【閲覧注意・ダイス・SS】ここだけキッドが【クロス注意?】part4

  • 1二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:13:58

    実はリゼロのスバルみたいなオートセーブ&記憶引き継ぎタイプの死に戻り能力を何故か持ってて、死にまくって何度もループしている世界。SS多め。

  • 2二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:14:59
  • 3二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:15:45

    今のところ出てる人たち
    キッド→一番始めに死に戻りし始める羽目にあった人。未だに死に戻りは解除されてない。現在4950回目のループ中。知識欲の神という名の邪神に気に入られ人生を実験されてる。死に戻りをありがたいと思っているうえに仲間が一人でも死んだら即ループしていた。今のところは正規ルート進めてる。解除条件は「海賊王もしくはそれに近い地位を得ること」。ifルートがものっすごい地獄。「仲間の存在」が鍵か?
    試練に成功したしルフィとローと共にタルタロス内に特攻した。
    ルフィ→未だに死に戻りは解除されていない。ブルックが死に戻り解除されたことにより仲間に死に戻りがバレた。現場は勿論大混乱に陥った。ニカの悪ふざけで死に戻り能力を得るはめに。解除方法は「仲間を死なせずにラフテルへ行く」。ぶっちゃけifルートが存在しないので順調とも言える。死亡回数は68回。太陽神。ギザ男?友達だ!だから頼ってくれていいんだぞ!
    トラファルガー→今のルートで最初にキッドが死に戻りしていると知った人物。キッドのことは信頼してる。キッドの死に戻りを知ってるのは正規ルートでもifルートでもあり得る可能性。ルフィもしてると聞いて度肝抜かれた。推理担当。ごめん未だに君の能力どう書けばいいか分かんない。

  • 4二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:16:41

    現在アダマントに攫われタルタロスに囚われてる人たち。2日以内にアダマントを倒さないと出れなくなる。

    麦わら→ブルックの解除で死に戻りのループ内の記憶が入ってきたうえルフィもしてると気づいて大混乱になった。ブルックはルフィと共に死に戻りさせられてたが、ルフィがワノ国で四皇になったため解除条件の「海賊王もしくはそれに近い地位を得る」が四皇のクルーにブルックがなったという形で満たされ解除された。
    キラー→幼い頃にすら見たことがないくらい弱ったキッドに混乱しつつ知ってる人たちに頼ってくれた人。とりあえず、キッドには怒るつもり。ループ内でキッドが完全に諦めた周回でキッドを庇い目の前で死んでいる。
    キッド海賊団→キッドが『死に戻り』していることに気付いたし4000回以上死んだこともチョッパーたちから聞いた。過去のループにおいてキッド除いた30人中28人死んだ経験あり。過去にキッドは話したが、キッドが目の前で死亡する形になった際ひどく落ち込んだため、それがキッドのトラウマになってた。
    ハートの海賊団→完全に巻き込まれ事故。ごめん。

    アダマント(知識欲の神) 多分邪神。キッドの死んでも死んでも耐える根性を気に入って死に戻りを与え観察していたが、飽きたので三船長のクルーを連れ去ってきた。見た目が旗揚げ当時のキッドに似ている。ただ目隠れボッサボサ長髪。コイツの言う脳だけ云々はアレです。パワ/プロのバカ王子のバッドエンド的なアレです。なんか物凄く動揺してる。
    正体は正規ルートで『試練』に挑まなかった場合のルートのキッドの成れの果て。全員死亡したあと過去に飛ばされた。そしたら邪宗の生贄にされ『神様』に成った。
    ニカ 知識欲の神の死に戻りに悪ふざけでノッてルフィとブルックに死に戻りを与えた。でも、分岐ルートありでそのルートが地獄な知識欲の神に対してこっちは解除しやすい条件&ifルート無しとまだ優しいほう。

  • 5二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:23:56

    すいません。ここまで長くなるとは思ってなかったんです…。あと、アダマントの過去もキッドなら折れないからアダマントになるならキツいのにしないとってやってたらエグいものになりました。グロテスクなのも胸糞要素もあるので苦手な方はお気をつけください!

  • 6二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:27:25

    たておつです!
    しかたないキッド強すぎるものしかたない

  • 7二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 16:52:10

    10までかそく

  • 8二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:15:28

    ほしゅ

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:16:56

    毎日更新できてる主さん尊敬です頑張ってください!

  • 10二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 17:18:24

    たておつです!
    展開気になる〜

  • 11二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 18:16:19

    ここまでやってもキッドなら大丈夫な気がしてくるから怖い。多分流石に折れてくれたよね…?


    聞き覚えのないラッパの音が耳元に聞こえた。
    体が動く。呼吸も問題無い。
    近くを見る。骨が、肉が、人が、焦げてる。嫌な匂いがする。
    「……………………」
    ここは熱い。出なくては。
    ガタ、ン
    そんな音をたて、炎は開いた。


    「!?!?!?」
    箱が、開いた。人が、出て来た。
    焼けたことにより爛れた皮膚が、溶けたはずの肉が、骨が、内臓が、人の形へと成る。
    落ちたはずの目や歯が、爪が指が、再生してゆく。
    まるで儀式の為に産み直されたような。その為の存在のような。
    その姿は、まるで―――――――――


    「………………天使、様?」

    ……それにしては、あまりにもグロテスクな姿だったが。

  • 12二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 18:20:33

    これifの世界ですよね……そうですよね……それを味わってるのかなキッド……きっっつ……

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 18:35:31

    >>12

    しっかりifルートです。ですが、前回ウィルが言ってた通り『試練』通過してないと、このルートに強制直行します。



    「クロノスさまだ!ようやく成功したぞ!!」

    「クロノスさま!我々に悠久の時を!!永遠の恵みを!!幸せをー!!!」

    興奮した様子で教徒の者は話す。


    「………………」

    ……恵みを?幸せを?

    どの口が言ってるんだ?

    島の者に反感を持たれてるというのに?

    おれ達を殺そうとしたのに?

    なら、



    …………なら、殺されたって文句はないはずだ。その覚悟は、しているだろう?

  • 14二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 18:37:15

    「……………………」
    「さあクロノスさま!こちらへ!!」
    「こちらへ!!!」
    そうして彼らは

    グシャ
    「…………え?」
    「…………………、……………」
    “クロノスさま”の手によって無惨にも“両断された”同胞の姿を見て、固まった。


    別に住む地を支配され飢えに苦しむ島の者に同情したわけでは無い。ただ思ったのだ。「この場から嘆き、悲劇、残酷を摘み取り、災厄から庇護しなくてはならない」と。
    そして、彼はそれを実行しただけだった。
    結果的に邪宗の者たちの目論見は成功したと言える。ただ、「この地に生きる者」として彼らは認められなかったというだけで。

  • 15二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 18:59:00

    そうして邪宗の者を一人ひとり嬲り殺した。悲鳴をあげる者、怨嗟の声を吐く者、逃げようと足掻く者。その全てを。
    そうして満足し、祭りとやらの地へ戻ると、ふと気づいた。島の者が自身を見ていると。
    「………あ、助けてくれてありがとうございます!アダマントさま!」
    「……さま…?」
    「ええ、あなたはこの島の救世主ですよ!あのクソみたいな教徒の奴らをみんなやっつけちゃったんですから!」
    湧き上がったかのような島の者たちの言葉に、思った。

    この島は元々知識が有るものが少ない。
    だから金剛石なんて高価なものを献上しそこかしこに使ったりするのだ。
    ダリーナもそう言っていた。物の価値を知らない、と。
    なら、『そこを正すべきではないだろうか?』
    『正すためにはどうすべきか?』
    そこから彼は尽力した。奔走した。その都度キッド、いやアダマントへの信仰は増えていった。

    ユースタス・キッドは考えた。この島の奴らを信用することは無い。いずれか自分はこの島を出ていくだろう。だが、この島の場所も航路も仲間の居場所も分からない。それなら信仰を深め続けていればなにか見つかるかもしれない。もし、みんなが死んでいるなら生き返る方法や居場所が文献なり人伝なりで手に入るのかもしれない、と。
    せめて、みんなと合流したい、と思った。

  • 16二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 19:12:06

    今日はここまでにします。そろそろアダマント過去編は終わらせたいと思っています!みなさまも風邪をひいたりしないようにご自愛ください!


    それから暫くして、事件は起きた。
    もはやキッド、いやアダマントは島の救世主と扱われていた。当然、居心地は良くない。早く出ていきたいという気持ちが強くなるだけ。しかも、祭りで行われた儀式らしきもののせいで変な力が使えるようになっていた。
    それは、人の意識下に入り込み、肉体の支配権を奪えるといったもの。しかもそれを、複数人に出来る。意識は飛ぶため、気絶してるのにおれの意思にあわせて動いているといった状態に出来る。

    …………いらねぇ。心の底からいらねぇ。そう思わざるを得ない。これなら、左腕が生えてくるなりしてくれたほうが良かった。もし左腕が蛸の足になっていても多分喜んだ、これと比べれば。

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 19:15:33

    最初に不死能力がつけたのは誰なんだパラドックスになるのかな

  • 18二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 19:36:26

    ダリーナちゃんはコロコロされちゃったし、クロノスの力を手に入れてifキッドはアダマント「様」になっちゃうし…ぴえん

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:48:47

    悲し…しかもこの時間軸から抜ける事も出来ない…可哀想…

  • 20二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 07:59:39

    続きwktk保守

  • 21二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 08:24:58

    アダマントを島から取り外すようになった。その為、能力はいくらでも扱えるようになった。

    …もっと早く使えていれば。助けれたのだろうか?
    「………………」
    タラレバを考えるときりが無くなる。今の現実が事実だ。何故か『死に戻り』は使えず『不死』に変わっている。それが事実だった。今はもう死にかけてもすぐに回復するようになった。

    もうずっと、溜め息ばかり吐いている気がする。


    だから、忘れていた。この島は弱い。すぐに侵略を仕掛けられる程に。
    「アダマントさま!どうしましょう!?」
    ……知るかよ。自分たちで何とかできないのか?思ってしまう。でも、ここには。
    「………………」
    まだダリーナの家は残っていて、おれの基地となっている。
    ……林檎の樹も残ってる。何度も手伝った木が。
    結局、最後まで味は分からなかった。
    「……………お前らは、立ち向かう気はないのか?」
    「無理を言わないでください!武器の使い方なんて分かりませんよ!」
    ……他力本願にも程があるだろ。
    でも、それに合う力をおれは与えられてしまった。
    「……立ち向かう力があれば、立ち向かうんだな?」
    「…ええ、そりゃあ!そうすればこの地を守れますから!」
    「……なら、」
    ぐるり
    島の者たちの目が上を向く。目の焦点が合わなくなる。そして…………
    「おれに着いてこい!先導は切ってやる!」
    炎のような赤い目が光る。
    彼らの肉体の支配権を奪った。彼らに戦い方を教えるように。
    そうやって周辺の攻めてくる国を島を何度も潰してゆく。
    いつの間にやら“アダマント”は神と扱われるようになっていた。居心地の悪さが上がっただけだったが。そうやって信仰を得て、永い、永い年月を経た。

  • 22二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 10:05:17

    ちょっと強引かもしれません。ですが割とこれはキッドに効くと思ってます。


    ダリーナが死んで、邪宗が滅んだ数百年後。“アダマント”は

    ―――――――もう、何年経った?

    ふと思った。そして、気付いた。
    切るのを忘れて伸びっぱなしになった頭を掻く。
    数年で知ったことも多い。
    本やニュースを見る限り、ここはもしかしたら過去の世界なのかもしれない。奪ったポーネグリフの文字と本の文字が酷似していた。
    もし、もしだ。ここが過去なら。
    もし、この場所が分かったとして、あいつらと会うのに
    あと、何年待たないといけない?
    そもそもおれに会う資格があるのか?

