- 1◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:09:29
- 2◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:09:45
- 3二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:11:09
サラ系か…ヒカリデユール一択やな
- 4二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:11:37
ゴーカイ
- 5二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:11:42
このレスは削除されています
- 6二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:12:30
ヒカリデユール
- 7二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:12:43
ヒカリデユールやん
- 8二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:12:44
テスコボーイ
- 9二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:13:18
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:13:30
サラ系なら他にもランドプリンスやヒカルイマイも居るから…
- 11二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:13:47
80年代にありそうな配合だね
- 12二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:15:03
ヒカリデユールは1992年用途変更でJG1は1999年からなんで最低でも7歳の頃か…?
- 13◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:27:54
父はヒカリデユールで母父はテスコボーイだった。
両親のどちらにとっても最後の仔であった彼女は
dice1d3=3 (3)
1:名もない小さな牧場で育ち
2:中堅どころの牧場で育ち
3:父の出身牧場で育ち
デビュー前から
dice1d3=3 (3)
1:高い評価をされていた
2:そこそこの評価をされていた
3:まったく期待はされていなかった
- 14◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:28:13
馬は全く期待はされていなかった。
その馬体は
dice1d3=1 (1)
1:父ヒカリデユールに似て黒鹿毛の大きな馬体で
2:母父テスコボーイに似て黒鹿毛の中ぐらいの馬体で
3:父にも母父にも似ずに小柄な馬体で
dice1d4=4 (4)
1:蹄はやや弱いがトモのハリが良く心肺機能に優れていた
2:足腰は丈夫だが内臓がやや弱く、その分スピードに優れていた
3:虚弱体質ではあったが根性があり物覚えがよかった
4:臆病で馬馴れせず育成に苦労したが丈夫で我慢強かった
(4の場合地方スタートのイベント)
- 15◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:28:47
地方スタートイベント
dice1d99=13 (13)
〜39:地方スタート
〜99:中央スタート
- 16◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:30:34
牝馬は2歳の春
dice1d3=2 (2)
1:大井競馬場に所属した
2:川崎競馬場に所属した
3:船橋競馬場に所属した
デビューしたのは
dice1d4=3 (3)
1:砂の1000mだった
2:砂の1200mだった
3:砂の1500mだった
4:砂の2000mだった
- 17◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:31:44
2歳の砂1500m新馬戦が牝馬のデビューとなった。
牝馬は
dice1d99=5 (5)
(55以上で勝利)
- 18二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:33:07
あらら…
- 19二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:33:58
地方行きイベントをしっかり回収してて草
- 20二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:42:09
このレスは削除されています
- 21◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:42:44
牝馬を地方競馬に出すとオーナーが言った時、牧場主は悲しげに目を伏せた。
牧場主にとってこの牝馬は、他の馬よりも思い入れ深い。
何せ地方馬として、そしてサラ系の馬として初めて年度代表馬馬となったヒカリデユールの、最後の仔なのだ。
牝馬の父が現役だった頃も、サラ系へのあたりはきつかった。
血統重視の今ともなればもっと厳しい。
“サラ系”
そのレッテルを貼られた馬が日の目を浴びるには、ひたすらに勝利を積み重ねる以外にはない。
そしていつか、ヒカリデユールの名前をまた、中央の舞台に踊らせたかった。
そんな中で決まった地方デビューに複雑な心境は隠せない。
だが牧場主にはもう、見守ることしかできなかった。
「粘るんだよ」
馬運車に乗せるとき、そう囁いて送り出した。
しかしその祈りも虚しく、牝馬のデビューレースは惨敗だった。
当歳時の臆病な性格がその走りを邪魔した。
揉み合う馬群から弾き出され、最後方をトボトボと歩く姿が痛々しかった。
だが牝馬の歩みが止まることはない。
北海道から遠く離れた神奈川県のその大地で、牝馬は勝利を目指し、走り続けた。
dice1d99=48 (48)
(55以上で勝利)
- 22二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:44:27
このレスは削除されています
- 23◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:44:56
何度も、何度も、何度も走った。
3歳の春を迎える頃、牝馬はすでに12戦していた。
dice10d99=48 34 73 3 36 64 54 62 64 57 (495)
(55以上で勝利)
- 24二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:46:01
12戦5勝か
弱くはない、ないんだが…… - 25二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:46:30
後ろの方の1足りない&3連勝が軌道に乗った感あっていいね
- 26◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 14:58:26
4戦目で初勝利を挙げた。
5戦目は砂の1200mに挑戦し惨敗。
同距離を1戦挟んだ7戦目に中距離路線に出るとここを快勝。
もう1戦だけ短い距離を試したが、アタマ差で負けて距離適性を確認した。
9戦目からは中距離以上を選ぶと3連勝し、牝馬の調子は上向いた。
その全てのレースを、牧場主はビデオ越しに見た。
この頃になると、調教師は関東オークスを視野に調整するようになった。
中央との指定交流戦でもあるこのレースは、いわば地方版の優駿牝馬だ。
ヒカリデユールが勝ち取ってきた重賞と比較すると、それは些細なものかもしれない。
でも挑戦することに意味がある。
ヒカリデユールの、サラ系の牝馬が勝ち取ることそのものに、意味が。
かくして牝馬は、その大舞台に踏み出した。
dice1d99=50 (50)
(55以上で勝利/40以下の場合怪我イベント)
- 27二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 14:58:56
惜しい!
- 28二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:00:05
いけそうでいけない曲がりくねった凸凹道
- 29◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 15:17:36
牝馬は後一歩、足りなかった。
関東オークス。
父母のどちらかでダートに優れた成績を持つ、同世代牝馬の壁は厚かった。
後方から一気の強襲を仕掛けた牝馬の、その勢いも虚しく、2馬身差2着に敗れた。
嬉しいことがあるとすれば、牝馬がじわりと先行集団に迫ったその時、実況が「ヒカリデユールの忘れ形見」と、父の名前を呼んだことだろう。
その栄光がすでに過去のものとなって久しいヒカリデユール。
あの時競馬場にいたいったい何人がその名を覚えていただろうか。
ああ、あのサラ系の、と。
5秒にも満たない認識で終わってしまうだろうか。
いいや、終わらせてはならないのだ。
終わらせないために、牝馬がここにいる。
その次走が決まったのは、関東オークスからそう日が経っていない時のことだ。
「ブリーダーズゴールドカップに出ようや、オーナーさん」
BCゴールド Cは札幌競馬場の砂2400mで開催される。
創設当時は帝王賞と並んで中央指定交流戦であるこのレースには、当然、中央のダート馬も参戦する。
それもただのダート馬ではない。
重賞勝ちの経験もある、古馬も多く参戦するのだ。
牝馬が出走するには、あまりにも格が高すぎるレースだと思われた。
しかし調教師はためらうオーナーを一喝し、挑戦するよう促した。
「この馬はスタミナがある。ブリーダーさんも言ってたでしょ。ヒカリデユール由来の末脚に、テスコボーイ由来のスピード……ここまでの勝ち方を考えれば長い距離を嫌うわけでもない。なら、腕試しがわりに試しましょうや!」
勢いに半ば押されるような形ではあったが、オーナーは頷いた。 - 30◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 15:22:35
10月。
札幌競馬場で、その舞台は幕を開けた。
砂2400mは牝馬にとって初めての距離。
不安が隠しきれていないオーナーとは異なり、調教師はどこか涼しげな横顔をみせた。
「……俺にとってはこれが、ジャパンカップだな」
その呟きをかき消すように、ゲートは開かれた。
dice1d99=59 (59)
(55以上で勝利/40以下で怪我イベント)
- 31二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:24:56
このレスは削除されています
- 32二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:25:40
やったぞ!
- 33二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:26:21
勝った!
- 34二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:31:06
「いつか。いつか。」のいつかが来たぞ
- 35◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 15:38:20
これで牝馬は重賞馬になった。
オーナーの元にも、調教師の元にも牧場にも。
多くの問い合わせがあった。
父がヒカリデユールであることも取り上げられた。
サラ系ゆえに種牡馬として大変な苦労を強いられた馬の仔。
芝と砂とで舞台は違えど、低人気でありながら後方から昇ってくるその姿を、懐かしく思う競馬ファンはまだいたのだ。
涙で視界を歪ませながら、牧場主は牝馬の姿を目に焼き付けた。
一方その頃、記者に次走について何度も電話を受けていた調教師は頭を抱えていた。
調教師の中ではこのレースに出したいという思いはあったが、いかんせん、オーナーとはレースの祝杯後から連絡が取れなかったのだ。
オーナーの実家は南の方にあり、勝利を祝って一度帰宅すると聞いていた。
携帯電話の普及もまだ緩やかな時代。
固定電話の蛇腹線をくるくると触りながら、調教師は今日も連絡を待っていた。
そうして辛抱強くまった、ある日の夜。
調教師の元にオーナーの家族から電話があった。
dice1d99=31 (31)
(20以上でオーナー逝去)
- 36二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 15:39:37
あああ…
- 37◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 15:59:56
「オーナーが事故で……!?」
まだ55歳の若さだった。
ヒカリデユールが生まれた1977年、オーナーは38歳だった。
その時期にちょうど競馬にハマり、馬主になることを志すようになった。
そのきっかけになったのは、地方から中央入りし、年度代表馬馬にまで上り詰めたヒカリデユールの存在があるという。
オーナー自身も恵まれた家庭環境で育ったわけではない。
跡取りに恵まれなかった家に養子に貰われたが、新しい両親と馴染めず衝突を繰り返し、ついには中学卒業後に単身で東京に出た。
そこからは飛び込み営業を繰り返して稼ぎ、自社を興し、がむしゃらに生きて。
だというのに、生まれはどこまでもついて回り、好いた女の親族からは結婚の許しも得られなかった。
そんな自分の姿を、ヒカリデユールに重ねていたのかもしれない。
馬主としての資格を得ると、オーナーは真っ先にヒカリデユールの仔を買った。
地方で走らせる決意をしたのは、臆病な馬の性格を想って、走りやすい場所を選んだつもりだったのだ。
牝馬は期待に応えるように頑張って走り、ついにはオーナーに重賞勝ち馬のオーナーという称号まで与えた。
嬉しかった。
年が明けたら中央入りさせたいと思うくらいに。
しかしその願いが叶うことなく、オーナーは一足先に天国へと駆け出してしまった。
オーナーの葬儀は静かに執り行われ、その遺産相続も進められていった。
だがある一点において、親族たちは頭を抱えた。
牝馬の存在だ。
親族たちの話し合いの末、牝馬は
dice1d99=53 (53)
〜49:親族で相続
〜99:他の馬主に売却
- 38二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:01:41
あっ…
- 39二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:02:44
まあ、そうなるわな
- 40二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:08:38
ちゃんとわかってくれる人のところにいければそっちの方が幸せよ。馬主なんて金溶かすのが役目みたいなもんだし親族が相続だとな...
- 41二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:09:38
メイセイオペラ思い出したがあっちは奥さんが引き継いだっけか
- 42◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 16:12:38
苦渋の決断だった。
数日にわたる話し合いの結果、牝馬は、他の馬主に売却されることが決まった。
ほどなくして、牝馬の新しいオーナーが決まった。
新しいオーナーは
dice1d3=2 (2)
1:何頭も重賞馬を所有する有名オーナーだ
2:重賞馬は所有していないが中堅どころのオーナーだ
3:まだ駆け出しの新人オーナーだ
そのオーナーの元で牝馬は中央入りすることが決まった。
別れの日、川崎競馬場での担当調教師は牝馬の鬣を撫で、その頭をゆっくりと抱きしめた。
「中央は怖いところだ。嫌な思いもするかもしれない。でも……お前がどこにいても、俺たちはお前を忘れたりはしないよ」
だからいつか戻ってこい。
母の名で、いつか、ここに。
- 43◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 16:13:03
中央入りした後、牝馬はたくさん走った。
関東オークス2着とBCゴールドC制覇の成績から、やはりダート路線。
日々は瞬く間に過ぎ去り、気づけば中央入りしてから1年。
牝馬は5歳になっていた。
4歳での中央入りからの戦績は
dice10d99=37 99 72 39 83 37 79 70 64 4 (584)
(中央入りでメンバー強化のため80以上で勝利)
- 44二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:16:25
うーんまあ...まぁまぁじゃないか?
- 45二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:16:49
10戦2勝で惜しいのが3つくらい?
- 46◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 16:24:09
10戦して2勝。
勝ったレースはいずれも中長距離で、牝馬の適性を如実に表していた。
「そうか、君は長い方が好きか」
牝馬は丸い瞳をさらに丸めた。
新しいオーナーはよく馬に話しかける男で、前のオーナーと比べてさらに若い。
家業を継いだんです、と前オーナーの親族に挨拶に来た男の肩書きは、代表取締役社長。
頻繁に牝馬に会いにきては、厩務員からブラシを預かって、その鬣を梳く時間を愛した。
「……先生、ものは相談なんですけど」
牝馬は前走での怪我をきっかけに長期療養中だった。
復帰の目処は5歳の秋と、まだまだ先だ。
その間にも中央は目まぐるしく変わっていくのだろう。
あれほど強いと思っていた馬が衰えたり、あるいは戦場を去ったり。
かと思えば素質だけと思っていた馬が覚醒したり、新勢力が台頭したり。
一切気を抜けないのが中央という魔境なのだ。
牝馬が戦場に戻る頃、果たして、どこまで通用するのだろうか。
どこまで届くのだろうか。
「不安がっている場合じゃない。きっと、踏み出す勇気を求められているんです」
だからジャンプレースに行きましょう。
出会った頃はただ頼りなさげに立っていたオーナーは、牝馬の鬣を撫でながら、確かな決意を持って笑った。 - 47二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:25:50
この新オーナー...前オーナーと違ってボンボンかと思いきやガチの有能パターンだな?
