【閲覧/CP注意】地球で見つけた兄さんの

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 19:46:34

    (やけに小さく見える背に在るのが、罪なのか、傷なのか、それとも別のなにかなのか。ラウダにはわからずにいる)

     地球、空気のきれいな森の中にある、小さな屋敷。そこがラウダに与えられた新たな住処だった。
     __CEOヴィム・ジェタークの、突然の訃音。
     テロに巻き込まれて戦没したというしらせは瞬く間に社内を駆け巡り、上を下への大騒ぎ。とにかく新たな頭を立てねばならない、となった時に、それはもう荒れに荒れた。元より親族経営の会社だ。最初はラウダが新社長になればよいのではないかという話もでてきたが、いくらなんでも若すぎるし、ジェタークの姓を名乗っていない彼に難色を示すものも多い。ヴィムの後釜を狙っていた人間も、同じくらい多い。
     そういう訳で存在自体が邪魔となったラウダは、ほとんど情報が入ってこない中で、いつの間にか退学させられ、ジェターク家の別邸で早すぎる余生を過ごす運びと相成った。金も物資も渡すから、とにかくこちらに関わるなと。早い話が飼い殺しである。
    (一体、どうして……)
     未だにラウダは現実感がなく、茫然自失から抜け出せずにいた。グエルは行方不明のまま。ヴィムはいなくなってしまった。学園でできた友人とも、おそらくはもう会えない。
     __塞ぎ込んでいるから、こんな考えが出てくるのだろう。
     気晴らしに散歩にでも行こうか。そう思って、ラウダは立ち上がる。扉を開けると、新鮮な酸素が肺を満たした。この森は美しい。宇宙ではみることのできない、本物の自然、天然の世界。ちらりと通りがかっただけだが、野薔薇の花畑まであった。あとで摘んで、部屋にでも飾ってみようかと思う。
     しばらく歩いていると、ふと、パイロットスーツを着た人影を見つける。こんなところに誰が、と思って観察していると、それはふらふらと足元も覚束なく、ゆっくりと崖に近づいていく。そして、
    「危ない!」
     足を踏み外したところで、ラウダは飛び出した。腕を掴んで、渾身の力で引っ張りあげると、「何故」と低い声が聞こえてくる。何故殺してくれなかったんだ。何を、と言おうと顔を上げたところで、ラウダは悲鳴じみた絶叫をあげた。
    「兄さん__!?」

    ※耐えきれなかったので。書き溜めとかないので軽率にエタるかも
    ※なんか重い感じの導入ですがほのぼの(?)共依存同棲🎲スレです。何もなくても何かはかきますがレス頂いたら参考にするかも~!

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 19:49:38

     兄さん。どうしてこんなところにいるの。どうして飛び降りようとしていたの。なんで__死にたい、みたいなこと、言うの! 内心はぐちゃぐちゃなのに、脳の中の何か、大切な部分だけが、冷静という膜で覆われたみたいに凪いでいた。グエルはラウダの手を振り払おうとする。くちびるをわなわなと震わせて、再び握り直せば、彼は観念したように俯いた。

     半ば引きずるようにして家に入る。椅子に座らせてもなお、グエルは項垂れたままだった。とにかく落ち着かせないと。ラウダは小さなキッチンに向かうと、コーヒーとケーキを用意する。どちらも以前、グエルが好きだと話していたものだ。食器を手に取ろうとして、少しだけ辟易する。皿は陶器も混じっているが、フォークやナイフの類はすべて銀製だ。手入れが大変なのにわざわざそうしたということは、とりあえず、ジェターク社側にラウダを害する意図はないということか。何とも言えない顔をして、装飾的なものは避け、できるだけシンプルなものを選んで添える。

     そっと差し出すが__手をつけようともしない。本格的に様子がおかしい。心配げな顔を保ったまま、ラウダは「どうしてあんなところにいたの」と尋ねてみる。グエルが顔をあげて、喉仏を少しだけ上下させた。何も、語らない。ただ、目を限界まで見開かせて、ぼろぼろと涙をこぼしはじめる。それからちらり、とカトラリーに目をやった。


    dice1d100=9 (9) (1以上でカトラリーで喉を突こうとする)

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 19:52:56

     グエルは泣きそうな顔をして、ナイフを握りしめる。それから、思い切り自身の喉に向ける。ラウダが気づいて、悲鳴をあげながら抑えた。ゼエゼエ、ひゅうひゅう、呼吸がおかしい。本当は何をしているんだと怒らねばならないのに、ひたすら怖くなって、戸惑うように視線をゆらす。

    「……どうしたの、本当に」

     ラウダはグエルの肩に手を置こうとした。グエルはそれを、思い切り振りはらう。唖然としているラウダを、ようやく真っ直ぐに見やった。一瞬はっとしたような顔をしたあと、きゅっとくちびるを引き結んで、「すまない」と震える声で言う。

    「すまない、ごめん、ごめんなさい……お前にまで、あんな、あんな想いを、させるわけには、いかないのに……配慮が足りていなかった、ごめん、ごめん、ごめん……」

    「何を言っているの、どうしたの」

     宥めながら、しかし__ラウダの頭の中にはひとつの予感が過っていた。何故行方不明だったグエルが戦闘用の装備でここにいるか。何故こんなに憔悴しているのか。何故__ラウダが、ここにいるか。

     全てに説明がつく、しかしあまりに残酷で、最悪のシナリオだ。そうであって、ほしくはない。グエルはせわしなく瞬きをしながら、自身の手に目をやる。

    「テロに、巻き込まれた。テロリスト側の仲間だと思われて、地球まで連れてこられた。隙を見て逃げ出して、ふらふらしてた」

     声は、どこまでも淡々としている。いっそおそろしいほどに、何の感慨もない。ただ、がたがたと手を震わせて、「俺が」と呟いた。そうして口角だけを嫌に吊り上げて、ラウダを__ラウダの、茶色いひとみを、見やる。

    「俺が父さんを殺したんだ! どうか、どうか俺を罰してくれ、ラウダ!」

     ……、

     唖然とくちびるを半開きにさせて、ラウダは硬直した。


    dice1d3=1 (1)

    1:「父さんを奪ったのは、兄さんだったの?」グエルの望みに従って罵る

    2:「……いいんだ、兄さん。赦すよ」無理矢理抱きしめて慰める

    3:「どんな方法で、罰すればいいの?」目をかっ開いたまま尋ねる

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 19:54:18

    こういう話大好きです。応援します!

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:05:29

    「……父さんを奪ったのは、兄さんだったの?」

     頭の中で何もかもがぐちゃぐちゃになって、ようやく出てきたのはそれだった。グエルは静かにうなずく。未だに痙攣が止まらない手を見つめて、ぼろぼろと涙をこぼしている。は、は、は。肺が引き攣ったような、過呼吸になっている。

    「どうして、どうして殺したの。あなたのせいで、今、こんな……どうして……なんで、兄さんが、父さんを……」

     自分が何を言っているのかわからない。自分でもびっくりするほど、グエルに対する失望も絶望も憤怒も悲哀もない。何もかもが臨界点を突破すると、一周回って無感動になるのだと、ラウダははじめて知った。

    「……人殺し……」

     グエルは酷く傷ついたような、それでいてどこか、嬉しそうな顔をしていた。

     ラウダのくちびるが勝手に動く。言葉を重ねれば重ねるほど、かえって苦しくなる。憧れの存在を殺した信仰対象に対して、父の仇となった兄に対して、どのような感情を抱けばいいのかわからない。ただ、一歩、突き放すように冷や汗を垂らす。

    「お前まで人殺しになる必要はない。……どうか、このまま、見なかったことにしてくれ。死にたいんだ」

     顔は、穏やかだ。

     ラウダの心臓が、嫌に脈打つ。目を見開いたまま__、ようやく頭のどこかに、理性らしきものが戻ってくる。何とか自分の意志で、くちびるを動かした。


    dice1d3=3 (3)

    1:「生きて償えよ、楽になろうとするなよ」

    2:「殺人犯を野放しにするわけにはいかないよ」

    3:「兄さんまでいなくなるの……!?」

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:19:48

    ラウダの眼の色を見て、定期的にラウダのことを父さんだと勘違いしてしまうグエルはいますか

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:24:49

    「兄さんまでいなくなるの!?」

     出てきた声は、思った以上に悲痛で、絶叫のようでもあった。グエルのくちびるが、ぴたりと止まる。兄さんまで、いなくなってしまうの。ぼろぼろと泣いて、『人殺し』であるはずのグエルの手に縋りつくラウダは、まるで幼い子どものようだ。

     グエルはようやく、今この弟にとって、精神的に頼りにすることができる肉親が、自分だけであることに気づく。あ、あ、あ、と低く、宇宙に放り出された人間が酸素を求めて喘ぐような声が出た。

     ずるずる。机に突っ伏したグエルの背を、重なるようにして抱きしめる。ぎらり。ナイフが、鈍い銀色に輝いた。皮膚は、肉は、温かい。生きている。グエル・ジェタークは生きている。ラウダの兄さんは、生きている。

    「……せめて、罰を与えてくれ」

     俺を赦さないでくれている、お前の手で。

     声は、低い。

     グエルはラウダから離れると、ひとつずつ、ひとつずつ、重い装備を、パイロットスーツを、脱ぎ捨てる。筋肉の付いた健康的な腕。日に焼けたきれいな足。グエルはそうっと、ラウダの手に銀のナイフを握らせる。それを、見て__どうすればいいかは、すぐにわかった。


    dice1d3=2 (2)

    1:とうさんをころしたて

    2:ラウダからにげたあし

    3:……できない

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:28:16

    この未来がなさそうな荒廃的雰囲気良すぎ

  • 9二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:32:35

    このスレ好きだ
    ありがとうありがとう……

  • 10二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:34:41

    この精神的に錯乱したグエルと動揺しているラウダ君の雰囲気がたまらない

  • 11二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 20:38:19

    「……はい。理由はいろいろありますが、至急必要になったんです。できるだけ早く……一週間? 長すぎる。明日には届けてください。でなければ……ありがとうございます。では」
     通話を切ると、ラウダは静かに眠るグエルを見つめた。
     泣き疲れてしまって、夢すら見ていないようだ。麻酔なんてないんだから仕方ない。最低限の応急処置ができるキット以外はなかったから、切断はしていない。自然に治る可能性があるかまでは、ラウダにはわからないけれど。
     未だに手のひらには、悍ましい感触が残っている。人殺しの兄と、兄の足を奪った弟なんて、お似合い。そう、そう。……そうだ。ふふふ、と、堪えきれない笑みが溢れる。自分がどうして笑っているのか、ラウダにはわからなかった。
     ああ、可哀想な神さま。可哀想な兄さん。父を手にかけ、歩くすべを失って。使い物にならなくてもそこにあるのだから、魔女がつくった義足の靴を履くことすらできないね? でも大丈夫。だってたとえあなたが人殺しでも、あなたは確かに兄さんなんだ。たったひとりの、血をわけた兄弟だ。
     汚れたナイフを捨てる。静かに、寄り添う。ぴったりの玉座を用意してあげる。圧倒的だった世界を照らす王さまを引きずりおろして、ラウダだけの王さまになって。
     穏やかに眠る横顔。落ちた端末には、『注文された車椅子の仕様について』というメールが届いていた。

  • 12二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:01:38

    『グエル』

     父さんが笑う。穏やかな顔だ。

    『無事だったか』

     謝らないと。たくさん心配をかけてしまいました。一緒に家に帰ります。くちが動かない。あしが動かない。涙だけがぼろぼろ溢れてくる。

    『捜したんだぞ』

     待って。待って。待って。まだ、まだ離れたくない、ごめんなさい。死にたくない。殺したくない。どうしてこんな、こんな、全部、全部悪いのは、


    「ァ、」

     じくりと膿むような痛みで、グエルは目を覚ます。

     外は、暗い。まだ日が昇っていないのだろう。ベッドは温かい。隣を見ると、ラウダがいる。なんでこの弟は、父を殺した男の前で、こんなに安らかに眠ることができるんだ。恐ろしさが半分、罪悪感が半分で、少し閉口する。

     全部グエルのせいだ。せめて何か、なんでもいい、役に立ちたい。……ラウダに嫌われるのが、怖いだけ、なのかもしれない。そうだ、朝食をつくるのはどうだろうか。この手が作った料理など、食べたくはないだろうか。そう思いながら、立ち上がろうとする。

     __動かない。

     あしが、うごかせない。ぴくりとも。それでようやく、昨晩のことを思いだす。ベッドを捲ると、きちんと止血が施されていて、清潔な包帯で覆われたあしが見えた。サイドテーブルを見ると、救急箱が見える。きっとラウダはこれで手当てしてくれたんだろう。捨て置いてくれても、よかったのに。

    dice1d3=1 (1)

    1:途方に暮れてしまう。ラウダが起きるまで待とう(妥当)

    2:這ってでもキッチンに向かおう(名案)

    3:包帯があるってことは首を括れるんじゃないか!?(迷案)

  • 13二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:08:10

    うわぁこの兄弟の共依存が仄暗くて素敵だ

  • 14二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:16:54

     アラームもかけていないのに、もう学校に通うこともないのに、ラウダは普段通りの時間に覚醒する。朝陽が目に染みた。ゆっくりと上体を起こすと、先に起きていたらしいグエルが、ぼんやりと窓の外を見ている。

    「おはよう、兄さん」

    「……おはよう」

     グエルはラウダの方を直視せず、ちらりと視線だけで見やる。その横顔だけでも、彼が困ったような顔をしていることがわかった。それでようやく、彼が動かないのではなく、動けないことを思いだした。

     ラウダが、この手で、進む手段を、奪ったのだ。

     改めて自分がしたことの背徳感にぞっとする。ラウダはその背をかき抱いて、少しの汚れもないきれいな手で頭を撫でてやる。

    「今日のお昼に、兄さんのために頼んだ車椅子が届くよ。だからそれまで待っていてね」

    「どうして、そこまで……」

    「そんなの、兄さんが好きだからに決まってるじゃないか」

     言いながら、ラウダは立ち上がる。両のあしで。「朝食を作ってくるね」と言って去ろうとしたところで、グエルが手を伸ばした。

    「どうしたの?」

    「お、俺が、作る」

     ラウダはぱちぱちと瞬きをした。

    dice1d2=1 (1)

    1:「じゃあ、お願いしようかな」

    2:「ううん。気にしなくてもいいよ」

  • 15二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:34:30

     しかしすぐに、この兄の言葉が意図するところに気づいた。

     ようするに、怖いのだ。自分が犯してしまった罪の救いようのなさに震え、どうにかして贖おうとしているのだ。その手段として、取り急ぎ何かしらラウダの役に立とうとしているのだろう。

     で、あれば、協力しなければならない。ラウダはつとめて穏やかに微笑んだ。キッチンまでは、抱き上げて運べばいい。何せパイロットとして鍛えてきたのだから、華奢な見た目に反して、ラウダにもそれなりに筋力はある。

    「そっか。じゃあ、せっかくだからお願いするよ」

     震える背と、動かないあしに手をかけて、ラウダは兄を横抱きにする。くちびるが一瞬、何事かを言おうと動いた。しかし直後に、自身の状態のことを思いだして顔を顰める。

     辿りついたキッチンで、グエルはラウダを振り払うと、動かないあしを引きずって朝食の準備を始めた。人間やれば意外とできるものである。ラウダはダイニングの方で腰かけて、視線だけでそれを追う。白いカーテンが窓から吹き込んだ爽やかな風に揺れて、優しく頬を撫でる。朝の気配がする。

     包丁でパンを切り、桃を向き、刻み。卵を割って、ハムと一緒にフライパンにおとしたところで、肉の焼けるにおいに、あ、と低い声が漏れる。パイロットスーツに遮られて、あの時は、においは、しなかった。かんじなかった。けれど、もしかして、コクピットの中には、ああ、もしかしたら、あ、あ、あ、


    dice1d100=75 (75) (ラウダに罰を与えられたので若干落ち着いている。40以上で包丁で腹を刺そうとする)

  • 16二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:35:38

    お労しいよ……

  • 17二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:50:08

     グエルは握っていた包丁の柄を、くるりと回して己に向ける。刃元が手首にあたって、ひんやりと冷たい。振り上げる。それによってどうなるか、なんて、考えていなかった。半ば無意識だった。あの夢で見た、グエルが殺した、ディランザ・ソル、あるいは父の末路を辿るように、この腕を、

    「何をしているの」

     背後から、手を取られる。

     足元が、ふらつく。彼の手に包丁を残したまま、グエルは床に倒れ伏した。なんとか腕で上体を起こそうとするも、その前に彼がまな板の上に刃物を残し、そうっと覆いかぶさってくる。

     心地よい重み。柔らかい温度。微かに感じる、心臓と呼吸の音。生きている。彼は、生きている?じゅう、と音がして、ハムエッグが焦げていく。その音から逃れるようにかぶりを振って震えていると、しばらく考えたのち、後ろ手でコンロを切ってくれた。は、として顔をあげると、茶色いひとみが見えた。一瞬、ひっと声をあげる。だがすぐに、その顔を、その髪を、その気配を正確に判断して、そこにいるのが彼ではないことを思いだした。

     ラウダ・ニールだ。

     ようやく状況を思い出したグエルの口角が、微かに震える。ラウダは、悲しそうな顔をしていた。

    「兄さんまでいなくならないで、って言ったよね」

     わからないなら、わからせてあげないと、だめかな?

    dice1d3=2 (2)

    1:罰を与える(ビンタ的な意味で)

    2:罰を与える(食事をあーんで食べさせる的な意味で)

    3:罰を与える(性的な意味で)

  • 18二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:57:56

    良かった
    一番安牌な選択肢だ

  • 19二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:13:49

     震えるグエルを抱き上げて、そうっと椅子に座らせる。それからグエル自身が用意した朝食を、きれいに皿に盛り付けた。ただし、銀色に輝くカトラリーは、それぞれ一組だけ。澄んだ朝の空と同じ色をしたひとみが、戸惑いと狂気と恐怖でぐるぐると揺れる。

     ラウダはナイフとフォークを手に取ると、グエルのぶんのハムエッグを切り分けて、そうっとフォークに刺した。何をしているのだろう、と疑問に思っていると、つい、とその右の手が差し出される。

    「食べて」

    「……え」

    「お願い。いなくならないで」

     そこでようやく、茶色いひとみではなく__ラウダの目を、見た。そこには確かに、怯えが見て取れる。きっとさっきまでのグエルなら、殺人犯となった自分に対して恐怖を抱いているのだろう、と思い込み、そのまま逃げだしたに違いない。しかしこのあしの包帯を、車椅子の手配を、そして目の前に差し出された無償の愛を思えば、そうではないことは、わかる。わかってしまう。

     グエルのくちびるが、呆然と半開きになった。力の抜けた噛み合わせに、ラウダはそうっと、フォークをいれる。おいしい。……とっても、おいしい。ごく普遍的な材料で、ごく普遍的な調理法で、それなのに、ラウダの手ずから食べさせてもらっている、というだけで、こんなにおいしい。

    「ありがとう、ラウダ……」

     グエルのひとみからぼろぼろと涙が溢れる。ラウダは右手のナイフを机の上に置くと、そうっとグエルの背に手を伸ばし、優しく撫でた。


    グエル→ラウダ依存度dice1d100=31 (31)

    ラウダ→グエル依存度dice1d100=96 (96)

    ※次の自害ダイスの参考にするよ

  • 20二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:16:11

    ラウダの依存度が流石…
    いなくならないでが切実だなぁ

  • 21二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:36:21

     正直なところ、全く食欲がわかないうえ、ストレスなのかしばらく何も食べずに彷徨っていた時間があったからなのか、胃が縮んで荒れに荒れていたため、半分も食べないうちに満腹になってしまったけれど、ラウダが食べさせてくれる手前、気力でなんとか最後のひとくちを咀嚼し、飲み下した。

     今日はこれ以上何も食べたくない、なんて思いながら顔を上げると、ラウダは心底安堵したように穏やかに笑い、自分のぶんもさっさと食べて、皿を集めた。

    「……ごちそうさまでした」

    「ごちそうさまでした」

     羽根がはえているのではないかというほど軽やかな足が動き、汚れ一つない無垢な手が食器を運ぶのを、グエルはぼんやりとみていた。しゃんと伸びた背がきびきびと動く。手伝おうか、と言おうとして、やめた。この足で何ができるんだ。……この手についた血の汚れで、銀がくすんでしまったら、どうするんだ。

     思わずため息をつく。どうか気づかれていないように、と願ったけれど、グエルにできるのはせいぜい少し俯くだけだ。顔を見せないように後ろを向くことも、いたたまれずに部屋から出ていくことも、できない。

     グエルにできることは、設えられた玉座に腰かけて、ただラウダを見やることだけだった。


    ラウダが用意した車椅子

    dice1d2=1 (1)

    1:普通の車椅子

    2:介護用の車椅子

  • 22二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 22:56:32

    ラウダ君の依存度が高すぎて解釈一致だ!