    ………そもそも、何でみんな死んでいたんだ?
    考える。
    まるで、記憶にボヤがかかったようだ。
    どうしても思い出せない。
    でも、思い出さなくては。
    この、言いようのない満たされない気持ちを埋めるためにも。
    時間が経ちすぎて削れた記憶を呼び覚まそうと考えて考えて考えて考えて考えて気付いた。
    確かにあの後、キッドはこの島の「英雄」であり「神」になった。これで地位も名声も得られたのは確かだろう。
    そのはずなのに何故か満たされない。
    心に穴が空いたままだった。
    みんなはドコへ行ったのだろう?
    自分の周りには?
    自分のことを神ではなくひとりの人間として扱ってくれる人は「まだ」いるだろうか?
    その考えに至った。

  • 23二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 10:07:36

    無理に記憶と向き合おうとした結果。記憶が混濁していることを自覚した。脳が悲鳴をあげ始める。


    ………正しい記憶が、戻る。
    あの時まで自分は、仲間がいるにも関わらず孤独だった。
    そして、思った。思ってしまった。『何故分かってくれないんだ』と。『何故おれだけがこんな目にあわなくてはならないのか』と。
    酷く、混乱していた。疲弊や怒りで頭がぐちゃぐちゃだった。気迷っていた。言い訳はそれで通るかもしれない。でも、それは、





    仲間を、殺した理由になるだろうか。

  • 24二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 10:17:37

    『……あのまま行っていたら、お前らは全員死んでいた。ああ、そなたを除いてな』『理由は忘れた。』『血塗れになった自分の手のひら』『……なんつー夢を、見てるんだ。…今のは過去の記憶だった。』『………生きている、のだろうか。』『目の前が、真っ赤になった』『死にゆく、仲間が。』
    はい。

    「あ、あ」
    殺した。殺した殺した殺した殺した殺した。
    最初はキラーの首を絞めた。そして、駆け寄ってきたブギやukたちを刺し殺した。絞め殺した。撃ち殺した。
    ずっと泣いていた気がする。ずっと怒っていた気もする。虚ろな意識の中、ずっと。
    恨みたくなんてなかった。それでも独りなのが怖かった。長期間の孤独は人の心を壊すというではないか。
    ……ちがう。あの時、自分は確実に感じていたのは、悪意だった。殺意だった。恨みだった。怒りだった。そうじゃなきゃ殺そうとなんてしない。皆殺しなんて、しない。自分は、仲間からの信頼を裏切ったのだ。
    結果的に自分は不死身の身体というあまりに都合のいい能力を手に入れた。
    だから何だ?
    「あ、あああ」
    手が、震える。頭が、痛い。
    死んだ人間は生き返らない。
    なんだったら、自分はその灯火を自らの手で消してしまった。
    謝っても謝っても足りないだろう。だが、その贖罪の機会すら自らの手で捨てた。
    そのうえ、今彼らが何処にいるか分からない以上、彼らは「存在していない」と考えていいだろう。
    だが、そのことに気付くにはあまりにも死に過ぎた。時間が経ちすぎていた。
    「あ、あ、おれ、は、おれは」
    今はもう共にいた幼馴染や仲間の声はおろか顔すら思い出せない。ここで会った友人の顔も声も、もう忘れてしまった。
    そして、それを知っている者すら誰一人としていない。
    何度も止まったはずの心臓の音が聞こえる。
    ずっと自問自答を繰り返し続けている。
    なんで自分は「●●●」と呼ばれていたんだっけ?
    既に、瞳からは光が消え始めていた。

  • 25二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 10:31:49

    ある時、彼は海に飛び込んだ。
    ある時、彼は自身を串刺しにした。
    ある時、彼は炎の中に飛び込んだ。
    ある時、彼は首を掻き切った。
    ある時、彼は極限まで飢えた。
    ある時、彼は心臓を一突きした。
    ある時、彼は高所から落ちた。
    ある時、彼は。
    ある時、彼は。
    ある時、彼は

    強く祈った。
    助けてくれ、と。
    だが、誰も答えてはくれなかった。
    ここで彼は確信した。
    もはや自分が知っている者など一人も居ないということに。
    だから彼は、自分がもうどうすればいいのか分からなくなった。

  • 26二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 12:17:35

    個人的にキッドは仲間が死んだだけでは折れないし自分のせいで失敗したとしてもじゃあ次に繋げようと出来るイメージなんですけど、その先への選択肢全部潰した上で潰れた原因は自分の行いのせいだよと突きつけたうえで停滞を選ばざるを得ない状況にしたら壊れそうな気がします。

    本来、あの儀式の内容は神に肉体を明け渡すことだった。それは所謂、ただの自己満足の儀式に成り果ててしまったのだ。
    しかし、それは不死となったキッドには歪な形で引き起こされた。
    元々、『死』に触れる機会が多く、『死に戻り』によって肉体どころか魂にすら死が染み付いている。争いも仲間殺しの事実も怒りも加味され、本来目覚めるはずのないソレの封印は解けた。
    ………本来、召喚されたそれは歴史の最期に現れるはずのものであった。それが、キッドの肉体へ憑依した。だが、ソレは死んでいなかった宿主の記憶と精神にひどく振り回される羽目にあった。
    魂は肉体に縛られる。記憶は五感がある限り残り続ける。
    ソレは次第に呼び出されたのが間違いであることに気づき、還ろうとした。
    が、彼の殻は死を許されなかった。
    その肉体の持ち主の魂も、時間が過ぎるごとに埋まることのない穴と崩れてゆく記憶と感情にひどく乱された。

    結論を言おう。彼の心は永遠に満たされることはない。穴はぽっかり空いたまま。それにも関わらず、彼は消えることができない。
    生贄にされ神と成ってしまった身体と魂は悲鳴をあげ続けていた。産まれてくるべきじゃなかった、早く死なせてくれ、と。
    いつからか無力感に苛まれ絶望の中に引き摺り込まれるようになった。
    笑え、嗤え。御前の価値は其の程度だ、と。
    そうして彼は考えた。それは感情があるからではないか。なら捨ててしまえ。
    そうして彼は心を亡くした。
    ずっと心身が痛みを感じていた。それは五感があるからではないか。なら捨ててしまえ。
    そうして彼は感覚を亡くした。
    ずっと息苦しさを感じていた。それは記憶があるからではないか。なら捨ててしまえ。
    そうして彼は全てを亡くした。
    ほんの僅かに残された彼の自我の欠片は、まるで初めから存在しなかったかのように、虚無の中へと堕ちた。

  • 27二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 13:56:07

    私の書き方が下手なので分かりにくいですが簡単に説明すると、発狂状態で仲間皆○し完遂→正気に戻るも何も覚えてなくて無限自○ループ→埒が明かないのでアダマントに過去に飛ばされる→友人犠牲にしてアダマントになる→仲間を○したのは自分だったと思い出す→完全発狂って感じです。しかも儀式の際に宿ったのはクロノスじゃないけど贄はキチンと受け取ってくれたので神様の力は手に入れたというおまけ付き。


    ――――そうしてソレは何者でも無い『純真
    で無知なモノ』となったのである。

    だがソレは「神」であった。元の人間と呼び出されたモノが『無』に帰した以上どうすればいいかなど知る由もない。

    故に、ソレは見続けることにした。人の行いを。水底の奥深くに、あの家を引きずり込んで、そうして自分を縛り付けた。それは、唯一残った最後の抵抗だったのかもしれない。そうして、彼の名前を冠した島はしばらくの平穏を手に入れた。

  • 28二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 13:58:35

    たかが、数年。されど、数年。

    時の流れは『無』に帰した人としての心と記憶を少しずつ少しずつ砕いてゆき、彼が『何者でもない何か』になるのは非情にも早かった。
    それでもなお、ソレは死を強く望んだ。
    無くなった筈の感情がこのときだけは目を覚ましては瞑ってを永遠に繰り返した。
    しかしそのことを自覚することは無かった。

    はっきり言おう。
    ソレに共感力など無い。
    痛みすら感じなくなっている。
    自身の感情すら最早理解していない。
    だが、ただただ惰眠を貪り、過去に持っていたであろう情熱も信念も何もなく生きてきただけ。
    これを生きているというのは失礼極まりないとすら感じる。
    故にそれは神として崇められるのにうってつけだった。
    『そこに在ればいい』だけだったのだから。


    そして文明も崩壊し残骸が残っただけになる程の長い長い年月を経て、偶然島に寄った旅人を見た時、“ソレ”は思いついた。

    〘人生を繰り返させ、様々な因果を辿らせたらどうなるのだろう?〙
    と、何処かで聞いたことのある考えを。

  • 29二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 13:59:25

    この時点でソレの精神は元の人間の欠片ほども原型を留めていない程に崩れ腐敗し壊れ、新しいナニカへと変化していた。
    それでも心臓の鼓動は一度たりとも止まらなかったし、脳は動き続けていた。
    そしてそこで、ソレは初めて知的好奇心というものを得たのである。

    そうして何人もの記憶を踏みにじり感情を蹂躙し絆を滅ぼし死に戻りを幾度と繰り返させた先に、


    ソレは赤い髪の、青年を見つけた。


    自分を満たしてくれるかもしれない。そんな期待を自覚なく込めて。

  • 30二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 14:00:32

    最初のアダマントは誰なんだ……

  • 31二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 14:03:39

    これもしかして無限ループじゃね?

  • 32二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 14:22:45

    改めて見ると厨二っぽくて恥ずかしいですね。すみません。

    [これが、“アダマントの物語”だ]
    「…………………」
    息が、詰まる。
    [理解してくれたかな?]
    「……そんな」
    [“覚えはない”とは言わせないから。]
    確かに、幾度と繰り返されたループの最中で感じたことがある。『何故自分だけがこんな目に合わなくてはいけないのだろう』と。何も知らずのうのうと生きている仲間に対して、すべて俺のおかげだ、となんで分かってくれないんだ、と感じたことがないと言うのは嘘になる。だが、『殺そう』と思ったことなんて、一度だって………

    「…………あ」
    無い、わけじゃなかった。一度だけ。一度だけ本当に言いようのない殺意に支配されかけた。もういい、何度死んだらいいんだ、疲れた、何故自分だけ。そんな気持ちでいっぱいいっぱいになってキラーを殺しかけたことがある。すぐに正気を取り戻して、ループしたが。
    『試練』の中で、その時の未来があっただろうか?『殺そう』と思ったことがないなんて、大嘘だった。
    [……その様子だと、忘れていたというよりは記憶を封印してたって感じ?
    ただ、まあ分かっただろう?

