【SS】春の七草

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:40:01

    「あ、おはようございます、お兄さま。……何処かお出掛けになるの?」

     肌寒い冬空の元、三女神の所で、コートを着たお兄さまがいたので、どうしたんだろうと思い、私はお兄さまに聞いてみる。

    「おはよう、ライス。軽い運動も兼ねて、昼食の買い物に出かけようとしてね」

     そう答えたお兄さまに、私も今からの予定がないので小さな勇気をだして提案をしてみた。

    「あの……それじゃ、迷惑じゃなければ、ライスも一緒に着いていってもいい?…ダメかな……」

     するとお兄さまは少しだけ驚いた顔をした後に

    「ライスといるのは迷惑じゃないよ。むしろ嬉しいから大丈夫だよ。ここで待っているから、出掛ける準備してきてね」
     
    と優しく言ってくれたので、私は嬉しくなり、笑顔になって、

    「ありがとう、お兄さま。…すぐ準備してくるから、待っててね」
    と言って自分の部屋に戻っていく。
     そして、急いで着替えや身支度を整えてから、お兄さまと一緒に学園を出る。

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:40:41

     朝晩は冷え込み、寒いけど、今は空は澄み切っており、お日さまもぽかぽかと私達二人を照らし、日中は想像よりも暖かい。
     
     こうやって、二人でお外に出たのは初詣以来かなと思いながら、歩いていると、

    「年末年始と日頃より、良いもの食べたりしたから、少し体が重くてね。軽く運動でもしようかと思ってね」

    とお兄さまが話してくれたので、お兄さまにもそんなことあるんだと思いながら、

    「ラ、ライスも同じだよ。……、年始年始は美味しいものがいっぱいだから、食べ過ぎちゃうよね……」

     私もお兄さまの言葉に同調しながら、恥ずかしそうに声を小さくしながら告げる。
     
    「そうか。……だったら、ライスも一緒に昼食食べようか。今から、作ろうとするものは胃にやさしいものだから」
     
     お兄さまと一緒に昼食を食べれるようになり、嬉しくなりながら、お兄さまが何を作るのか気になり、聞いてみる。

    「ありがとう、お兄さま。お言葉に甘えてお昼も頂くね。…お兄さま、何の料理をつくるの?」

    「それはね、ヒントは今日は何日でしょう。」

     そう言われて、今日の日付から推測すると、自ずと答えが導けたので、

    「えっと、今日は7日……あっ、七草粥!」

    「正解。お粥を体調が悪い日以外作らないからね。自分からお粥目的で買い物するのはなかなかない経験かもしれないね」

    「ふふ、そうだね。ちょっと新鮮かもしれないね…」

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:42:30

     二人でお話しながら歩いて行くと、目的のスーパーに辿り着く。
     スーパーの野菜コーナーで七草粥セットやお兄様の日常品を買って、レジに向かう。
     その帰り道にお兄さまが買った物の入った袋を持ちながら、私はお兄さまの横を歩く。
     
    「ライスは春の七草を全部言える?」

    「…う、うん。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロであってるかな」

    「おお!全部あってるよ、ライスすごいね」 

    「えへへ、ロブロイさんに教えてもらったんだ」

    「それでも、凄いよ」

     お兄さまが褒めてくれたのが嬉しくて、つい笑顔になってしまう。
     お日さまを浴びて、少し暑くなりながら道を歩き、お兄さまの寮に着く。
     
    「お邪魔します」

     と言いながら、中に入り、お兄さまと一緒に台所まで向かう。
     
    「お兄さま、ライスに手伝えることあるかな?」

     私はお兄さまの役に少しでも立ちたくて、何か出来ることないかそう尋ねた。


     
     

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:43:08

    「お粥だから、そんなに手間はかからないけど、お米は洗ってくれる」

    「…うん、任せてね」

     お兄さまの指示に従い、丁寧にお米をよく洗う。その間、お兄さまは、鍋を2つ用意し、洗い終わった米と水でお粥を炊いて、もう一つの鍋に水と塩を入れ、湯を沸かしていく。
     湯が湧いたら、春の七草セットを湯でサッと茹であげ、刻みこむ。
     
     お粥が炊いたら、塩で味を整えつつ、刻んでいた春の七草と混ぜ合わせると七草粥の完成。用意していた、お椀に盛り付けて、お兄さまはテーブルへと運んでいく。

     お兄さまと一緒に席について、

    「「いただきます」」

     と手を合わせて、お兄さまと一緒に七草粥を口にする。
     七草の葉の苦みと共に薄い塩味であっさりと食べやすく、優しい味わいのお粥が口の中に広がっていく。七草粥をゆっくり食べると、お腹の中から温かくなってくる。
     ふと、お兄さまの方を見ると、目を細めて微笑んでいて、 いつもより、穏やかな表情をしていた。

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:43:44

    「お兄さま、どうかしたの?」
     
     私は不思議になって、お兄さまに尋ねてみると、

    「七草の粥には一年の無病息災を願いが込められているから、ライスには怪我なく過ごして欲しいと思ってね」

     お兄さまはそう答えて、また七草粥を食べ始めた。
     
    「優しいお祈りありがとう、お兄さま。ライスもね、今年も怪我なく走りたい」
     
     お兄さまの優しさが心に染み渡りながら、私も七草粥を食べる。
     お兄さまの気持ちも一緒に噛みしめながら……。

    「ごちそうさま。お兄さま、とても美味しかったよ」

    「それは良かった。喜んでくれて嬉しいよ」

     お兄さまと一緒に後片付けをして、お茶を飲みながら、ゆっくりと過ごした。

    「ねえ、お兄さま。今年もライスと一緒に一着目指して走ろうね」

    「ああ、もちろんだよ。今年もよろしくね」
     
     お兄さまがそう言ってくれたことが嬉しくて、思わず笑ってしまう。

    「ふふっ、こちらこそ改めて、よろしくお願いします。お兄さま」

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:49:42

     2日早いですが、春の七草で書きました。ライスでお米ものを書いてみました

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