- 11◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 22:35:26
- 2二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:37:16
(おじょうさまじゃなくておじょさま?なのはわざと?)
- 3二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:38:54
期待
- 41◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 22:43:28
現在、私はあこがれの白いワンピースとつばの広い帽子を被り、待ち合わせ場所に立っている。
待っているのはペパーだ。
別にデートとかではない、今度皆でいくピクニックの買い出しだ。
買い出しにこの格好はあまり向かないかもしれないが、外に出るピクニックでワンピースはもっと不向きだ。
でもワンピースをどうしても着たかった私は、着るチャンス逃すまいとこの姿でペパーを待っている。
目的を考えればペパーには呆れられるかもしれないが… - 51◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 22:44:23
- 6二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:48:38
ひらがなのおじょうさま表記可愛くてとてもいいですね!期待してます!
- 71◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 22:49:51
しかし、このつばの広い帽子は上が見えにくい。
脱ぐか思い切り首を傾けなければ見えない。これでは上からのポケモンに気づきにくく危険だ。
バトルのときだって視界が狭まり指示が遅れてしまうだろう。
…外に出るわけでも、バトルをするわけでもないからいいんだけどさ。
私もネモのことを笑えないかもしれない… - 81◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 22:58:21
スマホロトム…ではなく手首につけた腕時計で時間を確認する。
これは、ネモの持ち物だ。
その格好なら小物にも気を配るべきだと、腕時計とネックレスを貸してくれたのだ。
遠慮したのだが、あこがれのおじょうさまの格好をするなら…と。
本当に私の友人はやさしい。
今度の休みにたくさんバトルしようね!って言葉がなければ完璧だ。 - 9二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 23:00:18
- 101◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:09:31
待ち合わせ時間まであと10分。
あまりキョロキョロするのはおじょうさまらしくないかなと背筋をピンとはり前をまっすぐみる。
しばらくして。
……横に誰かいる?
いつの間にか私の横少し離れた位置に人が立っていた。
ペパーかな?と思ったけどペパーなら声をかけてくるはずだ。
ちらりと視線だけを向ける。
顔は帽子のつばが邪魔でギリギリ見えない。
しかしその手もとに、大きな花束が見える。
やっぱりペパーではない。買い出しに行くのにそんなもの必要ないもの。 - 111◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:10:05
- 121◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:19:41
気になって視線だけを動かしもうすこしだけ観察する。
なんだかオシャレなシャツとこれまたオシャレなズボンがみえる。
ペパーがいつも着ている黄色いベストとおおきなリュックは確認できない。
あの花束ってプロポーズでもするのかな?
…っといけないいけない。
あまりジロジロと人を見るものではないし余計な詮索をするものではない。
ペパー遅いなぁ - 131◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:24:46
もう一度腕時計を見る。
待ち合わせ時間は少し過ぎている。
焦るのはおじょうさまらしくないし、そもそもこのぐらいの遅刻なら私だってする。
落ち着いて待とう。
そんな私と裏腹に視線の片隅に映る一時の隣人はソワソワとしている。
あの人も待ち合わせ相手が来ないのかな? - 141◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:30:11
うーん
こない。
ペパーらしくない。もう30分は過ぎている。
「来ないな」「来ねえな」
私の声と誰かの声が重なる。
隣の人かな?
あれ?でも今の声って… - 151◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:41:33
声がしたほうを向いて上を見上げると
こちらを訝しげに見ているペパーと目があった。
「あっペパー」「アッアオイ!?」
再び私達の声がかさなる。
なるほどペパーと私の身長差、そしてつばの広い帽子を被ってたことにより彼には私の顔が見えなかったのだろう。
前から来たならともかくアカデミーからここに来たなら自然と後ろから来ることになるしね。 - 161◆64gmbm1rMqXL23/01/17(火) 23:47:21
いつもと違う格好。しかも後ろ姿。
帽子で顔は見えず顔を覗き込むわけにも行かないし、気づかないのも無理はない。
…ないのだけどなんだか胸がモヤモヤする。
友達なら気づいてほしいものだ。
横にいたのに気づかなかった私もたいがいなんだけどさ。 - 171◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 00:00:50
少しモヤモヤするがお互い様なのでそこには触れない。
かわりに正面に立つペパーをまじまじと観察する。
ペパーのトレードマークとも言える黄色いベストと大きなリュックはなく、靴もブーツではなく革靴だ。
オシャレなズボンとオシャレなシャツ。
手には花束。もう片方の手にはジャケットを抱えている。
髪も後ろに束ねており、なんだかワイルドにみえる。
これが噂にきく色気と言うやつか。
知らないけど。
それに未だソワソワしている。
………今日誰かとデートなのだろうか? - 181◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 00:07:15
なるほど、わかった。
きっと私の買い出しの約束と誰かとのデートの約束が被ったのだ。
ソワソワしてるのは、私との約束をドタキャンすることになるから申し訳ないのだろう。或いは単純に今からデートだから気が昂ぶってるのだ。
水臭い、約束をキャンセルされたのは確かに思うことはあるが、友達の恋路を邪魔するほど私は野暮じゃない。
ペパーには幸せになってほしいしね。 - 191◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 00:38:18
ならばペパーの相手が来る前にここを去ろう。
誤解させてペパーの恋路を邪魔するわけにはいかないしね。
噂にきく修羅場なんてのもごめんだ。
「理解したよペパー!頑張ってね!」 - 201◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 00:44:21
踵を返し颯爽とその場をあとにしようとしたけど、なれないヒールの靴を履いているのでゆっくり気をつけて方向転換する。
あまりおじょうさまらしくないけどコケてしまうよりはましだ。ネモから借りたアクセサリーに傷をつけるわけにもいかない。
後ろでペパーが何かを言い淀んでるが、
大丈夫私はわかってるから。デート頑張ってね! - 211◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 00:55:24
歩き出そうとした私の手が誰かにつかまれる。
ペパーだ。
ペパーは私の手をつかんだまま何も言わない。
こんなとこ見られたら誤解されるよ?
あと持っていたジャケットが落ちている。
「ペパー。ジャケット落ちてるよ?」
「あっああ…」
手を離すペパーだがジャケットを拾う様子はない。
また動かなくなったペパーのかわりにジャケットを拾って土埃をはらう。
まったく、せっかくオシャレしてるんだから気をつけないとだめなんだから。 - 221◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:06:35
- 231◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:14:09
あっそうか言葉にしなきゃ伝わらないよね。授業で習ったじゃないか。
友達だからってなんでも伝わるわけじゃない。
修羅場が怖いからって焦りすぎだね私。
買い物なら私がしとくよ、と口にしようとした瞬間
私は目と耳を疑った。
だってそうだろう。
ペパーが私の前に片膝をつき、真っ赤な顔で花束をこちらに差し出し
付き合ってくれと言ってきたのだから。 - 241◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:28:00
パサリと持っていたジャケットが落ちる。
へ…?
つきあって?…ツキアッテ?突きあって?
買い物に?いや、なら花束を差し向けてくる理由がわからない。
冗談…ではないだろう、顔は真剣そのものだしペパーがこういった冗談を言うとは思えない。
後に誰かいるのかと、周りを見渡すが誰もいない。
遠くからこちらを見てる人達はいるけど。
私はこのとき混乱しながらも周りの様子をはっきりと認識していた。 - 251◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:34:49
顔が熱くなるのを自覚する。
それは周りみられているからかペパーに告白されたからか…
告白?
誰が誰に?
いやわかってる、ペパーが私にだ。
OK落ち着け。ポケモンバトルでも慌てた方が負けるのだ。
しかも今の私はおじょうさまなのだ。アオイおじょうさまの姿なんだから。
そんなわけのわからないことを考えてる私を前にペパーが動く。
立ち上がり距離をつめてくる。 - 261◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:43:24
いつもと違う格好の、今までに見たことのない顔のペパーが私に迫る。
なにか言わなければ
「あの、ペパー?相手を間違ってない?」
なんとか絞り出した言葉に対し。
間違ってないと俺はアオイが好きなんだと言われてしまう。
この勝負からはにげられない。 - 271◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:55:38
近づいてきたペパーに対し、私は顔を下げギュッと帽子のつばを掴みせめてもの抵抗をする。
こんな真っ赤な顔をみられたくない。
ペパーの足が地面を見ている私の視線の先でとまるのが見え。
私の体が意図せずビクリと震える。
周りの音が聞こえない…かわりに花束から漂う匂いにが鼻孔をくすぐる。
ペパーも私もお互い無言のままだ。
「悪い急すぎたよな、考えておいてくれ」
それだけいうとペパーの足が私の視界からきえる。 - 281◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 01:56:46
続きは明日。
見てくれた人ハートくれた人ありがとうございます。 - 29二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 02:02:20
素晴らしい!続きが楽しみ
- 30二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 06:52:20
一応保守
- 311◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 08:22:08
顔を少しだけあげると背を向けて離れていくペパーがみえる。
右手はだらんと下がり持っている花束はもの悲しげだ。
なんだかその背中が寂しそうにみえて
つい彼に向かって駆け出す。
その時私は忘れていた、なれない靴を履いていると言う事、そして足元に落ちたままのジャケットの存在を。 - 321◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 14:36:36
足になにかが絡みつく。
ジャケットを蹴り上げ足に引っかかったのだ。
転けまいと出した足はなれないヒールのせいで滑ってしまう。
手をバタバタさせるが効果もなく…
結果私はおじょうさまらしさもチャンピオンらしさもなく無様に尻もちをついてしまうのだった。
おしりいたい… - 33二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 18:24:13
全てが愛おしすぎる…頑張れ…
- 341◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 19:24:30
ペパーがこちらに向かってくる。
はずかしいところを見られた。
少し焦った様子のペパーに、大丈夫かと聞かれたので大丈夫と返す。
少し逡巡したペパーが意を決した顔になると、スッとしゃがみ込み、私は抱き上げられる。
いわゆるお姫様抱っこというものだ。
…いや、ちょっとまって欲しい。あまりに自然な動きで受け入れてしまったが、白昼堂々街なかでお姫様抱っこははずかしい。
恥ずかしさのあまり身じろぎをする私だったが、危ないから動くなと言われてしまえば、どうにもできない。
足をひねってる可能性もあるし、ここは彼に甘えるとしよう。
なんて言い訳を重ねても恥ずかしいのは変わらないんだけどね、。 - 351◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 21:39:19
ペパーに抱きかかえられた私はすぐ近くのベンチに運ばれる。
よかった、これ以上抱っこされてたら心臓が爆発するところだった…
ベンチに私を置いたあとペパーは、私を抱える時に置いた花束とジャケット、そしていつの間にか落ちていた私の帽子を拾って戻ってきた。
あ…ジャケットぐちゃぐちゃだ。
弁償しなきゃだめだよね。 - 361◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 21:51:52
足は特に問題ない、後で保健室で見てもらうけど。
そう伝えると、ペパーはホッとした顔をする。
心臓が落ち着き、思考がようやっと落ち着いてくる。
んっよし。
とりあえず落ち着いて話をしよう。買い物にも行かなきゃだし。
「ペパー少しお話しよう?」
ベンチの端に移動しポンポンとベンチを叩き、隣の席に座るよう促す。
ペパーは迷っていたが、ゆっくりと隣に座る。
いつもよりちょっと遠い。 - 371◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 22:10:02
ベンチに座ったのはいいけど…どうしよう…
視線を横に向けると、ペパーは頭を抱えうなだれている。
別に告白を断わったわけでもないのに、なんでこんなに落ち込んでるのかな。
私が会話に誘ったのに何も喋らないからペパーも何も喋らない
気まずい…なにか話題ないかな。
私が告白の返事をすればいいんだけどさ… - 381◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 22:46:27
少し時は遡る。
「じゃあね、ペパーありがとね」
「おう、お疲れちゃん」
アオイが出てきたのはペパーの部屋だ。
サンドイッチを上手に作りたいとお願いされたペパーは、自室でサンドイッチ作りを教えていたのだ。
バタン
ドアが閉まるとペパーはうなだれる。
「はぁー、今日も言えなかったちゃんだぜ」
なにかと言われればアオイへの好意である。
自分の恋心に気づいてから、何度も言おうとしたその言葉は今日も彼の口から出ることはなかったのだ。 - 391◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 23:07:21
ペパーにとってアオイは友人であり恩人だ。
そんな友人に恋をしたと、気づいた最初こそ戸惑ったものだが、落ち着いて考えればずっと好きだったような気さえする。
告白は考えていなかった、今の関係が壊れるのが怖った。
ただ同時にそれは不義理なのではないかとペパーは考える。
学校の寮とはいえ男の部屋に男女二人きりなんて、もっと警戒心を抱くべきなのだ。
誘ったのはペパーとはいえアオイは平然と部屋に入ってくる。
信頼…されているのだろう。
信頼には誠意をもって対応するべきだ。
ただの友人同士ならいざしらず、片方が好意を持った状態をかくして部屋に招くなど、その信頼を裏切るようなものだ。
だから、ペパーはけじめとして好意を伝えるつもりだった。その結果ふられても、自分を助けてくれた恩人に誠意をもって対応したかったのだ。
伝えられなかったのだか。 - 401◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 23:26:16
アオイの信頼を利用して、部屋に招いているようで嫌になる。
別に変なことをしているわけではない。
ないのだが…やはりけじめをつけるべきだと思う。
「あーダメダメちゃんだな。俺」
いっそ恋心に気づかなければよかったと思うが時間は戻らない。
「今度の買い物のときまでに伝えたかったんだけどなぁ」
ピクニックにギクシャクした空気を持ち込みたくなかったのだが…
(遅くなればなるほど、伝えにくくなる。よし!次の買い出しのときに伝えよう)
そう決意を固めるのだった。 - 41二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 23:37:15
このレスは削除されています
- 421◆64gmbm1rMqXL23/01/18(水) 23:49:36
買い出し前日。
明日着ていく服に悩むペパー。
なにせ告白するつもりなのだ。
予定では買い物をして終わったあとに告白をするプラン。
悩むペパーの元にネモから電話がかかってくる。
その内容は…
「じゃあ、頼んだから!」
「ちょっとまて、詳しく説明してくれ!」
説明を求めるがもう通話は切れている。
「なんだよアオイをエスコートしてくれって…」
ネモからの電話は要約すると
買い出しはこっちでやっとくから明日アオイをエスコートしてほしいとのこと。
「わけわからん。しかも、アオイはおじょうさまだからって、なんだ?」
おじょうさま…お嬢様?いやお嬢様はお前だろうと先程の電話の相手にツッコミをいれる。
すでにペパーの頭は告白のことでいっぱいなのに、ネモからの追い打ちで溢れてしまいそうだった。 - 431◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 00:02:58
別にネモはペパーを追い込みたかったわけでも、ペパーが告白しようとしていることに気づきアシストしたわけではない。
ただ
明日ワンピースを着ていくと、少し興奮気味に電話をしてきた可愛らしい友人の、可愛らしいあこがれをできるだけ叶えてやりたかった。
今更やめろと、別の機会にしろとは言えない。
低めとはいえ、なれないヒールの靴は歩きにくいし、疲れるだろう。
買い出しなんでもっての他だ。
なら、買い出しは自分とボタンが引き受け。元々一緒にいくペパーにエスコートを頼もう。
そんなネモの気遣い。
しかしそれは、ペパーに追い打ちをかけていることに彼女は気づかない。気づきようがない。 - 441◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 00:19:51
よくわからないが、買い出しをしてくれるなら、明日はデートのつもりでと服を選ぶ。
デートしたことはないのだが。
持ち物のことや動きやすさを考えなくていいなら、オシャレ全ブリちゃんだ。
買い物コースも変えなければ…
その後、夜遅くまでデートコースを練ることになり寝不足になるペパーであった。 - 451◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 00:40:38
時間より少し早いが待ち合わせ場所に向かうペパー。
待ち合わせ場所に近づくと、目指した場所に誰かの後ろ姿がみえる。
(アオイ…か?)
後ろ姿だし服装も見たことないものだが、あれはアオイだろう。
近づくにつれてはっきりとその姿をとらえる。
そこには、確かにネモの言うとおり”おじょうさま”がいた。
アオイは、ペパーが自分に気づいてなくそれ故に声をかけなかったと思っていたがそれは勘違いだ。
ペパーは気づいていた。なら何故声をかけなかったのか。
好意をよせる少女の、めいいっぱいオシャレした姿に見惚れ、緊張し声が出なかったのだ。
ペパーはまだ十代そして初めての恋。それも仕方がないことだろう。 - 46二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 01:21:00
アオイのエスコートをしてほしい。
唐突にネモの言葉を思い出すペパー。
いまいち意味が分からず、いつも通り接すればいいと思っていたペパーだったが、おじょうさまなアオイを見てエスコートをしなければと思い至る。
しかし、ペパーにそんな経験はない。知識もない。
手を取って歩くぐらいが関の山だ。
待ち合わせまで少し時間がある、なんとかしなければと
悩んだ結果、彼が向かったのは…花屋だった。
アオイに見つからぬよう大回りで花屋に向かい花束を購入する。
もしここに彼の友人がいれば「それエスコートじゃなくてプロポーズじゃない?」とツッコミをいれてくれるのだろうがそれは望めなかった。
ちなみにネモはおじょうさまなアオイに習いエスコートとはいったものの、アオイの体調を気にかけ、転けそうになったら助ける程度しか想定していない。
要するに普段通りのペパーなら問題ないのだが…
言葉は声にださなければ伝わらないのだ。 - 47二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 08:02:34
このレスは削除されています
- 481◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 08:13:37
ペパーは待ち合わせ場所につくがどう声をかければいいか分からなかった。
いつも通りすればいいのだが、そのいつも通りを思い出せない。
相手が気づいてくれないかと、横に立って見るが気づいて貰えない。
ずっと横に立っていたら、話しかけるタイミングも失ってしまった。
今話しかけたら、何故声もかけずに横にずっと立っていたのかと疑問に思われるだろう。
気づかなかったふりをして相手が気づいたら容姿を褒めて誤魔化そう。
情けない考えだと思う一方で、それが最適解なのではとペパーは思ってしまう。
緊張やら寝不足やらで彼はもういっぱいいっぱいなのだ。 - 49二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 08:27:42
がんばれペパー
がんばるんだ - 501◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 13:05:06
気づいてもらえるまで待っていたペパーだったが、その間に待ち合わせ時刻を過ぎてしまう。
このままではいけないと、再び寝不足で鈍い頭に思考を走らせるペパー。
(そうだ!独り言でも呟けば声で気づいてくれるかもしれない!)
そんなことせずとも、普通に声をかければいいのだが…
今の彼に思考の方向を変えることなどできず、どうしたら気づいてもらえるか、で思考が固まってしまっていた。
「来ねえな」「来ないな」
なんとか絞り出したペパーの声にアオイの声が重なる。
予想外のことに更に追い詰められるペパー。
なんとか持ち直し、今気づいたというように驚くふりをする。
しかし、アオイの姿を真正面から見た瞬間、言葉が詰まる。
ペパーの目の前には、おじょうさまが…いや天使が立っていた。 - 511◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 15:51:39
ペパーとて、気づかれるまでただ立っていたわけではない。
後ろ姿とチラ見した横姿に、記憶の中のアオイをあてはめ大体の姿を想像。
それに対して、どう褒めるか、褒めセリフまで考え数度頭のシミュレーションしていた。
しかし、実物のアオイを正面にしたとき、その全ては吹き飛んでしまっていた。
そんなペパーを前にアオイは不思議そうな顔をしたあと、まじまじと観察し、何やら納得のいった表情浮かべペパーに告げる。
「理解したよペパー!頑張ってね!」 - 521◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 21:00:22
アオイを前に頭が真っ白になったペパーの耳に届いた「頑張れ」の言葉。
何を頑張ればいいのかペパーには当然わからない。アオイの勘違いなのだから。
しかし、ペパーの脳裏に、我らが生徒会長の言葉がリフレインする。
「アオイをエスコートしてあげて」と
だが、ペパーがその言葉を思い出す間にも事態は動いていた。
アオイが背を向けてあるき出したのだ。
ペパーは焦る、この状態からのエスコートなどどうすればいいのかと。
手を取って歩くか腕を組むかどちらか二択だと思っていたペパーに難問がふりかかる。
肩に手をまわす?
そう思いつくが、今の自分の状態で肩など組んだら気絶してしまいそうだ。
恋に目覚める前なら友人として組めたのだろうが…
迷う間もアオイは離れていく。どこかに行ってしまうと、つい伸ばした手は、アオイの腕を掴んでいた。 - 531◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 21:14:52
アオイが振り返る。何かを言っているが今のペパーの耳には何も届かない。
既に許容量オーバーしているペパーに、掴んだアオイの腕の感触は劇薬だった。
アオイのすべすべした腕、エスコート…告白…天使…ジャケット、…アオイ、エスコート
頭の中でぐるぐると回りながら様々なことが浮かんでは消えていく。
ふと目を下に落とすと花束が見える。
(そうだ俺にはまだ花束が!)
