- 1二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 20:50:57
「まるで空から星が落っこちたような有様じゃねぇか」
日が落ち夜を迎えたクリスマスの街は、たくさんの光で満ちあふれている。
葉の落ちた街路樹は星のまたたきのようなシグナルで飾られて、行き交うひとびとの表情をよろこびの色に染めている。そこかしこにたたずむもみの木は、きらびやかなオーナメントが吊るされて、ライトアップの光を弾き目にも明るく鮮やかだ。
影すら惜しむかのような光の洪水に瞳をすがめ、肩をすくめて息をつく君が、肩がふれあう雑踏も、声をかき消す喧騒も、浮かれた聖夜の賑わいも、好まないのは知っている。
けれど。
「ま、……そこを越えるからこその絶景もあるってもんだろ? トレーナー」
白い吐息がまたたく光に散り消えてしまうその前に、振り向きざまに差し伸べられるは小さな手。
すみれ色した静かな瞳にイルミネーションきらめかせ、唇に淡く笑みを刷く。
「地上の星は腹一杯。求めるんなら天上の星。さて、ひと勝負、私と興じてみないかね?」
重なる手を引き君はゆく。
降りそそぐ光を、華やかなメロディを、あたたかな気配をかきわけて。隣を歩けと視線を投げて、手をつないだまま街をゆく。まばゆい世界をすりぬけて、ふたりっきりの隠れ家探して。
深く、夜を抜けてゆく。
遠く、夜に駆けてゆく。 - 2二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 20:56:33
ナカヤマでいじっぱりのマルクト風怪文書を書いてみたかった。
いじっぱりのマルクト研究してたら冒頭星降る石畳これだけで情景浮かんで敵わないなって思いました。公式怪文書はやっぱ強いわ