「トレーナー君、あたしね──」

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:53:06

    ふと、マルゼンスキーが切り出した。
    時刻は夕暮れ。季節は秋。そろそろ風が肌寒く感じ始める頃だ。
    そんな中、僕とマルゼンスキーは、屋上から後輩達の練習風景を眺めていた。お互いオフなのもあって、世間話や次の目標レースについてなんかをゆっくり話しつつ、そろそろ帰ろうかと切り出そうとしていた、その時である。

    「あたしね……結婚するわ!」

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:53:52

    トレンディドラマ始まったな…

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:54:29

    保守

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:55:05

    テケテーンッ!

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:56:21

    あのー日あのー時ぁーの場所ーで

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:56:53

    これ駆け落ちするパターンじゃん

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:57:22

    結婚式場に乗り込むやつか?

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:59:38

    回れ 回れ merry go round(異端)

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:00:25

    いきなりの宣言に、思わず言葉を失う。そんな僕の反応を見てなのか、彼女は慌てて取り繕うように付け加えた。
    「あーっと! ちょっと待って? その前に確認しておきたいんだけどね?」
    そして今度は一転して真剣な表情になる。
    「皆には……まだ内緒にしておいてくれるかしら?」
    「えっ? はぁ……」
    皆とは、学園の皆の事か。今こうして僕に伝えているのに?などともやもやとした気持ちを抱えつつも、とりあえず素直に従うことにする。するとマルゼンスキーはほっとしたような顔をした。
    「良かった!それじゃあ……改めて言うけど、あたし、今度お見合いすることになったのよ」
    やはり言葉に詰まる。当然だ。担当ウマ娘から急にこんな話題を振られて、動揺しない者などいない。
    「えっと…それはまた、急な話だね…」
    言いたいことは山程ある。筈なのに、まず口をついて出たのはそんな言葉だった。
    「ごめんなさい。でも実は、結構前から話はあって……。それにほら、もうすぐ卒業でしょう?だから早いうちにって」
    そう言って微笑む彼女。しかし、僕はどこか上の空だった。いかんせん突然過ぎたのだ。先程まで、そんな話をする様な素振りは全く無かった。それどころか、今まで彼女から恋愛やら結婚やらに関する話題を聞ける事などなかったのだ。
    正に青天の霹靂。今は夕方だが。とにかく理由はなんであれ、彼女がそういう決断をした以上、応援するのが自分の務めだろうと思う。

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:11:24

    「それでね、相手の方が是非にと言ってくれてね。来週の日曜日に会おうって話になったの」
    マルゼンスキーが話を続ける。どうにも現実感がない。まるで夢の中にいるようだ。
    「もちろん当日着ていく服も決まってるわ!最高にチョベリグなドレスを最近みつけたの!…それから、これはとっても大事なことなんだけど……もし上手くいったとしても、しばらくは誰にも言わないで欲しいの。いいかな?」
    「あ、あぁ…それは構わないけれど…」
    あまりにも呆気に取られてしまい、気のない返事になってしまう。正直、あまり頭に入ってこなかったが、彼女の意志を尊重しようと決めている身としては断るわけにもいかない。
    「けれど?」
    歯切れの悪さに、マルゼンスキーも首を傾げる。

    僕は彼女のトレーナーだ。それ以上でも以下でも無い。しかしだからこそ不安に思うのだ。
    ──「マルゼンスキーが結婚する」。それはつまり、彼女が近いうちに引退するという事ではないかと──
    結婚して家庭を持っても、競技者として活動することは決して不可能ではない。彼女の走る理由を考えれば、尚更だ。それでも、「家庭の為の時間」が生まれることは確かなのだ。いずれはそちらに重きを置かなければならない時が来るし、そうすべきだとも思う。だが……

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:16:18

    「トレーナー君?」
    考え込んでいた僕を不審に思ったのだろうか。マルゼンスキーは怪訝な顔で僕の様子を伺う。
    「あぁごめん!ただ余りにも唐突だったから、少しびっくりしちゃって…」
    「そう?ならいいんだけど…」
    彼女はまだ釈然としないようだったが、ひとまず納得してくれたようだった。
    「ところで、そのお見合いの話なんだけれど……」
    再び、緊張の糸がピンと張る音がした。
    「うん」
    「あたし、断ろうと思ってるの」
    ………
    「……え?あ、えっと…その……どういう事?」
    余りの突飛さに目眩がしそうだった。「結婚する」「お見合いをする」ときて、次が「縁談を断る」などと言われても、到底理解できる訳が無い。矛盾している。一体何を考えているのだろう?

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:17:19

    チョベリグなドレスを着ていって、お断りするの…?

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:18:49

    >>12

    お見合いをする以上はそれ相応の身嗜みをするのが礼儀だろう。断るにしても

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:19:29

    「どういう事って言われても、そのまんまの意味よ?お見合いはするけど、縁談は断るの」
    「ちょっと待って、やっぱり分からない。じゃあなんで『結婚する』だなんて──」
    言い切る前に、僕の口を彼女の指が塞ぐ。そしてマルゼンスキーは悪戯っぽく笑った。
    「だって、あたしはトレーナー君と結婚するから♪」
    「……っ!」
    息が止まりそうだった。お化け屋敷も絶叫マシンも得意ではないが、この衝撃の前には霞んでしまうだろう。それほどまでに、僕は動揺していた。
    「な、何を、言って……!?」
    ようやく絞り出せたのはそんな言葉だけだった。しかし、混乱する僕とは正反対に、彼女は冷静に言葉を続けた。
    「あら、じゃあトレーナー君は、あたしが嘘をついていると思っているの?」
    「いや、そうじゃなくて…!」
    一呼吸置いてから、なんとか言葉を紡ぐ。
    「…僕は君の担当トレーナーで、君はまだ学生だ。それは出来ないよ。」

  • 15二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:20:19

    うおおおお!!ありがてぇ…マルゼンさんありがてぇ

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:21:51

    >>13

    それもそうだ

    お相手をちゃんと立てないといかんもんな

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:23:00

    「そんなの分かってるわ。ちゃんと卒業してからよ?」
    「いや、そういう問題ではなく……」
    「じゃあ、どういう問題?」
    マルゼンスキーが、また笑う。風に靡く栗色の髪が美しい。思わず目の前の彼女に見蕩れてしまう。
    ふと気づいた時には、彼女の両手が僕の頬を優しく包んでいた。
    「君は、あたしの事好き?」
    「……っ!、それ、は…」
    「ほら、目を逸らすの禁止ね♪」
    視線を外そうとした途端に、両手に力が込められる。顔を固定されてしまい、もう逃げられない。
    「答えて?」
    「……好きだよ」
    「もう一度」
    「好きだよ、マルゼンスキー。僕は君を愛している。」

  • 18二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:27:26

    口にして、初めて理解した。僕は彼女が好きなのだと。
    確かに競技者としてのマルゼンスキーを見れなくなる事にも不安を抱いた。だがそれ以上に、本当は悲しかったのだ。彼女がどこか遠くに行ってしまう様な喪失感。至極単純な、失恋のショック。それこそが僕の本心だったのだ。
    「ふふっ、トレーナー君ったら、顔が真っ赤♪」
    「その、あんまり…こういう事は、言い慣れてないから」
    「えぇ、知ってるわ。そういうところも好きよ」
    マルゼンスキーが微笑む。僕も釣られて笑い返す。

    「それじゃあ、まずはちゃんと…説明しないとね」
    「そうね…じゃあ一緒に来てくれる?」
    そう言った彼女は、取り出した車(タッちゃん)のキーを指でくるっと回す。
    「? お見合いは日曜なんじゃないの?」
    「まずはお母さんに、でしょ?」
    なるほど。これは骨が折れそうだ。
    「納得してくれるといいんだけど…」
    「だいじょうVよ!お母さん、あたしの意思を尊重するって言ってくれてたし!」
    「信じていいんだね?」
    「モチのロンよ!」
    ………

  • 19二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:33:59

    気づけばもう日は沈み、ポツポツと星が見え始めていた。
    タッちゃんの助手席に乗りながら、今後の事を考える。
    皆にはいつ伝えよう?
    彼女はいつまで走り続けるのだろう?
    不安が無い訳ではない。だがそれ以上に今は、どこか達成感にも似た爽やかさを感じていた。それに今も、これからも、一緒に走ってくれる人がいる。
    なら、進もう。胸を張って。幸せになるために。

    秋風は、冷たくてあまり好きじゃない。けれど今日の風は少しだけ、心地よかった。

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:38:07

    以上、妄想をAIに助けてもらいながら垂れ流す枠でした。
    何分ノリと勢いの産物なもんで、多少の設定ブレやら文章力の無さなんかはスマンなの

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:38:57

    とてもよかったです

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:40:04

    マルゼンssとか神か?

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:40:34

    よかった…実にトレンディ

  • 24二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:41:51

    王道は色あせないからこそ王道なんやな、って
    面白かったです!

  • 25二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:43:20

    トレーナーとの結婚を前提にしてるのに断るとはいえお見合いには行く…妙だな

  • 26二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:44:08

    これがトレンディ...流行るのも納得できる素晴らしい破壊力だぁ

  • 27二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:44:32

    ゲキマブはこういうムーブが似合いすぎる…

  • 28二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:45:01

    >>25

    トレーナーを追い詰めて発破をかけてるんやぞ

    クソボケだと【頑張って!】とかいう選択肢を選ぶ

  • 29二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:46:56

    チャンネーやっぱめちゃかわいい

  • 30二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:47:08

    >>28

    見事にその目論見は成功してますね…今までちゃんと恋心を自覚してなかったのがこれをきっかけにやっとわかったと…すごいな

  • 31二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:51:30

    この激マブはそのうち万病に効く

  • 32二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:55:12

    ありがとう、良いSSです

  • 33二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:58:18

    感想ありがとうございます

    正直SSどころか妄想を文字にするの自体初めての試みだったんで、伝わる文章が書けるかどうか自信なかったけど、好評頂けてウレシイ…ウレシイ…

    あと、マル×トレは良いぞ…

  • 34二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:25:49

    トレンディな爽快感があって実に良かった…

オススメ

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