しかしどうすればいいかわからない。花束を使ったエスコートなどペパーは知らない。
その時、ペパーに天啓がおりる。
片膝を付き花束を女性に捧ぐ男性の姿。
それはなにかの挿絵か、物語の一幕か…
ただペパーはこの行動が正解だと確信した。
片膝をつきアオイに花束を向ける。
言葉は自然に出た。
「俺と付き合ってくれ!」 - 541◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 23:12:35
ペパーが立ち上がると、アオイは自分に言ってるのかと問いかける。
名前も好きとも言ってないことに、気づいたペパーは改めて
「間違ってない。俺はアオイ、お前が好きなんだ。」
と再び告白する。
ペパーが一歩アオイに近づくとアオイが震え、俯き、顔を帽子で隠してしまう。
その姿を見たペパーは、告白の興奮で高まっていた熱が急に冷めていくのを感じた。
彼の心に恐怖と後悔が湧き上がる。
怖がらせてしまったのではないか
怒ってるのではないか
気持ち悪がられてるのではないか
まだ、返事はない。ふられたわけでもない。
だが、ペパーはアオイのその怯えたような姿に
(やっちまった…)
後悔しても時は戻らない。
考えておいてくれ
そう未練がましく告げるがアオイは動かない。
ペパーは
ここにいても怯えさせるだけだと、沈んだ心を抱えその場を立ち去ることにした。 - 551◆64gmbm1rMqXL23/01/19(木) 23:44:14
その後、転けたアオイを抱えてベンチに運ぶことになったのだが。
ペパーにはいまいち記憶がない。
それは彼がいつも通り自然に動けたからだろう。
普段の行動はあまり記憶に残らないものだ。
横に並んで座る二人だが。
その様子は全く違う。
ペパーは項垂れ頭を抱えている。
そもそもだ。
彼は思いを好意を伝える気ではあったが、それはあくまでけじめとして、今までの自分の行動を反省して謝罪をするためだ。
ついでにあまりに無防備な友人に少しは警戒心を持ってほしいというのもある。
だからここにくるまでは「好き」と伝えても「付き合ってくれ」とは言わない…はずだった。
しかし、現実は全くの逆
先に出たのは「付き合ってくれ」
謝罪をするどころか怯えさせ、あまつ気を使わせてしまう始末。
(穴があったら入りたい…いっそパルデアの大穴にでも籠もろうか…)
ペパーの心はそのパルデアの大穴のように深く沈んで行くのだった。 - 561◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 00:09:16
落ち込み項垂れるペパーの横に座るアオイ。
彼女の顔はほんのり赤く染まり、有り体にいえばニヤけていた。
別にペパーが落ち込んでいるのが面白いわけではない、そんな嗜虐的な趣味を彼女は持ち合わせていない。
では、何故か
ペパーの告白が嬉しいのだ。つい頬が上がっていくのを止められない程に。
いきなり告白されて、驚き困惑したのも事実だが。
頭と心が落ち着き、先程の告白を思い出すと嬉しさが止まらない。
今の格好が、目的である買い出しに向いてないことなど承知だ。
おじょうさまにあこがれがあるのも事実だが、別の機会にだってできる、むしろそのほうがいい。
でも、それでも。あこがれの格好で今日買い物に来たかったのは、
ペパーと二人きりの買い物だから。
つまりは……そういうことである。 - 571◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 00:14:36
そんなアオイの様子に項垂れるペパーは、気づかない。
アオイも頬が上がるのを止められず、気を抜けば変な笑いが出てきそうなのを必死に抑えていて告白の返事どころではない。
この状況を二人が脱するには、もうしばらく時間がかかりそうだった。 - 58二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 06:27:51
じれったいけど、それがいい…!
- 59二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 09:55:26
二人ともかわいいかよ…
- 601◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 13:04:57
正直いえば、アオイは自分がペパーの恋愛対象になっているとは、思っていなかった。
ペパーはアオイを部屋に誘う際照れのようなものが見られない。先程のお姫様抱っこのようなことも平然とするし、思い返せば腰を掴まれたことすらある。
だから、ペパーにとって自分は友人や妹同然の扱いなのだと半ば諦めていた。
もし、ペパーが他の人と交際を始めたのなら友達として素直に祝福するつもりですらあった。
それでも、今日めいいっぱいオシャレをしてきたのは、一言カワイイといってもらいたかったから。
それを飛び越え突然の告白、アオイは込み上げてくる嬉しさに溺れてしまいそうだ。
だかそろそろ返事をしなければならないだろう。ペパーは今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
息をはき心を落ち着かせ頬を軽くはたく。その音にビクリとペパーが反応するがそれを気にする余裕はアオイにない。
アオイが意を決して、口に出した言葉は
「きょ、今日。いい天気だねー」
パルデアの新チャンピオンアオイ
彼女はこと恋愛において……ヘタレだった。 - 61二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 20:06:20
んんんんん焦れってェェェェェ……!!!!!
- 621◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 22:55:59
(どうしよう…好きって言えない!!!)
アオイは何度も「好き」と「恋人になって」とも「付き合って」とも言おうとしたが、その度に喉がしまったような感覚に陥り言えずにいた。
かわりにジャケットのことや買い物のことネモやボタン、ポケモン達の話題をふるがニ、三言で話が終わってしまう。
(はっこれ、結婚してなら言えるんじゃ)
「ペパー!けっけけ……ケッキングってさ」
言えるわけがなかった。
一方ペパーはなんとか返事をしながら、アオイの様子を見てようやっとアオイが怯えても怒ってるわけでもないことに気づく。
告白についてどう思ってるかは、わからない。
ただ今ならまだ話ができるのではないか。
フラれるのは怖い、自分の行動に後悔もしてる。
(後悔も反省も後でいい。今は…もしかしたらアオイとまともに話せる最後のチャンスかもしれない。男ペパー覚悟を決めろ!)
ペパーは、決死の覚悟をもってアオイに向き合うことを決めた。 - 631◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 23:09:39
「アオイ…少し俺の話を聞いてくれるか」
何かを決意したようなペパーを前にアオイはうなずく。
話題も尽き、いつまでも好きと言えないアオイにとって渡りに船だった。
それからペパーは前から好意を持っていたこと、アオイの信頼を裏切るような行為だったこと、距離感を間違えていたことを謝罪する。あと、もう少し警戒心をもってほしいと。
「本当にすまん。あと…これは虫のいい話何だができれば、元の友人に戻りたい。今度は間違えないからさ」
そう最後に締め、頭を下げる。 - 641◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 23:28:58
頭を下げたままのペパーを前に、アオイは立ち上がる。
(やっぱり虫のいい話だよな…それに友達だと思ってたやつが下心を持ってたなんて気持ちいいもんじゃねぇよな)
再び落ち込みそうになるペパー。
帰ってしまうんだろうか…
「ねぇ。ペパー。こっち見てよ」
頭を上げたペパーの前で、アオイが立ち止まりポーズを決める。
「似合う?」
「えっ、ああ。うん」
突然のアオイの発言に戸惑いながらも、本心で答える。
「そこはかわいいって言ってほしいな」
後ろも見せるように、くるりと回るアオイ。
再三いうが彼女は、普段履きなれてない靴を履いている。
つまり…
「あっ…」
いつもの調子で回ってしまいバランスを崩してしまう。
倒れそうになるアオイだったが、立ち上がったペパーが受け止め難を逃れる。 - 651◆64gmbm1rMqXL23/01/20(金) 23:55:34
「危ねえ…そそっかしいな」
「えへへ、ありがと」
思わず抱きしめたペパーだったが、すぐ近くで聞こえたアオイの声と伝わってくる体温に焦りをおぼえる。
(やばい!さっきもう間違わないといったばかりなのに!)
