【若干曇らせ注意SS】ナイスネイチャトレーナー

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 22:14:39

    URAはテイオーが優勝した。
    アタシは準決勝で敗退して挑戦すらできなかった。
    それで引退した訳じゃなくてもう二年間走ってから引退した。
    タンホイザはもう引退してて、イクノも私の少し後に引退した。
    トレーナーさんは最後のカノープスのターボと一緒に海外に挑戦しに行った。
    アタシは「頑張って二人とも、応援してる」とだけ言って見送った。

    現役は退いたものの夢を見失ったわけじゃないよ。
    アタシの新しい夢はトレーナーになること。
    現役時代は散々支えてもらったから、これからのウマ娘を支えてあげれるようになりたいと思った。
    だから短大で頑張って勉強して中央のトレーナーライセンスを取得できた。

    久しぶりに訪れたトレセン学園はトレーナーになったからかな、なんだか新鮮に感じた。
    そこで一人のウマ娘を見つけた。理屈とかじゃなくて一目惚れってやつ。
    思わずスカウトしたんだけど彼女とても驚いてて。
    そんなに嫌だったかなってちょっと落ち込みそうになったけど、曰くアタシの大ファンなんだって。
    照れ臭いけど凄い嬉しかった。
    そうしてアタシ達は契約したけど、まぁ甘くなかったよね。

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 22:50:39

    >>1

    直球に言うと勝てなかった。

    メイクデビューで六着。それから参加人数が8人のレースなら5~7着、18人のレースなら6~8着。


    アタシが担当してるあの子に才能がないなんてことは断じてない。タイムは世代でも上位だし、トレーニングも真面目すぎるほどに取り組み、ミーティングにも自分の考えを話しつつアタシの考えを聞いて取り組んでくれていた。

    だけど調子を崩したり、絶好調でも同期の主人公達に阻まれて最初の一年は一度も勝てなかった。


    最初は自信に溢れてたあの子も少しずつ卑屈になって、アタシもアタシが頑張らなくちゃって独りよがりになってあの子との関係もギクシャクして、こうなったのは誰が悪いかと言われたらアタシが全部悪い。


    ある日、あの子と一緒にいた時陰口が聞こえた。「ナイスネイチャは選手として一流だったけど、トレーナーとしてはそうではない」ってさ。

    グサリときたけど、その時のあの子の表情は…

    あんな顔させたくなかったな…


    その夜久しぶりに飲んだ。一人で缶を三本。


    それから眠りについてあるウマ娘の夢を見た。そのウマ娘は卑屈なところはあるけど優れたトレーナーや仲間に恵まれ、レースにも勝利できた。見ていて気分がよかった。だけど彼女の一言で心が冷えきった。ひどく傲慢に聞こえた。


    飛び起きてからトイレで泣きながら吐いた。胃の中が空っぽになるまで吐き続けた。

    「気持ち悪…」

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:18:08

    面白そうなの来たな

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:18:32

    トレーナーの間には魔の9月って言葉がある。二年目の9月まで勝たせられなかったトレーナーは問題視され契約解除させられるんだって。

    アタシじゃないトレーナーと契約したならあの子も勝っていけるかも知れない。だけどもしスカウトされなかったら…
    アタシのせいであの子の戦績は華々しいものじゃない。もし誰にも選ばれなかったらあの子の夢はそこで終わってしまう。

    …あの子の夢はアタシみたいなウマ娘になること。
    あの子をスカウトしたアタシが途中で見捨てるなんてこと絶対あっちゃいけない。

    だけど、もうしんどい。つらい。あの子が日に日に自信を失い気弱になって行くのをみるのが。そしてその原因がアタシが無能だからなのが。

    もうどうしたらいいのかわからなかった。
    あと五ヶ月でアタシがあの子を勝たせてあげられるの?

    そんなある日、とある装蹄師から話がしたいと連絡があった。気が気じゃなかったけど話に応じた。
    そしてその人の顔を見て驚いた。
    「ははっ…久しぶりイクノ…」

  • 5スレ主21/11/08(月) 23:25:44

    あにまん民のSSを見てはじめてSSを書いてみました。
    すいませんがもう眠いので失礼します。明日スレが残っていたら必ず続きを書きます。

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:36:59

    若干…?

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:47:35

    期待して待ちます

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:49:14

    良さそうなSSが来たから保守 続きも楽しみに待ってます

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:54:23

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 00:02:55

    ウマ娘のトレーナーより人のトレーナーの方が有能という偏見がありそう

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 05:25:40

    >>4

    イクノと会ったのは一年ぶり。

    ライセンス合格祝いをタンホイザと一緒にしてくれて以来。トレーナーさんとターボも海外からメッセージをくれたっけ。


    二人でファミレスに入って色々話した。

    ターボが海外で活躍してること、タンホイザがレースの実況になったこと、イクノが装蹄師として師匠に認められて一人で蹄鉄を作れるようになったこと。明るい話題ばかりで二人とも笑顔で話せてた。

    …まぁそのあとは当然アタシの話題になるわけで


    「ははっ、みんな凄いな…それに比べてアタシは」

    一瞬気まずい雰囲気になったけどイクノが先に口を開いた。


    「…私がネイチャさんに連絡を取ったのは、あなたが担当しているあの子に蹄鉄を作ってあげたいからです」

    「ああ、そういう…ありがとう、イクノ」

    「いえ、テレビであの子のレースを拝見しましたが、彼女の走り方を見るにより重量のある蹄鉄の方がよりキレのある走りができるのではないかと思いまして、差し出がましいかもしれませんが」

    「いやいや!そんなことないって!友達が力を貸してくれるってなって、嬉しくてちょっと泣けてきそう…じゃあスケジュール調整したいんだけど、イクノはいつ大丈夫?」

    「その前によろしいですか?」「どうしたん?」

    突然イクノはアタシにハグをしてきた。

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 13:00:12

    急展開!

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 13:11:28

    >>11

    「イ、イクノ!?どうしたの!?」

    「ハグにはストレス解消があるので、しかし突然するのは不躾でしたね。すいません」

    イクノは頭を下げてきた。今一流れがわからないが自分のことを思っての行動だということはわかる。

    「いや別にいいけどさ、アタシそんなストレスたまってるように見えた?」

    「はい」イクノは即答した。

    「目の下の濃い隈、やつれ具合、相当疲れがたまっているのではないですか?」

    「そんなにひどいの?」

    「普段のネイチャさんを知る人なら一目でわかります」

    自分では気にしてなかったからなんだかショック

    「あー、でも心配されるほどじゃないって」

    アタシはヘラヘラ笑いながら言った。

    それを聞いてイクノは少し悲しそうな顔をしたあとこういった。

    「私は貴方のそういうところは好きじゃないです。ナイスネイチャ」

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 14:40:02

    イクノさんすっげぇ!

  • 15二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:12:22

    うお、イクノズバッと言うな…

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:14:36

    >>13

    ぼそりと呟いたような言葉だったけど正直かなり堪えた。

    イクノにそういう言葉をかけられるとは思ってなくて、また自分が情けなくなった。


    だけど言い返そうとは思わなかった。なぜそういう風に言われるかはわかるし、言った本人が相当ばつの悪そうな顔をしてるから。そこでとがめる気は無いけど思ったことを聞いてみた。


    「いや、見栄を張ったアタシも悪いけどさ…ハグしたあとにそういうことを言うイクノも中々だよね」

    それを聞いたイクノはシュンとなった。

    「申し訳ありません。少しイラっときてしまい失言をしました。情けない…」


    意外だった。考えてみるとイクノとは中高五年間チームを組んできたけどこんな感情に任せて失言をしたのなんて始めて見た。


    だけど私の様子を見て、あの発言でイラっときたってことはきっとアタシを思ってくれてるからだよね…

  • 17スレ主21/11/10(水) 06:53:34

    まだしばらく書けそうに無いので落書き張って保守

  • 18スレ主21/11/10(水) 13:44:41

    >>16

    「ありがとう」心からの言葉を伝えた。

    「ど、どういたしまして?」言われた相手は困惑の表情をしてるけど。


    そして本音を吐いた。

    「ぶっちゃけキッツい…アタシが担当してるあの子には才能があって、アタシに憧れて信頼してくれているのに…最初の数ヵ月は二人で頑張っていけばどうにかなると思ったけど、結局一年間で一度もレースで5位以内に入らせてあげられなくて、悔しくて、情けなくて、どうしたらいいんだろうって悩み続けて独りよがりになってる」

  • 19二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:07:20

    >>18

    それを聞いたイクノはなんだか安心したような顔をしてた。

    「ぶっちゃけてくれて友達として嬉しいです。悩みや愚痴ならいくらでも聞きますよ。レースの相談ならほかのトレーナーの方にしたほうが良いかもしれませんが」


    「そんなこと言っちゃって、イクノも素人じゃないでしょ」からかうように言ってやった。


    「ふっ、それもそうですね。そろそろ日もくれますし飲みながら話しませんかネイチャさん」

    「イクノ、結構行ける口?」「いえ、普段は飲みませんが大人の付き合いといったらアルコールだと思いまして」

    「大人かあ、アタシ達ももう23だもんねえ、時の流れは恐ろしいもので…」

    「トレセン学園で選手として走っていたのが何年も前のこととは思えませんね」

    「うんうん、でも年を取ったから二人で飲めるわけで、ここらでおすすめの居酒屋があるんだけどそこでいい?」

    「お願いします」


    それから数十分後、いくつかのおつまみと生ビールを2杯頼んで

    「「乾杯!」」

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 22:16:11

    更新来てて嬉しい

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 05:14:38

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 12:58:26

    >>19

    二人とも明日は仕事なので三杯目以降はソフトドリンクだったけど、アタシは構わず飲み続けてワンワン泣きながら色々吐き出した。

    …今度は物理的な意味じゃなくて精神的な意味で

    今まで一人で溜め込んでいたものを全部イクノにぶつけた。

    イクノは優しい顔をしながらうなづいたり背中をさすったりしてくれた。

    ずっとアタシの中にモヤモヤが晴れたような気がして、ずいぶんと心が楽になった。


    「…ほんとありがと、イクノ」

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:43:58

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 07:02:35

    >>22

    「いえいえ、役に立てたなら嬉しいです…ひとつ提案よろしいですか?」

    「うん、いいよ」

    「あの子とこういう話をしてみませんか?」

    それは今まで避けてた。

    「いやー…それはどうかなぁ、アタシは大人であの子は子供、重荷を背負わせるようでね」

    少なくとも気乗りはしなかった。


    イクノはうんうんとうなずいたあとこう言った。

    「私が現役の時、トレーナーさんとはパートナーだと思っていました。なので彼が一人で全部抱え込んでいたらいい気持ちはしなかったと思います、貴方ならどうですか?ネイチャさん」


    自分に置き換えて考えてみたら

    「…アタシでも嫌だわ」

    あの子を勝たせてあげられない後ろめたさで少し距離を取って、最近はトレーニングやレース以外の話はあまりしておらず聞いてもあげられていなかった。これじゃ気持ちが通い会うはずもない。

