【ss】お正月のトレセイ

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:45:45

    時はまだ西暦2022年。こたつむりと化していたセイウンスカイとそのトレーナーはこたつから這い出た後、二足歩行へ進化したその脚で畳を踏みしめ、壁に掛けられたアナログ時計をジッと見つめていた。時計の針は刻一刻と頂点たる“12”へ近づいていき、間もなくその瞬間が訪れようとしていた。

    「…3」
    「…2」

    チクタク、チクタクと小気味よく音をたてながら進む針、それに合わせカウントダウンをする2人。集中に集中を重ねたその目は鷹のように鋭く、興奮のあまり口元には笑みが漏れ出していた。

    「──1!」

    残り1秒、その瞬間、彼女たちは下半身を沈め込み、空高くへと弾け飛んだ。息のあったその姿は、まるでゲートが開き一斉にスタートするウマ娘たちのようだった。
    間違いなく本気の跳躍だった。スカイはウマ娘らしく自慢の脚力でそこそこ高い天井ギリギリのところを攻め、トレーナーはそう簡単には地に足つけないぞという意地をみせた。
    そこからは、まさしく刹那。コンマ単位の時間の流れ。彼女たちが空中で静止している中で、針は最後の1メモリを刻んだのだった。

    『あけましておめでとー!』

    つまりは年越しの瞬間に、2人は地上に足を着けていなかったのだ。
    これはもう、地球にいなかった言えるのではなかろうか──


    こういうしょうもないことやってて欲しい。

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:47:26

    正月といえば、こたつ。
    こたつといえば、みかん。
    みかんといえば、赤いネットに入っている。
    このネット──みかんネットと言うらしい──す
    っごくそのまんまなお名前──の結び目をハサミでちょん切る。開いた口へと手を伸ばし、みかんを掴んでいただきます。あ、革は剥かないとね。

    テレビを見ながら休み無くみかんを食べ続ける。私だけじゃなくトレーナーさんも同じように食べているもんだから、みかんの消費速度がすごいことになっていた。間違いなくハイペースだろう。1000mで表すと50秒を切っていると言っても過言……流石に過言かなあ。

    そして終わりが訪れた。走り続けるといつしかスタミナが切れてしまうのと同じように、みかんは無限には存在しないのだ。みかんネットが空になるまで、それはそれは早かった。
    しかしまだまだ満足できていない。お正月は始まったばかりだ。こうなってしまった今、やるべきことは1つだろう。おかわりの用意だ。

    「トレーナーさん、新しいみかん持ってきてー」
    「…やだ。寒い」
    「ええー」

    何ということでしょう。いつもは割とワガママ聞いてくれるトレーナーさんも、こたつから出ることは受け入れられないみたい。
    それは私も同じだ。絶対に出たくない。でも、みかんは欲しい。

    ──だったら、仕掛けるしかないよね。

    近くにある棚へ手を伸ばし、掴んだ物をこたつの上に叩きつけた。ゴムで巻かれた紙のトランプ、表に見えるカードは、イタズラっぽく笑みを浮かべたジョーカーだった。

    「……ポーカーやりません?1発勝負で、負けたらみかんを取りに行く」
    「……ノッた」

    私とトレーナーさんの年明け初勝負が、今始まる──!


    こういうしょうもないバトル繰り広げてて欲しい。

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:49:12

    「トレーナーさん?」
    「何?」
    「毎年恒例のやつなんですけど……“お”から始まるアレ、くださいな♪」

    もちろん“お”年玉のこと。“お”昼寝とか“お”休みでも可。
    “お”から始まるものには、良いものがたくさんある。素直にお年玉をくれたことはないけど、毎年いい思いをさせて頂きまして…今年は一体なんだろう?

    「……これ、開けてみて」
    「んん?」

    手渡されたのはお年玉のポチ袋……ではなく、長方形の便箋だった。重さも厚みもないそれの中身は、やっぱり手紙かな?
    開いてみると、入っていたのは1枚の紙切れだった。手紙でもないことに困惑しながら取り出して見ると、『おれ』とひらがなで2文字が書いてあった。

    ……おれ、“お”れ、俺?

    気がつけば、トレーナーさんは俯き手をこちらへと差し出していた。……これ知ってるやつだ。プロポーズ的なアレだ。

    「トレーナーさん?」
    「スカイ、その──」

    「これ、私じゃなかったら釣れないよ?」

    雑だなあ、なんて心の中で苦笑しながら、彼の手を握りしめた。迷いなんてものは全く無かった。



    こういうのもたまにはいいよね。

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:49:38

    「…そっか、スカイ以外は釣れない仕掛けだったか」
    「そうそう、もうちょいムードとかさー?」
    「俺が釣りたかったのはスカイだから、良かった

    「……ふ〜ん」


    こういうのもいい。

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:51:33

    「カウントダウン始まったら起こしてね~」

    「なんで起こしてくれなかったんですか!!!」
    「あまりにも気持ちよさそうに寝てたし……」

    みたいなやり取りあったらいいよねって書きに来たらSSだった

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 11:54:48

    いつものセルフサービスかと思ったら怒涛の連続攻撃だった
    良きかな

オススメ

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