- 48二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:27:10
ヒカリデユールのようにサラ系みたいな立場で上り詰めた前オーナーの次が、純正サラブレッドのようなオーナーなのがなんというか、なんというかさ
- 49◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 16:34:58
4歳以上障害未勝利戦。
そこに牝馬が出ると聞いた時、川崎の調教師は文字通り顎が外れそうなほど驚いた。
「あの臆病な馬が障害だって? 正気なのかよ、オーナーはよ!」
その調教師にとって、牝馬は気弱で臆病で、馬群に少しでも揉まれると走ること自体をやめてしまいそうな、そんな繊細な存在だった。
だからこそ人一倍驚いてしまったのかもしれない。
いてもたってもいられなくなり、調教師は熱り立った頭をそのままに、障害レースが開かれる競馬場へと向かった。
そしてそこで、牝馬の飛越を見た。
dice1d99=79 (79)
(30以上で勝利)
- 50二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 16:35:47
快勝!
- 51◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:00:15
牝馬は目標を中山大障害・春とした。
かつてはアラブ大障害や地方競馬でも大障害が開かれるなど、高い人気を誇っていたのも今は昔の話。
障害レースは徐々に人気を落とし、賞金も、出走する馬も減っていった。
そんな中であっても、中山大障害の存在感は変わらない。
障害馬になったからには目指すべき高み。
そこに至る賞金積み重ねのため、牝馬はいくつかのオープ戦に挑むことになった。
dice3d99=79 70 36 (185)
(20以上で勝利)
- 52◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:00:40
そして春。
うららかな晴天のその日。
牝馬は、大レースを迎えた。
「調子はどうだい」
オーナーが牝馬の目を覗き込む。
牝馬はじっと見つめ返すも、遠くから他馬の嗎を聞いてさっと耳を伏せていた。
臆病なのは今も変わらないのだ。
馬群に潜ると怖がるし、他馬が近づいてくると身体が強張ってしまう。
しかし牝馬が走りを止めたことはない。
どうであれ最後まで走り、必ずオーナーのもとに戻ってくる馬だった。
だからオーナーは、実はそんなに心配していない。
でも静かに祈っている。
1つ1つの障害を無事に乗り越え、また、彼女に触れられることを。
「いってらっしゃい、ヒカリの仔」
その声に背を押されるように、牝馬は一歩を踏み出した。
dice1d99=32 (32)
(20以上で勝利)
- 53二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:01:14
全勝してる‥!
- 54二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:07:27
おめでとう!
- 55二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:09:21
お強い!
- 56◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:20:01
【号外】
『ヒカリデユールのラストクロップ、── が中山大障害・春を快勝。前年覇者をクビ差凌いでの見事な走りに、競馬場内からは盛大な拍手が贈られた』
その新聞を片手に、牧場主は蹲っていた。
溢れ出す涙が止められず、足もガタついて、ただ、立っていられなかった。
ヒカリデユールの仔。
いつか帰ってこいと願われた馬の仔が、中央の障害レースを制した。
黒鹿毛の馬体は父に瓜二つで、あの日、優勝レイをかけられて佇むヒカリデユールを思わせる。
ずっと無念に思っていた。
サラ系でさえなければ。
そうとさえ呼ばれていなければ。
近縁に活躍馬を多く持つ良血のヒカリデユールは、きっと、種牡馬としてもっと大切に扱われたはずなのだ。
誰もが忘れずにはいられないほどの存在感を、放ったはずなのだ。
そして今頃……。 - 57◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:20:48
「場長」
「……見つかったか?」
「すみません……」
種牡馬を引退した後、ヒカリデユールの行方は依然として知れない。
ラストクロップであるあの牝馬が活躍し始めた頃から、牧場長はその行方を追い続けていた。
見せてやりたかったのだ、この涙を。
なあ、ヒカリデユール。
お前の血は間違ってなどいなかった。
だってほら、お前の仔は、こんなにも力強く走っている。
そう、涙と共に、言ってやりたかった。
……── 季節はまためぐる。
秋。
冷たい風が吹く中山競馬場。
牝馬は馬具を装着されながら、どこか遠くを見ていた。
誰もが見えていない、遠くを。
そして小さく頷くと、顔をあげる。
その顔を、不透明な手が、優しく撫で上げた。
dice1d99=45 (45)
(1以上で勝利)
- 58二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:22:32
勝った
- 59◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:28:15
牝馬はダートとターフの境目を綺麗に踏み抜いて走る。
