- 1二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:13:53
小さいころからポケモン勝負がずっと好きだった。
好きだからこそ、本気で打ち込めた。負けても楽しいけど、勝った方がもっと楽しいからもっともっと強くなるために一生懸命頑張った。
アカデミー就学後の課外授業の宝探しで、パルデア地方のたくさんのトレーナーと、ジムリーダーの人たちと、四天王のみんなと戦って。トップと戦って。
全部勝ち抜いてチャンピオンランクになった時はすごいうれしかった!
でも、ふと前を見たらそこには何も道は残っていなくて。横を見ても一緒に並んでくれる対等な人はいなくて。
「ネモは育ちが違うから」「ネモは天才だから」とみんなは言う。
違う。私は天才なんかじゃない。ただ、ポケモン勝負が好きだから一生懸命頑張っただけ。
なのに、気が付いたら一人ぼっちで。対戦を持ち掛けても「勝てないから」と断られることばかりで。
寂しくて寂しくてたまらなくて、私は手を抜くということを覚えた。こちらから相手と対等なところまでいけば互いに楽しめるから。
「ポケモン勝負は負けたって楽しいんだから、本気を出せなくたって」そう自分に言い聞かせていて、実際しばらくそれでうまくいっていた。
「違う、対等なライバルが欲しい!本気を出して戦いたい!」そう叫ぶ自分の本心は押し殺して。聞こえないふりをして。 - 2二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:14:10
そんなある日、ハルトが私の家の隣に引っ越してきた。私より年下だけど同級生の転入生。
「私のことを何も知らないハルトなら……」
そう思って彼の初めてのバトルの相手になった。バトルを断られなかったことがうれしすぎてつい本気のパーティーを出しかけて校長先生に怒られちゃったけど……
でも、そのバトルは私にとっての光になった。彼の才能はまだ開花しきっていないのに、とてもまぶしく光り輝いていた。
「この子なら、私と対等のライバルに成長してくれるかもしれない。私の隣に立ってくれるかもしれない」
そう感じて、彼を「チャンピオンになってよ」と誘った。受けてくれるかは彼の自由意思に任せなければ、無理強いしてはいけないと強く自分の心に言い聞かせていたら、彼はあっさり受けてくれた。その時の私の嬉しさは、きっと誰にも理解できないだろう。
その後は目を見張るような躍進劇だった。テストだから本気ではないと言え、あれだけ強いジムリーダーをみんな倒していった。
合間合間に私も戦ったが、本当に強くて。ポケモンを一から育てなおして戦ったこともあって、私は本当の楽しさをどんどん思い出して行った。
そしてとうとう、ハルトはチャンピオンになった。「チャンピオンになってとお願いしたらチャンピオンになってくれた」というと本当にとんでもないことだが、事実なのだから仕方がない。
そして、とうとう迎えた私とハルトのチャンピオン対決。出すのは、ハルトの宝探しの過程で育て上げた子たち。
この子たち以外を出す気は起きなかった。ハルトと出会ってからの私は以前の私とは違う。彼の対決には、やはりこの子たちこそがふさわしい。
そして私は、負けた。前のように手加減なんてすることなく本気を出したのに、100%を出し切ったのに、負けた。
私は、本当にうれしかった。
心の底から「負けて悔しい」と思えた。本気で対戦することを「楽しい」と思った。
ああ、これが私が求めていたことなんだ。改めて自覚した。
私の宝さがしは、ここで終わった。
私の宝物は、対等なライバルであり横に並び立つ友達でいてくれる彼だったんだ。
てな感じの概念が思い浮かんだので誰かイラストかSSにしてくれませんか - 3二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:24:46
🍢🔫🐉
お前は語り継がれる - 4122/12/09(金) 20:55:06
❤だけ押して去っていく人いるみたいだけどお願い通り書いてくれてもいいのよ
今書いてくれてるならすまん - 5二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:58:34
- 6二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 20:59:16
1の熱量が強すぎてちょっと勝てそうに無い…
- 7二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:29:42
すでにSSが出来上がっているようだが………?
