【SS・クロス注意】おはよう、ウタ その3

  • 1◆jTjAfv9SHdw323/01/03(火) 23:34:19
  • 2二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:34:58

    立て乙

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:35:26

    たておつ!
    最悪が止まらない…

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:36:22

    心の支えがいるぶんREDよりは良くなる
    そう思っていた時期が俺にもありました

  • 5◆jTjAfv9SHdw323/01/03(火) 23:38:33
  • 6二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:45:31

    やっぱそのスレだったか!
    さてどうなるか・・・

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:47:48

    埋め

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:48:28

  • 9二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:51:09

    うめ

  • 10二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:51:23

    10

  • 11◆jTjAfv9SHdw323/01/03(火) 23:53:52

    「……」


    いつもなら辛い時は黒い人に話を聞いてもらってるのにな……。


    「!」


    そうだ。とりあえずウタワールドに逃げよう。今は誰とも会いたくない。


    「……」


    「……え?」


    何これ?何で真っ暗なの?


    「まだ開いたばかりなのに……?」

  • 12二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:56:56

    あぁ…

  • 13◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 00:07:59

    何度開け直しても真っ暗なまま。こんなこと今まで無かったのに……!

         ウタ お前のせいだ

    「!」ビクッ

    誰?知らない声…!

     お前がやったのだ

               お前の罪

       人殺し

          嘘をついた

    「わかってるってば!!!」

  • 14◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 00:22:37

    開いていられない。もうあっちじゃ何も出来ない。

    「逃げたいよ……!もう何でも良いから……!」フラフラ

    そういえばネズキノコって、食べると眠れなくなって……。悪い人を閉じ込めるぐらいなら今のあっちでも……。

    「……!いや!ダメ!」

    そうだった。あのキノコは心を壊すんだ。せめて私の心だけは壊したくない。

    「ーーーーー!どうしよう……!!!」

  • 15二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 00:33:21

    REDよりヤバそうな状態になってる…だと!?

  • 16二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 10:15:42

    ほしゅ!

  • 17二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 10:49:09

    ダメージがRED本編より大きくなってるんですが

  • 18二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 10:51:27

    ネズキノコの効果を知ったから使わずに済むな!

    逃げ道が潰されました


    人の心

  • 19二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 13:02:53

    続きが気になる!!

  • 20二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 20:38:09

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 20:39:53

    ほしゅ

  • 22二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 20:46:29

    ここでダークライについて豆知識

    ・人々やポケモンを深い眠りに誘い悪夢を見せてしまう能力「ナイトメア」がある。
    ・この悪夢を見せてしまう能力は、"自身の意思に関係なく勝手に発動してしまう"ものであるらしく、"コントロールや制御が出来ない。"その為、悪夢で誰かを苦しめてしまう事を望まないダークライは、誰とも関わろうとせず自ら孤独に生きているらしい。

    (以上、ピクシブ百科事典より一部転載)
    URL:ttps://dic.pixiv.net/a/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4

  • 23二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 21:22:40

    「ナイトメア」のせいで厳選中のメタモン倒しちゃったこともあったなぁ(涙)

  • 24二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 22:58:52

    和解してほしいが・・・ウタのメンタルはボロボロだ!

  • 25◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:09:21

    ガサガサッ

    「?」

    「おいおい、歌姫を攫うために隠れてたのにまさかご本人がいるとはな」

    「城に乗り込む手間が省けたぜ」

    海賊……か。

    「おっと抵抗はするなよ?怪我したくなけりゃあな」

    「………」

    「なァ、コイツにその気はねェみたいだ」

  • 26◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:13:39

    「そりゃあ助かるぜ!コイツの人気ならば売れば大金になる!」

    「………」

    私売られるのか。まァ良いや。私みたいな悪い人にはそれがお似合い……。

    「ッ!」

    ゲシッ!

    「ギャアア!!!」

    「……」サッ

    いや、それもダメだ。私には私を、助けを求めるファンがいる。そんな資格が無いのはわかってる。だけどそれでも。みんなを救って、新時代を作らなきゃならないんだ……!!

  • 27◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:18:13

    「てめェ……!こっちを油断させようと…!」

    「騙したな卑怯者がァ!」

    そんなのもうわかってるよ。

    「やっちまうぞ!」

    コイツらなんていつもみたいに眠らせてやれば良い。暗くなるウタワールドも何とかして、無限に能力を維持する方法を……。

    「」バタッ

    「?」

    「」バタッ
    バタッ

    バタッ

  • 28◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:21:50

    え?どんどん倒れてる。まだ歌ってないのに。

    「ギャアアアアア!!!」

       「ヤメテクレエエエエエ!!」
     「ウアアアアアアア!!!」
    アアアアアアアアア

    「……?」

    海賊たちが!?

    「」

      「」
    「」
         「」
    「」

  • 29◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:25:11

    みんなうなされたと思ったら、動かなくなった。……死んでないよね?

    サーーー!ガサガサガサ

    辺りが静かになった。風や動物たちの音がよく聞こえる。

    「……」

    サーーーー.......

    風の音だけになった。動物たちは逃げたみたい。

    ズズズ...

    動物たちが逃げるのは…。

    「ッ!!」

    ズズズズズズ……!!!

  • 30◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:29:59

    黒い人。もう私を見つけたんだ。ということは、海賊たちは悪夢を見たから……。

    〈……〉

    「……」ゴクッ

    黒い人は真っ直ぐ見つめてくる。わかってる。何を思ってるのか。何がしたいのか。

    〈……〉ズイッ

    近づいてきた。もう逃げない。どのみち言い逃れなんて出来ないから。

    《……何故ダ》

  • 31二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:31:10

    やばい様子がやばい

  • 32◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:39:26

    そうだよね。理由ぐらい知りたいよね。その方がスッキリするよ。

    「……私があの日、歌ったから。この歌声であの化け物が出てみんなを」
    《違ウ》

    「……?」

    違う…?どういうこと?

    《何故ダ?》

    何?何が聞きたいの?

    「……あんたも見たからわかってるでしょ!?あの映像が言った通り!!私の歌声がエレジアを」
    「ウタァアアアア!!!」

  • 33二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:40:33

    あーよかったそっちかまあそっちだよね

  • 34二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:43:27

    このレスは削除されています

  • 35◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:45:21

    〈……〉


    「ゴードン……?」


    「ハァ……ハァ……」


    すごい息切れ。ここまで走ってきたみたい。


    「頼む、聞いてくれ!!あの怪物は“トットムジカ”!!!」


    ———少し前———


    ・彼は混乱した。ウタの歌声が……?ということは、あの怪物を呼び出したのはウタだというのか?


    〈…………〉ゴゴゴゴゴゴゴ


    ・なるほど。だから怪物が現れた建物にいたのに無事だったのか。かつて浮かんだ疑問の答えはあまりに簡単だった。

  • 36◆jTjAfv9SHdw323/01/04(水) 23:50:18

    「はッ……はッ……」


    今まで、騙していた。それも、自分の罪をあの男(シャンクス)に……!


    〈………〉ギロッ


    「ひッ…!」


    今まで何を考えていた?国王や自分をどう思っていた……!?


    「ア...ソノ....」


    「ごめん....!!」ガタッ


    〈!〉


    ダッ!!!

  • 37◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:01:11

    〈………〉ゴゴゴゴゴゴゴ

    ・エレジアを…奪った。音楽を…奪った。あの日常を…奪った。元凶は、すぐそこにいた。

    〈………〉ゴゴゴゴゴゴゴ

    ・久しぶりの感情が彼を包もうとしていた。かつて世界をそうしようとしたように、あの女を悪夢に包んでやりたくなった。

    〈………!!〉

    ・彼の感情は昂り続けた。見つけ出して、必ず心を暗黒に変えてやる。

  • 38二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 00:02:46

    これゴードンさんがガチのファインプレーだったのでは?

  • 39◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:08:05

    スーーーーッ


    彼は窓を見つめた。そこから飛び出すために。


    《……逃ガシハ》

    「ウタが急に飛び出していったが、どうしたのかね?」


    〈!〉


    国王だ。ウタが出ていったのを見たようだ。


    「あの子は何でもないと言っていたが、そうは見えなくてね。君なら何か知っていると思ったのだ」

  • 40◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:16:28

    〈……〉スゥ---...フゥ---...

    ・彼は呼吸を整え、平静を装う。あの女と違って国王は被害者だ。自分の機嫌で余計な心労をかけるわけにはいかない。

    〈……〉クイッ

    「それは……映像電伝虫?」

    ・彼は電伝虫を指差した。国王もあの日の出来事は見ているはずだ。ウタと怪物のことを何か知っているかもしれない。
    .
    .
    .
    「あ……あァ……」

  • 41◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:27:37

    ・国王は映像を見て狼狽えていた。自分の国が滅ぼされる様が映っているのだから、冷静ではいられないだろう。彼は少し申し訳なく思った。

    「……ウタも、これを見たのか?」

    〈……〉ウム

    「……これだけは、これだけはあの子に知られたくなかった……!」

    〈?〉

    ・国王は何かを隠しているようだ。

    「君はこれを見て、あの子を恨んだかい?」

    〈………〉コクッ

  • 42二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 00:39:03

    このレスは削除されています

  • 43◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:41:44

    ・見抜かれていた。流石にわかりやすかったようだ。


    「……頼む。わけは必ず話す。だから、どうかあの子を憎まないでくれ……!あの子が悪いんじゃないんだ……!!」


    【「ごめん....!!」】


    〈!!!〉


    ・彼は思い出した。ウタの表情を。謝っていたことも。

  • 44◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 00:51:05

    「あの子の性格ならば、きっと自分のせいだと責任を感じているはずだ!!」


    ・彼は思い返した。ウタが好きであんなことをするだろうか。しかもその時は幼かったウタが。いや、しない。出来ない。


    「頼む!!!あの子を探してくれ!!!」


    〈……!〉バッ!


    ・無論だ。彼は窓から飛び出した。

  • 45二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 01:09:37

    よくやったゴードンさん!

  • 46二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 08:40:22

    映画よりはマシな展開になってくれ…!

  • 47二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 18:37:32

    ほしゅ!!
    これはGJすぎるぞゴードンさん

  • 48◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 22:52:30

    .
    .
    .
    ・海賊船を見つけた時は焦った。万が一が起こっていたかもしれないからだ。

    「パーティの日のことを覚えているだろうか?あの日、お前がこの島を出る前に、最後の機会だからと音楽院の人たちはお前にたくさんの曲を歌わせた」

    ・国王はあの日の出来事を話し始めた。そういえば、怪物が現れたこと以外は何も知らないことに彼は気づいた。

    「私は……お前の素晴らしい歌声がエレジア中へ聴こえるようにした。それがまずかったのだ!魔王に君の歌声が届いて……封印が解けてしまった……」

  • 49◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 22:56:47

    〈……?〉

    ・魔王?トットムジカ?それは両方とも怪物のことだろうか?

    「そして君の前に、楽譜として姿を見せたのだ……。君に歌わせるために」

    〈……!?〉

    ・楽譜が怪物の正体?自分でウタの前に現れた……?そんなことがあり得るのかと、彼は困惑した。

    「君を取り込み自由になった魔王は、その力を人々に奮い始めた。赤髪海賊団は魔王に懸命に立ち向かった。だが、止められなかった……みんな奴に殺された……!」

    「シャンクスたち……が……」

  • 50◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:06:13

    「あの時の君が幼かったのが幸いした……。君の体力が尽きて眠ってしまい、魔王は消えた」


    〈!〉


    【《……ンッ!!!》ドンッ!


    「……!」ガクンッ】


    ・彼には心当たりがあった。能力を放った時、怪物は動きを止めた。


    〈……〉


    ・彼は理解した。あれは怪物に効いたのではない。ウタに命中したから止まったのだ。

  • 51◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:12:53

    「………」

    「だから、あの惨劇は魔王が起こしたことなのだ。すまなかった……!私の口から本当のことを言えなくて…!なんだかんだと理由を付けて私は!!」

    「うん。わかったよゴードン」

    〈……〉ホッ

    ・自分の怒りが間違いで良かったと、彼は少し安心した。今まで共にしたウタの姿は嘘ではなかった。

    「………良かった。つまりだ。あの出来事は君の罪では」
    「だからシャンクスたちは私を置いていったんだ」

  • 52◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:22:16

    「!?」
    〈!?〉

    「ウタ…!?言っただろう!お前が悪いんじゃ……!!」

    「あれを歌ったのは私!!」

    「……ッ!」

    「シャンクスたちが!止められなかったんでしょ!?みんなすごく強いのに!!」

    ・国王は言い返せなかった。事実、あの怪物は途轍もなく強かった。それは彼自身も肌身で感じていた。共に戦った者たち…シャンクスたちも怪物と戦えていたから、強いのは確かだ。それでも人々を守れなかった。

  • 53◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:35:59

    「私があんなのを出せるってわかったから連れていられなくなったんだ!化け物を出す奴なんか手に負えなくて……エレジアみたいにみんなが危ない目に遭うから!!」


    「ウタ!お前のせいではない!私があんなことをしなければ!!」


    「ゴードンのせいじゃないってば!!」


    〈……!〉オロオロ


    ・国王とウタは互いに自分のせいだと、責任を被ろうとしている。そんな様相に、彼も取り乱しかける。


    「——————-!!」


    「------------------!!」


    〈………〉


    スッ

  • 54◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:42:55
    ファイルなう - アップロードされたファイルmovie(20230105213043471).m4a (11.92 MB)d.kuku.lu

    「「……!」」


    ———


    この曲は……何?。今まで聴いたことも、楽譜で見たこともない。

    🎼———♫———♩———♪

    「………」

    🎼♫———♩———♪———♫

    でも、何だろう。聴いてるとすっごく落ち着く。心が安らぐような……。こんな曲あったんだ……。

    🎼 ———♩———♪———♬


    〈……〉スッ

  • 55◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:47:31

    手に持ってるのは……。それで吹いたってこと?

    「……あんたの好きな曲って今の?」

    〈……〉ウム

    「そっか。綺麗だね」

    「それは……“オラシオン”」

    「?」
    〈!〉

    ゴードンは知ってるの?

    「何十年も前に失伝した曲を……何故君が?」

  • 56◆jTjAfv9SHdw323/01/05(木) 23:54:14

    〈……〉ジ---

    黒い人は懐かしむような顔で持ってる葉っぱを見つめてる。……きっとあんたに聴かせてくれた人も、そうやって吹いてたんだね。

    「ふふ。聴く者の心を鎮める効果があると言われていたが、本当だったようだ」

    そんな力があるんだ。音楽ってすごい…!

    《……何処ダ》

    何処って?何が……。

    「「!」」

    「……トットムジカの楽譜か」

    〈……〉ウム

    「……2人とも来なさい」

  • 57二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 01:08:04

    オラシオンをムジカにじゃなく2人に使うとは…!

  • 58二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 10:10:15

    期待

  • 59二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 19:57:38

    ほし

  • 60◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:10:43

    .
    .
    ゴードンに案内されて来たのはお城の地下。私も時々ここには来る。

    〈……〉キョロキョロ

    黒い人はここを見渡してる。初めてなのかな。

    〈……!〉

    石像を黒い人は見た。

    「これは警備用のロボットだ。トットムジカが持ち出されないために造られたのだ」

    持ち出されないようにってことは、前にそんなことがあったんだ。ゴードンは何かを取り出した。

  • 61◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:14:39

    「これだ」


    「……ッ!」ゾクッ


    この楽譜……見たことある……!


    「ハァ……!ハァ…!!ハァ!!!」


    どうしよう…!また息が荒くなって!


    〈……〉クイ


    「……!」


    黒い人に楽譜から離された。きっと楽譜を見てこうなったから、離れて落ち着いて…ってことで良いよね?


    「顔が青いぞウタ。休もうか?」


    「………大丈夫」

  • 62◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:18:27

    〈……〉ズイッ

    黒い人も楽譜を覗いてる。読めるかな?

    〈………〉ジ----....

    結構苦戦してるみたい。そうだよね。ボロボロで読みにくいはずだよね。なのに私はどういうわけか、すぐにでも歌えちゃうぐらい歌詞がスラスラ読めた。

    〈……!!!〉

    読めたのかな?すごく驚いてる。

    「『人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名のもとに。怯えよ、逃げよ』。数百年前から伝わる古の楽曲。それが魔王“トットムジカ”だ」

  • 63◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:23:04

    ———

    ・この古びた楽譜が、怪物の正体……?彼は未だ信じられなかったが、国王がこれを魔王と呼んでいるのだから事実なのだろうと受け入れた。

    「魔王は、ウタウタの実の能力者の歌声に反応する。そして、能力者がこの楽曲を歌うことで、魔王は自由になってしまう」

    〈……〉チラッ

    「……」ガタガタ

    ・ウタはずっと震えている。……あの日の記憶が頭で巡ってしまっているのだろう。怪物が現れた以上、歌ってしまったのは間違いないようだ。

    「……君も信じられないだろう。ただの楽譜にしか見えないこれが、恐ろしい存在だなどと」

    ピラッ

  • 64◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:26:13

    〈?〉

    ・楽譜が揺れた。

    ピラッ

    〈……〉

    ・これだけ古そうな紙だ。少しの拍子に吹かれてしまっても無理は無い。

    ピラッ

    「!」
    〈!〉


    ・ただ、この部屋は風など無いのに、楽譜はウタに向かって揺れていた。

  • 65◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 00:31:43

    〈……!〉グルッ

    ・驚いた彼は国王に顔を向ける。

    「……魔王が、ウタのもとへ行こうとしているんだ」

    「ッ!」ビクッ

    ・ウタは一層顔を青くした。見ていられなかった。

    「おそらく今も復活しようとしているのだろう。だがウタ、もう心配は無い」

    「え…?」

    「今後この部屋に音が届くことは無いから、魔王が君に辿り着くことも無い。楽譜はこのまま、この部屋に封じておけば……」
    グワシ

  • 66二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 00:43:44

    まあ・・・処分しろとはなるよね

  • 67二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 11:49:06

    保守!!!!

  • 68二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 11:51:00

    追いついた…!
    続きが楽しみ

  • 69二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 14:38:06

    待機中

  • 70二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 23:39:54

    保守

  • 71◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 23:55:28

    「?」

    〈……〉グッ

    ・彼は国王の手を止めた。

    「どうした?」

    〈……〉

    「…!……この楽譜を処分する……そう言いたいのだね?」

    〈……〉ウム

    「しかし……だが……これは……」

    「………」ゴクッ

    ・国王は葛藤し、とても惜しそうに楽譜を見る。ウタは何も口にしない。

  • 72◆jTjAfv9SHdw323/01/07(土) 23:58:06

    「…………」

    ・食い入るようにウタは見つめている。楽譜をどうするのかが気になるようだ。それは彼も同じだった。

    〈……〉

    「………くッ」

    〈……!〉

    ・国王は意を決したようだ。彼は国王の言葉を待った。

    「……分かった。……やってくれ!」

    〈……〉コク

  • 73◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:01:39

    ———

    コン....コン....

    黒い人はお城の外へ歩き出した。楽譜を手に持って。

    「良いの?ゴードン」

    「ああ、これで良い。……お前のためにも……こうするべきなのだ。私たちも出よう」

    ゴードン、すごく迷ってた。理由はわからないけど、どうしても捨てたくなかったみたい。


    外はいつの間にか暗くなってた。雲が分厚くて雨が降りそう。

  • 74◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:04:30

    〈……〉スッ

    ギュイ----ン....

    黒い人は込めた力を持ってる楽譜に向けた。自分の力で楽譜を燃やすみたい。

    ブワッ!!

    〈ッ!〉

    バサッ!

    風で楽譜が!どっかへ飛ばされちゃう!

    「拾わなきゃ……!」
    バサッパサ

  • 75二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 00:05:10

    あっ…

  • 76◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:06:47

    「?」

    パサッパサ

    「え」

    パサッピラ

    「……!」

    なんでこっちに来るの?風は逆向きなのに……!

    ピラ
    「……」

    楽譜が全部私の足元に降りてきた…!私に使えってこと?歌えって言いたいの?

  • 77二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 00:08:25

    ク…クソ楽譜…

  • 78◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:25:54

    〈……〉スッ

    私をどかした。きっと離れてろって言ってる。

    〈……〉クシャッ

    楽譜を黒い人は足で踏んづけた。これで楽譜はきっと動けない。

    〈……〉バッ

    ギュイーーーーン.......!!

    また力を込めた。さっきよりもずっと強く。

  • 79◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:30:18

    ———


    ・先程楽譜を読んだ時、彼は驚いた。その楽曲を頭の中で思い浮かべると、悪夢の中でウタが歌う曲そのものになったからだ。


    「……ッ」


    ・国王は悲しそうに見ている。楽譜の処分を渋ったことに彼は同意していた。もし同じならば、この曲はとても素晴らしいものだ。ウタの歌声で聴いてみたかったと彼は思った。

  • 80◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 00:42:33

    「………」

    ・だがそれは叶わない。歌えば怪物が現れ、聴き手は死ぬ。ウタのように、歌い手は罪悪感で悲しむ。誰も喜ばない。


    ピラッピラッ


    ・自分と同じように、人に害を為すことしか出来ない。彼は怪物に親近感を覚え、だからこそ強く思った。


    ギュイン!!


    ・ここにいてはいけないと。



    《出テイケェ!!!!》


    ドォン!!!!!

  • 81二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 00:46:44

    ウタが不穏だ…

  • 82二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 08:22:09

    楽譜逃げ足速そう

  • 83二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 19:13:30

    ほしゅ

  • 84◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 22:39:46

    ・弾は楽譜に命中した。



    『ウ ワ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア!!!!!』


    「!!!」

    「!!!」

    〈!!!〉





    パラパラパラ......

  • 85◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 22:43:18

    〈……〉

    ・楽譜は燃え尽き、散り散りの灰となった。………絶叫が聞こえた気がしたのは自分だけだろうかと、彼は思った。

    パラパラパラ......

    「……」

    「すまない……私がすべきことだったというのに……君に押し付けて……!」

    ・楽譜はもう、辺りを飛ぶ灰になっていて読めない。もう怪物は出てこない。もう誰も歌えない。

  • 86◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 22:47:16

    パラパラパラ......

    「……なんだ」

    「あんた、寂しかったんだね」

    〈……?〉

    ・ウタが誰かに優しく語りかけた。誰に向けて言ったのか、彼にはわからなかった。

    ———

    これで終わったのかな?もう誰も傷つかないのかな?……ごめんね。

    「……トットムジカは消えた。安心しなさい、ウタ」

  • 87◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 22:51:34

    「……」

    ずっと1人で辛かったんだよね。今更言ったってしょうがないけど、私があんたに出来ることってあったかな?誰も傷つけずに。

    「…すまないシャンクス。君との約束は守れなかった」

    〈?〉

    「約束?」

    小声で何か言ってた。黒い人も聞こえたって。

    「……!……今のは忘れてくれ」

    〈……〉ジ----....

  • 88◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 23:31:07

    ゴードンを睨んでる。気になるみたい。

    「いいよいいよ!ゴードンが話したくないなら……」

    聞かなくていい、というより聞きたくない。

    〈………〉ジロ-----.....

    「………わかった、話そう」

    お城に戻ることだって出来たけど、足が動かなかった。シャンクスが私を置いてった理由がはっきりするかもしれないから。

    「……お前をエレジアに残して行った時、シャンクスは私にこう言った。『この件は自分たち、赤髪海賊団がやったと伝えてくれ』と」

  • 89◆jTjAfv9SHdw323/01/08(日) 23:46:11

    〈……〉

    やっぱりだ。やっぱり私を庇ってた。

    「……なんでよ?」

    理由を知るのが怖い。聞きたくないのにすごく気になる。

    「海軍に追われる身の自分たちが、お前の才能を囲ってしまうわけにはいかないと。お前の歌声は最高だと言っていた」

    「………!」

    〈……〉

    なんか、わかった気がする。

    「そっか〜。……なんて思ったら良いかな〜」ウルッ

  • 90◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 00:14:01

    海賊の嫌われっぷりは私でもわかる。歌でみんなを幸せにしたいって昔から言ってたからきっと……シャンクスは……。


    「じゃあしょうがないよね!海賊の娘なんて肩書きあったら歌手なんて……あはは〜……ファンのみんなだって、きっと海賊嫌いだから見てくれてるし………」


    そうだ。シャンクスは正しいんだ。これで良かったんだ。もう会えなくたって良いようにわざと嫌われるようなことをゴードンに……。


    「………」グスッ

  • 91二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 00:20:36

    楽譜はきっちり燃やせたっぽい?
    そして真実を知ったら知ったで辛い…

  • 92二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 08:28:42

    ほしゅ

  • 93二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 17:49:23

    忘れた頃に不意打ちで出てこないか心配だな、楽譜

  • 94二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:46:36

    確かにまたリポップしそうで怖いな

  • 95◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:07:26

    〈……〉チラッ

    「ありがとゴードン!本当のこと教えてくれて!もう大丈夫!」ニコッ

    「………そうか。私は先に戻っていよう。……本当にすまなかった」

    「気にしないで!ゴードンは悪くないから!」

    「ああ。2人とも身体が冷えないうちに戻りなさい」

    「わかってる!少ししたら私たちも戻るから!」

    「うむ」

  • 96◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:12:18

    ザッザッザッ


    「今日はいろいろごめんね。あんたもゴードンも大変だったでしょ?」

    〈……〉

    「何?」

    言いたいことがありそう。

    「どうかした?私なら大丈夫!シャンクスが私を捨てたんじゃないってわかったんだし!」

    《……シャンクスハ、好キカ?》

    「え……」

  • 97◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:19:10

    そんなの聞かなくたって…

    【「そいつの顔を見せないで!!!」】

    【「ねェ聞いてよ。またアイツらが夢に出てさ〜〜、もうホント嫌!」】

    「………」

    ああ…ずっとあんな調子だったっけ。

    「……好きだよ。シャンクスは、私が大好きな海賊」

    〈……〉トスン

    「シャンクスは私の、大好きなお父さんで……ヤソップも…ラッキー・ルウも…ホンゴウさんも…赤髪海賊団のみんな…大好きだよ……!!!」

  • 98◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:23:31

    〈……〉

    「だから、嫌いだなんて思いたくなかった……!ずっと…みんなを好きで……!」

    〈……〉ソッ

    「…!」

    座ってる。膝に乗りやすそうに。

    「……膝、借りるね」

    ごめんね。あんたにばっかりこんなことして。

    ———

    ・国王の話を聞くまで、彼もシャンクスを誤解していた。

  • 99◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:27:37

    「〜〜〜〜〜!!!」

    ・足が濡れていく。泣いているのだ。こんなに優しい子を捨て置くなどどれほど悪どい男なんだろうと、彼はそう思っていた。

    「みんなに会いたいよォ……!!信じられなくてごめんってェ……!!」ギュウウ..!

    ・だが、それは違うと確信した。シャンクスたちはウタを本当に大切に育てたに違いない。だからこそこのような子に育ったし、海賊という自分の立場で幸せに出来るか悩んだのだろう。

    「えっぐ…!ルフィ〜〜〜…!!!」

    ・昔からウタは、国王の前では決してこのような様子を見せない。きっと、見せれば国王が心配すると考えているからさっきのように気丈であろうとする。

  • 100◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:31:22

    〈……〉ヨシヨシ

    ・宥めながら彼はふと思った。自分がいなかったら、こういう感情をウタはどうしていたのだろう?

    「うゥ〜〜〜...!」ギュッ

    ・国王に打ち明けていただろうか?それとも、打ち明けずに1人で溜め込んで……。

    〈……〉ブンブン

    ・彼は考えるのをやめた。こんなことを考えても辛いだけだ。

    カァアアアアアア!!!

  • 101◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:37:16

    〈!?〉グルンッ


    ・突然強い光がこちらを照らした。彼は咄嗟に振り向いた。


    「ひぐッ…どうしたの?」


    〈……〉


    「……綺麗だね」


    ・いつの間にか空は晴れていた。前に1度見たような妙に明るい月があるだけで、何もいなかった。


    「ん……」フワァア

  • 102二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 23:37:17

    不吉なカラスの泣き声!

  • 103◆jTjAfv9SHdw323/01/09(月) 23:48:18

    >>102

    光の効果音のつもりでした……




    〈……〉


    グッ


    「ひゃッ」


    ・眠そうだ。もう城に戻るとしよう。彼はいつものようにウタを抱えた。



    〈……〉ス----....


    「スゥ....スゥ....」ギュ


    ・部屋に着くと、もうウタは眠っていた。眩しい月が気になった彼は、起きている間それを見つめていた。

  • 104◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 00:03:58

    .

    .

    .

    〈……!〉パチッ


    ・そして、いつものように朝が来た。


    「んん……」


    ・昨晩のウタはいつもより寝顔が穏やかだった。……気がした。


    〈……〉


    ・怪物がいなくなって、少しは心労が軽くなればと彼は思った。もうウタは誰も傷つけずに済む。


    「……!」パチ


    ・起きたようだ。


    「おはよう」


    《おはよう、ウタ》


    ・そして、いつものやりとりをした。

  • 105二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 01:24:53

    月がなんか意味ありげ

  • 106二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 01:25:37

    クレセリアもいるのかな

  • 107二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 01:33:51

    吐き出せないで溜め込むとREDルートになるから良かった…

  • 108二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 09:55:08

    ほしゅ

  • 109二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 18:09:52

    ほしゅ

  • 110◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 22:56:58

    ——————

    《🎼———♫———♩———♪》
    ・彼は思い出の曲、“オラシオン”を奏でていた。遠い昔、自分に聴かせてくれた誰かに聴こえるように。
    《🎼♫———♩———♪———♫》
    ・名前を知れたことが嬉しかった。そのおかげか、在りし日の光景が前よりもはっきり思い出せる気がする。

    《🎼 ———♩———♪———♬》
    「🎼 ———♩———♪———♬」

    〈!〉

    「上手♪」

    ・ウタだ。1回しか聴いていないのにもう曲に合わせられることに彼は驚いた。

  • 111◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:02:03

    「その曲って歌詞はあった?」

    〈……〉ブンブン

    ・彼は首を横に振る。その人は“オラシオン”を歌うことは無かったから、きっと歌詞の無い曲だ。

    〈……?〉クイ

    「ん?……あ、配信のこと?」

    ・彼は部屋に向かって指を差した。いつもなら配信をしてる時間なのだが。

    「う〜〜ん、今どうしよってなってる」

    ・何か言いに来たようだ。よく見ると浮かない顔をしている。

  • 112◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:10:33

    「ほら、シャンクスは悪くないのがわかったじゃん?だから海賊嫌いって名乗るのに気が引けちゃって」


    〈……〉フン


    ・ならばそう名乗るのをやめればいい。簡単なことだと彼は思った。


    「じゃあ海賊嫌いやめなよって思ったでしょ!私には大事なことなの!」ムスッ


    〈……〉ジ---


    ・そんなに悩むことだろうかと、彼はちょっと呆れた。

  • 113◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:27:19

    「今までずっと海賊嫌いでやってたから、そういうところを好いてるファンもいるの。急にやめたらショック受けちゃうでしょ?」

    〈……〉

    ・そういえばファンの中にはそんな人もいたと彼は思い出した。

    「それに、ファンのみんなが言ってくるみたいな悪い海賊はホントに嫌いだし……あんたも時々ここに来るような海賊は嫌じゃない?」

    〈……〉ウム

    ・これについては彼も同感だった。

  • 114◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:31:14

    「でしょ?ああいうのとシャンクスたちを一緒にしたくないし、あと……やっぱり昨日のことがショックでもうちょっとしっかり考えたくて……どうしようかな?」


    〈……〉

    .

    .

    「それで、配信をどうしよう…か」


    「うん」


    ・彼は国王を頼った。この手のことなら自分よりよっぽど詳しいはずだ。


    「では……しばらく配信を休んだらどうだろう?休息の期間は誰にでも必要だ」

  • 115◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:36:20

    「え……」

    ・ウタは驚いた。……休むという考えは無かったらしい。

    「でも、みんなが私の歌を待ってるんだよ!?」

    「時には自分と相手の距離を保つことも大切だ。気持ちを整理するのに、他者の言葉が多すぎては本心が分からなくなるかもしれない」

    「そっか……」シュン

    「……お前がファンをとても大事にしているのはよくわかる。だからこそ、もっと自分自身を労わりなさい。具合を悪くしてはあちらも心配してしまう」

    「わかったよゴードン」

  • 116二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 23:40:25

    よくやった!

  • 117◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:40:52

    ・落ち込んだウタを見て、彼はなんだか悪いことをした気分になった。ウタが好きで配信をしていることは彼にもわかるから尚更だ。

    「だが、やはり事情は伝えておく方が良いだろう。君から伝えてくれないだろうか」

    〈……〉ウム
    .
    .
    ピッ

    〈……〉ジッ

    ・彼1人で配信するのは初めてだったが、電伝虫は無事点いた。人々が映っている。

  • 118◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:45:22

    〈……〉ウンウン

    ・やはり、ウタが映っていないことが気になるようだ。質問をする人が多い。

    〈………〉

    ・さて、国王から任されたもののどう伝えたものか。喋り始めてようやく、彼はそこを考えていなかったことに気づいた。

    《……ウタハ、傷ツイテル》

    ・喋りながら考えるしか無さそうだ。……ウタのようにスラスラ言葉が出ないことに彼はもどかしさを感じた。

    《……家族ヲ、誤解シテイタ》
    .
    .

  • 119◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:50:36

    ・彼はゆっくり、少しずつ説明をした。家族が自分を捨てたと思っていたこと。本当はウタを庇っていて、ウタは事実にショックを受けていること。その家族が海賊なこと。だから海賊嫌いを名乗るのに抵抗を感じていること。彼が必死に話しているのが伝わったのか、人々は耳を傾けてくれた。

    《……ダカラ、休ム》

    ・海賊の娘であることにショックを受けている人もいるが、とりあえずウタが休むことは伝えた。彼は配信を切ろうとした。

    〈……?〉

    ・しばらく会えないとわかったからだろうか。人々の一部は彼に様々な質問や伝言を言った。

  • 120◆jTjAfv9SHdw323/01/10(火) 23:55:54

    *どうかウタに伝えてください…!私たちには貴方しかいないんですと!!


    *ウタにお願いって!!


    〈………〉


    *おれたちを救えるのはウタだけだと!!


    *ねェ、ウタちゃんの歌をずっと聴いていられるような世界ってあるかな?


    〈……〉カチン


    ・彼は画面に真っ直ぐ向き直した。構う必要は無いとわかってはいたが、どうしても言いたくなった。


    《……アノ子ハ、歌イ手デ……》





    《シャンクスノ娘ダ》

  • 121二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 23:57:48

    あっ…

  • 122◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 00:11:50

    ・そう言い残し、彼は配信を切った。その時に画面が騒がしくなりそうだったが、彼は構わなかった。

    「ウタのことは伝えてくれたかね?」

    「……」ス----...

    「?」

    「どうかしたのかな」

    〈……〉イライラ

    ・彼がこのことで苛立ったのは久しぶりだった。一時はそういう扱いにも納得していたが、事実を知ってからはまた納得出来なくなった。

  • 123◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 00:50:40

    —マリージョア—

    「赤髪の娘だと……!?」

    「だとすると、あの娘はフィガーランド家の血筋……!」

    「あの能力と求心力は危険だ。抹殺しておきたいが、動けば赤髪がどう出るか」

    「問題はウタと赤髪だけではない。奴もだ」

    「ああ…。何故エレジアにいるのだ………?」





    「“ダークライ”」

  • 124二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 00:55:26

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 00:58:02

    遂にダークライが名前で出てきた

  • 126二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 01:01:44

    >>125

    そういえば誰も名前で呼んでなかったな…

  • 127二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 01:03:29

    このレスは削除されています

  • 128二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:08:38

    ええええええええどうなるんですか!?どうなるんですか!?!?

  • 129◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 20:22:43

     五老星は事態に困惑していた。ウタが赤髪の娘であるということに。その事実を明かしたのがそれであるということに。


    【《わたしの もくてきは……このせかいを あんこくに かえることだ》


    「世界を暗黒に変えようと、悪夢の力で幾度となく人々に攻撃を仕掛けてきた厄災……!」


    「戦いとなったその度に撃退してきたが、討伐に成功した記録は無い」


    「以前から配信に姿を見せていたが……あまりに不可解だ」

  • 130◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 20:29:07

     ダークライの様子が記録とかけ離れていることが五老星を混乱させていた。

    「最後の襲撃が起きた□□年前、被害に遭ったのはエレジアだ。それ以降奴は消息を絶っていたが……」

    「トットムジカによって滅びた今、記録通りの奴の性格ならばエレジアに留まる理由など無いはず」

     記録に残るダークライは人を襲うこと、苦しめることを厭わない存在だった。

    「今のダークライは当時の記録とは似ても似つかぬほど穏やかだ。ウタはもちろん、民衆にも悪意を向ける様子が無い」

  • 131◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 20:34:53

    「ウタを利用して自らも支持を得ようとしているのではないのか?」

    「その可能性もある。しかし……映像電伝虫を見た限りでの話だが、奴はウタに入れ込んでいるのでは?」

    「何と……!」

    「厄災さえも懐柔するとは……。これも求心力が成せる技か」

    「もしそうならば……まずいな」

     5人はある事態を危惧していた。

    「今のダークライの気質があの娘ありきのものなのであれば……仮に抹殺を成功させた場合、奴が再び世界を攻撃するかもしれん。刺激するのは危険だ」

  • 132◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 20:47:27

    「しかし、ウタウタの能力も見過ごすわけには……。トットムジカの件もある」 

     この頃の五老星はウタの抹殺に際してダークライがどう対応するかも警戒していた。そんな時に赤髪の娘という事実が舞い込んできたのだ。

    「………第一だ」

    「何故ウタは生きているのだ?」

    「「「「!!!」」」」

     五老星は重要な違和感を再確認した。

    「……確かに、我々はウタを抹殺する術を模索しているが、本来ならその必要は無いはずだ」

  • 133◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 21:00:45

    「ダークライの悪夢の力は強い。人を死に追いやれるほどにな。実際に奴の悪夢によって命を落とした例が記録に残っている」

     五老星が静観していた理由の1つである。当初はダークライを確認した時点でウタはすぐに死ぬと判断したため、重く見てはいなかった。

    「ウタは間違いなく奴の悪夢に晒されている。しかし、弱るどころか生き生きしているではないか」

     5人は死ぬどころか衰弱もしないウタに疑問を浮かべる。

    「どうなっている……。まさかダークライの力が効いていないのか?」

    「ウタウタの実の能力がそうさせているのか?」

     ウタを抹殺したい五老星にとって、現状持っている情報は非常に動きにくくしていた。

  • 134◆jTjAfv9SHdw323/01/11(水) 21:13:33

    「……ひとまず、他の問題を片付けてからだ」


    「うむ……あの赤髪の血筋ならば、自分から世界をどうしようとは考えないはずだ」


    「今はそれに期待するしかあるまい」


    ———


    「—————————」


    「………」


    ———


    「大丈夫かな?」


    「機嫌が悪そうだったが、彼ならばすぐに直すだろう」


    「う〜〜ん…」


    なんか心配。みんなと喧嘩しちゃったのかも。

  • 135二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:14:58

    ウタのメンタル問題は大丈夫そうだけど、全く違う問題が起きてるぅ!!

  • 136二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:54:36

    このレスは削除されています

  • 137二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:55:58

    ダークライを撃退したエレジアヤバくない?

  • 138二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:56:37

    過去のエレジアで何があったんだ

  • 139二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 05:53:14

    展開が気になりすぎる

  • 140二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 06:17:07

    このダークライ昔は思いっきり悪い奴だった?

  • 141二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 11:22:13

    人の手元に残る記録は大抵人目線で、人が感じた通りに事実が歪められてしまうもの
    ダークライもそうで、本当はひとつひとつの行動に理由があったけど人間に理解されずに歴史上やべえやつ扱いされているのでは?

  • 142二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 12:00:27

    ポケダンみたいに悪さしたけど、記憶喪失になってエレジアで拾われたとかかな?

  • 143◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 20:15:12

    .
    .
    「いないな〜…」

    結構探したのに見つからない。隠れるような人じゃないのに。

    「いつもならこういうところにいるけどな〜」ピョンッ
    .
    .
    「〜♪〜♪」

    もしかして今は1人でいたいのかな。やっぱりさっきの配信で何か…。

    「あ、いた」

    〈……〉zzz

  • 144◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 20:22:03

    寝てる。これじゃさっきのことが聞けないや。


    「じゃあ起きるまで待ってよ」トスン


    いつ起きるかな〜。


    「……そうだ!歌ってあげよ〜っと♪」


    良い夢見てほしいからね!しっかり息を吸い込んで!


    〜〜〜〜


    ワァアアアアアアアア


    〈……?〉


    ・ここはライブ会場だろうか。とても盛り上がっている。


    「🎼————♪————♫」


    ・ステージで歌っているのは、ウタだ。


    〈♪〉

  • 145◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 20:56:13

    ・良い気分だった。歌い手として輝くウタを見れるのが彼は嬉しかった。





    「みんな!!」

    ・歌が一区切りつき、ウタは観客に呼びかけた。

    「みんなはさ!海賊をどう思う?」

    〈?〉

    「おれの町は海賊に焼かれた!!」

    「うちの主人は海賊に殺された!!」

    「母ちゃんを返せ!!!」

    ワァアアアアアアア!!!

    ・何のつもりだろうか。この場は海賊など関係ないはずだ。

  • 146二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 20:57:17

    あれ?

  • 147◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:00:16

    「オッケー!じゃあ私が、海賊のいない平和で自由なところへ導いてあげるね!!」snap!

    ・指を鳴らすと、大きな光が現れた。

    「行こう!もうこんな酷いところとはお別れしよう!」

    〈……!〉ゾワッ

    ・彼は悪寒を感じた。観客たちは光の方へと進んでいき、入った者たちは見えなくなった。

    〈!〉バッ

    ・彼は光のもとへ、ウタのもとへ行こうとしたが、その場から彼は動かなかった。その間にもウタは光の中へ入っていく。

    「どうしたの?」

  • 148二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 21:00:26

    自分がナイトメアにやられてる?
    今のウタが演出する夢とは思えないし

  • 149◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:06:20

    ・ウタは振り向き、いつもの調子で口にした。

    「私は救世主として、みんなを導いてるだけ」

    《ヤメロ……!》ゴオッ!

    ・彼はようやく動き、光の中へ突っ込んだ。
    .
    .
    .
    〈……?〉

    ・気がつくと、彼は全く違う場所にいた。木々が並び、ウタはいない。

    【《うぐぐっ……》】

    〈!〉

    ・うめき声がする。彼はそこへ向かって歩いた。

  • 150◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:11:42

    【《しっぱいしたが……こんどこそは……》】


    ・そこには信じられない者がいた。なんと、彼自身だった。




    【〈むっ!だれかくる!〉】


    ・そこへ、少女が1人やってきた。その顔はよく見えないが、傷を負った彼を心配しているようだ。


    【「大丈夫?ケガをしてるの?」


    〈……〉


    「痛いですか?」


    《む……うっ!あぁ……》

  • 151◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:20:42

    「………。———が、治してあげますからね」】


    ・目の前の彼を手当てするつもりのようだ。名前は聞き取れなかった。


    【「逃げなくて良いよ」


    〈!〉


    「ここにいて良いよ」


    《いいのか?》


    「ずっとずーっと、ここにいて良いよ」



    「ここは

    〜〜〜〜

    〈!〉パチッ


    ・少女の言葉は打ち切られた。


    「あ、おはよ〜」クシクシ


    ・ウタがいる。

  • 152◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:32:42

    「良い夢見れた?」

    ・夢。つまりさっきまで寝ていたのか。彼はようやく自覚した。

    〈……〉

    ・最初は悪夢を見ていたが、その後の方が彼は気になっていた。

    《……私ガイタ》

    「あんたが?もう1人?」

    〈……〉ウム

    「変なの〜」ニッ

  • 153◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:43:19

    ・彼はあのやりとりに既視感があった。いつ、どこで聞いただろうか。

    「……!そうそう、配信はちゃんと言えた?」

    〈……〉コクッ

    「良かった!さっき怒ってそうだったから上手く出来なかったのかな〜って…」

    《……シャンクスノ娘ダト、言ッタ》

    「ッ!そ……そっか……」

    ・ウタは困った様子だ。言わない方が良かっただろうかと、口走ったことを後悔した。

    〈……〉シュン

    「大丈夫!もう海賊嫌いじゃないって言ったんでしょ?そのうち気づかれてただろうからへーきへーき……」

  • 154二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 21:45:11

    むしら政府が手を出しにくくなったのはラッキーというか

  • 155◆jTjAfv9SHdw323/01/12(木) 21:58:56

    ・ウタもファンも困らせてしまった。口走らないように気をつけようと彼は肝に銘じた。

    「じゃあ配信のことはここまで!今作曲してるからちょっと手伝ってくれない?」

    ・ウタは話題を切り替えてくれた。

    〈……〉ウム

    「ありがと!それが終わったら————とか……」

    〈……〉フフッ

    ・こういうところが人の心を掴むのだ。優しさを感じて彼は少し気持ちが軽くなった。

  • 156二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 22:16:51

    本人も悪夢を見るのはどういうことだろうか

  • 157二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 00:40:17

    原作の方のダークライ見たのもう随分前すぎて覚えてないんだが、そっちではダークライ本人が悪夢を見たりはしなかったんだっけ?

  • 158二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 01:06:48

    このレスは削除されています

  • 159二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 07:12:38

    気になるなぁ

  • 160二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 18:27:11

    保守

  • 161◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 21:41:22

    ——————


    「出来た!」


    たまには新しい雰囲気のもやってみなきゃね。配信を休んでるんだから再開した時のためにも!


    「じゃあちょっと聴いてくれる?」


    〈……〉コクッ


    「それじゃあ……!」バッ


    「🎼ひとりぼっちには♪飽き飽きなの♫繋がっていたいの♩」



  • 162◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 21:45:51

    「🎼—————— hear my true voice♪」


    「……どうだった?私の曲でこういう感じのってあんまり無いと思うけど」

    〈♪〉ウンウン

    黒い人は気に入ったみたい。作るの手伝ってくれたから思い入れもありそう。

    「ありがと。でもこれはお蔵入りかな〜」

    〈!?〉ビクッ

    「あ、あんたが悪いんじゃないよ!」

    《……何故ダ》ショボン

  • 163◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 21:53:09

    《……何故ダ》ショボン

    落ち込んじゃった。そんなに気に入ってくれてたんだ…。

    「う〜〜ん……歌っててあんまり気持ちが込められなくてさ」

    〈?〉

    「ほら最初のところとかさ。飽き飽きするほどひとりぼっちだったことなんて無いし、ゴードンとかあんたとの繋がり?はもうあるからいまいちピンと来なくて」

    〈……〉

    「自分で書いておいて言うのも変だけど、ちょっと上手く歌える気がしなかったんだよね。あんたもよくわからないことに気持ちを込めるって難しくない?」

  • 164◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 21:56:04

    〈……〉ウム

    頷いた。ちょっとわかったかな?

    「でしょ?ちゃんと心を込めて歌いたいから、これはみんなには聴かせられないかな」

    〈……〉ジ--...

    「……!じゃあこれ、あんたにあげるね」

    〈!〉

    あんたは好きみたいだし、捨てちゃうのももったいないか。ちょっと歌詞をいじってみても良いかも。

    ——————

    ・彼は国王に呼ばれた。話したいことがあるらしい。

  • 165◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 21:58:47

    「実はだ。ウタを人前に出したいと考えている」

    〈!〉

    ・人前に出す。つまりは人をここへ呼ぶか、ウタを島の外へ出すかだ。

    「ウタは歌い手だ。やはり私としては人々の前であの素晴らしい才能を披露させたい」

    〈……〉ウム

    ・その光景は、彼も時々夢に見る。現実となるならばとても嬉しい。

    〈……?〉

    ・が、彼に疑問が浮かんだ。

  • 166二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:01:12

    ララバイ没にしたの結構精神的に良くなってそう

  • 167二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:02:43

    今さらだけどシャンクスの娘なのバレたのルフィが今のウタを知るきっかけになりそう

  • 168◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 22:04:58

    「何故今それを、か」

    ・国王はすぐに勘づいた。

    「ウタの才能の素晴らしさは前々から、出会った時から疑うまでもないものだ。しかし私はあの能力とトットムジカを恐れるあまり、人前に出すことを避けていた」

    ・トットムジカ。あの怪物のことである。彼は表情を険しくした。

    「だが、トットムジカは君が燃やしてくれた。おかげで私はやっとウタを出しても良いと思えるようになった。とても情けない話だが」

    〈……〉

    ・とにかく、怪物の楽譜は燃やして良かったようだ。彼はそれだけ理解した。

  • 169◆jTjAfv9SHdw323/01/13(金) 22:09:48

    「もちろん今すぐにではない。ウタが配信を再開した後からそうしたいと考えている」

    〈……〉クイ

    ・彼は自身を指差し、首を傾げた。自分に話す必要は無いと思ったからだ。

    「何故君に話したのか…か。私の考えを誰かに話したかったからだ。ウタが聞いたら悪戯に焦らしてしまうだろう」

    〈……〉

    「あの子にも配信が再開したら話すとも」

    〈……〉コクッ

    ・ウタがこれを聞いたらとても喜ぶだろうと彼は思った。が、配信でシャンクスのことを言ってしまったのを思い出し、少し気分を悪くした。

  • 170二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 08:46:29

    ほしゅ

  • 171二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 08:56:59

    ダークライの過去には何があったのか…

  • 172二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:30:18

    >>171

    ウタカタララバイに好評価なのが闇深そう

  • 173二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:30:33

    このレスは削除されています

  • 174二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 11:24:02

    ダークライ、今の姿見てる限り普通に心優しくていいやつなんだけど…
    でもエレジアの真実知った時すぐにウタへ憎悪が向いたし、ウタの謝罪とか表情とかに気づいたのゴードンと話して冷静さ取り戻してからだったし同じ塩梅で過去にも何かを誤解して暴走したことはありそう…

  • 175二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:46:34

    ダークライの過去が不穏

  • 176◆jTjAfv9SHdw323/01/14(土) 21:02:32

    ———

    ザーーーーー……

    「……」

    雨だな〜。雨降ってると気分が落ち込むから嫌。

    「……」

    こういう日は悪い方にばっかり考えちゃう。シャンクスのこととか。

    「……何でゴードンにああ言わせたの?」

    シャンクスはゴードンに自分たちがやったって言わせた。私を庇うためだ。

  • 177◆jTjAfv9SHdw323/01/14(土) 21:06:54

    「……私に嫌いになってほしかったの?」


    わかってる。ゴードンに伝えたことがシャンクスの気持ちなのは。けど……。


    「私が嫌い……とかじゃないよね?」


    こんなこと思いついちゃうのが嫌だ。シャンクスはそんな人じゃないから。


    《違ウ》ズイッ

    「うわッ!!」ガタッ!


    〈!〉


    「びっくりしたじゃん!」


    〈……〉


    脅かしたつもりは無さそう。

  • 178◆jTjAfv9SHdw323/01/14(土) 21:10:59

    「わかってるよ?シャンクスがそういう人じゃないのは」

    〈……?〉

    「え…」

    ひょっとして全部聞こえてたわけじゃない?

    「……!大丈夫!あんたが私を嫌ってるなんて思ってないから!でしょ?」

    〈……〉ウム

    「良かった〜…」ホッ

    すぐ頷いてくれた。最後の方が聞こえたみたい。勘違いでもああ言われるとほっとする。

  • 179◆jTjAfv9SHdw323/01/14(土) 21:15:01

    「そういえば、さっきゴードンと何を話したの?」


    《……秘密ダ》


    「え〜〜、私にも教えてよ〜!どんな話だったの?私が聞いてほしくないこと?」


    《……聞ケバ喜ブ》


    「ん〜〜!2人のばか!」プンスカ


    余計気になるじゃん!……楽しみにしてよっと。

  • 180二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:34:27

    ほしゅ

  • 181◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 11:39:10

    ——万国——

    「エレジアからの配信が途絶えてしばらく経つ」

    「あの能力に加えて赤髪の娘…必ず手に入れてやる!!……ただ、アレは気になるねェ」

    「確か、“ダークライ”だったか」

    「ああ。アレは人間に悪夢をバラ撒く魔物さ」

    「ただ夢を見せるだけなら良かったが、厄介なことに奴の悪夢は人が死んだ例があるほどに強力だ。エレジアに上陸した海賊は残らず、悪夢にうなされるようになったとのことだ」

    「しかも討伐出来た記録は無いときやがる。ナメやがって……ペロリン♪」

  • 182◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 11:44:04

    「あの女も今頃は、奴の悪夢で倒れてるかもな」

    「アレの力で死なれちゃ困る。悪夢を破る術を見つけるんだ」

    ——————

    〈……〉

    ・彼は物思いに耽っていた。ウタは寝ている。

    「……」キュ

    ・楽譜は燃やしたが、悪夢にうなされることは変わりない。自分のせいだから当たり前だと彼は自嘲した。

    「ん…」

    ・だが、彼はもう知っている。ウタにとっては悪夢より1人の方が辛いのだと。寝ている時に離れようとは思わなくなった。

  • 183◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 11:51:15

    《………ヒトリボッチニハ、飽キ飽キ》

    ・以前ウタと作った楽曲。それの一文が彼の頭の中で繰り返される。

    「おはよ」

    〈!〉

    ・ウタが起きた。起こしてしまったか。

    《おはよう、ウタ》

    「その曲好きだね」

    〈……〉

    ・やはり聞こえていたようだ。

    「…!大丈夫。あんたはひとりぼっちじゃないんだから」

    ・察したのか、ウタは彼の手を撫でる。彼は少し安心した。

  • 184二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:20:20

    波乱の予感だけど悪夢対策が予想つかないな

  • 185◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 21:35:10

    ——————

    「もう大丈夫かい?ウタ」

    「うん。ちゃんと歌手として頑張った方がシャンクスも嬉しいだろうし」

    シャンクスのことは、多分大丈夫。シャンクスの耳にも届くぐらい私の歌が響けば良いんだから。

    〈……〉スイッ

    「あ、ありがとう。今日は牛さんと仲良く出来た?」

    〈…………〉

    「……あ〜」

  • 186◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 21:40:41

    黒い人は動物にも嫌われてる。私と一緒に呼びに行った時にみんな私の方へ来たのは何だか悪いことした気分になったよ…。


    「それじゃあ電伝虫は……」

    .

    .

    よし、準備出来た!あとは点けるだけ!…なんだけど。


    「……」


    〈……?〉


    「ねェ、みんなは私を待ってくれてるかな」


    これまでと違うこと。それは私が海賊の、シャンクスの娘だってみんな知ってること。

  • 187◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 21:46:05

    「海賊の娘の歌。聴いてくれるかな」

    ちょっと怖いや。みんなが好きなのは海賊嫌いのウタで、誰も待っててくれなかったらどうしよ。

    〈……〉トン

    「…!」

    手を乗せて、優しい目で頷いた。大丈夫って言った気がする。

    「……すゥ〜〜、はァ〜〜。うん!!」

    ピッ

    「みんな!ウタだよ!」

  • 188◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 21:50:56

    ———

    ・画面の向こうの人々はまず驚いた。そしてその次は様々な声が来た。1番多かったのは心配する声だ。

    「うん……うん!ごめんね、急に休んじゃって。黒い人が前に言ってくれたと思うけど、私からも話すね」

    ・ウタは改めて、この前の出来事を話した。自分よりもずっと話すのが上手く、速く、わかりやすい。彼は感心しながら見守った。

    「————。……だから、今まで海賊嫌いを名乗ってたのは私の誤解なの。みんなが言ってくれた海賊のしたことは許せない。でもその人は海賊だけど、私の大切な人。だからもう海賊嫌いなんて言えない。その人まで嫌いって言ってるみたいで……」

  • 189◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 21:55:38

    ・人々は皆、衝撃を受けたようだ。やはりというか、怒る人もいた。

    〈……〉ピキッ

    ・彼はある声に気が向いた。救世主だと信じていた。失望したと。

    〈………〉ゴゴゴゴゴゴ

    ・彼はその扱いにまた腹を立て、思わず言い返そうとした。

    「待って、間違ってないから」

    〈!〉

    「海賊に酷いことをされたから信じてくれたんだよね」

  • 190◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 22:02:50

    〈……〉スン

    ・批判されてもウタはあくまでファンに寄り添う。その様子を見て彼も冷静になった。

    「その、気持ちを裏切っちゃってごめん。私は………え?」

    ・予想外の言葉があり、ウタは口を止めた。

    「うん…、—————…。シャンクスの縄張りの!?」

    ・シャンクスの縄張りから見ているファンがいた。もちろんウタは食いついた。

    「聞きたいかって?聞きたい!!お願い!!」

    ・そのファンたちは赤髪海賊団の、シャンクスたちの話をし始めた。

  • 191◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 22:11:15

    「……!……うんうん!」


    ・ウタは熱心に耳を傾けた。相槌の声は次第に弾んでいく。


    「そっか…!そうだよね…!!そういう人たちだよね…!!」


    ・シャンクスたちの人となりを聞いたウタは、見たことがないほど嬉しそうな顔になった。ファンの話すシャンクスの姿は、ウタの知るそれと同じなのだろうと彼は確信した。


    「ありがとう…!教えてくれてありがとう!!え、白ひげって?」


    ・シャンクスの話につられてか、白ひげという海賊の話をする人が現れた。配信の雰囲気はみるみるうちに良くなっていった。

  • 192◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 22:16:51

    .
    .
    「いろんな人がいるんだね」

    ・ファンの人たちは今まで聞かなかったいろいろなことを話した。それらを聞いたウタは充実したような表情を見せた。

    「みんなありがとう!お礼に休んでた時に作った曲を披露するね!」

    🎼

    🎼

    ・歌が始まると、誰もが聴き入った。その歌声を邪魔する者はいなかった。……やはり歌った曲に、彼の1番気に入ったそれは無かった。

  • 193◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 22:22:46

    「今日はこれでおしまい!」……ん?」

    ・歌い終わると、声援が飛んできた。海賊は嫌いだが、海賊の娘なのはショックだが、やっぱり歌は好きだと。ウタの配信が励みだと。これからも見たいと。

    「……!みんな!本ッ当にありがとう!配信はこれからも続けるから、よろしくね!!」

    〈……〉フフ

    ・良い流れで配信を締め括れそうだ。彼は安心した。

    「聞いた?あんたも配信に出てくれると嬉しいって!」

    〈!?〉

  • 194◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 22:50:08

    「じゃ、また〜♪」

    ピッ

    ———

    「良かった〜〜!」

    今のシャンクスの話が聞けるなんて!やっぱりシャンクスはシャンクスだってわかって嬉しい!

    「これからも配信がんばろ♪」

    〈……〉ウム

    シャンクスやみんなが喜んでくれる立派な歌手になるためにね!

  • 195二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:07:36

    このレスは削除されています

  • 196二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:23:35

    うめ

  • 197二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:24:01
  • 198◆jTjAfv9SHdw323/01/15(日) 23:28:16

    >>197

    ありがとうございます

    >>195はミスでした

  • 199二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:29:42

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:29:54

    完結まで頑張ってください!

オススメ

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