    最初は噛み合いが悪くて勝てなかったとしても、こんな環境が続いたら勝てるものも勝てないか…


    「明日、あの子じっくり話してみる」

  • 25二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 13:39:12

    >>24

    いい感じに区切りがついたのでこれでお開きになった。

    「じゃあ、会計はアタシ全部払っとくわ」

    「割り勘ではないのですか?」

    「いやいや、さすがに今日は払わせてよ、だけど」

    「だけど?」

    「今はアタシのメンタルに余裕ないけどさ、今度は飲みながらイクノの愚痴聞かせてよ。その時おごってもらおうかな」

    「…そういうことなら、ごちそうになります」


    会計を終わらせてアタシたちは店をでた。

    「ごちそうさまです、ネイチャさん」

    「いいって、いいって。あたしもすごいスッキリできたし」

    「それはよかったです。…いつかカノープスのみんなで飲みに行きたいですね」

    「タンホイザはともかく、ターボとトレーナーさんとの予定合わせが難しそうだけど、絶対しよ」


    それを言い終わるとアタシは大きなあくびをした。

    「じゃあこれぐらいで、またねイクノ」

    「ではまた、ネイチャさん」

    アタシ達は笑顔で手を振って別れた。


    アタシはシャワーを浴びてからすぐに眠りについた。久しぶりにいい夢が見れた。


    次の日

  • 26二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:13:02

    >>25

    アタシが担当している子の名前はゼロオルタナティ、名前の意味は「変わりはいない」。

    アタシはこの子をオルタナって読んでる。


    初めて会った頃のあの子は希望に目をキラキラと輝かせ、まさに主人公みたいな雰囲気だった。

    選抜レース4着だったけど…そんなの気にならないぐらいアタシをひきつける何かがあったんだ。

    選抜レースが終わった直後にスカウトしようとあの子に話しかけようとしたら、超緊張しながらネイちゃんと呼ばれた。面食らったけど今でもアタシのファンだと聞いて納得した。


    それからしばらくウマ娘とトレーナーとして良好な関係を築けてたと思っていたけれど、どうにも勝たせてあげられなくてぎくしゃくしてきて会話も少なくなっていった。

    あの子のモチベーションは今もないわけじゃないけど、自信はもう見る影もなくなってしまった。

    メンタルケアもトレーナーの仕事だけど自分のことだけでいっぱいいっぱいになって満足にできてなかった。

    だからアタシにとって都合のいい言い方だけどこれからは二人で話し合って乗り越えていけたらなって思ってる。

    そしてそんなことを考えているとちょうどオルタナがトレーニングの打ち合わせにやってきた。

  • 27二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:51:21

    このレスは削除されています

  • 28二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 05:46:02

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 07:19:08

    いいね

  • 30二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 18:04:45

    保守

  • 31スレ主21/11/13(土) 20:38:38

    >>26

    「お、おはようございます、トレーナさん…」

    もじもじと自信なさげな挨拶。


    「おはよう、オルタナ。突然だけど今日のトレーニングは無し」

    「え?そ、そんな…」

    困惑と若干怯えが入り混じった表情をしだした。

    まあ、いきなりこんなこと言われたら不安に感じるよなとは思いつつも続ける。


    「かわりにオルタナって今行きたいところとかある?」

    「え、すいません状況がよくわからなくて…」

    「今日、ちょっと話したいことがあってさ、なんていうか、ついでに楽しい思いでを作りたいなって思ってさ」

    「楽しい思い出…まさか!」

    オルタナの顔はみるみる青ざめていく。どうした?


    「け、契約解除ですか?いまだ勝ててないですけどお願いですから見捨てないで…」

    この世の終わりみたいな顔をして弱々しく懇願してきた。

    そんなことするわけないでしょ!

    「何の心配してんの!?少なくともアタシから契約解除を申し出るなんてことは絶対ないから!今日したい話はこれから勝つための話」


    そんな言い方悪かったかな…それを聞いたオルタナはいくらか落ち着いてくれた。

    「それならよかったです…だけど今行きたいとろかぁ。

    そうだ!トレーナーさんのいきたいところに私もついていきたいです!」

    「アタシが決めるの!?うーん、そうだな」


    行きたいところっていうかこの子を連れていきたいところ、少し考えてから二人で向かったんだ。最近なんだか後ろめたくて行けてなかったけど半年ぶりにあの商店街に。

  • 32スレ主21/11/13(土) 20:56:01

    ♡をくれたり、保守してくれたり、レスをかださったりしてモチベが保てています。
    してくださった方ありがとうございます。そろそろ終盤ですが付き合っていただけると幸いです。