  • 23二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 07:50:24

     どうやらジェターク社は相当頑張ってくれたらしい。片付けが済む前には、車椅子が届いた。

     背中はもちろん、頭までしっかりと支える頑丈な造り。うっかり手や足を引っ掛けたりしないようにはね上げ式になっている肘掛け。簡単に取り外せる足置き。頭の後ろには高さ調整のできる枕も完備されたもので、ただでさえかなりかさばるタイプなのに、グエルのような背丈がある男の身体を余すことなく支えるため、通常よりかなり大型で頑丈だ。

     玉座。そうは言っても、見た目が似ているだけで、どちらかというとその本質は、罪人をしばりつける鎖に似ている。

     ラウダはグエルの体を抱えあげると、そこに恭しく座らせた。グエルは無言のままラウダを見上げる。

    「ここを押すと動くよ。方向転換するには、こんなふうに……できそう?」

    「できる」

    「そっか。よかった」

     ラウダの微笑みに、グエルはいよいよ苦しくなってくる。

     自分が望んだことだ。ラウダの手で、自身が許されないことをしたと、思い知らされることを。それなのにどうしてこんな、ラウダはグエルのことをどう思っている? 人殺し__では、ない? 兄のままでいられているのか?

     頭が混乱してきた。ラウダはまだ何事か話している。爽やかな風が吹き込んでくる。ここはあの戦場ではない、と、言い聞かせる。動かない膝を見て、穏やかなラウダを見て、窓の外の景色に目をやって、グエルははっと気づいた。

     __窓は、壁一面を覆うくらいに、大きなものだ。つまるところ、床と接地しているのである。ここは一階だが、あそこから外に出ることもできるだろう。


    dice1d100=14 (14) (依存度補正。31以上で窓から飛び降りようとする)

  • 24二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 08:28:08

     タイヤに手をかけ、力を込めたところで、すぐに気づく。

     ……この車椅子は、ラウダがわざわざグエルのために用意してくれたものだ。いくら一階にあるとはいえ、バルコニーでもあるまいに、基礎部分で多少の段差はある。壊すわけにはいかない。

     大きく息を吸って、吐いた。

     ラウダは不気味に沈黙を保ったままのグエルに、「兄さん?」と心配げな声をかける。用意された玉座の上で震えながら、冷や汗で背をじっとりと濡らす。グエルは恐る恐る顔をあげて、そうっと家の中、部屋の奥、キッチンの方に動いた。ラウダが追いかけてくる。グエルはほとんど取り憑かれたように、自分の手を洗う。洗い続ける。落ちない。手のひらについた汚れが落ちない。こんな手ではラウダに縋ることすらできない!

    「どうしたの、兄さん……」

     ラウダがそうっと、水を止める。

     指先は冷えきって真っ赤になっていた。それがまるで__血を、浴びているように見えて。グエルの呼吸が、徐々に荒くなっていく。

     宥めるためなのか、ラウダがグエルの背をそうっと叩こうとする。その前に、グエルはラウダの腹を押し、俯いたまま喉からひゅうひゅうと息を漏らした。吐き出した何もかもが、自分の動かない膝にあたる。

    「ラウダ、もう二度と、こんなこと、考えなくてもいいように__


    dice1d3=1 (1)

    1:縛ってくれないか」

    2:撫でて、ほしい……」

    3:酷いことしてくれ」

  • 25二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 11:51:23

    「縛る?」
    「ああ、俺の腕を、あしを、……からだを。贖罪以外のことを考える間もないほどの、痛みを……」
     グエルはラウダに縋るように、そう言う。ラウダは困ったように、くちびるを引き結んだ。縛る、とは。どうすればいいんだ。包帯で腕をぐるぐる巻きにすればいいのか? それとも千切ったリネンの切りはしで猿轡でもつくって噛ませればいいのか? どちらもなんだか、良心が咎める。ラウダにとって、あくまでグエルは兄のままである。だけど何より__このひとを失うのが、怖い。
     しばらく考えるように目を閉じて、ぱちり、と瞬きをする。思い出した。ラウダはグエルの乗った車椅子を押して、玄関まで向かう。捨てるのか、と震え声の問いには、無言で首を横に振ることで否定した。
     ジェターク社から届けられた物資の中には、食料や雑貨以外にも、いくつか、これは使うのか? というものも含まれている。きっと暇を潰せということなのだろうが、いらないものを押し付けられても困るだけだ。箱を開ける。
     __そのひとつがこれ、大型犬用のハーネスだ。
     グエルには少し小さくて、締め付けるようなあとがついてしまうかもしれない。ラウダは取り出した真っ赤な首輪を、ゆっくりとグエルの首に回す。それからハーネスのベルトをひとつひとつ、玉座の王をもてなすように、締めていく。
    「どう?」
     声は、震えていた。これが何に起因するのか、わかってはいるのに認めることができない。
    「……うれしい」
     グエルの声は恍惚としている。穏やかな、笑顔だ。頬を撫でると、ゆっくりとすり寄ってくる。
     ああ、
     __ラウダはそれに、どうしようもない興奮を覚えていた。

  • 26二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 14:06:44

     全身を締め上げる微かな痛みは、しかしグエルの行動を阻害することはない。首輪から続いたリードは、最初こそラウダに握らせようとしたけれど、やんわりと拒否された。そんなものを持ってしまったら、きっと取り返しのつかないことになるから、と。別になってもいいのに。どうせ既に色々取り返しがつかないことになっているんだ。

     グエルがした。

     ……、

     グエルはまだ何の傷もない手を見つめる。きり、ぎり。動くたびに、ベルトが肉を、皮膚を、締め上げてくる。はっとする。これはラウダが与えてくれた枷だ。拘束具の役割は、もちろん物理的に危険なものを押さえつけておくため、しかしそれ以上に__精神的に、「逃げられない」と思わせるため、という役割も存在する。

     逃げられない。罪からも。悪夢からも。ラウダからも。

     ああ、神からも救われ得ない罪をこの背に負って、生きていくしかないのか! それは、どんなに、どんなに。ぼろぼろと泣き出したグエルを、ラウダがそうっと撫でた。

    「兄さん、痛いの?」

     ああ、痛い。痛いけれどきっと、グエルよりラウダの方が痛いはず。そう思うたびに自責の念にかられて、もう、このまま何もかもから逃げたくなる。だけど、逃げるわけにはいかない。グエルは教えてもらったんだ。逃げれば一つ、進めば二つ、

     ……本当に?


    dice1d100=32 (32) (補正。21以上で舌を噛もうとする)

  • 27二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 14:26:35

    素晴らしい……この仄暗い共依存関係が芸術的だ

  • 28二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 18:36:36

     グエルは衝動的にくちをあけ、閉じようとする。舌を噛んで自害する、よく聞く文脈だ。実際にできるかどうかはわからないけれど、今のグエルにそれを気にしている余裕はない。ガチ、と音がして、口の中に鉄の味が溢れ、世界が真っ暗になる__

     はずだった。

    「口を塞ぐものの方がよかったかな」

     どこか平坦な、ラウダの声が聞こえる。

     グエルが噛んだのはラウダの指だった。荒い息を吐くと、くっきりと歯型のついた指先が、ずるりと口腔から出てくるのが見える。俺は今、何を。くちびるの端から飲み込みきれない唾液が溢れて、べとべとと落ちていく。

     ようやく現状を理解したグエルの頬が、ぴくりと引きつって、震えた。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。低く、許しを懇願するというより、ただ無意識に溢れ出た、といったような声色だ。ラウダはなんてことない顔で「気にしないで」と言う。

    「こんなの少しも痛くないから」

    「ラウダは」

    「兄さんが無事ならそれでいい」

     こちらを抱きしめてくるラウダは、あたたかくて。どうしようもなく、生物だ。

     __吐き気がする。

     ラウダはグエルの背を撫でる。それからそうっと、囁くように言った。

    「でも、またこんなことしたんだから、罰を与えないといけないよね」

     ぞく、と。

     背筋に走ったものは、悪寒であるということにした。

    dice1d3=1 (1)

    1:罰を与える(自分もグエルの指を噛む的な意味で)

    2:罰を与える(自分の指の手当をさせる的な意味で)

    3:罰を与える(性的な意味で)

  • 29二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 19:39:48

    湿度高すぎて結露してる!サイコー!!

  • 30二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 20:45:11

    ※噛む指は

    dice1d3=1 (1)

    1:左手の薬指

    2:左手の中指

    3:右手の中指

  • 31二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 20:57:07

     ラウダはそうっとグエルの左の手をとる。優しく、さする。皮膚のこすれる感触は甘く柔らかく、グエルを悲痛なまでの心地よさに誘う。利き手が使えなくなったら、大変でしょう? 恭しく、掲げた。傷一つない指先、死の気配で汚れ切った手のひらを、労わるように、舌で撫でる。生ぬるくざらついたそれに、グエルは抵抗しない。
     親指の先。人差し指の関節。爪の間を洗うように、丁寧に。中指に辿りついたところで、ラウダはくすくすと小さく笑った。
    「ここ、地球ではね、おにいさんゆびって言うらしいよ。知ってた?」
    「……」
    「大切にしてあげないと。兄さんだもの」
     ラウダはそうっと、そうっと、中指を温める。抱き寄せて、労わるように。指間腔、その間の薄い皮膚を、舌先で確かめるようにして押す。そして、
     薬指。
    「い゛、」
     ガリ、と、皮膚、骨に何かが食い込むような感覚。ただしそれも一瞬で、すぐにラウダのくちびるは離れていく。何故ならそれは痛みを与えることが目的だ身体はなく、
    「うまくできた」
     グエルの左手の薬指に、真っ赤な歯形のあとができていた。
     ラウダがそれをなぞるたび、敏感になった皮膚がびりびりする。まるで指輪のようなそれは、グエルを嘲るかのように、判然とそこに在った。

  • 32二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 22:05:53

     グエルは静かにそれを見つめ、それからほうっと息を吹きかける。痛みがある、つまり、生きている、ということ。
     ラウダの指が離れる。まっさらな空気が、やけに冷たく感じた。
    「ごめんね、こんなに強くするつもりはなかったんだけど……あとが残ったら大変だから手当てするね」
    「いらない。このままが、いい」
     くっきりと残った赤色は、血の色だけれど、返り血の色じゃない。グエルの、贖罪のあかしだ。ラウダの手によってそれを与えられるたびに、きっとグエルはこれからも、うれしくてたまらなくなるのだろ。
     ラウダはどう思っているのだろうか。
     視線だけで彼を見れば、くすんだ茶色のひとみを微かに伏せて、そう、と言った。そこからはどんな感情も読み取れない。ラウダはうれしい時はうれしいと、悲しい時は悲しいと、きちんと顔に出して教えてくれる子だから、何も感じていないのかもしれない。……それは少しだけ、悲しいかもしれない。
    「本当に?」
    「ああ、もちろん。このままがいいんだ」
     グエルはラウダの手を取る。グエルが噛んでしまったことで出来た傷は、未だに残っている。
    「じゃあ、おそろいだね」
     汚れた手を持つ者同士、お似合いでしょう?
     ラウダはくちには出さなかった。代わりにとろりと微笑んだ。

  • 33二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 22:10:45

    ※現状まとめ
    傷要素
    ・車椅子
    ・ハーネス
    ・薬指に指輪
    罪要素
    ・グエル依存度31% ラウダ依存度96%
    それ以外要素
    ・スレ画にでかでかと書いた「薔薇の玉座」、とりあえず玉座部分を回収できたはいいが未だに薔薇のバの字も出ていなくて内心冷や汗が止まらないよ

  • 34二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 23:58:17

    薬指ってあの世界で分科残ってるかはわからないけど婚約指輪みたいですてき

  • 35二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 06:39:03

    今のところ性的には当たらないけど一回当たるといいな

  • 36二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 07:16:06

    「……そういえばね、森の中に花が沢山咲いているところがあるんだよ」

     ラウダはグエルの薬指のあとを撫でながら、ふとつぶやく。

     最初の日に見つけた天然の花畑だ。あの時は、数本摘んで家に飾ろうか、なんて思っていたけれど、一緒に出かけていくのもいいかもしれない。ニコニコと笑って、指折り数える。

    「ピクニックしようよ。サンドイッチを持っていこう。きっと楽しいよ」

    「ラウダがしたいなら」

     グエルがこくりと頷く。いつの間にか、太陽は真南に近づいていた。

     小さなバスケットに二人分の昼食を詰めて、グエルの膝の上に乗せる。ラウダはグエルが腰掛けた車椅子を押して、あの場所へと向かった。グエルは自分で漕ぐと言っていたが、ラウダが拒否した。……突然変なところに行ったり、突然崖から落ちようとしたりされたら困るので。

     かくしてそこは、やはり大変麗しく、森林の気配の中、まるで切り取られたかのように存在していた。ギャップというやつなのだろうか。小さな池のようなものがあり、そのまわりに大小も色も様々な野薔薇の花が咲いている。グエルは感嘆の息を吐いて、一歩踏み出した。

     ラウダは昼食の準備をしているらしい。花が少ない部分を探し、新品らしいビニールシートを敷いている。それを観察していると、「あ」と低い声がした。どうやら、棘で指を突いてしまったらしい。遠目にも、ぷくりと小さな血の玉が溢れるのが見える。

     グエルは冷静に、理性的に考える。手伝っていれば、こんなことにはならずに済んだのだろうか? 座っているだけの存在に何が出来る? ラウダに面倒をかけて、傷つけるだけじゃないか。軽く押すと、車椅子は簡単に動く。やはり、グエルは__


    dice1d100=57 (57) (薬指の傷跡補正。41以上で池に飛び込もうとする)

  • 37二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 09:39:37

     タイヤを動かして、ふらふらと池に近づく。

     ラウダは準備に夢中で、それに気づかない。水面に、爪先を寄せる。ゆらりと広がる波が包帯に浸み込んで、ふさがったはずの傷が開いた。腕だけで肘置きを押し、あしが地に落ちる勢いを使って車椅子を後方に弾き飛ばす。そうして這うようにして、池に向かって進む。ずるり、ずるり。

     ばしゃん

     大きな音がして、身体が沈み込む感覚がある。そこまで深くはないけれど、人間が溺れるのに30㎝もあれば十分だ。季節的に水はかなり冷たいはずなのに、やけに生温く感じた。目を閉じれば、きいん、と耳鳴りがする。そうだ、このまま__

     思った瞬間、腕を掴まれ、引っ張り上げられる。

     水で満たされていたからだに変に酸素が入ってきたせいで、グエルは何度も咳き込む。ラウダは何度もグエルの背を叩いて、水を吐き出させた。グエルはラウダに縋るように、震える。落ちていた体温が戻ってきて、ラウダの手が「熱い」とかんじなくなるまで、ラウダはずっと、グエルのことを黙って抱きしめていた。

    「馬鹿! 馬鹿だよ、兄さんは、本当に……」

    「ラウダ……」

    「どれだけ怖かったと思う、残された車椅子に絶望したと思う!? 父さんだけじゃなくて、兄さんまで、勝手に……!」

     グエルは抱きしめ返す。触れ合った部分がじっとりと濡れている。それから、「どうか、愚かな兄に罰を与えてくれ」と、懇願するように言った。

    dice1d3=3 (3)

    1:罰を与える(花冠を与える的な意味で)

    2:罰を与える(サンドイッチを一緒に食べる的な意味で)

    3:罰を与える(性的な意味で)

  • 38二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:10:00

    dice1d2=2 (2)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=3 (3)

    1:あたま

    2:せなか

    3:うで

    4:あし

    5:つまさき

  • 39二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:22:10

    おお、ついに……

  • 40二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:23:45

    野外の綺麗な景色の中で…

  • 41二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 16:05:45

    誰にも見られる心配もないしコロニーだから無視の心配もあんまりなさそうだし見た目はいいシュチュだな

  • 42二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 17:51:33

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:01:18

     そんなこと言っている場合じゃないでしょう、兄さん。とにかくこのままだと風邪をひいてしまうから、服を脱がさないと。ラウダはつらつらとそんなことを説きながら、グエルのシャツのボタンを外す。濡れた服は乾かして、ちょうどラウダが数枚重ね着をしていたから、一つか二つ貸せばいい。そんなことを考えながら、ひとつひとつ、確かめるように。

