新春福丸小糸SP 第十三幕

  • 1二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:14:00

    小糸、昆布巻き食べな

  • 2二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:14:44
  • 3二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:17:18

    ぴゃっ

  • 4二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:17:54

    ぴゃっ…?

  • 5二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:19:18

    ぴゃんぴゃん麺

  • 6二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:39:08

    1年か

  • 7二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:44:14

    ワクチンがよぉ……
    コロナがよぉ……

  • 8二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:11:54

    いとこ

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:13:29

    月一ペースか

  • 10二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:14:21

    ぴゃ守

  • 11二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:14:59

    ぴえっ
    ほ、ほんとに新春が来るまで続いたんでヤンスね…

  • 12二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:15:20

    あと3日の内に死人が出る

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:08:50

    ついに1周年かァ…

  • 14二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 02:18:25

    ぴゃ

  • 15二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 04:32:15

    無事年内300福丸シコ達成致しました。
    来年もどうぞよろしくお願いするフクねぇ

  • 16福丸は俺22/12/29(木) 12:19:09

    あ、ありがとうございます……
    完全復活&今日で仕事納めなので明日から本気出します……!
    今日は映画2本観に行くので……

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 12:25:50

    最近湧いてきた福丸シコ勢ガチでキツくて笑う

  • 18二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 17:17:26

    >>15

    来年は365回やれ

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 00:45:05

    ぴゃーとる

  • 20二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 10:48:54

    ぴゃっぴゃ

  • 21二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 17:12:25

    ばぶ

  • 22福丸は俺22/12/30(金) 18:47:53

    「…………?」

    全身が痛い……

    だけど、この痛みは違う。

    刺された痛みじゃない。

    「…………」

    恐る恐る目を開く。

    「………!?」

    俺の上には奴が……

    あのネットストーカーの男が倒れ込んでいた。

    どうやら意識を失っているらしい。

    何が起きたのかと不審に思いつつ、無理矢理に押し退けて状況を確認する。

  • 23福丸は俺22/12/30(金) 18:48:35

    「────えっ」

    「あ……あぁ……」

    俺達を襲ったあの男。

    今にも俺を殺そうとしたあの男。

    その背中は──

    熱く、ドクドクと、噴き続ける真っ赤な血液に染まっていた。

    ──カラカラカラッ。

    ステンレスの落下音。

    音の鳴った方へ視線を向けると──

    アイがいた。

    先ほどまで気を失っていた筈のアイがいた。

    アイは血に汚れた姿で、呆然と立ち尽くしていた。

  • 24福丸は俺22/12/30(金) 18:49:22

    「え…………ぁ」

    「…………死、」

    「……ぇ…………ころ……殺した……?」


    「………………うっ」


    「お"ぇ"…………ぐぼっ……」


    「……………………っ」

    「…………はぁ…………はぁ…………」

    「………………」



    「…………………なんッ……で……………!」


    「こんなことになるんだよ…………」

  • 25福丸は俺22/12/30(金) 21:12:10

    新しいファミリーのサボテンです
    「大福丸」という種類です

  • 26二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:39:59

    正当防衛は通るだろうけどトラウマになるかもしれない
    これからPと付き合ってられるかな?

  • 27二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 00:23:50

    アイピー鬼つええ! 不審者全員ぶっ殺していこうぜ!

  • 28二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 00:44:38

    すっげぇ正当防衛しちまったなぁ!

  • 29福丸は俺22/12/31(土) 04:07:35

    一体、俺はどこで間違えたんだろう。

    警察に相談しなかったこと?

    後先考えずに止めに入ったこと?

    アイを一人にしたこと?

    アイとの関係を続けたこと?

    それとも……

    ……アイを追って東京に来たこと?

    …………いや、そんなことはもういい……

    だって、それはもう起きてしまったのだから。

  • 30福丸は俺22/12/31(土) 04:08:55

     「わ……」

     「私……ぴぃくんを……助けなきゃって」

     「それで…必死で……き……気づいたら…………」

    「…………」

     「……どうしよう……ぴぃくん!!」

     「私、どうすればいいの!?」

    「…………どうするって……」

    そんなの、警察に自首するしか……

    ……この場合正当防衛って認められるのか?
    なんか……よく知らないけど過剰防衛ってやつになるんじゃないのか……?

