「正月三が日のラッキーカラーは虹色」

  • 11 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:34:59

    「つまり赤と黄色と紫か!」
    「緑と青忘れてるぞ」
    「赤と黒……」
    「虹って五色もあったか? 赤黄緑青の四色じゃ?」
    「五色だろ何言ってんだ。ただし赤・橙・黄色・緑・青の五色」
    「なあおい、七色派のやついねえか」
    「おーいるいる」
    「いるぞ、てかそれが当然なのかとてっきり」
    「おれ六色派」
    「お前ら八色派のおれに喧嘩売ってんのか」
    「いやいやお前ら虹の色ってのは……」

    ……おれの言葉足らずだった部分は認める。
    それでもお前達、年明け早々揉めようとするんじゃない。

  • 21 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:35:27

    ・ホーキンス海賊団船員(ほぼモブ生徒状態ですまん)とホーキンスの会話みたいななにかです
    ・捏造、スレ主の解釈多数、その他諸々注意

  • 31 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:35:52

    今言った虹色の定義は『身につけた者にとって虹を想起させる単色ないしは複数色の組み合わせ』だ。
    だからお前達はお前達それぞれが納得出来る虹色を身につければそれでいい。

    「分かりましたホーキンス船長」
    「でもこんなに意見バラバラになるなんてなァ」
    「なあ、おれ達同じもんイメージしてるはずだよな?」
    「虹って雨上がりとかに空に見える光の帯だろ。天地を結ぶ女神のお姿って言われる」
    「女神ィ? 蛇だろ蛇、雨や雪を降らせる大蛇」
    「龍じゃなかったか。雄は「虹(コウ)」、雌は「霓(ゲイ)」って呼ぶ」
    「敢えて見立てるのなら英雄神が雷の矢を放つための弓に決まってんだろ」
    「根元に金貨が埋まってるって教えられたぞおれは」
    「金貨じゃなくて金杯だろそこは」

  • 41 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:36:40

    ……思えば前に『月の模様が何に見えるか』だの『干支に含まれる生き物はなにか』だのの話題でもこんな事になってたなお前達。
    自分の触れてきた文化に愛着を持ち信頼するのは自然なことだが、それを他人の文化の否定に使うのはやめろ。戦争してェのか。

    (その場で会話に参加していた一同、口々に二つ返事や謝罪をする)
    「しっかし、伝え聞く伝説や民話なんかはともかく、虹の色の見え方まで育った場所で変わるもんなんですね」

    『見え方』と言うより『捉え方』と言った方が妥当だろう。全く同じ質的経験をしようともそれに反応し意味付けしていくのは個々人それぞれの脳だ。
    ……悪いが、色覚が特殊な人間や逆転クオリアのような思考実験の存在はここでは除外してくれ、そこまで論じる気はない。

  • 51 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:37:49

    色に限らず、「グラデーションとなっているものをどこで切り分けるか、或いは切り分けないか」は文化や言語ごとの個性が現れやすい。蝶と蛾の区別だったりな。

    虹は七色――赤・橙・黄・緑・青・藍・紫とされる場面が多いか。少なくともおれが今まで取り寄せた家具や雑貨のカタログで「虹色」の表記があった場合、一つの例外もなくその七つに準じた色が商品にあしらわれていた。
    だからと言ってこの色の組がこの世の絶対的解答ではない、単純に共通理解を得やすいだけだ。




    ※参考資料

  • 61 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:38:31

    「虹が七色って話は確かによく聞くなー」
    「それ見るたび微妙に納得いかねえ気持ちになる、だから何するわけでもねェが」

    「なァ、虹が赤と黒ってどういうことだ? 赤以外の色が全部黒に見えてんのか?」
    「いやいや、それが違う色だってのは分かるよ。おれの生まれた土地の訛りじゃ色についての語彙が少なくて、明るい色は赤、暗い色は黒、ってざっくり呼ぶことが多かったしそれで足りてたんだ。その考え方が抜けてねェだけで」
    「じゃあ海と森はちゃんと別の色に見えてんだな」
    「見えてるぞ。あーあれだ、緑の野菜指して〝青菜〟って呼ぶだろ、感覚はあれに近い……んじゃねェか多分」

    「正直よォ……橙と黄色や青と藍なんてほぼ区別出来なくねェか? その辺どうなんだよ多色派」
    「おれは普通に見分けつくぞ。ただそう言われると微妙に否定しにくい」
    「ばあちゃんに教えてもらった当時は正直見分けつかなかった」
    「七色に黄緑入れた八色だと刷り込まれてるんだが、実際に観察してるとたまに一・二色見失う」

  • 71 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:39:05

    そもそも七色って話がここまで広がった原因の一つは、昔とある物理学者が七という数字にこだわったせいだとされている。

    「こだわった?」
    「まあ、でもなんか収まりいいよな、七って」
    「ラッキーセブン、七大天使、七つの大罪、七元徳なんて言葉もある。そしてアブラハムには七人の子」
    「神世七代、七福神、七草、七味、七つ道具、七不思議、初七日、金神七殺、七人ミサキ……」
    「おい後半。年明け早々縁起悪い単語出すんじゃねェ」

    『万物の根源は数である』なんて思想もあるが。
    その物理学者にとって、七はとりわけ神聖で美しい数だったんだろう。

  • 81 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:40:00

    彼の出したとある論文にはおおよそこう書かれている。

    【太陽光の中に混じり合っている光を仕分けてやると、その中には顕著に見て取れる〝原色〟と、原色同士の混合である〝複合色〟が見られる】
    【原色は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七つである】
    【七つの光の帯の間隔と一オクターヴに含まれる七つの音の間隔は対応する】

    この結論は以降何度かこねくり回されることになるが、なんにしろ彼は光のスペクトルと音階の対応にこだわり続けた。

    ちなみにこれ以前虹の色や太陽光が分光器を通った後出来る光の色を『七色』と捉える文化は今ほど一般的ではなかった。三色や五色などと表現している文献も数多く残されている。
    だがまあそれでも。この仮説は民衆に〝刺さった〟んだろう。

  • 91 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:41:09

    「船長質問! なんで急に音楽が出てきたんすか?」

    雑に言えば当時の流行だ。
    音楽的要素と自然現象を結びつけることに美学を見いだしていた時代であり地域だった。

    もう一つ考えたいのは彼と同時期同地域の人間達が重要視していたとある宗教のことだ。
    その宗教において、〝神〟たる存在は六日間かけて世界を創造し七日目は万象の完成を祝し休息を取った。
    そこから七はその宗教にとって「完全」「世界」の象徴となった。彼はこれも意識していたんだろう。

    天から降る光をほどけば、宗教的完全数のもと調和を示す色となる。
    ……そんな理想的な美を望む心情、おれにもいくらかは想像がつく。乗るかは別だが。

  • 101 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:41:38

    「船長。あの、開祖が生まれて直ぐに七歩歩いたって逸話はその宗教のものでしたっけ」

    いや、違う。

    「あ、すみません……」

    構わん。そういう連想は悪くない。
    その逸話の続きでは、開祖が生まれた〝七日後〟に母親が高熱によって亡くなったとされているな。
    不思議なもので、関わりが薄いはずの異なる文化圏において似た要素を見いだせることがある。
    おれ個人としてそういう話は嫌いじゃないが。無理筋のこじつけに陥ったりマウントの取り合いの道具にされる可能性もある、ネタにしたいなら慎重にやれ。

    人間の思考や美意識には無意識の王道があり、それによって文化はある程度収斂進化するとすれば、……。
    ……待て、そんな感心したような顔をするなお前達。たった今思いついた与太だ、真に受けるんじゃない。

  • 111 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:43:21

    だらだらと話してしまったが。
    二色だろうと八色だろうとお前達は同じ虹を見ている。
    相手の認識に無理に合わせたり相手の認識を無理に持ち上げることはしなくていい。むしろするな。
    ただ、認識の違いでいちいち殴りあうよりかはその違いを適度に流しあうなり面白がりあいするなりの方が精神衛生上ずっといい。船上ならば尚更。
    それだけの話だ。

  • 121 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:43:55

    そろそろ時間か。

    「おーいお前ら雑煮出来たぞ! あ、船長もここにいらっしゃいましたか!」
    「雑煮か(餅の形は角か丸か……)」
    「雑煮か(焼いた餅か煮た餅か……)」
    「雑煮か(汁の種類は……)」
    「雑煮か(汁の具材は……)」
    「雑煮か(おれの地元の雑煮は汁粉だってみなに言われるんだよなァ……)」
    「雑煮か(クルミのタレはないよな流石に……)」

  • 13二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 09:44:01

    新年早々の博識スレだ囲め囲め!

  • 14二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 09:44:58

    為になった
    虹色ってそんなに解釈別れるのか

  • 151 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:45:02

    …………。

    ……一応、餅の形と焼き目のあるなし、すまし汁と白味噌仕立ての汁くらいは選べるようにしてもらった。厨房の奴らにはちゃんと感謝するように。
    おれの椀にはすまし汁と焼いた角餅を入れてくれ。取分けの際肉類は入れないよう頼む。こんな時くらい食いたいものを食うのが一番だ。

  • 161 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 09:45:37

    あけましておめでとうございます。
    以上になります。
    ここまで読んでいただきありがとうございました。

  • 17二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 09:46:59

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 09:47:01

    新年早々勉強になりました
    博識ホーキンスシリーズ好き

  • 19二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 10:38:51

    ホーキンス博識スレ好きだ…わかりやすい
    ホーキンスのとこ多民族だから色んな文化見れそう

  • 20二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 11:09:04

    何か3が神を、4が世界をそれぞれ表すから合わさった7は完全数みたいな理屈をどっかで見たような

  • 21二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 11:38:50

    このレスは削除されています

  • 22二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 11:50:11

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 11:54:38

    >>20

    自分はそこまで詳しくないけど、ググったら

    三は三位一体

    四は天地創造にかかる数字←被造世界には東西南北という4方向があるから

    って説明されてる牧師さんがいらっしゃった


    だがこのへんの解釈って宗派なり時代なりでいくつかありそうな気配感じるし、>>20のような理屈で説く場面もあるのかもしれない

    (その牧師さんが間違ってるとか言いたいわけじゃない、念のため)


    ※文章に不備あって何度か再投稿した、すまん

  • 241 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 17:05:15

    【補足】
    とある物理学者=アイザック・ニュートン です
    物理学以外にも自然哲学や神学など複数の学問に通じる人物でしたので「物理学者」と表すだけでは物足りなく感じる方もいらっしゃるかもしれません
    とはいえ光学は入れるとすれば物理学なので……分かりやすさ重視ですすみません


    ニュートンはプリズムを用いた実験で、
    ・白色光→様々な色の光に分解
    ・分解した光をもう一度集める→元の白色光になる
    ということを確認しています。

    「白色光は屈折率の異なる複数の色の光が混じり合ったもの」ということをご存じの方も多いでしょうが、300年前のヨーロッパにおいてそのような考え方は一般的ではなかったようです。
    詳しく知りたい方は「変改説」ないしは「変容説」などで調べてみてください。

  • 251 ◆cCh40oilZA23/01/01(日) 17:26:24

    【補足】

    もしもこのスレ読んで「自分専門とかじゃないけど物理学的な光の話少し知りたいかも……」ってなった場合

    スレ主はとりあえず『Newtonライト2.0 光のしくみ』をお勧めしておきます。

    1000円あれば購入可能! カラーイラストや図解がメイン! 解説文の重要な部分に前もってアンダーライン!

    amzn.asia

    類似の書籍タイトル・シリーズ名で「光のふしぎ」という本も出版されていますが、上で紹介した「光のしくみ」がこれの内容追加リニューアル版にあたります。

    なので両方買う必要性はありません。

    amzn.asia

    (補足がワンピ要素皆無なのは許して)

  • 26二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 17:50:58

    補足までありがとう!
    すげーわかりやすかったしお雑煮のくだりでわちゃわちゃしてるの可愛かった

  • 27二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 21:59:27

    博識なホーキンスだ!
    虹の色が各所で違うって聞いたことはあったけど凄く分かりやすくて面白かった

  • 28二次元好きの匿名さん23/01/01(日) 23:54:51

    当選確率1%スレの人か……?

  • 291 ◆cCh40oilZA23/01/02(月) 00:38:43

    >>20

    >>23

    仰るとおり、

    3は「三位一体」「神」「神の世界」

    4は「自然」「神が創造した全世界」

    などのシンボルとも捉えられ、

    そして3+4=7より、7が「(神の世界と自然の世界を合わせた)完成、完全」などと考えられることもあります。


    ・子供の頃読んだ本で、創世記での天地創造の7日間と絡め7を完全数(聖書的な意味で)と説明されていたのが印象深かった

    ・執筆中に聖書解説系サイトや宗教法人のブログなど何カ所か回って解説を見た際、必ずしも3+4=7の話には触れられていなかった

    ・「7」に重点を置きたかった(他の数字に触れずに説明出来そうならいきたかった)

    以上のような事情から>>9みたいな説明に落ち着きました。


    関連書籍も何冊か読めば良かったんですが

    持ってないしどの本が良いのかも分からない&読み始めたら元日中に間に合わないかも疑惑で断念しましたすみません。

  • 301 ◆cCh40oilZA23/01/02(月) 00:50:05
  • 311 ◆cCh40oilZA23/01/02(月) 00:59:31

    前スレともども、想像以上に多くの方に楽しんでいただけたようでよかったです。
    博識ホーキンスは自分のイメージですが割と受け入れてもらえてよかったです。魔術やオカルトはいつだって科学や論理と背中合わせ。ニュートンもムーも読むと世界が楽しい。

  • 32二次元好きの匿名さん23/01/02(月) 10:44:44

    虹5色しか見えなくね?ってなったことはあったけど2色って感覚は分かんないから本当文化と「○色です」ってバイアス凄いんだな
    こうやって会話形式になるとめっちゃ分かりやすい

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています