- 1二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:22:37
「──まさか全焼するとは」
「貴方は……元から"彼ら"に好かれるんです」
マンハッタンカフェのトレーナーのコートが突如発火し空を舞った。
古着屋で安く手に入れたブランドもののコートは曰く付きだったらしい。
居合わせた理事長代理が腰を抜かした事は秘密だ。
新調にあまり乗り気でないトレーナーだったが、
「今や名物トレーナーですから……。いつまでも古着で済ませてはいけません」
「はい…デートです」
立場の変わりようと愛バのお誘いには敵わずこうして久しく明るい街へ繰り出していた。
「上着は……明るい色にしませんか?
私が影に溶けていっても、貴方を見つけられるように」
勝負服を着て走るカフェを見た時の言葉を始まりに、次々とコーディネイトされていく。
淡い黄色のセーター。黒いスラックス。紺色のベルト。 - 2二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:34:29
(少し脚の暗さが気になりますが、なぜか収まりが良いような──)
何かが頭にひっかかって選んだ服を着せられたトレーナーを眺めていると。
「この色合いってもしかして」
少し意地の悪い顔をしたトレーナーが、手を引っ込めて余った裾を上下に振ってみせた。
どこかで見覚えのあるポーズを見て、いつもの気取った高笑いが頭の中で再生された。
「…………他のにしましょう」
「近くにいると引っ張られるんだね」
「他のに、しましょう……!」 - 3二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:39:47
結局、コート以外を緑と茶のアースカラーで纏める運びとなった。
「今日はありがとう、カフェ」
「いえ……」
「第二候補はアースカラーなんだな」
「第一候補だった訳じゃ……。貴方は、アンカーですから」
「アンカー?」
「はい。私が遠くに消えてしまわないための、私をここに繋いでくれる碇です。」
「碇か…。じゃあ、しっかり繋いでおこう」
「……はい」
差し出された手を取り、帰路につく。
惜しんで歩調が遅くなっても、急かす者はいなかった。 - 4二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:40:15
おわり。
- 5二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:40:41
いいわね
- 6二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 23:41:45
アースカラーと黒はよく合うんだ
もちろんクリーム色にも合うぞ
カップルコーデは完璧だな - 7二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:03:06
これはカップル
- 8二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:05:20
- 9二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:10:19
おでかけイベントで今後数年の約束を取り付けるの強いよね…
- 10二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 00:17:04
とても良かったです。好き