- 1二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:52:14
知らないうちにマスターが邪竜に召喚され、トゥリファスで戦っていたという。
全てが終わった後になってそう聞いたときはその場にいなかった自分に不甲斐なさを覚えたけれど、共闘した邪竜というのがジーク君のことだと知ったとき、驚きのあまり心臓が止まるかと思った。
ああ、今も彼は聖杯を抱えそこにいるのか。
聖杯大戦の記憶は継承されている。身体を貸してくれた少女のことも、同じ願望を抱きながら対峙することになった聖人のことも。───人間になりたいと言ってくれたのに、宿命を背負わせてしまった大切な少年のことも。
かつての記憶に感慨深く思っていたら、マスターからまさかの発言が飛んできた。
────新しい仲間が出来たんだ!ジークっていうんだけど、たぶん食堂にいるから後で紹介するね!
その言葉を聞いた途端、気づけば身体は食堂へ向けて駆け出していた。
奇異の視線も、呼びかけの声も無視して廊下を駆ける。悪いことをしたと思ったが、頭は彼のことでいっぱいで上手く働いてくれない。叫び出しそうになる喉も、溢れそうになる涙も必死に堪えて走る。走る。走る。 - 2二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 16:12:28
憤りを感じなかったと言えば嘘になる。
英霊となってまで彼が再び戦場に立つことを選んでしまったこと。そうせざるを得ないまで人理が危機的な状況に追い込まれていること。言いたいことなんていくらでもある。
だけど、一番に胸に宿ったのはどうしようもないほどの歓喜だった。どんな形であれ、こうしてもう一度会えることが嬉しかった。カルデアに来た彼が本人そのものではないことなんてわかっている。自己満足にすぎないなんて知っている。それでも一目でいいから見たかった。それでも声が聞きたかった。伝えたいことがいっぱいあった。
息を切らしながら食堂に駆け込んだ。ピークは過ぎたのか人の数は多くない。もしや彼もどこかに移動してしまったのだろうか、不安に駆られ焦って辺りを見回す。
すると、奥のテーブルに普段なら集まらない英霊たちで出来たグループを見つけた。
席についているのは、かつて聖杯大戦で“黒のセイバー”と呼ばれた英霊、竜殺しの英雄ジークフリート。彼の対面に座るのは同じく“赤のセイバー”と呼ばれた叛逆の騎士モードレッド。席につかずテーブルの周りを駆け回り快活に笑うピンク髪の“黒のライダー”アストルフォもいる。奇しくも彼に所縁のあるメンバーだ。3人も彼に会ったのかと話しかけようとする。
その時になって初めてジークフリートの隣に誰かがいたことに気づく。突然アストルフォが誰かに抱き着いたからだ。ジークフリートの陰から見えたその人は、あの時と変わらない姿をしていて……。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 17:57:34
期待
- 4二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 19:36:10
彼を認識した途端、急に顔が熱くなる。
そういえば自分は全力疾走していたのだ。服装や髪の乱れも気になるし、まだ心の準備ができていない。気持ちばかり先行しすぎていて、まずはどんな言葉をかけるべきなのかもわかってない。
だけど時間は待ってくれなかった。
「あ、ルーラーじゃん。見て見て!ジークが来たんだよジークが!」
アストルフォに声をかけられて心臓が跳ねた。人が多くなってからクラスではなくジャンヌと呼んでいた筈なのに、あの頃に引っ張られたせいかかつての呼び方になっている。でももう少しだけ余裕が欲しかった。急に呼びかけられたら顔を合わせるしかなくなるではないか。
アストルフォの声に他の3人の視線も自分に集まる。ジークフリートは普段は見せない穏やかな目を、モードレッドは話が弾んでいたのか笑顔を浮かべている。アストルフォは抱き着いた彼を揺さぶってアピールし、彼も自分に目を向けた。
視線が重なると同時に心臓が早鐘のように鳴る。いろいろ考えていたのに頭が真っ白になってしまう。こんなにも自分はおかしくなっているというのに、彼の方は一切考えが読めなくて、余裕に溢れているようにも見える。ずるいじゃないか、そんなの。こっちは声が上擦らないよう話そうとするのも大変だというのに。
それでも彼の前では少しでもお姉さんぶりたくて、一歩前に踏み出した。
「お久し「はじめまして、オルレアンの聖女」……へ?」
第一声が重なる。いや待て、今彼はなんと言った?「はじめまして」?
「俺はジーク、ただのホムンクルスの身ではあるが、こうして召喚された以上全霊をかけるのでよろしく頼む」
初対面のように自己紹介をする姿に、心が凍り付いた。 - 5二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 19:37:41
これ以上思いつかなかった。
続きを書くとしたらどんなののがいい? - 6二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 20:06:23
気になるところでエターなりおって…光のあにまん民としては関係が初めからリセットされるも、再び関係を築き直してプリヤのベアトリスみたいにもう一度同じ人を好きになってもいいし、闇のあにまん民としては忘れられてるショックでこれ以降カルデアでジャンヌはジークに距離を置くことになったが、邪竜としてジャンヌオルタがジークに興味を持って関わるうちに2人の仲がどんどん進展していってジャンヌがBSS状態に陥るっていうのはどうでしょ(ここまで一息)