[フラッシュ✕トレ♂SS]計画には残らない

  • 1121/11/04(木) 20:40:05

    エイシンフラッシュとトレーナーのSSを書いたはいいのですが、少し思い思いに書きすぎたかもしれません。キャラ崩壊と思われても致し方なし。
    題材はいいと思ったので、試金石半分、もっと素晴らしい誰かへのネタ提供半分で投稿させて頂きます。

  • 2121/11/04(木) 20:42:18

    ウマ娘として大切な3年が終わったしばらく後のある日、夕日が沈むような時間帯。覚悟を決めたエイシンフラッシュはトレーナー室に入る。中にはトレーナーただ一人。事前に、ふたりきりで少し話がしたいと伝えていた。
    あちらも、何やら覚悟を決めた顔をしている気がする。
    「トレーナーさん。話があります。」
    「うん。待っていた。」

    トレーナーの正面に座る。緊張をほぐすおまじない。そして、トレーナーの目を見て話し始める。

    「トレーナーさん。貴方と共に、3年より長く走ることを決めてしばらく経ちました。」
    「ああ、俺の我儘に付き合ってくれてありがとう。」
    「いいえ、決してトレーナーさんだけの我儘ではありません。私も走りたくてああしたのですから。」
    あの時のことを思い出す。計画を破りさったあの日。両親から反対はなかったが、計画とは大きく逸れることをしてしまったのだから、今回は修正の効くように。だから今ここにいる。

  • 3121/11/04(木) 20:45:28

    「…本題にはいります。」
    「ああ。」
    「私のレース人生の終わり、その先の話です。」
    トレーナーは何も言わない。
    「釈迦に説法ですが、私が最前線で戦うことには、いずれ限界がきます。」
    「…そうだな。」
    「限界が来たあと、なにをするべきか。早く決めるに越したことはありません。」
    「フラッシュは、どうするんだ。」
    知っているでしょう?わざわざ今言う理由も、分かっているのでしょう?
    「私はレース人生を終えたら、ドイツに帰り、両親のもとでケーキ作りの修行をします。」
    何も言わない。なにか言って。
    「トレーナーさんのもとを離れ、日本を離れ、この日々を美しい過去にして、切り離すのです。」
    声が震える。必死に、言葉を紡ぐ。

    「いやでは、ないのですか。私を手放すことに、抵抗はないのですか。」
    トレーナーの目に力が宿る。なにを覚悟しているのか。
    感情が唸りをあげる。駄目だ。抑えないと。
    「私は!トレーナーさんが好きです。貴方も、私を好きではないのかと、そう………思い上がっています。」
    言った。息を大きく吸う。
    「止めてくださらないんですか!?あの時のように!私を、計画を!狂わせてしまうようなことを!…言って、ほしくて」
    視界が歪む。言葉が繋がらない。ああ、叫んでしまった。
    「声を荒らげてしまい…すみません。」
    「いいや、構わない。」
    静かに、好きな声が、ただし冷たく聞こえる。
    深呼吸をする。聞きたいことは、きちんと聞かなければ。

    「トレーナーさん、大好きです。貴方は、私をどうしたいですか?」
    歪んだ視界でも、しっかりトレーナーの目を捉える。そこに動揺はなさそうで、どうやら既に答えは決まっているようだった。

  • 4121/11/04(木) 20:48:26

    トレーナーがエイシンフラッシュの横に座り直す。そしてはっきりと言った。
    「その気持ちには、今は答えられない。」
    壊れる音。軋む体。口からうめきがもれでる。なんとかなみだだけはこらえる。
    「俺はトレーナーで、君は担当のウマ娘だ。この関係である以上、君の想いには否と答えるしかない。君の表現を借りるなら、計画に俺が書かれてはいけない。」
    もうもとどうりにはもどれない。いやだ。いわないで。
    「泣かないで、そしてキチンと聞いてほしい、今言えるのはこれだけだ。」
    なにかがほほをつたう。きちんときかなければ。


