【SS】「…覗きを、しますか。」

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:02:22

    スレ立てもSSも経験が浅いのでぐだったらごめんなさい。
    エイシンフラッシュが何故かいろいろ覗いている話です。次からスタート。

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:03:15

    だから気に入った

  • 3121/11/03(水) 10:04:06

    マンハッタンカフェとそのトレーナーが静かにコーヒーを飲んでいる。近くで覗いているウマ娘にも届く芳醇な香り、思わず合いそうなケーキに発想が飛びそうになるのをこらえ、その光景に目を凝らしていた。
    「…」
    「…」
    「…うん。今回は上手くいったんじゃないかな。」
    「はい。とても…美味しいです。」
    「カフェのお眼鏡に叶うようでよかった。」
    「ふふっ…」
    静かにコーヒーを飲んでいるだけのように見えるが、お互いにチラチラと相手を見ている。コーヒーを飲んで、相手を見て、目があったら少しだけ柔らかな笑顔を見せる。その繰り返し。
    「次の休み…」
    「ん?」
    「最近開店した、気になるカフェに行こうかと思います。…一緒に、どうですか?」
    「いいね。」
    「ありがとうございます。」
    ベタベタしておらず、しかし確かな絆を感じられる。普段はあまり見せないマンハッタンカフェのにこやかな表情がその証拠である。笑顔…やはり表情にだすのは大事だろうか?
    情報収集は終了。覗きはモラルに反する行為ゆえ、必要以上の継続は論外だ。ここで切り上げることにし、立ち去った。

    「…?なぜ?」
    「どうした?」
    「…どうやらエイシンフラッシュさんがさっきまで覗いていたようです。」
    「なぜ…?」

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:04:11

    みてるぞ

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:04:42

    何故……?

  • 6121/11/03(水) 10:06:26

    カフェテリアは常に満員御礼という訳ではない。授業中や、トレーニングをしているような時間帯は当然人が減る。そんな静かなカフェテリアに、激戦を終えたご褒美を頬張るメジロマックイーンとそのトレーナー。新作のスイーツを美味しそうに食べる姿は普段の凛々しい姿ではない、ただの少女であった。
    「んっ………ふふふ………はぁ………」
    うっとりとスイーツを見つめ、口に運ぶメジロマックイーン。その姿を静かに見つめるトレーナー。美味しそうに食べる姿は最後まで退屈させない可愛らしいものであった。…食べ方が魅力的なのは高評価だろう。しっかり目に焼き付ける。

    「ごちそうさまでした。」
    「今回もよく頑張ったな。」
    「ええ、メジロのウマ娘としても、貴方のウマ娘としても、負けるわけにはいきませんもの。」
    「こちらとしても、君を勝たせることができてよかった。一心同体だからな。」
    一心同体、羨ましい限りである。それに比べて私はまだまだだ。計画通りにしようとしても、どこか綻びがでて、トレーナーに直してもらうことがある。
    「さて、レース直後だし今日は休みだ。テスト頑張れよ。」
    「ええ、勉学においても決して遅れはとりません。」
    いったいどのような交流の果てに一心同体へと行き着いたのか一から十まで聞き尽くしたいが、二人の雰囲気を壊すのは本意ではない。ここで立ち去ることにした。

    「しかし…うーん?」
    「どうしましたか?」
    「エイシンフラッシュさんかな?さっきから覗いていたの、気付いていたか?」
    「まぁ。いつからですの?」
    「食べ始めるすこし前から。特に食べてる最中、すごい凝視してたぞ。」
    「は、恥ずかしいですわね…」

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:08:21

    お前を見てるのを見ているぞを見ているぞ

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:08:23

    甘すぎて内頬が痛くなってきた

  • 9121/11/03(水) 10:09:26

    「お兄さま!今日もトレーニング、頑張るね!」
    理解不能です!距離感が近い!羨ましい!
    …流石にお兄さまと呼ぶ勇気はない。というか今更呼び方を変えるのは変である。
    お兄さま…つまりライスシャワーのトレーナーが指示をだし、ライスシャワーがこなしていく。そのほっそりとした体からは想像できないスタミナ。姿振る舞いからは想像し難いが、確かにそこには鬼の片鱗がある。

    「お兄さま。今回のタイムはどうだった?」
    「うん、かなりいいね。もう数本こなしてから休憩だ。」
    「分かった!いってきます!」
    見れば分かる明確な好意。傍からみれば仲の良い兄弟にも、付き合う直前のカップルにも見える。

    …恥ずかしいが、頑張ってみるべきか。お兄さま…お兄ちゃん…貴方…名前…名前で呼んでみようか、いやでも困らせるかもしれない…しかし…ライスシャワーさん羨ましい…
    トレーナーの名前を呟きながら、その場を離れた。


    (練習を見に来たわけではない?ではなんのために?…エイシンフラッシュのトレーナーに伝えておくか。)
    「よし!ライス、よく頑張ったな。休憩をはさもう。」
    「うん!あのね、お兄さま…」

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:12:59

    ふむふむふむら

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:13:46

    つねに研鑽を怠らない強い女

  • 12121/11/03(水) 10:16:25

    「トレーナーさん。話があるとは何でしょう?」
    ある日、私はトレーナーに呼び出された。トレーニングの話か、レースの話か、などと考えていると。
    「フラッシュ。なんで他の皆を…観察しているんだ?」
    「えっ」
    バレていた?いやそんな素振りはなさそうだったが…。
    と思っていたが、しっかりと監視していた方々の名前が上がっていく。確かにバレていたようだ。気を遣わせてしまったことが申し訳ない。
    「怒っているわけじゃない。苦情が来ていたわけでもないからね。ただ報告があった以上、その意味は聞かせてほしい。」
    「ええっと…」
    まさかこんな恥ずかしい展開になるとは思わなかった。バレていたと分かっていれば覚悟は決まるものの、すっかり油断していたのである。