     「もうやだよ……私……消えたい……」

     「もうこんな人生嫌だよ……!!」

    「………………」

    「アイ。よく聞くんだ」

     「…………え?」

    「俺が警察に行く。 ……全部、俺がやったことにするんだ」

  • 31福丸は俺22/12/31(土) 04:09:27

    「…………え」

     「…………何…言ってるの……?」

    「アイは何も知らない顔をしてアイドルを続けるんだ」

    「全部……こいつのことも、俺のことも全部忘れて」

     「…………やだ……」

    「そんなのだめ……だめだよ……!」

     「殺したのは私なのに……ぴぃ君が代わりに償うなんておかしいよ!」

     「私が償うから……!」

  • 32福丸は俺22/12/31(土) 04:10:01

    「駄目だ!」

    「……アイを一人では行かせられない……!」

    「…………」

     「……でも……!」

    「……だったら、二人で一緒に償おう」

     「…………え?」

    「二人で一緒に警察に行くんだ」

    「同じ牢屋には入れないけど……きっと一緒に頑張れる」

    「……それならいいだろ?」

     「…………」

    アイは首を横に振った。

  • 33福丸は俺22/12/31(土) 04:10:24

    駄目だ……

    どうしても意見がまとまらない。

    いくら民家もなく人の少ない通りだとしても、こうしている間に人が来てしまうかもしれないのに。

    どうすればアイは納得してくれる?

    どうすれば……

    「…………あ」

    俺はふと思い出した。

    いつかの日のことを。

    アイと引き離されたあの日のことを。

  • 34福丸は俺22/12/31(土) 04:12:30

    「…………アイ。分かったよ」

     「……ぴぃくん……?」

    「俺は……警察には行かない……」

     「…………! じゃあ、私が……」

    「アイも行かせない」

     「…………どういうこと?」

    「…………逃げるんだ」

     「…………え」

    俺は血で濡れたアイの手を握りしめ、誓った。

    「一緒に逃げよう!!」

    ──あの日、掴めずに離してしまったその手を。

    今度こそ離さない。今度こそ守り抜くと。


    そして──


    ──俺はまた 間違える。

  • 35二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 04:31:33

    どんどん状況が悪化してりゅ…

  • 36福丸は俺22/12/31(土) 08:07:31

    「まずは…….この死体をどうにかしよう」

     「どうにか……って、どうするの……?」

    「うーん……近くに車を停めてるんだ。とりあえず死体を積んでどこかでなんとかするしかないな……」

     「……何も決まってないじゃん……」

    「…………なんとかするさ」

    「……コンクリートに付いた血は……そうだな……砂で誤魔化しておこう」

    「じゃあ俺は車取って来るからアイはここで………………いや」

    何かあった時にアイを独りにするのはマズいか……?