    「あー…俺の恋愛運は、いまとても良くないらしい。」
    なにを…いっているのだろう。あたまがまわらない。
    「担当ウマ娘が、きちんと満足行くまで走りきって引退して、それから彼女を作らないと、地獄に落ちる。とかなんとか。」
    …?なぐさめだろうか?
    「彼女は、ドイツ生まれで、黒髪で、青い目をした、計画を大切にしている、両思いな、近くにいるウマ娘がいい。いや、いいらしい。」
    エイシンフラッシュの手にトレーナーの手が重なる。
    ああ…そうか…はっきりと言われ、理解する。体がゆっくり動きを取り戻す。
    「あとそうだ!日本よりドイツで生活するほうがツキが回るらしいから、誰かドイツ語を教えてくれる身近な人がいればいいんだが。なるべく早いほうがいいな。」

    本当に、この人は…全く…

  • 5121/11/04(木) 20:50:59

    「酷い人、ですね。」
    「…言った通り、トレーナーと担当ウマ娘だ。君の想いには答えっ
    うるさい口を口で塞ぐ。少し、黙っていなさい。
    「フラッシュ!」
    「私の計画をダシにしてうまいこと言いながら、占いがなんだと言う人は黙っていなさい。」
    涙で赤いであろう目で、頑張って愛しい人を睨む。口角が上がっていることは気にしないことにする。
    「そんな都合のいい女が、貴方の周りにいればいいですね!」
    「うっ」
    「誰なのでしょう。その人に、きちんと告白したほうがいいのでは?今は誰もいませんし。」
    トレーナーの顔に手を添え、自分の顔を近づける。次ふざけた事をいえば、また塞いでやると無言の主張をする。

    「エイシンフラッシュ、君が好きだ。君の引退後の計画に、俺を入れてほしい。」
    返事は愛する人の口によって防がれた。腰に手が周り、彼の体へと引き寄せられる。彼の体温がエイシンフラッシュに染み込んでいった。


    口が解放される。名残惜しそうな目で見るくらいなら中断しないでほしい。
    「大事なことだからもう一度言うけど、引退までは君の気持ちには答えられない。俺は君をフッた…という体だ。ここまでの事は二人だけの秘密ということで。」
    だとしてもヒドい話の持っていき方だ、先に好きだと伝えてくれてもよかったのでは?
    そして妙案が浮かんだ。いいことを言っていたではないか。
    「フラッシュ?」
    「ええ、そうですね。それにトレーナーさんの占いでは、彼女を作ると地獄におちるのでしょう?」
    「ん?ああ、そうだな。」
    「であれば、少しお手伝いを。」
    そういうと、彼の首筋に思いっきり吸い付く。
    「フ、フラッシュ!?」
    バタバタとしているが抑え込む。ウマ娘として出力いっぱいに、「ただの」トレーナーに吸い付いた。

  • 6121/11/04(木) 20:53:32

    満足して口を離せば、そこにはしっかりと跡が出来上がった。
    「これで、彼女は出来ませんね。こんな跡がついているのですから。」
    困った顔をしている。イタズラは成功だ。
    「どう言い訳するか…」
    「虫刺され、でいいのでは?変な勘違いする人もいるでしょうけど。」
    「…」
    マーキングに手を添えながら、トレーナーにもたれかかる。魅惑的に見えるだろうか。
    「全く関係ない話ですが、毎朝トレーナー室に向かいますね。」
    「それはちょっとまずくな
    黙らせる。主導権はこちらのものだ。

    「…っはぁ。別に、トレーナーさんとのミーティングが朝早くになるだけです。トレーナーさんが虫に刺されますが、問題ありませんね?」
    「…分かったよ。完敗だ。」
    「はい。ドイツ語講座は私の練習後に、ドイツ生まれの方がいらっしゃるでしょうから、その方から。計画通りに遂行してくださるでしょう。」
    「ありがとう。」
    一応、確認しておかなければならない。ドイツに住むということを、将来を約束したことを。

    「…良いのですか。トレーナーさんにも家族がいます。それに異国で住むことは、私は分からずに済みましたが、普通は大変なことです。」
    「構わないよ。愛する人の為なら。…何の話か、わからないけどね。」
    「良いのですか?こんな面倒くさ
    今度はこちらが口を塞がれた。脳が麻痺する。心臓が強く打つ。
    「お互い様。」
    再び声を奪われる口。強く抱きしめられる。トレーナーの背中に手と尻尾を回し、それに答えた。