    「…言いたくないならそれでもいい。ただ、邪魔にはならないようにね。」
    トレーナーの顔に少しだけ悲しみがさす。違う。こんな展開は望んでいない。トレーナーに失望されるのは耐えられない。
    「言います!言いますけど…笑わないでくださいね。」
    「笑わないよ。」
    適当な言い訳なんて許されない。恥ずかしいが、言うしかない。
    「その…トレーナーさんと仲良くなりたくて。」
    「…え?」
    言ってしまった…
    「他の皆さんのように…トレーナーさんと仲良くするためには、どうすればいいか分からなく。それで皆さんから学ぼうと…」
    「…それで観察を?」
    「はい、バレないように監視して、ありのままの姿から得たものをもとに…計画を立てようかと…」
    恥ずかしい。顔から火が出そうだ。トレーナーも気まずいのか、少しバツが悪そうな顔をしている。

    「ごめん。恥ずかしいことを言わせてしまった。」
    「いえ、悪いのは私ですから…」
    謝罪もさせてしまい、トレーナーを直視できない。他の方々に気を遣わせた挙げ句。こんなことになるとは。これでは不器用と言われても仕方がない…

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:18:25

    いいよいいよー!もっとのぞいていっこー!

  • 14121/11/03(水) 10:19:43

    「…フラッシュ。そばに来て。」
    「…はい」
    トレーナーの横に立つ。恥ずかしさと申し訳なさに、少しばかり俯いてしまう。こういった叱られ方なんていつ以来だろうか、と考えを巡らせる。
    そんなエイシンフラッシュの頭上に、トレーナーの右手が上がったかと思うと、手を櫛のようにしながら頭を撫でてくれた。
    「あっ………ぁ…」
    情けない声がでる。全く予測していなかった心地よさに、思わず顔が緩む。
    さらりと撫でる手のひらと、少し立てられた指の刺激がたまらなく心地よい。数回繰り返されただけで心が満たされていく。頭を撫でられるだけでこんなになるなんて、と他人事のように考えた。
    顔をトレーナーの方に向ける。少し困ったような、嬉しそうなよく分からない表情。だが、見つめる瞳は優しいものだった。
    「フラッシュと仲良くしたいのは同じ気持ちだよ。こうなったのはトレーナーとウマ娘、という関係に言い訳して、いらぬ一線を引いていたこっちの落ち度だ。」
    「そんなことはありません…私も、もっと伝えるべきでした。」
    暖かいまなざしに答えながら、トレーナーの手に頭をまかせる。トレーナーの、頭を撫でる手が少し強くなる。
    この時間が永遠に続けばいいのに。
    いけないことだが、次の予定を延期にしてしまおうか。


    …しかしその手は離れていってしまった。
    満たされた心に、少しだけ冷たい風があたる。
    「とりあえずこれでどうかな?」
    「…はい。ありがとうございます。」
    感謝の言葉を述べたが、トレーナーは小さく笑うと再度、優しく頭を撫で始めた。もっと欲しかったのを見透かされていたようだ。心地よさと嬉しさに、頬の緩みが止まらない。もっと、と思う心が溢れ出す。

    トレーナーのあたたかさに、エイシンフラッシュはとかされていく。注がれる愛で、心が潤いを得ていく。
    監視してまで学んだことを全く活かせず、ただトレーナーに甘えているだけのひと時。この幸せを、どのようにしてトレーナーに伝えようか。

    エイシンフラッシュが立てた計画の一部。トレーナーを想う時間と、トレーナー室の滞在時間が長くなった。

  • 15121/11/03(水) 10:22:28

    以上です。ありがとう。

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:24:17

    いいものを見せてくれてありがとう!

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:33:05

    最高

  • 18二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 10:33:35

    ああ、最高だ…

  • 19121/11/03(水) 10:51:41

    改めて読んでくださりありがとうございます。もう少し改行しないと見にくい&読んでいて感じる時間経過が短いですね…反省です。

    ホントはもっと覗かせてもいいとは思っていたのですが、文才の限界や、私がカレン未所持だったりシチー未所持だったりサトイモ未所持だったりアルダン未所持だったり、マヤノを書いてもマヤノはかわいいね…で止まったりと、いろいろあってこれが精一杯でした。

    …誰か書いてもええんやで?(チラッ

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 12:08:36

    我超絶感謝

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 12:11:01

    >>19

    やってくれても、ええんやで?

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 15:29:36

    もうね、見てるだけでね、こっちの心が満たされていくんだよね……
    書いてくださってありがとうございます。最高でしだ!

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 15:41:17

    偏見なんだがフラッシュが覗き見上手いとは思えないんだよなぁ
    本人は隠れてると思ってそうだけど側から見たらバレバレというか

  • 24二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 18:40:57

    うむ、よき。

  • 25二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 18:59:12

    良いものを見た。感謝

  • 26二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 19:29:13

    >>23

    フラッシュは周りに気を配りながら観察とか絶対無理だろうね

  • 27二次元好きの匿名さん21/11/03(水) 19:58:07

    これは実に良いものだった
    読みやすい文章だし情景もすんなり想像できたし、こういうテイストでまた書いてくださると嬉しいです。

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています