- 1二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 10:39:12
- 2二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 11:37:16
こっそり次期生徒会の人員として期待されてそう
- 3二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 11:39:19
デジタルなら120点のスピーチをしてくれそう
- 4二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 11:50:37
- 5二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:34:07
良概念ゆえの辻ss失礼致す。無用なら介錯のほど。
「むむむ無理です無理です!会長からのご期待なんてぇ!頭まっしろになっちゃいます!」
生徒会室から帰ってくるなり、アグネスデジタルは頭を抱えた。今年のURA最優秀賞の授賞にあたって、スピーチを頼まれたのだ。デジタルはこの1年で、芝、砂両方のG1を連勝した。その常識外れの偉業が評価されての抜擢だそうだ。
さらに、シンボリルドルフ会長の「アグネスデジタル君、期待しているよ」との言葉つき。ついでに肩ポンもされていたが、それに喜ぶ間もないほどプレッシャーらしい。
「思った事を話せばいいんじゃないか?」
「トレーナーさん?私の思ってることなんて、ウマ娘ちゃん尊い!とか、ん!!がっごいいん!!しゅきいい!!とか、そんなんですよ!?そんなの言ったら、会場はドン引き、総シラケです!」
それは確かに。とはいえ、今年のスピーチは彼女こそ適任だとは、傍から見ていたトレーナーも思っていたところではある。
「デジタルは毎年の授賞式のスピーチは見てるんだっけ?」
「アッハイ、映像が残っているものなら一通り」
こういうところとか。
「…じゃあ、舞台での所作とかは全部見ているはず。大丈夫だよ」
「それに」トレーナーは続ける。「あの式は……ウマ娘たちだけじゃない。彼女たちを支える人たちも大勢いるよね」
「ううう、ここでプレッシャーかけないでくださいよ」
「ごめんごめん。でも、彼らに言いたいことを言える、うってつけの機会ってことだ。…デジタルにはあるんじゃないか。『ウマ娘ヲタク』として、言いたいこと」
「ヲタク、として……?…!あります、ありますとも!トレーナーさん、ありがとうございます!」
言うが早いか、原稿を書く準備を始める。…自己評価の低さから尻込みもするが、一度腹を括れば、どんな戦場でも全力を尽くす……「オールラウンダー」あるいは「勇者」の姿があった。 - 6二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:46:33
そして、授賞式当日。普段なら長いように感じる式であっても、担当の出番があるとなれば別だ。トレーナーはそわそわしていたが、当の本人は堂々と、その時を待っていた。
気付けば彼女の出番。司会者から彼女の名が呼ばれる。拍手の中、桃色の髪のウマ娘が壇上に上がり、三方へ頭をさげる。その所作は歴代のウマ娘に負けないほど、美しいものだった。そしてマイクに、……届かないので高さを少し下げて、話し始めた。
「私は…ウマ娘ちゃんの輝きが尊くて、この目でそれを見たいと、常に思っていました。夢へ挑み、友と切磋琢磨するあの輝きを。
しかも私は欲張りですから、芝のウマ娘ちゃんと、ダートのウマ娘ちゃんの両方を見たい、そんな夢を、ワガママを叶えるために、あんなローテーションに挑みました。…トレーナーさん、その節はどうも。
それで、完走した感想ですが……。たりませんでした。全ッ然、足りませんっ!
ウマ娘ちゃんの輝きを全部見るには!『走るだけ』じゃ足りませんっ!
走るうち、次の夢ができちゃいました。
ウマ娘ちゃんに関わるあらゆる立場になって、ウマ娘ちゃんを見たい!!支えたい!!拝みたいっっ!
トレーナーさん、先生、学園の皆さん、URAの皆様、レース場の皆さん、同志たち!正直、私はみなさんが羨ましいです!そこ、代わってほしい!
でも、それを叶えるには、体も時間も足りなくて。ですから皆さん、お願いです!私に教えて下さい!こっちから見る彼女たちも、輝いてるって!ここで支えるのも楽しいんだって!
お話でもお手紙でも、すれ違うときの表情でも!どんな方法でも構いません!読み取りますとも!ヲタクですから!
わがままを承知でお願いです!どうか、どうか私の新しい夢に、協力してください!」 - 7二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:54:55
「…い、以上です。ご清聴ありがとうございました……」
言いたいことを言い終えて冷静になったのか、いつのまにか手に持っていたマイクをいそいそとスタンドへ戻し、足早に去ろうとするアグネスデジタルを、拍手と歓声が包んだ。
ここの出席者は皆、立場は違えどウマ娘の夢を応援してきた者たちだ。そんな彼らが、彼女の新しい夢を応援し、讃えるようだった。……と感じたのは、トレーナーとして身内びいきか。
ともあれ。こうして、彼女の「ウマ娘業界への『供給をください』スピーチ(題:本人)」は無事に終わったのだった。
後日、あらゆる業種からのファンレターを読み耽り、尊さに爆発するデジタルがいたが、それはまた、別の話。
◇◇◇
「…感謝祭のときもそうでしたが、ウマ娘への熱意、中々のものですね。ご期待されたのも頷けます」
「ああ。…それにしても、実にいいスピーチだった。『完走した、感想』か……くくっ、ふふふ」
「会長?」
◇了◇ - 8二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:57:21
以上です。お目汚し失礼しました。
本人は認めなさそうですけど、デジタルは生徒会長のポテンシャルがあると思っています。本人は頑なに認めなさそうですけど。 - 9二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 15:01:29
デジたん良いよね…