    死体を置いて行くのは不安だけど……

    「……アイも一緒に行こう」

  • 37福丸は俺22/12/31(土) 08:08:39

    「…………うん」

    アイが頷く。

    歩いて5分くらいの駐車場に車は停めてある。

    すぐに行って戻ってくれば大丈夫……なはず。

    気持ち悪い。

    胃に入った物全て吐き出してもまだ吐き気がする。

    身体が痛い。

    骨にヒビが入っているかもしれない。

    だけど……アイを守らなくちゃ。

    「……よし、行こう」

    監視カメラを警戒しつつ、急ぎ足で車の元へ向かった。

  • 38福丸は俺22/12/31(土) 08:09:11

    「アイは後部座席に」

     「うん」

    「よし、さっきの所へ戻ろう」

     「待って。  ……何か聞こえない?」

    「え?」

    車の窓を開けて耳を澄ましてみる。

    すると……

    「……サイレンだ」

     「死体が見つかった……ってコト?」

    「……多分」

     「どうするの……?」

    「…………」

    「…………すぐにここを離れよう」

    「遠くに行くんだ。できるだけ遠くに……」

  • 39二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 12:14:36

    死体遺棄の前に警察が見つけて良かった
    実際その通りの気が動転していたで済む

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 16:59:29

    なんだかんだで、1年間月1スレ強の割合で進んだのか…。

  • 41福丸は俺22/12/31(土) 20:21:36

     「ねぇ……」

    「ん?」

    高速道路を走ること1時間。

    先程まで押し黙っていたアイが口を開いた。

     「これから……どこに行くの……?」

    「……うーん」

    「分からないけど、どこか遠くに行かないと」

    「疲れたか?」

     「…………私は大丈夫」

    「そっか」

    「あぁ……でも」

    「ちょっとトイレ行きたくなってきたな……」

    「どこかPAで一回停まってもいいか?」

    「…………ん」

  • 42福丸は俺22/12/31(土) 20:22:17

    車から降りる時、衣服や身体に血がべっとりと付着していたのを思い出した。

    慌てて上着を脱いだ。俺の方はそんなに目立たないので大丈夫だろう。

    アイは手が血塗れなので外に出すとマズい。

    なので、衣服のポケットに手を入れさせて、そのまま多目的トイレに入らせた。

    そこなら周りの目を気にせず血を洗い流せる。

    トイレの外でアイを待ち、5分程経った頃アイが出てきた。

    目の周りが少し腫れていた。

    「何か食べて行くか? また暫く走り続けるし」

     「……………いい」

    「でも」

     「人がいる所はいや……」

    「……じゃあパンとかおにぎりとかにして車の中で食べようか」

  • 43福丸は俺22/12/31(土) 20:22:43

    俺達はPA内にあるコンビニで食べ物や飲み物をたくさん買い込んだ。

    それと、充電器や下着、生活用品なんかも。

    「……あ」

    「なぁ、このTシャツどうだ?」

    俺はコンビニに併設されたお土産コーナーにご当地Tシャツを見つけ、それをアイに見せた。

     「ダサいシャツ……」

    「ははっ」

    「これ買って行かないか?」

     「……そんなの着るの?」

    「着替えは必要だろ? 同じ服だと見つかるかもしれないし」

     「…………まぁ」

  • 44福丸は俺22/12/31(土) 20:23:13

    PAを出て再び走り出す。

    「結局買っちゃったな」

    アイは最後まで不服そうな顔をしていたけど。

    でも、こういうのが後々良い思い出になるのかもしれないし。

    それにペアルックなんて初めてだ。

    「恋人っぽくてたまにはこういうのもいいよな?」

    「アイ?」

    「………………すぅ…………すぅ…………」

    後部座席から静かな寝息が聞こえてきた。

    「なんだ寝たのか」

    疲れたら寝て良いとは言っていた。

    それにもう深夜1時だ。無理もない。

    …………うん。俺はもう少し頑張ろう。

    運転も。それに……

    出来るだけ気丈に振る舞うんだ。アイを不安にさせないように。 

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 20:32:36

    正気に戻って自主するまでに事故らずに済んで欲しいな

  • 46福丸は俺22/12/31(土) 20:54:42

    逃亡2日目。

    早朝に高速道路を降りて暫く下道を走った。

    随分田舎の方まで来たらしく、山道に入った。

    ろくに舗装もされておらず、民家もない。

    どうやら人通りもあまりなさそうだ。

     「こんなところ走って大丈夫……?」

    「あぁ……うん」

    昨晩、走りながら考えていたことがある。

    この辺りならいいか……

    「なぁアイ」

    「この車はここで置いていこうと思うんだ」

  • 47福丸は俺22/12/31(土) 20:55:01

     「え……」

     「なんで……!?」

    「この車……事件現場の近くからここまで乗ってきただろ?」

    「もしかしたらこの車が原因で警察に見つかるかもしれない」

    「だから置いていこう」

     「そんな……ダメだよ……」

     「ぜったいダメ……!!」

    「……アイにも歩かせることになるのは悪いけど」

     「そういうことじゃない!!」

  • 48福丸は俺22/12/31(土) 20:55:30

     「大切な車でしょ……?」

     「私なんかの為に捨てないでよ……!」

    「…………いいんだ」

    「車はまた買えばいい。二人でどこか安心して暮らせる場所を見つけたらまた……」

     「でも……」

    「ははっ。今度はもっとかっこいい車にするさ」

    「ほら。必要な物を持って」

    「……ナンバープレートも外しておこう」

    「………………」

  • 49福丸は俺22/12/31(土) 21:44:06

    車を捨てて下山。

    その後はバスを乗り継いでちょっとした地方都市へ。

    バスの待ち時間が長いのもあって、移動している間にもう夕方になっていた。

    おかげで道中少しずつ眠れたのは幸いだった。

    街に着くと変装用のマスクを買った。

    サングラスも買おうかと思ったけど、いかにも変装してますって感じでなんだか可笑しかった。

    「今日はホテルで休もうか」

     「え……高いんじゃない……?」

    「ははっ、大丈夫だよ。これでも貯金は結構あるんだ」

    「アイも昨日は車中泊だったし、今日はずっと移動で疲れただろ?」

  • 50福丸は俺22/12/31(土) 21:44:31

      「では、お客様の身分を確認できるものをご提示お願いいたします」

    「え……」

    身分証……?学生証とか免許証だよな……?

    帳簿に記帳するだけなら偽名や偽の連絡先でどうにかなると思っていた。

    ……でも免許証なんて見せたら一発で名前がバレてしまうじゃないか……

    「すみません……持ってないです……」

      「では申し訳ありませんが……」



      「君達随分若く見えるけど……高校生?」

      「だったら泊まるのに親の同意が必要になるんだけど」

    「あ、いや……俺達、この春高校卒業したばかりで……」

      「あのね。卒業してたって3月一杯は関係ないの」

      「君達は世間的には高校生のまま。泊めるのはいいけど親御さんに連絡しなよ」

    「え……えっと……すみません!やっぱいいです!」

  • 51福丸は俺22/12/31(土) 21:44:49

    「……で、結局ここか……」

    普通のホテルに泊まるのは難しいと分かった。

     「もう諦めよう」とアイは言う。

    だけどもう少しだけ、と探し続けると一つの建物が見えた。

    ピンク色に妖しい照明が目立つ、やたら立派な外観のその建物……

    そう、ラブホテルだ。

    どうやら無人で好きな部屋を選べる形式のようで、ルームサービスで料理も頼めたので今の俺達には都合が良かった。

  • 52福丸は俺22/12/31(土) 21:46:28

    「…………ん」

    ふかふかのベッドで眠っていると、物音がして目が覚めた。

    「アイ?」

     「……あ、ごめん。起こしちゃった?」

    「いいけど……何してるんだ?」

    寝惚け眼を凝らして見ると、アイの手には瓶が握られていた。

    「薬……?」

    瓶の中には錠剤が山ほど入っていた。

     「……あー……見られちゃったか。心配しないで。ただの睡眠薬だから」

    「……眠れないのか?」

     「……うん。最近はね」

    「そうか……ごめん」

     「…………え」

     「……なんで君が謝るの…………」

    「うん……でも……ごめん……」 

  • 53二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 22:08:00

    止めよう山ほどの睡眠薬とか

  • 54福丸は俺22/12/31(土) 22:28:40

    逃亡3日目。

    今日は電車で移動をした。

    知らない街から知らない街へ。

    随分と遠くまで来た。

    昨日と比べるとそこまで栄えていない駅で降りた。

    本人確認が不要とのことで、この日は個室ビデオ店のカップルシートに泊まることにした。

    せっかくなので何か映画を観ることにした。

    適当な映画を探そうとすると、品揃えがアダルトビデオばかりなのを見て初めてここがそういう目的の店なんだと知った。

    俺は途端に恥ずかしくなり、急いで一般映画コーナーで作品を選び部屋に戻った。

    昨日体を重ねたばかりだというのに。

  • 55福丸は俺22/12/31(土) 22:29:01

    俺が手に取ったのは恋愛映画だった。

    大学生の男と足が不自由な車椅子の女性の恋愛映画だ。

    色々と問題はあったけど、終盤二人は恋人同士になった。

    けれどそれが幸福な恋愛にはどうしても見えなかった。

    俺には二人が、障がいによるハンディキャップだとか、数々の障害から、現実から目を逸らしているように見えてしまって……

    俺は映画の中の二人をどうにも今の自分達に重ねてしまい、少し気分が悪くなった。

    ……映画の最期には主人公の男はあっさりとヒロインの女性を捨てて他の女の子の元へ去って行きヒロインの車椅子の女性は、一人で生きてゆく。

    ………………

    …………俺は……

  • 56福丸は俺22/12/31(土) 22:29:24

    逃亡4日目。

    連日移動が続いたので、今日はゆっくりすることにした。

    遠くまで来たし、そう簡単には見つかることもないだろう。

    マスクで顔を隠しつつ散策していると、市営の図書館を見つけたので、そこで時間を潰すことにした。

    「アイ。何読んでるんだ?」

    「……それって…………」

     「昨日の映画の原作なんだって」

    「……そうか……」

    「俺は……あの映画あまり好きじゃなかったな」

    「陰鬱で……救いがない」

    「物語は暗くても良いけど……最後はハッピーエンドがいいよ」

  • 57福丸は俺22/12/31(土) 22:30:21

     「ふふっ」

    「笑うなよ」

     「……ごめん。でも、私もそう思う」

     「あの映画ね、原作だと30ページもない短編なんだよ」

     「だから映画だけの登場人物も多いし、お話も結構違うんだ」

    「フゥン……」

    「原作はどうなるんだ?」

     「最期は二人……死んじゃうの」

    「えっ……」

     「生きてるけどね」

    「嘘ついたのか?」

     「違うよ。ヒロインが例えたんだ」

     「世間から隔絶されて」

     「二人きりで結ばれる自分達を。『死んだ者』だって」

    「……よく分からないな」 

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 23:02:41

    なんだかんだ一気に更新してくれると一気読み出来て助かる
    この空気感息苦しいけど好き

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 23:30:36

    退廃的だ
    二人でどこか安心して暮らせる場所が見つかったりはしない

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 23:59:46

    逃亡9日目。

    ここ数日、アイの精神が不安定になっていた。

    長距離の移動は厳しいだろう。

    「すみません……お邪魔します……」

    この辺りは一面緑。

    家と家とが結構離れている。

    俺達はそのうちの一つの古民家に入った。

    その家はどうやら人がもう住んでいないらしく、電気やガス、水道なんかは止まっているが、家財道具はそのまま残っていた。 

  • 61福丸は俺23/01/01(日) 00:00:21

    「ふぅ……こんなもんか」

    褒められたことではないけどここで暫く寝泊まりさせてもらおう。

    というわけで俺は置いてあった道具を使い、家の中を掃除していた。

     「…………」

    アイはあまり口を開かなくなっていた。

    それどころか何をするでもなく、ただ寝そべってはぼうっと何かを眺めている。

    「……………っ」

    「……そうだ。そろそろ食事にしないとな」

    「ほらアイ。口を開けどて」

    アイは自発的には何も食べない。

    保冷バッグの中からゼリー飲料を取り出して口に充てがってやった。

  • 62福丸は俺23/01/01(日) 00:00:40

    10日目の午後。

    「アイ。ちょっと出掛けてくる」

    「買い物できる店を探したいんだ」

     「…………」

    アイは何も答えない。

    家を出て少し歩くと、小学生くらいの子どもが向こうからやってきた。

      「こんちわ」

    「あっ、こんにちは」

    急に挨拶されて驚いた。そうか、こういう所では住んでる人は知り合いばかりだから挨拶するのが当然なんだな。

    「あっ! ねぇ、ちょっと聞いてもいいかな」

  • 63福丸は俺23/01/01(日) 00:01:03

    「あそこの家の人、どこ行ったか知ってる?」

      「あそこのばあちゃんならもうずっと入院してるよ。でももう永くなくて、家族もいないんだって」

    「フゥン……そうなんだ……それと、もう一つ聞いてもいいかな」

    「ここら辺にスーパーとかコンビニってある?」

      「あっち。少し歩いたらコンビニあるよ」

    「そっか、教えてくれてありがとう」

      「にいちゃんどこの家の人?」

    「え? あ、いや……あそこら辺……かな」

    慌てて適当な方角を指して誤魔化した。 

  • 64福丸は俺23/01/01(日) 00:01:26

    「少し歩いたらコンビニって言ってたけど……」

    「まさか30分も掛かるなんて……」

    思ったより時間が掛かってしまった。

    アイが気掛かりで急ぎ足で帰った。

    「ただいまー」

     「…………」

    暗くなった部屋でアイは変わらず横たわっていた。

