[♂トレSS] トレーナーを誘惑しようとするキングカメハメハ

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:58:30

    「ふぅ・・・今日のトレーニングもこれで終わりね。」

    夏合宿も残すところ一週間。神戸新聞杯に向けた調整も最終段階に入り最後の追い込みが始まった。調整自体は筒が無く進行しているのだが、別の目標の進捗具合は最悪だった。それは、『私のトレーナーを自分の魅力で魅惑する』と言うこと。
    昔から私の周囲の人は、常に私を持ち上げ可愛がってくれた。傲慢だと思われるかも知れないが、世界中の全ての人が私を可愛がるものだと思っていた。それが常識だと思っていた。彼に出会うまでは。
    一年前、私は色々なトレーナーからスカウトされていた。色々な将来のヴィジョンを聞かされた。どれも、面白そうだったけどイマイチ心が動かなかった。今思えば、私自身が周囲の人からチヤホヤされるのに過食気味だったのかもしれない。
    それからの毎日は喧騒に塗れた毎日だった。そのため、トレーニングは学校外で行い昼休みは一人屋上で過ごす様になっていた。
    そんなある日、いつもの様に近所の運動公園のターフで走っていたら、ターフの土手で私の走りを見ているサラリーマンの様な男性がいた。ウマッターのファンかただ何となく見ている人なのかどっちなのか見当がつかなったが、特に何も無かったのでほっといていた。
    その後、トレーニングが終わり休息をしていたら、遠くに居た彼がいつの間にかターフに降りてきて私の方へツカツカと歩いて来た。ウマ娘と成人男性のパワーウェイトレシオを考えれば、私が負けることは無いが流石に夕暮れの人通りが少ない公園で女子と男性が一人の状況下だからそれなりに緊張する。すると彼は、私に正対しこう言った。

    「君はトレセンのウマ娘かい?走りは良いけど、コーナーの突っ込みが足りない。もっと死ぬ気で突っ込まないと、勝ちは取れない」

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:16:58

    自己紹介もせずに突然、なんだろうと思った。いや、こレは誰だってそう思うだろう。彼の顔を見る限りだと目や視線の動きから察するに悪い人物では無さそうだった。しかし、とりあえず自己紹介をするべきだと思い私は口を開いた。

    「こんにちは・・・この時間なら、こんばんはの方が正しいでしょうか?私の名前はキングカメハメハ。トレセン学園に通っているウマ娘です。申し訳ありませんが、貴方はどちら様でしょうか?」

    「ボク・・・?あぁ・・・ボクは・・・その辺のサラリーマンだよ。父親がトレーナーで、子供の時からウマ娘のなんたるかを叩き込まれたけど、試験に落ちてね。結局しがない公務員・・・サラリーマンだよ。」

    と彼は、両手を開いて彼はクスッと笑った。

    「そう・・・ですか。分かりました、ありがとうございます。因みにさっきのコーナーの話しですが、もう少し詳しくお聞かせ願えませんか?」

    その後、彼は私にコーナリング時の姿勢や体重移動の方法、走る時にもっと重心を落とし安定性を高める走り方を教えてくれた。しかし、当の本人は電話で呼び出された様で自分の車に飛び乗って何処かに行ってしまった。

    「そう言えば・・・お礼、言ってなかったわね。」

    家路の中で今日の事を反芻している最中に、彼にお礼を言ってないことを思い出した。公務員だと言っていたが、どこで働いているのだろうか?近場に自衛隊の基地があるからそこ?いやシンプルに市役所?それとも・・・?ふと気がつくと学園に着いていた。

    「・・・集中しないと。私は、ウマ娘。走るためにココに来た。」

    と呪文の様に呟き学園の敷地に足を踏み入れた。

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:13:30

    「・・・・・・・」

    「カメハメハちゃん・・・大丈夫?」

    結果だけ言えば、昨日の夜は眠れなかった。一晩中頭の中で彼の事を考えていたので、それを中和するために死ぬほど下らない事を考えていたら、挙げ句の果てにそれが混じり夢なのか想像なのか分からない夜だった。流しに行き鏡を見る。髪はボサボサで目元にはクマがついていた。最悪だ、今日は全校集会があると言うに・・・こんな顔で行ける訳がない。さて、どうしたものか・・・。とりあえず、顔を洗うところから始める事にした。
    講堂に入るともう先輩たちが集まっていて、委員会の子たちが準備をしていた。先生やトレーナーもゾロゾロ集まって来ていた。その中に、とんでも無い人が紛れていた。昨日、私にトレーニングしてくれた青年がその中に紛れていた。他のトレーナーと色々、小声で話しているが、どの様な内容なのだろうか?
    そもそもなぜ、彼が?私に会いに?そんなわけ無い。それじゃあ?彼の仕事は公務員、トレーナーや先生は公務員では無かったはず・・・ここは文科省管轄の学校では無く農水省管轄だから、それでも無い・・・そうすると・・・。私の頭から湯気が上り始めるくらいに理事長代理が登壇し、集会が始まった。

    「皆さん、おはようございます。今日、この学園に新しいトレーナーが赴任することになりました。トレーナーさん、こちらに」

    代理が、トレーナーの列の中にいる彼の名前を呼んだ。彼は、列の中から出ると私と会った時と同じようにツカツカと階段を登り、登壇した。彼の名前・・・そう言う名前なんだ。

