- 1二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:33:59
- 2二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:34:34
普段から落ち着いていて、およそ慌てることのないアリヤが「ええっ!」なんて大声を上げるものだからずいぶん驚いた。
しかも、石占いをしていてその結果に驚いたらしく盤面を凝視しているものだから、よほどの大予言でも出たのかと、こちらもついガタッと椅子の音をたてて立ち上がると彼女は驚いた表情を笑顔に変えて
「すまない、ティルを驚かせてしまったか」
「……何が出た?」
「■■が出た」
「………………………何が、出たって?」
「いや、時々、私は故郷のみんなの安否を占うんだ。もちろん家族と通話しようと思えばできるが、皆、何か困りごとがあっても私には心配させまいとして隠すからな。
今までは、まあ、波風はあってもなんとかやり過ごせるような、いわば日常的な結果ばかりが出ていたんだが」
そう言うと、石が散らばる盤上の一角にまた視線を移して
「私には、小さい頃よく一緒に遊んだ友達がいて…ありていに言うと幼なじみだな。
私がこの学園に入学する少し前に行方不明になったんだ。
その彼が、この学園に、私のすぐ近くにいると出た」
「…………」
彼、とアリヤがいう呼び方に、胸がざわついた。
さっきの大声に驚いたのとは全然違うざわつきだった - 3二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:38:59
- 4二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:39:54
アリヤと一緒にいるのはとても心地いい。
地球寮の先輩たちにも「ティルはちっともしゃべらなくてこっちの話も通じない」だとか言われたりするが、必要なことはきちんとしゃべっているつもりだ。つもり…だが、時々伝えたつもりのことが伝わらなかったり、それで小さいトラブルもあったりしているのは彼らの言うことのほうが正しいのだろう。
でも、アリヤといると全くそんなようなことがない。
占いをする人だからか、感覚的で洞察力に富んでいて、伝えたいことを的確にきちんとくんでくれる。
特別何か言いたいことがない時でも、一緒にいる時の空気が落ち着いていて居心地がいい。
だが、今、その彼女が微笑みながらも動揺していて
「■■の家は貧しくて、ああ、もちろん疎開地キャンプで貧しくない家なんかなかったけれど、その中でも母子家庭で特に貧しかったように思う。うちは放牧地をティコたちの放牧地をキャンプ用地に提供しててね、時々、山羊のミルクを分けてあげた時のつつましい、はにかんだ笑い方が忘れられないんだ」
などととりとめなく語りながら泣いているのか笑っているのか判然としない顔つきになっている。 - 5123/01/23(月) 23:41:08
- 6123/01/23(月) 23:43:18
「……それで、アリヤはどうするんだ?」
「もちろん、やはり会いたいよ。本当にこの学園にいるのなら……」
彼女はまず、生徒手帳を取り出して名簿検索をかけた。
だが、彼女の覚えている■■という名前の学生はいない。もちろん教職員にもいない。
アリヤに向かってこんなことは言いたくないが、占いも全てのことを確実に当てられるわけではないだろうし、子供のころの記憶なら■■という名前が間違っていることもあるだろう。
そしてこういう時にも彼女の洞察力は発揮されて、少し拗ねたように此方を見て
「わかっている。戦災の疎開地キャンプで子供が行方不明になったならその行先は想像はついてる。それでも、フロント警備の雑用係だとか、物品搬入の業者だとか、学園に出入りする人間は他にも考えられるだろう?」
話しながら盤に散った石をまた手元に集める仕草は冷静さも一緒に取り戻すようだった。
集めた石を胸に抱き、
「私は、どこに■■を探しに行けばいい?」
もう一度、盤にそれらを投げた。
結果は……
1. グラスレー寮に行く
2. ペイル寮に行く
3. ジェターク寮に行く
4. 地球寮の誰かに聞く
dice1d4=4 (4)
- 7二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:50:27
素敵な発想だ......