    「………………っ」

    「…………さぁ、夕飯の準備をするか」

  • 65福丸は俺23/01/01(日) 00:01:59

    「美味いか?ゼリー」

     「…………」

    「よし、夕飯も食べたしそろそろ休もうか」

    「……と言いたい所だが、今日はサプライズがあるんだ!」

     「…………」

    「ほら、花火!」

    「昔よく一緒に遊んだよな!」

     「…………」

    「季節外れだけどたまにはいいだろ?」

    「ちゃんとマッチも用意したぞ! 水は少し勿体ないけど飲み水を使おう!」

    アイの身体を庭の方へ向ける。
    そして俺も庭に出て、花火に火をつける。

    「うぉ、綺麗だな!」

    「アイもこっちに来て一緒にやろう!」

     「…………」

    「……じゃあ今度は5本同時だ!」

  • 66福丸は俺23/01/01(日) 00:02:22

    アイは何も答えない。

    アイは何も喋らない。

    「……じゃあ次は……打ち上げ花火だ……!」

    庭の離れたところに花火を置く。

    火をつけると急いでその場から離れた。

    大きな音がして空を見上げると、なんとも地味な光を放ち、あっという間に終わってしまった。

    「ははっ……やっぱり市販の打ち上げ花火じゃダメだな」

     「…………綺麗」

    「…………え?」

     「綺麗だね……ぴぃくん」

  • 67福丸は俺23/01/01(日) 00:03:32

    「あ……」

    「あぁ……!」

    「そうだな!よし!もっとやろう!」

    「次はアイも一緒に……!」

     「……………ふふっ」

    アイは少し微笑むと、再び何も喋らなくなってしまった。

    だけど、俺は花火を何発も打ち上げた。

    きっと楽しむ気持ちは一緒だ。

    そう信じて。

  • 68福丸は俺23/01/01(日) 00:04:04

    アイ。

    ずっと一緒にいよう。

    今はダメでも、きっとすぐに良くなる。

    どこか二人で安心して暮らせる場所を見つけるんだ。

    そこで仕事をして、部屋を借りて。

    夏には花火大会に行こう。

    もっと綺麗な花火が見られるぞ。

    それで、もっともっと色々なことをしよう。

    いつまでも一緒だ。

    アイドルにはなれないけど

    味気ないかもしれないけど

    きっとそれが二人の幸せだよな?

  • 69福丸は俺23/01/01(日) 00:05:06

    逃亡12日目。


    「…………アイ?」

    アイは動かなくなった。


    ゼリーも喉を通らない。


    何も喋らないし、表情一つ変わらない。


    ただ、その表情はとても穏やかな顔をしていた。


    動かないアイの傍らにいつか見た瓶を見つけた。


    瓶の中身はいつの間にか空っぽだ。


    ……あぁ


    ……そうか。


    「…………終わったんだ」

  • 70福丸は俺23/01/01(日) 00:10:39

    あけましておめでとうございます!!!!!!!!!!
    新春福丸小糸SP、とうとう1周年です!!!!!!!!!
    これも皆さんの保守・応援あってこそです!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!
    今年も引き続きハッピーなお話を書いていきたいと思います!!!!!!!!
    もう暫くお付き合いください!!!!!!!!!!!

  • 71二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 00:12:44

    ハッピーな話??

  • 72二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 00:23:53

    このレスは削除されています

  • 73二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 00:24:52

    ハッピーな話名乗るな!!

    あけましておめでとうございます!!
    今年もよろしくお願いします!!!