     グエルは何の抵抗もしない。

     ラウダの手が、ふと、止まる。ぴくりとも動かない。鍛えられたしなやかな肉食獣のからだが、食べられるのを待つ獲物のように、項垂れたまま。

     ラウダはこくりと唾を飲む。今なら何をしても、きっと拒絶しないだろう。最低だ。こんなことを考えるなんて、最悪だ。そう思いながら、しかしラウダはそうっと、グエルの前に、己の薬指を突き出した。

    「ねえ、舐めて」

    「……?」

    「いいでしょう」

     グエルはよくわかっていないような顔で、ラウダの指を口に含む。温かく湿った口腔に、舌が動くざらついた感触。微かに犬歯があたる痛み。歯茎を、臼歯を、口蓋を、喉を、なぞるように触れてみると、「ん、」とグエルの鼻から息が抜けて、零れていった。

     耳の裏、鼻の奥、脳みそ、どくどくと血が巡る音がする。罪悪感にも似た衝動が、青いひとみが涙で潤むのを見るたび、全身を突き抜けていった。


    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=28 (28)

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=73 (73)

  • 44二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:14:45

     ぞくぞく、とからだの奥底が震えることに、無意識に恐怖を抱いたのか。それともちくりと皮膚を刺した薔薇の棘に、現実に引き戻されたのか。どちらかはわからないが、ラウダははっとして、グエルの前髪を掴んだ。
    「ありがとう、兄さん」
    「もういいのか?」
     グエルのひとみには、微かに困惑の色が乗っている。
    「うん、いいんだ。突然ごめんね」
    「いや……別に、ラウダのためになるならなんでもする」
    「なんでも」
     __それは本当に、「なんでも」なのだろうか?
     グエルがきっと、想像すらしていないようなことでも、受け容れるのだろうか?
     きっと、受け容れるだろう。だって__
     ラウダはぱちぱちとまばたきをして、頭の中にあるあれこれを、家に帰ってからやらなければならないことを考えることで封じる。……何か考えていないと、今すぐここでこの兄を、棘まみれの薔薇のベッドに寝転ばせてしまうかもしれなかった。
     グエルに自分が着ていた上着を着せると、抱き上げて車椅子にのせる。こんなことになってしまったのだから、優先すべきは着替えだ。サンドイッチは家で食べればいい。それからつとめてゆっくり息を吸って、吐いて、なんとか歩き出した。

  • 45二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:26:49

     __初めに気づいたのは、におい、だった。
     花畑から離れたのに、甘いにおいが離れない。布のにおいじゃない。森のにおいじゃない。運動したあと、グエルがほんの微かに漂わせているグエル自身のにおいとも、どうやら違う。けれども知らないものではない。
     揺れる、こぼれる、このにおいは。ラウダには確信があった。
    (これは、薔薇のにおいだ)
     気が付くと、気になる。この部屋に薔薇はないはず。いるのはサンドイッチを食べるグエルと、ラウダくらいだ。それにしては、あまりにも薔薇らしいにおいがする。グエルは静かに睫毛を伏せて、本来は外で食べる予定だったハムサンドを、くちに含む。タオルで丹念に拭ってあげたから、髪も皮膚も、多少しっとりとしている程度で、乾いてしまっている。きれい。本当にきれいなひと。王、獅子、神さま、みたいだ。
     馬鹿なことを考えた。ラウダは自身の考えに閉口し、視線を落とす。自分も昼食を摂らねばならない。そう思って、そうっとくちびるを開いた。
     途端に強く、つよく、薔薇が香った。
     ラウダははっとする。かわらない、いつもの部屋。変わっていたのは、ラウダ自身だ。
     正確には、ラウダの身体。
     光沢のある皮膚、薬指、くっきりとした骨を貫いて、まるで指輪のように、ほんの少しくすんだ青色の、郁恵に重なった花弁から、強い芳香を放つ__薔薇の花が咲いていた。

  • 46二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 20:19:24

     ラウダはゆっくりと、右の人差し指の先で、それに触れてみる。

     みずみずしい感触だ。痛くもかゆくも、多少の違和感すらもない。これほどはっきり咲いているのに。骨と骨の間にくすぶるそれは、ラウダの心臓の痛みに無言に共鳴するように、__鏡のように、あまく、あまく、匂っている。

     グエルはふっと顔を上げてラウダを見ると、不思議そうな顔をした。一向に食事をとろうとしないから、訝しんでいるのだろう。ラウダはどくどくと跳ねる心臓を押さえるように、慎重におのれの左の手を差し出した。

    「あのね、薔薇、咲いているの」

    「薔薇」

    「うん、青い薔薇」

     グエルはちらりとラウダの爪を伺うと、静かにうなずいた。どうやらグエルにも、この花は見えているらしい。いよいよもって、意味が分からない。ひとのからだから薔薇の花が咲く。そんな、ファンタジーでもあるまいに。

     思い浮かぶのは、やはりあの池での一件だ。兄弟で、肌を重ねようと__ほんの一瞬でも、思ったこと。ラウダの口角が、引き攣る。この薔薇の花は、なんだ。なにものなんだ? もし本当にそうだとしたら。確証はない。でも状況証拠として、そうであるとしか。

     ……、

    dice1d2=1 (1)

    1:確かめてみる

    2:忘れることにする

  • 47二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 20:23:40

    dice1d2=2 (2)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=5 (5)

    1:あたま

    2:せなか

    3:ゆび

    4:はら

    5:つまさき

  • 48二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 21:59:05

    「……兄さん」

     ラウダはしきりに自身の指先に咲いた薔薇の花を撫でながら、そうっとグエルの方を伺う。それから、波立つ心を落ち着かせるように、舌でくちびるを濡らした。

     なんでもしてくれるんだよね。

     言ってはならないことだ。してはいけないことだ。こんなこと__思いながら、ラウダはグエルを車椅子から、玉座から引きずり下ろす。そうして自分は、質素なつくりの木の椅子に腰かけたまま、そうっとつまさきをグエルの前に差し出した。

    「舐めて」

     グエルは一瞬、はっとしたような顔をした。

     それはそうだ。当然だ。靴どころか、あしを舐めるだなんて、最大の尊厳破壊、心底の屈服を表す行為だといっても過言ではない。

     だけどもそれこそが、自身を救済しうる手段のひとつであり、同時に__ラウダの望みでもあるのだと、気づいたのだろう。グエルは跪いて、ラウダの爪先を舐める。洗うように。奉仕、するように。ラウダはぼんやりと、かつて、眠れない夜に、グエルが自分の手のひらで、足の指を温めてくれたことを思いだした。血が巡らないと、眠気が来ないらしい。今はどうだ。真っ赤に上気した拇指が、微かに浮いた血管が、これ以上ないほど雄弁に、ラウダの状況を語っている。

     それまるで、洗足式のように神聖で。

     磔にするかのように、おぞましい。

     ひたすらに、従順に。指の隙間に舌をねじ込まれた瞬間、ラウダのあしが、ぴん、とつった。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=20 (20) +28

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=40 (40) +73

  • 49二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 07:02:11

    昏くて良い…もっと沈んでいって……

  • 50二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 07:17:34

     脳がくらりと灼けるような、じわりとなにか広がってはいけないものが広がるような、あるいは背筋がぴりぴりと痺れるような感覚に、ラウダはひゅうひゅうと荒く息を吐き出す。
     ひとしきり終わったあと、グエルは最後にちゅうと親指の先を吸って、くちびるを離した。これでいいのか、とたずねるように、上目で伺ってくる。
    「うん……ありがとう、兄さん」
     だめだ。
     こんなこと、だめだ。
     許されないことなのに、否定できない。どうしよう。どうなってしまったんだろう? 濡れた足の裏全体を使って、優しくグエルの頭を撫でてやると、グエルは気持ちよさそうに目を細め、擦り寄ってきた。もうやめてくれ。止められなく、なってしまう。
     当初の目的を思い出し、呼吸を整える。見ると、右の足の指から甲のあたりにかけて、真っ青な薔薇の花が咲いている。触れてみれば、少しだけ濡れていて、やわらかい。ひっぱってみる。千切れた花弁が手のひらの上で、数秒もしないうちに乾ききって、ゆっくりと溶けていく。
     これで確定した。この薔薇の花は、グエルと__そういうこと、をしようとするたびに、罪のように、傷のように、背負わねばならないものだ。罪悪感を糧にして、法悦の花を咲かせるのである。
    「ラウダ、あるのか? 薔薇」
    「うん……うん。とってもきれい」
    「ああ。きれいだな」
     肯定するグエルに、ラウダは微笑む。
     この花で体が埋め尽くされる頃には__ラウダは少しの逡巡もなく、グエルに触れているのだろうか?
     それはなんだか、とっても、すてきなことであるように思えた。

  • 51二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 09:00:27

     弟が、奇妙なことを言い出した。

     いや、もしかしたら奇妙なのはグエルのほうなのかもしれない。だけども彼はもう少し、冷静で理性的だったように思える。そして今回の一件は、あまりにグエルの中の『ラウダ・ニール』の定義を更新するに足るものであった。

     車椅子に腰かけたグエルの髪を、ラウダは鼻歌混じりに梳かす。空気のにおいをかいでみる。温めたミルクのような、安心するにおいがする。ひどく肌になじむにおいだ。間違っても、薔薇のにおいじゃあない。

     ぱちり、と瞬きをする。グエルのひとみに、ラウダが言うような青い薔薇の花は、うつらない。それはグエルの目がおかしいのか、

     __あるいはラウダが、親殺しの兄と暮らしていて、知らないうちに精神をすり減らしていたのか。

     ひゅ、と息を吸い込む。もし後者だとしたら、自分はどれだけ罪深いのだろう。父に続いて弟の心まで殺す、なんて、なんて最悪だ。なんてひどいやつなんだ。肩が、震える。かちかち、歯の根が嚙み合わない。グエルは……ラウダは。

    「兄さん?」

     かけられる声は、ひたすら優しい。

     ラウダを見上げ、そのひとみに映る自分の姿を見る。雪のような肌。血のように赤い頬。髪の毛は艶がある。

    dice1d100=7 (7) (補正。51以上でくしを奪い喉を突こうとする)

  • 52二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 11:50:11

     息を吸って、吐いて、整える。

     死ぬにしたって、ラウダから無理矢理何かを奪い取って、それで目の前で死ぬ、なんて。あまりに、罪深い。これ以上ラウダを傷つけるわけにはいかない。

    「兄さん、食事が終わったらお風呂に入ろうか。重力がある空間ではね、おおきな容器にあったかいお湯を張って、そこに浸かるらしいんだ。いくら拭いて着替えたとはいえ、外に出て汚れてしまったからね……兄さん?」

     何も答えないグエルの頬を、ラウダは訝しむようにつつく。ふに。少しも痛くない。きっと加減してくれているのだろう。

     食事も、風呂も、車椅子も、櫛も。全部ラウダがグエルのために提供してくれるものだ。どうしてそこまでするんだ? いっそ捨て置いてほしいのに。あるいは尊厳を奪い取られたペット、ラウダの復讐心を満たすためだけの道具として扱ってくれたほうが、よほど楽なのに。

     ……そうだ、そっちの方が、ずっと。

    「風呂、に、入る。ラウダと」

    「うん。ちなみに溺れさせないからね、安心してね」

    「ああ」

     先程のことが記憶に残っているのか、ラウダは伺うようにグエルの髪を見つめる。その指先に自身の頬を押し付けるようにして、グエルは思い切り振り仰いだ。ごつん、とグエルの額とラウダの顎のあたりがぶつかる。ほんの少しだけ、痛い。

     でもまだ足りない。

     足りない、のだ。

    「ラウダ、

    dice1d3=3 (3)

    1:縛ってほしい(進む)」

    2:……いや、なんでもない(思いとどまる)」

    3:俺を抱け(アクセルベタ踏み)」

  • 53二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 12:18:49

    弟が弟なら兄も兄!ジェタークの血!!

  • 54二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 12:21:38

    来た…!
    薔薇はグエルには見えないのね

  • 55二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 12:32:42

    dice1d2=1 (1)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=2 (2)

    1:あたま

    2:せなか

    3:しんぞう

    4:はら

    5:あし

  • 56二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 20:19:30

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 20:51:15

    「……何言ってるの兄さん」

     ぺきり。

     櫛に、罅が入る。ラウダの声は震えていた。

    「何言ってるかわかってるの、兄さん!?」

     半ば悲鳴じみた絶叫をあげながら、ラウダはグエルの肩を掴んだ。

     グエルの顔には、諦めたような、怯えるような、なのにどこか無邪気な、__笑顔が、浮かんでいる。ラウダは車椅子をくるりと回して、半ば無理矢理グエルを自分と向き合わせると、眦を真っ赤に吊り上げて、泣きそうな顔をした。

    「あのね、どれだけ、その言葉を、呑み込んできたか……わかる? もしそれが……、自分が傷つきたいって独りよがりなら、兄さんのこと許せなくなる」

     ラウダが言っている意味を、理解しているのかいないのか、グエルは微かに睫毛を伏せる。視線が、合わない。ずるずると足から力が抜ける。動かない膝、ラウダが奪ったあしに顔をうずめて、ラウダは懇願するように言った。

    「お願い、兄さん、わからないって言って。抱きしめてほしかっただけって、言ってよ……」

     ひゅ、ひゅ、と、ラウダの呼吸が徐々に荒くなる。指先の真っ青な薔薇が、息をするたびに震えて、甘い香りをこぼす。グエルはとんと、優しくラウダの背を撫でる。「ああ、わかっている」低い声。顔を上げる。

     グエルは笑っていた。

    「俺はただ、少しでもお前の役に立ちたいだけなんだ」

     目を、見開いた。

    (つまるところどうするべきか展開が思いつかなかったので)

    dice1d3=1 (1)

    1:”わからせ”

    2:いちゃいちゃ

    3:本番まで行かずなんかいい感じにこう倒錯的なアレで無理矢理判定を通す

  • 58二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 22:15:59

    「……馬鹿だよ、兄さんは、ほんとに、馬鹿だよ……」

    「ああ、そうだ。俺は愚かだ。愚かでなければ、あんなことはしない」

     その『あんなこと』は、グエルにとってはきっと、コクピットを突き刺した感触を指してそう形容しているのだろう。だけどもラウダの頭の中では、池に飛び込んだこと、カトラリーで喉を刺そうとしたこと、そのあたりに焦点があたってしまう。

     茶色いひとみが、ゆらゆらと揺れる。

     しばらく迷うようにくちびるをうごかした後、すうと一点に定めるように、指をきゅっと折りたたんで、握りしめた。爪が手のひらに食い込んで、少しだけ痛かった。

    「……そう。二度と、あんなこと、させない」

    「ああ」

    「しちゃだめなことなんだよ」

    「ああ」

    「兄さんは、わかってないんだ。……わからないなら、わからせるまでだよ」

     ラウダが微かに睫毛を伏せる。眼球に在った光が遮られ、かすかに影を落とした。


     ラウダはこの兄に対し、少しの痛みも与えるわけにはいかなかった。

     痛みはすなわち、彼を咎める罰となる。あるいは、彼を苛む傷となる。それでは、殴り、噛み、暴力をふるうのと、何も変わらない。だからあくまで、丁寧に。抱いた背にくちづけると、それはラウダが顔を離す一瞬ののちに、艶やかな紅色の薔薇となる。

    「……兄さんにも、咲くんだね」

    「は、」

    「聞こえてないの? まあいいけれど」

     薔薇には、蔦どころか棘すらない。こんなにきれいなのに、このひとを守ることも、縛ることもできない。役立たず。ぐしゃりと指先で押し潰せば、グエルのくちびるから、ひい、と悲鳴じみた息が漏れた。

     あまい、においがする。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=28 (28) +48

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=34 (34) +113

  • 59二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 23:29:59

     ラウダがグエルの背を叩き、ひっかくと、また、薔薇の花が咲く。腫れあがった部分を埋め合わせるように、きれいに。あまりにきれいで、あまいにおいで、ラウダは小さく笑った。

     グエルは己の背に手を持ってくる。ここに花が咲いているから、と、仰向けでは寝かせてくれなかった。触れてみる。皮膚の感触がある。見ることができない、触れられないのだ。ラウダと同じものを、グエルは共有することができない。もし歩み寄っていたのならば、あんな、あんなことに、ならずにすんだだろうか。

     ひゅう、と喉が鳴る。

     まずいと思った時には遅かった。青いひとみから、ぼろぼろと涙が溢れる。意志とは違う何かが、からだを動かす。ラウダが微かに体勢を変えて、顔を覗き込んでくる。痛かったの? 痛いわけがあるか。痛みを感じていい資格を、グエルは持ち合わせていない。酷い兄がいたものだ。あまいにおい。ラウダのにおいがする。髪を梳く指先、腕、本来はグエルが守ってやるべきである何もかも。懺悔するように「すみません……」と低く呟けば、ラウダは不機嫌そうな顔をした。

    「兄さんはこんなに泣いているのに、どうしてこんなにこの薔薇はきれいなの」

     よくないよ。ぐしゃり。何かを潰す仕草。しばらく怖い顔でグエルの背を撫でたあと、ようやく満足したらしく、そうっとからだを仰向けにしてきた。

    「兄さん、あなたを愛しているよ」

     なぜそんな目で俺を見る。

     薔薇のような色をしたくちびるが、グエルのまぶたに重なった。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=98 (98) +76

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=14 (14) +147

  • 60二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 23:32:47

    ※現状まとめ
    (きりは悪いけどもう寝るのと「これ以上本当にあにまんでかけなくなる!(懇願)」の意を込めて)
    今回増えた要素
    ・ラウダ左手薬指に青い薔薇
    ・ラウダ右足に青い薔薇
    ・グエル背中に赤い薔薇×3
    ・突然の色ボケダイスどうした?的確にインモラルなSMになってきてる…… ちなみに添付は帰宅中の電車で描いたため「こうなったらいいな~」的願望が多分に含まれる存在したかもしれない「いっしょにおふろはいる兄弟」

  • 61二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 23:38:07

    このレスは削除されています

  • 62二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 00:55:08

    すごく良かったです死なないでほしいという意味の分からセッ○スは良い

  • 63二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 07:48:22

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 07:48:53

    (>>61 色々書かせていただいてるのでどこかでお会いしたことがあるかも~!その節は大変お世話になりました……)


     触れ合ったくちびるから息が吹きこまれた瞬間、わかりやすくグエルの反応が変わる。関節が真っ赤に上気し、全身が強ばったように痙攣する。今まで訳の分からぬ吐き気や、込み上げてくる絶望感を堪えていたのに、今度は別の何か、脳から心臓、心臓から血管を通して全身に広がる理解できない感覚、を耐えている。グエルのくちびるから漏れ出る声が、ほんの少しだけ高くなった。

    「痛かった?」

     ラウダの声が遠い。

     殊勝なことを。痛いと言ったら、止めるつもりなのか? 違う、と言おうとしたのに、出てくるのは震える息だけだ。答える代わりに、ラウダの背に手を回した。これでまた、薔薇が咲いたのだろうか。

     一連の流れを肯定と受け取ってくれたのか、ふふふ、とまた、小さく笑った。あまいにおい。ラウダのにおい。近づけば近づくほど、苦しくて仕方なくなる。捨て鉢のようにつま先の先を組むようにしてラウダを閉じこめる。存外心地よくて、怖くなった。

     ……どうせ、今のグエルは、ラウダに対して何を与えることもできない。受け取った献身と比較すればあまりに小さいが、この身体で眠る内臓のひとつやふたつ、くれてやってもいいと思う。

    「あ、あ、……う」

    「舌、噛んだらだめだよ」

     細い指先がグエルのくちの中に入ってくる。歯列をなぞり、舌を優しく引き出した。重いからだが押し付けられ、最奥に当たり__決して孕むはずのない器官に熱が広がった瞬間、じわりとそこから唾液が染み出して、ラウダの薬指の薔薇を濡らした。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=13 (13) +174

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=71 (71) +161

  • 65二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 07:48:53

  • 66二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 09:00:18

     ……やってしまった。

     足が動かないグエルのからだを引きずって、ひとしきりあれこれと後始末をしたあと、ラウダは凄まじい自責の念に駆られて頭を抱えていた。

     この状態のグエルに対して、こんなこと。しかも兄弟で? 許されていいはずがない。冷や汗が垂れる。

     後悔は、していない。

     これで少しは、自分がどれだけ愛されていて、死んではならない存在で、__ラウダにとって大切なひとであるのだって、思い知ればいいのだ。そうして少しでも、あんなことをしなくなればいい。

     だけどそれでも明らかに、はじめてで三連続はやりすぎである。ガン〇ム史上初の最速三連発! とかいうあまりに最悪なキャッチコピーまで頭をよぎる始末だ。いや考えておいてあれだがちょっとひどすぎる。方々に謝ってほしい。

     ラウダはすやすやと眠るグエルの、あたたかな背に触れてみる。

     大輪の薔薇の花が三輪、そこには咲いていた。こんなものがあって、今ある服は着られるだろうか?どちらにしても、いつまでもラウダのものを着回しさせるわけにはいかないし、近いうちにジェターク社に衣服を送るよう『おねがい』しなければならない。

    「……兄さんは、どんな服がいいかなあ」

     グエルは答えない。

     ただ、こうしてみると、ずっとハーネスで締め付けられていた部分が痕になってしまっているのが、少しだけ痛々しかった。

    (せっかくなので!!)

    ラウダが注文した服

    dice1d4=3 (3)

    1:多少ゆったりとした普通のシャツ

    2:グエラジの阿〇上さんみたいな服

    3:メイド服

    4:背中ガラあきのすけべ衣装

  • 67二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 11:21:16

    急に性癖を出してきたなダイス

  • 68二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 12:13:52

    「同居人が増えました。衣服が足りないので至急送ってください」

     ……もしかしたら、ラウダの文面が悪かったのかもしれない。

     いやだからといって「兄と暮らすことにしました」だなんて書けるわけがない。それでも同居人の性別くらいは特定するべきだったか。

     車椅子以上のスピードで送られてきた箱を開けて、ラウダは頭を抱えた。一体何を目的とした「同居人」だと思われたのか、そこにあるのはまさかのメイド服である。ある程度の大きさは付記しておいたし、幸いにもリボンなどで調節できるタイプなので、サイズに関しては問題なさそうだが、それにしても。一緒に入っていた手紙には、『お楽しみください』となんとも意味深なことが書いてある。ラウダは本社にクレームをいれるべきなのかもしれない。

     ……だが、下手に誤魔化したところで照れ隠しだと思われる可能性も存在する。玄関先で唸っていると、起きてきたらしいグエルが「どうした?」と言いながら自身で車椅子を漕いでやってきた。ラウダは顔を上げて、はは、と乾いた笑いを見せる。

     とりあえず現実逃避に箱のふたを閉じた。それからため息をついて、少しだけ視線を伏せた。

    dice1d2=1 (1)

    1:こちらの不手際だからね。ラウダがこれを着るよ

    2:メイドさんの兄さん……

    ついでにメイド服は

    dice1d4=2 (2)

    1:スタンダードな英国ヴィクトリアンスタイル

    2:↑にフリルなどが足されたクラシカルスタイル

    3:ジャパニーズ・アキバなミニスカスタイル

    4:シンプルにあざといフレンチスタイル

  • 69二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 16:46:44

    このレスは削除されています

  • 70二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 17:26:18

     ……この手の格好をしたグエルが見たいかと問われて、否定をすれば嘘になってしまう。しかしよりにもよってメイド服、つまるところ従者の衣服である。こんなものを着せては、せっかく少しずつ戻ってきた(と、思いたい)グエルの自尊心が、再びバキバキにへし折れてしまうというのは、想像に難くない。

     そんなことをつらつらと考えながら鏡を見る。

     非常に不機嫌そうな顔をした__中々に「キツい」格好のメイドがそこに立っていた。

     ラウダは確かにどちらかといえば痩せ型ではあるが、骨格自体はきちんと男性のそれである。むしろやせ型であるからこそ、いっそうに「服に着られている」ような印象を与えていた。大きく息を、吸って、吐く。グエルのサイズなのだから、少し余裕がある。それにしたって、これはない。

     やっぱりこれは送り返して、ジェターク社にはきちんと怒りを表明しておかないと。そう思って脱ごうとしたところで、普通の椅子に腰かけ、本を読んで待ってもらっていたグエルが、ふと顔をあげる。それからラウダの方を見て、なんてことないように言った。

    「かわいい、似合っている」

     無感動な声だ。……それはどういうこと? リップサービスなの? それとも本気なの? ラウダはこの言葉の意味を測りかねて、そこそこ本気で頭を抱えてしまった。しかし色々考えた末に、なんとか言葉を返す。

    dice1d3=3 (3)

    1:「に、似合っていないよ。怒るよ(正気)」

    2:「じゃあ兄さんのお世話してあげるね(混乱)」

    3:「ほんと?好き……抱いていい……?(狂気)」

  • 71二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 17:27:56

    序盤が嘘のようにまたダイスが色ボケしてる

  • 72二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 17:30:31

    dice1d2=2 (2)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=5 (5)

    1:あたま

    2:くび

    3:しんぞう

    4:はら

    5:あし

  • 73二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 19:33:25

    狂気草 ボブに爆速求婚するラウダのスレ思い出した

  • 74二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 21:02:48

    「……」

     グエルの手から本が落ちる。それからラウダのひとみをじっと見つめて、感情の読めないひとみで、「きのう」と小さく呟いた。

    「昨日、のが、まだ、残ってて……痛いから……少し、休ませてほしい」

    「わかった」

     ラウダは微笑んだまま、グエルに近寄る。それから予想外のことが起きたからか呆然としているらしい彼を半ば無理矢理抱え上げて、床に膝立ちで座らせた。

     足が、震えている。なにを、と疑問を呈する前に、胸を締め上げていたハーネスに付属していたベルトを通し、それをくるりと二の腕に回して、固定する。肘から先こそ動かせるが、それだけでは何もどうにもできそうにない。ラウダは椅子に腰かけると、ふわふわとした重苦しいスカートをたくし上げる。

    「どうすればいいかは、わかるよね」

     噛み付いたら、だめだよ。

     グエルはきちんと理解したらしい。自身のプライドと、「ラウダの役に立てる」「ラウダに捨てられたくない」「罪を償いたい」あたりを天秤にかけて、ゆっくりとくちを開ける。口唇の間から覗いた舌は、ひどく、赤い。数度確かめるようにラウダの腿にくちづける。ラウダは、微笑んだまま動かない。くちづけたあとが、薔薇の花になる。意を決したように、グエルはそれを呑み込んだ。咽喉を詰まらせ、嗚咽するようなくぐもった呻き声を漏らしながら、しかしやめようとはしない。

    「……、上手だよ、兄さん」

     頭を撫でれば、グエルの口角がほんの少しだけ弛緩した。半分閉じられた瞼を彩る柔らかな睫毛は、微かに濡れている。それには気づかないふりをして、ラウダはグエルの頭を自身の方に引き寄せる。嘔吐感なのか、生理的なものなのか、食道が痙攣していた。

     呑み込み切れなくなった唾液が薔薇の花を濡らす。青い花弁が、重力に負けて、ひとつ、ぱらりと落ちた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=11 (11) +207

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=4 (4) +232

  • 75二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 21:39:36

     しばらくののち、きっと息が続かなくなってしまったのだろう、グエルのくちびるが離れる。

     ああ、だめだ。止まらなくては。ラウダは思う。理性的に考える。それなのに、ラウダのからだは止まらない。止まれない。きっとこのメイド服のせいだ。こうして見た目から従者になっていると、この兄に尽くしたくてたまらなくなるのだ。たぶん、そうだ。そういうことにしておこう。ラウダはゆるく息を吐き出して、グエルのからだを倒す。グエルは、目を見開く。覆いかぶさるようにラウダも倒れこめば、フリルがたっぷりとほどこされた愛らしい衣装が、ふわりと広がって、じわ、と濡れる。

    「メイドだからね、お世話してあげる」

    「は……?」

    「ここと寝室、どっちがいい?」

     アルビレオ。ほんとうはふたつのいきものだけれど、きっと遠くから見ればひとつに見えるのだろう。


     力の抜き方。息の吐き方。感覚の処理のやり方。

     前日と比べ、少し、しかし明らかに、グエルのからだはそれに慣れている。グエルの意志に関係なく、ラウダのための存在として、造り変えられている。それをどう受け止めればいいのか、グエルにはわからなかった。

    「ひ、ィ゛、ぎ……、これ以上、は、無理、だ、……」

    「そう? 大丈夫そうだけど」

     レースの重み。皮膚の滑らかさ。苦痛なのか別の何かなのか、電流じみたものがびりびりと背筋を流れる。

     ラウダは冷静に分析する。グエルは前日よりはまだ余裕があり、ついでに正気に近い。だからこそこんな抵抗をしてくるのだろう。ラウダは動かなくなったグエルのあしをもちあげて、フリルで覆われたからだを押し付ける。

    「大丈夫じゃなくても、すぐに大丈夫になるよ」

     約束する。ラウダはそう言って、優しくくちづけた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=6 (6) +218

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=53 (53) +236

  • 76二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:35:18

     ラウダは再びくちづける。ざらついた感触が、口蓋を、喉奥を、辿るようになぞってきた。先程ので終わりだと思っていたグエルは、反射的にラウダのからだを引き剥がそうとする。びっくりするほどびくともしない。酸素が足りないから、力が入らないのだ。気づいたときには、光沢のあって硬い生地に包まれた腕、によって、完全に逃げ場を塞がれていた。

     ようやく重なっていたくちびるが離れる。仰いだひとみは微かに濡れている。裾がひらひらとした真っ白い帽子が顔に影を落としていて、知らない人みたいで、しかしラウダだ。しばらく考えた末に、可動部を最大限に動かして、その紺色の髪を撫でてみる。

    「どうしたの、兄さん?」

     ラウダは嬉しそうに、グエルのゆびさきを撫でてくる。どうやらその薬指に、青い薔薇、があるらしいが。やはりグエルには見えない。

     グエルは指を絡めかえすと、ゆっくり息を吸い、吐く。ようするに運動をしているようなものだ。どうやれば冷静さを取り戻せるのか、グエルは知っている。……運動にしては、ラウダはメイド服だし、グエルは拘束されているしで、色々とおかしいが。

    「か、らだに……翌日に響くようなことは、するな。寝たきりになったら、またラウダに面倒をかける」

    「別にいいよ。僕は兄さんの従者だからね」

    「だめだ! それに、お前は召使じゃない。俺の弟だ」

    「……そっか。うん、そうだね」

     ラウダは感情の読めないひとみでグエルを見つめた。もう片方、まだなんの傷も花もないまっさらなラウダの右の手の、少し皮の硬い親指の腹が、グエルの頬を撫でた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=62 (62) +224

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=50 (50) +289

  • 77二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 22:51:34

    色ボケダイス!止める流れなのに続けようとしてる弟

  • 78二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:12:38

     噎せ返るような性のにおいと、それに負けじと薔薇の香りがする。

    「……そうだね、兄さんは、兄さんだもんね……」

     ラウダは身を震わせながら、先程グエルがなんてことない様子で呟いた言葉を咀嚼し、なんとか飲み下そうとしていた。それは、そうだ。ラウダ・ニールはグエル・ジェタークの弟である。そうであるからこそ、今こうして、一緒にいることができるのだ。なのにどうして、こんなに、泣き出してしまいそうなほど苦しいのだろう。

     拘束具がつけられたグエルのからだを抱きしめる。たっぷりと重ねられた分厚い布のせいで、グエルの体温が感じられない。それが無性に悲しかった。

    「ねえ、……、ほんとにね、愛してるよ」

     言いながら、内側を抉る。この内臓は、ラウダのものだ。ラウダが与えた食事によって構成される、ラウダによって縛り付けられる、ラウダによってだけ傷つけられてよい、ラウダのものだ。ゆっくりと出して、いれて、ひっかけて、奥まで。苦しいのに、からだは勝手に動く。ああ、おかしいの。

     グエルの両の手を取って、かたく指を組む。骨と肉の感触。うっすらとぬくもりのある殻に閉じ込められているような、奇妙な閉塞感と安堵。めまいがする。あらゆる感情も理性も「止めろ」という命令もすっ飛ばして、ほとんど強制的に波が襲い掛かってくる。

    「は、ひ、ぅあ、」

    「ごめんなさい、手、貸して……」

     グエルの左手の薬指に、真っ赤な歯形のあとがある。ラウダはそれをなぞるように舐めて、吸う。上書きする。決して消えないように。このあかしが、残り続けますように。

     目一杯の祝福を込めてくちびるをはなせば、くっきりとついたあとが、まるで薔薇の花のように見えた。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=90 (90) +286

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=74 (74) +339

  • 79二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:34:42

     ……結局、グエルが完全に気絶し、ついでにラウダも意識がなくなるまで、止まれなかった。

     繋がったままで目を覚ましたとき、ラウダは申し訳なさでつぶれてしまいそうになった。なんとか重いからだを引きずって、どろどろになったメイド服を洗濯槽に放り込む。なんとか着替えて、本当はこのまま朝食を用意しようとも思ったけれど、ラウダも体力の限界である。

     再び寝台に戻ってきて、真っ赤に腫れたまぶたを閉じ、安らかな寝息を立てるグエルを見つめる。前髪を、撫でてみる。柔らかい。こんなにも優しい、あたたかい。

     ……好きだ。

     愛している。

     そう告げられたらどれだけ楽だろう。世間一般、社会における『禁忌』ではない。それならば乗り越えていけばいい。だけど違う。ラウダに枷をかけ、がんじがらめにしているのは、他でもないグエルだ。

     ラウダはそうっと、グエルのからだを抱きしめる。

     かちゃり。首輪とハーネスの冷たさが、ひどく、虚しい。

     再び眠りについてしまうまで、ラウダはずっと、グエルの静かな息の感触に、ぽろぽろ涙をこぼしていた。

    (ちなみにメイド服は)

    dice1d3=2 (2)

    1:とりあえず保存しておくが、ジェターク社から新たな服が届いたら処分する

    2:これ着てると兄さんの反応が面白いからまた着るよ!

    3:次は兄さんが着る番だよね!!

  • 80二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:51:50

    ※本日の色ボケダイスまとめ
    ・クラシカルメイドらうだ
    ・ラウダのあしに青い薔薇×4
    ・メイド服持ち越し※ことあるごとに廃棄orどっちが着るかロールは続けます
    ・下手に「ちょっとだけえっちな文章書けます!」と表明してからダイス神の暴れっぷりがすごい。お、お気に召してくださったようなら何よりです……(揉み手)
    ・添付は某グエシコマフティー様に教わった(勝手にリスペクトしてるだけ)下着履いてるからOK理論です。は、入ってないのでセーフ……

  • 81二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 00:11:10

    文章も絵も素晴らしくえっちでした!

  • 82二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 05:08:42

    ギリギリを攻めてくれて大変ありがたい

  • 83二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 07:37:43

     全身が痛い。

     グエルは昨日のことをひとつひとつ思い出し、さもありなんと頷く。しかしこの痛みもラウダから与えられた罰だと思えば、愛おしくて仕方ない。なんとか起き上がろうとするが、脳が「起き上がれ」と命令する段階でぴたりと止まる。頭がふわふわする。瞼が重い。

     ラウダの方に視線を向ける。グエルが動いたことで、少し寒くなったのか、目を半開きにさせている。だけどもまだ殆ど眠っているようなものだろう。

     __茶色のひとみ。だけど睫毛は紺色だ。これは父さんじゃない。

     ほっとして、グエル半ば無理矢理起き上がり、車椅子に向かって這っていく。足が動かないとはかように大変なことであったか。なんとか辿りつくころには、息も切れ切れになっていた。

     ……体力が落ちている?

     こちらに来てからまだそこまで時間が経ったわけではない。だけどこのような生活をしていれば、多少はそうなるのも当然である。動かないはずの下半身がぴりぴりと痺れて痛むのに、汗が、浮いてきた。

     ただでさえ父を殺した仇、唯一の肉親というインプリンティングがあっても憎んでいた方が妥当な相手。そういう意味では役に立つことができるかとも思ったが、昨日も今日も、結局なされるがなまで、基本なにかした覚えはない。そのうえ、この玉座のような車椅子に座っているだけで、何の役にも立たない置物?

     それはラウダの兄とか同居人とかがどうとかいう問題ではなく、単純に迷惑なペット以下の存在なのではなかろうか。今更ながら気づいた事実は、父を殺した罪人という認識の上に、ずしりとのしかかってくる。

     __吐き気がする。

    dice1d100=27 (27) (補正。41以上で外に出ていこうとする)

  • 84二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 08:10:30

     外に出てどうする?

     玄関先まで辿り着いたところで、ぴたりと腕が止まる。

     死ぬことになるだろう。少なくとも、ラウダの目の前に、二度と現れることはないだろう。ラウダを置いて。ラウダを本当にひとりきりにして。ラウダのこころに、大きな傷を残して。

     たとえ迷惑だとしても、それならばむしろ、復讐心や敵対心、加害欲求や、そういう、欲__を、満たすための、道具、として生きる方が、ラウダにとっては幸せなのかもしれない。目を伏せる。罪を背負ったこのからだに、愛される資格はない。くるりとタイヤの向きを変えて、寝室に戻った。

     ラウダはまだ微睡んでいる。

     赤ん坊のように愛らしい眉目、子どものように穏やかな目鼻立ち、きちんと青年のかたちをした頬や喉。こうしてみると奇妙にアンバランスだけれど、なんの違和感も持たせない。「兄さん……?」と囁かれた声は、まだぽやぽやとしていて、舌っ足らずだ。

    「そうだ、兄さんはここにいる」

    「そっか……嬉しい……」

     ラウダはほほえんで、グエルの手を取り、自分の頬に擦り付ける。寝起きだからか、温かい。薔薇ではない、優しいあまいにおいがする。

     グエルのひとみから、ぽろりと涙が溢れてきた。

     どうしたの、と問われる。グエルは誤魔化すように笑って、なんでもない、と告げる。告げてから、祈るようにラウダの手を握りしめた。

    dice1d3=2 (2)

    1:ラウダの役に立ちたい(あの花畑から薔薇の花を摘んでこよう)

    2:ラウダの役に立ちたい(朝食を作るよ)

    3:ラウダの役に立ちたい(性的な意味で)

  • 85二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:47:23

    仄暗いラウグエ最高〜〜っ
    応援してます!

  • 86二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:53:31

    ダイスの色ボケが治ったな

  • 87二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 13:59:03

     じゅう、と何かが焼けるような音がして、目を覚ます。

     ラウダはゆっくりと身を起こす。聞こえるはずがない。ここから台所までは遠いのだから。だけども確かに聞こえる。のろのろと掛け布団から出てダイニングに向かうと、グエルは車椅子を機敏に動かして、食事を準備しているようだった。ラウダは目を見開いて、何事か声をかけようとしたが、まごまごくちびるを動かした末に、なんとか口に出せたのは、「お、おはよう……」という小さな挨拶であった。

    「兄さん、からだは大丈夫……?」

    「おはよう。勝手に材料は借りた」

     後半の質問には答えない。かわりに机の上に差し出してきたのは、朝食のプレートだ。ふっくらとふくらんで香ばしいパン、脂肪の微粒が全体に行き渡って艶めいているベーコン、色とりどりで生命のにおいがするサラダ、ふわふわこんもり盛り上がったオムレツの表面には微かな焦げ目がある。

     唖然としたラウダを椅子まで誘導すると、グエルはその横まで車椅子を漕いでくる。それからナイフでオムレツを切り分けて、フォークに刺し、差し出してくる。

    「この前、してくれただろう」

     ぱちり、と記憶が瞬く。

     そういえばそうだ。具体的には>>19 のレスのあたりで、確かにラウダはグエルに食べさせた、覚えがある。おそるおそるくちびるを開けると、グエルはやさしくオムレツをくちびるの中に押し込んだ。穏やかな朝に相応しい、柔らかくて、優しい味がする。

     ……どうしてか、鼻の奥が、つんと痛む。

     これも、ラウダがグエルの弟だから、してくれているの?

     そうだ、そうに決まっている。それでいい。それがいいじゃないか、ラウダ・ニール。言い聞かせるように自分の中で繰り返して、ラウダは微笑む。とっても、おいしいよ。兄さん。グエルは安堵したように微笑んだ。


    グエル→ラウダ依存度dice1d100=67 (67) +31

    ラウダ→グエル依存度dice1d100=35 (35) +96

  • 88二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 14:04:51

    兄さんの依存度が上がってきてていいぞ〜

  • 89二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 14:10:11

    >>88

    一気に上がった

  • 90二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 18:29:45

     グエルの手に全ての食事を摂らせてもらったあと、ラウダはまた例のメイド服に着替えた。自分ではなかなかにキツいと思うのだが、グエルは褒めてくれたのだし、恥を忍んで着るべきである。いややっぱり無理だ。はずかしい。どう考えてもキツい。普通に上背も筋肉もある男がフリフリメイド服はキツい。葛藤と羞恥心の間に揺れて、ぐるぐると鏡の前を回る。

     悩みに悩んだ末に、ラウダは扉から半分体を出して、洗い物をしているらしいグエルを伺うように見つめた。

    「……に、兄さん……」

    「なんだ」

    「こ、この格好、どうかな」

    「……?可愛いと思うぞ」

     それは一体どういう意味だ。

     ラウダは頭を抱える。ラウダは自分がグエルにとって「可愛い弟」であることを理解しているが、仮に本当にグエルがこのラウダを「可愛い」と思っていたとしても、その「可愛い」はどう考えてもラウダの望む「可愛い」とは違うのではないか。顔を真っ赤にしてうずくまると、グエルはちらりと横目でそれを見て、水を止める。タオルで手を拭うと、車椅子を漕いで動かして、こちらまで近寄ってきた。

    「冷たっ、」

    「あ……、悪い」

     グエルの指先が、ラウダを抱きしめる。

     生理的に悲鳴はあげたが、むしろその冷たさは、心地よいものとして受け入れられた。あたたかいのとおなじくらい、触れている実感がある。ラウダは自身の手のひらを使って、グエルの手をあたためる。しばらくも経たないうちに、体温が同じくらいになる。

     そのあまりの甘い感触、幸福さに、ラウダは小さく笑みを零す。グエルもそれを見て、穏やかに微笑んだ。

    dice1d100=11 (11) (88以上で殺してくれ懇願)

  • 91二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 21:35:09

     グエルは鼻歌を歌いながら、ラウダの帽子をとって、優しく髪を撫でる。どうやらこの兄は、いますこぶるご機嫌らしい。

     ラウダはほっと、安堵の息をつく。突然自害しようとすることと比べれば、メイド服を着るくらいわけもない。この幸福な楽園を守るために、できることならなんでもしたい。なされるがままにしていると、優しく頬擦りしてきた。

    「ラウダはあったかい」

    「……ふふ、そうでしょう」

    「愛でる可しと書いて、可愛いと言うんだ。赤ん坊みたいだ」

     その言葉に、ラウダは少しだけむくれる。赤ちゃんみたい、って。同い年なのだけど。それに「愛でる」だなんて、まるでただの意志のない『対象』みたいじゃあないか。確かにラウダは対象ではあるけれど、同時に『主体』でもある。そのあたりをグエルはわかっているのだろうか。

     グエルの肩にそっと手を置いて、首を傾げる。赤ちゃんじゃないよ。言えば、わかっているのかいないのか、多分後者だ、ニコニコと笑っている。怒りのままちょんと鼻先にくちづければ、グエルはきょとんとしたような顔をした。

    「もう一度言うよ。赤ちゃんじゃない」

    「そうだな。わかっているぞ」

    「全然わかってない!」

     ラウダはスカートに包まれた足をおもたげに持ち上げて、ずいとグエルに顔を近づける。間近にあるグエルのひとみが、ぱちぱちと瞬いた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「赤ちゃんじゃ兄さんのお世話、できないからね(どこからともなく拘束具を取り出す)」

    2:「で、でも……そ、そんなに言うなら……(甘えん坊な弟ロール)」

    3:「赤ちゃんはこんなことしないよ?(色ボケ)」

  • 92二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:31:18

    バランス感覚に優れたダイスくん

  • 93二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:48:47

     ラウダがほんの少しだけ目を伏せて言ったそれに、グエルは一瞬目を見開いた。

     だがそれも、本当に一瞬のこと。すぐに花が咲くようにぱあっと笑って、ラウダのからだを抱き寄せた。それから嬉しそうに背を撫でて、頭を撫でて、頬ずりをする。

    「ふふ、ラウダはかわいいな。ちっちゃいころを思い出す」

    「……よく、こうしてぎゅってしてくれたっけ」

     幼い頃のことを回想しながら、……もう戻ることのできない過去のことを思いながら、しかし触れたグエルの腕は大人のものだし、ラウダのからだも成人男性のそれである。なんだかひどく倒錯的に感じて、躊躇しながらも抱き返す。ごわついた布の感触の奥から、噎せ返るように甘い、薔薇のにおいがする。

     グエルは泣きそうになりながら、ラウダのからだをぎゅうぎゅうに抱きしめる。どうかずっと、この穏やかな時間が続いてほしい。どうか。続いて、ほしかった。

     どうしてこうなってしまったんだろう。

     唐突にこみ上げてきた吐き気に、グエルは大きく息を吸って、吐く。ラウダの頭を撫でながら、泣きそうになるのを必死にこらえる。

     この手はあの頃ほど無垢ではない。父の血で汚れてしまっている。それなのに、ラウダはいつまでもかわらず、こうして笑顔を向けてくれる。

     ああ、だめだ。

     捨てないでほしい、と思ってしまう。

     ……そんなことを考える資格はないのに。

     ラウダの肩に、微かに震える息がかかった。「ねえ、兄さん、」ラウダはまだ可愛い弟のままかな。グエルは微笑んだ。もちろん。愛でる可き弟のままだ。でもできれば、お前にとっても俺は愛でる可き兄であってほしい、なんて、言うことはできなかった。


    グエル→ラウダ依存度dice1d100=12 (12) +98

    ラウダ→グエル依存度dice1d100=9 (9) +135


    そろそろメイド服の行方

    dice1d3=2 (2)

    1:グエルが着るよ

    2:ラウダが着続けるよ

    3:廃棄だよ

  • 94二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:50:24

    頑なにラウダにメイド服着せたいダイスに草

  • 95二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 23:23:27

     メイド服を着ているとグエルが喜ぶ。

     ちょっと何某かが危ない気がする学習をしてしまったラウダは、動きづらい上に羞恥心を煽るだけであるはずのメイド服を着用し続けていた。

     ふわりと広がる裾に、しっかりとした光沢のある生地は、まるで可憐な拘束具だ。だけどもそれに縛られることを望んだのは、他でもない、ラウダ・ニールである。

     グエルはそれをじっと見つめる。幸せだ。今、こんなに幸せだ。抱きしめられた感覚。抱きしめた温かさ。全身を締めあげる拘束が、その熱を内側に押しとどめている。ラウダに言わせてみれば、この背中には薔薇の花が咲いているらしい。

     こんなに幸せでいいのだろうか。突然、罪悪感が襲ってくる。おそらくは、愛されている。この罪深い身を、ラウダは愛している。ラウダにはもっと、相応しい相手がいるはずだ。ラウダをもっと幸せにできる存在がいるはずだ。車椅子を漕ぐ。こんな、ずたぼろのからだを動かすだけの置物など、いっそ薔薇の養分にでもなってしまったほうがよいのではないか。生きたまま、冷たい土の下に埋められる。そうしていずれ、あらゆる何もかもを忘れて、世界と同化してしまうまで、ヴィムとラウダに謝り続ける。

     それはなんとも甘美な思い付きであった。

     だけどもそうしたらラウダはきっと悲しむ。それは、嫌だ。……いやで、ならない。何かいい考えは、浮かばないだろうか?

    dice1d100=3 (3) (78以上でアイデア(狂人の洞察力)成功)

  • 96二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 23:30:12

     ……だめだ、なにひとつ思いつかない。

     そこでグエルは、ふと気づく。どうやら自分は相当、正気に戻ってきているらしい。ようするに、「自分が死ぬためにはどうすればいいのか」ということを考えなくなってきているということだ。父を殺して正気を保つ自分が、なんだかやけに恐ろしくなる。

     それならせめて、そうむしろ、狂気に染まったままでいた方が、ずっと、人間として、まともなのでは?

     自分は__今、真の意味で、狂人になりつつあるのではないか?

     ひゅ、とグエルの喉が鳴る。最早これは発作じみたものだ、とグエルは理解している。押しとどめなければ。またラウダに心配をかけてしまう。息を吸って、吐く。震える。泣き出してしまいそうだ。のうのうと幸福に生きている自分が、恐ろしくて仕方ない。

    「兄さん?」

     メイド服を身に纏ったままのラウダが、こちらに近づいてくる。

     優しい手のひらだ。こちらにとってあまりに安心安全な、無害なてのひらだ。ひゅうひゅうと呼吸がおかしくなる。大丈夫、という代わりに軽く片手を挙げて、なんとか嫌な考えを脳から追いやる。……この行為自体も、いけないことなのだ。

     グエル・ジェタークは狂人なのである。

     ……。

    dice1d3=2 (2)

    1:「ラウダ、や、やっぱり、俺のこと、を、殴って、くれ」

    2:(それでも、いい、かもしれない)

    3:「……な、なあ……忘れさせて、くれないか」

  • 97二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 23:34:07

    ※本日のまとめ
    ・グエル依存度110%
    ・ラウダ依存度144%
    ・なんと今日に入ってからは昨日までが嘘のように依存度が上がる選択肢しか出ていない。もしかしてダイスの女神って日替わりなんです?

  • 98二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 01:39:08

    前は色ボケだったのに今回は兄弟イチャイチャが好みの女神あとラウダのメイド服女神達本当に好きだな

  • 99二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 03:57:07

    病んだ兄弟をねっとりじっくり書いてくれるのほんま助かる

  • 100二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 07:44:16

     グエルは閉口して、ラウダの背に腕を回す。

    「なあ……ラウダは、俺のこと、愛してくれるか?」

     ラウダは不思議そうに首を傾げる。

    「もちろんじゃないか。突然どうしたの」

     その言葉を聞いたグエルの目が、涙か、あるいは別の何かなのか、きらり、と輝いた。

     愛してくれる。ラウダは、グエルがどのようであったとしても、愛してくれる。捨てないし、一緒にいてくれる。こんな罪を背負ったグエルのことを、受け止めて、笑って、今まで誰も、父さんでさえ、今際の際にしか、見せてくれなかった、無償の愛、献身、家族愛、認めて……愛してくれる。

     なら、それでいいのではないか。

     グエルはラウダの手を握りしめて、ラウダのひとみを見つめて、弾けるように笑った。

     狂っている。それで結構。ラウダが愛してくれるのなら、構わない。狂ったままでもいい。壊れたままでもいい。この背におった十字架の重みを、彼にもたれて誤魔化すことが、許されて、許され続けているあいだは。ラウダが、人殺しの手に触れているのだと気づかずにいてくれているあいだだけは。

     グエルが、ラウダに愛されているのならば。

    「なあ、ラウダ、ラウダ……好きって言って……」

    「うん、好きだよ」

    「愛してるって、褒めて」

    「突然どうしたの……? 愛してるよ、兄さんはいつも自慢の兄さんだ」

     グエルのあたまが、ぼうっと麻痺する。

     ああ、なんて、罪深いことなんだ。

     思いながらラウダの体を抱きしめる。触れ合った熱がとけあってひとつになるたび、どくどくと心臓が脈打つ。こんなに、こんなにも……グエルは、しあわせであった。


    グエル→ラウダ依存度dice1d100=88 (88) +110

    ラウダ→グエル依存度dice1d100=89 (89) +144

  • 101二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:33:48

    このレスは削除されています

  • 102二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:35:11

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:37:13

    (上二つはどちらも†致命的な誤字†です 殺してくれ……)


     なんだかグエルの態度が露骨に変わった。気がする。

     だいたい常に一緒にいるようになったし、ことあるごとに甘えるように擦り寄ってくるし、数時間に一度は「好きって言って」と懇願してくる。別に実害はないし、むしろちょっと嬉しいくらいだから、別に止めはしないけれど。

     雑事を終えて、自由な時間が生まれる。ほっと息をついて、本でも読もうか、それともジェターク社の方に連絡でもしようか、などと思いながらソファに座り込む。するとタイミングを見計らったかのようにグエルが車椅子を漕いでやってきて、ラウダに擦り寄ってきた。

    「ラウダ、俺のこと好きか?」

    「うん、もちろん。大好きだよ」

    「……」

     ふにゃりと口許を緩ませて、なんとも嬉しそうな笑みを浮かべる。頬が赤く上気しているのは血がよく巡っている証だ。グエルは生きている。生きているのだ。ラウダはそうっと手を取り、祈るようにくちづける。あたたかい。ああ、嬉しい。この温もりを、決して手放してなるものか。

     グエルはとろけるような、恍惚としたような、陶然としたような、あるいは__身のうちから溢れ出る幸福に浸っているような、柔らかい表情をしていた。それからラウダの胸に頭をぐりぐりと押し付けて、つぶやく。

    「ラウダ、愛してくれてる、証がほしい」

     暖かな日差しが差し込む午後。

     ふわりと白いカーテンが揺れた。

    dice1d3=2 (2)

    1:首に噛み付く

    2:ピクニックのやり直ししようよ!

    3:愛する(ド直球)

    (スレ主の脳が溶けに溶けてるので今回は自害ダイス省略します)


    ついでにメイド服はdice1d3=1 (1)

    1:ラウダ着るよ

    2:兄さん着てよ

    3:そろそろ廃棄だよ

  • 104二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:43:31

    本当にラウダしか着ないなメイド服

  • 105二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:46:25

    ラウダのメイド服もいいけどそろそろグエルのメイド服もラウダのコスチュームチェンジもみたいよダイス神

  • 106二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:50:37

     ……そういえば、初日、外に出ようとして、結局グエルが池にとびこんでしまったから、お開きになってしまったピクニック。あれは少し心残りであった。

    「ねえ兄さん、やり直し、しようよ」

     ラウダは目を輝かせる。今回はバスケットにおやつを詰めていこう。紅茶を水筒につめていこう。それから、それから。あれこれ計画を話すラウダを見て、グエルは穏やかに眦を下げる。

     優しい顔をした兄が、__ずっとこのままの顔でラウダの隣に居続けてくればいいのに、と思った。


    グエル→ラウダ依存度 dice1d100=62 (62) +198

    ラウダ→グエル依存度 dice1d100=15 (15) +233


     花畑にやってくると、最初の日と変わらない、柔らかい陽だまりと爽やかな風と、微かな甘い薔薇の香りがする。

     変わったのはグエルだ。もう間違っても池に飛び込もうなんてしない。だからラウダは安心して、目を離すことができる。詰めてきたのはフルーツサンドだ。これもまた、「やり直し」のためであった。色とりどりの果物がホイップクリームに包まれてこちらを見ているのは、目にも楽しい。

     一方グエルは、ぼんやりと池を見つめていた。二度と此処に入るなんて愚行は犯さない。しかしながら、やはり心のどこかで、心残りがあることもまた、事実である。揺らぐみなも。揺らぐこころ。微かに睫毛を伏せる。

     __嫌なことを考えてしまった。

     早くラウダのところに帰ろう、と方向転換をした、ところで、グエルの目にとびこんできたのは、薔薇にあらざる花の塊だ。

     知っている。いつか植物図鑑で見たことがある、根を食らうと死ぬタイプの毒草だ。どきり、と心臓が高鳴る。いま、この、幸福のまま、死ぬのなら__それはあまりに、甘美な誘いである、ように思えた。

    dice1d100=33 (33) (68以上で毒草を一株手に取る)

  • 107二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 10:47:49

     近づいたところで、ふ、と視線を横にやる。

     ラウダが呼ぶ声がする。

     グエルは毒草__の隣の、ひときわきれいな薔薇の花を手折った。白、先だけが薄い桃色の花弁、くるりと内側に反り返ったそれは、豪奢ではないが清廉で可愛らしい。棘こそあったものの、ちいさなそれはグエルの皮膚を傷つけるには至らなかった。それと、やわらかな草をいくつか引き抜く。両手に一本ずつもって、交互に巻き付けて。やったことはなかったが、してみれば以外とうまくいくものだ。

    「兄さん、何をしているの?」

     不思議に思ったらしい。ラウダが近づいてくる。グエルはラウダの手をとると、右の中指に、そうっとそれを嵌めた。

     __薔薇の花でできた、指輪だ。

     ラウダは目を見開く。グエルは微笑みかけて、言った。

    「生花だからそこまでもたないかもしれない。レガリアにしては、少し、お粗末だが……」

    「そまつ、なんか、じゃ、ないよ。とってもうれしい」

     ラウダの肩が震える。

     両の手を組み合わせると、左の青い薔薇と、右の白い薔薇が、あまい、あまいにおいを発する。

    「花瓶に入れれば、多少は保つ。プリザーブドフラワーにすればもっと」

     ねえ、お返し、あげるね。

     ラウダは笑い返して、グエルの手を取った。

    dice1d3=1 (1)

    1:薔薇の首輪をかけてあげるよ!(意味深)

    2:薔薇の花で花冠を作るよ!(意味浅)

    3:この世界では3を引くとからだに薔薇が咲くよ 意味は分かるね?

  • 108二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:10:01

     ラウダはグエルを抱き寄せて、その首筋にそうっとくちびるをあてる。

     かすかに浮いた骨、喉仏。とくとくと温かな血を流す頸動脈。全部がグエルだ。項と呼ばれる部分と、呼ばれない部分の、ちょうど境目あたり。かすかに歯を立てれば、グエルの肩が、少しだけ、震える。

    「痛い?」

     ラウダが尋ねると、グエルは少し悩むように視線を彷徨わせたあと、そっとかぶりを横に振る。痛くはない。すこし、くすぐったいだけ。

     そう、と言って、ラウダは己の指先をグエルに噛ませる。一体何を。疑問の声が降ってくる前に、鋭く尖った犬歯を、思い切りそこに突き立てた。

    「い゛ッ、あ……!」

     痛み、恐怖、生理的な悲鳴。血が出るほどではない。だが、力を加えられた部分の周囲が、少しだけ白くなっている。ほんの一瞬、風が花畑を通り過ぎる前に、ラウダはそうっと、歯を離す。

     労わるように、ちう、ちう、と数度くちづけし、吸い上げる。なぞるように舐めると、まるで赤い花がぽつぽつと咲くように、いくつかの鬱血痕ができていた。

    「痛い?」

     ラウダは尋ねる。

     グエルは答えない。ただ、ぽやりと惚けたようなひとみで、ラウダを見つめる。どくり、どくりと。心臓が早く、うごいている。くっついてると、とくりとくりとそれが伝わってくる。

     は、と微かに息が漏れた。

     グエルの指が、自身の首筋をなぞる。これは首輪だ。ラウダに与えられた、ラウダのものであるということ、自分がラウダから逃げられないことを示す、あかしだ。こんなものがあったら、誰が見てもグエルはラウダのものであるとわかってしまう。

    「……い、痛く、ない」

     すこし、くすぐったいだけだ。

    そろそろメイド服は

    dice1d3=3 (3)

    1:兄さんが着るよ

    2:やっぱりラウダが着てるよ

    3:別の衣装にチェンジだよ

  • 109二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:12:18

    やっとダイス君もメイド服に満足したんだな

  • 110二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:19:29

    ようやく衣装チェンジだね!ながかったね

    dice1d3=2 (2)

    1:グエル 2:ラウダ 3:両方(この場合更に()内部の選択肢も入れてもう一度どっちがどっちかダイスを振るよ)

    dice1d5=4 (4)

    1:普通の服(普通の服)

    2:ふわふわドレス(執事orメイド)

    3:ジャパニーズ・ハカマ(チャイニーズ・ドレス)

    4:セーラー服(学ラン)

    5:すけべ衣装(普通の服)

  • 111二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:21:47

    ダイス神ラウダの女装好きすぎ

  • 112二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:25:29

    すけべ衣装(普通の服)で宇宙猫しちゃった

  • 113二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:30:52

    ベースはdice1d2=2 (2)

    1:白

    2:黒

    概観はdice1d4=4 (4)

    1:可哀想なのでセーラー(海軍)と解釈し軍服

    2:ハーフパンツセーラー服

    3:一般セーラー服

    4:問答無用でフリフリセーラー服

  • 114二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 18:54:19

    ど、どうして…

  • 115二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:12:10

     ラウダは本気で頭を抱えた。

     きちんと注文したはずだ。「普段着として使える者を送るように」と。「着るのは男性だから相応しいものを送るように」と! なのに結果はこれだ! 確かに肩幅や腰回り等、男性用として作られたらしいことはわかる。しかし問題はそこじゃない。デザインである。なんだこのひらひらしたスカート。なんだこのふわふわしたリボン。確かに辛うじて「普段着」ではあるが、どう考えてもそうではないだろうが!

     ひとしきり内心切れ散らかしたあと、ラウダは呼吸を整える。こんなものをグエルに着せるわけにはいかない。やはりこれもラウダが着ることにしよう。

     ……それにもしかしたら、また、可愛い、って、言ってくれるかもしれない。

     本当なら「かっこいい」とか「頼りになる」とかがいいけれど、グエルの扱うあらゆる好意的な言葉に、グエルにとってのあらゆる存在に、なりたい、と、思う。その中にはもちろん、「かわいい」も含まれている。半ば自分に言い聞かせるようにうなずいて、首元のリボンを手に取る。

     そこでふと、思いついた。

    「兄さん」

    「どうした、ラウダ」

    「あのね、リボン、締めてほしいな」

     ラウダは微笑んで、首を差し出す。

     グエルに『自分はそれだけあなたを信頼しているのだ』と示すための、いわばポーズであった。グエルはラウダから渡されたリボンを手に取って、しばらく考えこむ素振りを見せる。

    dice1d100=75 (75) (58以上で殺してくれ懇願する)

  • 116二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:16:58

     グエルは突然、ぼろぼろと涙をこぼし始めた。何を、とおもっていると、ラウダに縋りついて、ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。

    「俺に、おまえまで、殺せと、言うのか」

     そうは思っていないから、と続けようとしたところで、グエルは手に取ったリボンを再びラウダの手に握らせる。つるりとした感触に隔てられた彼の指先は、やけに冷たい。

    「それなら、いっそ、その手で……」

     それ以上は言葉にならなかった。

     ラウダはグエルのからだを抱きしめて、ぽんぽんと背を叩く。触れ合っている胸の、不規則に早まっていた鼓動が、徐々に落ち着いてくる。睫毛を伏せたのだろう、肩口のあたりが、微かに湿る。

     ラウダはグエルの髪を撫で、頬を撫で、瞼にくちづける。腫れあがった皮膚がほんの少しだけ塩の味がした。

    「兄さん、どうか、自分をたいせつにして」

     静かに、語り掛けるように、囁く。

    「あなたのことを、安心して愛させて」

     グエルの肩が震える。そうっと、抱き返してくる。

    「殺してなんて言わないで」

    dice1d3=3 (3)

    1:言いながらグエルの手を縛り上げる。

    2:言いながらグエルの首にリボンを巻く。

    3:言いながらグエルの体を押し倒す。

  • 117二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:30:37

    しっとりしたラウグエ良いです。色ボケダイス神が帰ってきたのかもしれない

  • 118二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:37:31

    今全部読んできた…性癖に刺さりすぎて最高ですありがとうございます

  • 119二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:24:10

    dice1d2=2 (2)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=4 (4)

    1:あたま

    2:てくび

    3:うで

    4:くび

    5:あし

  • 120二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:41:27

     床に、薔薇が咲いているらしい背が倒される。

     たった数度、交わっただけだ。それなのにグエルのからだはどくどくと高鳴って、そう、まるで、期待しているようだ。グエルの頬が上気する。だめだ。グエルは道具だ。罪人だ。幸せになってはいけない存在のはずだ。それなのに、どくりと、心臓が、うるさい。勝手に、触れ合う心地良さを得ようとしている。

     ラウダの皮膚は、少しだけ汗ばんでいて、熱い。ラウダは、興奮している? それは……そうだったら、なんて、素敵なことなんだろう。グエルは、ラウダの役に、立っている。うれしい。霞む視界でぼんやりとそう判断して、目の前のくちびるに優しく噛み付いた。グエルは微笑む。体のからだ、首に咲いた無数の赤い鬱血痕を、背を覆う薔薇の花を、順繰りになぞって、囁いた。

    「準備はしなくてもいい」

    「痛むかも」

    「いい。どうせ昨日したばかりだから、」

     言い終わる前に、全身を衝撃が貫く。

     は、と堪えきれない息が漏れた。痛い。そう、たしかに、痛い。だけどもこれは、この痛みは、ラウダから与えられた証だ。……ラウダが、グエルの体を使ってくれている、証だ。それならばもう、この痛覚さえも愛おしい。ぴんと爪先が伸びて、震える。

     愛されている。

     そんな気が、する。

     それが気持ちよくて仕方ない。肉体如何は二の次で、精神的に、いままでぽっかりと空いていた穴が、埋められていくような、温かな感触。

    「な、なあ、らうだ、」

    「なあに」

    「あと、つけさせて。おねがい」

    「もちろん」

     グエルはラウダの首筋に、慎重にくちづけを落とす。薔薇の首輪をかけてくれたように、グエルも首輪をかけ返す。だからどうか、捨てないで。どういうわけか、ぽろぽろと泣きそうになった。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=84 (84) +376

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=72 (72) +413

  • 121二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:46:41

    ※今日はもう寝るので整理だよ
    ・全選択肢を一回ずつ引く
    ・ラウダ首に薔薇
    ・着々と上昇する依存度と感度
    ・絶対にラウダに女装させたい女神
    ・パンツ履いてるのでセーフ 入ってない!!(言い訳)

  • 122二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 06:28:49

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 07:23:01

     人間の体はそこまで強くできてはいない。ただでさえグエル本人が抵抗どころか受け容れてすらいるのだ。与えられる痛みは、しばらくもしないうちに別の感覚に変換され、グエルを作り変えていく。

     ラウダは意識して呼吸を深め、冷静さを保つ。少しづつ、優しく、慎重に。だけども決してやり残しがないように、丁寧に。よいところ。まだそうではないところ。その中間。スカートをたくしあげて汗を拭ってから、確かめるように、記憶するように目を閉じれば、はふはふ、犬のような呼吸が聞こえてきた。ふと、思いつく。ラウダは床に落ちたままのリボンを拾い上げ、見せつけるようにグエルの前でひらひらと揺らした。

    「これで、兄さんの縛ってみようかな」

    「は、へ」

    「たたなくなって、壊死して、その足みたいに使いものにならなくなってしまうまで」

    「ぁ、……」

    「ただでさえ車椅子で、ここも使いものにならなくて、その上女装した弟に抱かれて興奮してるような淫蕩なひと、誰も慰めてくれないよ」

     このラウダ・ニールを除いては。

     グエルのひとみが、じんわりととろける。なんでこんなに嬉しそうにしているんだろう。ラウダの心に宿ったそんな疑問は、すぐに情愛に火をつける薪となる。触れ合った部分からぐずぐずに蕩けて、ひとつになって。そうしてほんとうに、ラウダなしでは生きられない体になってしまえばいい。そんな身勝手な独占欲がごく違和感なく思考の中に溶け込むほどには、ラウダも夢中になっていた。

     グエルは声を堪えるためか、ラウダの首を吸い続ける。見えないけれどきっと、ここにも青い薔薇が咲いているのだろう。思いながら髪を撫でれば、グエルの鼻から抜けた甘い息が、微かにラウダの耳を撫でた。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    dice1d100=37 (37) +460

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=10 (10) +485

  • 124二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 07:53:11

     これが本物だったらどうしよう。

     後始末と掃除とを終え、車椅子に腰掛けて微睡みながら、横目で昼食の準備をするラウダを見て__グエルは突然、怖くなる。

     あたまが、いっぱいになってしまう。このからだ全てを明け渡してしまいたくなる。ぼんやりとしていく意識の中で、それでも忌避感を覚える。愛されて、ぬるま湯の中で大切に大切につけこまれて。呪われ、憎まれ続けていなければいけないはずの、正確には他の誰が否定しようがグエルだけは肯定しなければいけないはずのその罪悪感の、かたち、ふち、境目が、分からなくなっていく。それでも構わない、と思ってしまっている自分が、一番いちばん、嫌で仕方がない。

    「兄さん、パンでいい? オートミールやお粥の方がいいかな」

     ラウダの声が聞こえて、はっと意識が浮上する。

     首から胸にかけてを束縛するハーネス。首や指についた赤いあと。まるで玉座のような車椅子。からだは酷く怠いが、気遣われるほどではない。なんでもいい、と言えば、ラウダはニコリと微笑んだ。

     ああ、幸福だ。

     ……なんて、恐ろしいんだろう。

    セーラー服

    dice1d3=1 (1)

    1:ラウダの受難は続く__

    2:そろそろグエルが着るよ

    3:コスプレもいいけど別のプレイもいいよね

  • 125二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 09:41:04

    ダイス神がラウダのコスプレ好きすぎる

  • 126二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 11:43:27

    「はい、兄さん。ごはんだよ」

    「……」

     ラウダが用意したのは、たまごなどの具材がたっぷり入ったおかゆである。

     これだけ連日無理をさせているのだから、いくら見た目が大丈夫そうでもからだには負担が溜まっているはず。というかこの兄であれば、負担が溜まっていてもそれを気取らせないようにふるまうくらいはする。スプーンはやはり、銀製だ。できれば陶器のれんげでもあればよかったのだけれど。毒が入っていないということを証明するように、それは鈍い輝きを放っている。

     グエルは手をつけようとしない。向かい合って座ったラウダが、訝しむようにそれを見る。どうしたの、食欲がないの。声はひたすら気づかわしげだ。グエルはしばらく考え込んだ末に、ぽつりとつぶやく。

    「今日は食べさせてくれないのか」

     言った直後に、グエルの頬がゆるゆると上気する。なんでもない、忘れてくれ。ラウダはそれを理解するのに、たっぷり三秒はかかった。それから弾けるように笑って、立ち上がり、グエルの手からスプーンを奪い取る。

    「ごめんね、気づかなかった」

     グエルのくちびるが震える。ラウダはその顎を親指で軽く押して半開きにさせると、

    dice1d3=1 (1)

    1:自分のくちにおかゆをいれる

    2:グエルのくちにおかゆをいれる

    3:もう率直にキスする

    (自害ダイス省略します)

  • 127二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 13:16:51

    口移し!

  • 128二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 13:59:47

     グエルは一瞬、何を、と目を見開く。しかし直後、こちらによってきた顔に、息を弾ませた。咽喉の奥に、それが流し込まれる。咀嚼せずとも呑み込めるほどやわらかくて、口の中が焼けてしまいそうなほど熱い。それがかの舌の感触なのか、それともお粥のものなのか、わからなかった。

     ラウダはスプーンを持っていない方の手を今度は後頭部に回し、少しだけ角度をつける。ぴったりと噛み合わせを塞がれてしまえば、あとは与えられるまま、ゆっくりと飲み下すしかない。グエルの喉仏が微かに動いたことを確認して、ラウダは静かにくちびるを離した。

    「おいしい?」

     グエルは無言で、ラウダの服の裾を引っ張る。意図を正確に理解したのだろう。ラウダは二口目を与えてくれる。

     触れ合ったくちびるの、舌の、やけに生々しく現実じみた感触が、腹の、というよりは、心のどこかにある飢えを満たしてくれる。皿の半分がなくなるころには、グエルの頭はぽやぽや惚けてしまって、まともにくちびるを閉じることすらできない。

    「ああ、もう。こぼしちゃうよ」

    「ぅあ、あ、すみ、ませ……」

    「もう」

     ラウダはグエルの頬に垂れた唾液やたまごを舌で拭うと、そのまま半ば強引にくちづけて、喉奥を舌で探る。

     湿った感触が、あまりに心地よかった。


    セーラー服「あの自分ベッタベタになったんスけど」

    dice1d3=3 (3)

    1:洗濯してまたラウダが着るよ

    2:洗濯して次はグエルが着るよ

    3:廃棄だよ!コスプレプレイ以外もやりたいしね

  • 129二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:08:31

    新しい服は

    dice1d3=1 (1)

    1:グエル 2:ラウダ 3:両方

    dice1d4=4 (4)

    1:普通の服

    2:ふわふわドレス

    3:ジャパニーズ・ハカマ

    4:軍服

    さらに悪ノリでジェターク社はこんなものも送り付けてきたよ!

    dice1d3=1 (1)

    1:MSのシミュレーション的なゲーム

    2:なにがとは指定しないが「道具」

    3:ありがちな薬

  • 130二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:27:11

    グエル軍服は似合うだろうなデザインはカッコいいナチドイツのほうかデザインに力を入れたらしいナポレオンのほうの軍服かどっちだろうか

  • 131二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:52:23

    MSのシミュレーションゲームとか大丈夫?めちゃくちゃ発狂しそう

  • 132二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:59:38

    軍服

    形状

    dice1d4=4 (4)

    1:一般的なやつ

    2:ハーフパンツ

    3:何故かスカート

    4:何故かワンピース

    イメージ

    dice1d4=2 (2)

    1:ドミニコスなシンプル軍服

    2:機能性重視なありがち軍服

    3:カラビニエリな装飾軍服

    4:うるせー!そんなことよりフリフリだァ~!!

  • 133二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:14:20

    ワンピースと機能性重視の組み合わせか…

  • 134二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 16:20:35

     新しく送られてきたのは、軍部でも使うシューティングゲームだ。

     実際にコクピットでモビルスーツを動かしているような操作性が売りで、幼い頃は兄弟でよくスコアを競ってあそんでいた。結局、撃つよりは近接武器で殴り合う方が強いし楽しいことに気づいてからは、あまり使わなくなったけれど。

     今の兄さんをこんなものに触れさせるわけにはいかない。せっかくだけどこれは封印しておこう、と思ったところで、洗いものを終え、ついでに送られてきた洋服に着替えた__こちらも女装だったのでラウダの普段着にしようとしたが、元は軍のエースパイロットに憧れていたためか楽しげに取っていった__グエルが、「ラウダ?」と顔を出す。折悪く例のコントローラー、つまるところ操縦桿を模したあれこれが広げられている状態であり、ラウダの表情が、強ばった。

     グエルは目を見開いて、近づいてくる。ラウダは咄嗟に箱の中にレバーを押し込める。グエルはそれを制止して、触れる。部品の一部は汎用ディランザ、というかジェターク社のモビルスーツからの流用らしい。まずい、そう思うのに、からだが動かない。

     真っ白な手袋に包まれたグエルの指が、レバーに触れた。

    dice1d3=3 (3)

    1:手袋を外して自分の喉をかききろうとする

    2:ノリノリで起動する

    3:舌を噛もうとして思いとどまる

  • 135二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 19:47:32

    dice1d2=2 (2)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=4 (4)

    1:あたま

    2:てくび

    3:うで

    4:しんぞう

    5:はら

  • 136二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 20:20:45

     グエルは衝動的に思い切り舌を噛みちぎってしまおうとして、やめる。それから、くすくす、ふふふ、と小さく笑い始める。

    「にいさ、……」

     何事かを言おうとしたラウダを壁に押し付けて、くちびるを奪った。

     何度もしてくれば、どうすればいいのかはわかる。どうされればよいのかも、わかる。多少は拙いところもあろうが、息継ぎのために離す頃には、ラウダは惚けたような顔をしていた。

     こんな服を着せて、こんなものを用意して。

     ……罪を忘れて平和ボケするのは許さない、ということか。

     グエルはそのままラウダを、レバーやモニターが並ぶコクピット__見立てているだけで、実際はただの部屋である__に、ラウダを押し倒す。幸いにも頭は打たなかったが、目の前が、ちかちかする。痛みにぱちぱちと視界を明滅させていると、グエルはラウダのスラックスを脱がせにかかった。そのまま自身も下着を取り払い、自身の孔をラウダのそれにあてがう。

    「待って、何を、」

    「兄さんじゃない」

    「そんな」

    「俺はお前の兄じゃない。お前から父を奪った、罪深い軍卒だ」

     恨め、憎めよ。

     ぐぢゅ、と。

     グエルの腰が落ちる。皮膚が、触れ合う。半ば無理矢理最奥までおしこんだせいで、酷く痛む。それはおそらくグエルも同じなのだろう、微かに汗が浮き、爪先が痙攣している。

    「兄さん、落ち着いて」

    「これが落ち着いていられるかよ!」

     グエルの腕が床を殴る。そのまま、動き始める。ラウダのためというよりは、グエル自身を傷つけるため、というように。

     ラウダはグエルの手を取って、自身の心臓に押し付ける。爪が、少しだけ皮膚を引っ掻く。左の胸を、裂くように。青い、薔薇の花が咲く。

    「……あ、」

     グエルの目が、見開かれる。

     とく、とく。心臓の音がする。ラウダの音だ。音もなく、涙があふれる。肩を震わせて「ごめんなさい、ごめんなさい……」と譫言のように呟くグエルの背を、ラウダは何度も撫でる。

    「あなたは悪くない、悪くないんだ、例え世界が許さなくても、あなたの弟だけは、あなたを許すから……」

     声は、甘い毒のようだった。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    dice1d100=52 (52) +497

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=51 (51) +495

  • 137二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:43:02

     ラウダは自分の上に乗ったグエルのからだを、優しく、抱き寄せる。グエルは未だに苦痛を堪えるようにして、ひゅうひゅうと浅い呼吸を繰り返していた。背を撫でれば、硬い軍服越しに、花弁の感触がある。薔薇の花が甘く、あまく、香る。宥めるように「兄さん」とくちにした瞬間、それを肺いっぱいに吸い込んで、ラウダは数度、空咳をした。

    「ラウダ! だ、大丈夫か、痛むか?」

    「兄さんこそ、血、出てる……」

    「ごめんなさい、突然こんなことして、俺は、俺は……ゆるして、」

    「何を。兄さんは何も悪いことしてないのに」

     離れようとしたからだを固く抱きしめれば、ぼうと熱を持った手のひらが、ラウダの頬をそうっと撫でた。横髪を微かに絡めて、いつの間にか浮いていたらしい汗を拭う。

     ラウダの腹には、グエルからあふれた血が、花弁のように散っていた。

     グエルの横原を、柔らかくさする。荒かった呼吸が、落ち着いていく。緩やかな痺れ。じんじんと、奥から降りてくる、あるいは階段を駆け上がっていくような感覚。どうやっても、ごまかせない。どうやっても、嘘はつけない。

    「ラウダ、わかるか、ここだ」

     グエルはその手をとって、自身の臍のあたりに押し付ける。一番、いちばん、奥の、内臓だ。しんぞうだ。ここにくれ。頼む。どことなく、温かい、気がする。

    「……俺のだ、」

     ラウダのくちびるから、小さな笑い声が漏れた。

    「そうだね、あなたのもの」

     ぴくり。微かに、背中が震えた。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    dice1d100=24 (24) +549

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=77 (77) +546

  • 138二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:59:00

    「すごいな、これ。本当に乗っているみたいだ」

    「うん……うん。どう? 楽しい?」

    「……シミュレーションだ。人は死なない。殺して、いない」

     グエルの手が、止まる。

     リザルト画面にはハイスコア更新の文字があった。それはそうだ。だってグエルはとっても強い、ラウダの自慢の兄さんのだから。だけどもやっぱり、これはあとで壊しておこうと思う。ラウダはグエルの隣から、グエルの膝の上にそうっとからだを移す。それから甘えるように頬にすり寄って、「兄さん」と囁いた。

    「嘘じゃ、ないよ。例え世界があなたの敵になっても、味方で居続けるよ」

    「……許されなくてもいい」

    「あなたがそれを望むなら、許さないままでいる。だけども忘れないで、兄さんは一人じゃない」

     レバーに添えられていた手をとって、優しくくちびるを落とす。

     グエルはぱちぱちと数度瞬きをして、ふにゃりとはにかんだ。そうだ、グエルにはラウダがいるのだ。きっと、傍にいてくれる。……そう、傍にいて、くれる。愛してくれる。そのはずだ。グエルはラウダに抱えられて車椅子に座る。

     __本当はこの足は、少しずつ治りつつある。

     まだ歩くことはできないけれど、多少動かすくらいならできる。だけどもそれを言って、ラウダが離れていってしまったら? ……それは、嫌だ。だからグエルは誤魔化すように微笑んで、そうっと車椅子を漕いだ。


    軍服ワンピ

    dice1d3=2 (2)

    1:「これ、割と気に入ったぞ!」

    2:「ラウダも着てみたらどうだ? 似合いそうだ」

    3:(……兄さんはああいってたけど、ゲームと一緒に燃やしておこう)

    ちなみにラウダはグエルの足が治りつつあることに

    dice1d3=3 (3)

    1:気づいてる

    2:気づいてないがなんとなく勘付いてはいる

    3:全く気づいてない

  • 139二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:29:49

    このレスは削除されています

  • 140二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:30:31

    ※本日のまとめ
    ・復活の色ボケダイス神
    ・お粥口移し
    ・ラウダの胸に青い薔薇×2
    ・出て10レスも経たないうちに破壊されたシミュレーションゲームくんの悲しき現在
    ・軍服ワンピース グエル→ラウダ やっぱり絶対にラウダに女装させたい色ボケダイス神が存在する
    ・添付はその せーふです

  • 141二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:32:53

    このレスは削除されています

  • 142二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 06:18:51

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 06:43:20

     ラウダは深く帽子を被り直して、そのまま横髪に触れる。

    「……似合う?」

    「ああ!」

     グエルが頷いた。……なんとも、複雑であった。

     ラウダは例の軍服を着ている。ラウダが望んだわけではないが、「もしかしたらこうして、二人でパイロットになってた未来が、あったのかもしれない」なんて切なさも混じった顔で笑われたら、従うしかない。なんだかここ最近ずっとスカートを履かされている気がする。

     シミュレーションゲームは壊してきたけれど、これは捨てられなかった。いつまたグエルの精神状態が悪化するか分からない今、不安要素は少しでも排除しておきたいのに。

     ため息をついて、ひらひらとした裾を握りしめる。グエルはゆっくりとラウダの手に触れ、髪を撫でた。

    「ほんとうに、」

     ラウダは目を細め、グエルを見つめる。

     きらきら輝いていた青いひとみが、徐々に潤む。微かに睫毛が濡れる。ラウダの、茶色いひとみ、を、見つめる。息を荒らげることも、鼓動を嫌に震わせることも、指先を痙攣させることすらなく、じっと、茶色いひとみを見つめる。

    「若い頃の父さんの写真、そっくりだ」

    dice1d100=25 (25) (58以上でくっ殺懇願する)

  • 144二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 07:44:05

     グエルは低くそう呟いて、ラウダの頬を撫でる。

     目が、逸らせない。ぐるぐるする。ラウダはその手に取って、こめかみを流れる冷や汗に触れてしまわぬよう、慎重に離した。はずが、いつの間にかグエルがラウダの手を握るかたちになっている。そうしてそうっと、今度は自身の頬に触れるように誘導した。

    「ラウダ、」

     グエルは意識して、その名を呼ぶ。

     彼はラウダだ。父さんじゃない。確かめるように、ひとつひとつ。皮膚を、耳朶を、髪を撫でて、言い聞かせる。これは、ラウダだ。グエルの可愛い弟だ。

     だけどもこの目は、父さんそっくりだ。ラウダは優しいから、お願いしたら、きっとなんでもしてくれるだろう。そういう信頼が、ある。顔を近づければ、ラウダの息が、微かに鼻先にかかった。

     甘い匂いがする。

     温めたミルクみたいな、柔らかいにおい。

     だったら、と思う。ラウダの手をかたく握りしめたまま、グエルはそうっと、ラウダの耳に己のくちびるを寄せた。

    「お願いがあるんだ」

    「殺してくれ、なら聞かないよ」

    「そうじゃない」

     一度、息を吸って、吐く。熱い呼気が、ラウダの耳を震わせる。そのままそうっと肩口に顔を埋めて、グエルの、くちびるが、動いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「罰を与えてくれないか」

    2:「頭を、撫でてほしい」

    3:「……痛く、してくれ……」

  • 145二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 07:47:33

    dice1d2=1 (1)

    1:グエル

    2:ラウダ

    dice1d5=5 (5)

    1:め

    2:ほお

    3:て

    4:はら

    5:せなか

  • 146二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 14:57:05

     ラウダは意味を正確に理解したようだ。だけども眉を下げて、しょんぼりとしたような顔を作ってみせる。あなたが痛がっているのを見るのは、好きじゃ、ない。舌足らずな響き。重ねて耳にくちびるを寄せ、湿った声で言ってくる。

    「だからかわりに、奉仕してほしいな」

     とは、つい数日前には決してくちに出せなかったであろう言葉だ。

     だけども今なら大丈夫だと、ラウダは判断した。ぱちり、とグエルは瞬きをする。喉仏をこくりと動かして、自身のシャツの釦を、ひとつひとつ、外していく。今にも爆発してしまいそうになっているらしいグエルのくちびるを、慰めるように吸えば、少し荒くなっていた呼吸が落ち着いた。

     ラウダの指先が、照明のもとに晒された肌をなぞる。瞼。頬。肩。鎖骨。肋骨。脇腹。

     背中。

     花弁の感触。あまいかおり。そうっとなぞれば、グエルの肩がぴくりと震える。温度がないと思っていた薔薇の花が、じんわりと温かく感じる。ラウダとは違う、赤い薔薇だ。赤は、兄さんにいちばん、似合う色だ。

     グエルが、沈みこむ。脚の付け根が、引き攣ってくっきりと筋を浮かべている。丁寧に、丁寧に、かきわけて。丁寧に、丁寧に、覚えるように。丁寧に、丁寧に。ラウダは痛がるグエルは嫌なのだから。決して、少しも痛くないように。

     半開きになったくちびるから、唾液が溢れている。ラウダは肺からこみ上げるままに笑って、グエルの背を、背の薔薇を、指先で辿る。

    「上手だよ、兄さん」

     グエルは変に律儀な顔をして、ふるふると首を振る。まだ、いける。なにそれ。ラウダはまた笑って、花弁を撫でた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    dice1d100=10 (10) +573

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=5 (5) +623

  • 147二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 15:27:59

     今日のラウダはやけに強気であった。

     指先こそ優しいけれど、鼻歌をうたいながら、るんるんとグエルの腹を掴み直す。からだが、熱い。これ以上熱くなったら、とけてしまうのではないか。グエルは本気で思う。ああ、でも、それもいい。どろどろにとけて、なにもわからなくなって、ひとつになるのだ。やめないで、と言うかわりに、膝頭でラウダのあばらをくすぐった。

    「……あ、つい」

    「くるしくない?」

    「少しだけ」

    「そう」

     ラウダは止めない。少しだけ、苦しい方が、いい。グエルがラウダなしでは生きていけないように、この弟がもたれかかる存在が、グエルであればうれしい。ああ、と汗に濡れた顔で真面目にうなずけば、ラウダはにこにこと笑いながらグエルのまぶたを舐める。

    「なみだ、でてる」

     言われて初めて気づく。は、と自分の頬に触れる。腹を、あしを、背を、順繰りに撫でたあと、ラウダはそうっと、グエルの背を抱いた。

    「だいじょうぶだよ、どこにもいかないよ」

     眩暈が、する。

     からだのおくに、しんぞうが、ふたつ、ある。

     はらり。薔薇の花が咲き零れて、床に落ちた。点々と散ったそれは、まるで血のようにも見えた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=26 (26) +583

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=67 (67) +628

  • 148二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 15:50:12

     びくり、と震えるからだを、ラウダの腕が押さえつけた。人間の肌はそこまで熱くないはずなのに、やたら、艶やかな熱を湛えている。グエルもラウダの背に腕を回し、しがみついた。

    「ぅ、ア゛、ああ、あう、ひい、ぎ、」

    「いいこ。いいこ。わかる? 兄さんはね、ここがすきなんだよ。おぼえてね」

    「しらな、お゛あ、わ、かな、あ、……」

    「あついね」

     ラウダの爪が、グエルの背の薔薇をくしゃりと掴む。くらり。痛み。わからない。きもちいい? 熱い。内臓が、すこしずつ、つくりかえられていく。

     あ、あ、あう。ラウダの声が、少しだけ上ずる。歌うように、讃えるように、ラウダはゆっくりとグエルの肩口に歯を立てた。グエルのゆびが、きゅうと内側に丸められる。たとえ分厚い布越しであっても、決して爪を立てないように。ラウダを傷つけないように。そのやさしさ、あまさとは裏腹に、喉は勝手に悲鳴をあげるし、肉はあさましくくちを開く。熱い。異様に、熱い。

     縋るものを欲して、グエルはラウダの手のひらを鼻先にすりよせる。指先をくちびるに押し当てながら、ひとみが、とろり、と、とけてゆく。

    「だめだ、だめ、ら、あ、こんなの、」

    「なにがだめなの?」

    「らめに、なう、か、あ、」

    「だめじゃないよ。仮にだめでも、だめなにいさんもすきだよ」

     泣かないで。

     艶やかな紅に色づいたくちびるが、甘い、あまい、毒を流し込む。猫が毛づくろいをするように、ラウダはグエルの頬を舐めた。

     甘い香りがするのに、やけに塩辛く感じた。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=75 (75) +609

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=93 (93) +695

  • 149二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 16:01:24

    ダイスの女神なんか昼間のが調子良いっすね

  • 150二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 16:18:51

    グエルも最近高くなっているが受けで蕩けているグエルよりもラウダのほうが感度高いのダイス神のこだわりか

  • 151二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 20:44:43

     グエルのからだが一瞬強張ったあと、ふ、と力が抜ける。腹の奥が、脈打っている。骨ばった指先が、ゆっくりとラウダの背を撫でた。ラウダもそれを真似て、グエルの背を撫でる。薔薇の花びらの感触。

    「兄さんはきれいだ」

    「きれいじゃない」

    「ううん、うんと、きれいだよ」

     ラウダは肩口に顔を埋める。くちびるが触れた部分が、微かに震える。泥濘み、どろどろに蕩けていく。

     マクベスは知っているかな。ラウダは、ふと呟いた。グエルは頷く。勇猛なる将軍があるじを暗殺したが、重圧に耐えきれず錯乱する話。どうして突然そんなことを。……ハムレットの名を出されるよりはましか。グエルが火照った頬を少し俯かせると、ラウダはグエルの背を撫でながら言った。

    「Fair is foul, and foul is fair。世界は、そしてあなたの弟はね、兄さんが思っている以上に汚いんだ。そんな世界では、高潔すぎるあなたは相対化されてしまう」

    「なに、が、言いたい」

    「あなたがすき。そして、きれいだとおもう。それじゃだめかな」

    「…………」

     グエルは黙って、ラウダの薄い背に腕を回した。先程より少しだけ温かい。この子は実はとても器用なのかもしれない。こんな話をしながらも、少しも離す様子がない。

     こたえがわりに内臓が食んでいるものをぐじゅ、と奥に押し付ければ、ラウダは「うあ、」とあまく掠れた声を発した。押し付けた方も、からだの内側から何やら、ゆらゆらとしてくる。おそらく思い切り__ラウダが言っていた、「グエルのすきなところ」にでもあてたほうがわかりやすく叫び散らせるのだろうが、到達点までが長い感覚は、おかしな場所から何かがこみあげてくる。

    「兄さん、あまい、におい、」

     ラウダが呟く。

     グエルはすんと空気を嗅いだ。甘いにおいはしなかった。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=57 (57) +684

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=80 (80) +788

  • 152二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:09:58

    このレスは削除されています

  • 153二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:11:41

    (上はひどめの誤字だよ ころして……)

     何度もからだを重ねていたせいで、ラウダ曰くグエルの背は「薔薇の花でいっぱい」になっているらしいし、全身限界を迎えている。二人してベッドに潜り込んで、二度寝をすることにした。