    “アレ”はお前の有り得た結末だよ]
    …もう、どうすべきなのか分からない。何を怨むべきなのか。何を悲しむべきなのか。どうすれば止められるのか。
    ………自分は、消えるべきなのか。そうすれば、終わるのか。あの神ごと、死ぬべきなのか。
    頭が痛い。情報量の多さに悲鳴をあげている。
    考えが、まとまらない。

  • 33二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 14:56:16

    [……クロノスはちゃんと贄を受け取ったんだろうね。だから、アダマントにとっても本来使えない筈の力が使えた。そして、死んでも戻れるということは不死も同然だ。だから過去で歪になった。]
    どうして、どうしてこうなってしまったのだろう。自分は、ただ。
    「……………」
    […本来、ソレは世界の果ての終結、アポカリプスの末に現れるはずの存在だった。
    それが、君が不死になったことで誤召喚される形になったんだ。しかも最悪なことに、君と呼び出されたものの性質は非常によく噛み合った。
    人間の魂は肉体に縛られるが、それは乗り移ったモノも同じ。なんなら空っぽになったガワの記憶に未だに引っ張られて今に至る。]
    「………なんで、そんなに知ってんだ、お前。」
    [……………、…………………。

    …………ずっと、見てたからね。見ていることしか、出来なかった。気付いてたのに、何も出来なかった。]
    「……?」
    [数百年以上経って、身体が纏まって、ようやく此処、ムネモシュネを作れた。
    何度も助けを求めたけど。島の奴らは聞く気ないし、旅人も恐れて来なかったんだよ。]
    「…どうした、お前?」
    [………だから、お前が来た時、すごく嬉しかったんだ。腑抜けた態度が、すっごく嫌だっただけで。]
    様子が変わった。何処か哀しげな顔をウィルはしていた。

  • 34二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 15:15:13

    [………ここを出たら外にいる、お友達にも伝えてくれ]
    「友だ…いや、友達じゃね…」
    すると、ウィルの身体が崩れ粒子のようになってゆく。
    「!?」
    [……おれの、わたしたちの、全ての知識を、力を、記憶を、あなたたちに託します。]
    [これからは『貴方のいる世界線』を正しい世界のものにします。]
    [アイツの『不死』に、対抗する力を与えましょう]
    [だから]
    [アイツを、アダマントを、]
    [どうか、おわらせて。もう、死なせてやってくれ]

    「………!お前、一体……!?」

    [………勝手なことをしてごめんね、カシラ]

    [でも、もうこれ以上見たくないですからね] 

    [だから………]

    [これで、終わりにしてくれ。キッド。]
    [頼んだ]
    そう言うとウィルは消えた。


    「…!トラ男!!ギザ男が目覚ましたぞ!」
    気がつくと、船の上だった。

  • 35二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 18:14:18

    すみません。今日はここまでにします。なんか強引だったかもしれません!ここからキッドたち目線に戻ります!🎲くん久しぶり!

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 18:29:57

    乙です!無理せずに頑張ってください!
    アダマントが救われますように…

  • 37二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:01:25

    凄いドキドキしてきた
    乙です!

  • 38二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 11:21:09

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 11:47:14

    英語のwill の名詞には意志、決意、望み、遺書の意味があるらしいです。

    「………………」
    「………そんなことがあったのか」
    「…………」
    まさかとは思っていたのだ。あまりにも、似ていたから。でも……
    「あれがお頭、本人……」
    想像がつかない。そこまでに至るのが。どれだけ折れても立ち上がってやり返すのが頭だと思っているから。
    でも、先程の話は誰に怒りを向ければいいのだろうか。その邪宗は間違いなく潰したからいい。でも、頭が『死に戻り』する原因は…。

    「……………」
    しかも、その話の中で頭はおれたちを殺したと言った。
    おれたちを、殺した。本人にその気が元からあったのかは分からないが、実行している。
    前を見る。頭の顔は見えないが、真っ直ぐ走っていっている。
    ………なんで、話してくれなかったんですか?そんなに信用出来ませんでした?
    思わずそんなことを思ってしまった。

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 13:24:07

    貼り忘れてましたが、前スレで書いたifルートとその解説とifキッド(ガウス)です。お収めください。

    本編

    【ifルート】punk ass chump(文章力がないので短いです。ダイジェスト形式。オリジナルキャラがやけに出張ります。ガッツリというほどではないですがキャラの死亡描写と殺害描写があります。)


    ――――――――――目が、冴えている。

    酷く、混乱している。

    なのに、落ち着いている。

    冷や汗が、止まらない。


    「お前、ら…」


    いない。

    いないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいない。

    どこ?何処へ行った?おれの仲間は何処へ行った?

    ……………。

    なぜ?なにが、あった?

    目の前に広がる無数の屍をじっと見つめる。

    自分がへたり込んでいるのが分かる。それなのに、立ち上がろうとしても力が入らない。

    自分が自分でなくなってしまったように。肉体を乗っ取られてしまったように。自由を奪われたように。

    それなのに、頭だけはやけに回っている。

    理解を拒絶しているのに、処理するのを拒んでいるのに、勝手に分かっていく。

    痛みと苦しみの中、溢れ出ている自身の頭からの血が影響したのか。

    冷静に、理解をしてゆく。

    やめてくれ、頼む。


    倒れてる仲間を、相棒を、自分は、

    溢れ出て、落ちていく血を見つめるしかできない。


    後悔、している…
    telegra.ph

    解説

    【ifルート】punk ass chump(文章力がないので短いです。ダイジェスト形式。オリジナルキャラがやけに出張ります。ガッツリというほどではないですがキャラの死亡描写と殺害描写があります。)


    ――――――――――目が、冴えている。

    酷く、混乱している。

    なのに、落ち着いている。

    冷や汗が、止まらない。


    「お前、ら…」


    いない。

    いないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいないいない。

    どこ?何処へ行った?おれの仲間は何処へ行った?

    ……………。

    なぜ?なにが、あった?

    目の前に広がる無数の屍をじっと見つめる。

    自分がへたり込んでいるのが分かる。それなのに、立ち上がろうとしても力が入らない。

    自分が自分でなくなってしまったように。肉体を乗っ取られてしまったように。自由を奪われたように。

    それなのに、頭だけはやけに回っている。

    理解を拒絶しているのに、処理するのを拒んでいるのに、勝手に分かっていく。

    痛みと苦しみの中、溢れ出ている自身の頭からの血が影響したのか。

    冷静に、理解をしてゆく。

    やめてくれ、頼む。


    倒れてる仲間を、相棒を、自分は、

    溢れ出て、落ちていく血を見つめるしかできない。


    後悔、している…
    telegra.ph

    ガウスの見た目はこちらのメーカーさんからお借りしました。

    朔太郎製メーカー楽しかったけど大変でした。男の人が作れます。

    不具合が出る組み合わせが多いので使いにくいと思います。

    ランダムだと大変な化け物が生成されるのでお気をつけて。

    アイコン、TRPGでの使用、色加工などご自由にどうぞ。

    トレス、自作発言、商業利用など、一般常識に従って迷惑行為はおやめください。

    (追記)アイコンや立ち絵等で使う際には「朔太郎製メーカー」を明記していただければ作者が見回ってうふふするのでよろしくお願いします!!!

    その際にこのパーツが欲しいとか添えて貰えたらそのうち入れたりするかもしれない。

    ・2022/06/01 諸々付け加え

    ・2022/06/02 入れ忘れ付け加え

    ・2022/06/07  追記
    picrew.me
  • 41二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 13:43:19

    前スレに出てたオリジナルキャラのダリーナはこんな感じです。貼り忘れててすみません。


    picrew.me
  • 42二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 13:44:13
  • 43二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:22:47

    inレーテー

    「そろそろおれたちはス…す、ストックスに戻るぞ。」

    「ステュクスだ、ゾロ。そんな名前じゃあねぇ。」

    「ロビンちゃん、なにか見つかったかい?」

    「………ええ、でもこれは…。」

    「……ファッファッ、おれたちもステュクスに向かうか」

    「え!待ってくれ!まだ傷が塞がってないんだ!せめて、もう一度包帯を巻き直したほうが…!」


    そうしてレーテーから出ようと扉を開けると、


    〘こんなところに〙〘隠れてたか〙


    アダマントがいた。


    「…!!?」

    「…あなた、なぜここに?」

    〘…ステュクスに戻っても誰もいなかった〙

    〘なんのつもりだ〙〘やる気あんのか〙

    「は?テメェがいなくなるからだろうが!!」

    〘……もういい〙〘待ったおれが馬鹿だった〙

    アダマントは大鎌を振るおうと動いた

    〘少しでも期待した〙〘おれが。〙


    1、“磁気弦”!!

    2、“ROOM”!!

    3、“ゴムゴムのJET銃”!!

    dice1d3=1 (1)

  • 44二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:24:06

    キャプテンキッドー‼

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:31:42

    キッドの頭ァーッ!!

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:32:17

    鎌が振るわれる直前、

    「“磁気弦”!!」

    〘っ!〙

    鉄の塊がアダマントを勢いよく吹き飛ばす。

    そして、見覚えのある顔が見えた。

    「っあ!ゾロ!チョッパー!」

    「ルフィ!?お前どうやって来たんだ!?」

    「キャプテン!!」

    「お頭!?もう動いて大丈夫なの!?」


    「……キッド、」

    複雑な気持ちではあった。でも、今は。


    〘…………。…〙

    吹き飛ばされたアダマントはまた頭を抱えていた。鎌に変わっていたはずの鉄がバラバラに地面に落ちている。


    、〘……腹立たしい〙

    、〘………〙無言で腕の形をキッドのと揃える

    、〘……お前、〙〘なんなんだ?〙

    dice1d3=1 (1)

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 16:42:16

    >>46

    間違えた!最後の選択肢の上から壱弐参ってなってます!


    〘………腹立たしい〙〘…お前、なんなんだ〙

    「ア”ァ!?」

    〘……『死に戻り』に諦めず、死に耐えたうえに〙〘『試練』まで越えた?〙

    〘なんなんだ。なんでおれにこんな…攻撃を出来るんだ〙

    ゆっくりと攻撃された傷が塞がってゆく。歪に、血が、肉が、固まってゆく。


    〘…………お前を見てると頭が痛くなる〙

    〘“飽きた”なんて初めてだ〙〘なんなんだお前、化け物かよ〙

    「人間みてぇなこと言ってんじゃねえぞ、『カミサマ』」

    本来、同一であった者。それがこんな理解の及ばないものであると納得出来なかった。

  • 48二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 17:11:36

    「『試練』に関しちゃあウィルの言葉通りならテメェが作ったんだろうが!」

    〘………ウィル?〙〘誰だ………それ〙

    「あ”ぁ!?」

    ウィルのことを知らない?じゃあおれが会ったのは何だったんだ。

    〘訳のわからないことを…〙〘ああ、〙〘『試練』はおれが作った〙〘だがそんな奴のことは知らねえ〙

    「は………!?」

    〘なんで攻撃が出来てるのかは知らんが、〙〘それならここで潰すまで。〙〘おれのこの訳のわからない感覚と一緒に潰してやる〙

    アダマントの頭からは血が出ている。だが傷口は見当たらない。


    アダマントは鉄を集め出し左腕を作り始めた。

    キッドの左腕の金属まで持っていかれるほどの磁力で。

    「!?」

    〘お前の真似だ〙〘見たことが無かった、面白い〙

    不意をつかれた。動揺してしまった。

    「頭ぁ!!」

    〘それじゃあ〙〘くたばれ〙

    鉄でできた拳が向かってきた。


    1、オラァ!!(ゾロ登場)

    2、“ゴムゴムのJET銃”!!

    3、“ROOM”!!

    dice1d3=1 (1)

  • 49二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 17:48:26

    「オラァ!!」
    〘!〙
    「っ、ロロノア!」
    「っなにボーッとしてんだ!」
    〘おい〙〘邪魔するな〙
    「っようやく本気でやる気になったか…!」
    鉄の腕を弾く。ゾロは笑っていた。
    「攻撃がすぐに治る理由は分からねえが、それなら攻撃し続ければいいだけだろうよ…!」
    〘…バカの発想だな〙〘まあいい、言い出したのはおれだ〙

    〘“ステュクス”で待つ〙
    そう言うとアダマントは消えた。
    「っ!?」
    「ルフィ!おれたちも行くぞ!」
    「分かった!」

    「…頭」
    「っお前ら!!無事だったか!」
    「頭!もう大丈夫なんですか!?」
    「ヒート!ワイヤー!無じ…お前らどうした!?」
    「…………キッド」
    「!キラー、…………どうした?」
    「…………少なくとも、おれはめちゃくちゃ怒ってるからな。何も話してくれなかったうえに勝手に死にまくって、」

  • 50二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 17:49:09

    今日はここまでにします。そろそろ終わりが見えてきたかも。

    「……そんなに、信用出来なかったか?」
    「………………」
    それはキッド海賊団のクルーが内心思っていたことだった。
    キッドはしばし黙った後、口を開いた。
    「………悪かった。もっといいやり方をやり方をって詰めてたら、いつの間にか話さないほうがいい、おれ一人で解決しねえとって思い込んでた。」
    「…………………」
    「…伝えるべきか、ずっと迷ってた。
    ……一度伝えたが、その時もおれは死んじまったからな。それで、混乱させるべきじゃない。酷なことをさせたって思っちまった。」
    「……………………」

    「……キラー、みんな」
    「ずっと待っててくれて、ありがとうな。あと、」


    「待たせちまって、悪かった」
    そう言ってキッドは、照れたように笑った。

  • 51二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 02:48:30

    乙です

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 04:50:02

    キッドがクルーたちのこと「みんな」って言うのは甘えのような弱さのような幼さのような柔らかさを感じてめっちゃエモ…

  • 53二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 08:14:42

    めっちゃイイ…好き…

  • 54二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 12:36:50

    書いてるうちにキッドにもヒロイン属性あるような気がしたけど気の所為でした。

    「キッド、おれは」
    「………ああ」
    言いたいことは山ほどあるのだろう。お互いに話したいことが、伝えたいことがある。
    「……キッドのことを、一番知ってるのはおれたちだって思ってた。おれたちが、初めに気づかなくちゃあいけなかったのに」

    「でも、」

    「おれたち、おれは、」
    「キッドのことなんにもしらなかったんだな。」
    「キッドはずっと耐えてたのに、気づけなかった」
    「ごめん、ごめんなキッド」
    「ごめんな」
    キラーはそう言うと俯いた。仮面で隠れているが暗い顔をしているのだろう。
    前は、そんな顔をしてほしくなくて話さなかった。でも、今は。
    「………キラー、みんな、」
    「謝るのはおれのほうだ。お前らにこんな辛い思いさせちまった。もっと、早くに気付けてたら。」
    「おれも冷静になれなかった。ごめんな、おれもずっとひとりで心細くて寂しかったんだ。」
    素直な言葉を選んだ。見て見ぬふりをした感情を素直に伝える。
    「ごめん、ごめんな」

    「なあ、」
    「もう一度、おれのこと、信じてくれるか?」
    「…………!!当たり前だ!」
    周りにいたクルーたちも勿論!当たり前です!と応える。
    なら、やることは決まっている。
    「……よし!アイツを倒しに行くぞ」
    「……ああ!」

  • 55二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 14:32:49

    「にしても、さっき言ってた『ウィル』って誰だ?」
    「……『試練』の案内人、を自称してたやつだ。
    ……知らねえってなんなんだよ…」
    「あの、その『試練』ってなんなんです?」
    「………ありうべからざる今を見させられた。…もし、お前らも解除した後どうなるか分かってるなら…」
    「ファッファッ。ああ、覚悟は決めてるさ」
    「……頼んだぞ。」
    ステュクスへ向かう道中、情報共有が盛んに行われていた。

    「………麦わらやトラファルガーには言ったがお前らにも言っておくぞ。」
    「?はい?」
    「…おれがまた、死んだらその時はお前らにそのことをすぐに共有する。」
    「「「!」」」
    「……だから、信じてくれると助かる」
    「…!任せてくださいよ!」
    「当たり前だぜ!カシラァ!!」
    「……、なんで麦わら達に先に話したんですか?」
    「……まあ、あの、タイミングだ。うん。」
    ……まあいいか。そう思うクルー達だった。

  • 56二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 15:23:27

    すいません、ちょっと体調悪いのでここまでにします。みなさんも風邪などを引かないようご自愛ください。

  • 57二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 16:01:16

    乙です!ほしゅもしながら待ってしますので無理せず!命大事に!

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 16:44:26

    乙です!自分のペースでいいので体調に気をつけて頑張ってください!

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 00:24:46

    体調に気をつけてください
    乙です

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 08:02:14

    キッドヒロイン属性間違いなくあるんだけどわりと自力でなんとかできちゃうししちゃうからなぁ

  • 61二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 09:12:56

    in“ステュクス”

    〘………クソっ〙〘何なんだ…〙

    頭が痛い。傷口は塞がれるがダメージが残っている。血が残っている。

    二回もやられた。一度だけならまだしも、二回も。

    『試練』にそんな効果があっただろうか?それにアレが言っていた知らない奴のことも気になる。

    ニカの依代と究極の者が入ってきたことにも驚いたが、『試練』を越えてきたことにも驚いた。そんな根性があったのか。

    〘……ッ〙

    面白い、と思う。好奇心を満たしてくれそうだとも思う。でもそれとともに胸の奥底から込み上げる感情がある。それが何なのかは分からない。


    ………アレを、初めて見たときから、名前を知ってから、『死に戻り』をさせてから、何か言いようのない違和感を感じだした。頭の中を掻きむしりたくなるような、何かが。


    〘……仕方ない。アレは潰そう、。〙〘絶対に。〙〘そうしなくてはならない。〙

    気に入らない?苛立たしい?腹立たしい?そんな感情がおれにあるのか?なんだこれは?


    1、……嫉妬?

    2、……なんで、お前だけ、?

    3、……………いっそ、全て…?

    dice1d3=1 (1)

  • 62二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 12:22:25

    尾田っち監修の映画シリーズは全部好きですが一番好きなのは?と聞かれると悩んだ末にGOLDって言うかもしれません。テゾステが好きです。あとカリーナさんに誑かされたい。監修前ならなんだかんだ麦わらチェイスも好き。

    「ロロノア!ソッチはレーテー!ステュクスはこっち!」
    「ルフィも違う!そっちじゃない!」
    タルタロス内は意外と広い。まるで神殿のような、そんな形をしている。
    「ヨホホ、ギザ男、さん?」
    「あ?…テメェは、ソウルキングか?」
    「ええ、ヨホホ。」
    「…なんか用か」
    「………あなたが私達より『死に戻り』を経験していたことは聞きました」
    「…………」
    「………ですが、その為に自分の命を投げ捨てたのは、到底許されることではありません」
    「…………ああ、キラーたちにも言われた」
    「………」
    「…………もう、死にたくねえしな。アイツをぶっ飛ばす。そして、解除させる。」

    「そのための準備はしてきた。……もう死ぬ気はねえ。生きて、アイツラと未来を見る。」
    「ヨホホ!心強いですね!」
    走る。ステュクスはもうすぐだ。

  • 63二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 12:54:19

    走る。走る。
    ステュクスに着いた。
    アダマントは………
    〘………………〙〘思ってたより〙〘早かったな〙
    伸ばしっぱなしにしていた髪を三編みにひとつ結びにしていた。
    「なんだ、その髪。気合でも入れ直したか」
    〘………ああ〙〘邪魔なんでな〙
    左腕の鉄の一部が変形する。
    〘動きやすくした〙
    そして、鎌の形となる。
    〘…………〙〘この胸に残った違和感ごと、〙〘消し去るいい機会だ。〙

    鎌がキッドの腕にぶつかる。先程と違い両手があるからか力がかかるがなんとか弾き飛ばす。
    「っオラァ!!」
    〘………〙

    〘なんで、お前だけ〙
    「アァ!?」
    〘…………〙〘お前は、〙〘………っ〙
    大鎌を振るう。戦いがまた始まった。

  • 64二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 13:49:08

    多勢に無勢。1体複数。にも関わらず、やはり戦況はよろしくなかった。

    まず、こいつは刺しても切っても撃たれてもすぐに回復する。キッドがダメージを与えられたのは、本当になぜだか分からない。挙句の果てに状態異常すら効かないのだ。
    「必殺“緑星”!!」
    〘っ?〙
    サンジの蹴りとペンギンの槍の突きを捌きながらアダマントは鎌を振る。
    首元を狙って、足を狙って、先程までの遊んでるような動きが嘘のように殺意に満ちた動きで。明らかに殺す気だと分かる。
    「“ドクロ爆発草”!!」
    ドーン!!!
    爆発音が響き渡る。ギリギリのところをゾロたちは避けたらしい。当たったのはアダマントただ一人だ。
    「っあぶねぇ!」
    「わりい!」
    「…っやったか!?」

    アダマントはただ立っていた。爆発など無かったかのように、平静のまま。
    「っ効かねえか…!」
    ジトリ、と。アダマントはウソップを見つめた。
    〘………初めて見た〙〘…………本当に?〙
    「…………?」
    様子がおかしい。笑顔を浮かべていた先程に対して今は、なんだか悩んでいるような………
    〘……あー…、〙〘お、れは……おれは〙
    頭を抱える。髪を振り乱しながら。せっかく結ばれた髪がグチャグチャになる。

  • 65二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 18:07:10

    寒いと眠くなりますね。冬眠かよ。

    頭を抱えていたことにより伏せられていたアダマントの顔が上げられる。
    「…!?」
    それは顔と認識していいのか分からないような有様だった。
    三つ目族はその生まれや目の数により差別を受けることがある。だがそれでも共存出来るのは偏にそれでも人間であると認識できるからだろう。
    目の前のソレの顔には異常な数の目や口が付いていた。しかもそれは顔の形を象る気もないのか、目の位置がドロドロと移動する。輪郭も溶けて泣いてるのか汗をかいてるのかわからない始末だ。
    〘う、あ〙〘おれは、おれは〙〘忘れてる?なんで?〙
    あーあーうーうーと唸ったり頭を掻きむしったりしながらも好きを逃さず攻撃する手を捌き鎌を振るい防がれるを繰り返す。
    悩んでいるような姿はまるで人間のようなのに見た目だけが人間離れしていて、歪さを際立たせていた。

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 19:10:17

    今日はここまでにします。着地点が思いつかない…。うーむどうしよう。

    混乱して動きが多少鈍くなった隙を狙いキラーが斬りかかろうと動く。
    先程と同じようにはならない。刺すのではなく切る。
    アダマントの目前まで迫る。さっきと同じと思うな。パニッシャーを握りしめ直す。
    覚悟しろ!

    〘……キラー?〙
    アダマントは人の名前を覚える気が無いのか、ずっと名前を呼んでなかった。
    ……おれの名前を、なんで?
    〘危ねえだろ!〙
    パニッシャーを素手で掴まれ抑え込まれる。動揺したとはいえ、割と勢いよく突っ込んだはずだ。
    なのに抑え込んだ手からは血すら出てない。
    「っ…!?」
    〘…キラー〙
    アダマントはまるで“友人”に話しかけるようにキラーへ話しかけた。

  • 67二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 00:32:24

    乙です!

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 09:53:59

    キッドの記憶取り戻しかけてる?

  • 69二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 15:25:01

    神様とか天使とかは異形でなんぼと思ってる節があります。見てる人間にSAN値チェック入ってなんぼ。個人的にモ/ンス/トの轟/絶が理想形。人の形を模してても言いようのない違和感が拭えなければもっと最高。不気味の谷を是非引き起こしていてほしい。瞬きや呼吸を一切しなかったり、回数が異常に多かったりしてほしい。


    「っは、」

    〘キラーだろ?〙〘よく分かんねえ仮面つけてるけど…〙

    そう言ってアダマントはどこか嬉しそうに笑いながらパニッシャーから手を離す。

    歪になっていた顔は少しずつ元の形へ戻っていっていた。……まだ目は瞳孔含めて大量に付いているし、そこかしこから口が飛び出しているから体の四方八方から声がするのだが。身体も血管が諸に浮き出ているし、まるで溶けているような形のままだ。

    それでも人という形を保てている程度には戻っていた。


    「っ…なんのマネだ!?」

    〘なんの真似もなにも…〙〘あー、そういえばお前、パスタでも食ったのか?〙

    「…は!?」

    〘マスクに付いてんぞ〙〘すっげー匂いがする〙

    クスクスと笑いながらそう話す。

    ………まるで、友人に話すかのように、陽気に。

    「っ!なに気さくに話しかけてんだテメェ!」

    怒りに任せて再度パニッシャーを向ける。アダマントはまだ笑っていた。


    1、キラーさん!!(キッド海賊団のクルーがアダマントに攻撃する)

    2、ッ!!(キラーがアダマントに斬りかかる)

    3、キラー!!(キッドがアダマントを殴る)

    dice1d3=1 (1)

  • 70二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 16:46:02

    アダマントは一応元ネタあるんですけどいかんせん情報が少ないので他の神様の要素とかも足してます。苦手な方はご注意ください。

    「キラーさん!!」
    「っ!」
    バツリ
    「っ…お前は“アダマント”だろうが!“キッドの頭のふり”をするんじゃねえ!」
    苦虫を噛み潰したような顔で叫んだ。手元にあった武器で切り落とされた首は、重力のまま下へ落ちた。
    同時に、斬られた髪がバサリと地に落ちる。

    〘ああそういえば〙
    「……!?」
    〘ドルヤナイカは?〙〘何処行ったんだ?〙〘一緒にいないのか?〙
    ……切り落とされた首が、喋った。
    胴体の方はまるで落ちた首を探すようにしゃがみ込んでいる。
    「…は」
    まるで、自身がキッドであるかのように話す化け物。巫山戯るな。ここまで腹立たしいこともないだろう。キラーは確信を持って言える。人の、記憶を、関係を、土足で踏み込むな。

    「なにしてんのアンタ!?」
    「アイツを倒しゃあ帰れるんだろ!?なんでお前らも攻撃しないんだよ!?」
    「あれはキッドの頭だよ!?切れるわけないだろ!」
    「は!?あんなのが頭なわけあるか!」
    「お前ら、そんなこと話してる場合か!?」
    「うるせえ!!外野は引っ込んでろよ!!」

    呆気にとられる他の船のクルーたちに対し、キッド海賊団のクルーは激しい口論となっていた。

    ………キッド?あれが?
    落ちた首を見る。アダマントは、こちらの視線に気づくとニコリと微笑んだ。

    寒気がする。嫌悪感を感じる。よくもまあ人の神経をこんなに逆撫で出来るものだ。

  • 71二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 17:27:20

    某考察の要素とかも入ってますのでお気をつけください。

    どうしたんだ。何があった。
    唐突に崩壊したチームワークに困惑する。
    いつの間にやらアダマントは首を繋げていた。

    〘…………“不和と争い”〙〘“内乱と死”〙
    口調が一変した。まるで、別人のようだ。しかも唐突に何を言い出すのだ。
    〘…それが“本来の役割”だ。〙〘アイツらが我を見失って争ってるのはその為。〙
    「は?」

    分離していた瞳孔が一つに纏まり元の形に戻る。
    〘……やっぱり〙〘お前、ニカの器の力でも借りたのか?〙
    「アァ!?」
    〘そうじゃなきゃ……〙〘“あっちまで解除されてる”理由にならねえ〙
    ガシッ
    鎌が無くなり、キッドの体を完全に拘束するほどの大きな鉄の塊で抑え込まれる。しかも、何故か能力が使えない。
    ……もしかして、これがアダマントとかいう石なのか?どこか冷静でいる自分がいる。
    〘お前が死んだらどうなるんだろうな?〙〘星?〙〘塵?〙〘肉の塊?〙〘それとも、〙

    〘天使?〙
    〘神様?〙
    〘もしくは同じように輪廻が廻るだけ?〙
    〘なあ〙〘どれだと思う?〙
    いつの間にか元の形に戻った顔で、アダマントは笑った。目は、一切笑ってなかったが。
    〘試してみるか?〙〘どうなるか〙
    そう言うと、アダマントはキッドの首を、まるで簡単なことのように絞める。ゆっくり、ゆっくりと。

  • 72二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 17:54:21

    「…ぐっ!っあ!」
    暴れる。当然だが激しく足がバタつく。意識が遠のきかける。騒いでいた周りも状況に気づいたらしい。
    「キッド!」
    「…!?ユースタス屋?!」
    慌ててキラーとトラファルガーが走り出した。でも、
    〘邪魔〙
    「っあ!!」
    弾かれた。いや、あれは、
    “反発”だ。パニッシャーと刀に引っ張られ、キラーたちは吹き飛ばされたのだ。

    〘…テメェにわかるか〙
    〘おれはずっとひとりだった〙〘最初から、ずっと〙
    口調がまた変わった。まるで泣いているような声になった。キッドの首を一層強く締め上げてくる。
    〘おれは〙〘お前だ〙
    〘いずれ至るお前自身だ!!〙
    …どうやら混濁した意識でもちゃんと認識出来たらしい。“これは自分だ”と。
    ………キッドにとっては、迷惑極まりなかったが。
    「………!!」
    〘変われよ〙〘お前より上手くやってやる〙


    〘羨ましい〙〘悔しい〙〘妬ましい〙〘なんでお前だけ〙〘同じはずなのに〙
    「っ、ァ、ア“ぁ!!!!?」
    〘返せ〙〘返せ〙〘返せ〙

    〘かえして〙
    更に強く首が絞まる。酸素が足りない。頭がぐるぐるする。地に足が着かないから不安定だ。足がガタガタと動いている。瞳が少しずつ上を向いてゆく。死ぬのか、おれは?
    死ぬ?死ぬ。死ぬ?死ぬ。死ぬ?死ぬ。死ぬ。
    死ぬ。死ぬ。
    また、おれは

  • 73二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 18:02:12

    もっと、いいやりかたがあった。
    もっと、うまくやれるやつがいた。
    なかまを、なんどもしなせた。
    なんども、あきらめた。
    なんども、なかまをなかせた。
    おれに、いきるかちなどなかった。
    ……………もういいか?
    このまま、ほんとうに、しんでしまっても?

    …良い訳が無い、まだ、何も、出来てねえんだよ。



    「っっ!!!」
    誰が、
    〘!〙
    テメェと同じなんだよ!!!
    ――――――磁気弦!!!
    アダマントの手に付いている鉄ですら吸収する。あまり、威力があると思えない。けど、やらないよりマシだ。

    アダマントの手が離れる。空気が、酸素がいきなり入ってきて咳き込んだ。
    「っゴホッ、ゴホッ」
    「キッド!!」
    「ギザ男!大丈夫か!?」
    「っ…死んで、たまるかっ、馬鹿野郎が!!!!」
    走馬灯を見た。声がした。捨てられなかった記憶の。忘れられない記憶の。
    何れ死ぬ。その時までは。ただ、おれとして生きていたいと。生かしてくれたなら夢へとすすみたい。おれが、おれ自身が。
    決意を改めて噛みしめる。
    真っ直ぐに正面を見た。

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 18:48:26

    今日はここまでにします。うーむグダグダしてる…。

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 04:48:27

    おつです!

  • 76二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 11:14:17

    なんかグダグダしてますね…。申し訳ないです。全員をキチンと書けてないのは私の力不足です。すみません。

    アダマントの傷はすぐに塞がれていた。だが分かる。恐らくダメージ自体は残っている。傷口がすぐに塞がってもその衝撃や痛みは蓄積しているのだ。
    (……とんだ見掛け倒しだな。)
    ウィルのお陰か。それとも、まだなにかあるのか。
    〘……お前、まだ生きる気か〙〘『試練』を超えてきたってことはそういうことだろ〙
    「…当たり前だろ」
    〘なんで?〙

    〘おれは〙 

    〘今すぐにでも死にてぇのに!!!!〙
    〘生きることは大変なことだった!〙〘でも、俺はそれを求められた。信仰がまだあった!〙
    〘望みを叶えるのが神の仕事なんだろ?〙〘だから叶えた!〙
    〘簡単に死を受け入れたうえ、生きることを諦めもしなかったお前のことが理解出来ない〙〘心の奥底から理解出来ない!!!〙
    めちゃくちゃな言い分だった。目的意識があるようで無い。憤怒をむき出しにして捲し立てているだけ。髪を切られたこともあってか昔の自分に似ている気がした。
    見下したり呆れる気持ちにもならない、憐れみしか感じない。
    理解出来ない、はこっちの台詞だ。
    ……おれはここまで壊れるのか。流されるままに生きているだけの空っぽなものに。

  • 77二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 11:31:59

    「!!」
    〘!?〙
    唐突に麦わらがアダマントを殴った。
    「は!?」
    殴られたアダマントの口の端から血が出る。………待て。アイツもダメージ与えられるのか?

    「……………」
    〘……なんだ、ニカの器〙
    「……お前の言ってることはただの駄々じゃねえか」
    〘………〙
    「……ギザ男の話はよく分かんなかったけど。お前、ギザ男なんだろ?」
    〘……〙
    「なら、なんでギザ男の邪魔するんだよ。」
    〘……邪魔か?これが。〙
    「ああ」
    〘ただ繰り返すだけだ。失うものなんて無い。これのどこが邪魔だ?〙
    「ギザ男が邪魔だって言ってた。だから邪魔だ!」
    〘………〙〘無茶苦茶だ〙〘アイツがもっと早くに諦めてたら済んだ話だろ〙
    「っはぁ!?」
    〘死んだことも、泣かせたことも、ループするとさせたことも、全ておれのせいだ〙
    〘ああ認める〙〘でもな〙
    〘“それを選択した”のはアイツ自身だ〙
    〘アイツは自分で自分の首を絞めてただけだろ!〙
    〘……なんで、もっと早くに諦めてくれなかったんだ〙〘そうすればみんな助かったかもしれないのに〙
    〘みんなどこへ行ったんだ〙
    〘なんでみんなおれを置いていくんだ〙
    〘多くの犠牲を払ってまで得たものがコレか〙
    〘死にたくもなるだろ、こんなの〙
    〘………変わってほしくない。ただこのまま。何も変わらないまま、停滞をしていてくれ。〙
    〘ようやく思い出せた、幸せな記憶に浸ったまま、未来永劫に。〙

  • 78二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 14:12:11

    これでいいのか、大丈夫か?違和感ないか?って気にしながら書いてます。

    「っ…そんなの、」
    ローがアダマントに声をかけた。どこが悲痛な面持ちで。
    「…言ってくれなきゃ分からないだろう…!」
    〘………〙
    「…マスク屋たちは、ユースタス屋が『死に戻り』してたことを知らなかった。気付かないといけないのは確かだったと言っていた。」
    〘…………〙
    「でも、おれたちは他人なんだ。何をやったって同一人物にはなれねえ、もしなれたとしても考え方が違うだろうな。」
    「…………」
    いきなり何をトラファルガーは言い出したのだ。未だ酸欠気味なまま呆然と見つめる。
    「だが、お前自身の言葉でちゃんと話したのか?」
    〘…は?〙
    「……俺が言えたもんじゃねえが、察してほしいと思っても言葉で伝えられなきゃ分からないこともあるだろ。
    ……今まで、自分から言い出そうとしなかっただけじゃないのか」

    ………仲間に『死に戻り』を伝えるのをやめようと心に決めたループの時。あれは思わず口から出たから知られただけだった。今思えば、話したかった。伝えたかったんだと思う。
    …コイツは、そのことを覚えているのだろうか

  • 79二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 16:08:26

    ……やはり嫌悪感を感じた。その理由がようやくわかった。キッドであると言われた。だがアレの根幹はキッドと違う。まるで根幹から何かが崩れたような…。
    思い出すということは、一度は忘れられたということ。それは、つまり、
    「…っキッド、」
    「なあ、」
    「…?」
    「許さなくて、いいからな。キラー、みんな。これからの、おれのことも、全部。」
    「………」
    「……思い出せなかったら、おれもまずかったかもな。」

    〘…………………、…〙
    アダマントは黙り込んだ。先程の捲し立てが嘘のように静かに。
    〘………おれ、は〙
    〘こんなの、おかしい〙
    〘絶望する時間すら与えれないのか〙〘なんで?〙〘同じ人間だろ?〙〘熱い〙〘どうしてこんなことを、しなくちゃいけなかったんだ〙〘暗い〙〘ただ、一生懸命に生きてきたのに〙〘福音はどうした?〙〘生きる価値すらないのか〙〘どうしたら〙〘繝?繝ェ繝シ繝〙〘役目を〙〘儀式のせいで〙〘ここは苦しい〙〘終わりはまだ〙〘なぜ封印が解けた?〙〘助けれた?〙〘友達も親友も相棒も仲間もいたけど、〙〘おれは、〙〘初めからずっと独りだったんだ〙〘殻から解放されたい〙〘どうしてこんなこと〙〘存在してはいけなかった、“アダマント”は〙
    苦悶の表情を浮かべポツリポツリと語るアダマントを見る。キッドの顔は険しいものだった。
    ……コイツは間違いなくおれだ。認めざるを得ない。でも、これは…。
    「……何を言っているの…?」
    記憶の混濁だとしても、違和感のある言葉が多い。もはや全員が、アダマントを見ていた。

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 16:32:17

    〘どこで間違ったんだろう〙〘全部、やり直せたら……〙
    〘……ああ、そうか。〙〘やり直せばいいのか〙
    息を呑む。
    「……そんなこと、出来るわけ」
    〘出来る〙〘おれは消えるかもしれない、〙〘でもそれはみんな同じだ。〙
    「は?」
    〘それに、〙


    〘元から“俺”はその為の存在だ〙
    雰囲気が一変した。アダマントの目の色が変わった。
    「誰だ、お前」
    〘…………〙〘“俺”は。〙
    〘『レッドライダー』と〙〘呼ばれる者。〙
    「え!?」
    「ロビン、どうした!?」
    「!?だって、それは!」
    〘本来ならお前たちの前に現れるはずが無かった〙
    「…!?アダマントは!?」
    〘まだ一部だが、アイツの記憶と感情を取り戻してくれてありがとう〙〘なんとか分離できた〙

    〘これでようやく為すべきことを成せる〙
    〘全てに、〙〘『争い』を。〙〘『死』を。〙
    〘与える。〙
    アダマント…いやレッドライダーの背中から鉄でできたような羽根が生えた。目は赤く赫いている。
    〘現れてしまった以上、〙
    〘為すべきことを〙〘成さねばならない〙
    〘彼の意志も含めてな〙

  • 81二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 16:33:05

    今日はここまでにします。すいません、なんか色々雑ですね…。

    時間をかけて、一度はなくした『記憶』をかき集めてきた結果は最悪なものだったらしい。
    〘お前だってそうしたんだ〙〘運命なんて簡単に変わるって教えてくれただろ?〙
    〘自分が望んだ結果を得るまで、何度でも〙
    〘祈ってくれ〙
    〘初めから全て無かったことにする〙
    〘最初から〙〘こうしておけばよかった〙
    ………そんなの、ただの自暴自棄じゃないか。自分勝手で子どもじみている。

    そうして、羽を広げた。アダマントの姿がまた変わる。
    〘それではみなさん〙

    〘さようなら〙
    そう言った直後、本格的に変貌が始まった。
    複数に別れた目が一つに固まり、腕が七つ程生える。まるで周りの時間が巻き戻るかのように流れた血肉が戻ってゆき、肉体を組み換え脚が4つに分かれ宙を浮き出す。頭部が無くなり、残された血のように赤い輪が頭のように浮いていた。鉄のような浮いた羽根が大きく広げられ、胸に付いた大きな赤い目が爛々とこちらを見下し覗いている。

    人の形が完全に崩れ、人智を超えた異形の赤い怪物がそこにいた。

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 03:04:33

    ユースタス・保守・キッド

  • 83二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 08:57:26

    ダイスからの地獄設定でこんなにできてるのすごいですよ!おつです!

  • 84二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 09:24:59

    レッドライダーだけだと情報が少ないかと思いギリシャ神話のエリスの要素も混ぜてます。あと今更ですがバトルシーン書けない難しい。

    「ロビン、レッドライダーってなに!?」
    「………“終わりに現れるもの”。」
    「はぁ!?」
    「…“第2の封印が解かれた時。人々が互いに殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許された。また、大きなつるぎを与えられた者が現れた”。」
    「え?ロビン?」
    「……昔読んだ本の中にあったの。死の天使が四人、アポカリプスの末に現れる。『地上を4つに分割統治する権利』と『地上の人間を殺す権利』を与えられた、神の怒りの代行者。
    世界を『支配』し、『戦争』に巻き込み『飢饉』を起こし『疫病』を振り撒き『地の野獣』が現れ、全世界に『死』を齎す。
    アレは、恐らく『戦争』を司るもの。」
    「なんだソレ…!?迷惑極まりねえじゃねえか!」
    「…………でも、それはまだ先の話のはずよ。それに、その本は予言書とされていたけどどこまで信憑性があるか分からなかったからただの歴史書とされていたし、どこまで正しいかも分からなかったわ。でもあれは確実に………」
    「……………」
    ……元々、『死』に触れる機会が多かった、『死に戻り』によって肉体どころか魂にすら死が染み付いているとも聞いた。さらに言えばアレには争いも仲間殺しの事実も怒りも加味され、本来目覚めるはずのないソレの封印が解け、憑依したとも言っていた。……それが、おれの中にいる。
    「……!」

  • 85二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 09:29:49

    「っくるぞ!!」
    乱戦の始まり、最初の一撃を放ってきたのは怪物の方だった。
    伸ばされた複数の手が押し潰そうとした。恐ろしいのは、こちらへ致命打を放り込むつもりの一撃が、それらしい掛け声の一つもなく放たれたこと。吠えることもなく、淡々と死を繰り出してきた。
    慌てて避ける。なんとか全員避けることが出来た。
    避けた時に怪物の手が地についた。
    その隙を狙いキラーやロロノアたちが巨大な指を斬りつける。効いている?本当に僅かではあるが、確実に。
    その衝撃の連鎖に身悶えするかのように、対処するために残された手を掲げるが、
    「――――――“ROOM”」
    「アイアイ!!」
    そこへ、入れ替わりにハートの海賊団の面子が猛撃を叩き込む。刺す、切る、撃つ、蹴る。

    「―――っどいてっ!!」
    「うおっ!?」
    「行くわよっ!!ゼウス!!」
    「任せてよ、ナミ!!」
    「“ゼウスブリーズテンポ”!!!」
    その中心へ、ナミは巨大な雷撃を躊躇なく叩き込んだ。雷が鉄のような皮膚さえ焼いて穿つ必殺の一撃を放つ。
    赤ん坊のような盛大な泣き声がステュクスの場を席巻し、耳を塞ぎたくなるような咆哮と爆炎が水底の空間を暴力的に覆い尽くした。
    「――――ッッ」
    単純な戦闘力では怪物が圧倒しているだろう。だが、それは攻撃が一切通用しないという意味ではない。当たれば、痛む。生物なら当然のこと。当たれば、痛む。当たれさえすれば。
    〘―――――――――――!!!!!!〙
    それは即ち、当たらなければどうということはないということ。
    雷鳴のような音が鳴り響き、胸の赤い眼がキッドを睨んだ。その化け物にダメージが通った様子は一切なく、痛苦を覚えた様子は皆無だ。やはり、自分が、もしくは同じく外から来た麦わらかトラファルガーが攻撃をしなくては倒せないのかもしれない。

    「――これで、ケリをつける!!」
    真正面から化け物を睨みつけた。自分は自分の未来へと進む。そのためにも、ここで倒す。

  • 86二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 13:32:42

    すると化け物の首から鉄の塊、剣が出てきた。複数ある手がその剣を構える。そして、薙ぎ払うような大剣の一撃が、衝撃波を伴いながらこちらに襲いかかってくる。正確な狙いはなく、ばら撒くような形で斬撃が周囲へと放たれる。それは攻撃の予兆と無関係の範囲攻撃で、地力で劣るキッドたちにとって最悪の攻撃手段と言わざるを得なかった。
    どうする。どうすべきか。
    「飛ぶしかねぇか…っ!」
    アダマントがある以上、今の自分には能力が使えるかどうか分からない。放たれる斬撃から逃れる術が地上にはない。となれば、活路を見出す先は上空だった。
    「飛べぇ!!!」
    「ああ!」
    全員に聞こえるように叫ぶ。既に察して動くものもいたし、慌てて反応したものもいた。
    キッドも地面を強く蹴り、思い切り宙へ飛び上がる。その足下を掠めるように、衝撃がステュクスの地を砕いていく。
    「…あっぶねぇ!」
    致死の可能性を文字通りに飛び越えた。しかし、安堵の暇はない。
    まるで駄々をこねた子どものように大きく振り上げられた足が新たな衝撃波を作る。だが、先程の大剣の斬撃と比べれば容易く避けられるようなものだった。

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 16:15:27

    ずっと繰り出される攻撃によって避けに徹する羽目にあっているが、少しずつ慣れてきたことにより動きが見えてきた。
    あれはただ闇雲に暴れているだけだ。確かに斬撃は与えられているが、それはばら撒くように無茶苦茶に剣を振り回しているだけ。暴れる足もただ叩きつけているだけでこちらを認識しているかすら怪しい。
    こちらを殺そうとはしている。確実に。それでも隙が多すぎる。避け方さえ分かれば簡単に避けられる。しかもこちらが攻撃しても我が身の守りや攻撃後の残心などの、そういうのは一切考えてないように見える。
    硬さはあれどこちらから攻撃をし続けさえすれば何れ倒せるような。
    あまりにも動きに「穴」がある。
    まるでこちらをしっかりと認識していないかのような。
    「……?」
    「ファッファッ。どうした、トラファルガー」
    改めて化け物を見る。大剣による攻撃の姿勢には入っているが、まるで素人のような構え方だった。だが、言いようのないわざとらしさがある。なにかを抑え込んでいるような。
    「………?」
    胸の目の焦点が合っていない。いや目は一つしかないのだが瞳孔が複数に分かれていた。それの焦点が何一つあっていない。
    グルグルと見渡してはいるがそれだけで攻撃する箇所は別の場所だ。
    「……なんのつもりだ?」
    そうしてキョロキョロと見廻した後、目は

    琥珀色に赫いた。

  • 88二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 16:19:20

    全てが、色褪せ崩れ零れ落ちていく。剥がれ落ちていく。全てが、遠い温かい記憶になる。手を伸ばしても届かない。そんな記憶に。
    “過去の自分”よりも低い目線に変わったのはいつからだっただろう。タルタロスを作って閉じ籠もってから、ずっと自分は無力だと突きつけられている。
    『レッドライダー』にも申し訳ないことをしてしまった。自分の殻と記憶に引っ張られ、為すべきことを忘れさせてしまった。
    忘れたくない記憶も、覚えていたいと思った記憶も、全て押し付けてしまった。

    何もかもが、自分を置き去りにしていった。
    待てと言われれば、いつまでだって待てるだろう。戻ってきてくれさえすれば、いつまでだって待てる。……その相手を、みんなを、自分は消してしまったのだが。
    ダリーナを助けられなかったのも、自分の力不足だった。あの助けられなかった瞬間を、虚ろな目を、未だに覚えている。
    因果応報。自業自得。身から出た錆。自分で自分の首を絞めた。結局全て、自分が悪かった。せめて未来で会えることを期待して待ったが先が長くて、待つことに疲れて、気が狂った。

    ………本当は、
    「……、会いたかった」
    信じていたから自我が壊れても待っていたのか、ただの惰性で待ち続けていたのか。それさえも答えはわからない。それももう忘れてしまった。
    いかないでほしい。ずっと、ここで過ごしてくれたらいい。脳だけでもいい。ずっと。
    「置き去りにしないでくれ。………おれも、一緒に連れて行って。」
    何もかもが、自分を置き去りにしていった。今度は、どこまでも、いつまでも、一緒に。
    ……泣いているのか。自分は。
    何がしたいんだろう?何を望んでいるんだろう?
    「置いていかないでくれ。」
    「見捨てないでくれ。」

    「………忘れないで、くれ。」
    ただの残滓の、叶うことのない。せめてもの願いだった。

  • 89二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 17:39:11

    今日はここまでにします。そろそろ終わりが見えてきました。いつも読んでいただきありがとうございます!