  • 74二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 00:37:34

    やっぱり読ませるシナリオ書くよなぁ…

  • 75二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 11:00:27

    新年と名乗るにはあまりにも救いの無い結末…
    あけおめです…

  • 76二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 17:21:52

    ぴゃ…

  • 77二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 23:30:34

    ぴ…ぴ…ぁ…

  • 78二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 08:42:45

    間違いだらけだけど、シャニPの精神はこの頃からシャニPなんだなって…

  • 79二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 17:02:46

    新年初ぴゃします!

  • 80福丸は俺23/01/02(月) 22:55:19

    せっかくの正月なので大量更新したいところですが、暫く朝7時に出勤して22時以降に寝に帰る生活なので申し訳ありませんが少しの間お休みします
    大晦日更新分も時間の都合で駆け足展開になり、入れたかった展開もいくつか泣く泣く断念してしまったのが心残りではありますが……

  • 81二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 08:15:37

    びゃい!

  • 82二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 16:18:33

    ぴゅおん

  • 83二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 22:52:59

    お仕事頑張ってください!

  • 84二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 09:39:58

    ぴぃ……

  • 85二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 21:08:44

    pilya

  • 86二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 02:45:48

    ぴゃぴぴゅぴぇぴょ

  • 87二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 13:23:03

    飛゚也

  • 88二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:49:01

    ぴゃー

  • 89二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 07:37:46

    ぴゃああああああ!!

  • 90二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:00:38

    ピャッ!!!!!!!!!(咆哮)

  • 91二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 00:27:50

    ぴゃ…

  • 92二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 12:00:28

    pui

  • 93二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 20:04:16

    えぴたふ

  • 94二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 07:55:43

  • 95二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 15:50:14

  • 96二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 00:31:07

  • 97二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 12:04:54

  • 98二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:38:25

    ぴゃいあん

  • 99福丸は俺23/01/09(月) 21:01:51

    アイは行ってしまった。

    俺を置いて独りで行ってしまった。

    俺が居て、アイが居て……

    それだけで俺は幸せだったのに……

    なんで……

    「…………なんで俺を連れて行ってくれなかったんだよ……」

    時が止まったかのような静かな部屋に、俺の声だけが響いた。

    「…………あ」

    アイの傍に、小さな紙切れを見つけた。

  • 100福丸は俺23/01/09(月) 21:03:02

    折り畳まれていたそれを手に取り開いて見てみると、アイからのメッセージが書き綴られていた。

    『わたしをわすれて』

    『きみはわらって生きて』

    「………………」

    きっと最期の最期、必死の想いで書いたのだろう。

    ぐにゃぐにゃに歪んだ文字で、弱々しい筆圧で、たったそれだけが書かれていた。

    「…………なんだよそれ……」

    「…………笑えるわけないだろ…………」

    「君を失った俺が……!」

    「誰よりも愛する人を……失った俺が…………!」

    『笑って。ぴぃくん』

    「…………ははっ」

    『……笑ったぴぃくんが一番好き』

    「ははっ…………ははっ…………」

    「……………………っ………………ははっ」

  • 101福丸は俺23/01/09(月) 21:56:37

    ドンドン!

    「…………!?」

    突然戸を叩く音が聞こえた。

     「おぉ〜い! 誰かいるのかい!」

    どうやらこの家に勝手に潜り込んだのがバレたらしい。

    話し声から4,5人はいるらしい。

    余所者がうろついているのを怪しまれたか?

    それとも昨日の花火の音がいけなかったか?

    なんにせよここにいると不味い。

    幸いもうじき外は暗くなる。暗闇に乗じて逃げれば……

    「………………」

    アイをこのまま置いていくのか……?

  • 102福丸は俺23/01/09(月) 21:57:01

    こんな……こんな形でお別れしてもいいのか?