他馬より少しだけ離れた位置からレースを進めて、けれど、障害物を飛ぶその脚のなんと鮮やかなことか。
父によく似た黒鹿毛は霞んだ芝にもよく映えて、ぐっと踏み込んで飛び上がる瞬間は翼を広げているようにも見えた。
それほどまでに美しい飛越で持って、どこか遠くで見ている誰かの、その不安ごと吹き飛ばしたのだ。
「なんだよお前……牡馬にも負けてねえじゃんか……」
最後の障害物を飛び越えた後、待ち受けているのはゴールまでの直線。
おぼつかない脚で飛んでいた馬も、この直線に力をいっぱいに注ぎ込んで飛ばしてくる。
牝馬の前を走っていた牡馬は、平地の芝レースで重賞に勝ったこともある。
俊足で知られたその馬を追うのは至難の業だ。
だが牝馬は追い詰めた。
狙いをただ一点に定め。
その背中を捉え切り。
そして── ゴール板を踏み締めた。
「──競馬場に響く拍手! さんざめく声に紛れ、ヒカリデユール! ヒカリデユールを呼ぶ声です!」
ほら、約束通り帰ってきたぞ。
どこからかそんな声が聞こえた。
誰が言ったわけでもない。
ただ、風が。
そう、風が。
ヒカリデユールの声を、真似たのだ。
きっと。 - 60二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:31:54
風がヒカリデユールの声を真似るのあまりのもオシャレ表現すぎるだろ
- 61二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:37:42
はいJRAと競馬民の脳が焼かれました(n回目)
- 62◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:46:59
サラ系とは、人間の怠慢によって生み出された存在だ。
その血統を証明するものを零したが故に、決して少なくはない馬が涙を呑んだ。
運命が変わった。
受けるに値する賞賛を受け取り損ねた。
それでも。……それでも。
その逆境に足掻いた馬が存在する。
血を残そうと努力した人間がいる。
絶え間無く揺れ動く時代の中で、懸命に生き続けた人馬が、いる。
7歳の春。
牝馬は、生まれ育った牧場に戻ってきた。
時代は間も無く2000年。
変わっていく、その一歩手前で降り注いだ光。
彼女は牝馬として初めて中山大障害・春/秋を制した名牝。
父の名を伴って中央に立ち、輝きを残し。
そしてまた、願われる。
ヒカリデユールのヒーロー列伝には、こう書いてある。
『栄光の数よりも、栄光への道のりが、人生を語る』
牝馬もそうだ。
栄光へ至る道程にこそ価値がある。
その名牝の名を、──。
鮮やかな飛越で咲き誇る、ヒカリデユールの娘。
〜 完 〜 - 63二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:50:32
このレスは削除されています
- 64二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:51:06
今度は母父の名で戻ってこい
- 65二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 17:52:25
このレスは削除されています
- 66◆TJ9qoWuqvA23/01/06(金) 17:56:07
駆け足でろくに安価もできませんでしたが、お付き合いいただきありがとうございました
- 67二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 18:01:42
今回も良かった
こんないつかなら何度でも見たい - 68二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 18:40:17
もう方向性を決めるだけダイス振って、後はダイス仕舞ってもいいのでは?(極論
- 69二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 18:47:55
安価が少ないからこそ綺麗にまとまってるんだと思う
出走レースとか脚質とかそういうの安価にしたらどうせ変なのスナイプするやつ出てくるじゃん
昨日の父安価でちんぽ出してきてるやついるんだぞ - 70二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 19:07:53
読んでて何か涙出てきた
ありがとう - 71二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 19:08:20
このレスは削除されています
- 72二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 19:12:18
新馬戦から55は高い
勝たなきゃ始まらない所は緩くするかいっそ確定勝利でいいよ
悪戦苦闘も良いが、どうせなら重賞に挑む段階でやったほうがカッコいいよ - 73二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 19:20:01
- 74二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 20:14:06
泣くわ
- 75二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 23:21:51
真面目にあにまんなんかにいるべきじゃない文才
よくよく考えたら史実に影も形もない架空馬アンド架空登場人物なのにボロボロ泣きながら読んだわどのスレも