- 1二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 13:54:05
- 2122/12/27(火) 13:54:28
「あら、知らない?」
そう問うと彼はコクリと頷く。戦いの場ならば海賊狩りと称される彼も、サニー号の上ではただの青年だ。身長の高い私を見上げるのはなんだか可愛らしくてつい笑ってしまう。
とりあえず、“クリスマス”とはサンタが子供たちにプレゼントを配る行事だということ、サンタには全世界共通のイメージ図があること、そして今日はその前日である12月24日だということを話すと、「そうか」と案外素っ気なく返された。 - 3122/12/27(火) 13:54:49
書き溜め終わったので更新遅れます
- 4122/12/27(火) 13:59:25
「おれの村では、この時期はいつも静かな先生も走り回っちまうぐらい忙しいって言われてたな」
「確かに。年を越すには色々と準備があるものね」
「…そのサンタって奴は、どこにでもいるのか?」
「ええ。いい子のところには毎年来るというわ」
「そうか」
そう呟いてから彼はまた黙ってしまった。サンタについて何か思うところでもあるのだろうか。
しかしクリスマスとは自分も久々に言ったような気がする。今までとてもそれを意識できる環境ではなかったからかもしれない。
それこそ昔、まだオハラがあった頃は、クローバー博士たちが何か本を用意してくれていたが、今はそんなこともなくなってしまった。 - 5122/12/27(火) 14:07:14
サンタが博士たちだと気づいたのはいつだったかは忘れたが、結構早かった気がする。確か博士が「ロビンのプレゼントは用意できたか?」と言ったのが切欠だった。
そういえば、ルフィたちはそれを知っているのだろうか。ルフィやチョッパーなんかは知らなかったりしそうだが。なんとなく知りたくなったので、それとなく促そうと決めた。
「何か聞きたいことがあるなら、皆に聞いてみたらどうかしら。ブルックなんかは色々と知ってそうよ」
「…そうか、分かった」
そう言うとゾロはどこかへ行ってしまった。さすがに船の上で迷ったことは少ないのでついては行かない。が、折角この能力があるのだ。有効活用しないわけにはいかない。
この後は図書室に行ってコーヒーでも飲みながら、ゾロに生やした私の耳から聞こえるやり取りをゆっくりと楽しむことにした。 - 6二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 14:12:50
まだクリスマス気分抜けてないからクリスマス後夜祭ありがたい
期待の保守 - 7122/12/27(火) 14:16:08
この時期にはサンタとやらがクリスマスという行事に乗っかって活発に動くらしい。そうロビンからは聞いたがきっとまだおれの知らない何かがあるのだろう。
だからまずはロビンも言っていたブルックに聞こうと思ったが、なぜかどこにもブルックがいなかった。
仕方なくルフィに聞くことにした。ウソップやチョッパーと釣りをしているルフィを呼んで、サンタって奴を知ってるか、と言った。
「おう! 当たり前だろ!!」
「どうしたんだよゾロ、急にサンタだなんて」
「おれ知ってるぞ!! トナカイがソリひいて、サンタとプレゼントを運ぶんだろ!!」
どうやら三人共知っていたらしい。しかもチョッパーが新しいことを言ってきた。
ロビンがサンタを見せてくれたが、赤い服着た腹出た爺さんだろ? そいつと全世界の子供に配るらしい大量のプレゼントを、トナカイが運ぶのか? 大変だな、トナカイ。 - 8二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 14:21:13
期待保守
- 9122/12/27(火) 14:22:24
「おれずっと思ってたんだけどよ、それってトナカイめちゃくちゃ大変じゃねェか?」
「トナカイも鍛えてるんだろ。ゾロみたいに」
と思ったら、ウソップとルフィがそう言ってきた。そうか、トナカイも鍛えてるのか。生憎トナカイが鍛えてるのは見たことがないが、きっと人に見えないところでやっているのだろう。今度会ったら対決でも申し込んでみようか。 - 10二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 14:39:28
一味のクリスマス知識に、ばらつきがありそうなの良いね
- 11122/12/27(火) 14:40:35
「でもなー、おれんとこサンタあんまし来なかったんだよなー。じいちゃんが『いい子じゃないからのう』とか言ってた次の年くらいから来てくれたけど」
「おれの村では毎年来てたな。パチンコとか狙撃用のマトとか、色々」
「ドラム王国にもあんまり来なかったぞ。あ、でも、ヒルルクやドクトリーヌと一緒にいたら来てくれるようになった!!」
どうやらサンタは毎年全員に配ってくれる訳ではないらしい。どうせやるなら完璧にやれよ、サンタ。
「ゾロんとこは?」
「おれの村はまずクリスマスがなかったからいなかった」
「そっか、そんなところもあるんだな」
なぜか納得したようにチョッパーがうんうんと頷く。 - 12122/12/27(火) 14:46:16
すると突然ハッとしたようにウソップがボソリと言った。
「…ってことはお前、サンタの正体知らないのか?」
「サンタはサンタじゃないのか?」
そう答えたらウソップは生暖かい目でおれを見た後、おれの肩を優しく叩いた。なんだ急に。
「いや、うん、そうだよな、今さっき知ったんだもんな」
