- 1二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:37:27
dice1d4=4 (4) だって?はんッ、このグエル・ジェ……ボブが負けてたまるかよ
1:魔女の家
2:幻想少年のおかしな隠れ家
3:(後で別でダイスを振ります)のレクイエム
4:グエルノ・コメディー・ビザールショー
前スレ(ただの宣伝だ。別段話は繋がってないぞ)
【クロスオーバー注意】まさかこの俺が|あにまん掲示板dice1d2=@1 (1)@ に閉じ込められるなんてまあ俺なら余裕で脱出してみせるがな1.謎の美術館2.魔女が住むという噂の森bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:40:41
- 3二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:44:26
調べたら「R-15魔界探索えんがちょホラーADV」とか出てきたんだが…
- 4二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:51:28
……まだ、幼い頃。
父に叱られて、すごくおちこんで、綺麗な景色を見たくなった。グエルはこっそり家を抜け出して、とあるコロニーを訪れる。そこでとてもきれいな花を見つけて、思わずふれてみた。
「あの」
振り向くと、同じくらいの歳の子供がこちらを困ったような顔をしてみていた。その手には、ちいさなジョウロが握られている。
「あっ、すまない、この花、お前が育ててたのか?」
「花は、親の趣味なんだけど……お世話は、頼まれていて……」
それから何を話したか。
もう覚えていないけれど、落ち込んでいたことも忘れるぐらいに、素敵な時間だった。
そうして__
「フェルシー、ペトラ、今日はありがとう」
「いいんッスよ、楽しんできてくださいね!」
「ふっふっふ、デートなんでしょ?皆との口裏合わせはすんでるんで!!」
「バッ、そんなんじゃねえよ!俺はただ」
「あ、いた」
グエルが誤魔化したところで、待ち合わせ場所にやってきたのは、
dice1d3=2 (2)
1:スレッタ・マーキュリーだ。
2:ラウダ・ニールだ。
3:シャディク・ゼネリだ。
- 5二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:54:11
ダイス神はジェターク兄弟が大好き
- 6二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 22:59:02
「ごめん、またせたかな」
無邪気に微笑むラウダ・ニールである。
グエルは「いや、全然」と笑い、腕を組んだ。その様子をしっかりと見届けたあと、フェルシーとペトラはなにやらパチンとハイタッチをする。仲がいいのはいいことだ。
「じゃ、私たち先に引き上げるんで!」
「どんなだったか感想聞かせてくださいね、先輩っ!」
「ああ、もちろん」
ラウダは挨拶をして、グエルに向き直る。じゃあ行こうか、兄さん。行先はもう決まっていた。新作MSの展示会である。多忙なヴィムにかわって、ジェターク社を代表して二人で行ってくるように言われたのだ。本当はフェルシーとペトラも連れていきたかったが、流石にだめだった。
「行ってきます。寮は頼んだぞ、二人とも!」
そう言ってグエルは扉を開ける。
瞬間、
ひゅ、と、なにかに落ちるような感覚があった。 - 7二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:00:43
元ネタ知らないで調べたらグロそうだけど楽しみだ。
- 8二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:07:04
「……え?」
気づくと、洞窟のような場所にいた。
四方八方が岩の壁で囲まれている。床にはなにか、よくわからない魔法陣が描かれている。
「ここは……どこだ?」
顔が青くなる。そこではっと気づいた。誰も居ない。見渡しても、人の影がない。ひとりきりだ。何だ。何があった!?
「どうなってんだ、おい、フェルシー、ペトラ……ラウダ!いたら返事しろ!!」
声を張り上げると、狭い洞窟の中で音が反響する。そこで、ポケットの中に携帯端末を入れていたことを思い出した。これで連絡を取れるかもしれない。そう思って画面を開ける。
「通信エラー……!?」
繋がらない。
一体どうなっているんだ。何も分からない。どうして学校から出た瞬間こうなっている。ようやく現状、焦っても仕方ないことに気づいたグエルは、大きく深呼吸をして鼓動を落ち着かせた。
……とにかく、情報を集めないと。
そう思って歩き出す。歩いて、歩いて、歩いて……しばらく進んだ後に突然、
「ようこそ」
声が、かけられた。
グエルはこの響きを、知っている。よく馴染みのある声だ。はっとして振り返る。そこにいたのは、
dice1d2=2 (2)
1:スレッタ・マーキュリー……?
2:エラン・ケレス……?
- 9二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:17:10
やけにきらきらした微笑みをうかべた、エラン・ケレスであった。
グエルは一瞬たじろぐ。しかしすぐに、それが意味するところは何かを把握する。二択だ。こいつも誘拐(推定)されてきたか、あるいは__
「お前が俺をここに連れてきたのか!?」
「フフ、正解」
エランはおよそ「エラン」がしなさそうな笑顔をうかべる。目は輝いているのに、なんだかグエルの記憶の中のエランより余程おぞましく見えて、不気味だ。半目で睨みながら、「ここはどこだ」と低い声で唸る。
「ここは塔の一角。そしてきみとラウダを連れてきたのは、僕」
「言ってる意味が……いや、ラウダもここにいるのか!?場所はどこだ!!」
「この塔を登って。その途中で会える」
「はあ!?」
グエルはエランの胸倉を掴むために駆け寄る。しかしその手は彼の体をするりとすり抜けた。ホログラムだ。
「じゃあ、最上階で待ってるね」
エランがニッコリと笑顔を浮かべる。
その直後__まるで空間に溶けるように、彼の体が掻き消えた。
「……ふざけやがって……!」
グエルは壁に手をつく。一体何が目的だ。身代金か?にしては何故「塔を登れ」等という?何一つわけがわからない。
グエルはため息をついて、エランが元いた場所を見つめる。
いつの間にか、扉が現れていた。
「進めということか」
とにかくここにいても何も変わらない。ラウダも心配だ。行くしかない。
グエルは息をついて、呼吸を整えたあと__ひと息に扉を開けた。 - 10二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:24:42
扉の中は、清潔なタイルと壁、埃一つ見当たらない、重力さえなければよくできた宇宙船の中だと言われても納得出来る場所であった。
とにかく上に登るための場所を探さないと。そう思ってあたりを見渡す。
廊下にはいくつかの電子扉があった。どうやら小部屋があるらしい。ただし肝心の階段は、鍵で封鎖されている。
「……あれ?」
そこでふと、何か廊下の奥に、きらりと光るものが落ちていることに気づいた
遠目でもわかる。鍵だ。
あれを使えば、例の階段をあけられるかもしれない。幸いにも行く手を封鎖するものはないから、簡単に取ることができるだろう。
dice1d2=1 (1)
1:ラウダが心配だ。エランが言っていたことも気になる。早く行こう
2:いやどう考えても罠だろ。後回しだ
- 11二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:35:22
5号くんかこのエランくん
- 12二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 23:51:55
とにかく先に進まないと。
そう思ってグエルは鍵を取りに駆け足で向かう。拾い上げる。一本道だが、短い通路だ。さっさと引き返して、
「……え、」
帰り道を阻むように、スライム状の謎の生命体がいた。
それはゆっくりとこちらに近づいてくる。直感的に、あれはいけないものだ、と気づく。早く逃げなくては。……どこに?
「い……やだ、いやだ、来るな、やめろ!誰かいないのか、誰か、ラウダ、助け、」
それはあざけるようにゆっくりと近づいてくる。一縷の望みにかけて扉を叩く。開かない。どうして。そうして触れるように、グエルをのみこんだ。
「あ゛、……がぼ、ぇ、……お゛、は、ぁ、」
悲鳴のような嗚咽のようなくぐもった絶叫がしばらく響いたあと、
沈黙する。
「……ということになる気がするから後回しにするか」
賢明な判断である。
グエルはしばらく別の場所を見て回る。とりあえずボロボロの懐中電灯はみつけた。少し使ったらすぐに切れるだろうし、武器としての役割は期待できないが、ないよりましである。
しばらく見て回った末に、研究室という扉に入った。ここならなにか情報があるかもしれない。中にあるのは『テロリストパック』という物騒な名前の荷物と、よくわからないことが書かれた張り紙と、読める言語と読めない言語がごちゃまぜになった本棚と__
「……これは」
民族伝承の本だ。
懐かしい。確かかつて、初めてラウダと出会ったコロニーでは、この神が信仰されていた。なんでも二百年前に封印された神を復活させるために、『鍵の子』という子供がうまれるらしい。まあ、かの神を祀っていた祠は、少し前に壊れてしまったらしいが。……それにしてもなぜこんなところに?
はあ、とため息をつく。考えることが多すぎて、疲れてしまった。
そこでふと、机の上に視線がうつる。
小さなアロマキャンドルと、マッチが用意されていた。
dice1d2=2 (2)
1:使ってみようかな……
2:流石にダメだろう、怪しいし
- 13二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:11:18
「……いや、こんなところにあるものがろくな効果を発するわけがない」
一瞬でもそんな考えが頭に登るなんて、そっちの方が心配だ。とにかくさっさと先に進まなければ。研究室から出て、ふと振り返る。
「そうだ、さっきの通気口」
存在しない記憶では例のスライムが這い出てきた場所のことを思い出す。何かあるかもしれない。そう思って、ボロボロの懐中電灯で照らしてみる。
「……え、」
ギョロリ、と。
なにか目玉のようなものがあった。
目玉は光に驚いて逃げていったようだ。グエルは「なんだったんだいまのは……」と呟いて、階段の鍵を手に取った。
これで先に進める。
とりあえずほっと息をついて、階段へと続く鍵を開ける。そうして一歩踏み出したところで、
ひゅん
「またかよぉおおッ!?」
浮遊感があった。
「罪を背負った子どものための場所、賽の河原へようこそ!」
痛むからだを抑えながら上体を持ち上げる。と、そこにいたのは。
「テメ、シャディク!?」
「うん?人間の世界には俺のそっくりさんがいるの?……というか、ここに来るような人じゃないよね。また彼らか……」
シャディクの姿をしたそれ__以降シャディクと呼称することにする__は頭を抱える。大丈夫、塔には返すよ。向こうの水溜まりを現世と繋げるから。そこでふと、グエルは河原でサイコロを探す少女をみつけ、目を見開いた。
「あれは、スレッタか……?」
「え?いや、彼女はそんな名前じゃ……」
「どう見てもスレッタの幼少期だろう!なんでこんなところに」
「あっ、近づかないでね。自分の力でなんとかしないといけないんだ」
シャディクに制止されて、グエルは止まる。そうだ、別にスレッタのことなんて、全然気にならないんだから。シャディクはとにかく、と前置きしてから、グエルの腕をとって水溜まりまでエスコートした。
「あの塔は人間にとっては、命懸けのお化け屋敷だ。死なないようにね。応援してるよ」
いやもう一回ゲームオーバーになってますよ。
そんな天の声が響くと同時に、グエルは水溜まりの中におとされた。 - 14二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:29:25
どうやら例の塔に帰ってきたようだ。できれば直通で家に返してほしかったが、ラウダと再会できていない以上それもまた憚られる。とにかくさっさと先に進まなければ。
二階もまた、無機質な場所だ。
透明にすら見える床と、傷一つ汚れ一つない壁。……に、何か張り紙がしてある。
『現在ニョロくんずを遊ばせています。近づくとじゃれてくるので気をつけて!』
「あン……?」
ニョロくんずとは、またこの場所に不釣合いな名前である。そうしてそれらは、存外直ぐに見つかった。廊下にいる、なにやら細長い触腕をもった生命体である。見た目が明らかにヤバい生きものだ。じゃれる、というからには、怖いことはしてこないだろうけれど、強化生物四号みたいな名前の方が似合っているのに。とにかく視界に入れないようにしよう。
床に、本が落ちている。
表紙から見て病気の本であるようだ。なんとなく中をパラパラとめくってみると、
「これ……フェルシーとペトラの名前か?」
貸出人の最後に、そう記されていて、面食らう。何かあったのだろうか。そういう話は聞いていないが。いやそれにしてもなんでこんなところに。とにかくこれは、持って帰らないと。そう思って懐にしまう。
「次に行けそうなところは……あっちか」
視線を動かし、眉をひそめる。
ニョロくんずが大量に蠢いている道だ。
なんとか合間を縫っていくことはできそうだが、油断は禁物である。
dice1d2=2 (2)
1:くぐり抜けてみせる!(フラグ)
2:くぐり抜けてみせる!(マジでくぐり抜ける)
- 15二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:38:59
河原のはエリクトなんだろか
- 16二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:42:37
さすがファラクト戦でくぐり抜けた男だわ
- 17二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 00:48:18
「ハン……余裕だな」
何せグエル・ジェタークはドミニコスのエースパイロットになる男である。この程度できなくてはお話にならない。
次の部屋には、『実験室』と書いてある。在室中、の札がかかっていた。
ということは、エランの関係者がいるかもしれないということだ。注意深く中の様子を伺う。部屋の奥には、難しい化学の本に混じって、何やら妖精に関する本がいくつか置いてある。左手側にはよくわからない怪しい飲み物が。そうして右手側に、中年の女性が座っていた。グエルは咄嗟に身構える。彼女はグエルの存在に気づいたのか、あら、と言って、少しだけ目を見開く。
「まあ……グエル・ジェタークさんですね?私はベルメリア。どうぞこちらに入ってください」
「なぜ俺の名前を」
「要件もわかるわ。最上階に行きたいんでしょう」
彼女はそう言って、微笑む。協力するわ。なんだか、怪しい。訝しむように半目で見れば、彼女は柔らかな微笑みを浮かべた。
「ニョロくんずをおうちに返してあげてきてください。そうしたら、先に進む鍵をあげますよ」
「ニョロくんずって廊下にいたあれですか」
「そう。看板のある場所……おうちの扉を開けたら勝手に帰るから、よろしくお願いしますね」
ベルメリアはグエルにそう言って、視線を手元に戻した。癪だが、とにかく従うしかなさそうだ。
さっさと終わらせよう。そう思って、グエルは再びニョロくんず蠢く廊下に出た。
dice1d2=1 (1)
1:先程簡単にくぐり抜けられたから__油断していた。
2:俺は最強だ。捕まるわけがない
- 18二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 01:06:20
「わああっ!?」
ニョロくんず、そのうちに一体に、足を取られる。それはすぐに全身に絡みついてきて、しかも器用なことに関節を締め上げてくるものだから、グエルはすぐに動けなくなった。
「クソッ、離せ!気持ち悪ィ!!」
どうやら粘液が分泌されているらしい。暴れれば暴れるほど身動きがとれなくなっていく。それでもまあじゃれてくるだけで実害がないなら別にいい、とにかく家に、
「は、」
突然、服をまくりあげられる。そうして目の前に突き出されたのは。
「なにを……あ、やだ。いやだ!ヒッ、やめ、」
目を覚ます。
どうやら気絶していたようだが、生きている。べとべとするだけでどこも気持ち悪くない。はあ、と息をついたところで、酷い嘔吐感に襲われる。
「う゛……」
床にかがみこむ。吐き出す。一体、何が?そう思って落ち着いたところで、ゆっくりと目を開ける。
吐瀉物の中に、虫のようなものが混じっていた。
目を、見開く。つまりこれは、グエルのはらの中に。まさか。うそだ。でも。いや。いや。いや。
何が起こったのか理解してしまったグエルは、涙まじりで絶叫した。
「ふう、なんとかベルメリアさんから鍵を貰えたな」
道中何やら幻覚を見た気がするが気のせいである。
鍵はどうやら、怪奇塔というところに続いているようだ。嫌な名前である。思っても仕方ない。扉を、開ける。
中は真っ暗闇だった。懐中電灯をつけてみる。つかない。電池切れだ。一旦戻ろうと振り返る。扉が消えている。どういう原理だ。
「……進むしかないのか」
仕方ない。他に道はないのだから。
dice1d2=1 (1)
1:天井に気をつけて進む
2:床に気をつけて進む
- 19二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 01:18:18
当たらなかったけどおかしな隠れ家も懐かしいな。
りるれふとかこういう系は懐かしさでぼーっとして定期的に名前忘れちゃうからなんかありがたい - 20二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 06:47:39
上を注視しながら進む。一本道だから迷いようがないのが救いだ。とりあえず大丈夫そう、
ぐしゃ
今、なにか踏んだような。確認しようと視線を足元に移す__前に、目の前にミオリネ・レンブランが現れた。彼女は呆然としたように立ち尽くしたあと、見たことないほどいい笑顔をしてみせる。
「あら、グエル。丁度いいわ。素敵なMSがあるのよ」
ミオリネがそう言った瞬間、どこからか妖精のような可愛らしい存在が現れて、グエルにパイロットスーツを着せる。
「え?いや、俺は早く先に進んで、探さ、なきゃ……」
だれを、だったか?頭がぼやりと霞がかる。ふわふわする。
「それじゃあね……良い夢を」
「……兄さんはどこに……」
ラウダはそう呟きながら歩く。そうしてふと、
「え。何して……」
「は、ふふ、あはは」
グエルはとろりととろけた笑顔を浮かべている。すげえ、かっこいい。ダリルバルデを改修したのか?コクピットに触れれば、それはゆっくりと扉を開ける。
「待って、兄さん、そこは……どういうつもり!?」
「変だ。こんなにかっこいいのに、なんだかどこか寂しい」
「兄さん、兄さん、兄さん!」
「……いいや。逃げずに進めば、ふたつ!」
「いやだ、いかないで、兄さん、兄さ」
床を見ながら進んでいたところ、紙に置かれたトマトを見つけた。それを拾いあげようとしたところ、ミオリネがこちらに歩みよってくる。
「あら、こんなところにあったの。全くあの子は」
「ミオリネ?」
「人間界ではそういう名前らしいわね。こっちじゃ私はただの狐だけど」
ミオリネはトマトを手に取って、くるりと踵を返す。
「それじゃ」
ミオリネの姿がふわりと消える。グエルは少し考える。
「ここには、皆の……クローンみたいなものがいるというわけか……?」 - 21二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:16:43
次にやってきたのは石畳の塔であった。先に進めそうな扉はひとつきり、「天才の水晶を捧げよ」という札が下げられた場所だけである。
「天才の水晶って……これでいいのか?」
行き止まりになっていた場所に、それらしきものが置かれていた。ほのかにあたたかいそれは、人型であることも相まって、なんだか本当に人間のようだ。
「これを捧げればいいのか?」
扉は答えない。
dice1d2=2 (2)
1:先に進むためだ、捧げるぞ
2:本当にいいのか?少し考えよう
- 22二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:12:27
「……一生懸命机に向かっている。いやまさか、そういう意匠だろうし……」
そう思って、グエルは再び水晶を握り直す。ここにこれを捧げるだけで、先に進むことができるのだ。というかここ以外に道はない。とにかくやらないと、と思ったところで、
『君はあいつらの仲間になりたいのか?』
声が、聞こえた。
「は、……?どこから」
『知らなかったのか。君が持っているじゃないか』
「え何言って、まさか本当に人が入って、」
「「はやくやつを食わせろ!!」」
「ひっ……!?」
突然扉の向こう側から低い叫び声が聞こえてきて、グエルは一歩後ずさる。「早く食わせろ!」「生意気野郎のモツを切り裂いてやりてぇんだよ!」「さっさと寄越せ!」「はやく!」「はやく!」「はやく!!」地獄の亡者のような唸りが、低く響く。
「……、うああああッ!」
グエルは半ば逃げ出すように行き止まりの小部屋まで走った。呼吸を整えれば、瞳から勝手にぼろぼろと涙が溢れてきた。水晶はグエルの手のひらの中で、静かに喋りはじめる。
『あいつらはいつも何かに嫉妬していてね。それを他者にぶつけようとしているんだ』
「……怖い……」
『泣かれても困る。僕はきみに殺されかけたんだよ』
「俺は、……すみません……」
『ハア。僕から見て左の壁を押して。隠し扉があるから、それで先に進める。早く行って』
「ありがとうございます……」
グエルは腕で目のあたりをガシガシと拭ってから、言われたとおりにして扉を開けた。
扉の先は、風情のある家屋だった。以前見た、地球の「ワフウ」というやつに似ている。あまりに雰囲気が違いすぎて、面食らった。咄嗟に振り返ると、階段が消えている。
「あれ、俺は確かにここから」
「グエルさん」
はっとして肩を揺らす。いつの間にか背後には、スレッタ・マーキュリー(の、おそらくはクローン?)が立っていた。そうだとわかっていても、少し心臓が跳ねる。
「お前は……どうしてっ、」
「グエルさん、お風呂入っていきませんか?大きくて気持ちいいですよ。ね?是非」
「えっ」
dice1d2=2 (2)
1:そ、そうだな、せっかくだから……
2:先を急いでいるんだ。遠慮しておく
- 23二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:36:43
どうにもスレッタの偽物であることが気にかかり、素直にはいと言えない。グエルは躊躇うように眉根を下げる。
「人を探しているんだ。すまないが」
「えー……ちょっとぐらいゆっくりしていけばいいじゃないですか。ねえ、ねえ、おねがいです」
「いや、俺は、」
「うるさいわね、何事?」
しゃん、と鈴が鳴るような音がする。
ハッと気づくと、いつの間にかそこにはミオリネが立っていた。スレッタは目を輝かせて、「あ、狐さん!」と笑う。そのままグエルの手を引いて、ミオリネの前に突き出した。
「あのね、グエルさんをお風呂にいれてあげようとしていたんです!」
「風呂?……まさか本気であの中に人間をいれるつもりだったの?」
「は?」
「あっ、だめです狐さん!」
「悪戯じゃすまないわよ。ニョロくんずの風呂なんて、私たちはえんがちょですむけど、人間じゃ死ぬわ」
「え?」
「そうなんですか!?」
「!?!?」
今俺殺されるところだったのか!?今更ながらぞっとして、グエルの顔が青くなる。スレッタはしょぼくれた顔をして、グエルの方を向いた。
「あの、グエルさん……ごめんなさい」
「あ、いや……別にいい、が……」
「さっきそこで人間を見たわ。アイツ、あんたを探してたわよ?元の道に帰してあげるから、さっさと行ってあげなさいな」
「は、それは……ラウダか!?」
ミオリネは腕を振り上げる。「さあね、名前までは知らないわよ」そう言いながら、振り下ろす。「ばいばいグエルさん、元気でね!」スレッタが笑いながら手を振る。そうして、意識が、暗転する。
気づいたらもとの道に戻ってきたようだ。グエルはため息をついて、まっすぐ前を見る。ラウダがこの先にいるのは確からしい。ならば早く合流しないと。そう思って立ち上がったところで、
「助けて!」
スレッタ・マーキュリー(二人目)が出てきた。
「いやどういうことだ!?お前さっき、」
「助けて、僕、追われているんだ!お願い、この手を取るだけでいいから!!」
dice1d2=1 (1)
1:何がなんだかわからないが手を取る
2:とりあえず話を聞く
- 24二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:59:15
「これでいいのか?」
グエルはスレッタの手を取る。スレッタはすっと表情を消して、グエルを見つめる。スレッタとそっくりのはずなのに、何か、どこかが、決定的に、スレッタ・マーキュリーじゃない。こいつは、違う。
「きみ、純潔だったんだ。こんなに美人なのに」
「は?何を言って」
「ちょうどいい。子どもの僕とぴったりだ」
それからおよそ、スレッタには見えないおぞましい笑みをみせた。ぎり、と手を握ってくる。焼けるような痛みが、胸をじくじくと刺してくる。
「助けてくれてありがとう」
「……うそだろ、ありえない、こんなことって……」
「は……?」
いつの間にか、彼は例の賽の河原にいた。シャディクは彼の姿を見て、驚いたような、恐怖するような、落胆するような顔をする。
「なにが、一体」
「きみはあの子に騙されて、全ての罪をかぶせられた。今きみが持っているのは、自我と、誰かへの想いだけ」
誰か?そう思って、思い出そうとしてみる。……無理だ。確かに何かを持っていたはずなのに、顔も声も思い出せない。自分の名前すらも、わからない。顔が、青くなる。
「お前は、もう、ここから__」
「いや待て、とりあえず事情をだな」
「このままじゃあの男に殺されちゃうんだ!お願い、力を貸して!僕を信じてよ!!」
スレッタは涙を流す。そうは言っても、と困った顔をしたところで、その背後から、
「殺さないよ」
「シャディク!?」
金髪の青年の姿が現れた。
「……エリクト・サマヤ。こっちに来るんだ。これ以上罪を重ねないでくれ」
「やだ……グエル・ジェターク、助けて!」
「そのつらさがわかる、なんて言わない。だけど、賽は積まなければ答えてくれないんだ」
シャディクはスレッタ__エリクトの手を引いて、階段を降りる。そこでふと振り返って、グエルの方を仰ぎ見た。
「グエル。あまり彼女を恨まないでやってくれ。お前に憎まれると、罪が重くなる。……そして、忘れないでくれ。俺はお前が無事に帰れることを祈っているよ」
後ろ姿が、すうと消える。
グエルはしばらく考えたのち、彼等に背を向けて歩き始めた。もう、振り返るのはやめることにする。これ以上色々思っていると、こころがめちゃくちゃになってしまいそうだから。
「……ラウダ、無事かな……」 - 25二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 10:56:42
まだ幼い頃。母が育てていた花に、いつも通り水をやりにいった時のことだ。
人影が、見えた。今まで誰かを見たことなんてなかったから驚いて、つい声をかけた。こちらを振り向いたそれは、ラウダと同じくらいの年の少年であった。
「あっ、すまない、この花、お前が育ててたのか?」
「花は、親の趣味なんだけど……お世話は、頼まれていて……」
それから何を話したか。
もう覚えていないけれど、幸せな時間だった。まさかその後、彼が腹違いの兄であると明かされるだなんて、夢にも思っていなかった。それからなんだかんだあって、仲良くなって、いろんなことを話した。
気丈で直情的な性格。ラウダと同じでMSに乗るのが好き。自信家だけど、その分努力家でもある、憧れの兄。いつだって、ラウダに向かって笑ってくれる。
そうして__
「痛……なに?」
浮遊感。
ラウダは身を起こす。一体何があった。確かグエルとMSの展示会に行こうとしていて、というところまで思い出いして、目を見開く。
「ここは」
はっとして、あたりを見渡す。洞窟だ。床にはよくわからない魔法陣が描かれている。ついでに、何か生暖かい、不思議な石を握っていた。奇妙で悍ましい光景だ。そうして、一拍遅れて、気づく。兄さんが、いない!
探さないと。どうしてこんなことに。駆け出す。持てる力のすべてを振り絞って走ろうとしたところで、不意に、「ラウダ」と呼び止められた。
「……あなたは、エラン・ケレス?」
「警戒しないでよ。僕はただ、目的があるだけだから」
「どういうことだ。兄さんをどこへやった!」
「この塔を登って。その途中で会える」
「ふざけるなァ!!」
ラウダはいつも持っている斧を振り回そうとする。ない。奪われた?呆然としていると、エランはニコリときれいな笑みを浮かべた。
「じゃあ、最上階で待ってるね」
そうして、ぶわりと掻き消える。
ホログラムか。ラウダは冷静に判断して、前髪を弄る。グエルが心配だ。エランはああいっていたけれど、無事であるという保証はない。何よりこんなところに連れてこられて、こちらだって危ないかもしれないのだ。そもそもあのエランは、明らかに何か、様子がおかしい。とにかく先に進まなければ。
「……守らないと」
ラウダはそう思って、一歩踏み出した。
※ラウダくん暫定一人称
dice1d3=2 (2)
1,2:僕
3:俺
- 26二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 11:23:24
廊下を駆け足で歩いて回る。しばらくあれこれ見て回ったのちに、「実験牢」という場所を見つけた。なんだろう、と思って中に入ってみる。
「う……!?」
そこにあったのは、腐敗した肉塊と血が滴る、どう見てもまともな「実験」はしていなさそうな場所だ。奥にはなにか、拷問器具のようなものも見える。何に使うかもわからない、謎の針山も。
__いや、何故か、存在しない記憶か何かが、この針山にふわふわした笑顔で寝転ぼうとする兄の姿を映し出す。そんなことあるはずがないので、全力で頭を振っていやな考えを振り払うことにした。
「……不快だ。別のところを見て回ろ、う……?」
そこでふと、足元に何かが落ちていることに気づいた。
これは__鍵だ。見覚えがある。ラウダが昔住んでいたコロニーの、ラウダがまだ「ジェターク社の子」になる前に暮らしていた家の鍵だ。もうほとんど記憶も朧だけれど、確かにラウダが使っていたものと同一のそれである。
でも、どうしてそれがこんなところに?
とにかく持っておくことにしよう、と懐に入れる。こんなところに置いていって、この「実験」をするようなやつがラウダの家に来たら寝覚めが悪い。それから、さっさとその場をあとにした。
次にやってきたのは休憩室だ。
家具は一般的なものだ。特に目につくところはない。強いて言うなら謎の家庭菜園のようなものが部屋の中にあって、少し異質な雰囲気を醸し出しているくらいか。クローゼットの中にいい感じの棒こそ入っていたが、これでは武器にもならないだろう。
色々と探っていると、博士の日記※読んだら殺す!というものが机の上にあった。よく見ると糸のようなもので罠が張られている。まさか本気で殺す気なのか?そもそもラウダに知らない人の日記をのぞき見するような趣味はないので、これはやめておくことにした。
サイドテーブルには、小さなアロマキャンドルと、マッチがある。
説明書きには「大好きなひとにあえる!」と文句が躍っていた。大好きなひとにあえる、とは?休憩室にあるということは、リラックス効果でもあるのだろうか。それとも運気が上がるとか、風水だとかいうやつだろうか。
いや、こんなところで休んでいるわけにもいかない。先に進まなければ。
…………。
dice1d2=2 (2)
1:ちょ、ちょっとだけ、使ってみよう
2:兄さんが心配だ。こんなところさっさと後にしよう
- 27二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 13:21:49
いつも持っている斧ってなんだよ!
- 28二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 19:03:32
「……いや、そんなまやかしに縋るより先に、ほんとの兄さんを探さなきゃ」
ラウダはほんの少しでもそんな考えに至った自分を恥じて、ゆっくりとため息をつく。気にならないでもないが、ラウダが守るべきなのは「ラウダの中の兄さん」ではない。あくまでも、「グエル・ジェタークという存在」である。偶像崇拝は禁じられているのだ。
そこで、ふと視線を滑らせる。
アロマキャンドルの隣に、小さな鍵が落ちていた。
『ペットルーム』
「ペットって」
こんなところで何を飼っているのだか。まさかこんなに厳重な鍵付きの扉で犬猫を飼っているとも考えづらい。何より床にべっとりとついている血痕が、いいようもなくぬかるんで、異質な雰囲気を醸し出していた。
とにかく警戒だけはしておいたほうがよさそうだ。そう思いながら、注意深く扉を開ける。
中には相変わらず血痕と、腐った野菜が乗った皿、そしてなにやら異音を発する暖炉がおいてあった。できれば近寄りたくないが、暖炉の前の血だまりに、何かがぽつりと落ちている。先に進むためには、行くしかない。意を決して拾い上げる。どうやらそれは、図書室の鍵であるようだ。この場所に関することが何かわかるかもしれない。
ふと、顔をあげる。
__カタツムリと臓物を足して二で割ったような、気色悪い生物がいた。
ラウダは咄嗟に距離を取る。どうやら食事に夢中でこちらには気づいていないようだ。異音の正体はこれであるようである。
「……、」
吐き気がする。
見なかったことにして先に進もう。そう考えて、速足にその部屋をあとにした。 - 29二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 19:10:23
図書室にはオカルトに関する本が多数おさめられていた。
『霊と人間の関係』、『魔界について』、『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ』、『お前を殺す』__
いくつか物騒なタイトルはあるが、その多くは取るに足らないものである。ラウダはいくつか引っ張りだしてみる。鈍器として扱うには少し薄い。もう少し、少なくとも辞書くらいの重さと厚みがあれば、使い道もあるのだけれど。
ため息をついて、部屋の隅においてあるロッカーに触れてみた。
「ヘンタイには天誅……?」
どういう意味だろうか。
きょとんとしながら、扉に手をかける。開かなかったので、とりあえず放置することにする。それから再び本棚の探索に戻った。
「……あ、これ、本じゃない」
たまたま手に取ったひとつは、本ではなく本型のケースであった。
中には鍵が入っている。タグには「階段の鍵」と書かれていた。これで先に進むことができる。
まだこの部屋には見ることができていない本棚があるが、ここはグエルと合流することを優先するべきであろうか?
dice1d2=2 (2)
1:情報を集めたい。もう少し見て回ろう
2:早く兄さんにあいたい……
- 30二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 19:28:32
遊んでいる暇はない。とにかく、早くグエルと合流しないと。
ラウダが一瞥もくれてやることなく後にした、棚。
紺色の髪の男と前髪だけ桃色な茶髪の男が表紙に描かれた、やけに薄い本が収められていた。
長い長い階段を上る。そうしてようやく平坦な道に辿りついたところで、反対側から見知った顔が現れる。
「兄さん!?」
「ラウダ!無事だったか!?」
思わず走り寄って、再会を喜ぶように笑いあう。無事か無事でないかと言われるとあまり無事ではないような気がするし、せっかく持ち歩いている斧はなくしてしまったが、とにかく合流できてよかった。ひとしきりそうして喜びをかみしめた後、ラウダはすっと表情を険しくして、目の前の扉に向き直った。
「兄さん、この建物は普通じゃない。僕が先に行くから、ついてきて」
「え、でも、」
「僕なら大丈夫。行こう」
「……ありがとう」
それなら、信頼することにする。そう思って、グエルはラウダの後に続いて、扉の奥に足を踏み入れた。
「は……これは一体、どういうことだ……!?」
入った瞬間、グエルは違和感に気づく。明らかに雰囲気が異質だ。見える世界に白か黒しかない。……つまるところ、ラウダがいない。右手には白い妖精が、左手には黒い妖精がいて、グエルをいざなう。
『ここは、曖昧の箱。曖昧に囚われたら出られない』
『彼は確か。貴方は曖昧。そのままでは出られない』
『『選んで』』
……話が通じない。
仕方ない。やるしか、ないということか。幸いにも迷いのなさには自信がある。とにかく、さっさと選んで、早くここから出よう。
『好きなこと、生きる喜び。思いの手を問いましょう。貴方が好きなものはなあに?』
dice1d2=2 (2)
1:ガンプラ(ダリルバルデ) 2:コスプレ用メカぐるみ(シュバルゼッテ)
『心のどこかにあるかもしれない。なくしたものへの想いを問いましょう。彼に花を与えたのはなあに?』
dice1d2=2 (2)
1:ラウダの母 2:父さん
『大切な人が曖昧になるのは、辛いこと。思いの色を問いましょう。彼の貴方へのおもいはなあに?』
dice1d2=1 (1)
1:守りたいと願う慈愛の色 2:答えを求める情愛の色
- 31二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 19:54:08
「……俺にとって、ラウダ・ニールとはなんだ?わからない……」
『曖昧って素敵』
『はっきりとした曖昧ね』
どこからか声が聞こえる。真っ暗な道を歩む。ひとりで寂しい。はやくあいたい。しばらく進むと、行く先に、青年の後ろ姿が見えた。ラウダだ。グエルはほっとして、彼に駆け寄る。
「ラウダ!よかった、心配したんだ。大丈夫か?なにもされていないか?」
「……♪」
ラウダが何も言わずに振り返る。その笑みは恍惚としていて、見たことがない。何かが、違う、本能的にわかる、ぞっとする。様子がおかしい。無意識のうちにグエルが一歩後ずさったところで、ラウダが距離を詰めてきて、押し倒してくる。鈍い音がして、目の前にちかちか星が舞う。
「い゛たッ……急に何をするんだ!?」
ラウダは応えない。動けない。四肢の関節をすべて押さえられている。腕がほとんどめり込んでくるほどに締め付けてくる。表情は相変わらず、とろりとまるでとろけるようだ。
「……ラウダ、どうしたんだ。おい、」
ラウダの手が、グエルの頬に触れる。ゆっくりと、なぞる。そしてそれは振り上げられ、
「が、ぁ゛ッ……!?ぁ、いやだ、やめ、やめろラウダ!ひ、はひゅ、ぅあ、あ゛、い、痛い、痛い、痛い!な、で、こんな、あ、あ゛、」
絶叫が、すすり泣くような声が、ラウダの鼻歌が、皮膚を骨を肉を容赦なく抉る音が、曖昧の箱の中に響いたのち。
ぽつり、と。音が止む。
「あれ?通るとき、変な感触がしたような」
「ラウダ」
「あ、兄さん!無事だった?」
曖昧の箱。
曖昧なまま。
自分にとってラウダ・ニールという存在がなんなのか、まだうまく定義することはできない。
だけど、一つだけ確かなことがある。それは、ラウダはグエルにとって、笑顔にしたい大切な弟だということ。曖昧でも、それだははっきりとしている。結論が、出ている。
「兄さん、どうしてニコニコしているの?」
「いや、なんでもない。先に進もう。とっととエランのとこ行って、元の場所に帰ろうぜ」
「……?うん、もちろんだよ、兄さん」 - 32二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 21:43:39
元のゲーム知らんからワクワクする
- 33二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 22:24:32
しばらく歩いていると、お手洗いを見つける。
こんな空間なのにそういう設備があるのは、やけに生活感があって嫌になる。ラウダは一瞥をくれたあとそのまま真っ直ぐ行こうとして、不意にグエルが立ち止まったことに気づいた。
「兄さん?」
「え、ああ、いや……少し、催してしまって」
「こんな状況で……」
気まずそうに言い出したグエルに、少し苦言を呈しそうになる。しかし、化け物などの死の危険から逃げている途中で集中できなくなってしまうよりは、ずっとましだろう。生命の危険と現状を天秤にかけ、しばらく考えたあと、ハア、とため息をついて、ラウダはそちらを指さした。
「いいよ、行ってきて」
「すまない」
「別にいいんだ。ただし、できるだけ早くしてね。あまり長い間離れすぎるのも心配だから」
「……」
そこでグエルが沈黙する。ラウダが「兄さん?」と尋ねるように言った。
dice1d2=2 (2)
1:いや、なんでもない
2:……(無言でラウダの服を掴む)
- 34二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 22:51:34
突然裾を掴まれて、ラウダはつんのめる。きょとんとした顔でグエルの方を見やる。グエルは俯いている。その様子から何かを察したラウダは、なんてことないような様子で、「兄さん?」と尋ねた。
「ホ、ホラーでは、一人になったヤツが襲われるの、よくある展開だ」
「怖いの?」
「いっ、いいい、いや、そういうわけじゃないがな!?た、ただ、近くにいて、話していてほしい、って……いや、すまない、なんでもないから忘れ」
視線を逸らしたところで、ラウダがグエルの手を握る。はっとしてラウダの方に目をやると、彼は目を見開いて、顔いっぱいに笑顔をうかべていた。
「確かに今まで大丈夫だったから今も、なんて保証はないもんね」
「……嫌じゃないのか?」
「ううん、頼ってくれて嬉しい!」
ラウダは手を引いて個室のひとつに入る。そのまま目を輝かせて傍についていようとしたので、俺が言うのもなんだが、と前置きした上で続ける。
「流石に後ろを向いていろよ」
「あ……ごめん、兄さん」
暫くの後、「もう大丈夫だ」と声がかかって、ラウダは振り返る。どこぞのコラ画像みたいな赤面をしたグエルがいた。グエルは数度咳払いをして、ラウダの顔を見ずに前に進む。
「行こうか」
「う、うん」
「そうだ、さっきそこに蝋燭があったんだ。どこかで使えるかも」
「わかった」
……それ以上は振り返らないことにした。
次にやってきたのは倉庫だ。色々と気になるものがあるが、あまり長居して見て回ることはできない。探すことができてふたつくらいだろう。
「気になる場所を絞ろう。あそこと、あそこかな」
「ああ」
ラウダに示されたあたりに目星をつける。……どこを探ろうか?
dice2d3=2 3 (5) (被った場合描写のち振り直します)
1:宝箱
2:石像
3:香水瓶
- 35二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 23:05:01
宝箱は小さい。おそらく大したものは入っていないだろう。そう思って顔を上げたところ__
ラウダはまっさきに石像に駆け出す。それから目を見開いて、石像が持っていたものに、そっと触れた。ラウダが何事かを操作すると、刃が赤熱しはじめる。
「これ、僕のヒートアックス……!?」
「“僕の”?」
「どうしてこんなところに」
「なあラウダ“僕の”ってどういうことだ?」
「とにかく、これで安心だ。先に進もう」
「“僕のディランザの”ってことなんだよな!?」
ラウダは敬愛せしはずの兄の問いかけには一切答えず、スタスタと歩き始めた。
グエルは呆然としたあと、すぐにその後を追う。次に見たのは、机の上だ。赤い液体が入った瓶がある。
「この香水瓶……」
ラウダは斧を片手に持ったまま、少しだけ瓶のくちを緩める。__直後、
凄まじい異臭が、周囲にたちこめた。臭い、じゃない。痛い。鼻が痛い。グエルは慌てて口呼吸に切り替えながら、悲鳴じみた声を上げる。
「な、ななな、なんだ!?これ」
「……?……???」
「ラウダフリーズするな!早くそれ閉めろ!!」
グエルはラウダの手から香水瓶を奪い取り、蓋をする。それでもまだ部屋にはにおいが残っているようだ。というか鼻が全く使い物にならない。グエルは未だ呆然としたままのラウダを引っ張って、倉庫をさっさと後にした。 - 36二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 23:29:26
やっぱ斧持ち歩いてんのスレ劇世界でもおかしいんじゃねえか!
- 37二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 00:04:49
あの赤面コラ画像か
- 38二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 07:04:29
食堂。
「こんなところでろくな料理が出るとは思わないんだけど」
「階段の鍵が見つからないんだ。探すしかないだろう」
そんな会話をして、二人は注意深く扉を開ける。中は薄暗いが、いかにも高級なレストランといった風体だ。目を細めて中を伺っていると、入口にいた、給仕姿の__ザビーナ・ファルディンによく似た少女が、話しかけてきた。
「いらっしゃいませ。どうぞごゆっくりおくつろぎください」
「……ザビーナまでいるのか」
まあおそらく本人ではないだろうことはわかる。彼女は表情一つ変えないまま、調理場への出入りは自由ですので、と告げる。……その時、
「ちょっとロウジ、なにやってんのよ!?」
セセリア・ドートの声が聞こえて、咄嗟にそちらを向いた。
「調理場に興味があったから」
「だからってな~に落として来てくれちゃってるわけぇ!?あれは大切なものなのに!!」
どうやら喧嘩をしているようだ。主にセセリアが大騒ぎをしている。このままではゆっくりくつろぐどころじゃないし、そもそも明らかにこの雰囲気をぶち壊している。ザビーナは少し眉をしかめて、ため息をついた。しかし、止めに行くことはしないようだ。
「兄さん、僕たちでセセリアの大切なものというやつ、探してみようよ」
「あン?なんで……」
「このままじゃ落ち着いて探索できない。それにそれを探してる途中で、上への鍵を見つけるかもよ」
「……それもそうか」
グエルはそう言って、調理場の方へと足を踏み入れた。
dice1d2=2 (2)
1:調理をしているらしい人に話を聞いてみよう
2:とりあえず調理場を見て回ってみよう
- 39二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 09:24:29
調理場は輪をかけて暗かった。先程拾った蝋燭に火をもらい、なにかを作っているらしいメイジーとイリーナ、レシピをまとめているエナオ、つまみ食いをしているレネの横を順に通り過ぎて、しばらく歩いて回る。壁際まで来たところで、不意に何かが、きらり、と煌めいた。
「……これは?」
拾い上げてみると、どうやら指輪のようだ。精緻な細工が施されていて、小さな宝石までついている。
「きれいだな。これがセセリアの言ってた『大切なもの』か?」
「たぶんそうだろうね」
床に落ちていたせいか、少しだけ汚れてしまっている。ラウダは指先で軽く拭ってやると、おそらく地の色なのだろう鈍い銀色の輝きがあらわれた。
未だに騒いでいるせセリアの元に、指輪を持って向かう。ロウジが先に二人の接近に気づいたらしく、「あっ」と声を上げた。
「もうこんなところまで来てたんですか、先輩たち。エラン先輩ならこの二つ上の階ですよ」
「なんで俺たちのことを知っている?」
「え~!?気づいてなかったんですかぁ?私たちが貴方の知るオトモダチじゃないって」
「気づいていないわけがないだろう。兄さんにそんな口をきくな」
「こっわぁ……」
「それで、これはお前たちのか?」
グエルは先程拾った指輪を差し出す。セセリアは目を見開いて、「これ!」と叫んだ。グエルから奪い取ろうとして、ちょっと考えて、静かに手を差し出す。グエルはその上にそうっと指輪を置いた。セセリアは微笑み、グエルになにかを握らせる。
「よかった。これ、階段の鍵です。ほんとはダメだけどあげます。……ッハア、ロウジ!ちょっとは反省する素振り見せたらどうなの!?」
「供給はそれ以外でも出来る」
「供給?」
痴話喧嘩じみた言い争いの中でぽろりとこぼれた単語に、ラウダが訝しむような様子を見せる。
「え?ああ、これでエネルギー供給してんですよ。あたしたち、魔術とGUND技術の両方を使って生まれた人形だから」
「は……!?」
魔術?そんなものが存在しえるのか!?その言葉が圧縮されて、よく分からない音になる。せセリアは「そっちは知らなかったんだあ」と笑って続ける。
「無くしたら困るんですよ、なのにロウジってば」
「どうしてそれじゃなきゃだめなの」
ロウジの問いに、セセリアはふいと目を逸らしながら応える。
「ロウジがくれたのだから」
ほんのり赤らんだ頬は、とても人形には見えなかった。 - 40二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 17:19:00
階段の上には、巨大な哺乳瓶のような形のものと、その前に佇む二人の少女__見たことがない。桃色の髪と紺色の髪をしている__がいた。そのうち桃色の方が振り返り、「あ、ほんとにきたんだぁ」と歯を見せて笑った。ラウダは注意深く斧を構えながら近寄る。
「あなたはここで何をしているんだ?」
「私たちはパイロット。月に向かっていたけれど、ここに不時着した」
「一番じゅ~ようなアイテムをなくしちゃって、帰ろうにも帰れないんだよねェ」
「へえ、小さいのにすごいんだな」
「あっさり信じないでよ、兄さん。それで、大切なもの?とは、なんだ?」
「月の石」
「あれがないと、月の声が聞こえない」
「それってもしかしてこれ?」
ラウダは懐から、目覚めた時に持っていた石を取り出す__次の、瞬間。
ぽう、と石に柔らかな光が点る。
少女たちの顔色が変わる。グエルはきょとんとして、石をのぞきこんだ。淡い桃色の光だ。見ていると不思議と心地よい気分になる。桃色の方が半ば悲鳴をあげるように叫んだ。
「今すぐその石を投げ捨てて!」
「えっ?」
「いいからはやく!」
ラウダは顔を上げる。少女たちの顔は間に迫っている。ここは__
dice1d2=2 (2)
1:ちょっと考える
2:すぐに石を投げる
- 41二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 20:06:34
ラウダはすぐに石を投げる。石は壁にあたって、跳ね返り、床に落ちる。しばらくののち、光は収まった。
「よかった……」
「……さすがにさあ、アレがアンタの望みじゃないことはわかってるよ。でも石は誤解しちゃったみたい。……兄弟愛重すぎってヤツ?」
「何を……」
グエルが当惑したような顔で尋ねる。少女たちは顔を見合わせ、声を揃えて言った。
「「そんなに大切なら、ひとつになればいい」」
ラウダはきょとんとした顔をする。グエルもまた、なにがなんだかよくわかっていない。それでも彼女たちが、どうやら自分たちを救ってくれたらしいことはわかる。グエルは落ちていた石を拾って、二人に届けた。
「お前たちが探していたのは、この石か?」
「うん、もらうね」
「ああ」
桃色と紺色の少女が、石に触れる。瞬間、石が輝きだす。「来てもいいの?」「受け入れてくれるの?」少女たちが呟く。ラウダには、グエルには、聞こえないけれど、きっと何か、会話をしているのだろう。二人は黙って、その様子を見つめる。
少女たちが哺乳瓶に触れる。よく目を凝らせばそれは、小さなロケットであるようようにも見えた。そうして、溶けるように、その中に、消えていく。しばらくもしないうちに、そこにはロケットだけが残された。
「ありがとう、お母さん」
「グエル、ラウダ、また会えたらいいね」
そうして、飛び立つ。
天井も窓も、彼女たちを阻まない。よくよく考えればホラー展開であるはずなのに、何故だか胸が温まるような、ほんのりとした気持ちになった。
「……なんだか不思議な出来事だ」
「また会えたら、か」
「俺達も家に帰れるかな」
「帰れるよ。行こう」
「ああ」
二人はまた一歩、先へと踏み出した。 - 42二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 20:15:01
元ネタ知らないけどグエルは見ていると心地よくなって兄弟愛重すぎは相手への愛を感じ取る石なのかな
- 43二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 20:21:58
セセリアの言葉を信じるなら、この先にエランがいることになる。
「……いよいよか」
「うん、……大丈夫?兄さん」
「愚問だな。行くぞ」
グエルは安心させるように微笑みかけて、扉を開けた。
部屋は荘厳な雰囲気に包まれていた。最奥にはにはエランが座っている。彼はどこか悪辣な笑みを浮かべたまま、「よく来たね」と言って立ち上がる。ラウダは斧を後ろ手に隠して、警戒するような視線を突き付けた。グエルは「それで、一体何が目的なんだ」と低い声で唸る。
「……ふふ、」
「エラン?」
「ふふふふ、あはははは!」
「何が面白いんだ!?」
エランは高笑いをして、グエルに近寄ってくる。爪先立ちをして、顔を近づける。ラウダは一瞬反応が遅れた後、「兄さんに近づくな!」と叫んだ。エランは止まらない。じっと上目に見て、微笑む。
「グエル・ジェターク。君は何でも持っているね。力も、人権も、存在意義も。だから、見たかったんだ」
「は?俺……?」
「君の無残な姿」
一瞬、時が、止まる。
彼が何を言っているのか遅れて理解したラウダは、エランを突き飛ばそうとする。エランはそれを片手でいなして、逆に組み倒した。グエルは「ラウダ!」と叫んで、駆け寄ろうとする。エランは顔を上げて、とろりと微笑んだ。
「僕ね、君みたいに強い人がめちゃくちゃにされてるのを見ると、救われたような気持ちになるんだ。それでねその姿を見て絶望するラウダの顔もついで見ようと色々したんだけどまさか君たちをここに呼ぶだけでほとんどエネルギーを使いきっちゃうなんて」
「兄さん逃げて!」
ラウダが叫ぶ。グエルは、逃げない。ラウダにかかりきりだったエランに体当たりする。エランの身体が揺らめく。その間にラウダの手を引いて、庇うように前に立つ。
「……教えてあげる。ここはね、魔界って言うんだ。人間界の裏にある。同じ存在がいる。違う存在もいる。たとえば人間と死者の立場を入れ替える手、たとえば精神を問う曖昧の箱」
たとえば、死体を変貌させる、薬。
グエルが止める前に、エランは己の身体に注射針を突き立てた。 - 44二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 20:31:23
「ああ、よかった。まだ僕は生きていられる」
「どういうことだ、お前は……」
「君の知るエラン・ケレスじゃないよ。まあ五号とでも呼んでよ。まあうっかり焼かれちゃって、動くためにはコイツを体に入れないといけないんだけど」
エランの__五号の口許が奇妙に歪む。ああ、熱い。焼ける。緑の瞳が恍惚に潤む。ふふふ、ふ。どこからか、メカぐるみ__おそらくあれはコスプレ用ではなく、『機能』を携えたものなのだろうと、本能的にわかる__が、引き寄せられて、五号はそれを身に纏う。ラウダは咄嗟にグエルの手を取って、叫ぶ。走るよ、兄さん!
来た道を引き返すように、ラウダは背後の扉を開ける。そこは、あの塔__ではなく、いつか見たことある山道だった。はっと、気づく。ここは、
「ラウダと初めて出会った、コロニー……?」
「あれ、なんか変なとこ来ちゃった?まあいいや、おいかけっこしよ」
五号もすぐにやってくる。ラウダは半ば反射で、グエルの手を握ったまま走り出した。仮にあのメカぐるみがファラクトと同じだけの性能を持っているとしたら、アレは機動力に特化しているはず。とにかく行くしかない。
そこで、ふと気づく。ここがもし、あのコロニーなのであれば……
「兄さん!」
「なんだ、ラウダ!?」
dice1d2=1 (1)
1:あの花畑まで走るよ!
2:僕の家まで走るよ!
- 45二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 20:45:37
「花畑!?」
「うん、確か、あの場所は__」
ラウダの母が言っていたことだ。
あの花は神さまのための花だと。
ラウダが『鍵の子』であるという保証はない。だが賭けてみるしかないのだ。そうである、ということに。神さまとやらが復活して、助けてくれることに。
「これ以外に、手はないんだ!」
「ラウダ、」
角を曲がる。寸でのところで、砲撃を躱す。走る。走る。走る。そうして。
__ふわり、と。花の香りがした。
ラウダはそこで立ち止まり、祈るように、讃えるように、小さな声で歌いだす。神さま、本当に存在するのなら、どうか兄さんを助けてください。どうか。どうか。どうか。
「どうしたの、おかしくなっちゃった?」
エランが花畑に辿りついた。そうして二人を打ち抜こうと、銃を構える。次の、瞬間。
「へ、」
エランが、地に落ちる。
しゃら、と鐘の音が鳴る。エランの姿が、消えていく。悲鳴すらない。絶望すらない。ただ、静かに。煙が風で流れるように。
「終わった、のか?」
「多分……?」
光が溢れる。あっけなかったけれど、これで終わったのだ。きっともとの場所に、
「……あ、」 - 46二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:00:45
「ラウダ、決して花畑で祈ってはいけないよ」
「え……どうしてですか、母さん」
「あなたがいたずらに近づくと、神さまがお怒りになってみんな困るの」
「そうなの?わかりました!」
「いい子ね、ラウダ。もしラウダを騙して変なことさせようとする輩がいたら、みんな斧で殴り飛ばすのよ!」
「はい!」
母の微笑みを、今更思い出すなんて。
ラウダは途端に、全てを理解する。……理解して、しまう。一体、神とは、何なのか。自分は確かに『鍵の子』だったようだ。その願いは届けられ、神は復活した。兄は助けられた。ラウダは助けられた。救われた。
__救うとは。
魔界は潰える。あの奇妙な世界は、二度とラウダの前に訪れないだろう。『鍵の子』は願いの対象だ。決して消えることなく、保護され続ける。そしてその願い通り、グエルも助けられる。救われるのだ。きっと二人はこの先、ずっと健康なまま、死ぬことすらないだろう。
では、それ以外__『グエルを害する可能性が、少しでもあるもの』は?
「あ、ぁ、あ……」
「ラウダ?」
グエルは不思議そうな顔をしている。この世界に、神によって、何が静かになされたのか、それを理解していないまま。
「にいさん、」
「ラウダ、どうしたんだ。もう敵はいないんだぞ」
そう、敵はいない。
そして、それ以外も存在しない。
__グエルと、ラウダは。
この、神によって救われた世界、楽園で。
死ぬこともできないまま、二人きり__
BAD END「救済」 - 47二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:02:57
裏作業の様子
BAD END『救済』(異形の孤独)
斧(お守り)回収
ラスト→花畑(祠)
・ここまでお付き合いいただきありがとうございました!初めてこういうタイプの文を書いたので拙いところもあったと思いますがごめんて
・本家バドエンも好きですがラウダくんに救いが無さすぎるしこれ以上書く予定もないのでちょっと改変してみたよ。完璧なめでたしめでたしだね
・ダイス選択肢は基本全てひとつだけ罠です。それ以外は全てアタリの甘ちょろ判定にしてあります。何?外れた場合が悲惨?実際ラストで大外ししてバドエンにいってる?それはそう
・原作では直で武器じゃなくてお守りを挟みますが、ラウダが斧を振り回すイメージが強すぎて軽率に持ち歩かせました。最後で家に行ってたら母さんとの約束を思い出した強化ラウダがエランを倒してハピエン。なお
・意外と原作が知られてなくてびっくり。個人的に色々“狂わされた”リョ……ホラゲーです。
・以下俺に脱出してほしい世界をあげるスレ。
何も出なければ魔女の家/幻想乙女のおかしな隠れ家/クロエのレクイエムでまた建てるかも。謎解きアクションが中心でストーリー要素が少ないもの(ex.青鬼)は難しいです、ごめんね! - 48二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:06:18
- 49二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:11:16
ラウダの神を讃える歌にふさわしいエンディングだったね
- 50二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:12:43
今回も面白かった。次回作も楽しみにしてます。やっぱりジェターク兄弟とフリーゲームの組み合わせは最高。
- 51二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:28:28
- 52二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:30:43
- 53二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:33:22
- 54二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 21:34:13
ガンプラもいいけどぬいぐるみだったらくまじゃなくてライオンになりそうだなグエルくんは
- 55二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 23:26:36
リクエストして悪いけどジェタークの業も現実的な意味で重そうなのにファンタジーな他の家の業の深さに振り回されるジェターク兄弟をみたいがリクエストなので掲示板ssにするには結構複雑な物語かもでごめんなさい
- 56二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 03:11:04
晴れ時々グラタンの
・WHITE ENIGMA
・泣かない負け犬 - 57二次元好きの匿名さん22/12/31(土) 14:53:45
保守