド、悪いことは言わない。今すぐにでもこの島から出てください。」
    「……は?」
    「……アダマントのことが、邪宗にバレた、みたいです。」
    「…!」
    「……私のせいだ…!私が、気づかなきゃいけなかったのに…!」
    「ちがっ…お前のせいじゃねえだろ!」

    「………アダマントのことは、私が必ず逃がすから…!」
    「は………お前は!?」
    「……私は、島の奴らにそいつなら既にいないって言ってきます。」
    「信じられるわけ」
    「ないよ!わかってますよ!でも、やらないよりはマシなはずですから…!」

  • 165二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 08:47:19

    ダリーナは家からキッドを叩き出した。
    「おい!?」
    「船に行って!絶対に、後で追いつきますから!」
    「………絶対だぞ!言ったからな!」
    「うん!絶対に追いつくから!」

    振り返らず、走る。ずっと、胸騒ぎがする。
    なにが、あったというのか。
    なにかが、あった。なにか、とてつもないことが起きた。
    まだ祭りは先だから、と動いてなかった邪宗の奴らが動き出した。
    起きた事実は理解した。だが、理解はできない。なにが起きたのか、なにひとつとしてわからない。なにひとつわからないが、わかっていることがひとつだけあった。

    それは、この悲劇がこの場所だけで終わっているはずがないという当たってほしくない事実だ。

    走る。走る。せめて、約束を果たすために。
    走る。走る。



    ――――――――船は、木っ端微塵にされていた。

  • 166二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 09:50:49

    ………やはり、吐き気がする。こんな、酷い茶番に、20年もつきあわされた。
    終わりにする。島の人達には悪いが、もう付き合いきれない。
    アダマントと、いやキッドと一緒にこの島を出よう。希望的観測だが、きっと、彼となら上手くいくはず。
    そのためにも、急がなくては。


    「おやおや、珍しい。こーんなところで何をしているんですかぁ?」
    「…!?」
    邪宗の奴ら!?
    しかも目を疑ったのは、


    目の前に顔を真っ青にして拘束された、首から血を流し苦しそうなキッドがいた。
    拘束しているものはアダマントで出来ていた。

  • 167二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 09:51:41

    「君が、人を庇うなんてなあ〜。」
    「…あ…」

    「……ふざけてんじゃねえぞ!!!こ…ッッのクソアマがぁあああああ!!!!」
    「うガっ!」
    顔を殴られた。倒れたところを蹴り飛ばされる。ダリーナ、逃げて。なんで、おれはまだ能力が使えないんだ。動けない。動けない。
    「我々に逆らうという事はなぁぁぁ!!クロノスさまに逆らうという事なんだよぉおおお!」
    「っあ、ガハッ」
    「この不届き者がァァァ!」
    「ッッ」
    殴られ蹴られ髪を引っ張られ引きずり回される。既にトレードマークにしていた帽子は外れグチャグチャにされていた。

  • 168二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:09:59

    書き忘れてましたがアダマント過去編は胸糞注意です。表記するのを忘れていました。申し訳ありません。あと、キッドとダリーナに友情はあっても恋愛感情は無いのでご安心ください。あと、過去編は🎲無しです。

    再三暴行をして疲れたのか、邪宗の奴らにボロボロにされたダリーナは取り押さえられていた。鼻から口から血を流し息が荒くなっている。
    「はーっ…はーっ…。おい、」
    「はっ」
    「アレ、持って来い。」
    「…はっ!」

    「………なあ、男。」
    「………っ」
    「もし本当にお前が不死者なら、“コレ”を、飲んでもらおうと思ってなあ。」
    チャポン。そんな音をたて毒々しい色をした液体が入った容器を手のひらで渡される。
    「隣の国の奴らから奪ったんだが…これ一つで人はすーぐ壊れるらしい」
    「………!」
    「薄めて飲ませると興奮剤としても使えるらしいから元々奴隷の仕事を円滑にさせるために使ってたらしいが…。
    なあ、そんなクスリの原液をそのまま飲んだらどうなるんだろうな?」
    クスクスと笑いながら邪宗の男はそう言った。

  • 169二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:12:54

    「素直に彼が君と一緒にいた不死者と言えば、君は解放するよ?ダリーナ」
    「…し、知らないですねえ…そんな、ド派手なわけわかんない人…」
    「は…………」
    「……そんなやつのことなんか、私知らないですよお。死ななかった?うーん、さては私のことですか?ほら私、割と運がいいし?」
    嘘だ。顔色が悪い。なんとか強気な態度を保とうとしているのが見てわかる。
    「ほーう?知らない、と?