そう言いながらおれの肩を叩く手をやめない。別に痛くはねェがなんかムカつく。だがこればかりはウソップの方が上なので何も言えない。 - 13二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 14:47:31
好きです
ありがとう! - 14122/12/27(火) 14:53:14
そんなウソップの肩をガシリと掴んだのは、フランキーを見たときくらい目が輝いているルフィとチョッパーだった。
ウソップがギギギ、と錆びたロボットのように首を回す。こんなときに目を丸くして鼻水を垂らしているのはいつものことだ。
「えーっと、ルフィ、チョッパー?」
「ウソップ…」
「お前…」
「「サンタの正体!! 知ってるのか!!?」」
かなりためて言ったからなんだと思ったが、そんなことか。いやでも二人の反応を見る限りサンタの正体を知っているのは数少ないらしい。なんでウソップが知っているのかは気になるところだが。
とりあえず、ウソップがこの目をした二人に捕まった今言えることは、ご愁傷さま、それだけだ。 - 15122/12/27(火) 15:10:51
ウソップがルフィ・チョッパーの質問責めにあったのでおれは別のところに行くことにした。といってもどこに行けばいいのか分からないが、船内を歩き回っていれば誰かには会えるだろう。
まあ、みかん畑についたら会う奴なんて一人しかいないが。
「あ」
思ったとおり、ナミはみかんの木の間から出てきた。ジョウロを持っていない方の手をこっちに伸ばして、「手伝って」と口パクで言った。
こいつと会うと手伝わされるのはわかりきったことだったが、毎回こう言われるのも疲れる。一回ため息をついてから、みかんの奥に進んで行くナミについていった。 - 16122/12/27(火) 15:20:16
「見て」
小声でナミが言った。指を指した先には、みかんの木の枝と、その上に乗っかる小さい何か。白いふわふわしたそれがもぞもぞ動いたときに、やっとそれが鳥だと気づいた。
それから、白に滲む赤も見えた。どうやら足を怪我したらしい。他の鳥に襲われて怪我して、逃げてった先にここに辿り着いた、といったところだろうか。
「高いところにいるから、助けられなくて」
ナミはそれから、おれを見た。ジョウロを置いてからお願い、と両手を合わせる。何を願っているのか言わなかったが、大体分かる。
おれはもう一度ため息をついた。きっとこうやって何回も応えてしまうから、何回も手伝わされるのだろう。 - 17122/12/27(火) 15:31:04
ナミが小鳥をそっとタオルに包んだ。小鳥は余程傷が痛いのか抵抗しない。タオルも小鳥と一緒で白くてふわふわしているから、遠目で見ると殆ど同じだった。
「早くチョッパー呼ばなきゃ」
そう言ってナミがきょろきょろと辺りを見回す。チョッパーか。チョッパーならさっき甲板でルフィやウソップと一緒にいたな。
一応見聞色で気配を辿ってみる。この近くにはおれ以外が9人いる。その中でも比較的小さくて、シルエットの上部分がデカいのがチョッパーだ。
おおよその方向が分かったのでナミに言おうとすると、1つの気配がこちらに近づいてきた。そいつは身長があるから、見聞色を使うまでもなく正体が分かった。
「おや、ナミさんとゾロさんじゃないですか。……何か、お困りで?」 - 18122/12/27(火) 15:39:42
やっぱりちゃんと作ってからスレ立てなきゃダメですね今すごく痛感してます
コメントとても有難いです!嬉しいのでどんどん ください!!
また夜来れたら来ますね - 19二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 15:57:54
- 20122/12/27(火) 19:19:24
夜になったので再開します!
- 21122/12/27(火) 19:20:06
- 22122/12/27(火) 19:25:41
ナミがタオルの中の小鳥を見せると、ブルックは「アラー…」と呟いた。
「ねェブルック、チョッパーどこにいるか分かる? この子の治療をお願いしたくて」
「いえ、ここはこのブルックにお任せください!」
ブルックが骨の拳で中身がスカスカの胸を叩く仕草をした。心なしかいつもより表情が凛々しいような気がする。
「! お前治療できるのか」
「はい。流石にチョッパーさんには敵いませんが、この方の怪我なら処置できます。それに、いつもチョッパーさんに頼りっぱなしなのも何ですしね」
それからヨホホ、と笑ってナミから小鳥を受け取ると、鼻歌を歌いながら歩いていった。 - 23122/12/27(火) 19:33:20
保健室に着くと、ブルックはすぐに小鳥の傷を消毒し、丁寧に包帯を巻いていった。
ブルックがテキパキと動くのを、おれらは椅子に座って眺めていた。ナミが「見るのも勉強よ」と言ったからだ。
確かにブルックがどっかの棚を開けたり、見たことのない箱から何かを取り出しているのを見るのは勉強になる。おれは何回もここに来たことがあるが、全部をチョッパーに任せていたから何一つ覚えちゃいない。
あれがあそこにあって、あれがあっちで、なんて覚えようとしたら頭が痛くなってくる。改めてチョッパーは凄いのだと思った。
「ピィ、ピ……」
小鳥がか細く鳴くと、すぐさまナミが立ち上がって小鳥を撫ぜた。
これおれいらないんじゃねェか? - 24122/12/27(火) 19:40:15
正直ここにいたところで何も役に立てる気がしないし、絆創膏や包帯なんかの居場所も覚えられない。なら外に出てルフィたちの世話でもしてた方がいいんじゃねェか、なんて考えていたら、ブルックに「ゾロさん」と呼ばれた。
