- 1◆ZnBI2EKkq.21/11/09(火) 10:57:28
甘かった、といえばそれまでだ。だが人はどんなに努力してもしょせんちっぽけな存在だ。それはウマ娘にも言える。広大で雄々しく険しい雪まみれの山、吹雪が吹き、視界がふさがれ、呼吸もままならない。恐ろしいほど巨大な自然は、気を損ねればいとも簡単に人に牙を爪をむく。荒れ狂う風と雪の中、黒い人影がゆっくりとした足取りで足跡をつけてゆく。小柄で黒い少女は成人男性を背負って山を歩いていた。
トレーナー「...すまない...俺が...不甲斐ない...ばかりに...」
カフェ「いいんです...私の見通しが甘かったから...」
二人はお互いが生きているのを確認しながら歩みを進めている。突然の吹雪に体力と体温を奪われ、トレーナーは倒れた。カフェは人より頑丈なウマ娘であったため比較的余裕はある、だが彼女の限界も近かった。荒れる呼吸、重い足取り、真っ白な視界、カフェにとって愛しく憎い物だ。
トレーナー「...俺を...おいてってくれ...このままでは君まで...」
カフェ「...そんな弱音は...初めて聞きました...らしくないですね...」
そういうカフェの声は震えていた、寒いだろうに、俺をおいていけばこの思い足も、あれる呼吸も、どうしようもない不安もなくなるというのに...俺は...何か...できないのか...
.........................何か見える...冷たい真っ白な世界に...あたたかな闇を感じる...無理やり目を開けるとそこにはカフェのようなウマ娘がいた。
トレーナー「カフェ...」
カフェ「はい...」
トレーナー「あれが...お友達か...」
カフェ「...お友達は...何をしていますか...」
トレーナー「俺たちを...誘導して...い...る...」
意識が途絶えた、トレーナーさんにも見えた。あの子は...あの子に...
黒い影に足を進める。何かが見えた...あれは...山小屋... - 2◆ZnBI2EKkq.21/11/09(火) 10:57:37
_________________________
小屋に入りストーブを探す、だけど...燃料が凍って...毛布はダメ...体温がとられる...もう...私も...限界...
トレーナーを壁にもたれかかせ、抱きしめる
うしろから...誰かが私を抱きしめてる...彼を包んで...私はいいから...
あたたかな暗闇があたりを包んだ。母親の体内のような...温かい布団の中のような...トレーナーさんに...抱きしめられているような...
目が覚めると私はあたたかな毛布に包まれていた。ランランときらめくストーブの炎をぼうっと見つめていると、トレーナーさんの声が聞こえた。
トレーナー「俺たち...生き...」
カフェ「はい...」
トレーナー「...ありがとう...カフェ...」
か細い声で彼がいった
カフェ「...はい」
一緒に毛布にくるまり、話した。どんな些細なことでも、お互いが生きているってわかるから。バッグから水筒を取り出した。なぜか温かいコーヒーを二人で飲み、小屋で晩を過ごした。いつのまにか吹雪はやんで、美しい青空が私たちをてらした。目を開けて外に踏み出す。軽くなった足取りと共に二人は山を降りた。
お友達さん...ありがとう...助けてくれて...ありがとう...いつか貴方を...私は... - 3二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:02:53
遭難系かぁ〜少し重いな…トレーナー覚悟大分キマってんな…
- 4二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:08:16
さらっとトレーナーお友達みえてねぇ?
- 5二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:49:46
こういうカフェ×トレもいいな
- 6二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:50:45
スレタイから密室殺人事件でも起こるのかと
- 7二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:56:09
最初、以前スズカさんが紹介してたスクウェア(都市伝説)かと思った
こういうのも良いですね - 8二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 11:56:49
読んでて音楽の「魔王」を連想してしまった
助かったのか幻覚なのかどっちにも思えて怖い - 9二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 12:05:17
いい…
- 10二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 13:16:37
実に素敵だ…