- 8二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:32:48
概念というが、作中のネモ割とこんな感じだと思う
- 9二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 22:35:56
pixivに何作品かあるはずいいssだぁ
- 10二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 00:06:21
- 11二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 00:11:24
一番最初のバトルが「断られなかった」ことがネモにとって非常に大きな出来事だったのは意識してなくて目からウロコ。
いいもの見れたありがとう。 - 12二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 00:14:53
- 13二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 09:15:12
主人公の宝さがしそのものが誰かの宝になってたっての良いな
- 14二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:59:11
絵師さん現れないかなー(チラッチラッ
- 15二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 19:38:33
これは保守したいスレ
- 16二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:34:50
2300字くらいでちゃっと書いたけど投げる?
1さんの描かれたものにちょっと足しただけだけどもしかしたら解釈は違うかも - 17二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:38:12
- 18二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 06:48:54
はやく貼るんだ
- 19二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 07:47:00
1が完璧すぎるんだけどいちおう置いとくね
手を抜くことを覚えたのはいつだったか。私は、自分で言うのもおかしいけど、ポケモンバトルが強かった。
初めてポケモンに触れた時からポケモンが好きで、ポケモンバトルが好きで、大好きで。
毎日だって体力が続くまで勝負がしたかった。捕まえるのはちょっと苦手だけど、ポケモンを戦わせてどんどん強くなってくのが楽しかった。
勝つとなにより嬉しくて、負けるとすっごく悔しくて次は負けない、絶対負けたくないと思った。もっともっと強くなりたかったしパルデアのトレーナー全員と戦いたかった。
そしてアカデミーで絶好の機会に恵まれた。パルデア各地をめぐりたくさん勝負をした。
ジムリーダーと戦って、四天王とも戦って、そしてトップと戦うことができた。嬉しかった。自分の大好きがみんなに認められたように思えた。チャンピオンランクになって、もっと大好きになれると思っていた。
でも、気がつけばそこから先の道がなくなっていた。最年少でチャンピオンランクになった私のとなりには誰もいなくなっていた。いつのまにか私は一人になっていた。
みんな私をポケモンが好きなネモではなくて、ポケモンバトルが強いネモとして見るようになった。あるいは強すぎるネモとして。ネモは天才だからと、育ちが違うからと言われた。
それは私じゃない。私はポケモンが好きで、バトルが好きで、一日中戦っていたいだけ。そのためにたくさん頑張っただけ。だけどそのポケモンバトルにかける情熱がみんなと違うと、理解できないと引かれてしまうことがほとんどだった。 - 20二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 07:49:17
そんな気持ちが暴れ出しそうだったとき、隣に引越してきたのがハルトだった。年下の同級生。
彼は私のことをまだ何も知らない。私が何者かを知らないまま戦ってほしいと思った。バトルしたいというとうなずいてくれた。
断られなかったことが嬉しくて、ただのネモとして対等に戦えることが嬉しくて、つい本気のパーティーを出しかけて校長先生に止められてしまった。
最初はバトルが初めてのハルトに合わせてあげようと思った。でも、彼は才能があった。ポケモンを大好きな才能。もらったばかりのポケモンを大好きな熱があった。
手を抜くことはしなかった。もちろんバトルを楽しいと思って欲しかったし、進化前のポケモンに育て上げたパーティーを出すのは分別に欠けていたと思う。でも、勝たせてあげようとは思わなかった。彼の熱をできるかぎりの本気で受け止めたかった。
戦いを終えたハルトはすごく楽しそうで、私にはまぶしかった。この子なら私と対等のライバルになってくれるかもしれない。私の隣で同じ景色を見てくれるかもしれない。
「チャンピオンになってよ」
無茶なお願いだとは思う。彼の道は彼が決めるべきだ。断られたなら嫌な顔しないで引き下がらなければ。
私の願いのために彼の願いが叶えられないのも嫌だった。私と同じかそれ以上のポケモンへの情熱をもつ子の願いなのだから、それを傷つけたくはなかった。 - 21二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 07:51:09
彼はあっさりと、まるでその願いの困難さを知らないかのように受けいれた。ハルトと同じ道を歩める嬉しさと、チャンピオンへの道に引き入れてしまったことへの責任感、そしていつか断られるんじゃないかという恐れが心を乱す。それでも、この嬉しさは言葉にできないし、誰にも説明できないだろう。
そのあとは驚くほどの成長ぶりだった。いく先々でジムリーダーを倒していく。私も戦ったけど、本当に戦うたびに強くなっていた。ポケモンが大好きで頑張っているのがわかる。
校長にもらったポケモンを一から育てていた私も変化していった。ハルトと戦うのが楽しい。そう、私はポケモンがすっごく好きでバトルがすっごく好きなネモだ。ハルトの前ではそういられる。
私はずっと自分と対等なライバルが欲しかった。でも、それが誰でもいいとはもう思えなかった。ハルトに対等のライバルになってほしい。ずっと一緒に戦っていける対等のライバルになってほしい。
そして、ハルトはチャンピオンランクを手にした。チャンピオンになってとお願いしたら本当になってくれた。思わず笑っちゃうくらいとんでもないことなんだけど、本当。焦って戦い終わったところに勝負を挑むくらい舞い上がってしまった。
チャンピオン同士になって初めての対決はテーブルシティのコート。出すのはハルトとの宝探しの過程で育て上げた子たちだ。この子たち以外を出す気はなかった。ハルトと出会ってからの私は手加減を覚えた私とは違う。それ以前の私とも違う。
私もこの子たちもハルトの宝探しと一緒に強くなった。彼との対決は、やっぱりこの子たちが一番ふさわしい。 - 22二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 07:53:33
結果は私の負けだった。本気の勝負だった。100%全力を出し切った。それでも負けた。いい勝負だった。
私は本当に嬉しかった。心の底から悔しいと思えた。負けても対戦が楽しいと思えた。ああ、これこそが私が求めていたことだったんだ。望んでいた気持ちだったんだ。願っていた景色だったんだ。
たくさんのものを得ることができた。ありがとうハルト。あらためて自覚して、次の勝負を持ちかける。
私の宝探しはここで一度おしまい。私の宝物は対等なライバルで横に並び立つ友人、ハルトだ。
1さんの言い回し好きだったので多く使わせてもらいましたありがとうございます
読みにくかったらすみません(掲示板のssは初めてなので
あとネモが最年少ってことはポピーちゃんは本当に腕ずくで集められたんだな感 - 23二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:41:08
ごめん、>>20の前にこれ入ります
話がつながってなかったよ!
手を抜き始めたのは、自分が一人だと気づいたからかもしれない。
ポケモンバトルは一人ではできない。誰か相手がいないと成立しない。みんなはネモには絶対勝てないからつまんないと断った。誰も相手になってくれない。みんなと戦うために強くなったのに。
私はポケモンが、ポケモンバトルが大好きで大好きなのにその気持ちの行き場がなくなっていた。
だから手を抜いて、ちょうどいい勝負に持ち込むことを覚えた。
いいじゃない。トップだってジムだって、相手を見る試験のために自分の力を調節してるもの。私もそうしたっていいじゃない。寂しいだけだと認めるのは怖かった。負けても楽しめればそれでいいと言い聞かせて、笑顔で勝負を終える。
違う。全力で戦いたい。誰か私の本気を受け止めてほしい。
- 24二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:18:33
ネモ…
- 25二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:21:30
学校最強大会後のストーリーで完全にネモが好きになった
- 26二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 01:09:04
- 27二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 01:13:22
四天王戦直後のガチで悔しそうでなおかつガチで嬉しそうな姿を見て「本当に対等なライバル兼仲間が欲しかったんだな」ってしみじみ思ったよ
なお即座にラウンド2を要求する姿勢 - 28122/12/12(月) 01:16:54
- 29二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 02:03:10