「この方、もう結構良くなったみたいなので、一回外に出してあげて下さい。飛べるようなら良いのですが、それでなければまだここにいて貰わなければいけないので」
「いいのか」
任されたはいいが、こんな小さな生物を持ったら潰しかねない。さすがに力加減の分からないバカではないが、程よい力がよく分からない。
一旦断ろうとしたら、ナミに小鳥を渡されてしまった。こうなればもうやり遂げるしかないのだろう。というか、どうせ断ったってやらされる気しかしないので、自分から引き受けることにした。 - 25122/12/27(火) 19:47:45
できるだけ潰さないように、でも逃がさないように、そっと手に乗せる。動物を触るときはこんなに気を遣わなければいけないのか。これなら敵をぶった斬ってる方がまだ簡単だ。
「ピィ!」
小鳥が青い空を見上げた。グランドラインでは珍しく快晴だった。
それから少しの間じっとして、バタバタと翼を動かした。力加減を間違えたら羽が引き千切れそうになるからやめてほしい。
「ピ〜〜ッ、ピ! ピ!」
「「「あ」」」
小鳥はとうとう飛び立った。足を怪我していたとは思えないぐらい、しっかりと。あんなに小さいと風に煽られるんじゃないかと思ったが、そうでもないらしい。
小鳥の姿が見えないくらい小さな点になってから、ようやく肩の力を抜いた。 - 26122/12/27(火) 19:52:06
「…ところでゾロさん。ナミさんに何かお話があったのでは?」
「え、そうなの?」
そうだった。すっかり忘れてた。なんでおれでも忘れてたことをブルックが分かっているのかが不思議でしょうがないが、まあブルックだし、ということにしておく。
「…サンタって奴、知ってるか?」
二人は目を丸くした。骨の方は元々丸い穴が空いていただけだったけど。 - 27122/12/27(火) 20:00:21
「サンタって……あのサンタでしょ? 知ってるわよ」
「赤い服着てて、子供にプレゼントを配ってくれる人ですよね? それなら知ってますよ」
やっぱりこいつらも知っていた。何者なんだよ、サンタ。
「私も小さい頃はノジコと一緒にプレゼント貰ってたわ。その日だけは新しい本とか、地図とか、盗まなくても手に入ったから嬉しかったわね」
「ナミさんは小さい頃からナミさんだったんですねェ…」
「どういう意味?」
「ヨホホホホ! あ、イタイ!」
ナミが笑うブルックにチョップをした。どういう意味って、そのままの意味だろ。そんな小せェ頃から物盗んでんのはお前しかいねェって。
そう言ったら多分おれの頭にもたんこぶができるだろうから、黙って移動した。 - 28122/12/27(火) 20:10:22
とりあえず適当なところに入ったら、最悪な奴と出会った。
「「げ」」
金髪のぐるぐるまゆげ。一回扉を閉めようとしたが、ジンベエが「おォ、誰かと思えばゾロか!」と言ったからそれはしなかった。
「おいサンジ、このコーラスーパーに美味ェな!」
「…あァ、そりゃどうも」
ぐるまゆが露骨にしかめっ面をしてきたので、おれも眉間にしわを寄せた。ジンベエに促されてフランキーの隣に座る。炭酸のキツい匂いがした。 - 29122/12/27(火) 20:21:31
「なんでここにいやがる、コック」
「お前ここがどこか分かってんのか!? キッチンだぞキッ・チ・ン! コックはここで料理をするモンなんだよ、このマリモ!」
「まあまあ、ほれ! さっきサンジが作ってくれたつまみじゃ」
そう言ってジンベエがおれの口の中に食パンのみみを揚げたやつを突っ込んだ。このままでは何も話せないので仕方なく咀嚼するが、無理矢理黙らされた感が否めない。あと甘い。
「あ、ジンベエ! ゾロは甘ェモンが好きじゃねェんだ」
「! そうじゃったか! すまんすまん、えーと、えーと…」
ジンベエがなにやらわさわさ動き出した。何かを探してるようなので、口の中の物を飲み込んでから、「大丈夫だ」といった。
それでもジンベエは心配だというふうにおれの顔を覗き込む。ダメ押しでもう一度「大丈夫だ」と言ったら、やっとほっと息をついた。 - 30122/12/27(火) 20:25:03
「そうだゾロ。おめェ、クルーに何か聞いて回ってるみたいじゃねェか。なんかあったのか?」
突然、フランキーがそう言った。なんで知ってるんだ、と言いたかったが、おおかたルフィあたりが言いふらしたんだろう。別に隠すようなことでもないので、聞いてみる。
「ああそうだ。サンタって奴を知ってるか?」
「「「…サンタ?」」」 - 31122/12/27(火) 20:33:31
「…まあ知ってるが、そんなこと聞いてたのかてめェ」
「ロビンにでも何か言われたのか?」
「知らないのう…どんな奴じゃ? 海賊か?」
ジンベエの言葉に、全員がジンベエを見た。それから少し間が空いて、口火を切ったのはフランキーだった。
「ジンベエ、おめェ知らねェのか?」
「ああ、知らんのう。…なんじゃ、そんなに有名なのか、さんたとやらは」
おれとしてはおれ以外にサンタを知らない奴がいて少し安心したんだが、二人にはそれが有り得ないことだったようで結構驚いていた。どうやらサンタは世界中の人々が知っているものだと思っていたようだ。 - 32二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 20:36:25
支援
- 33122/12/27(火) 20:38:08
すみません本日の更新はこれで終わりとさせていただきます
もう少し続く予定なのでお付き合いいただければ嬉しいです
保守とか支援とか感想とかどれも嬉しいので沢山くださいモチベ上がるんで!