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 00:19:59

    もはやダイスから始まったとは思えねぇ…全力で続き待機しておきます

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 08:58:16

    まばゆい光に目を焼かれる。
    光が視界を犯してゆき、意識が徐々に侵食されてゆく。
    気付けば体が地面に横倒しとなり、意識が乖離して引っ張られていく。
    意識を保っていようと懸命に顔を上げるが、瞼も首もその見えない力に逆らうことができず意識の喪失が、肉体に訪れた。
    朦朧とする意識の中で、−−−−
    「キラー!?」

    そう叫ぶ、キッドの声が聞こえた。

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 08:59:39

    『―――――――――!?』
    何が起きたのか、わからない。
    慌てて声を出そうとした。だが、出ることは無い。喉でも潰れたのかと喉を触ろうとするが、喉がない。
    いや違う。喉どころか手足や口、目という身体のすべてが存在していない。意識だけが宙に浮かび、まるで視点だけの存在になったように世界を俯瞰している。不自然な、まるで夢の中にいるような肉体の欠落した感覚。

    『−−−−−−−−−−−−−−−−?』
    目の前を、見る。
    いや、目が無い今は、目を逸らすことすらも出来ない。
    ただ、目の前にある――――意識に否応なく焼き付けられる光景を、見ていることしか出来ない。
    そして――――――――

    「――――――――あ、」

    最初に映しだされたのは、船から振り落とされ、溺死した過去のユースタス・キッドの姿だった。
    次に、キッドを庇うよう形で貫かれ死ぬ自分。そしてその後を追うように首を刃物で掻き切るキッドの姿。その亡骸に泣き崩れ、縋り付くように叫ぶワイヤーの姿。
    続くように、体に刃物が貫通し息も絶え絶えなヒートが、原型が無くなり見るのも悍ましい程にグチャグチャになったキッドに手を伸ばし絶命した。

    なんでだ。キッドを、助けなくては。
    絶叫しようにも喉が無いから叫びようがない。
    手を伸ばそうとも手が無いからどうすることもできない。
    見覚えなどあるはずがない光景だった。
    しかし記憶は、覚えがあると叫んでいる。
    だが、どれほどそう思ったとしても、焼き付く光景は変わらない。消えてもくれない。ただその『結果』を押し付け、刻み込んでくる。
    無遠慮に。無作為に。容赦なく。
    『――――――――………』
    絶句する。麦わらたちから聞いていた。だから理解は、覚悟はしてたつもりだった。それでも耐えきれなかった。
    ……………これが、まだ続くのか?
    また意識が引き摺り込まれ何かが見える。
    言葉にならない嫌な予感は、的中していた。
    そしてまた、続く。続く。何処までも。

  • 93二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 14:26:37

    一瞬の出来事だった。
    キラーたちが倒れた。それだけならまだいい。いやよくはないが。そして、すぐに戻ってきたが様子が一変した。
    みな俯き崩れ、嗚咽し、散々な状態に陥っている。
    「……!?…何があった?」
    動揺する。困惑する。一体何があったのか。あの琥珀色の光を見た途端こうなった。原因は?

    ………そして、思い当たるものがあった。
    『死に戻り』が解除されたとき、記憶がクルーたちに戻ったという実例。なんなら自分はその場にいて、その混乱を見届ける形になった。
    その時の場はひどく荒れていたし、泣いたり怒鳴ったり嗚咽したりの大惨事だった。

    ある意味、目的は叶った。こうなる覚悟もしていた。だが、このタイミングは悪意を強く感じる。
    「テッ………メェエええェェぇえ!!」
    微笑むように目を細める怪物に怒りを叫ぶ。
    自分の『死に戻り』が解除されたこと。それにより仲間のループ内の記憶が実感を伴って入っていったこと。それによりみんながこのような形になったことを、近く彼はこれ以上なく恨む事となった。

  • 94二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 14:50:37

    理解している。自分が恨む権利など無い、と。なぜならみんなを苦しめる記憶を作り出すきっかけは自分だ。もっといいやり方があったのは確かだった。
    でも、これは無いだろう。このタイミングは。明らかに悪意がある。みんなが散々な状態に陥っている最中も攻撃の手は止まない。殺意は止まらない。
    「っ、おい!ユースタス屋!お前のところの奴らはどうした!?」
    「…………『死に戻り』」
    「あ!?」
    言えた。言えてしまった。これで確定した。
    おれの『死に戻り』は完全に解除された。つまりそれは、もうやり直しが効かないということ。

    「っっっっ!」
    ひとりでも仲間が死ぬ度に繰り返した。喪うのを恐れて死に戻った。………覚悟を、決めろというのか。
    「…麦わら!トラファルガー!」
    「なんだ、ユースタス屋!?」
    「ギザ男?」
    「二度は言わねえぞ!」
    違う。今度はちゃんと、おれ自身がひとりも失わず助ける。『死に戻り』なんぞに頼らず。

    「アイツを倒す!だがおれだけじゃ無理だ!だから、手伝ってくれ!!」
    「…!ししし、当たり前だ!」
    「……ああ。」

  • 95二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 17:19:36

    出来ることを考える。上手くいくかはわからないし、これは予測だ。
    「トラファルガー、麦わら」
    「なんだ?」
    「……さっき麦わらがアイツのこと殴ってただろう」
    「…ああ」
    「ああ!殴った!」
    「………あのとき、アダマントの様子はどうだった」
    「……あのとき、麦わら屋の攻撃はアダマントにダメージが入っていたように見えた」
    「!?」
    「気づいてなかったのか?おれの攻撃も通じるみてえだがテメェのも通じるみてえだ。ということは……」
    「……おれもか」

    自身が狂気に囚われていたから出来た事を正気になった途端突きつけられ、懊悩した。でも、それでも戻ってこれた。
    「おい、麦わらの一味!」
    「え!?」「なんだ?」
    「あいつらを頼んだ!アダマントはおれたちが潰す!」
    「は!?大丈夫なの!?」
    「大丈夫だろ、あいつらなら。」
    これは虚勢ではない、信頼と確信に満ちている。ウィルに応えたときも迷いはあった。だが、今はそれがない。信じている。
    「絶対に乗り越えてくる。ただそれまでが無防備になっちまう。」
    もし、だめならずっと側にいてやる。そのくらいの気持ちだった。もとより、共に死ぬ覚悟ではあるのだが。

    走る。使えることを信じて。
    手に力を入れる。集中する。
    ……ああ、よかった。
    周辺にばら撒かれる形となった金属は自身の腕に引き寄せられていき形を作っていく。そうして、集められた金属はキッドの腕となり鎧となった。

  • 96二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 19:04:18

    今日はここまでにします。皆様良いお年をお迎えください。

    「“磁気魔人”!!」
    周辺の金属が全て呑み込まれていく。
    それを見て怪物は大剣をキッドに向けて振るう。
    「遅えな」
    ニヤリと笑った。大剣を構成していたであろう金属が形を崩し、キッドのもとへと集まっていく。大剣が少しずつ縮んでいく。
    〘――――――――――――!!!!〙
    怪物はキッドごと握り潰そうと腕を伸ばしてきた。だが、
    「“シャンブルズ”」
    場所が変わる。そこに残っていたのは破壊された地面の欠片だけだった。
    「“注射ショット”!」
    目を離した隙を狙い、一撃を叩き込む。
    怪物が雷のような声をあげる。暴れる脚がトラファルガーのいる場所に振り落とされた。
    「……効いてるみたいだな」
    「キャプテン!」
    容赦なく振り落とされた攻撃を寸前で避けたらしい。そして確信を持った。
    少なくとも三人はダメージを与えられる。
    いつだって自分の戦いはギリギリの綱渡りの連続だ。
    『死に戻り』で先のことがわかっているのに息苦しいのは、持ち得る能力と、相対する敵の強大さがあまりに釣り合っていなかったこと。
    つまり手札や手段が足りないのはいつものことだ。それでも自身の力とみんなの力を信じて、臨機応変に戦うだけ。
    「武装色、硬化」
    残された大剣の残りによる斬撃が距離を取れば襲いかかり、近付けば脚がこちらの命を狙ってくる。抑え込むなり距離を保つなりして対処しなくてはならない。そのうえこちらはまだ動けていないクルーたちがいるのだ。仲間たちの居場所を、その安否を確かめられなくなるのは怖い。
    「“ギア4”!」
    圧倒的にこちら側が不利だ。だが負ける気はない。

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 22:47:11

    共闘だァー!!熱い!!
    ありがとうございます良いお年を!

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 23:10:00

    クライマックス見えてきましたね!!
    よいお年を!!

  • 99二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 10:31:43

    あけましておめでとう
    ほしゅ

  • 100二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 12:09:43

    明けましておめでとうございます。もうそろそろ終わりそう?