    …なら、部外者は殺さないとなあ!コイツを飲んでもらおうか!」
    「!?」
    髪を引っ張られる。無理やり、上を向けされられる。
    「やめて!!その人には、関係ないでしょ!?」
    「……お前さ、やっぱりコイツと同じかぁ?」
    「…は…?」
    「コイツがもし不死者なら一緒にいるお前も不死者の可能性がある。

    なら、生贄にされて当然だと思うんだが?」

  • 170二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:14:36

    別世界線のキッドかぁきっっっつ……

  • 171二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:14:41

    「……!」
    思わず、体が動いた。あんな、訳の分からないのを、ダリーナが飲まされるかもしれない?やめろ、駄目だ。でも、おれは抑え込まれていて身動きらしい身動きが出来なかった。
    「っやめろ!!!」
    「…なんだい?部外者。せーっかく見知らぬ女性が君を庇ってくれているのに。」
    「おれのことはどうしたっていい…!」
    「…やめてよ、ねえ!?」
    「だから、そいつを、」
    「やめてって言ってる!?」
    「助けてやってくれ!」
    「やめろって言ってるでしょ!?」

    「頼む…!」
    「…いやーあ、素晴らしい『愛』だな!愛は大切だものな〜!我々も見習わなくちゃあなあ!」
    まるで見定めたかのように軽薄な声が響き渡る。
    「それじゃあ、君のその愛に免じて〜」
    にこやかに、告げる。
    「彼女は、解放してあげよう!」
    その言葉に、キッドは思わず安堵してしまったのだ。

    「…なーんてねバーカ」カポ

  • 172二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:16:18

    …え?
    そいつはダリーナの口にクスリを捩じ込んだ。
    「オラッ!飲めぇ!!」
    「!?、んーっ!んんーっ!!」
    暴れる。飲み込むのを拒む。
    が、

    ゴクン
    「あ、?」
    ダリーナは、

    「ひ、」
    「ぎ、あああ“ァアァぁ“あああぁァ“!!!!」
    「なんだ。マジで不死じゃないのか」
    「ぁ、あがががががががががががが!?!?!?!?!」
    「うわ!、あーあ全部溢れた!」
    人間では有りえないような動きをして暴れ始めた。
    「暴れんな!!」
    「ぐぎぁはうゆまなたゆあうあ!!!」
    「取り押さえて箱に入れとけ。もう逃げないだろ。」
    「アガッ、グハッ、ガハッ、ゴホッ」

  • 173二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:17:22

    わ、わぁ……これは狂うわ……

  • 174二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:19:48

    「あ……あ“ー……あ“ー………」
    ダリーナは、目の焦点がもはやあっていない。痙攣しているかのようにガクガクと動く。

    「………ぇ」
    蹂躙された。
    ダリーナの尊厳が、目の前で、いとも容易く、愉しげに、壊された。
    また、手遅れになった。キラーの時も、おれは。おれの、せいで。おれが、失敗したから。
    それは、その光景は、目を逸らすことすら浮かばないほどのその光景は、キッドにとって、
    「――――――ああああああああああああああああああああああああああ!!!」
    忘れていた怒りを、激情を、憤怒を呼び起こすのに充分だった。

    「殺す!殺してやる!殺す、殺す!絶対に殺す!殺してやる、殺してやる!! 殺す、くたばれ、死にやがれ、くたばれ、殺してやるぅぅぅぅう!!」
    その喉笛を潰してやろうと手を伸ばす。が、上に乗ってる奴らが邪魔をして届かない。前のめりになり、勢いで顔面を地に落とす。
    そんなキッドを見下ろし、邪宗の者たちは愉快げに嗤い、
    「心臓を、抉れ。どうせ死なないだろうからな」
    そう告げた。

  • 175二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:20:54

    暴れるキッドを抑え込むかのように、鋭い何かが刺し込まれる。
    皮膚が、心臓が、抉れる。
    い、た  ?
    痛、い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたたたたたたたたたたたたたたたた

  • 176二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 12:21:44

    「おい!こいつホントに死なないんだな!?」
    「はい!」
    「箱に詰めろ、また暴れられたらたまらねえ!」

    「あ“、…が、あ、」




    「……き、ど、」

    「………ご、め……」
    遠のく意識の中、そんな声が聞こえた。

  • 177二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:29:29

    マジで閲覧注意なのでご注意ください。ここまで長くなるとは思ってなかったんだ…。あと、キッドがこうなるならかなりキツイのを、と書いてたら予想以上にエグくなって申し訳ないです。すみませんでした。

    目が覚めると狭いなにかに詰められていた。
    …さっき言ってた箱、とやらなのだろうか。間隔が多少あるため少しなら動けそうだ。
    「――――――っ」
    声を出そうとした。だが、出ることは無い。喉でも潰れたのかと喉を触ろうとした。左腕は、問題無く動く。試しに箱を引っ掻く。開きそうも、ない。
    片腕しかないから拘束しなくてもいいとでも思ったのか。クソが。
    口元に違和感を感じ触る。頑丈そうな口枷が充てられていてひどく邪魔に感じた。