  • 33二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 05:59:02

    >>31


    「ここはえっと、商店街ですか?」

    「うん、アタシのホームみたいなとこ」

    ここにこの子をつれてきたいと思ったのは会わせたい人たちがいるから。


    商店街に足をふみいれると直ぐに大声で呼ばれた。

    「ネイちゃんじゃないか!久しぶり!元気にしてたか!」

  • 34二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 07:24:34

    更新楽しみにしてます

  • 35二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:49:36

    保守

  • 36スレ主21/11/14(日) 21:25:44

    >>33

    スポーツ屋のケンさんじゃん。

    「まあまあなんとか、ケンさんは元気にしてた?」

    「ほんとにそれは俺たちのセリフだよ、ネイちゃん。ほら心配してみんなも集まってきたぞ」

    商店街のおじちゃん、おばちゃんたちが小走りでで集まり始めた。なんだか昔を思い出すな…

    そしてみんな口々に話し出した。。


    「ネイちゃんなんで最近来てくれなかったんだい?」

    「少しやつれてるように見えるけど大丈夫かい?」

    「ネイちゃん!いい人見つかったかい?」

    「アタシは聖徳太子じゃないので一人ずつお願いしまーす」

    とかワイワイやってるとオルタナはきょとんとした顔をしていた。

    なのでオルタナに声をかけようとすると


    「落ち着けやいみんな!オルタナちゃんが困ってるじゃろがい!」

    魚屋のゲンジさんがみんなを一喝した。


    いきなり名前を呼ばれたオルタナは相当にびっくりしてた。

    「わ、私のことをご存じなんですか!?」


    商店街のみんなが同時にうなずく

    「一年ぐれえ前からネイちゃんが大切な教え子ができたってオルタナちゃんのことを話しててなあ。

    そりゃまあ幸せそうな顔で。

    そんなの応援しないわけにはいかないってな!

    だから、オルタナちゃんのレースの時は電気屋の馬鹿でかいテレビの前で応援するのが恒例行事になったんだ。

    商店街はみんなオルタナちゃんのファンなのさ」


    それを聞いたオルタナは涙で目をウルウルさせている。

    ここ数か月よく見た悔しさや情けなさからくる涙なんかじゃないことはすぐにわかった。

  • 37二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 00:15:20

    ネイチャも勝てない辛さはよく知ってるからなあ

  • 38二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:53:01

    保守

  • 39スレ主21/11/15(月) 19:43:15

    >>36

    「こ、こんな私を応援してくださる方がこんなにも大勢…」

    オルタナは感極まった感じで大泣きし始めた。

    それを見たみんなは少し滑稽に思えるぐらいおろおろし始めた。


    「あとから話をさせてあげるからさ、みんないったん散って散って」

    みんなを一時的に帰らせてからオルタナとと二人で話をした。

    まだ完全に仲病んでいないこの子は鼻をすすってたりしてるけど。


    「あんまなれない感じだったかもしれないけどさ、嫌じゃなかった?」

    「いえ…そんなこと…こんな私を応援してくれる人がいるのがうれしくて、うれしくて…」

    「そんなこと言わないでよ、そんなあなたに惚れたのはアタシなんだからさ」


    「えっ!!?」

    オルタナは泣き止んで、真っ赤な顔ですごく驚いた顔をした。

    「うん、貴方の走りを見てその支えになりたいって思った」

    「あ、ああー、なるほどー…ははっ」

    オルタナはなんだか残念そうに苦笑いした。また変ないい方したかなあ?

    「…でも私の走りを見て、好きになってくれたり応援してくれる人がいるのはすごく、すごくうれしいです」

    「オルタナはさ、もっと自信もっていいと思うよ」

  • 40二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:13:19

    晴れてきた!