何とかハッピーエンドになれるといいね - 8二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 00:11:05
ティルアリは三角関係もいける万能CP
- 9二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 00:12:50
一年か二年生の頃は髪結んでない短髪ティルは良いな…
- 10123/01/24(火) 00:27:09
「…地球寮? 身近すぎて逆に想像がつかないぞ?」
アリヤの眉間にかすかに皺。
地球寮にはこの前、今年の新入生が入ってきたところだ。
オジェロとヌーノ、それに、ニカ・ナナウラ。
全員優秀なメカニックで…と言いたいところだが、男どもはその優秀さを覆す勢いでギャンブル狂なのはどうかと思う。
入学早々、この学園の決闘システムとそれをネタにしたギャンブルにハマってしまった。
今も、タブレットに見入って
「やったーッッッ! 勝ったぜこりゃあ!」
「いったな、1.9倍はすげえよ!」
…と、熱狂して腕を振り回している。
ちょうど勝負が一段落したところらしいが、この二人に何か聞いてわかるものだろうか。
明らかにアリヤが肩を落としたのがわかったが、その肩にそっと手を置いてみると
「うん、ありがとう。聞くだけ聞いてみよう」
気を取り直して二人の背後から
「熱中しているところに悪いが、二人とも。最近、地球寮付近で新顔を見なかったかな? 多分、学生ではなくてだな、だが、年齢は私たちと同じくらいのはず…」
「えー、そんな、俺たち1年に、そんな区別つきやしませんよ、制服着てなきゃ学生じゃないんじゃないすかー?」
比較的冷静なヌーノが答えてくれたが視線はオッズ画面に向いたまま。オジェロはうきうきと上機嫌で
「このエラン・ケレスって奴、すっげェんすよ。不利に見せかけて逆転に持ち込むの上手いわー」
画面を指さした先には、男でも、つい目を見開くほどの美少年が映っている。ちょうどヘルメットを脱いだところで、ふるふると天を仰ぎ、汗ばんだ髪を振り払っている姿はいやにさまになっていて、いかにも女子にモテそうだな、と思った瞬間、アリヤが食い入るように画面に迫る。
まさかというか、案の定というか、やっぱりアリヤも女子は女子、ああいうキレイで、しかも強いらしいのが好きなのか。
だが、彼女が画面を指さして
「……これ、このタッセルは。私が、いなくなる前の彼にあげた………」
さらに何か言いたかったようだが言葉にならなかったようで、ただ、彼女自身の髪に下げられたタッセルの髪飾りを揺らしていた。 - 11123/01/24(火) 00:29:37
とりあえず今日はここまで
続きはまた明日 - 12二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 00:36:03
面白そうな導入にわくわくする
楽しみにしてます - 13二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 02:22:24
乙乙!ティルアリ(4)の火を絶やすな
- 14123/01/24(火) 07:43:58
タッセル―――房飾りはその形状から邪気を払うものとして、地球では古来、いろいろな地域でお守りになっているのだそうだ。
エラン・ケレスのタッセルピアスも、偶然似ているものがあってもよさそうだが、アリヤは首を振り
「自分が手作りしたものは間違えない。ましてや、あれを作る糸も、留め玉も、戦時下で物資が手に入らなかった頃に苦心して確保したものなんだぞ」
でも、そのアリヤの手作りピアスをつけているのは別人だ。
それに、エラン・ケレスはこの学園では有名人の部類に入るだろう。
ベネリット・グループ御三家のペイル社の筆頭パイロットで、今年2年生だ。
少なくとも1年前から入学しているのは周知の事実で、アリヤの占いに出たように、つい最近転入してきたとかそんなわけでもない。
「まあ……そうだな、■■は、きっとペイル寮出入りの業者か整備士か、ああ、そう、整備士ならパイロットと仲良くなることもあるかもしれない。プレゼントに上げられるものがなければ、こういうものを上げてもいいかもしれないな」
幼馴染の女の子に手作りでもらったものを他の男にプレゼントするなんてあり得るか?
そんな考えが一瞬頭をよぎれば、いつもどおり勘のいいアリヤはこちらの不穏さに感づいたように振り向いて
「だって、仕方がない。そりゃあ■■は可愛い顔をしていたがそれは何年も前の話だ。
正直に言って、今はもう、タッセルピアスが似合うような繊細な顔立ちに成長しているとは思えないんだよ、うん。
似合う人につけてもらうのも、それはそれで嬉しいものだよ」
なんだか情けなさそうに眉尻を下げて笑っている。
「だが、彼は糸口だな。さて、これから……」
アリヤは石を盤に投げた。
1. ペイル寮の居住棟に行く
2. ペイル寮のMS整備庫に行く
3. 図書館に行く
4. ペイル社に近づいてはいけない。災厄の兆しがある。
dice1d4=2 (2)
- 15123/01/24(火) 07:58:11
「よし、ペイル寮の格納庫に行ってみよう。学生以外の整備士もたくさんいそうだ」
アリヤは嬉しそうに言うが、ペイル寮に彼女一人で行かせるなんてできない。
この学園はアーシアン差別が甚だしい。
たちの良くない男どもに絡まれでもしたら取り返しのつかないことになるかもしれない。
少なくとも、彼女には男のボディガードがいるということを誇示しておかないと。
焦って揺らいだ視線の先に、自分の肩先に届くほど伸びた髪先が映った。
これはまずい、少しでもやわな印象を持たせればなめられる。
アリヤは出先でも占いを展開するつもりらしく、石を丁寧にきれいな袋にしまって、その口を長い紐でくるくる巻いている。
「その紐、もう一本あるかな?」
「これかい? 予備はあるが、何に使うんだ?」
答えようと思ったが、口はもうその紐の片端を咥えている。
両手でしっかり髪をかき上げて、くいしめた紐できっちり巻き留めた。
そしてやはりアリヤは言葉にせずともわかってくれる。
「ありがとう、ティル。一緒に来てくれるんだな。まるで……ああ、あれだな、遠い昔の地球の、日本のサムライとやらのようだ」
後で調べたところによると、サムライの中でも傾奇者と言われた者が結ったヘアスタイルらしい。
まあ、威嚇の役には立つだろう。
二人で一緒にペイル寮のハンガーに向かった。 - 16二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 08:00:37
アリヤが行動力あるの好き
ティルの髪型はサムライリスペクトだったのか - 17二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 08:05:05
スレッタが入学する前までには間に合えばいいな
- 18123/01/24(火) 08:45:37
道すがら、アリヤは昔のことを教えてくれる。
彼女の実家が提供した放牧地の戦災疎開地キャンプに、大勢の同じような子供たちがいた中で、■■はひときわ大人しさで目立っていたのだそうだ。
戦火の悲劇があっても子供はエネルギッシュで元気に遊びまわり、甚だしいのは少年兵に志願してさっさとキャンプ地を出ていくが、彼はいつも古びた本を大事そうに抱えて読んでいたという。
「何度も同じ本を読み返していた。
もともと暮らしていた家のすぐ近所に町の図書館があって、いろいろな本を読むのが好きだったらしいが、その図書館も消失したと……
まあ、農園にだって紅茶の栽培法の本ぐらいはあるからな。
書架に連れて行って、好きなだけ読んでいいよと言ったときの、本当に嬉しそうな顔が忘れられないんだ」
……彼女の昔語りをもう少し聞いていたかったが、ペイル寮の格納庫敷地に足を踏み入れた途端、ペイル寮生らしい男子生徒二人に、居丈高に前を阻まれた。
「おい、お前らアーシアンだろう。ペイル寮に何の用だ」
「入ってくるなよ、うちのMSが錆びつくだろう?」
だが、こっちも負けはしない。
相手二人を軽く睨んで彼女を背にかばう。
なるべく強い態度で、なめられないように…と気を張るが、アリヤはにっこりと、
1. エラン・ケレスに会わせてください
2. ペイル社の整備士に■■という人はいませんか
3. おや、君はこの前こっそり地球寮にやってきた人だね?
