【SS】トレーナーさんと担当の頭脳戦

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 19:44:56

    トレーナーという職業は激務だ。春夏秋冬、月曜日から日曜日、朝から夜まで教え子たるウマ娘を指導しなければならない。休みは殆ど無く、一年の大半をレースに捧げる過酷な立場だ。無論、それは志望して勉強する段階で許容していた。東大よりも狭き門を通過するために、遊ぶ時間も惜しんで勉強し、膨大なレース関連の知識を頭に詰め込んだ。そうした努力のかいもあってトレーナー資格を手に入れたのだ。もう怖いものなどなさそうではあるが、現在進行系で悩みを抱えている。

    「もう少しこうしていても良いですか?」

    今、自分の肩に頭を預けているウマ娘、マチカネタンホイザについてだ。

    雪景色を見にタンホイザと外に出てきたのが始まりだった。雪玉をぶつけ合ったりしている内にテンションが上がり、彼女の作ったかまくらに入っていったのだ。暫く外を眺めていると、何か意味深なことを呟いたタンホイザが唐突に身体を寄せてきて今に至る訳である。

    この状態。男とウマ娘が幻想的な風景を眺めながら身体を寄せ合うというシチュエーション。まるで恋愛関係のようではないか?見ず知らずの第三者から見られたら勘違いされそうだ。
    別に嫌な訳では無い。というか、寧ろそれでいいとすら感じている。タンホイザの身体が手の届く距離にあると、どうしても鼓動は早くなってしまう。男なら容姿端麗で健康的な肢体を眺めていればムラムラと込み上げてくるものがあるだろう。それは生物である以上どうしようもない現象だ。どうであれ異性として意識しているのは間違いない。何より、2年以上共に過ごしてきたのだから単なる親愛以上のものが形成されていた。

    (不味いな……)

    こういう場合、一般人であれば甘んじて受け入れても良いかもしれないが、この立場であれば問題がある。トレーナーとウマ娘はあくまで先生と教師という師弟関係。そして、当然ながらウマ娘は大多数が未成年である。この関係性での恋愛は一般通念からすればタブーだ。更に法律の壁もある。もし手を出そうものなら児童福祉法とウマ娘保護育成条例違反で解雇か豚箱行き。最悪ウマ娘の補導や退学もありうる危険な選択肢である。故に、トレーナーにはウマ娘と十分な信頼関係を築くのと同時に、少なくとも成人するまでは一定の距離感を保つスキルが求められる。

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 19:45:14

    (何だ!?何を言うべきだ俺!!?)

    茹で上がった脳細胞を回転させる。タンホイザの想いを出来るだけ無下にせず変な関係に発展させない選択肢を考える為に。改めて今の状況を考える。寒い日だからか周囲に人影は無い。かまくらの入り口は狭く。他人に目撃されウワサを広げられることは無い筈だ。肩が触れるレベルの接触であれば法に引っかかることは無い。そして、タンホイザの言動から察すると単純に信頼して肩を預けている感じだ。気温的に暖をとる意味合いも大きいだろう。であれば―――

    「そうだな」

    この状況を平気なふりして耐える。大丈夫、この程度で急激に関係が進展することはない。仮に向こうから近づいてきても十分躱せるエピソードだ。こちらとしては、変に焦る方が不味いという結論に至った。俺の回答にタンホイザは柔和な笑みを見せて一言。

    「……やったー」

    おい、なんだその間は。明らかに含みがあったぞ。変な事考えてるんじゃあるまいな。不穏な雰囲気を醸し出す言動に若干の不安を感じる俺。タンホイザはもしかしなくても魔性の女なのかもしれない。そう思った冬の日だった。

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 19:46:12

    以上です。未成年である以上トレーナー側も大分気を遣うよねって話

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 20:17:16

    恋愛頭脳戦の第二ラウンドはないんですか!

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 20:51:21
  • 6二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 21:38:48

    >>4

    申し訳ない。一発ネタで続きは書いてないんだ

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