    夕方と夜の境。太陽はほぼ見えず、月も見えない、二人だけの空間。門限の許す限り、今だけは許してほしい。ただ、そう思った。

  • 7121/11/04(木) 20:55:28

    自室にて

    計画を消していく。エイシンフラッシュはトレーナーに「フられた」以上、付き合う前提で書いていた計画は削除しなければならない。人に見せることはないので消さなくて良いという意見は、「人前で見直してニヤけたりしない?」と一言で撃沈させられたので泣く泣く消すことにしている。

    消すべき計画はただ一つを除いて消しきった。残された計画は「結婚」。消したくない気持ちに蓋をし、思い切って消してしまう。辛い、泣きそう。


    …駄目だ、せめてなにか、なにか残したい。
    そうだ、バラ。バラのシール…が手元にないので執念で書く。違和感はあるが、飾りにしか見えないだろう。しかし私達にとっては意味のあるマークだ。
    なんとかバラらしいものを書いて、計画を眺める。穴の増えた、見た目の寂しい計画。一輪のバラもこう見れば、寂しさを紛らわすいいアクセントではないだろうか。
    これから空白には、計画にないことが、二人だけの秘密が埋められていく。そう考えれば、うん、悪くないかもしれません。
    しっかり、頬が緩んでいた。


    このあとスマートファルコンにバレ、勘の良い娘達にもバレ、温かい目にむしろ恥ずかしい思いをしたが、それはもう違う話。

  • 8121/11/04(木) 20:57:16

    以上。
    フラッシュに幸せになってほしい、私の妄言に目を通してくれたことに感謝を。

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 20:59:15

    全部読んだよ、すごくよかったよ
    計画にこだわるフラッシュだからこそ、こういう情熱というか生の感情が引き立つ気がするんだ

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 21:14:55

    結婚の計画をなんとか消さずに頑張るところ大好き

  • 11121/11/04(木) 22:43:57

    >>9

    ありがとうございます。そこが一番怖かったのです。エイシンフラッシュに強い熱があるのは知ってましたが、激情に身を任せて叫ぶようなことあるかな…?と。結局叫ばせましたが。


    >>10

    まぁ…いやですよね!消すのは!

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 22:47:03

    めちゃくちゃよかった…
    フラッシュの熱情いいよね

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 22:56:24

    でもフラッシュの本音をいえば全てをめちゃくちゃにしてでも欲してくれるケースもみてみたかったのかな

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 22:58:58

    このイタリアン系トレーナーな感じすっごいわ

  • 15121/11/04(木) 23:40:11

    >>12

    書きたくなってしまって。つい。

    …よく考えたらこの娘グッドエンディングで、トレーナーに忙しいって断られたらどうするつもりだったんだろう?そう考えれば割と感情に身を任せるタイプなのか?(目ぐるぐる)


    >>13

    エイシンフラッシュがトレーナーが超大好きなこの世界観前提ですが、情熱的に求めれば応えてしまうでしょうね。職人の道も諦めてしまいそう。


    >>14

    イケメンに表現できていてよかったです。正直女の子泣かせるトレーナーかフラトレ?と思いながら書いてはいましたが、トレーナーが勝手に泣かせやがったもので…(責任放棄)

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:43:19

    つ、続きはないんですか…?

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:50:05

    これ周りからはバレバレでふった体面が意味ないやつ!

  • 18二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:53:45

    良いねぇ〜

  • 19121/11/05(金) 00:13:00

    >>16

    続きは…ドイツ語講座だったり挟むので難しいでしょうね。デートもワンシーンずつ切り取る形にもなるでしょうし。


    >>17

    ファル子はフラッシュが計画見てニヤニヤしているので気付きますね…


    >>18

    ありがとうございます。フラッシュ幸せになれ。

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 00:16:17

    お互いイタリア因子持ちじゃないかい?お熱いねぇ羨ましいねぇ

  • 21121/11/05(金) 07:40:56

    >>20

    ありがとうございます。

    もっとイチャイチャさせたいけど筆の進みに限界が来て諦めたのは内緒

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