    「“弾む男”!!」
    〘――――――――――――!!!〙
    化け物が威嚇するかのごとく金切り声をあげる。その声は怒りを感じ悲しみも感じられるような声だった。
    だが、そんなことは気にならない。
    「“ROOM”」
    倒す。できる限りの手段と手札をありったけ使って。誰も失わず、ここで終わらせる。
    鉄くずを更に集める。大剣はもはや影も形もない有様となった。
    「“破壊弦”!!」
    「“ゴムゴムの覇猿王銃”!!!」
    「“死の刀”」
    怪物の体に勢いよく攻撃をぶち込む。手応えがある。証拠として身体のパーツが崩壊しているのだから。
    怪物が身悶えるように暴れた。吹き飛ばされる形で後ろへ飛ぶと、先程までの散々たる状態が嘘のように静かに戦いを見ている仲間たちがいた。
    変わることを恐れた。だが、失う覚悟がなければ得られないものもある。でも、それだけじゃない道をひらく。失わなくても得る。そんな強欲で傲慢な道が。でも、それは当然だ。俺たちは海賊なのだから。
    そのことを一度はなかったことにして、また新しく、未来を紡いでいく。
    これが正解なのかはわからない。でも、正解にしたいと、そう思う。
    何度も、間違っていくかもしれない。
    ずっと正しい道を選び続けることはできず、過つこともあるかもしれない。
    だけど、そのたびに自分を形作っていこう。
    間違うことがあったとしても、自分は一人ではない。独りではないのだから。
    前に進むための夢がある。仲間がいる。
    いったい、この先、何を恐れろと言うのだろうか。

  • 101二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 12:10:06

    「―――――――改めて言うぞ。」

    「おれのことを信じてくれるなら、おれのことを受け入れてくれるなら、ついて来い。」
    「おれ達は、」
    怪物が吹き飛ばしたことにより崩れた金属がまた形を作っていく。そしてそれは強大な腕の形になり―――
    「おれ達の道を行く!!!」
    拳が、金属の塊が、怪物の身体を揺らした。
    その姿は、正しく――――――

    「………………それでこそ、キッドだ。」
    自分たちが知っている、ユースタス・キャプテン・キッドの姿だった。

  • 102二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 13:38:24

    ずっと夢を見ていた気がする。それでも、ずっと待ち続けていた。ずっと、みんなで。
    ………みんな?おれはひとりのはずじゃないのか?
    …………覚えのない記憶だった。
    唐突に現れた『彼』との生活を押しかけたのは自分だった。過ごしていくうちにそれが、凄く楽しくて。
    だから、助けられなかったこと、一緒に逃げれなかったこと。最後まで育ててた林檎の味を美味しいと言わせられなかったこと。……あんな最期を見せてしまったこと。ずっとずっと後悔している。自分は呪いを残してしまった。もっと早くに逃げれていれば、アイツラにバレないよう気をつけれていればとタラレバばかりが頭に浮かぶ。
    それを何度も何度も繰り返していくうちに、人に会った。そして人は増えるばかりで減ることがなかった。……みんな、後悔していた。でも、私は、おれは、見届けることしか出来なかった。それが嫌で●●●●●●を作った。全員と話し合って一つの身体を纏めて創り上げた。そして、訪れた人に止めてくれと懇願した。それが効果がないことを痛感したあとは、貯まった力と記憶を与えられる相手を探した。
    ………だから、お前が来た時、すごく嬉しかったんです。ようやく、あいつを助けられるって。

    覚えのない記憶だった。でも、それは実感と感情を伴って意識に入り込んだ。それを通り越す程に『死に戻り』内の記憶がキツくて落ち込んだが。
    真っ直ぐ顔を上げる。またキッドたちが化け物と戦っている。………大丈夫だ。だから、信じろ。
    同じように戦況を見つめる仲間も多くいた。信じろ、キッドたちなら。キッドなら、倒せる。自分たちでは倒せない。何度も攻撃して理解した。だからせめて、声が聞こえるように叫ぶ
    「キッド!いけぇ!!」
    声を聞いたキッドは驚いた顔をした後、ニヤリと笑った。
    「ああ!」

  • 103二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 14:37:52

    「ルフィ!やっちまえぇぇぇ!!」
    「キャプテン、いっけぇぇぇえ!!!」
    全員が叫ぶ。必ず成し遂げる!
    もう一撃、強力な攻撃を全員が打ち込む。
    倒す。絶対に。これは確実なことだ。

    …………すると、怪物の身体に亀裂が入り、崩れ始めた。そして、それは一部だけに限った話ではなく腕や足、首や頬といった体の各所にガラスがひび割れるような傷が広がっていく。
    「…………、やったのか!?」
    シャチが叫んだ。これで解放されるかもしれない。そんな期待を込めて。

    ………いや、違う。悪寒が走った。根源的な恐怖を感じた。冷や汗が止まらない。
    バキリ、バキリ
    壊れて落ちていく。すると、中から人の形をしたものが出てきた。
    〘…………外殻を破壊したか〙
    〘その道を選んだのか〙〘おれは肯定しよう〙
    アダマントではない。怪物の声。これが『レッドライダー』の本体なのだろうか。
    見た目は先程のアダマントと同じだが違うところがある。まず両腕があることだ。そして頭には山羊のような洞角が生えている。
    何より顔に口や鼻を塗りつぶしたかのように大きく付いた一つの目がコレは人ではないと伝えていた。
    「……お前、」
    〘ニカの器、ワーテルの者、本体の者よ〙
    「「「……」」」
    〘…………抗うならば〙
    〘全力で来い。〙
    鉄のような羽根が刃物のような形に変わる。
    〘………おれも、それを望んでいる〙
    そうしてソレは、赤い光を放った。

  • 104二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 14:48:30

    これだけやって倒せないのか。そう思ってしまった。
    ならどうすべきか。
    「“ギア5”」
    …………決まっている。全てを、懸ける。
    「“ROOM”」
    ………死ぬかもしれない。怖い。
    「キッド!」
    叫び声が聞こえる。
    ああ、おれはこの期に及んで死を恐怖しているのか。
    「…っまだ、おれたちなにも返せてませんよ!」
    「頭と一緒に苦しみたいし、一緒に喜びたい……だから、もう仲間外れにしないでください! 約束をして!」
    思い悩むキッドの横顔に何を見たのか、怒りを込めてクルーたちが叫ぶ。
    すぐ後ろにいるものだから、今の顔は見えない。それでも声は聞こえる。覚悟が決まっていることがよくわかった。
    だから、その言葉に勇気をもらい、甘えることにする。
    悩む時間は、ない。
    悩む必要性は、悩むなと、そう言ってくれたからそれもない。
    故に――、
    「……もしものときは、頼んだ」
    「当たり前だ、任せろ」
    キラーの声が聞こえた。きっと、大丈夫だ。

  • 105二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 15:56:09

    「“付与”!!」
    磁力を与え『レッドライダー』の身体を後方に叩きつける。勢いよく叩きつけられるが羽根がこちらに向かって雨のごとく降り注いだ。
    「“K・ROOM”」
    それを全員で抑え込む。ただ、それでも防げないほどの羽が突き刺さってゆく。それでも、なんとか避けた。すると
    「あっひゃっひゃっひゃ!」
    〘!?〙
    白いソレの姿を見て、『レッドライダー』は驚いた顔をした。
    〘ニカ…!〙
    「お前を倒さねえと、ここから出れねえ!」
    目を細め睨みつける。そして蹴りなどの攻撃を行うが流される。その攻防の隙を狙った。
    「“衝撃波動”!!」
    「“電磁砲”!!」
    全神経を集中し全てを懸けてぶち込む。
    驚いたように目を丸くした『レッドライダー』にルフィは覇気を纏い左拳を打ち出し、
    「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」」」
    攻撃を、した。

  • 106二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 15:58:26

    何もかもが崩れ、こぼれ、剥がれ、色褪せて、遠く遠く、煌めいて見える。
    自ら捨てて、置き去りにされて、思い出が遠ざかって、だけれど、それは確かに輝いていて。
    その日々が大事な全部だったから、掬い上げるのに必死になって。透き通る程に淡い記憶になってしまったけれど、それでも奥底に眠っていた。
    ………ただ、会いたかった。許されるなら、会って謝りたかった。ちゃんと話したかった。あのときの仲間を殺した記憶を、助けられなくて見殺しにした記憶を、ずっと悔いていた。
    …………でも、おれが会いたいのはおれの世界の…。

    「うるせえ!!」
    声が、聞こえた。
    「お前の言うことは無茶苦茶だ!」
    分かっている。支離滅裂で矛盾している。全部、ただのハリボテだ。空っぽな自分を満たすために適当を言っていただけだった。
    「でも、それでもお前は、求めてたんじゃないのか」
    なにを?自分には求めるなんてことはもう出来ない。
    「………お前が『試練』を与えてきたのは、気づいて欲しかったからじゃないのか」
    揺れる。違う、と言い切れなかったことに驚いた。
    「………いくらおれとはいえ、一人で生きるのは恐いだろうし辛いと思う。寂しかったよな。だから、おれはお前を、責められない」
    「でも、それはお前が諦める理由にならない」
    それはあまりにも身勝手で、理不尽で、どうしようもない言葉だった。
    「………お前もおれなら、分かるだろ。」

  • 107二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 15:58:54

    「………なんでおれの『死に戻り』に飽きたんだ?」
    分からない。それでも、何故かそう感じた。
    「今まで通りなら、そんなことは無かったんだろ?」
    なにか違和感を感じて、思いついたのがそれだった。
    「なら、無視すりゃいいだけじゃねえか。なんで、わざわざおれたちの前に現れたんだよ」
    なにかを思い出せたのかもしれないが、分からない。でも、それがずっと胸に引っかかっていた。
    「お前が過ごした数百年を、おれは想像することもできねぇ。わかったような口も叩いてやれねえよ。百年どころか、俺はまだその二十分の一しか生きちゃいねぇんだ」
    なら、解決しないじゃないか。
    「でも、今は違うだろ?」
    ……なにが
    「おれは『試練』を越え、『死に戻り』を解除した。おれの未来はおれ自身が決める」
    暗い、暗い世界が瓦解していく。光が、見える。
    「お前は、どうなんだ」
    ……おれ、は。
    会いたかった。ずっと待っていた。謝りたかった。話したかった。……ずっと一緒に、いたかった。
    「なら、それをちゃんと言ってやれよ。」
    「お前の世界の奴らじゃねえかもしれない。」
    「でも、おれにとっては有り得た話なんだ。おれも話したいんだ。だから、」
    「お前も、一緒に来い!!」
    ……いい、のだろうか。
    そんなこと、許されるのか?
    それでも、胸のうちにこみ上げる思いがある。
    ――――これは、数百年以上待ち焦がれた、抑えきれない情動だった。

    その声を聞いたあと。残滓は暫し迷い、そして
    差し伸べられた手を取った。

  • 108二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 16:18:11

    今日はここまでにします。大分雑かつ纏めて書いちゃったなと思ってます。そろそろ終わります。

    声が、聞こえた。
    アダマントの身体が崩れるように倒れる。力なく、バタリと。
    すると、赤い光が現れた。
    アダマントの姿が、元に戻る。人の形へ戻っていく。

    〘…………〙〘結局、俺たちは人の行いに縛られるものなのだな〙
    赤い光がポツリと話した。
    恐らく、これが『レッドライダー』の本体なのだろう。じっと見つめる。
    〘やはり人の殻は扱いにくい〙〘“こちら”のものはすぐに崩れるのに無駄に耐える〙
    「……なんだ、負け惜しみか?」
    〘馬鹿を言え〙〘本来ならお主等が勝つことはあり得ん事だ〙〘さっさと出て行きたかっただけだ〙
    「…………………」
    理解している。本当にコイツに挑むことがあるなら負けているだろうと。あの悪寒はそういうことだと。ずっと素人のように動きを抑え込んでいたのはわざとだった。キッドの意識と身体が混ざり合い動きにくくなっていたからこそ勝てたのだ。
    「……役目は、終わったのか?」
    〘ああ〙〘ようやく眠れる。〙
    〘殻から抜け出せなくて困ったものだ〙
    〘……見ていられなくて代わりになってもみたが、やはり無理があったな〙
    〘人の体でいすぎたらしい〙〘人間のような感情を少し理解してしまったみたいだ〙
    置き去りにされ、誰もいない場所で永い時間を過ごした彼に影響された。
    〘ありがとう、ニカ。ワーテルの者よ。〙
    冷静な声のまま、“天使”は告げた。
    〘………ユースタス・キッド〙
    「……………あ?」
    〘おめでとう〙〘貴様の勝ちだ〙
    〘お前の行く末を、最期を〙〘俺は見届けよう。〙
    「………勝手にしろ」
    そう言うと、赤い光は消えた。
    いなくなった。それが何故か分かった。

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