ゼンノロブロイ 出会いの物語第1話 （捏造SS）

[1 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:48:33]

※初めに。このSSは未実装ウマ娘であるゼンノロブロイを題材としたSSです。色々とご容赦ください。

[2 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:49:33]

学内模擬レース。

それはまだ担当トレーナーの付いていないウマ娘には自分をアピールする舞台であり、
トレーナーにとっても才能の原石を見出す場である。

双方にとって自身の今後を左右する重大なイベントであり、そこに掛ける思いは皆、並々ならぬものがある。

かく言う自分自身、未だ担当するウマ娘を持たない新人トレーナーとして明日の出走者について事前情報を今の今までまとめており、そのせいですっかり日も暮れてしまった。


寮への帰路を急ぎ、グラウンド沿いの道に差し掛かってふと気付く。

（ーーー照明がまだ点いてる？）

もっとも、それ自体は特段奇妙な事ではない。
確かにトレーニングの時間としては少々遅くはあるが、それでも居残って練習に励む生徒がいないわけではない。
珍しくはあるが、言い換えればそれだけの話であるーーーこれが、“この時期”でなければ。

（模擬レースの前は注意しろって、先輩に聞いたっけな…）

大一番を前にしての緊張と不安。それを紛らわすために過度の負担を心身にかけーーー結果、「潰れる」。
つまりは自己管理の失敗に基づくオーバーワークが特に起こりやすい時期なのだ。

[3 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:50:34]

少し様子を見ておくべきか。そう考えて煌々と照らされたグラウンドへ足を向ける

果たしてそこにあったのは、黒髪を編んだ小柄な影。

（あれはーーーゼンノロブロイ？）

明日の出走者リストにも名前があったウマ娘である。
今までも何度か模擬レースでその走りを見たことがあり、少々地味ながら堅実で、形勢が不利でも途中で勝負を投げ出さない、誠実さにも似た勝負根性のある娘である…そのはず、なのだが。

（違う。何だ、あの走りは…？どこかで見覚えがある気もするが…）

以前見た彼女とは、明らかに違うフォーム。
遠目にもわかる、噛み合っていない歯車が異音を立てているような違和感。
それは実際に彼女の体にも影響を与えていたようでーーー

「はっ…はっ…はっ……あっ！」

（ーーー危ない！）

[4 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:51:35]

走る勢いのまま、ゼンノロブロイの小さな体が崩れ落ちるようにして転倒する。

負傷は免れないであろうそれを、全く唐突に現れた黒い影が抱き留めた。

「…怪我はありませんか、ロブロイさん」

「あ……カフェさん…」

マンハッタンカフェ。長距離を得意とする、影のように“滑る”独特の走りが持ち味のウマ娘だ。
影から飛び出してきたようにも見えたが…そこは重要じゃないどうでもいいんだ。

「…まだ、“あの”フォームを続けていたのですね…私の説得は、聞き入れてはもらえませんか…？」

「カフェさん…それは…でも、私は憧れにーーー“英雄”になりたくて、でも今のままじゃ届かなくて…！」

「…あなたの理想は尊いと思います。見る者の勇気を奮い起こすような、そんな英雄…でも…」

「ーーー自らの身を削り、血を吐き傷付きながら人々へ施す姿を、あなたは英雄と呼ぶのですか…呼んでしまえるのですか…？」

「ーーーそれ、は…」

[5 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:52:23]

暫しの沈黙を挟み、マンハッタンカフェが身を翻す。

「…すみません、口が過ぎました…ですが、オーバーワークにはくれぐれも気をつけてください…」

「…はい…ごめんなさい、カフェさん…」

現れた時と同様、影に溶けるように姿を消すマンハッタンカフェを見送り、ゼンノロブロイもまたとぼとぼと寮へと帰っていく。

タイミングを逸して1人立ち尽くし、後には嫌な胸騒ぎばかりが残ることとなった。

（明日の模擬レース…注意しておくべきかもな）

ゼンノロブロイ。彼女の異変と思い描く“英雄”という理想。
答えの出ない疑問を抱いたまま、自身も帰路に付くのだったーーー

[6 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 20:53:58]

以上です。先日ロブロイに関する素晴らしいスレを拝見し、なおかつ明日の追加がロブロイではなかった事によるお預けパッションが溢れてついやってしまいました…

[8 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 21:14:56]

この未実装バへの情熱はなんなんだ…

[9 二次元好きの匿名さん 21/11/07(日) 21:33:03]

自分の体にコンプレックスを抱いてそうなウマ娘｜あにまん掲示板

リンク張り直し。こちらが発想の大本になっておりますので合せてご覧になっていただけましたら幸いです