明日の午前中には再開する予定です - 34二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 20:40:58
おっと、サンタさん知らない勢二号の登場
親分がサンタさん知らないのは、魚人街(スラム)出身ってのが大きそうだけど - 35二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 20:49:37
- 36二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 21:21:05
サンタさん知らないゾロとジンベエかわいいな
続き楽しみにしてます - 37二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 22:36:47
一味の皆サンタの存在知ったタイミングバラバラそう
- 38二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 23:03:25
サンタをそもそも知らない組、
サンタの正体を知っている組
一味それぞれ違いがありそうでいいな - 39122/12/28(水) 07:19:39
再開します!
はわ…コメントがいっぱい…嬉しい……めちゃくちゃありがたいです
これが終わったら幼少期のそれぞれのクリスマス(というか年末)を書きたいけど……書ききれるかな…頑張ります!! - 40122/12/28(水) 07:23:20
「アウ! じゃあこのスーパーなおれが説明してやる! サンタってのはな…」
フランキーがジンベエに“サンタ”と“クリスマス”についての説明を始めた。聞いてみたらどうやらロビンが言っていたことと殆ど同じだったので、仕方なくコックがいる前を向いた。
コックが皿を拭きながら言う。
「なんでサンタなんて聞いたんだよ」
「おれがサンタ知らなかったからな」
「…はァ!?」
サンタを知らねェっつっただけでこの反応ってことは、やっぱりサンタって有名なのか。それにしてもこいつが知ってておれが知らないってのはなんかムカつく。 - 41122/12/28(水) 07:30:42
「お前んとこには来たのかよ。サンタ」
皆の話を聞く限り、毎年ではないが来てるらしい。ならコックはどうなんだと思って言ったんだが、触れてはいけないことだったようだ。手を止めて目を逸らされた。
こういうとき、ウソップなら上手く話を逸らしたりできるのだろうか。だがおれにはそんな技術がない。どうしようか、そう思ったとき、やっとコックが口を開いた。
「…当たり前だろ、おれは“いい子”だったからな、お前と違って!!」
明らかに何かを隠しているような笑顔だったが、それはそれとして最後の言葉が気に障った。なんでガキのおれを知らねェお前がそんな堂々と「いい子じゃない」と言えるんだ。 - 42122/12/28(水) 07:36:29
コックと言い争っていたらジンベエに今度はイカリングを突っ込まれた。ジンベエ、おれの口に何か突っ込めばいいと思ってんじゃねェだろうな。
あ、コックとフランキーが笑った。すげェムカつく。
「サンタと言えば、フランキーのところには来たのか?」
「アウ! まあおれはガキの頃からスーパーだったからな!! もちろん毎年貰ってたぜ!!」
いつものポーズでそう言った。
貰ってた、ということは、今は貰っていないのだろうが。そもそもサンタは“子供に”プレゼントをやる奴らしいからな。大人になった瞬間来なくなるのかもしれない。 - 43122/12/28(水) 08:19:16
「しかしそんな輩がいるとは…驚いたわい」
「ジンベエは魚人島にいたからな。地上の話題も中々入ってこなかったんだろ?」
「そうじゃのう。一種の鎖国のようなものじゃったからな」
そういやナミが言ってたな、地上の普通の人間は、魚人や人魚を嫌っていることがある、とかなんとか。
「あァ、それも考えるとジンベエが知らねェっていうのはまァ当たり前のことなんだが…」
フランキーは隣のおれを見た。おれは丁度イカリングを飲み込んだところだった。
「おめェが知らねェってのがなァ…」
「そんなにおかしいことか?」
大体全員が知ってるサンタって存在がまずおかしいんだろ。そうやって首を傾げたら、「んん〜、おかしいってわけでもねェが」などと、あやふやな答えが返ってきた。 - 44122/12/28(水) 08:23:52
「野郎共〜〜!! し〜〜〜まが見〜〜〜えたぞ〜〜〜イ!!!!」
突然、バカデカいルフィの声が聞こえた。なんだ急に、と思ったが、まあその言葉通りなのだろう。外でナミやロビンたちの話し合う声やらが聞こえたので、とりあえず四人で外に出た。 - 45122/12/28(水) 08:32:48
ルフィが見つけた島は、記録指針の指している予定通りの島だった。中々大きな町があるようで、こちらからでも並び立つ建物が見えた。
やったやったと飛び跳ねるルフィとチョッパーはひとまず無視して、ロビンに「港はどこかしら」と聞いてみた。
「そうね、北の方に船が停まっているみたいだけど、海賊船をおいてくれるかはあやしいわ」
「そうよね…」
“麦わらの一味”は、最近よく新聞に載るくらい有名になった。それに、懸賞金が億を超えている船員が沢山いるから、普通に港に停めるとトラブルを起こしかねない。