抱きしめるのは友人としては近いだろう、恋人ではないのだ。すぐに離れようとするペパー。
しかしアオイが離れようとするペパーを掴む。
「アオイ?」
「あのさ、私は…この距離感で…いいよ」
それはどういう意味だろう
「この服だって…ペパーに見てほしくて着てきたんだから…」
「えっ」
アオイの言葉の意味をはかりそこね、固まるペパーの腕からするりと抜け出すアオイ。 - 661◆64gmbm1rMqXL23/01/21(土) 00:28:38
離れ際に一言。
「私だって、男の子の部屋に一人でいく意味ぐらいしってるんだからね」
嘘だ。ただ、少女漫画でそういうものだと知ってるだけ。
それは好きと言えない少女の精一杯のアピール。
ちゃんと伝わったかはわからない。
でも今日の私は、おじょうさまなんだから少しくらい周りを振り回してもいいよね。
「ペパー、今日の私はおじょうさまなの。エスコートしてよ」
そう言いペパーに手を出す。
なんとか手をとるペパー。
「あっと…つまり」「駄目だよペパー」
確認しようとするペパーに対し言葉を遮るアオイ
「知りたかったら、今日のデートで私を満足させること。あと…デートの最期にもう一回お願いね」
アオイの指さす先には花束。
つまりもう一度告白をしろということ。
もはや、好きと伝えるより恥ずかしいことになってるような気もする。
二人手を取り合いデートにむかう。その顔は二人揃って真っ赤だった。 - 671◆64gmbm1rMqXL23/01/21(土) 00:29:40
その日の夕方
アカデミー名物長階段の前で、プロポーズの如く告白するポケモン博士の息子と、それに笑顔で答える新チャンピオンが目撃され
しばらく学校の話題になることをこのときの二人はまだ知らないのであった。
おしまい - 681◆64gmbm1rMqXL23/01/21(土) 00:43:12
スレ主だよ読んでくれた人ありがとう!
ちょっと釈明というか言い訳させてくれ。
最初の予定では
憧れのおじょうさまの格好で遊びに行きたいアオイ(他意なし)に付きそうことになったペパーがいつもと違うアオイに対してドギマギしてしまう。
恋心を自覚したペパーはつい距離をとってしまう。アオイはペパーが何故距離を取るのか分からずいつも通りペパーに接しようとする。
その結果不自然な距離感になってしまう二人
恋したペパーと恋を知らないアオイの微妙なすれ違い
って概念を書きたかったんだよ。
でも、書いてる途中で俺の中のおっちゃんが『イケー!ペパーはんイケー!』って騒いだんだ
そしたらペパーが告白してしまったので、急遽ペパー視点追加してなんとか着地させようとした結果こんなに長くなったんだよ。
俺は悪くない - 691◆64gmbm1rMqXL23/01/21(土) 00:47:44
ただでさえ構成力も語彙力もないし文才ないのに途中で路線変更入ったものだから、一人称視点と三人称視点が行ったり来たりする読みにくい文章になってしまいました。
ごめんなさい。
1から誤字脱字してるしね。
こんな文章でも
読んでくれた人、♡くれた人、応援してくれた人、感想くれた人に感謝をささげます。
ありがとうございました。 - 701◆64gmbm1rMqXL23/01/21(土) 01:15:24
だからほんとうは
アオイ視点で
ペパーこれ半分食べる? とか
今日のペパーは少し遠いな とか
ペパー顔真っ赤だけど大丈夫? とか
恋に無自覚または、恋に目覚めてないアオイちゃんが、アオイを意識しだしたペパー先輩に対してぐいぐいいき、それに辟易するペパー先輩概念が書きたかったの…
おのれ俺の中のおっちゃんめ
でもくっつけたい気持ちもあったからまあ良しとしよう。 - 71二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 01:33:02
圧倒的感謝…!
- 72二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 06:41:04
2人のいじらしさにキュンキュンした…!
とても素敵なお話をありがとう - 73二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 07:53:05
お疲れ様でスター!
お互いにめちゃめちゃ可愛かった…ナイス脳内おっちゃん - 74二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 14:51:12
1には想定外だったかもだけど、恋心があるのに簡単に部屋に招くべきではない…って告白を決心するの誠実で良かった
可愛いssをありがとう - 75二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 17:56:41
おっちゃんナイス!
- 76二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 01:18:08
- 77二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 01:19:04
神絵師!?!?!?存在したのか!!
- 781◆64gmbm1rMqXL23/01/22(日) 06:32:29
- 79二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 16:05:34
神絵師降臨してる!
二人共ちょっと背伸びしたオシャレって感じがしてとても良い!!
大人になったらもっとよく似合うようになって、同じ格好でデートして二人でこのときのことを笑いながら話すんだ。
俺は詳しいんだ。