  • 41スレ主21/11/16(火) 07:18:03

    >>39

    アタシが言えたことかなと思うけど、アタシだから言えることだとも思う。

    「自信ですか…でも期待に応えられる気が全然しなくて…」

    オルタナはまたうつむいた。

    「勝ってけばいいじゃん、これから何度もさ」

    アタシらしくないセリフだけど、言いたくなったんだから仕方ないよね。

  • 42スレ主21/11/16(火) 16:17:02

    >>41

    「で、でも…」

    「なんでオルタナが勝てないのか改めて考えてみたけどさ」

    「…はい」


    「運はともかく、能力も技術も鍛えて充分。何が足りないといったら心かなって」

    「心ですか…?」

    オルタナはしっくりきてないようだ。


    「オルタナが悪いことはないけどさ、アタシが自分でいっぱいいっぱいになって貴方のメンタルケアとかも全然できてなかったから」

    「いえ、そんなこと…」

    オルタナは首を降るがアタシの考えを伝える。


    「いやいや、アタシが現役のときは全然自信がなくてさ誤魔化して自分の本音を隠しててさ。

    そんなアタシをトレーナーさんや商店街のみんなや仲間達が応援してくれて、

    そこから自分に自信が持てるようになりはじめて勝てたんだよ」


    「ネイちゃ…トレーナーさんのレースを見ましたが、あのレベルでも自信を持てなかったのですか…」


    「まぁ、気持ちの持ちようだよね。

    アタシはトレーナーさんをはじめとした他人と関わって卑屈だった自分の気持ちが変わった。

    レースやトレーニングの話ばかりしかしなくて、今までアタシがそういう役割をこなせてなくてごめん。

    だけどさ、アタシ達にはなんというか、心を通わせるための会話が必要だと思うんだ。

    だから貴方さえよければ今日は色々駄弁らない?レースに関係ないことでもなんでもさ」


    少しの沈黙のあとあの子は口を開いた。

    「はい、よろこんで」

    数ヵ月ぶりにオルタナの満面の笑みを見た。

  • 43二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 00:57:02

    このレスは削除されています

  • 44二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 01:07:41

    いい……

  • 45スレ主21/11/17(水) 08:58:35

    >>42

    いろんな話をした。好きなファッション、好きな食べ物、好きな音楽……好きなタイプ。

    最後のは二人とも照れてまともな話しにならなかったけど、今までできてなかった分語り合った。


    それから昼食に特盛にんじんハンバーグをおごったり、婦人服を着せ合ったり、商店街のみんながオルタナ相手にアタシの黒歴史暴露大会をしてるのに割り込んだり。

    アタシの黒歴史を聞いてたオルタナがかつて無い程興奮してたのは何だか面白かったけど。


    そんなこんなで夕方になりアタシ達は帰ることにした。今日だけでオルタナはみんなと仲良くなれたみたい。

    アタシの黒歴史のおかげならなんか複雑なところはあるけどさ。良かった。


    集まったみんなに別れの挨拶をした後、帰りの道中でアタシ達はまた話をした。

  • 46スレ主21/11/17(水) 14:59:52

    >>45

    「トレーナーさんはどうして私をスカウトしてくれたんですか?」

    「貴方が走っているのを見て一目惚れしたからかな」

    オルタナは顔を真っ赤に目をそらしてにやけてる。


    「逆に、オルタナがアタシのファンになってくれたのはどうしてかな?」

    「昔、走ることにそこまで興味なかったんです。ですけど、両親にトレセン学園に見学しにいかないかって誘われて、そこで模擬レースに出場していたある選手に心奪われて、かわいいな、綺麗だな、かっこいいなって」

    …さすがに照れる


    「それからあの人みたいになりたいなって走り出して、カノープスを箱推しして、なんとかトレセン学園に入学できました。そこでネイちゃ…トレーナーさんにスカウトされて運命を感じてしまいました」