「ジンベエ、島の近くで船を停められそうなところがあるか、探してくれる?」
「勿論じゃ」
ジンベエは言うが早いか海に飛び込み、水しぶきをあげて消えていった。
「ひとまずは親分さんを待ちましょうか」
「そうね」 - 46122/12/28(水) 08:40:16
「そういえば、ゾロには会った?」
ロビンが言った。風で髪の毛がさらさらと流れていたから、多分私も同じようになっている。
「ええ。それが?」
「ゾロはクリスマスを知らないみたいでね、皆に聞いて回ってみたら、って言ったの」
なるほど、ゾロが突然サンタについて聞き込みを始めたのはロビンが原因か。
というか、ゾロの故郷って東の海よね? 東の海でクリスマスがないところなんて、あったんだ。
「なんか、不思議」
「そうかしら。私は新しいことが知れて楽しかったわ」
そんなロビンの言葉に面を食らった。が、確かに、何かと知りたがりなロビンならば食いつく話題なのかもしれない。
満足気に笑うロビンを見て、私も笑った。 - 47122/12/28(水) 08:47:16
「それから、親分さんも知らないみたいよ」
「ああ…魚人島出身だもんね」
魚人島、魚人島といっているが、別に私は差別をしたいわけではない。ただ、どうしても嫌な歴史があるから、他とは少し違ってしまうところはある。
ここまで聞くと、ゾロの出身が東の海だということも怪しくなってきた。なんなの、ゾロの故郷は魚人島だっていうの? でもゾロが自分の故郷を間違えるかといったら、間違いなくする。
すると、ザバン、と水が甲板に打ち付けられた。
「あら、噂をすれば、ね」
ロビンが呟く。心の中で影がさす、と付け足した。
「ナミ、あったぞ! 西の海岸じゃ!」 - 48122/12/28(水) 08:49:29
一旦ここで更新をストップします
♡ありがとうございますもっとください
昼頃また来る予定です - 49二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 09:03:16
ほのぼの一味大好き
- 50二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 09:12:15
やっぱサンジはバラティエで過ごすまでサンタ来なかったのかな...
- 51二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 11:42:28
故郷にそういう文化のなさそうなとこで育ったゾロジンベエ以外は子供の頃ちゃんともらえててほっこり
サンタしてくれる大人がいたってことだから… - 52122/12/28(水) 13:02:46
すみません昼の更新は無理そうなので次の更新は夜にさせていただきます
感想とっても嬉しいです!ありがとうございます! - 53二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 14:10:44
みんなそれぞれかわいいですね!
楽しいです! - 54二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 15:16:46
すごく面白い……続き楽しみにしています!
- 55122/12/28(水) 17:29:59
更新再開します!
「大好き」「みんなかわいい」「楽しみ」等…スレ主が言われて嬉しい言葉ばかりでなんかもう破茶滅茶に嬉しいです
遅筆ですが頑張りますね! - 56122/12/28(水) 17:36:37
いつもの格好では目立つので、皆をなるべく町に溶け込めるように、ブルックと一緒にコーディネートした。
ルフィやゾロ、チョッパーなんかはいつもアクセサリーをつけないので、この機につけさせた。折角ここにあってしかも似合うのだから、つけないのは勿体ない。
私たちも前の町で仕入れたワンピースを着て、町に出た。
町に着くとどの建物も光っていて、今が夜ならばとてもキレイに見えたのだろうな、と想像した。
「なんだあれ」
そう呟いたゾロの視線の先には、星やクッキー形のアップリケ、ライトなどで彩られたクリスマスツリーだった。
「ジンベエ、分かるか?」
「いや、わしも分からんのう…。木が光っておるのは分かるんじゃが…」
そんな二人の会話につい吹き出しそうになる。そうだ、この二人はクリスマスを知らないんだった。 - 57122/12/28(水) 17:45:12
「ん? おお、あれか! あれはクリスマスツリーっていってな、クリスマスの時期にはああいう風にモミの木を飾り付けて置いておくんだ」
「何の為に」
「…さあ? 雰囲気じゃねェか?」
ウソップが二人にクリスマスツリーを教えてくれたが、その後のゾロの問いで首を傾げた。ウソップが助けを求めるように私を見たけど、私もクリスマスツリーの存在意義を問われたのは初めてなので分からない。
すると、ブルックがジンベエの横からひょこりと出てきた。
「木は昔から、生命の象徴とされてきたからですよ。木の中でも針葉樹は冬でも緑色をしているので、それに昔の人々は力強さや神秘性を感じたのかもしれませんねェ」
ヨホホ、と笑うブルックを、ゾロとジンベエ尊敬の眼差しで見つめる。ブルックが「あ、諸説はありますけどね」と言ったが、ウソップもそんな瞳をしていた。年の功というやつだろうか、私も少し凄いと思ってしまった。 - 58122/12/28(水) 17:53:16
すると突然、近くの店のようなところのスピーカーから、クリスマスにはお馴染みの歌が聞こえてきた。
♪ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
サビから流すのは1つの商法だろうか。なんにせよあまりに大きな音だったので驚いた。大きな音で客の目を引こうとするのは分かるけれど。
「な、なんじゃこの歌は?」
「知らねェ」
「アウ! これァ『ジングルベル』っつう定番のクリスマス・ソングだな!! この時期にゃあどこにでも流れてるぜ!!」
と、フランキーがいつものポーズを決めた。
今更だけど、私たちが服を着替えたところで目立つのは当然のことだった。骨とロボと大男と美女たちの集団。海賊かどうかというのは置いといても、目立たない訳がなかった。
でも目立つのはいつものことなので、スルーしておくことにしよう。 - 59122/12/28(水) 18:18:49
「あれ、ゾロはあんまり驚かないんだな」
チョッパーがゾロの肩の上で言った。いつの間に上ったのだろう。
「ああ、東の海でもたまに鳴ってたからな」
そっか、ゾロは海賊狩りをしていたときに聞いていたのか。町中で鳴っている音楽をただの音だと感じていたのだろうか、この男は。
「うおーーっ!! うんまほーーーっ!!!」
ルフィうるさい。反射的にそう言ったが、一体何があったのだろう。振り返ってみると、美味しそうな匂いがした。 - 60122/12/28(水) 18:25:10
屋台にチキンが並んでいる。
ジュージューと音を立てている隣は、簡易的な調理場だろうか。それらからふわふわと上り立つ煙は、食欲をそそられる匂いをしていた。が、昼間に小鳥と会ったということもあり、今はそこまではしゃげなかった。
「よく見ればチキンの屋台でいっぱいじゃのう。何かの祭りか?」
そうジンベエが言えば、まだゾロの肩に乗っていたチョッパーが返した。
「おう! クリスマスにはな、ケーキとチキンを食べるっていう決まりがあるんだ!!」
いや、決まりではないけど。いつもならそうツッコむウソップも、今は生暖かい目でゾロとジンベエを見つめていた。なんだあの目。 - 61122/12/28(水) 18:29:45
へェ、と感心したようにゾロが言う。ジンベエもワハハと笑った。
「じゃあ買っていかなくてはな」
「おう!」
チョッパーがにこにこと笑いながら答える。
その後ろでは、ルフィが早速買ったであろうチキンを両手に持っていた。食のこととなると手早いのだ、ウチの船長は。
とりあえず、断りもせず勝手に買ったルフィにはあとで言っておくことにした。ルフィには監視を厳しくつけておかなきゃ、無駄な物まで買ってしまうんだから。 - 62122/12/28(水) 18:42:44
その後は主にゾロとジンベエを町中連れ回して、あれはあんなことに使うのだとかこんな言い伝えがあるだとか教えてあげた。
ゾロはともかくジンベエに教える機会なんて中々無いので、少し優越感を感じた。
今日の夕食は町でも見たチキンと、それに合うようなおかずだった。私はあまりチキンに手が伸びなかったけど、ゾロはばくばく食べていた。うん、そういう奴よ、あんたは。
デザートはもちろんケーキで、夕方にサンジくんが魔法のような早さで仕上げていた。
自分も手伝ったけれど、あまり役に立ったような気はしなかった。だってサンジくん、チョッパーのは甘めにとか、逆にロビンやゾロのは少し苦めにとか、色々と気遣ってるんだもん。
二人で作ったケーキはとても美味しくて、皆の顔がほころんでいた。
その前に食べたチキンのたれでべとべとになったブルックは、「おいすィーですねェー、あ、サンジさん、おかわり」と言って「まずはその顔を拭きやがれ!」と叱られていた。いつものことだ。 - 63122/12/28(水) 18:46:31
それからはいつものようにお風呂に入って、男共はお風呂大会を開いてて、うるさいと怒鳴った。その後は特に何をするでもなくだらだら過ごして、22時頃布団に入った。
いつもならもう少し起きているんだけど、ロビンに促されて早めに寝た。
確かに今日は少し疲れた。クリスマスに浮かれてはしゃぎすぎたのかもしれない。
クリスマスにはいつもこうなる。なぜか無性に眠くなって、すぐに寝てしまう。
サンタさんを信じていたときなんかは、絶対にサンタさんに会ってやるなんて言っていた。その数十分後には寝ていたらしいけど。
あのころのベルメールさんのみかんの匂いと、ノジコの声を思い出しながら、私はうとうと、眠りについた。 - 64122/12/28(水) 18:54:18
ナミが寝息をたて眠ったのを見送ると、女子部屋を出てアクアリウムに向かった。
その道中で男子部屋を覗いてみたけど、見事に全員眠っていた。私がこれから会う二人を除いて。
「ごめんなさい、少し遅れたわ」
「ヨホホ。大丈夫ですよロビンさん」
「そうだぜロビン、おれらもさっき来たばっかだしな」
もう既に机の上には空の瓶が何本もあるのに、フランキーはそう言った。それにクスリと笑って、ブルックの隣の席についた。 - 65122/12/28(水) 18:57:07
本日の更新はこれで終わりにさせていただきます!
あともう少しだけ続くので見てくれたら嬉しいです!
ジンベエも一味のアダルト組ですけど今回だけは除外です
次の更新は明日の朝です - 66二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 19:26:35
乙!
楽しみにしてる! - 67二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:08:28
わざわざ皆が寝静まった夜に大人組で集まって何するんだろ
続き楽しみ - 68二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:04:02
乙!
続きめっちゃ楽しみ!! - 69二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:25:14
追いついた!
空気がほのぼのしてて好き、かわいい
大人がクリスマスの夜に集まってすることと言えばアレだよね~? - 70二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 01:09:48
ブルックが小鳥の手当てをする下りすごく好き
最後にきちんとゾロにも達成感が感じられる大事な仕事を与えるところいかにもブルックっぽい
ゾロは俺はいらないんじゃないか?って思ってたから途中から傍目にもぼんやりしてたんだろうな
一味のやり取りが丁寧でかわいくて好きだ
ジンベエがアダルト組だけど地域(育ち)差で子供・若者組になってるのかわいい
続き楽しみー - 71122/12/29(木) 08:09:18
再開します!
コメント沢山あって嬉しいです!!
小鳥の下りは書き始めて途中でなんか足りないなと思って付け足した想定外なところだったのでちゃんと出来てたようで良かったです - 72122/12/29(木) 08:13:06
「ところでおめェ…ちゃんと“用意”したのか?」
「ええ、勿論」
フランキーが少し凄んで言うのに、私は軽く返す。ブルックはホッとしたように息をついた。
「じゃあ、配りましょうか」
私たちのかわいい仲間たちに、プレゼントを。 - 73122/12/29(木) 08:19:56
私がサンタになる相手は、ナミとチョッパーとサンジ。
ナミはぐっすり寝ていたから、オレンジ色のリボンがついた手のひらサイズの箱を、そうっと枕元に置いた。
男子部屋を音を立てずに開ける。フランキーとブルックがいた。
どうやら枕元に置くだけにも苦戦しているらしい。
フランキーの担当はウソップとゾロで、ブルックの担当はルフィとジンベエだ。
フランキーは大きな手な比べれば小さな箱をちょこちょこ動かして、器用に置こうとしていた。
逆にブルックは指は細いが、ルフィは寝相が悪い為ぶつからないように置くことに苦戦しているようだった。
さて、私もプレゼントをあげなくては。 - 74二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 08:22:59
このレスは削除されています
- 75122/12/29(木) 08:25:22
まずはチョッパー。チョッパーはすうすうと小さな寝息を立てて眠っていた。寝るときは帽子を外しているから、いつもは見えない前髪(?)がふわふわ揺れていた。
チョッパーの大切な帽子の横にそっとプレゼントを置く。箱にはピンク色のリボンをつけておいた。
次はサンジだけれど、置くときに気をつけていかなければいけない。なぜならサンジは一味内では恐らく一番見聞色が上手で、遠い気配もすぐに分かってしまうから。
さすがに寝ているときにも察知されることは無いと思うが、それでも注意して置いた。サンジは起きなかった。
サンジの金色の髪の毛のすぐ横に、青色のリボンがついたプレゼント箱が映えていた。 - 76122/12/29(木) 08:31:40
二人はどうしたのだろうか。そう思って振り返ると、ブルックは既に終えてフランキーの加勢をしていた。
ウソップの頭の近くには黄色のリボンの箱、ジンベエの布団の上に黄土色のリボンがついた箱、ルフィが抱きかかえる赤色のリボンの箱。
ルフィはあれでよく起きないものだと、少し感心してしまった。
「これは…難しいですね」
そうブルックが静かに呟く。
フランキーは大きな手の中から小さな手を出して、プレゼントを持っていた。そんな二人の前には、静かに眠るゾロがいた。
ああ、ゾロは確かに、難しいわね。 - 77122/12/29(木) 08:38:29
なぜならゾロはいつも、寝ているように見えて気を張っているからだ。
昼間も寝ていたと思ったら敵船が来た途端目を開けて加勢するし、なぜか夜遅くに起きていることもある。眠るゾロを見ていたら目を開けて「なんだよ」と言われたこともある。
以外と難しいのだ、ゾロは。
フランキーとブルックに近づく。ゾロが熟睡しているのかただ寝ているだけなのか、よく分からない。でも今は部屋の中なのだ。
フランキーにそっと言う。
「ねェフランキー。確かにゾロは寝ているのかどうかは分かりにくいけど、ここは船の中で、信頼できる仲間たちの中よ。そこでゾロがわざわざ警戒する意味は、あるかしら」 - 78122/12/29(木) 08:42:19
フランキーは目をパチクリさせた。それからニヤッと笑うと、器用な手付きでゾロの横にそっと置いた。緑色のリボンがついた箱だった。
全員でほうっと息を吐いた。これで皆に配ることができた。
…否、全員ではない。私はまだプレゼントを二つ、隠し持っている。 - 79122/12/29(木) 08:46:49
アクアリウムに戻る。フランキーが「どっと疲れたぜ」と言うのでクスクス笑った。
どうしよう。中々プレゼントを渡すタイミングが掴めない。
二人の会話にときどき相槌を打ちながらタイミングを見計らっていると、ブルックがゴホン、と大げさに咳をした。
「えー…お二人共、お疲れ様でした。それでですね、その…」
ブルックは後ろに回していた手を前に出す。水色とリボンと紫色のリボンがついた箱が一つずつ。
まさか、ブルックも? - 80122/12/29(木) 08:51:20
照れくさそうに頬を赤らめる(なんで骨が赤くなるのかは分からない)ブルックを、きっと私は目を丸くして見ていたと思う。
するとフランキーもゴホンとわざとらしく咳をして、恥ずかしげに箱を出した。紫色のリボンがついた箱と、黒色のリボンがついた箱だった。
そんな二人に向けて私はクスリと笑う。
それから、隠し持っていたプレゼント箱を取り出した。
「……実は、私も!」
二人は揃って目を丸くして、それから笑った。似た者同士だな、と。 - 81二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 08:56:20
お互いにプレゼント用意してるアダルト組、大変よきです!