dice1d3=2 (2)
- 19二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 11:17:53
安定のスペ公民度ェ
- 20二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:08:31
新しい一面を知るティルアリいいぞ
- 21123/01/24(火) 20:26:07
アリヤがあんまりにも悪びれず平然と
「そちらの本社から派遣されてきた整備士チームに■■という人がいるかと思う。取り次いでほしいんだが」
と言うのに彼らは気圧されたようで
「……マジで会社の用事かなんか?」
「じゃねえの?」
と、こそこそ話し合ってくいっと顎だけハンガーのほうを示し
「本社派遣の奴らのことまで知らねえよ」
「勝手に行けば?」
半分、捨て台詞気味に言って立ち去った。 - 22123/01/24(火) 20:46:10
と、言うわけで無事にペイル寮MS格納庫に到着したのだが、難産はここからだった。
ペイル本社から出向してくる大人たちは、少なくとも表面上は丁寧な態度を崩さず
「いや、■■という奴は知らないよ。少なくともこのチームにはいないね」
と言うだけだ。
うるさそうに背を向けて明らかに無視を決め込んでいる大人もいるが、それはアーシアンがどうだとかいうより、学生に大人の仕事を邪魔されたくなくて追い出したいだけのように見える。
地球寮とは比べ物にならない大型機材やリフトなんかがそろっているのはもちろんのこと、レンチが何十種類も壁一面にかけられている様子は職人作業の繊細さを思わせる。
その中に闖入しているのが少し申し訳なくなってきて、アリヤのほうを見てみた。
アリヤもやはり、同じように周りを見回していて、こういう時はお互い同じことを考えているのがいつものことだ。
帰ろうか、と踵を返しかけたが、いつもなら一緒に並んできてくれるだろうアリヤがそこに立ったままでいる。
「…………ペイル寮のハンガーなのに、皆、本社からの整備士ばかりなんだな。
学生が一人もいないのはどういうわけだろう?」
さっき、親切に対応してくれた人があからさまに険悪な顔になって
「企業秘密というものもあるんだ。さあ、帰った帰った」
「ああ、すまない。本当に邪魔をした」
今度こそアリヤは大人しく格納庫を出ていく。
だが、並んで歩きながら小声でささやくように
「なあ……ティル。悪いが、もう少し付き合ってくれないか。
どういうわけか腑に落ちない」
「……そうだね。学生に実習させるためのMSじゃないのか、学園に降ろしてくる機材というのは」
「ふむ、ティルがしゃべりたくなるほどの怪しさということだな」
アリヤの笑みは緊張がやっと解かれた笑みだった。
「まあ、■■のことなら……整備士じゃなくて、厨房や清掃のスタッフということもあるな。
居住棟の方にも行ってみようか?」
整備されたデッキを通り、学生が大勢いるだろう居住棟のほうへ足を向けるが、格納庫周りは不気味なほどに人がいない。
思わず、二人で肩を寄せ合い、人気のない建物の角を曲がったとたん、そこに、彼がいた。
―――エラン・ケレス、アリヤの大事な思い出の品の今の持ち主だ。 - 23123/01/24(火) 21:16:37
MSの格納庫はただただ冷徹で巨大な建物だ。
地面に落とす影も底冷えがして、現世ではなく現世に似たどこかに足を踏み入れてしまったかのような錯覚もおこる。
そこに、エラン・ケレスは立っていた。
ペイル寮の学生たちは誰もいない格納庫に彼一人向かうところだったか、彼は彼で、格納庫に通じるデッキを歩いてくる学生の姿に驚いたらしく、タッセルピアスを揺らして立ち止まり、此方を見ていた。
これまでも、たまに、中継される決闘やなんかの画面越しに彼を見ないこともないではなかったが、彼はこんなに綺麗な顔をしていただろうか。綺麗な顔、というのともまた違う、愁いを含んだ目つきが儚げで、なんというか、こう、繊細なものを守りたいような庇護欲にかられる。
だが、彼は学園内の有名人だ。
こんな視線を受けるのも慣れているのだろう。
ふっと無表情になってまた歩みを進めてデッキの片端に寄り、お互いがすれ違うるだけのスペースを作って通り過ぎようとした。
そのすれ違いざまに、アリヤが
「―――■■?」
ペイル社の筆頭パイロット、エラン・ケレスに向かって大事な幼なじみの名を呼び掛けた。
エランは……
1. 無視して去る
2. アリヤに歩み寄る
3. 卒倒する
dice1d3=2 (2)
- 24二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:17:33
キャー!大胆!!