    箱推しのところは突っ込みたいけどスルーすることにした。

    「これからはネイちゃんでも、好きに呼べばいいよ」

    「え、でも…いいんですか?」


    「うん、今からでもさ、関係性変えてこう」

    「…はい」


    そのあとは互いに一目惚れだったことをネタにして二人で笑いあいながらその日は別れた。

  • 47スレ主21/11/17(水) 15:39:59

    >>46

    それからの密度は濃かった。

    イクノが蹄鉄の調整のために採寸しに来た時にオルタナが超興奮してたり、

    それから出たレースで2位だったのを観戦に来てたイクノと三人で悔しがったりした。


    ある日、午前にオルタナが突如現れた謎の覆面バク逃げウマ娘T²と並走した。

    あたしはまあ、誰だか分ってるけどオルタナはまあまあ困惑してた。いい練習になったとは思う。

    その午後、ターボとトレーナーさんが一時帰国したって顔を見せにきて、

    蹄鉄の再調整をしに来てくれたイクノと遊びに来たタンホイザもいたからカノープスがそろった。

    そこから戯れにカノープス5人でゲリラ配信することにしてさ、

    配信を画面外で見てたオルタナは無言だったけど、昔のデジタルよりすごくて正直…やめとこ。


    そんな感じで面白おかしく熱心に過ごしてきて、夏合宿直前のレースに挑むことにした。

  • 48二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 17:40:10

    更新楽しみにしてます

  • 49スレ主21/11/17(水) 20:46:07

    >>47

    レース当日

    控室で軽めのミーティングを終わらせ決意表明をされた。

    「イクノさんが調整してくれた蹄鉄にも完全になれました。私今度こそ勝ってみせます!だから応援してくださいネイちゃん!」

    オルタナは初めて会ったときみたいにキラキラと輝く瞳をしていた。


    「当然、だから勝ってみせてよ」

    お互い笑顔でハイタッチしてアタシはあの子を見送った。


    よく聞き覚えのある声が放送で聞こえてきた。

    「5番人気の6番ゼロオルタナティ、アタシが一番期待してるウマ娘ですね!」

    タンホイザ…


    レースが始まり、ウマ娘はすべてを出し切り走り観客は熱狂し、そしてレースは終わった。

  • 50スレ主21/11/17(水) 21:33:19

    >>49

    「どうしましょう、ネイちゃん…急に不安になってきました…」

    「今までセンターで踊ったことないから?大丈夫だって。

    踊れなくても新聞に面白おかしく書かれてアタシが生徒会に怒られるだけだからさ」

    「えぇ……」


    オルタナは今日初めて勝った。

    センターで踊るのも今日が初めて。

    練習をしてきても不安にも当然だよね。

    「だけどさ、楽しんできなよ。いろいろ気にせず全力でさ。アタシもペンライト降って楽しむよ」

    それを聞くとあの子の表情がパッと明るくなった。

    「見ててください!では行ってきます!」

    そしてあの子は意気揚々とライブへと向かっていった。


    最初の1年目のアタシは余裕がなくていいトレーナーじゃなかったかもしれない。

    だけどあの子と語り合って、友達にも助けてもらってついにあの子を勝たせてあげることができた。

    これからもあの子を勝たせてあげられたらな、いや勝たせてあげると決心しながらペンライトを全力で振り、アタシはライブを楽しんでいた。



  • 51スレ主21/11/17(水) 21:43:05

    最初は寝落ちした時点でスレが落ちると思っていましたが
    見てくださった皆様がいたから完結まで書き進めることができました。
    ありがとうございます。

  • 52二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:40:14

    お疲れ様です! よかったです!

  • 53スレ主21/11/18(木) 10:38:24

    >>52

    ありがとうございます!

    励ましのおかげで完走することができました。

  • 54二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 11:20:18

    完走お疲れ様です!楽しく読ませてもらいました!

  • 55二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 21:09:25

    お疲れ様でした!面白かったです!

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