- 1二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:04:04
- 2二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:04:28
- 3二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:06:28
- 4二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:09:05
- 5二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:10:45
- 6二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 01:10:23
保守
- 7二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 07:42:43
保守全裸
- 8二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:22:13
全
- 9二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:23:07
裸
- 10二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 08:24:26
もう10万文字くらいいってるんじゃないだろうか、
- 11二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 10:33:16
十分な休息を取り、完全回復したアオイたち。その肌には切り傷の一つも残っていない。アオイの柔肌に傷が残らなかったことをペパーが安堵したのは、仲間意識からだろうか、それとも…。
「前はここから歩いて近くのところに地下に降りる洞窟がありました。」
チリにそう報告したのはボタンだった。彼女は今回の冒険の趣旨を踏まえて、改めて前回探索できなかった部分についても確認していくことを提案した。つまり、すぐに地下に降りず、第3観測ユニットを拠点に調べていこうというものである。
そも、この冒険は未知の領域を踏破することを意図したものではない。そのため、前に進むこと自体には意味がない。よって、ボタンの提案は満場一致で受け入れられた。 - 12二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 10:53:15
アラブルタケの大群との激闘から丸一日近い時間が経過しているはずだが、辺りにはポケモンが戻って来ている気配がない。地中や上空を含めて何も見つからないため、しんとした雰囲気がある。そしてそれは、一行に探索範囲を広げることを要求している。
チリはアオイと、ペパーはネモ・ボタンとともに二手に分かれて探索することになった。もちろんそれは長時間の別行動ではなく、ほんの数分ずつ細かく合流し合いながら状況を確認し合うものである。
アオイとチリの目に入ったのは、大きな洞窟だった。第3観測ユニットから極端に離れているわけでもない位置にそれはあった。中から風が吹いてこないことから突き抜けてはいないであろうこと、かすかに水音がすることから中には水場があることが分かった。
先ほどペパーたちと合流して報告し合ったばかりであったため、アオイはまずは自分たちで先行調査をしようと考えた。チリが隣にいる心強さもその判断を後押しする。
「ちみちゃん、中の様子を探ってくれる?」アオイはゲンガーを繰り出し外部から洞窟内を探索することにした。
「ホンマに器用やね。こないに色んなタイプ育てられるんは、トップとネモくらいやろな。あ、ペパー君もおったな。ボタンはちょい違うか。」チリはアオイの育成センスに素直に驚きを示した。 - 13二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 10:53:34
本来、ポケモンは一匹からほんの数匹を育成するのが精いっぱいなものである。また、本人の知識の傾向や相性などから、専門タイプというのが決まってくるのが一般的であり、その頂点に立つのがジムリーダーや四天王たちである。
チリは、バトルの強さは言わずもがな、アオイの真髄は育成センスにあるのではないかと推測していた。
「あっ、ちみちゃん帰ってきた」裸で待っていたアオイのもとに、洞窟内からゲンガーが戻ってきた。しかし、様子がおかしい。ケガをしているようには見えないが、どこか焦燥しているように見える。それを見たアオイとチリは直感した。
「おるな。」
「はい。」
「ペパー君たちはちょい遠くに行ってもうた。ゲンガーに気づかれたんなら、時間あけたら向こうから来るかもしれん。やるで、チャンピオン。」
「はい。ちみちゃん、いける?」戦いを決意した主人の問いかけに、ゲンガーは力強くうなずいた。 - 14二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:12:47
洞窟内に入ると、結晶の光が反射するためか、予想外に中は明るく視界に苦労することはなさそうだった。フカマルやパモの小さなの群れがあったが、こちらを遠巻きから見つめているのみ。集団に裸を凝視されているアオイとチリだったが、その眼は正面を向いている。いや、向かざるを得ない。
洞窟の奥に佇むポケモンの威圧感は、決して無視できるようなものではなかった。ひらひらと揺蕩う濃紺色のゆらめき。意力を感じさせず、殺気だけを放つ両目。巨体ながら軽やかに浮遊する体躯。
深闇を統べる妙手の妖霊
仮称 ハバタクカミ
恐らく最大個体クラスであるその威圧感は、無気力な眼差しからは想像もつかない。
「気張りや!手ごわいで!ドオー!」
「はい!ちみちゃん!」
相棒たちを並べて配置し、戦線を形成するアオイとチリ。これはトレーナー戦ではない。もし挟み撃ちのようなフォーメーションを取ったら、がら空きになったトレーナーたちを攻撃するのに躊躇する敵ではないだろう。
一流の冒険者だからこそ、それを知悉している二人は正面から戦線を押し上げて体力の削り合いを仕掛けることにした。洞窟内であるため落盤を防ぐ必要があるからか、チリはドンファンとバクーダ、ダグトリオを随所に配置し、地面技と岩技で洞窟内の補強を同時に行っている。
ハバタクカミはムウマと同様、搦め手を使いこなす後衛タイプ。正面からの体力の削り合いとなれば、数の有利でこちらに軍配が上がる。アオイはそう考えてゲンガーに無理攻めはせず、注意深く隙を作っていくよう指示した。 - 15二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:29:18
ハバタクカミの大きな体が突如炎に包まれ出した。明かりがあるとはいえ、洞窟内は外に比べて薄暗いのは当然。その暗闇に慣れた目に突如として叩き込まれる炎の強い光。
「マジカルフレイム」
本来は攻撃のための技であり、受けた者の力を削ぐ搦め手の技でもある。
闇を操るゴーストが光を目くらましに使う。
予想外の一手に思わず視界を塞がれたドオーとゲンガー。
「止まったらアカン!」チリも当然光に目をつぶされていたが、追撃を避けるための回避行動を指示する。
ハバタクカミは炎を纏いつつ、次の一手を放ってきた。炎に比べてゆったりとした光がふわふわと飛ぶ。
「あやしいひかり」
精神の安定を刈り取る悪辣な技だが、チリの指示で回避行動を取っていたドオーとゲンガーにはあたらない。その光は2匹の間を通り抜けて、いまだ視界が回復していなかったアオイにぶつかってしまった。
すでに視界の回復していたチリは、アオイが「あやしいひかり」を受けてしまった場面を見て青ざめる。
「チャンピオン!しっかりせえ!アオイ!」
「???なに??こわい!!なになに????」
チリはゲンガーにとりあえず自分が指示する旨を伝え、ドオーとともに「マジカルフレイム」を抜きつつ遠距離から攻撃を続けるように指示した。
「なに???ペパー??こわいこわい!!」
「アオイ!分かるか!?チリやで!ここにおる!」
アオイの両手を取って自分の頬に触れさせるが、アオイの錯乱は治まる気配がない。 - 16二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:38:24
ポケモンの技がここまでがっつり人に当たってしまうのはなんだかんだ初めてか?(見逃してたらすまん)
しかもその初めてが混乱引き起こすとは…ワクワクすっぞ! - 17二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:44:27
「堪忍したれよ!」
チリはアオイの脇腹や内ももをかなり強くつねった。服を着ていないため、皮膚の薄い急所にも簡単に手が届く。
ポケモンの耐久力であれば、たとえ攻撃を受けてでも混乱が解けることはない。それこそ自分で自分を叩いたとしても混乱は解けない。だが、人間であれば、それも衣服に守られていない全裸の人間であれば、強い刺激をもって意識を取り戻すことは可能だろう。
そう判断したチリはアオイの痛覚を刺激することで混乱状態を解除することにした。
「いたっ!!?え!?あれっ!?私、なにして・・・?」
「戦闘中や!いけるか!?」
自分が置かれた状況を思い出し直したアオイ。ゲンガーに改めて指示をし直す。
「ちみちゃん!「シャドーボール」だよ!小さいのと大きいの混ぜてたくさん撃って!」
「ドオー!その隙に距離詰めや!「どくづき」ぶちかましたれ!」
ハバタクカミは炎を纏いつつ「あやしいひかり」や「シャドーボール」、「マジカルレイン」を撃ち込んできたが、ゲンガーの「シャドーボール」は、そのすべて相殺する。わずかに動きが緩んだところに、ゲンガーの特大シャドーボールが飛んでいく。
ハバタクカミは回避行動を取ったため、シャドーボールは直撃しなかったが、真下に潜り込んでいたドオーの攻撃を避けることはできなかった。
致命傷を受け、地にへたりこむハバタクカミ。
「弱っとる!今や!」
「はい!」
アオイの捕獲ボールは何度か揺れて内部の抵抗を表したが、最後には動きを止めて捕獲を成功させた。 - 18二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:52:07
・ ・ ・ ・
「う~、チリさん~、いたい~」涙目でいうアオイ。
「しゃーないやろ~、あんときはああするしかなかったんやし・・・」思わず苦笑するチリ。
チリにつねられた箇所は赤くなり、わずかに腫れている。内ももや脇腹など皮膚が薄く神経が鋭い場所だけにアオイはその痛みを無視することができない。
「しゃーない、ほら、こっち来ぃや。チリちゃんが撫でたるわ。」
「えっ!?いやっ、別にそんなっ、くすぐった・・・っ、ふあっ、ぁぁああ~」
あくまで、チリは患部を撫でているだけであり、アオイはこそばゆさに声を上げているだけである。 - 19二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:53:34
これはえっちですよね?(確認)
- 20二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:53:55
- 21二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:57:56
- 22二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:59:40
- 23二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:02:24
- 24二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:03:11
いいだろ?四天王の切り札だぜ?
- 25二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:16:23
しかもこのときのチリちゃん、他に3体出して洞窟補強しながら戦ってるからな。やっぱ四天王よ。
- 26二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:17:13
アオイちゃんの胸を死守するちみちゃん好き
- 27二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:18:44
これであと2体か
- 28二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:31:32
- 29二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:45:31
俺に絵心があれば!!チリちゃんを!!描くのに!!
- 30二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:45:56
ネモも描きたいな、描けないけど
- 31二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:59:37
同時刻、地下への洞窟の入口部分を探索していたペパーたち3人。ネモはウェーニバルを繰り出して傍らにおいている。ボタンはニンフィアを、ペパーはもちろんマフィティフをボールから出して警戒力を高めていた。
入り口付近には何もいないとして、一旦地上に出ようということになった。さすがに地下深く潜るなら、5人合流してからの方がいい。冒険者でありながら、好奇心を完全に制御できるところが、彼らを一流たらしめている所以だろうか。
「待って」
ボタンが、前を行く二人を呼び止める。彼女の視線は地面に落ちている。
「これ・・・多分、足跡だと思う」
ボタンが見つけたのは、巨大な足跡。
「これって・・・・」
「間違いねえ、ボタンの言う通りちゃんだ。」ペパーは、地面に残された巨大な足跡をにらみつけて言った。
「イダイナキバ・・・だよね。」ネモは確信を持っている。そして、足跡が湿っていることから、すぐ近くにこの個体があることも分かっている。
すぐに洞窟を出てアオイたちと合流することにした3人。幸い、ここは洞窟の入り口部分。地上の光はすぐそこに見えている。
だが、運命は彼らには常に試練を与えてきた。今回も同様だった。
「ヤバい!来る!」ボタンの叫びが洞窟内の壁に反響する前に、岩壁を突き破ってそれは現れた。
砂けむりに隠れ切らない巨大な体躯。殺意を隠さずねめつける双眸。巨岩を貫く二本の大牙。
平穏を蹴散らす激震の魔獣
仮称 イダイナキバ - 32二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:00:51
ドオーとちみちゃん、野生のパモフカと戯れてるの、めっちゃかわいい
- 33二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:13:03
数匹のガバイトを伴って現れたその巨体は、ペパーにかつての旅で出会ったヌシの姿を思い起こさせる。
「デケえ!スパイスもないはずなのに!」
「自然環境でこのサイズだとしたら、相当ヤバい個体ってことだよ!」
「強いってことだよね!?強いってことだよね!!たぎってきたああああああ!!!」
焦燥と緊張と歓喜とそれぞれの思いがこもった叫び声が洞窟内にこだまする。あと数十m走れれば洞窟から出れるが、その隙はないだろう。
ガバイトたちが素早く襲い掛かってくる。
「やべえ!マフィティフ!パルシェン!頼むぜ!」
「ウチも!ニンフィア!シャワーズ!抑え込んで!」
ペパーとボタンは協力してガバイトを抑え込むが、数が多いためイダイナキバまで手が回らない。
「ネモ!こいつらは俺たちが抑える!頼むぜ!」
「ウチらもこいつら倒したらそっちやる!」
二人の檄に対して、ネモは無言で笑顔を見せ、ゆっくりとうなずいて見せた。
その表情には一分の怯えも焦燥も見られない。彼女は仲間たちを信じている。無用な心配などむしろ非礼。眼前に立ちはだかる強敵を見据えるネモ。
全裸の彼女は今一度修羅となる。 - 34二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:15:49
混乱したアオイが咄嗟にペパーの名前を呼んでるのが青春って感じでいいなあとか呑気に考えられる程度には全裸女子の内ももに赤い痕を残す全裸女子に違和感がなくなってしまっている
- 35二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:23:30
「ヌメルゴン、ウェーニバル、行くよ」
体が熱い
「りゅうのいぶき、アクアステップ」
戦いの音が遠くに聞こえる
「突っ込んできたら、右にかわしてインファイト、左脚にアクアテール」
心臓の音が聞こえる
「小さくだくりゅうで目をふさいで」
すべてがゆっくりに見える
「あまごいで二人の体を濡らして」
体中の肌がチリチリする!
「5歩下がってディフェンダー使って」
叫びだしたくなる!!
「思いっきりアクアステップ!!りゅうのはどう!!」 - 36二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:34:55
圧倒的武力制圧。
そんな言葉がしっくりくる光景だった。ペパーとボタンはなんとかガバイトの大群を倒しきり、ネモに加勢しようとしたが、目の前の光景に心を奪われてしまった。
矢継ぎ早に飛ぶ的確な指示。打ちのめされていく敵の巨体。抵抗のために大きく振り回される牙。その抵抗すらも戦術に組み込まれた立ち回り。そして何より、
悠然と歩いて敵との距離を詰めていくネモ自身。
その姿には、純粋な強さへの敬意が感じさせるものがあり、古の時代の英雄とはこのような者たちだったのだろうと、見る者に確信させる神々しさがあった。
事実、ペパーとボタンは、その凄絶で、華麗で、強靭で、勇敢で、獰猛で、圧倒的な姿に、声をかけることも、体を動かすことも、瞬きをすることすらできなかった。
叩きのめされて弱り切ったイダイナキバを、ネモが捕獲ボールに収めたその瞬間まで、ペパーもボタンも物言えず彼女を見つめるばかりだった。 - 37二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:35:55
ネモつえええ!!段違いな強さがめっちゃ表現されてるな
- 38二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:59:25
「なんかトリハダ立った・・・」ボタンはポツリと言った。ネモの戦いぶりがボタンを強く感動させる至ったことの証だろう。
それを聞いて思わず彼女の方を向くぺパー。ペパーの視線に気づいたボタンは体を隠して一言。
「見んなし・・・////」
ペパーには何が見ていいもので、何が見てはいけないものなのか、全く分からなかった。
戦いの興奮が治まってきたネモとともに洞窟を出たペパーたちは、観測ユニットの前で待機していたアオイたちと合流した。
お互いの戦果と、確認できた状況を共有する。
ペパーはアオイが、もじもじと内ももをすり合わせ、脇腹をさすっているのを見た。
ペパーの視線に気づいたアオイは、体をねじり、顔を赤くして一言。
「・・・えっち・・・・/////」
ペパーは何がなんだか分からなくなっていた。 - 39二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:02:40
めちゃくちゃ興奮します
- 40二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:09:13
- 41二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:28:36
かっこいいし、かわいいし、神々しいし、ペパーの情緒ぐちゃぐちゃになりそう
- 42二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:32:33
なんでそんなにポンポン構図が浮かんでくるんですか!?
- 43二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:36:17
なんなの〜この神絵師さま
- 44二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:04:48
- 45二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:05:08
- 46二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:07:10
いよいよあと一体か、終わりが近づいてきたな
- 47二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:10:19
下がることはないな?????
- 48二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:19:09
古代パラドックスと水墨画の相性が素晴らしい
それはそうと何が何だか分からなくなってるペパー殿愛おしいな - 49二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:35:25
2体目のコライドンもいるからもう少し全裸なのでは?(歓喜)
- 50二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 17:46:24
第3観測ユニット内で再度休息を取り、態勢を立て直す必要がある。
そう判断したのはチリだけではなかった。
若いながらも達人である彼らは、無理をしてもどうにもならない壁というものを知っている。休息を取り直すというチリの提案は、やはり満場一致で肯定された。
深い負傷をした者がいるわけではない。二分された戦力で、それぞれ戦果を挙げてきたのだから、最高の結果と言ってもいいだろう。しかし、過ぎた勝利は戦士の命を底なし沼へと誘うということを知っている5人は、クールダウンを取る必要があった。
眠くはないが、ペパーはベッドに横になる。すでに仲間たちの治療は終え、ボールの中で休んでもらっている。読者諸賢にとっては、度々の補足となって心苦しいが、念のため言うなら、「ペパーのボール」とはマフィティフたちが入ったモンスターボールのことである。
寝転んでいると、各人がそれぞれの仲間たちの治療を終え、やはりペパーと同様、ベッドに入ってきた。フォーメーションも、服装も、前日の夜と同じである。しかし、一つだけ違うものがある。それは、
全員起きているということ。
全員の意識がはっきりしている状態で、これほどまでに体を密着させたのは、意外にも初めてであった。このまま就寝するつもりはないため、当然まだ体を拭いたりはしていない。探索と戦闘でかいた汗を落としていない。アオイはペパーの胸板に、ぐでーっとへばりついていたが、ペパーの匂いを堪能すると同時に、すぐに自分の汗の臭いがペパーに届いていないかと心配になった。
が、女体に囲まれたペパーはそれどころではない。
むしろアオイの懸念に気づいたのは、ネモ・ボタン・チリだった。
「後で吹けばええんやない?むしろ今チャンスやで」微笑むチリ。
「悪くない感じだよ」ニヤニヤとしたボタン。
「なんか滾るよね!」力強いネモ。
「・・・・?」何の話か分からないペパー。
顔を真っ赤にして突っ伏しているところが、ペパーの胸板であることに気づくまで、アオイはペパーの胸で表情を隠していた。 - 51二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 18:51:39
よしっ、なんだかちょっと青春えつちな雰囲気になってきたぞ……いいぞ……
全裸の時点でえっちでは?? - 52二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 18:56:32
気になる男の子の近くて自分の汗が気になっちゃうなんて、青春の恋愛だなぁ()
- 53二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:33:34
すいません、深刻な誤字ですね、
チリちゃんのセリフ
「後で吹けばええ」は
「後で拭けばええ」に脳内で訂正してもらえると・・・
いやでもペパーにフーフーするアオイちゃんもカオスだな・・・ - 54二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:37:41
- 55二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 19:50:50
にゃおちゃん、かっけええ!
- 56二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:12:36
水墨画に次いで漫画まで来ただと・・・!?
- 57二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:32:57
神漫画家が降臨された…。
- 58二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:37:31
なんなの?クリエイター界で全裸が流行りつつあるの?ちゃんと服着て?
- 59二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:00:57
- 60二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:13:27
このスレを追ってる=町外れの素敵なバーを知ってる、みたいな風に感じてたワイ、ちょっと複雑
- 61二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:15:01
- 62二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:20:16
ベッドでのひと時を経て、改めて休息を取り直したペパーたち全裸探検隊一行だが、いよいよ今回の調査依頼もほとんどが達成されてきた。
サケブシッポ、チヲハウハネ、スナノケガワ、アラブルタケ、ハバタクカミ、イダイナキバ。
6体のパラドックスポケモンを捕獲し、研究機関からの依頼は、残り一体。アオイがオーリムAIとの一戦で死闘を交えた強敵トドロクツキ、その一体のみ。
地下洞窟に降りていくことも一考されたが、第3観測ユニット周辺の探索はまだまだ終わっていない。そのため、まずは周辺の探索を優先することにした。
そこに放たれたアオイの一言が、一行の緊張感を高める。
「トドロクツキは本当に強い。もし前の戦いのときの個体よりも強い個体に襲われたら、単独ではとても生き残れそうにない。」
より一層研ぎ澄まされていく何かを感じていたネモは別として、他の3人はアオイの一言の重みを深く受け止めていた。
パルデア最強のチャンピオンの口から出た、「自分でも勝てない」という言葉。それはすなわち、パルデアの誰も勝つことができないということを意味する。
ネモとアオイを除く3人が寒気を感じたのは、彼らが全裸だからだけではないだろう。
この警告によって、5人は合流した状態で探索を続けることになった。人数が増えれば必然、探索の精度は上がる。地面の穴一つ、岩壁のヒビ一つ、すべてを見逃さないように、慎重に、慎重に。
余談ではあるが、今現在、ペパーのウミディグダはテラスタルしてその身を龍へと変貌させている。彼の官能が揺さぶられ続けていることは、もはや言うまでもないだろうが、それは今までもそうだった。にもかかわらず、なぜいま、かの猛龍は天を仰いでいるのだろうか。それほどに情欲を持て余しているのか、それとも生命の危険が近づているのを、無意識のうちに感じ取っているのか・・・。 - 63二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:40:43
そんな警戒状態での探索であったため、一行が岩場の奥に巨大な洞窟を発見したのは、自然の成り行きであった。第一発見者は、やはりボタンである。
林立する岩に囲まれた洞窟。奥から風が吹いてくるため、内部はどこか吹き抜けになっているのだろう。まるで侵入を拒むかのように猛風となって一行に吹き付けていた。
アオイのおさげが揺れる。
ネモの前髪がたなびく。
ボタンのつむじが荒れる。
チリの髪束が揺らめく。
ペパーのウミディグダが暴れる。
洞窟から吹き付ける風音に紛れて、後ろから敵が近づいていることに、気づかない5人ではない。5人同時に振り向いて、瞬時に相棒を解き放つ。
ペパーたちに襲い掛かってきたのは、
静寂を装う無垢の暴妖 仮称 サケブシッポの群れであった。
油断ならない相手だが、今更後れをとる相手でもない。群れといってもアラブルタケのときのような大群でもない。巨岩が林立する地形的に多少苦戦はするかもしれないが、負けることはない。ペパーはそう思っていたし、チリもそう感じていた。
そんな中、ネモが一歩前に出て、敵を見据えながら言う。
「私ひとりにやらせて」
興奮しきってしまっている様子でもなく、至って冷静な態度。
ペパーとボタンはイダイナキバとの戦いでネモが何かを掴みつつあったことを思い出した。そして、アオイとチリもネモの雰囲気がより研ぎ澄まされていることを感じ取り、ネモの提案を受け入れた。
結果として、ネモは驚異的な活躍を見せた。岩場に隠れつつ四方八方から襲い来るサケブシッポたちを相手に、ウェーニバルとパーモットのたった2体だけで捌ききってしまった。 - 64二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:06:02
紳士であるペパーは女子の肢体を直視したり凝視したりすることがないように、気をつかってきた。だが、彼はここにきて初めてネモの肉体を正面から見つめた。ネモの背景で山積みになっているサケブシッポたちは、一匹たりとも瀕死の重傷を負ってはいない。
エリアゼロの荘厳な自然を完全に下した、女王のような威容を放つネモの姿を見るペパーに、邪念など寸毫たりとも混じってはいない。彼のウミディグダが荒ぶっていることと、ネモの裸身を直視したことに、因果関係はない。
ネモの戦いを労い、ほんのわずかに消耗した技を回復させ、一行は改めて洞窟へと歩み入り、進んでいく。
洞窟内にはヤミラミやジヘッドなど、暗闇に棲息する力強いポケモンが群れを成していたし、記憶に新しい真夜中形態のルガルガンやハカドッグなど単身でも強力なポケモンたちの姿が数多く見られた。だが、ペパーら一行の視線はそれらのポケモンには注がれなかった。洞窟の中心に横たわるポケモンから目を離すことができなかったからである。
洞窟内は少し歩くと天井が吹き抜けて、外の光が直接内部を照らしていた。その光の中心に横たわる巨体。
報告書には、チリだけでなくネモやボタンも目を通している。そのため自分が戦っていないパラドックスポケモンでも、その姿を知ることができていた。
今回の冒険の最後の目的が目の前にいる。
ペパーとアオイは戦慄した。
「おかしいだろ・・・なんだよアイツ・・・」
大穴の闇を
「スパイスも無いはずなのに・・・」
切り裂き吼える
「なんでアイツ・・・」
暴威の悪龍
「 ヌ シ よ り デ カ い ん だ よ !!?」
仮称 トドロクツキ
最後の戦いの始まりである。 - 65二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:08:09
とうとう最後の一体まで来ましたが。今日はここまでです。もう一匹のコライドンについてはまた別の機会に脱いでもらいましょう。
FAがエライことになってますね。とても嬉しいです。
ぜひとも皆さんもチリちゃ・・・ペパーたちをひん剥いてやってください。 - 66二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:09:26
- 67二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:10:28
FAが早すぎる!!すげえw
- 68二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:18:33
今までの戦い
VS3体のサケブシッポ 順当勝ち
VS虫パのチヲハウハネ マスカーニャのじゃれつく
VSクソ強スナノケガワ マスカーニャのトリックフラワー
VSアラブルタケの大群 ネモが活躍、全員で押し勝つ
VS最大個体ハバタクカミ ドオーのどくづき
VSイダイナキバと地面パ ネモがフルボッコにする
VSサケブシッポの奇襲 ネモが覚醒
VS巨大トドロクツキ ???
こうやって見ると、めっちゃ戦ってるな。そしてネモがすげえのは原作通りなのね。 - 69二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:19:04
チリちゃん主人公で草
- 70二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:21:34
乙です。
もうクライマックスか・・・
寂しくなるな - 71二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:22:06
恥じらいって、やっぱ大事だな・・・
- 72二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:25:31
「大穴の闇を切り裂き吼える暴威の悪龍」って1作目でも出てたけど、ペパーのセリフと混ぜて切りながら、交互に入れてくと、こんなにエモくなるんだな
既出の表現でも演出でこんなに変わるのか - 73二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:28:55
- 74二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 00:04:15
ウミディグダがテラスタルしてることを緊張感の表現として成立させてるの、ホントに腹筋にわるい
- 75二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 01:02:43
- 76二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 05:45:31
- 77二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 08:16:28
- 78二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 08:31:15
保守もほとんどないのに4つも完走してやがる・・・!
- 79二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 10:22:16
正直、俺はこのスレを完全な冒険小説として読んでる。エロスレを期待して開いたけど、むしろ満足してる
- 80二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 10:31:09
- 81二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 10:41:47
- 82二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 11:17:34
ゆらりとその巨大な首を持ち上げるトドロクツキ。高くそびえる雄々しい屹立はペパーのウミディグダを彷彿とさせる。
まだ十分な距離があるが、一行は戦闘態勢に入った。ヌシを超える巨体ともなれば、常識的距離間隔はむしろ命取りになりえる。臆病とも取れる心構えだが、今回はその臆病さが功を奏した。
トドロクツキの口内からほのかな光が立ち現れたと思えば一転、口腔内でその光は燃え盛る豪炎となり、ペパーたちを目がけて一直線に噴射された。
「アカン!身ぃ伏せえ!!ドオー!!」咄嗟に前に出てドオーを繰り出す全裸のチリ。ドオーは指示を待つまでもなく、地面を隆起させ火炎放射をしのいだ。
「なんちゅうバケモンや・・!こんだけ距離有ってこの威力やと!?」ドオーが隆起させた土壁を焦がし、砕き、押し込む圧力。このトドロクツキは、間違いなくアオイが倒した個体より強い。 - 83二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 11:18:04
「固まっとったら黒焦げどころか全員消し炭んなるで!チャンピオン!」チリは散開を指示し、全員即座にそれに同意した。
「コライドン!ちーちゃん!」アオイはコライドンとチルタリスを繰り出して、機動力とする作戦に出た。
コライドンの背にはアオイとペパーとチリが、チルタリスにはネモとボタンが、それぞれ全裸で乗ることにした。
幸い、洞窟は広く、天井は吹き抜けであるため、飛び回りながら隙を探ることは十分できそうだ。
コライドンは格闘タイプを伴うドラゴン、チルタリスは飛行タイプを伴うドラゴン。アオイは火炎放射への耐性と機動力を考えてこの2体を選んだが、奇しくも、洞窟内には闘龍、雲龍、悪龍のそれぞれ異なる三龍が、戦いの渦を巻くことになった。 - 84二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 11:18:46
火炎放射が一瞬途切れた隙を塗って、ドオーが作った岩陰から飛び出す二つの影。
「ちーちゃん!ヤヤ君と一緒にネモたちを連れて飛んで!」ファイアローを護衛につけて飛び回ることを指示するアオイ。
「コライドン!行くよ!」自身もコライドンとともに飛翔してトドロクツキの頭上へと飛ぶ。
頭上を旋回する2体の敵影にも、トドロクツキは焦れた様子すらない。誰が何をしてこようと容易く仕留めることができる、全裸の変態どもなど恐れるに足りん。圧倒的な強者にのみ許された慢心がその余裕を生み出していた。 - 85二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:50:44
これトドロクツキ側からしたら、全裸の変態たちに突然襲撃されたわけだよな・・・
- 86二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:51:32
初手から侵食されてて草
- 87二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:51:54
- 88二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:11:29
- 89二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:30:22
- 90二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:32:07
月が見えるのがいいね
- 91二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:39:51
再び口腔内に火を貯めるトドロクツキ。発射は先ほどよりもタイミングが早い。
「やべえ!もう撃ってきたぞ!」ぺパーの声が響く。屹立した首の先から放たれる一閃だが、ペパーは親近感を感じている暇もない。
「火が速い!避けられへんで!チャンピオン!」チリはアオイに強く叫ぶ。その叫びは提案を伴っており、アオイにはそれが言わずとも伝わっていた。
「コライドン!走って!」一糸まとわぬ主人の声に、コライドンもまた、細かい指示を待たずともその意図をくみ取った。素早く羽を折りたたみ、壁に貼りつくと同時に、疾走を始める。滑空の速度では、敵の火炎放射をかわせないが、疾走形態ならコライドンを捉えられる者などいない。 - 92二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:41:03
「ルガルガン!」
火炎放射は性質上、頭と同じ方向にしか出せない。つまり火炎放射の火線の逆側は完全な死角ということ。その隙を見逃すネモではない。チルタリスを駆って接近し、全裸のドリルライナーを叩きこむことに成功したが、攻撃の成功は勝利の予感を感じさせてはくれなかった。
弱点タイプではないとはいえ、直撃を受けたのに、ろくなダメージが入っていない。
一行の意気はまったく折れてはいない。だが、ネモの攻撃を受けても微動だにしない敵の姿は、絶望感すら漂わせている。チルタリスに距離を取らせながら、ボタンは唇をかんで驚きを呑み込んだ。
ネモはあまりの強敵に、足元から全身がゾクゾクと震えるのを感じた。その震えには興奮と、そして今までは無かった恐怖がわずかに混じっていたのを、彼女自身も気づいていた。 - 93二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:47:40
ダメだ、否定できねえw
- 94二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 16:41:31
- 95二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 17:08:11
なんで服着てるの?
- 96二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 17:37:51
>全裸のドリルライナーを叩きこんだ
いやまあそうなんだけども・・・
- 97二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 17:47:13
なんで野生動物の方が常識的なんだww
- 98二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 18:00:16
このレスは削除されています
- 99二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 18:00:49
- 100二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 19:00:46
静寂を装う無垢の暴妖 サケブシッポ
太陽を騙る紅い魔蟲 チヲハウハネ
文明を嗤う古代の雷豪 スナノケガワ
魔境に潜む暴悪の霊芝 アラブルタケ
深闇を統べる妙手の妖霊 ハバタクカミ
平穏を蹴散らす激震の魔獣 イダイナキバ
大穴の闇を切り裂き吼える暴威の悪龍 トドロクツキ
二つ名いいなぁ、俺も二つ名ほしい - 101二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 20:20:52
地を、壁を、縦横無尽に駆け巡るコライドンの背に乗って、それぞれポケモンを繰り出していく、アオイ・チリ、そしてペパー。
反撃を避けるためか、遠距離技に徹底するが、火力不足は否めない。対するトドロクツキは、多少は煩わしいのか、頭上に舞う敵を睨む目に力がこもり始めていた。
ゆっくりと翼を広げ、ゆっくりと上下にはばたく。尻尾を左右に、これまたゆっくりと振る。
その様はまるで優雅な踊りのようだった。
「っ・・・?」アオイは、見たことも挙動を敵が取っている状況に警戒を強めるが、それが何なのか分からない。ただ、何かをしてくる。それも強烈な何かを。それは、絶対に、間違いない。
アオイたちをねめつける双眸から放たれる殺意がそれを予告している。全裸を殺す、全裸を皆殺す、全裸を噛み殺す・・・そういった明確な殺意が冷たい予感となって一行を包む。
この間もトドロクツキはゆっくりと動く。まるで踊っているように。
「踊り」
チリは、思考のかけらをつぶやくことで、掴みかけている答えを無理やり手繰り寄せた。
「踊り・・・・ゆっくり・・・・舞・・・・」
「・・・っっっ!!!」チリは戦慄した。絶望に近い恐ろしさを感じ、大声で叫ぶ。
「アカンっ!!!「りゅうのまい」や!!!」
一瞬だけ赤黒いオーラに包まれて、トドロクツキは動きを止めた。そしてその巨大な翼を、今度は速く、強く動かし、飛び上がった。
戦いは空中戦へと加速する。 - 102二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 20:42:05
「りゅうのまい」によって膂力と速力を手に入れたトドロクツキは、その巨体からは想像もできない速度でアオイたちに迫る。
「あの図体でなんつースピードだよ!?」ペパーは目の前の絶望的な光景が信じられなかった。あれほど恐ろしかったヌシたちを超える巨体でありながら、矢のような速度で自分たちを追う。そんな敵が存在するとは、想像すらできなかったこと。それが目の前に起こっている。
「どうにかスピード削らんと、当たるモンも当たらん!チャンピオン!水場の近く通ってくれ!マッドショットぶち込んだる!」チリは重量感のある地面タイプのエキスパート。スピードで劣る敵と戦うことに関しては一家言があった。
壁から降りて地面を走り、要求通り水場の近くの湿った部分を通るコライドン。全裸の主人を乗せて命がけのレースを繰り広げる。当然背後には追い立てるトドロクツキがいる。
「今や、ドオー!マッドショットや!しこたま撃ったれ!」
ドオーと挟み撃つように、裸のネモとボタンがチルタリスに乗って接近する。マッドショットで動きが鈍ったところにウェーニバルがインファイトを撃ち込むつもりだ。
だが、トドロクツキは突然に向きを変えた。ドオーに背を向け、ウェーニバルを見る。つまり、ネモとボタンを見る。
アオイはその挙動に覚えがあった。オーリムAIとの死闘で相手のトドロクツキが使ってきた不意打ちの一手。
「ダメ!!逃げて!!」アオイはトドロクツキの意図に気づいた。
ドオーに襲い掛かるフリをして挟み撃ちを誘発させ、瞬時に方向転換して不意打ちを叩きこむ。しかも、りゅうのまいによってスピードが上がっている今の状態ならば、不意を突くような急な姿勢転換でも、強力な技を使える。
すでに近い距離にまで来ていたネモとボタン、そしてウェーニバルを襲う、痛恨の一撃。
破龍の打擲 ドラゴンダイブ - 103二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:06:03
全裸じゃなかったらただの神文
- 104二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:17:51
ウェーニバルは全力を尽くした。
渾身のインファイトで敵のドラゴンダイブの勢いをわずかでも相殺し、なおかつ主人を守るため、ネモとボタンが身を預けているチルタリスの前に立って、決死の壁となった。
それでも抑えきれずネモたちは吹き飛ばされ、後方の岩壁を砕いた。ネモはウェーニバルだけでなくミミズズとルガルガンを瞬時に繰り出し衝撃の緩和を図ったため、ボタンとともに致命傷を避けることができたが戦線からは離脱。
アオイが機動力確保のために貸してくれたチルタリスは瀕死状態になり、アオイの手元に強制帰還することになった。
「・・・っっ」ギリッと歯を食いしばるチリ。子どもたちを守るために同行したはずが、己の使命を果たせていないことを強く恥じる。
「ちーちゃん…ありがとうっ・・・!」
アオイはチルタリスに労いを込めた礼を言い、トドロクツキを強く見据えた。 - 105二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:18:16
大地に降り立ち、アオイたちに、正面から襲い掛かろうとするトドロクツキ。だが、アオイも、チリも、ペパーもトドロクツキの挙動に若干の変化あったことに気づいた。ネモとボタンはドラゴンダイブの直撃を受ける刹那に、その片翼の付け根を強く狙い打ったのだった。
それによってトドロクツキは、高速飛行を封じられた。もちろん「りゅうのまい」を更に積み上げれば、それも再び可能になるだろうが、もはやそれを許す一行ではない。
チリはコライドンから下りた。コライドンの機動力を少しでも高めるためである。ペパーも同様にする。
アオイ一人を乗せて、神速のように走り出すコライドン。距離をつめて高火力な技を叩きこむ作戦である。 - 106二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:21:18
火炎放射を放とうとするトドロクツキ
チリとペパーが、ドオーとバクーダ、そしてキョジオーンで火線を逸らして阻止する。
さらに接近するコライドン。ペパーは、パルシェン、そしてマフィティフを繰り出し、そのうちパルシェンの弱点技をこれみよがしに放って、敵の回避行動を誘う。
ガクン
トドロクツキの姿勢が一気に崩れた。
「アカンなぁ。地面使いから目ぇ逸らしたら・・・」
全裸といえどチリは止まらず、全裸といえど四天王は死なず。
チリはトドロクツキの右足が置いてある地面の地下に、ダグトリオで小さな空洞を作り、ドオーの力で地面を泥に変え、その挙動を封じたのだった。 - 107二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:21:38
近づいてきたコライドンに、至近距離で火炎放射を浴びせようとするトドロクツキを背後から強襲する全裸の二つの影。
「ニンフィア!!」回復して戦線に復帰したボタン。
「パーモット!!」同じく回復したネモ。
「ムーンフォース!!」「インファイト!!」
いくら巨体といえど、油断していた背後から弱点属性を叩きつけられば、攻撃をキャンセルさせられる。火炎放射を阻止されたトドロクツキの目の前に、居たのは、
マフィティフ、マスカーニャ、そしてコライドン。
噛みつこうとするトドロクツキの下顎に、コライドンの「アクセルブレイク」が直撃する。
わずかに浮く巨体。
生じる一瞬の隙。
「マフィティフ!!」「にゃおちゃん!!」
「「 じゃ れ つ く ! ! ! ! 」」 - 108二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:33:44
かっこいい!
裸なのに - 109二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 21:42:31
悪龍を討つ無垢の双撃は洞窟の大気を強く、強く揺るがした。
地に伏す最後のパラドックスポケモン、仮称 トドロクツキ。
アオイが投げたボールに入っても、多少揺れはしたが、すぐ収まった。それはつまり、今回の任務の完了を意味する。
チリはネモとボタンに駆け寄った。その両腕は、もはや胸を隠してはいない。
「・・・・ええ子たちや・・・ホンマにええ子たちや」チリはボタンとネモを両腕でぎゅっと抱きしめて、感慨深げに言った。本当は無茶をしたことを叱らなければならない、守れなかったことを謝らなければならない。
ただ、このときチリの口から出てきた「ええ子」の一言は、千言を尽くしても著すことのできない思いを含んでいた。
ボタンとネモも、何も言わずに抱き返す。そこにアオイも加わった。ぎゅっと互いの無事を喜び、ぎゅっと互いの戦果を祝う。そこに抱擁以外の言葉は要らなかった。
裸で抱き合う女子たちを見ていたペパーは、自分の中でなにかの扉が開いた音を聞いたが、彼がこのとき獲得した性癖の正体を知るのはまた別のお話・・・。
「・・・ペパー君も来ぃや?」アオイがわざとチリの口調を真似て、ペパーを呼んだ。美しい光景を自分の存在で汚すことをわずかにためらった彼だったが、すぐに了解し、抱擁の輪に加わるのだった。
ボールに収められた仲間たちも、互いの主人の無事を、物言わず喜んでいた。
依頼にあったすべてのパラドックスポケモンを捕獲したアオイたち。あとは無事帰還するのみである。 - 110二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:01:22
ちょっと早いですが、今日はここまでです。
ついにパラドックスポケモン全種を捕まえました。長かったです。
あとはもう締めの部分だけですが、チリちゃんと別れるのが惜しいですね。
終わりたくない・・・!もっと恥じらってるチリちゃんが見たい! - 111二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:02:17
最後の一撃が、ペパーとアオイの相棒なの、すごくいいよね
- 112二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:05:06
ん?今帰りにもう一体と遭遇するフラグ勃った?
- 113二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:05:55
字があかんことになっとる…ペパーのせいだな!
- 114二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 22:28:01
パラドックスポケモンはあと一体いますねえ・・・いっとう凶暴なヤツが
- 115二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 23:00:25
遠距離からの火炎放射をチリが防御
↓
コライドンとチルタリスで飛んで攪乱
↓
「りゅうのまい」でスピードアップして追跡
↓
「マッドショット」で素早さ下げようとする&「インファイト」で挟み撃ち
↓
突然方向転換してドラゴンダイブ、ネモボタ戦線離脱するもなんとか機動力は奪う
↓
チリとペパーが防御と攪乱しながら接近
↓
ネモボタが復帰して、火炎放射を阻止
↓
コライドンが反撃を阻止
↓
マフィティフとマスカーニャが「じゃれつく」でフィニッシュ
すげえな、もうすげえしか言えない。しかもこれ全裸なんだぜ - 116二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 06:46:22
- 117二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 08:02:57
- 118二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 08:47:27
こんなのにドラゴンダイブくらって生きてるネモボタすごい
- 119二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 09:35:48
ペパー君、キミもしかして百合にも目覚めてる?
- 120二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 10:45:12
第3観測ユニットまで戻って来たアオイたち一行は、ドラゴンダイブの直撃を受けたネモとボタンを始め、傷ついた仲間たちの治療に専念することにした。ポケモンたちの回復力は高い。生命維持のための重要な器官は人間の想像よりもはるかに丈夫にできている。もちろん、ペパーのマフィティフがそうだったように、その重要器官すらも深く傷つけられたら、回復もままならない状態に陥ってしまうが、今回は幸いそこまでには至っていないようだった。
傷薬による手当と静養で回復できるだろう。
生身の人間、それこそ文字通り防具どころか布一枚すら纏っていない、生身で攻撃を受けたボタンとネモの方も相棒たちの活躍のおかげで、重症にはならずに済んだ。これもまた、傷薬を塗って、安静にしていればすぐに回復するだろう。
一通りの手当を終えた一行は、ほっと一息をつく。
「はあぁ~・・・、やっと終わりや・・・」いつも通り、壁際に腰を下ろすチリだが、その両腕は、やはり胸と下半身を守っていた。
アオイは地べたに尻をつき上半身だけベッドに投げ出して、顔だけペパーの方を向いて言った。
「ペパー・・・お腹空いた・・・」ペパーだって疲れているとは知りながら、彼に甘えてしまうのは、アオイがまだ幼いからだけではないだろう。
上目遣いって良いな、と自らの性癖が豊かになっていくのを感じながら、ペパーはアオイに笑顔を見せて了承する。戦闘後の疲弊状態でありながら、その腰のウミディグダは威容を振りまいていたが、そのことを指摘する者は誰もいない。
アオイがお腹を空かせているとはいえ、極端に急ぐ理由もないため、ペパーは腕を振るって食事の用意を始める。料理をしているとき、彼はどんな疲労も苦しみも忘れることができた。両親のいない寂しさを、家族の倒れた悲しさを、孤独のもたらす侘しさを紛らわしてくれる料理が、いまは仲間たちをもてなしてくれる。
極度の疲労にありながら、ペパーはとても幸せだった。オリーブオイルがニンニクを炒める香りがする。食材が鍋の上で踊る。換気によって起こされた気流に乗って、魔性の香りが一同の鼻腔をくすぐる。戦士の心もとろかす、ペパーの渾身の一撃である。 - 121二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 11:02:38
ピクニック用のテーブルと皆の前にしかれたランチョンマット、その上に置かれた香り高い一品。木の実をしぼった即席のジュースまで用意されている。ものの十数分でここまで揃えてしまうペパーの技量は、まさに舌を巻くものであった。
「ペパー君はホンマにええ男やなぁ・・・そう思うやろ、チャンピオン?」ニヤニヤと隣に座ったアオイの頭を撫でながらチリが言う。その顔は、闘いを終えた戦士というよりは、気のいいお姉さんといった感じだった。対面する形で座っているボタンとネモの顔もニヤニヤとしている。
「「ホント、いい旦那さんになりそうだねぇ、アオイ?」」輪唱するように言葉が重なる。
顔を真っ赤にして、あたふたとするアオイだったが、その目はちらちらとぺパーを見ている。
当のペパーは、女子たちが何の話題で盛り上がっているのか、さっぱり理解できないでいたが、思春期の全裸の青年に全裸のガールズトークを全裸で理解しろというのも酷なことであろう。
「さて、これからやけど・・・やることは終わったんや。あとは帰るだけ、と言いたいとこやけど・・・」チリは食事をしながら、あくまで朗らかに話し出した。とはいえ、アオイたちにも、先ほどまでの話題とは違って真面目な話であることはすぐに分かる。
「エリアゼロの地下。結晶洞があるんやろ?トップからは、”「可能なら」目で見て確認してほしい”っちゅうのを聞いとる。どや?行けそか?」
任務は完了だが、可能なら結晶洞の中を軽く調査してほしいとのこと。もちろん、「可能なら」であるため、話を受けるかどうかはアオイたち次第。
だが、忘れてはいけない。彼らは全裸であり、冒険者でもあるということを。
「「「「行きます!!」」」」4人の返事は、セリフもタイミングも、完璧にシンクロしていた。思わず吹き出すアオイたち。
その様子を見て、チリも笑顔にならざるを得なかった。 - 122二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 11:40:01
よし!!!まだ続くんや!!!
- 123二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 11:55:06
エクストラステージ感出てきたな…
- 124二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 12:14:45
不埒なこと言いながらめちゃくちゃカッコいい絵描いてる!!カッコいい!!