- 25二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:27:07
盛り上がってきました
- 26二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:24:07
- 27123/01/24(火) 22:44:26
―――僕は、たった一人で霧の中を歩いていた。
ただ視界を遮るだけの霧ではない。濁って、何もかもを淀ませ記憶をかき乱す灰色の霧だ。
多分、僕の過去だって少しくらいは美しい色彩を持っていたんだろう……と思うこともある。
だが、そんな色のかけらが見えたところで、すぐに灰色の霧がそれをないまぜにして粉々にして飲み込んで、また肥大する。
……検体調整、パーメット体内導入、呪われた機体、生体検査、得体のしれない薬剤の侵襲。
灰色の霧は色を濃くして、やがて闇になる。
僕には、何もない。あったかもしれないが、やがて無くなる虚無に耐えるだけだ。
いまだに持っている何かも、すぐに指の隙間から零れ落ちて灰色の霧に混ざっていって―――
「―――■■?」
その時、霧が晴れた。一瞬だが、確かに晴れた。
晴れたところにも何はありはしないのだけれど、今、呼ばれた名は何だろう?
「やっぱり、■■か? なんでこんなところにいるんだ? ずいぶん心配したんだぞ」
誰かの声が、灰色の霧をかき分けて届く。
本当に僕は、なんでこんなところにいるんだろう?
目の前に、なぜだかよく知っているような、懐かしい、いとおしい、……女の子だ。
髪の長い房飾りも覚えがある、いや、待てよ、彼女はこんなに大人っぽくはなかった、もっと、もっと、もっと顔をよく見たい、見ればもっと思い出すことが……
「やめろ、いきなり失礼だ」
彼女にたった一歩だけ近づいたと思ったが、どうやら我を忘れていたらしい。
僕はいつの間にか彼女にすがらんばかりに迫っていて、傍の、髪を高く括り上げた男にぐいっと肩を押しやられていた。
「いいんだ、ティル。ありがとう」
僕を知らない名前で呼ぶ彼女。
彼女に呼びかけ返したくて呼びかけたくてたまらないのに、何と呼べばいいのか、僕は知らない。 - 28二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:47:52
ペイル寮の人間に知られたら噂が広まりそう
- 29二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:51:40
なんだか不安になって強めに押しちゃうティルいいぞ
- 30123/01/24(火) 22:52:49
- 31二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 23:55:02
- 32二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 05:02:58
乙乙、卒倒するエランか…見てみたい
- 33二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 05:49:32
懐かしさを思い出したからここから関わってきそう
- 34二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 08:15:00
ああ良い凄く良い、心だけでなく体の記憶というか匂いとかで幼馴染や故郷のことを少しでも思い出して欲しい…
- 35123/01/25(水) 08:17:07
「君の今の名は、エラン・ケレスというのか? そう呼んだほうがいいかな?
それともやはり、■■と呼んでも……■■、なのだろう?」
嬉しそうに、懐かしそうに僕に語りかけてくる彼女。
この、懐かしい、という感情の手ごたえは本物だ。
「……君は、なぜ、僕をその名前で呼ぶの?」
「そういえば、そうだなあ……君がこんなに姿に成長するとは思っていなかったが、でも、表情が全然あのころと変わっていないのだからな。
君の目つきはいつも儚げで、なんというか、こう、繊細なものを守りたいような庇護欲を掻き立てられるんだ」
彼女はおかしそうに笑い、傍らの男は憮然としてそっぽを向いた。
「それに、その房飾り、今でも持っていてくれたんだな」
僕は自分の耳に下がる房飾りと、彼女の髪に揺れる房飾りを見比べた。
僕が何の感慨もなく、ただ指定された制服を身に着けるのと同じような気持ちでつけていたタッセルピアスと同じ造りの房飾り。
僕には何も残されていなかったはずだが、記憶があった頃の僕はこれを奴らから死守した、ということか。
間違いなく、彼女は僕が……奴らの駒になる前の僕が、大事にしていたもの。
それならば、決して奴らに近づかせてはいけない。
今の僕に、近寄らせてはならない。
「僕の名はエラン・ケレス。そして君たちはどうやら立ち入り禁止区域外に入り込んでしまっているようだよ。
ペイル寮の中でも、この格納庫の周辺は許可のある者しか入ってはいけない。
それは周知されているはずだと思ったけれど?」
「そうだったのか。私たちは地球寮なんだ」
「………地球寮…」
僕が今いるところは地球ではない。
「できれば、一緒にゆっくり話したい。■■の好きだった紅茶もあるぞ」
僕は自分が何を好きだったかも覚えていない。
「急ぐので、これで失礼するよ。さようなら、アリヤ。」
僕は足早に二人から立ち去り、格納庫の試験区域へと急いだ。
教えられなかったはずの彼女の名を呼んでいたことに気づいたのは、少しずつ僕の記憶を奪ってゆくコクピットに座った時だった。 - 36二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 08:38:27
無意識で名前呼んじゃうの最高かよ
- 37二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 10:35:16
乙
- 38123/01/25(水) 11:56:51
やめてくれ!
忘れたくない、せっかく思い出した大切な名前を。
僕に温かいものをくれるその響きを。
柔らかく大事に包んでおきたい何かを、脳に直接手を突っ込んで、かき乱していくのはやめてくれ!
心で叫んだ何かがパーメット・データの流入を阻害したらしい。
テスト用の疑似コクピット内にマイク音声が
「パイロット、不具合があるなら報告を。拒絶信号が出ているが?」
「いや、なんでもない」
「不具合は報告を」
「…不具合は、ないよ。…………続けてくれ」
そうだ、続けてくれ。
今の僕に関わらせてはいけない。
大事なものであればあるだけ、関わらせてはいけない。
「では、テストを再開する」
GUNDフォーマットのデータが直接体内に流し込まれて、僕は、取り戻したはずの彼女の名をまた忘れた。 - 39123/01/25(水) 12:44:26
「……私は、きっと彼を困らせてしまったのだろうな」
その夜の地球寮で、温かな、香りのよい紅茶を飲みながらアリヤがうなだれている。
別れ際の最後に、エラン・ケレスに名前を呼ばれたことで疑惑は確信に変わった。
ペイル寮の格納庫なのに寮生は入らせない格納庫。
表面上、来客が入れるファサードエリアはあったが、振り返って考えるとMSの整備場としては整いすぎていたような気もする。
アリヤの手作りの房飾りのピアスに、■■という名を呼んだ時の過剰反応。
過剰反応というか、あれは異常反応だろう、ガン見のし過ぎにもほどがあるぞ。
そして最後にアリヤの名前を呼んで去った。
「エラン・ケレスの本当の姿は■■で間違いなくて、ペイル寮生でも関わっていない企業秘密に関わっているのも間違いなさそうだ。
地球寮の学生には、近寄ることだって難しいような企業内のオペレーションがそこにあるのだとしたら、私にできることは、なにがあるのかな?」
「…………」
こういう時の答えはいくつかある。
友達付き合いを拒否されたわけじゃないだろう、とか、今日のは出会い頭であんまり突然すぎたから、ちゃんと手順を踏めば、とか。
だが、手順を踏んだ先に、二人が幸せそうに手を取って見つめあっていたり並んで歩いたり、という想像も一緒に押し寄せてきて、息が苦しくなる。
苦しくなった息をごまかすために紅茶を飲めば、エランがあの顔でアリヤの顔間近にすがるようにして迫った光景が浮かんでくる。
昔、好きだった紅茶だって?
髪をくくっていた紐も解いて
「……こういう時にこそ、占いってするものじゃないのか?」
アリヤは、一瞬きょとんとした顔をふっと笑み崩して
「自分の身になると、かえってわからないものだなあ」
と言って盤を広げた。
石を投げると…
1. お友達から始めよう
2. お友達から始めよう。ただしペイル社に近づいてはいけない。災厄の兆しがある。
3. 愛の告白をしてもいいが、ペイル社に近づいてはいけない。災厄の兆しがある。
4. 決してペイル社に近づいてはいけない。災厄の兆しがある。
dice1d4=1 (1)
- 40二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 12:48:47
これは回避したのかな、とりあえずペイル社は厄い
- 41123/01/25(水) 12:51:45
ダイス神が慈悲深すぎて草ですよ
スレ主の脳に直接手を突っ込んで草植えまくってる… - 42二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:15:30
ペイル社はやっていることだけ考えるとやべーからな
- 43123/01/25(水) 20:20:14
「お友達から…か。これ、なんだか逆に難しいな」
盤を眺めながらアリヤは考え込んでいる。
もし恋人同士になりたいなら相手に受けてもらえるかどうかは別の話として、とりあえず告白して思いを告げる、いわば手順が踏める。
でも、友達になるというのは、例えばこの地球寮の生活のように身近にいて、生活の一部を共にしてだんだん互いに馴染んでいくというのが友達というものじゃないだろうか。
趣味だったり、取っている授業が同じだったりして深く知り合う友達もいるが、それも何かしらの共通点があってのことだ。
アリヤと彼とでは、地球寮とペイル寮、メカニック科とパイロット科、昔の思い出を持ち出すのは、今の彼には迷惑なことなのだろうし。
黙って考え込んでいたが、アリヤはまた盤に散った石を丁寧に集めて胸に抱き、振りなおす用意を始めた。
「私は、相手の幸せを願うのが友達だと思う。
昔とは、顔も名前も違っているけれど、それが疎開地キャンプを脱出する手段だったのならそれを私がどうこう言える話じゃない。
でも、もしもその道を選んで苦しんでいるなら、傍にいて、手を握るくらいはいいだろう?
今の彼は、幸せなんだろうか?」
アリヤは祈るように石を投げた。
1. 彼は苦しんでいる。昔の思い出がそれを和らげる
2. 彼は苦しんでいる。現在の彼をもっと深く知らねば、彼にふさわしい結果は出ない
3. 彼は苦しんでいるが、今、それを解決できる手段はない。時節を待つべし
4. 決してペイル社に近づいてはいけない。災厄の兆しがあり、それは彼自身である
dice1d4=3 (3)
- 44二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 20:23:12
うーん……スレッタを待つしかないのか?
- 45123/01/25(水) 20:40:05
「そうか…なるほど」
現在打てる手はない、というもどかしい結果に、アリヤはむしろ納得したようにうなづいた。
盤の上に視線を走らせ、ひとつの石を指さして、
「ああ、これだな。これが中心に近づいている。
この石がいずれ彼に到達して、未来を開いてくれるんだろう。
だけど……だけれども」
その指さした石の上に、透き通った雫がぽたりと落ちた。
「悔しいな……無力というのは、ほんとうに、ほんとうに悔しいことだな、ティル。
彼は、こんなに苦しんでいるというのに、苦しいのは今だというのに、私には………」
彼の苦しみ、と言いながら、実際、エラン・ケレスがどういう苦難の中にあるのか、傍目にはさっぱりわからない。
だが、アリヤには盤上にその苦しむ姿がはっきりと見えているようで、涙が止まらない。
思わず、盤の上に身を乗り出して、気が付いた時には彼女を抱きしめていた。 - 46二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 20:41:35
やった!
- 47123/01/25(水) 21:09:38
書きながらしびれ切らしてきた
あんまりじれってーのでストレートに行こう
二人は、
1. 手をつなぐところまで。でもスキンシップは増えるよ
2. ちゅーまで
3. タイトルに【閲覧注意】入れてないのでやらしい雰囲気にも限度はありますがまあそこはそれ
4. 二人は自重してたのにペイル社のほうから災厄が出張してくるよ
そして期待してくださった方、申し訳ない。
ここから先、4アリのルートは消えました。
dice1d4=2 (2)
- 48二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:26:43
まさかのキスまで発展!?
- 49二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:30:16
ティルよ、幸せにするのだぞ…
- 50二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:32:01
エラアリ…短けぇ夢だったな…
- 51二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:01:41
健全な高校生カップルだァ…
- 52二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:07:12
まあ、そりゃそうだね…
幼なじみへの執着を捨てる方が、アリヤちゃんにとっての幸せかもしれない - 53123/01/26(木) 02:03:53
おー、ニカ何やってんだそんなところで。部屋に入るなら入っちまえよ、廊下通れないだろ。
しーっ……、ヌーノもオジェロも、ダメ、今はラウンジに入っちゃダメ!
はあ? 何言ってんだ、聞こえねーよ、どけよ。
もうすぐ、オッズ2.3倍の掛かった決闘始まんだぞ。
ダメーっ、だめだめだめ、今は二人の邪魔できないと思うんだよね………お、お願い、察して。
察し……あ、あー……二人って、二人か? そういうこと?