    「皆さん、こんにちは。ただいまご紹介にご紹介に与りました者です。昨日、私は近所の運動公園で一人走っているウマ娘に出会いました。彼女の走りはかなりのモノで、一眼でダービーは獲れそうだと思いました。しかし、そこで一つの疑問が浮かびました。” 何故、彼女が一人で、学外で走っているのか? " と言うことです。本来なら、とうの昔にトレーナーがつき、ターフの上を駆け抜けていてもおかしくないのに。にも、関わらず彼女が一人で走っているのには何か理由があるはずです。

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:13:48

    それは何なのか?知って呆れました、ここのトレーナー陣が彼女に寄って集って猛烈なアタックを繰り返し、彼女はそれを避けるために一人で走っているのだと・・・。トレーナーがウマ娘に希望を寄せるのは、理解できます。しかし、それが原因で走れなくなるのは、本末転倒です。これは、私の父親の言葉ですが、トレーナーは常にウマ娘の心に寄り添うべきである。と当たり前に聞こえると思います。事実、これは育成学校の一時限目で習う内容です。
    強い言葉を使いますが、それすら出来ていないここのトレーナーは、恥を知るべきです。
    私は、トレーナーとウマ娘の健全で正しい関係こそが真の強さを生み出すものと思っています。以上です。」
    講堂内の空気は完全に冷え切っていた。トレーナー陣を敵に回し突拍子ない長台詞を一辺にワッと浴びせられたのだからそれはしょうが無いかも知れない。普通の人ならこんなことは言えないし、言ったとしても目が泳いでいるはずだ。しかし彼は、たじろぐ事なく一点を見つている。昨日、私を見ていた時と同じ視線で。
    「トレーナーさん。本当なら、一からゆっくり教えてから、担当ウマ娘を付ける友利でしたが、そんな悠長な事を言えるほど今の私たちには余裕はありません。貴方には早速、担当ウマ娘をつけて貰います。
    先日、渡した資料に書いてあるウマ娘で、担当したいウマ娘は居ますか?」

    代理が彼に聞くと彼は口に手を当て少し考え込む。誰なのだろうか?私だろうか?いや・・・。少し考えると彼は代理に耳打ちをした。代理が一瞬眉を上げ少しうなづき、彼にマイクを渡す。

    「私が担当したいウマ娘が、一人いるんですが・・・どうにも名前が分からない。申し訳ないが、そちらから名乗ってくれると助かる・・・」

    「私です!!!!」

    叫んでいた。ツカツカと生徒の列を割り、階段を上り彼と正対する。

    「君が・・・名前は?」

    「キング・・・キングカメハメハ。」

    「キングでカメハメハか。大王と言うに相応しい名前だね。うん、気に入った。これからよろしく」

    彼が私の名前を正味し、満足そうに頷き右手を差し出した。その手を優しく握り返し、静かに頷く。

    「こちらこそ、よろしくお願いします。トレーナーさん。」

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:29:40

    それから、一年彼と走り抜けて来た。彼のトレーニングは問題なかった。やはり、初対面で私の問題点を指摘できた観察力と知識は伊達ではないと言うべきだろうか。しかも、一つ面白いことも発見した。それは、女性に対する免疫が強すぎるということだ。
    自画自賛だが私は顔は勿論、身体も異性は当然、同性すらも魅了する身体を持ち合わせている。それを持ってしても、彼は全く私に靡かない。それどころか、逆に説教を始める始末だ。他の子にその話しをしたら、手を出さないところは信用出来るけど説教はダルいと言うのが、概ねの評判だった。
    しかし、私は彼のそう言ったところが好きだ。彼の他には靡かず、自分を常に持っているところがとても面白い。もしかしたら私でも堕とせない人を目の前にして、本気になっただけだろうか?
    そんなことを考えていたら、トレーナーが部屋に戻って来た。

    「キング・・・僕は君と結婚は勿論、同棲すらもしていないのにそれは、あまりにも無防備だ。」

    私の格好は、着替えの最中で下着一枚だけの格好だ。彼の、私のトレーナーさんの部屋で。それなら、少し意地悪をして見ようかな?

    「それなら、結婚したら無防備な格好で居ても良いの?」

    そう言うと彼は肩でため息をついて首を左右に振りながら

    「そんな訳ないだろ?そもそも、僕はそんな関係であっても容易に肌を晒す関係は求めていないかな。」

    と言い机の上にあった小説を手に取り、ベッドに着地する。そのまま本を開き、読み始めてしまった。容易に釣れないこの関係はとても楽しいが、今日はここまでにしておこう。着替えてから彼の傍に滑り込めば良いい。さて、次はどんな方法で仕掛けようか?それを考えると無意識の内に口角が上がっていた。

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:31:35

    スレ主です。以上で終わりです、皆さんお付き合いいただきありがとうございます。元は没ネタを無理矢理、文章にしたものですが、いかがでしょうか?そもそも、キングカメハメハ自体のキャラや性格が明確にされてない段階で、どうだと聞かれても困ると思いますが・・・

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:44:31


    他3人の推定キャラと違ってここであんまり語られないからね… この恋愛強者キャラは好き
    史実馬のエピソードがもっと掘れれば解像度上がるんだろうけどねぇ

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:45:24

    ウワーッ!存在しないキャラの存在しない記憶!

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:45:30

    最近は良い幻覚が見えて助かる()

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