    アイも一緒に……

    せめてどこか良い場所で供養してやりたい。

    …………でも

    アイを抱えて逃げるなんて、できる訳ない。

    もしこの場から逃げられたとして、人1人抱えたままどこに行けるというのだろう。

    ──ガララッ

    戸が勢いよく開かれる音が聞こえた。

    今にもアイを寝かせているこの部屋に、男達はやってくるだろう。

    ──もう時間がない。

    「………………っ」

    「………………ごめん……っ」

  • 103福丸は俺23/01/09(月) 21:57:48

    …………俺はアイを見捨てた。

    表の玄関はダメだ。

    鞄と懐中電灯だけ手に取ると、縁側に置いていたサンダルを履き、駆け出した。

     「うぉっ! 女の子がいるぞ!」

      「息してねえ!救急車!救急車を呼ぶだ!」

    遠くで男達の声が聞こえる。

    振り返らずに夢中で走った。

    必死に暗闇を走り、何度か転んでも、田畑に足を滑らせても立ち上がり走った。

  • 104福丸は俺23/01/09(月) 21:58:11

    「はぁ……はぁ……」

    どれだけ走っただろうか。

    暗闇の中なので何も見えない。

    電池が勿体なかったが、懐中電灯を点けて歩いた。

    少し歩いた先に、屋根付きのバス停を見つけたのでそこで休んだ。

    「…………アイ」

    ……結局俺がやったことに何の意味があったのだろう。

    守りたかった。だけど結果はこれだ。

    あの日その手を取らずに、自首させるべきだった?

    ……だけど、それじゃあまりにもアイが……

    「……いや、違うな…………」

    “俺がアイを放したくなかった”

    ……それだけなんだ。

  • 105福丸は俺23/01/09(月) 21:58:43

    翌朝。

    やってきたバスに乗って、駅に行った。

    それから電車に乗って街に戻った。

    風呂に入り、着替えを買い……

    新幹線に乗って東京に帰った。

    新幹線の中で遠くに咲く桜並木を眺めていると、ふと思い出した。

    「あ──明日、入学式だ……」


    ──季節は春。

    ──春は出会いと別れの季節。


    「ははっ……俺……大学行かなきゃ…………」

  • 106福丸は俺23/01/09(月) 21:59:31

        
       
      
        
    scene 0.8 終
        
        
        
        

  • 107二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 06:39:34

    ピェ……

  • 108二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 16:13:59

    ぴゅ

  • 109二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 21:05:25

    これからアイの両親やら叔父さんやらとお話か
    アイの事務所もなんか言えよ

  • 110二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 00:14:57

    言葉出てこないんだが…

  • 111二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 11:30:28

    ぴゃっ

  • 112二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:20:19

    そういえばまだアイの死亡を確認したわけじゃないのか
    Pは逃げたけど

  • 113二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:23:29

    みんながシャニP元カノ死別説を提唱するからいけないんだよ

  • 114二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 10:11:32

    ぴぇっ

  • 115二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 15:47:01

    ギェピ…

  • 116二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 00:05:10

    アイがシャニPを逃亡生活から逃がしたかったのだと考えたらアイはただ息を止めただけの死んだふりだったのかもしれないな

  • 117二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 08:48:28

    爛れた関係どころの話じゃなかった…

  • 118二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 16:00:49

    ぴゃぷぷー

  • 119二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:31:05

    ぴゃい

  • 120二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 07:44:55

    ぴぃくん…

  • 121二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 15:43:32

    ぴぃ

  • 122二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:33:02

    ぴゃ

  • 123二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 09:37:58

    ゃは

  • 124二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:58:14

    ほしゅ

  • 125二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:01:12

    フクク…

  • 126二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 00:49:36

    ぴゃい

  • 127二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 08:23:53

    コイッ

  • 128二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 13:15:39

    フクフク

  • 129二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:22:26

    ぴょ

  • 130二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 07:01:05

    ぴゃづ

  • 131二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 16:12:23

    ぴぃ……

  • 132二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 23:37:53

    ぴ…ゃ…ぁ……

  • 133二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 10:44:55

    ぴゃ

  • 134二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:20:39

    ぴぇい

  • 135二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 03:53:05

    ぴゃぴゃぴゃ

  • 136二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 15:30:39

    ひゃっ

  • 137福丸は俺23/01/19(木) 20:08:41

    …………!?
    ぴぇ……




    更新はもう暫くお待ちください……

  • 138二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 22:45:03

    >>137

    おめでぴゃい!!

  • 139二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 03:13:56

    ぴゃっ!

オススメ

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