    「兄さんは、やっぱり、かわいい。きれい」

     頬にくちづけられ、グエルはふと自分の状況を客観的に見る。

     かわいくて優しい弟に抱き上げられてぐちゃぐちゃに甘やかされている。

     かわいいわけがあるか! 冷静に俯瞰すればなかなかにひどい状況だ。かあ、と頭の奥が熱くなる。勝手に沸騰する脳みそが、ぽこぽこと熱を発する。グエルが何某かを言い返す前に、ラウダはそのまま、そうっと、薄い耳朶を舐めた。さらに脳が熱くなった。

    「だ、だめ、だ……だめだ。だめになる」

    「それならやめてと言って。そうしたらやめるから」

    「……」

     グエルはそれを、言えない。やめて。いおうとした。言えない。まったくだめ、ではない。そのことはどうやら、ラウダにもばれているらしい。

    「さっきもいったけど、だめなにいさんもすきだよ」

     たまにはだめでいてよ。

     慰めるようにそうっと背を撫でながら、おっとりとラウダが言う。いやたまにどころか、ここ最近のグエルはずっとだめな気がするが。もしかして気づいていなかったのか。それとも気づいていて、肯定してくれたのか。

     そんな問いは、口にする前に消えていく。ぷくぷく、泡が弾けるように。この楽園が、どうか終わりませんように。

     薔薇の花が、枯れませんように。


    軍服ワンピースの処遇 dice1d3=1 (1)

    1:グエルが着るぞ

    2:ラウダが着るよ

    3:廃棄処分だよ

    ラウダは脚が治っていることに dice1d3=2 (2)

    1:気づいたけど黙っておくよ

    2:うすうす勘付いたから聞いてみるよ

    3:ぜんぜんわかんない……

  • 154二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:15:38

    ※本日の追加要素
    ・グエルの背に薔薇×4
    ・描いたがいいがワンピース要素が消えた添付
    ・ラウダが女装すると途端に色ボケはじめる女神
    ・最後に一気に不穏な感じになったね!レス数的にもクライマックスが近づいて来たよ
    ・真面目にここまでエ……な文章書いたのはじめてだから(いつもは雰囲気と勢いで誤魔化しているが、女神が「やれ」と指示を出すため)、ずっとこれで いいのか……?と思いながら書いてたよ あの女神 ご容赦を……(媚)

  • 155二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:20:35

    直接的な表現があまりないからお耽美で薔薇の香りしてきそうだわ

  • 156二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 06:53:16

    保守消されない範囲でエッチな文なのに初めてなんてすごい

  • 157二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 07:09:11

     寝台でふわふわと微睡み、目覚めた頃には西日が差し込む時間になっていた。ラウダは起き上がる。窓を揺らす冷たい風が、安らかに眠るグエルの横顔を、赤く照らしていた。

    「……兄さん」

     小さくつぶやくと、グエルは半分寝惚けたような顔でラウダに縋り付く。むにゃむにゃと、どんな夢を見ているのだろうか。

     ラウダはそうっと、その髪を撫でる。さらりとした柔らかい感触。それから今度は、あしとあしを絡める。ずっと離さない。ずっと一緒にいたい。ずっと、ここにいて。そう、言わんばかりに。

    「あし、なおったんだね」

     グエルが、はっと覚醒する。

     どくどく、鼓動が嫌に速まる。誤魔化すためか、そこに落ちていた軍帽を手に取って、被り、両手でつばを下ろして、顔を隠した。ラウダはそれを、何も言わずに見つめる。ただ、剥き出しになった背に無数に生える赤い薔薇を、そうっと、指先でなぞった。

    「いつから……気づいてた?」

    「ついさっきだよ。あしが動かないはずなのに、乗っかって動けるはずがない」

     グエルの頬に、冷や汗が流れる。ラウダはそれを拭ってから、安心させるように微笑んだ。大丈夫、怒るつもりはないよ。頬に、鼻先に、瞼に、くちびるに、くちづけを落とす。グエルはびくびくと震えながら、ラウダの服の裾をにぎりしめて、しがみつく。

    「なおったんだね、よかったね」

    「あ、ああ、あ……」

    「どうしてそんな顔をしているの」

    「ラウダが」

     喉の奥が、痙攣する。

     わけのわからぬ涙が出てきそうになる。

     ラウダは微笑み、グエルの背の薔薇を、くしゃりと握りつぶした。

    「本当に、構わないんだ」

    dice1d3=3 (3) 

    1:じゃあもう一回、動けないようにしよっか♡

    2:せっかく治ったんだから、一緒にお散歩行こうよ!

    3:だって兄さん、今足腰が立たないでしょ?

  • 158二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 07:10:44

    dice1d5=1 (1)

    1:グエル

    2:グエル

    3:グエル

    4:グエル

    5:グエル

    dice1d5=1 (1)

    1:あし

    2:あし

    3:あし

    4:あし

    5:あし

  • 159二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 07:37:53

    >>158

    はわわ…

  • 160二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 11:18:09

     薔薇のかおりがする。

     あたまがいたくなるほどの、あまいかおりだ。

     グエルの背には、無数の分厚い花弁がある。光る肌に、増えたくすんだ紅色。よくない。これはよくないものだ。咲きこぼれる、赤い薔薇。あまりにもうつくしい、馨しいそれは、なにか、そういう虫であるとか、奇怪なオブジェだとか、あるいは、そう、からだの中身を吐き出しているようにも見える。兄さんのからだの中には、臓器のかわりに花が収まっているのだろうか。これじゃあ、仰向けに寝かせることはできない。

     そんなことを考えて、ラウダはふうっとため息をつく。これでよし。メイド服のリボンは右のあしを、セーラー服のスカーフは左のあしを、軍服のネクタイは両の手を後ろでまとめて。今まで着てきたあれこれで縛り上げられたグエルは、さすがに少し、抵抗をしている。痛むかな。痛むだろう。それでいい。剥き出しになった内股に、噛みつく。くちびるを離すと、唾液で露濡れて輝いた、真っ赤な薔薇の花が咲く。まだ増えるのか、これ。

    「ほうら、にいさん、いいよね」

    「は、は、は、ひ、ぃ、だめら、まって、」

     粘膜がぶつかる。子どものように首を横に振るグエルの髪を、ラウダは「いい子」と言うように撫でる。微笑む顔はいつも通りだ。なのにその指先は、別人格でも持ったかのように、違う。

    「あは、すごいね」

    「な、にが、ぃ、あう、あああ、」

     恍惚とした声。背中に触れる手。グエルはシーツを噛んで、低くくぐもった呻き声をあげる。

    「あのね、兄さんの薔薇ね、こうしてると真っ赤になるの。血みたいに、あかあく、なるの」

     きれい。

     ラウダはグエルの腹に手を回す。それと同時に、グエルの内臓が、ぐしゃぐしゃに広げられるる。熱い。あつい、あつい! 悲鳴じみた嬌声が、溢れることなく消えた。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:続ける

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=38 (38) +741

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=22 (22) +868

  • 161二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 11:35:29

    「っ、ぃ、あ、ぅあ、あ、~~~ッ!」

    「舌噛んだら、だめだよ」

     ラウダの指先が、グエルの口腔をなぞる。歯を、舌先を、喉を。徐々に熱を持って、こちらも熱い。目玉が解けてしまうのではないか。泣きじゃくりたい、あるいは怒鳴りつけたい、そうでなければラウダが何を思っているのか確かめたいのに、グエルのくちびるから勝手に溢れるのは、意味のない喃語じみた母音だけである。せめて縋りつきたい。しがみつきたい、なのに、腕を、あしを、縛り付ける布が、それを邪魔する。

    「どうかな、こっち?」

    「ッん、ひ、ぅう、」

    「違うかな、こうかな」

     震える頭に、熱い指先が触れる。本当の意味で、絶対にグエルを傷つけない、やさしい手のひら。頭を撫でられると、きゅう、というような、いやに情けないか細い音が出た。

    「どんどんあかくなる」

    「ふあ、う、」

    「あまいにおい、強くなってってる。すごい」

     ちゅ、ちゅ、と、耳朶にくちづける。グエルのあしが、震える。ラウダはグエルの背の薔薇を、ひとつひとつ、なぞって、とんとんと軽く叩いた。深呼吸して。言われた通り、吸って、吐く。新鮮な酸素が脳を巡る。今しがたしていることを、感覚を、正常に、認識してしまう。

     __これは、なんて。

     寝台の上に、赤と青、ふたつの薔薇の花弁が、ぱらぱらと散る。ラウダは無邪気を装って、それには知らんぷりをした。グエルの全身が、震える。それにも、知らんぷりをする。

     小さな頭が、グエルの肩に埋まった。

     甘い匂いが、鼻先をかすめる。

    dice1d2=1 (1)

    1:続ける

    2:続ける

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=18 (18) +779

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=9999(9999) +諢帙@縺ヲ繝ォ

  • 162二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 15:53:32

    ラウダがバグってる…

  • 163二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:53:43

     薔薇は、数を増やしていく。

     グエルの体温は高い。怒っていても悲しんでいても喜んでいても、病みついていてなお、温かい。声は、教会で讃美歌を歌うとき、神さまが御弾きするオルガンの音によく似ている。温度がある。髪の、茶色い部分。頬を寄せて鼻先を埋めて甘える。存外、柔らかくて、頼りない。なんでもそう。ずっとそうだった。ほんとうは神さまでもなんでもない、すこぶる強いわけでも、常軌を逸して逞しいわけでも、なんでもできるわけでもない。ずっと、ずっと、そうだったのに。どうして教えてくれなかったの。どうして、一番近くにいたはずのラウダは、気づけなかったのだろう。

     グエルの正しい大きさを、ラウダは把握していなければいけない。そこからはみだすものはすべて無理で、無茶だ。そうっと、両の手で腰を抱く。筋肉こそついているけれど、きちんとひとのからだだ。

    「らうだ、」

    「どうしたの、兄さん」

     いちばん、おく。ここまでだ。ここから先は、もうやらなくても、よい。それなのに、グエルはじたじたと暴れるようにからだを動かす。これ、取ってくれ。

    「どうして?」

    「お前と、手、繋げない」

     グエルの頬が、薔薇の花が、甘く上気していることを。ラウダはようやく、認識する。

     これだ。これが、等身大の、グエルだ。

     はき違えてはいけない。

     そうっと、腕を縛っていたネクタイを外してやる。ゆっくりと撫でると、グエルはぎゅっとラウダの指を絡めとる。

    「う、あ、あう、」

    「兄さん、にいさん、」

     熱い手だ。滑らかで、しなやかで、きれいな手だ。数センチ、数キロの体格差は細かいところに出る。この人の骨は、ラウダよりほんの少し長い。

     この骨を。皮膚を。肉を。薔薇の、花を。

    「愛してる」

     グエルは、とろりと微笑んだ。

    dice1d2=2 (2)

    1:続ける

    2:止める

    (せっかくなので)

    グエル感度ダイス

    dice1d100=9999 (9999) 縺ゅj縺後→繧ヲ

    ラウダ感度ダイス

    dice1d100=9999 (9999) 縺医>縺医s縺ォ

  • 164二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 19:07:58

     苦しめたいわけじゃない。
     いっしょにいてほしいだけ。
     圧倒的だった神さまが、自分だけの王さまになる姿に、どうしようもない愉悦を覚えていただけ。新しく用意したあなた専用のなにもかも。ラウダの腕に抱え上げられて、この玉座がなければ、どこにもいけないあなたになって。
    「ごめんね、からだ、辛い?」
    「……少しだけ」
    「なら、少しお昼寝していて。ご飯の用意をしてくるから」
     ラウダは立ち上がる。あなたのためなら、なんでもできる。それを信仰心と呼ぶのだ。十字架に磔にされて、玉座で項垂れているあなたのからだに、大輪の薔薇を飾ってあげる。毎日でも。
    「ラウダは大丈夫なのか」
    「うん。兄さん立てないでしょ? 車椅子もあるけれど、無理をさせてしまったのも、事実だから」
    「そんなことはないが」
     グエルが心配げな顔をする。そんな表情をしなくても、大丈夫なのに。ぴかぴか、ぴかぴか、空色の瞳。湖色の瞳。ラウダの薔薇と同じ色の、ひとみ。澄んだ、誤魔化しの利かない、ひとみ。
    「だから、やる。大丈夫。あのね、できるよ。兄さんのためなら、兄さん、兄さんにならね、なんでもできるんだ。なんだって。なんだって、なんだって、」
     おい、ともう一度声が聞こえる。強い発音だ。きれいな声だね兄さん。なんだっけ、そう、なんでもできる。ユダの話は知っているかな、福音書ではね、ユダがかの師を売り渡したのは、彼を完璧にするためなんだ、彼を永遠の国の王さまにするためなんだ、ああでもやっぱり一緒にいたいかな、きけない、ごめんねにいさん、ゆるして、ゆるしてね。 
     ぶつり、と照明が落ちる。急に真っ暗だ。あれ、どうしてだろう。何も見えない。これじゃあ、困る。
     すぐ近くに、酷く熱いものが寄り添っている。それだけ認めて、ラウダの意識は沈んでいった。

  • 165二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:25:38

     夢を見た。

     月明かりが、ひとみを刺す。ひとかけらの曇りもない満月だ。痛いほどに、あかるい。甘い薔薇のかおりを漂わせる花畑の真ん中で、グエルは踊っている。ステップは、実に複雑だ。一瞬のずれも許されない。病み上がりには少し厳しいほどだ。関節が悲鳴を上げている。だけどもそれすらいとおしい。
     風の音。月明かり。薔薇の花。何も、邪魔をするものはない。
     くるり、とひとつまわって、あしを振り上げる。素足をくすぐる花弁を蹴り上げたところで、ぱたり、とバランスを崩して倒れ伏した。
     ラウダが、近づいてくる。
     紺色の髪が揺れる。地面に膝をつき、グエルのからだを起こしてくれる。色とりどりの野薔薇の花に混じって、決して咲くはずのない、青い薔薇がある。
     ぱち、ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱちぱちぱち。
     たったひとつ、万雷の拍手、艶やかな薔薇の香り、愛しい人。
    「どうだった」
    「すき」
    「それなら、よかった」
     ラウダは長い指を膝の上で組んだり、離したり、する。もう一回、踊ってって言ったら、怒る?
    「怒らない」
     ラウダは目を輝かせる。もう一回。もう一回。ラウダは、歌いだす。歌いだす。ラウダは歌いだす。きれいな声。優しい歌。歌いだす。花畑の真ん中。月光のスポットライト。ひとりきりの、お客様。
     幕が上がる。
     拍手が聞こえる。
     お辞儀。
     優しい歌、真っ直ぐなステップ。
     風の音。
     月明かり。

     薔薇の花。

  • 166二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:43:34

     貧血と寝不足ですね。
     やってきた医者は淡々と言ってのける。
    「それと、全身に痣やら噛みあとやら鬱血痕やらがあります。ろくに手当されてないから、一生傷になるやもしれません」
     傷?
     そんなはずはない。このからだにあるのは、青い薔薇の花のはずだ。どうしてそれには触れてくれないんだろう。ラウダはきょとんとしたような顔をして、首を傾げる。医者はため息をついて、つづけた。あとは、まあ。ストレスもあるかもしれません。そちらは私の管轄外なので、わかりませんが。あまり酷いなら病院に行くように。
     ラウダは病院が好きではない。消毒液のにおいが嫌いだ。あまり長居をしたいとは思わない。寝台の上で、はあ、なんて生返事をする。医者は簡単にあれこれ書き留めると、のんびり出ていった。
     入れ替わるように中に入ってきたのはグエルだ。車椅子でこちらに近寄ってくる。それから二本のあしで立ち上がり、ラウダのからだを抱きしめる。そうしていないと、からだが骨組みからばらばらになってしまうのではないか、というほどに。
    「おはよう」
    「兄さん、心配かけて、ごめん」
    「だいじょうぶだ」
     グエルはそうっと、ラウダの手を握り、髪を梳く。ラウダはなされるがままにしながら、その姿をまじまじと見た。
     背中が大きく開いたシャツを着ている。
     そこから零れるように、真っ赤な薔薇が、無数に、ある。違う。あれは。そうだ。何を? 薄温かい肌。滑らかなてのひら。甘いにおい。
    「兄さん、薔薇は、……」
     グエルは殊更ゆっくりと、身をかがめる。そして、声を潜めて、ラウダに言って、微笑んだ。ラウダの手のひらを自身の背に誘導しながら、ラウダのからだに咲いた青い薔薇に触れる。
    「ある」
     指先にみずみずしい感触。露濡れて咲く、花びらの。ラウダは目を見開いた。
    「うれしい」
    「ああ、確かにこの背に、ある。見えるんだ」
     グエルは笑って、それから、ひとつぶ、ふたつぶ、涙をこぼす。その、やけに小さく見える背に在るのが、罪なのか、傷なのか、それとも別の何かなのか。ラウダにはまだわからない。
     だけども、それで、いい。
     馨しい薔薇の香りが、白い寝台の上で混ざり合った。

    __END

  • 167二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:44:46

    ・お付き合いいただきありがとうございました!
    ・えっちするたびに体に薔薇の花が咲く時空はこれでおしまいですが、書きたいネタはまだ無数にあるので(なんで?)、多分しばらくもしないうちにまた何か書くと思います(どうして??)。そのときはやさしくしてね
    ・選択肢の1は倒錯的なSM書こうとして失敗したやつです。グエルの償い兼ラウダの罪。もっと拘束具つけたかったけど思いとどまりました。
    ・選択肢の2は「それ以外」です。あまあまいちゃいちゃです。グエルがどんどんズブズブに依存していく、ある意味闇堕ちルートです。
    ・ラウダの視界の薔薇=現実における傷です。選択肢で3を引くたびにラウダのSAN値と引き換えに増えていきます。特に効果はありませんが可愛いね!感度ダイスは最初は振る予定なかったけど面白かったので振ったよ
    ・絶対にラウダに女装させてぐずぐずにしたい女神に命を握られ続けたスレだったよ
    ・以下 閲覧注意 医者目線だよ

  • 168二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:44:45

    完結おめでとうございます!毎日楽しみだった
    最後の方のバグ感度も復元できてニコニコしちゃいましたね…

  • 169二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:48:56

    ずっと楽しませて頂きました!完走おめでとうございます〜
    共依存ラウグエ最高ですね
    また次の作品も楽しみにしています!

  • 170二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:51:24

    完走おめでとうございます!!!性癖に刺さりすぎて毎日楽しみにしてました!!!次も楽しみにしてます!!!

  • 171二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 00:26:38

    完結おめでとう!
    仄暗くて可愛いイラスト大好きです
    ラストの自覚症状の無いラウダが良すぎる…

  • 172二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 00:27:53

    バカラだからわからないけどラウダの傷はグエルがつけたでいいのかな兄弟お互い肉体的には傷つけあっているでいいのかな

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