- 125二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 12:46:40
和やかな青春の1ページを見つめる微笑みの裏で、チリの脳裏にはある一つの疑問が浮かんでいた。あれだけの巨体、各地の目撃情報から伝え聞いた「ヌシ」という個体よりも大きな巨体。通常の自然環境ではあり得ない過剰成長。テラスタル結晶の力が関係していることは明白だった。
報告書では、下層に行くほどにテラスタル結晶は巨大化し、かつその数も増えていったとあった。あのトドロクツキが下層のテラスタル結晶の力を吸収して過剰成長した個体であることは間違いないだろう。それを踏まえて、チリの脳内には解せないものがあった。
あれほど強い個体が、いったい何故、下層から離れた、岩場に隠された、こんな洞窟にいたのか
そして、チリはその知識と経験から、ある一つの推論に至った。
あのトドロクツキは、逃げてきた。
あのトドロクツキは縄張り争いに負けた。
あのトドロクツキは隠れていた。
あのトドロクツキよりも強いナニカが、下層には居る・・・。
チリは懸念を微笑みで隠しつつ、裸の背中を冷たい汗がつたうのを感じていた。
そんなものが居るのなら、存在だけでも確認したい。それもできるだけ遠くから。戦闘を挟まず、逃げることを前提に。縄張りがあるなら、その外までは追跡して来ないはず。
そもそも何もいないかもしれない。自分の杞憂かもしれない。むしろそうであってほしい。
そう祈るチリだったが、彼女の長年の勘は、彼女の自身に確信を与えていた。
闘いは終わりじゃない、と。 - 126二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:13:42
全員の完全回復を待って行動しようというチリの提案は至極当然なものとして受け入れられた。
その日、アオイは夢心地にいた。
気になる男の子密着してコライドンを駆り、宙を舞いながらともに戦った。
ぴったりと息を合わせて、フィニッシュを撃ち込んだ。それも同じ技で。
拠点では、その男の子が食事を作ってくれた。自分の分だけハムが少し大きかったし、プチトマトも一つ多かった。椅子だって少しだけ近いところに置かれていたのは偶然じゃないはず。
そして、もう一つ。
その日、いつものようにベッドに入り込んだ5人。そのフォーメーションもいつも通りだったが、一つだけ前日と違うものがあった。それはペパーの両腕。いつも両サイドの女子の太ももに挟まれて拘束されている彼の両腕は、今日はなぜか上に乗ったアオイを包んでいた。
もちろん、すでに寝入って夢の中にいるペパーは、マフィティフを抱きしめてその温もりを感じているだけなのだが、現実には彼が抱いているのは相棒ではなく、親友である。
今この瞬間に起きているのはアオイだけだった。
命がけの戦いで昂った興奮、彼が作ってくれた美味しい食事、汗を拭いて爽やかな心地の彼の胸板、そして自分を優しく抱きしめる逞しい彼の両腕。
誰も見ていない。みんな寝入っている。誰にもバレない。何度も何度も確かめて、アオイは自分を止めるものがないことを知ると、おずおずと行動に出た。
眠っているペパーの首筋にひっそりとキスをする。唇には恥ずかしい、だから首筋。もう一度。またもう一度。唇をひっそりと当てるだけのささやかで可愛らしいキス。今、アオイは自覚した。
自分はペパーに恋をしている、と。
一部始終を薄目で見ていたチリは、どこか胸の奥がむずむずと痒くなるのを感じていた。 - 127二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 15:44:30
急にキュンキュンするの心臓に悪い
- 128二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 16:35:52
ついに!恋を自覚した!全裸なのが惜しまれるぜ!
- 129二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 17:40:14
甘酸っぱぁ
- 130二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 17:59:26
ウオーッ!ない!ないんだい! 少年少女が織りなす淡い青春の1ページ!かけがえがないんだいッ!!!
- 131二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 18:01:35
ガチガチの戦闘と冒険と胸キュンの恋愛と全裸が整合性取れてる作者の脳内、実質エリアゼロでは?
- 132二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 18:05:43
これペパーの夢見と起きた後が大変なことになるのでは
夢見の方はマフィティフ変換でなんとかなるか - 133二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 19:08:05
正直、大変なことになってるときのアオイちゃんの反応見たい
- 134二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 19:44:10
ドキがムネムネしてきた…。
- 135二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 19:59:01
全裸とは思えない甘酸っぺぇ青春してて脳がバグる
- 136二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 20:03:32
「恋愛映画かな?」ってツッコミを全裸の少年少女に何度もすることになるとは思わなかった
- 137二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 20:34:34
今夜もペパーは大変なのかな〜とかって読み進めたら鮮やかに色づいたオレンジのごとき甘酸っぱさにふいうちをくらい急所に当たった
- 138二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:01:12
>自分の分だけハムが少し大きかったし、プチトマトも一つ多かった
ここめっちゃ可愛くない?
- 139二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:35:00
- 140二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:36:29
服着てる
- 141二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:40:22
- 142二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:56:40
半日と一晩の休息期間を経て、一行は第3観測ユニットを後にする。といっても、ユニット間のワープ装置が生きているため第4観測ユニットまでは一瞬で行ける。当初の調査対象をすべて捕らえている以上、もう警戒調査戦闘を繰り返して、移動に時間をかける必要はない。
チリは懸念を4人に伝えなかった。杞憂であってほしいと思っていたのもあるが、必要以上にメンバーの精神力を削りたくないというのが主な理由だった。この4人なら必要な時に必要な警戒をできるだろうと、チリは、これまでの冒険と戦いを経て確信を得ている。
観測ユニットに備え付けられているワープ装置は横幅が狭く、主に一人用のようだ。そのため一人ずつ利用することになった。まず最初に元気よくネモが入り、続いてボタンとチリもワープしていった。ペパーはアオイの次に行こうとしていたが、アオイが動こうとしないのを見て、自分に譲っていると思い、「お先ちゃんだぜ」と一言そえて、ワープしていった。
独りになった第3観測ユニットでアオイは顔を隠して座り込んでしまった。その顔は真っ赤になっている。早くみんなに続かないと心配されちゃう、ペパーが心配しちゃう・・・そうつぶやきながも、アオイは、なかなか動けないでいた。このときアオイの頭の中にあったのは、
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・ぺぱーが、ぺぱーが・・・、
ぺ ぱ ー が カ ッ コ イ イ ~ ~ ~ ~ ~!!!!)
であった。
(あんなにカッコイイなんて、なんで気づかなかったんだろう!?あれ、もしかして私めっちゃ幸せなのでは!?幸福なのでは!?パルデアで一番カッコイイよね!?ってことはその近くにいる私はパルデアで一番幸せなのでは!?)
「ペパー」
アオイはふと声に出してみた。今はその声を聞く者は誰もいない。
「ペパー」
もう一度、口に出してみる。それだけでどこか甘い痺れがあった。
「ペパー♡」
感情を込めて名前を呼んでみる。顔をきゃーと叫びながら、隠して立ったままジタバタと足踏みする。色に浮かれる主人を見ながら、マスカーニャはボールの中でニヤニヤと口角を上げていた。 - 143二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 21:58:58
甘酸っぺぇ…
でもこれ全裸なんだよね - 144二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:03:29
普段なら可愛いし微笑ましいけどこの腑抜け状態でボス戦はかなり心配になるしなんなら今一人になってるのも危ないな…
助けてチリちゃん - 145二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:07:08
少し間をおいてワープ装置から姿を現したアオイの目は、力感に満ちていた。荒れ果てた第4観測ユニットの中で、結晶の光に照らされるその勇壮な姿はまさにチャンピオンの威容を放っている。
第4観測ユニットを出発して長い下り坂をおりていく5人。進みは快調。だが、どこか表情が険しい。まるで刃物を喉元に当てられ続けているかのような緊迫感が一行を包み込んでいた。まるで殺意が帳(とばり)となって辺りを覆っているかのような感覚。
アオイ、ネモ、ペパー、ボタンは、この感覚に覚えがあった。
忘れもしないオーリムAIとの死闘、そして、その後の楽園防衛プログラムとの戦い。そのときに感じたもの。
肌がひりつく。喉が渇く。体中の産毛が逆立つ。
「縄張り・・・」そう呟いたのはボタンだった。その表情には戸惑いと負けん気と怯えと勇気が混ざっている。
誰も口には出さないものの、もうわかっていた。
ここは死地。
ここは魔境。
ここには・・・
ア イ ツ が い る。 - 146二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:11:37
このレスは削除されています
- 147二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:33:14
下り坂をおりきった一行を迎えたのは、巨大なテラスタル結晶の壁だった。学生の4人は、この光景には見覚えがある。今回が初見のチリはさすがに驚いたようすであった。
煌めく結晶の光に照らされるチリは、まさに麗人という言葉がぴったりと当てはまる。左腕で胸を隠しているため、なおさらその気品が高まる。ボタンは「かっけぇ・・・」という言葉を漏らさずにはいられなかった。
死地の圧力は当然チリも感じている。このプレッシャーの中で雄々しく嗤うチリの貌は、獰猛な戦士の相であり、頼もしい先達の相である。
チリは感じていた。テラスタル結晶の力が充満した洞窟、岩と土に囲まれたこの洞窟内こそ自分が最高のパフォーマンスを発揮できるフィールドだろう、と。だが、子どもたちの命を預かる身、己の闘争心を満たすためだけに戦うわけにはいかない。チリは気を引き締めて4人に告げた。
「姿がチラッとでも見えたら、帰るで。」有無言わさない断定形の言い方。普段の彼女ならあまり好まない強い口調だが、あえてそうする。
そして4人は彼女に反対しなかった。コライドンとチルタリスを出して逃走時用の速力を確保しながら、結晶煌めく大穴最下層を練り歩く一行。
その身にかかる圧力が、明らかに増していくのを感じているが、誰もそれを口にしない。
学生の4人は、プレッシャーと同時に違和感も感じていた。
野生のポケモンがいない。一体もいない。こんなにもエネルギーに満ちているのに、野生個体が一体も見えない。
あの巨大なトドロクツキが岩場に隠れた地上の洞窟にひっそりと居た理由、テラスタル結晶の力が満ち満ちる最下層に野生のポケモンがいない理由・・・
それは、理不尽な搾取をもたらす圧倒的強者の存在を示唆している。
そして、この膨大なテラスタル結晶の力を独占しているとしたら、その存在は、想像を絶する強さへと成長していることだろう。
その推論へと至った一行の前方はるか先に、急で細い坂道が見えた。そしてその頂上にいる存在も。
深紅の体躯、雄々しいたてがみ、荒ぶる眼光、地を刻む剛爪
魔境を駆け 深淵を統べる 天下無双の暴君龍
仮称 ツバサノオウ - 148二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:48:15
勝 て な い
ツバサノオウの姿を一目見た一行は、物言わずとも一瞬で見解を一致させた。戦闘の愉悦をこよなく愛するネモですら、無為に命を散らす蛮勇は持ち合わせていない。
背を向けて走り去ることに、なんらの躊躇もない。それほどにツバサノオウの放つ威圧感が桁が違っていた。全力で、一刻も早く地上へ、ワープ装置など起動している暇はない。早く、早く。
全速力で逃げるアオイたちをその両目が捕捉した途端、ツバサノオウは羽を広げ、坂の上から飛び立った。
ツバサノオウは、コライドンと同種。それはつまりコライドンと同等かそれ以上の機動力を持っているということ。
「アカン!追って来よった!」
トドロクツキとの一戦と同様、コライドンにまたがるアオイ・ペパー・チリの3人とチルタリスに乗るボタンとネモの2人。裸の体に振動が直撃するため、チリはコライドンにまたがるのが好きではなかったが、そんな趣向を吹き飛ばすほどの緊急事態である。
「や、やばいよ!アイツの方が速い!そのうち追い付かれるよ!!」ボタンが叫ぶ。ボタンのニンフィアが持つ「ムーンフォース」は当たれば強力な武器になるだろう。だが、相手はコライドンを超える機動力。正面戦闘であてられるとは思わない方がいいだろう。
「戦いながら逃げるしかないよ!」とネモが叫ぶ。
「クソッやるしかないのかよ!!」とペパーが叫ぶ。
アオイは前を見続けている。背を負う恐怖から逃げるように。全速力でコライドンを走らせる。
命をかけた逃亡戦が始まる。 - 149二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:54:38
毎度誤字ばかりですみません・・・
>「顔をきゃーっと叫びながら、隠して」は「顔を隠してきゃーっと叫びながら」です。
今日はここまでです。
ホントはツバサノオウまで接触させるつもりはなかったんですが、チリちゃんにはもう少しだけ裸でいてほしかったので・・・
さて、追い付かれたら終わりの鬼ごっこで、今回の冒険の最後の戦いとします。
縄張りの外、つまり地上まで逃げきれたらアオイちゃんたちの勝ち!それ以外は全部負け!
では、また明日一日頑張りましょう。
- 150二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 23:30:38
続けてくれてありがとう!裸をいっぱい見させてくれてありがとう!
- 151二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 23:33:36
チリちゃんを更に見れるのとても嬉しい。マジで感謝
- 152二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 07:27:28
全裸カーチェイスですか、大したものですね
- 153二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 08:10:21
- 154二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 08:25:16
カッコいいし、かわいいし、凛々しいし
ってアオイちゃん!? - 155二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 08:59:31
- 156二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 09:32:45
かっけええええ!!!!服なんていらんのや!!!
- 157二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 09:45:49
ぺパ先、アオイちゃんの胸にがっつり腕あたってるけど、今の関係性だとアオイちゃんの方が喜びそう
- 158二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 10:45:26
カッコイイ
- 159二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 12:22:52
「ドオー!ドンファン!バクーダ!隆起せえ!!」
高速で移動中のライドポケモンの上で、驚異の3体同時使役。重量の大きい地面ポケモンを宙に放ち、3方向からの隆起で敵を妨害し、着地の前に手元に戻す。四天王の地面使いチリだからこそできる、驚異的な早業と正確さ。
だがその防壁による時間稼ぎもほんの一瞬。轟音と共に崩れ去る土壁と土煙の中から飛び出る敵影。
あの巨大トドロクツキの火炎放射を受け止めた土壁を、3枚同時に撃ち込まれてもなお、瞬時に粉砕して追跡を続ける戦闘力は、見る者の心胆を寒からしめるには十分すぎる。ましてや、それが追われる者なら言わずもがな。
追いすがるツバサノオウはまだ遠い。だが、そのスピードはこちらのコライドンを超えている。走り続けているだけでは、あっという間に追い付かれてしまうだろう。
一度は下した敵である、もう一度倒せるかもしれない。そんな考えはアオイたちの脳裏には寸毫たりとも浮かばなかった。ボール・ロック・システムのない今の状況で多勢対一体で取り囲んだとしても、勝てるビジョンが浮かばない。トドロクツキよりはるかに小さく、自分たちと同じくらいのサイズなのに、放たれる威圧感は比較にもならなかった。
「やべえぞ、止まらねえ!」ペパーの叫びは敵の理不尽な強さを責める意気が含まれていたが、同時に戦えない自分の未熟を恥じる気持ちもあった。
高速移動するライドポケモンの上で、技を出したポケモンを着地の前に一瞬で引っ込めるなど、超技巧を通り越して超人技ですらある。そんな技量を備えるには、ペパーはまだ若すぎた。
「土壁じゃ止まらへんか!んじゃ、こいつでどないや!?」
ダグトリオによる塹壕とドンファンによる岩壁。そこにドオーが毒を含んだ泥を込める。これまた3体同時かつ一瞬の早業である。
ツバサノオウは足を止めて急停止した。
が、刹那の静寂の後、再び轟音が結晶洞に鳴り響く。 - 160二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 12:24:15
アクセルブレイク
深い塹壕も、硬い岩壁も、毒の泥沼も、瞬く間に蹴散らす高速の一撃。
粉々になって崩れ落ちる地形トラップを見るチリの表情、それは、
不敵な笑みであった。
「今や!ナマズン!ふぶき!」
広大な結晶洞を覆い尽くすほどの広範囲を、猛烈な吹雪が襲う。それもコライドンとチルタリスの進行方向には一切影響を及ぼさないように細心の注意を払って。
龍を鎮める霧氷の結界によって、敵の視界と動きを鈍らせた。だが、この程度で倒せる相手でもなければ、止まる相手でもない。この隙に少しでも距離を稼がねばならない。
一行がより気を引き締めたその瞬間、後方の吹雪の中に突如豪炎が舞い上がった。
「火炎放射・・・!」歯を食いしばって顔をゆがめるチリ。想定よりも足止めがはるかに短かった。
劫火を纏いながら吹雪の中から現れたツバサノオウの両目には、明確な怒りと敵意が見てとれる。
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
猛烈な咆哮が鳴り響く。その咆哮を遮るように放たれたのは、チリの技ではなかった。
「りゅうのはどう」
ネモのヌメルゴンの技である。ネモはこの命がけの逃亡戦のさなか、チリの早業を注意深く観察し、その技巧の一部を盗み始めていた。
天賦の才、あまりの才能に、チリは雄々しく嗤った。
「よっしゃ!二方向からいてこますで!ネモ!!」
「はい!!」 - 161二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 12:24:55
隆起する岩盤、飛び掛かる石礫、溢れかえる毒沼、目くらましの噴煙と吹雪、そして差し込まれる波動・・・。
それらの技は一瞬のうちに無数の火花を生んで結晶洞の闇を彩った。だが、ツバサノオウは技を受けつつかわしつつ、確実に距離を詰めてきている。もう幾ばくかの猶予もない。
「見えてきたぜ!地上だ!!」ペパーが叫ぶ。
アオイは後ろを見ていない。どれほど恐怖が迫っていても振り向くわけにはいかない。仲間を信じて走るしかない。
ツバサノオウの剛爪は、もうコライドンの尻尾を掴める位置に来ていた。地上への出口を目前にして、急停止するコライドンの体。
ツバサノオウに尾を掴まれた。アオイの指示で先に地上へと逃れるチルタリスとその背に乗ったネモとボタン。
コライドンとアオイたちに渾身の追撃をしようとするツバサノオウ、その真下にはドオーが潜んでいた。
「ウチの子らになにすんねん」チリは強い怒りで恐怖を塗りつぶして、注意を自分に引き付けつつ、ドオーの毒撃を撃ち込んだ。それでも掴んだ尾を離さないツバサノオウの背後からマフィティフが迫る。
「やっちまえ!マフィティフ!」
鬼の形相で食らいつくマフィティフ。使っている技は「じゃれつく」だが、その勢いと形相には殺気がこもっている。
4倍弱点をつかれ、コライドンの尾から手を離した一瞬の隙をついて、アオイのマスカーニャも攻撃を撃ち込み、全速力で駆け抜ける。
縄張りである結晶洞から逃げ去ったアオイたちをツバサノオウは、一瞬追いかけようとしたが、すぐに踵を返して洞窟の奥へと戻っていった。
ネモとボタンと合流し、そのまま第3観測ユニットまで逃げかえるアオイたちだったが、その表情は強い恐怖から逃れた解放感でいっぱいになっていた。 - 162二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:02:02
裸なのにこんなかっこいいなんてズルいだろ…
- 163二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:05:55
命からがら、という言葉がちょうどしっくりくる雰囲気で第3観測ユニットに帰り着いた一行。
もはやこの地に用はない。一刻も早く帰ろう。多少の悔しさこそあれど、少なくとも今の実力では太刀打ちどころか、一矢報いることすらできそうにない。
幸いゼロゲート施設までワープ装置が生きているため、第3観測ユニットからは安全に帰ることができる。
例のごとく一人ずつワープ装置に入り帰っていく一行。その順番は変わらない。
ペパーが「それじゃ、先にいくぜ」と声をかけたことまでもが同じだった。
ペパーに腰を掴まれた。ペパーの腕が胸に当たった。ペパーのマフィティフが助けてくれた。ペパーの・・・、ペパーの・・・。
溢れる思いで心をいっぱいにしようとするアオイだったが、その身に刻まれた緊張感はいまだ消えない。ボールの中におさまっているコライドンも怯えているようだ。楽園防衛プログラムとの死闘では勇気を振り絞って勝利を掴んでくれたが、今回ばかりは事情が違いすぎる。
恐らくあのツバサノオウはマスターボールの呪縛から解放された後、結晶洞最下層を占拠して、その領域を独り占めしたのだろう。もともとそれができるだけの実力はあった。そこに加えて、テラスタル結晶、それも特大サイズの結晶に囲まれた状況に身を置くことでその力を蓄え続けてきたのだろう。
テラスタルは、戦闘中にトレーナーが使う加工された小さな結晶ですら、凄まじい反動で持つ者を揺るがす。テラスタルしたポケモンは圧倒的な力を得るようになる。それが巨大な岩壁であり、未加工の原石であれば、その効果を一身に受けた存在が強力無比となるのは自明の理。
ちなみに、ここでいうテラスタルとは隠語ではない。 - 164二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:06:39
アオイは考え込みながらワープ装置に足をかけた。そのとき、観測ユニットの扉が大きく形をへこんで形を変えた。
一瞬思考が止まってしまったアオイだったが、急いでワープを起動させる。
アイツが追ってきた。
アオイの想像通り、観測ユニットの扉を破壊して入ってきたのは、ツバサノオウだった。
すでにワープが始まっていたため、間一髪でその剛爪をかわすことができたが、ゼロゲートに着いたアオイの様子は、待っていた一同を動揺させるには十分だった。
「・・・て」息が上手くできない。
もう一度浅く息を吸って告げる。
「壊して!アイツが追ってきた!ワープ装置を壊して!」
アオイの要請に瞬時に反応したネモとペパーは、パーモットとキョジオーンでワープ装置を破壊した。同時にボタンとチリは辺りを警戒する。
何かが近づいて来るような気配はない。豪速で飛んでくるような影もない。
今のところは、大丈夫そうだ。
今のところは。 - 165二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:27:33
久しぶりに衣服をまとう一行。その表情は晴れやかではない。ツバサノオウの追撃は一行に深刻な緊張を与えていた。
ペパーは、チリが下着をつけ、衣服を着こんでいく様を横目で捉えてしまっていた。これはあくまで偶然であって、紳士である彼が意図したことではないことを、付け加えておく。
大人の女性が服を着ていく、その瞬間にこそ、なにか本当の美というものがあるのではないかと、ペパーは深く思った。なんならむしろ着衣の方が淫らなのではないかとすら感じていた。
恥じらいというものの尊さを、チリはペパーに教えてくれた。恥じらう女性の美しさをペパーは知った。彼の性癖はまだ未熟で変化の余地がある。だが、この冒険でペパーが培った豊かな興奮は、必ずや彼の人生を彩ってくれるだろう。そして、それは今夜かもしれない。
アオイはなかなか服を着ないでいた。「着られない」ではない。「着ない」である。それはツバサノオウの姿がフラッシュバックして恐怖で固まっているからではなく、ペパーが服を着ていく様をじっと見ていたかったからである。
下半身に下着を履いていくときの両腕、うっすらと筋の入った腹筋、たくましい肩や背中、頼もしい胸板・・・どこみても一級品の芸術作品のように美しいと、アオイは心の底から感じていた。コルサとハッサクにこの感動を伝えたいと決意もした。
力強く下着を掴み下半身を覆い隠していくペパー。
上へ上へと昇っていくペパーの両手とその中の下着は、パルデアに立ち昇る太陽と天のように高い学生たちの志を象徴しているかのようだった。
そして、アオイはわざとペパーの前でゆっくりと服を着ていった。服を見せつけるように、ゆっくりと。可愛らしい衣服をまとった自分を彼に見てもらえるように、ゆっくりと。
当のペパーにとっては、着衣も魅力的であり全裸もまた魅力的なもの。着衣とは全裸であり、全裸とは着衣なのであった。 - 166二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:35:43
全員が衣服を身にまとったとき、今回の冒険は終わりを告げる。
だが、チリはアオイたちと一緒には戻らないと言った。
それは四天王としての心意気。
もしあのツバサノオウが追って来たら、自分が戦う。任務が終わった以上、子どもを危険な戦いに放り込むことはしない。そのために自分がここに残る。
当然それは命がかかったことである。
その覚悟が分からないアオイたちではない。
チリに別れを告げ、報告書をオモダカに渡すため、リーグ行きのタクシーを呼んで、大穴を後にする4人。だが、4人には予感があった。
遠からず、再びこの大穴に舞い戻るときが来るだろう、と。 - 167二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 16:43:40
>上へ上へと昇っていくペパーの両手とその中の下着
新パターン来てて草
- 168二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:03:35
ペパーくん情報量が渋滞して哲学化してない?大丈夫?日常生活に戻れる?
そしてチリちゃん続投の予感 - 169二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:04:02
4人が去ったゼロゲートに静寂が訪れる。
チリは独り腕を組んで立ち、大穴に立ち込める雲海を見つめていた。その身はすでに衣服をまとっている。
しばらくして、門の方から足音が聞こえてきたが、チリは振り向かない。それが誰なのか、いや、誰たちなのかを、彼女は分かっている。彼らを呼んだのはチリ自身なのだから。
「もうじき終業時間なんですがね。」
「砦を守る龍の役目とは・・・」
「チリちゃん、お久しぶりなのです~」
パルデア最強の4人の戦士、四天王。
ゼロゲートに立ち並び夕日を受けて雲海を見つめる。威風堂々たるその様はまさにパルデアの力の象徴である。
雲海に小さな穴があいた。そこから飛び出てきたのは、やはり件の強敵。
ツバサノオウの姿が四天王の前に現れる。強敵の前にも彼らは怯まない。
「よっしゃ・・・」
「い て こ ま し た る ! ! ! ! 」
~チリちゃん引率編 完~ - 170二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:27:12
- 171二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:33:28
- 172二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:34:50
ファッ!?終わり!?
ああ、チリちゃん編が終わりってことか。
四天王編の始まりか!?あ、でもポピーちゃんもいるし絵面がひどいことになりそうだな・・・ - 173二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:37:39
私もFA参加したいけど、描けない・・・
- 174二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:39:09
しれっとペパーの性癖が大変なことになると示唆されてるけど四天王vsツバサノオウの前には些事だな!
- 175二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:42:42
これアオイが着替えてるペパーガン見してるってことはそのペパーがチリちゃんの着衣に見惚れてたことも分かっちゃってるんじゃねえか?
- 176二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 17:45:38
ペパーにとって着衣は全裸だし全裸は着衣だから大丈夫()
- 177二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 18:07:31
ペパー君、今夜のテラバーストが示唆されてて草
- 178二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 18:22:19
ああ、四天王対翼の王かぁ…オモダカさんならコライドン含むパラドクス達のデータは通知してるだろうしまあ勝てるやろな
- 179二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 18:32:46
1作目のスレに番外編の一覧があって、
ペパーヌードモデル編とチリちゃん引率編の他に
ナンジャモ不審者遭遇編
と
ツバサノオウ捕獲作戦オモダカさん同伴編があった。
まだまだ全裸ワールドは終わらないぞ。 - 180二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 18:36:11
お疲れ様でスター!
神絵師さんも荒ぶってましたね!
最高でした! - 181二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:02:41
着衣での戦闘は意地でも書かないところにこだわりを感じる
- 182二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:07:04
チリちゃん編のファンアートだけでも30枚以上あるwww人気すぎるww
- 183二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:07:36
絶対服着れてほっとしてる
- 184二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:08:43
個人的には大自然の中でひっそりと裸になる楽しさを覚えたチリちゃんであってほしい。
- 185二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 20:09:14
ポピーちゃんも脱ぐかと思っちゃった
- 186二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:26:28
チリちゃんの裸が見れるのはここしかなかったのに、おれは今後どうすればいいんだ
- 187二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:48:25
ここからオモダカさん同伴編、そしてナンジャモ未知との遭遇編に繋がるわけですね!楽しみにしてます
- 188二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:33:23
裸のチリちゃんが見れないのは惜しいが服着てるチリちゃんが見れるのは嬉しいこれが矛盾か…
- 189二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:37:27
- 190二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:46:55
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
服を着てしまったこの章はここまでです。
この後、ナンジャモ編を経てオモダカさん編となります。
そして大事なことですが、
チリちゃんは再び脱ぎます。 - 191二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 22:48:47
トップのトップはやっぱりトップですね!
- 192二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 23:18:44
やったー!
- 193二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 23:35:38
ナンジャモ相手にペパーのペパーがテラスタルするんですか…?放送事故では…?
- 194二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 00:31:11
番外編、しかも2スレ目も完走する勢いとは流石だな
これからもいっぱいペパーには全裸になって欲しい - 195二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 01:41:33
- 196二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 07:04:36
- 197二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 07:52:03
ナンジャモだと!?
- 198二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 07:53:35
ペパーの全裸は着衣と同義語だから・・・
- 199二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 07:55:11
タイトルはアレだけど名作……
- 200二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 07:56:16
全シリーズ完走してるw