- 1二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 00:03:22
――食事をしなければ。
トレーニング量に見合った熱量、筋肉を育てるためのタンパク質、骨折を防ぐためには欠かせないカルシウム、体調を整える各種ビタミン。味だってけして悪いものではない、はずだ。味に関してだけはこのところ少々自信がない。けれども、実家にいた頃に確かに美味しく感じられたレシピの分量、調理時間を厳密に守って作った料理であるから、その頃と同じ味は作れているはずだ。
そのことはわかっている。食わねばならない。そしてたぶん美味しい、美味しいものであるはずだ。
だが、喉を通らない。喉が固形物を受け入れないのだ。
「――たべ、ないと」
前は紅茶で流し込んだ、強引に口の中に押し込んだこともある。だが目の前の料理は、ごろりと大きめに切ったたっぷりの野菜と鶏肉だ。口の中に押し込んだところで、無理やり飲み込むのは無理がある。昨日の夕食はそうやって食べようとした挙げ句、喉につまらせてのたうち回る羽目になってしまった。通りすがったカフェにげしげしと蹴られてなんとか吐き出すことが出来たくらいだ。朝一番にそのお礼と文句を言いに行ったらカフェには心当たりが無いと微妙な顔をされたが。
食べねば。食べなければ、身体を維持できない。身体が衰えれば、走れなくなる。走れなくなれば、限界速度の到達など叶わない。
なんとかスープだけを口に入れて飲み下す。味はよくわからない。だが、液体なら嚥下できる。眼の前の料理も、どろどろになるまで溶かせば――
「――そうだった」
そうだ、どろどろにすればいい。全部砕いてしまえば。幸い、プロテインを作るためのミキサーが手元にある。
蓋を開け、用意した食事を全部ミキサーに流し込む。主菜も、副菜も、主食もすべて。スイッチを入れると、モーターがうなりを上げて器の中で刃を回す。程よく煮込んだ鶏肉が、ちょうどいい煮え具合のはずの野菜が、すべて等しく切り刻まれ、泥のような液体へと変わっていく。
「――いた、だきます」
ドロドロの、もはや食べ物と言っていいのかわからない液状のものに成り果てた食事を前に手を合わせて飲み干す。一食分すべてを混ぜ合わせたそれは食事とは言えない。栄養補給でしかない。実家では特に意識することもなく口から出ていた「ごちそうさま」は、どうしても言えなかった。
――って感じのモルモット君に出会う前の精神状態ギリギリなタキオンのSSはどこかにありませんか!? - 2二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 00:05:51
すいませんそれ来年まで売り切れなんですよ
- 3二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 00:06:06
もうある!
- 4123/01/21(土) 00:13:19
- 5二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 00:37:19
ちょっとシチュは違うが似たようなのが
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