- 1SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:06:39
- 2二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:07:22
悪魔
- 3二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:10:49
朝焼け
- 4二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:13:41
影法師
- 5二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:13:41
金色
- 6SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:15:14
お題ありがとうございました!
悪魔、朝焼け、金色で書いてみます。しばらくお待ち下さい! - 7二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:21:06
影法師では…?(小声)
- 8SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:23:00
悪魔、朝焼け、影法師だった! それで書きます!!!(方針転換中)
- 9二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:28:02
三題噺的なことをするスレをたてたものです。思わぬ所で役に立っててウレシイ……ウレシイ……
- 10SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:36:02
ある夜、少女が悪魔を呼び出した。
「私には足りないものがあるの、それを頂戴」
その言葉に悪魔は困った顔をした。
少女はまだ幼いながらも将来を感じさせる美しい容姿をしていたし、シャンと背筋を伸ばして立つ姿は健康そうに見える。
その服装は精緻なレースの施された高価そうなワンピースで、悪魔が呼び出された部屋は価値の有りそうな本がずらりと並べられた立派な書斎であり、さらにはカーテンから覗く窓の外には立派な庭まで見えている。
「ふむ、友達とか?」「それは自分でならなきゃ意味がないわ」
「それなら、自由とか」「私は望んでいるだけの自由を手にしているわ。そして自分の立場に不相応な自由は望まない」
「分からんなぁ、魔法でも使いたいのかな」「お金と権力でできるものはいらないわ。お金があれば、人体消失マジックだってお手の物よ」
「君は恐ろしいことを言うね。いやいや悪魔消失マジックの実験台にされてはかなわない。降参しよう。君に足りないものとは何かね?」
「それが分からないから聞いているのよ」
なるほどキリリと不機嫌そうな眉は、未知に対する怒りから来たのであろう。 - 11SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:36:22
金色の巻毛を不機嫌そうに指で弄る少女に、悪魔はそっと囁いた。
「どうして君は、君に足りないそれを欲しいと思うんだい?」
「パパも、ママも、誰もそれを教えてくれない。だけど確かに私には、それが足りないのだという確信があるの」
「例えばどんな時にそう感じる?」
「そうね、例えば、音楽を聞く時。私は弾むようなメロディに、私の知らない何かを見るわ」
「なるほど君は賢い子だね」
悪魔は大きくうなずくと、懐中時計を取り出した。
カチリと音を立ててフタを開くと時間を確かめる。悪魔はひとつ頷いた。
「君は随分と私を喚び出すのに時間を掛けたようだ。パパとママには黙って儀式を?」
「そうね。悪魔と言葉を交わすなんてなんて、両親には教えられないもの」
そうだろうねと頷くと、悪魔は窓の側に歩み寄り、カーテンを大きく開いた。屋敷の庭のさらに先、緩やかに弧を描く地平線に金色のラインが走っている。
少女は目を瞬かせると窓に近づく。それは少女が知らないものだった。
「これが君に足らないものだよ」悪魔が少女に囁く「もうしばらくすれば、それがよく見える」
朝焼けの空が広がって、世界の果てが赤く、青く、虹色に輝いていき、やがて眩しい光に白く染まっていく。
少女は息を吐いた。それが世界にずっとあったもので、自分が知らなかったものだと知ったから。
そうして、しばらくのあと。
書斎の床には小さな少女の影法師だけが残っていた。 - 12SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:37:37
- 13SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:41:37
感想とか評価とか一言貰えると嬉しいです!!!(正直)
なんか反応あったらもう一回ぐらい挑戦してみます!なかったら泣いて寝ます!! - 14二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:54:29
- 15SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:55:34
わー! わー! 嬉しいお言葉、ありがとうございます!!!!!!!
- 16SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:56:31
- 17SS書いてみたいマン21/11/04(木) 23:57:35
- 18二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:59:12
- 19二次元好きの匿名さん21/11/04(木) 23:59:48
ウミウシ
- 20二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 00:00:07
霧
- 21SS書いてみたいマン21/11/05(金) 00:00:36
包丁、ウミウシ、霧で書いてみます! お題ありがとうございました!!
- 22SS書いてみたいマン21/11/05(金) 00:17:50
ウミウシは食うと上手いらしい。東方ではお酒によく合う珍味として親しまれているのだという。
酒を好む酔いどれの友人が赤ら顔で話していた知識を信じて、私は海辺へと向かった。
サンダルも履かない水着ひとつ、手にした武器は包丁一本。
海辺は霧に包まれている。
日は高く昇っているはずなのに、近づくとすぐに陽は陰り、薄く湿った空気に遮られた視界は、手の届く先ぐらいまでしかない。
ぶしゅー、ぶしゅー、と、音がする。音の先を辿って慎重に裸足の爪先を滑らせる。
海面を叩けば気づかれる。波もできれば立てないように。足を滑らせないようにゆっくりと確かめながら。
やがて、霧の中から、なめらかなに波打つ不気味な背中が現れた。
背中に生え揃った突起から、白い霧を噴き出して、辺りを霧に包んでいるのだ。
やつはこちらに気付いていない。ゆっくりと手にした包丁を構える。
心もとない武器だが、これは私の武器ではない。
その時、晒した私の白い腹が、小さな音を立てた。こらえようとしても耐えきれぬその音は、重ねた飢えが奏でるメロディ。
くるるるるる、間抜けに響いたその音に反応して、私を丸ごと飲み込めるサイズのそれが立ち上がった。
この無人島で見つけた怪物、巨大ウミウシだ。
そんじょそこらの少女ならば、悲鳴を上げて逃げ出すか、押し倒されて飲み込まれるに任せるであろう。
しかし私の武器は、耐えに耐え、飢えに凌いだこの飢えなのだ。
食べられるならば食べてやる。振り上げた包丁はウミウシの腹を勢いに任せてかっさばいた。
ウミウシは水っぽくて美味しくなかった。 - 23二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 00:18:23
いいわね
詩的で美しいわ - 24SS書いてみたいマン21/11/05(金) 00:18:46
書きました! なんだこれ!!!!!!
思ったとおりに描くの難しいですね! 思ったものを書くことがすごく難しいことを悟りました!!!!
お題ありがとうございました! なんか感想とか一言でも貰えたら嬉しいです!!! - 25SS書いてみたいマン21/11/05(金) 00:19:46
- 26二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 00:21:01
すげー!予想外な話だった、面白い
始めはわからなかった情景が、後半になって判明するのすごいやり手だ - 27SS書いてみたいマン21/11/05(金) 00:24:31
- 28二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 00:28:26
- 29二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 01:13:22
背を伝う
- 30二次元好きの匿名さん21/11/05(金) 01:41:58
指