    ……ダリーナ。ダリーナは?どうなった?
    早く、助けに行かなくては。まだ、間に合うかもしれない。

  • 178二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:31:04

    そう考えた彼は首の向きを変えた。
    「――――――――!」

    そこに、ダリーナはいた。
    だがダリーナは、まるで人形のようにピクリとも動かなくなっていた。
    死んだような目をして、何処か虚空を見つめている。数分前まであった快活さが消え、不気味さだけがそこにあった。

    「…ッ!」
    フラッシュバック。
    救えなかった。無惨にも殺された、親友が。死にゆく、仲間が。被って、見えた。
    口枷が邪魔で、上手く呼吸ができない。喉に詰まるような感覚に陥る。
    「……ッ!……!!……」
    怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
    独りが、怖い。救えなかったことが、怖い。何も出来なかったことが、怖い。これから何が起こるのか、わからなかった。それも、こわい。
    おちつけ、落ち着け。なんとか、ここから出なくては。

  • 179二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:38:46

    焦げた、匂いがする。
    ………なんか、熱い?
    ……燃え、てる? 
    燃えてる?
    なぜ?
    外からは、馬鹿みたいな声がずっと聞こえていた。
    「―――――こんな素晴らしい生贄がいるのに祭りを行わないなんて不敬そのものだ!そうだろう、諸君!?」
    「―――――――――――――!!!!?!」
    ふざけんな!!開けろ!
    「さあ、祭りだ!クロノスさまのための!我々のための!」
    「――――――――――――――――――――!!!」
    ガリ、ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
    ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!
    動く手で、引っ掻く。叩く。

    あ つ、  い   。
    熱 
      い
    熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!!
    「――――――――――――!!!!!」

  • 180二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:44:53

    「おお神よ!この者たちの身を捧げます。ひとりはこの島いちの才女、もうひとりは不死者です!どうぞ、その器をお受け取りください!」
    嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!
    「我らに悠久の時を!永遠の恵みを!美しい永久を!未来永劫に続く幸せを!是非この地へ現れ給え!」
    外でなにか叫んでる。死にたくない。圧倒的な勢いで迫る妄言、戯言。それを理解する余裕が今はない。死にたくない。耳に入るものも目に入るものも何もかもが恐怖の対象にしかならない。死にたくない。呼吸することも恐怖で、瞬きすることすらも恐怖としか思えない。死にたくない。外が、箱が、ダリーナが、燃えてる。死にたくない。おれも?おれも燃えてる?死にたくない。動けない動けない助けて熱い。死にたくない。声が出ない苦しい熱い熱い熱い助けて。死にたくない。息出来ないダリーナが燃えてる目眩がする苦しい痛い。しにたくない。こわいくるしいいたいいたいたすけていやだいやだいやだいたいあついあついいや。しにたくな

  • 181二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:51:55

    死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにた

  • 182二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 14:53:17

    いつも、いつもだ。俺の判断は間違いばかりだった。だから大切なものはみんな俺の手のひらからこぼれ落ちる。おれが死なせた。結果は変わらなかった。全て、おれが、人を頼ったから。ひとりで、誰も頼らず、全てをどうにかできる力が欲しい。大切な人を、守れる。そんな力が、欲しい。


    全てを、終わらせる、勝てる、争える、力が。


    意識を失う直前、
    炎のような血のような赤い光と、目があった。



         『――――――きたれ』


    ……雷のような、声が聞こえた。

  • 183二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 15:14:22

    わ、わぁ……

  • 184二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 15:36:55

    次スレそろそろ立てた方がいいですかね?思ってたより長くなっててびっくりしてます!

  • 185二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:09:54

    乙です!
    次の話のレス数によっては先に用意しちゃってもいいんじゃないですかね?
    立てるならこっち埋めときますし

  • 186二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:12:08

    >>185

    じゃあ建てますね!

  • 187二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:14:24
  • 188二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:22:45

    たておつです

  • 189二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:23:00

    こっち埋めちゃいますね

  • 190二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:25:19

    ここまですりつぶしてもまだキッドに対して「やったか?!」みたいな気持ちがある

  • 191二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:26:00

    >>189

    よろしくおねがいします!!

  • 192二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:32:07

    うめうめ

  • 193二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:52:33

    うめ

  • 194二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:54:01

    うめー

  • 195二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:09:00

    うめ

  • 196二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:09:08

    うてうて

  • 197二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:36:34

    埋める

  • 198二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:36:48

    うめ

  • 199二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:36:59

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:37:10

    おけ

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