- 1◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 08:30:05
『ファイルを送信しました』
『既読』
「無事に送信できました。ひと安心です」
流れていく青い空を見上げながら、ポツリと呟きました。昨日のザーザー雨から、今日はいいお天気です。下の小さな空と大きな空。
『この景色を、あなたと見たい』
ただそれだけですが、少し意地悪をしてしまいました。はたして、彼は来てくれるのでしょうか。少し心配になってしまいました。
「……いいえ。トレーナーさんは必ず来るのです」
でも、わたしは来ると信じています。なぜなら、あの時もわたしのことを忘れなかったから。
だから、信じるのです。彼がわたしを信じてくれたように。
『君もいなきゃ嫌だ!』
『……何度も、何度でも何度でも!夢を見せてくれる。ずっと……ずっとずっと!輝き続けてくれる!』
「ふふっ。今思えば、結構恥ずかしいのです。"君もいなきゃ嫌。ずっと輝き続けてくれる"……」
「……でも、とっても、とっても嬉しかった」
夢を諦めそうになったわたしに、夢を夢で終わらせない、と。あの日のあなたの暖かさは、今でもぽかぽかさせてくれます。
ふと、上の空を見上げます。雲はたゆたい、穏やかな青がわたしの瞳を染めていきます。まるで、どこまでも透き通るように。
「━━海の中でも、この空は見られるのでしょうか」
そうであるなら、寂しくはないのです。あなたと、同じ空を見つめていられる。
「けれど、それを確かめるのはもっと、もっともっと遠い未来でも、いいですよね?」
もう、波の音は聞こえなくなりました。また迎える春ともきっと、仲良くできると思うのです。だから今は、その答えをだすのは後回しにします。 - 2◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 08:30:42
あなたと一緒に、お勉強をして、トレーニングをして、レースをして、お出かけをして。
一つ、また一つ、わたしの心に消えない思い出を残して。いつか振り返ったときに、たくさんの思い出をあなたと一緒に、タイムスリップを。
だから、今はまだ、思い出をいっぱい作ります。思い出を作って、大事に、大切に仕舞って。
「そうしたら、あなたも。……わたしも、寂しくない」
といえば、嘘になってしまいます。でも、流れる時間はそれぞれです。たとえ10人いても、誰一人同じ時間の人は居ないのです。
けれど、それでも。わたしはあなたの流れる時間に一緒に居たい。
「というのは、わがままですか?……トレーナーさん」
バタンッ!
下の方からトビラが勢いよく開く音がしました。荒れた呼吸も、遅れて伝わってきます。
「やっぱり来てくれましたね、トレーナーさん」
それを聞いて、何故か物影に隠れてしまいました。でも、あなたはすぐに分かってしまうと思います。尻尾の動きが、抑えられないのです。
コツ、コツ、コツ。彼がはしごを登ってくる音に、トクン、トクン、トクン。だんだん早くなっていきます。
「結構高いんだなぁここ。でも、ここに君のスマートフォンがある、って……あぁ」
「……居るんだろ?マーチャン」
あなたは今、どんな顔をしていますか?ヘンテコなLANEに怒った顔ですか?それとも、お仕事中に呼んでしまって困った顔?そうだとしたら、謝ります。
でも、そんな顔も、わたしの大好きなひとの顔なのです。そんなわがままを、許してくれますか?
「……はい。マーちゃんはここにいました」 - 3◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 08:31:41
SRサポカをマーチャン側から見たらどんな感じなのかと独自解釈しました
許しは請わぬ - 4◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 10:24:00
保守…にはなってしまうんですがこれ書いてるときめちゃくちゃ胸が苦しくなってました
これが…恋!? - 5二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 10:46:36
なでこの子いつも泣きゲーみたいなことしてるの?好き
- 6二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 10:50:33
なんかこのままエンディング入りそう
- 7二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 10:52:57
専用レンズと別角度の描写めっちゃ助かる
- 8◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 12:41:44
- 9二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 14:37:30
いいssだ
- 10二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 15:00:51
俺泣きゲーとかやったことないけどこういうゲームをやってたような存在しない記憶が蘇ってきた
- 11◆4soIZ5hvhY23/01/22(日) 20:13:23