- 82122/12/29(木) 08:57:13
一度プレゼントを机の上に置く。
水色のリボンの箱が二つ、黒と白のリボンの箱が二つ、紫色のリボンの箱が二つ。色選びまで同じで、なんだか嬉しい。
「…しっかし、おれたちだけ二つになっちまったな」
申し訳無い、というふうにフランキーが言う。そうしたらブルックがヨホホ、と笑った。
「一つはサンタさんからで、もう一つは、この船に仲間としていることへのお礼、ということでどうでしょうか」
なんて素晴らしい案なんだろう。ブルックのそれはすぐに採用となり、まあ二つでもいっか、ということになった。 - 83122/12/29(木) 09:05:19
これからプレゼント開封の儀が待っている。まだ25日にはなっていないけれど、開けてしまおう。きっとサンタさんも許してくれる。
用意したプレゼントを本人が目の前で開けるのは少し気恥ずかしいけど、幸せだ、と感じた。
早速、次はどんな話をしようか、なんて考えている自分もいる。まだプレゼントを開けていないのに、気が早いというものだ。きっと何を話しても楽しい空間になるだろう。
フランキーが酒瓶を取り出して蓋を開けた。ブルックがおやつを取った。夜はまだまだ長いから、まだまだ長く話すことができる。
そう気づいた私は、紫色のリボンがついたプレゼントを見て、微笑んだ。 - 84122/12/29(木) 09:09:53
このお話はこれで完結となります!
結構長引いてしまいましたが読んでくださりありがとうございました!
>>74はスレ主が間違えて途中で投稿してしまっただけなので気にしないで下さい!
クリスマスに皆でプレゼント渡し合う一味はかわいいと思ってます
プレゼントの中身は何なのかとかどんな反応をするのかとかは、皆様の想像におまかせします!
- 85二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:23:51
面白かったです!ほのぼの一味良い
- 86二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:57:30
ほのぼの一味の話は健康に良い…
翌朝のプレゼントを発見したあとの反応とか色々想像できていいね - 87二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 12:57:25
私、ほのぼの一味大好き人間でございます…!
- 88二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 16:23:29
おもしろかったです!!!
- 89二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 17:03:26
- 90二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 23:13:47
- 91122/12/30(金) 09:30:44
>>89さん、>>90さんの意見を参考にまたSSを書かせていただきました!
こちらもシモツキ村への捏造がありますがご容赦下さい
あまり全員を喋らすことができませんでした…
「「はろうぃん?」」ゾロとジンベエが声を揃えた。クリスマスを知らない二人だからまさかと思ったが、やはり知らないようだった。ウソップがおれに任せろといった風に胸を張る。
「ハロウィンってのはな、ご先祖様の霊をこの世に迎えて、悪霊を追い払う行事だ」
続けてチョッパーが言う。
「でな、悪霊もこの世におりてくるから、悪霊にいじわるされないように、おれらが悪霊や魔女みたいな格好をするんだ!」
ウソップが付け足す。
「だけど、今はただのコスプレ大会みたいになってるな」
「それから、トリック・オア・トリートという言葉もあります。お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、という意味で、言われた人はハッピーハロウィン!と言ってお菓子を渡すのが習わしです」
「ほう」
ブルックの話にジンベエが興味深そうに頷く。ゾロは納得したような顔で言った。
「つまり盆みてェなモンだな」
…ぼん?
「ぼん?」
「ん?」
私の感じた疑問をルフィがそのまま言ってくれた。
ぼんって何よ。そう言ったら、ゾロに不思議な顔をされた。不思議なのはあんたの方だってば。
「…盆、知らねェのか?」
うん。そう全員で頷いたら、ゾロに「はァ?」と言われた。なんか、クリスマスやさっきとは逆みたい。…telegra.ph - 92二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 12:24:23
こういう地域間ギャップの話面白いな
逆にお盆を教える側になるのもいい
かわいかった - 93二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 19:40:33
>>91 煮込まなきゃ…!