うん、そういうこと。さっきね、二人でなんだか深刻そうに話し合ってるのが見えて、何かあったのか聞こうと思ったら、突然ティル先輩が、ぎゅっ……て。
ぎゅっ……か。
ぎゅっ……て。
……ぎゅっ……の、続きは?
だから、続きっていうか、そこにあなたたちが来たから!
俺らのせいかよ。まあいいや、覗いてみようぜ。
覗くってそんな、やめなよ……って、あ。
あ? ……うわわわわ、ティル先輩! アリヤ先輩も。
んー? 君たちはさっきからなんだかずいぶん盛り上がっていたようだが?ティコたちの餌の時間なんだ、そこを通してくれないかな?
ははははいっ、すみません! ……いや、なんつーか、こう……マジすいません…… - 54123/01/26(木) 02:04:57
パーメットとは、情報を共有しあう性質を持つ鉱物、と説明されている。
鉱物でありながら人間の記憶領域に関与可能なのは、肉眼では静止しているように見えてもその分子構造は活発な衝突を繰り返して自らを分解し、脳内神経シナプスの構成体と交換可能なアミノ酸を生成しているからだろう。
鉱物であり、かつ、寄生対象の記憶を餌として活動する生き物である、とも言えそうだ。
いや、そんなことはどうだっていい、理屈は学者に任せておけばいい。
大事なのは、僕はあの二人に出会ってから、頗る体調が良い、ということだ。
僕の脳髄の中のパーメットは古い記憶をチューインガムのように何度も噛んで噛んで噛みつぶして味もしなくなったところに、新しい記憶という餌を与えられてそちらに飛びついたらしい。
灰色の霧に取り囲まれている感覚が薄くなって、明晰にものが考えられる。
この新しい記憶が、新しい記憶であるうちに、あの二人の安全は確保しておかなければ。
二人は知らないこととはいえ、ペイル社の立ち入り禁止区域に入り込んでしまった。
格納庫と居住棟の間にある通路は、機密保持の重要度に合わせていくつかのゾーンに分かれている。
許可のあるペイル寮生なら通ることができる通路だから、危険度は低いのだけれど、何と言っても彼らは立場の弱い地球寮の学生だ。
そして、相手はカテドラルで禁じられた技術を平気でもてあそぶことができる連中だ。
僕が使い捨ての駒なのはもうどうでもいいことだけれど、その次の駒に彼らがならないとは限らないじゃないか?
今後しばらく、彼らに異変がないかどうか、安全を見極めておきたい。
僕の目の届く限り。
僕の目の届く限り……さあ、本当に僕の思考は明晰か?
僕との接触が増えれば、それは彼らを危険にさらすこととして、思い出したはずの彼女の名前をあえて捨てたというのに、僕は今、地球寮まで歩いてきてしまっている。
草原が広がっていて、モノレールの高架が見える。
山羊がのんびり草を食んでいる。
ああ、やっぱりここは、懐かしい場所にとても良く似ていて―――似ている、というデジャブのような感覚だけはあるのに、何に似ているのかが全く思い出せない。
苦しいだけだ、やっぱり、来るべきではなかったのだ。
帰ろうと踵を返した僕の背中に、
「やあ、君は……エラン、と呼んでもいいのかな?」
彼女の声がかかった。 - 55二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 06:35:09
どこで4号ルートから外れたんだろう?
- 56123/01/26(木) 08:38:43
- 57二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 08:47:08
可能性は多いに越した事はないので復活の4号希望
- 58二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 12:58:19
4号ルートは復活しなくふでもいいが災厄ルートがみたい(何
- 59二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 17:01:08
ティルルート終わった後に4号ルートをお願いしたい
- 60123/01/26(木) 22:05:23
■■……と、呼んだ方がよかったのかな。
でも、今の彼に迷惑になりそうなことは控えた方が吉だ。
お友達になるところから始めようって、決めたじゃないか。
山羊の世話の後、地球寮の草地を突っ切ろうとしたら、まさか、どうやって友達になったものか、近づき方から悩んでいた相手がそこに立ってるなんて驚きのあまり笑ってしまうよ。
改めて眺めてみると、背が高くて、繊細な房飾りのピアスがよく似合う、きれいな顔立ちになっていて、なんだか王子様のようだな。
「君のほうから来てくれるなんて思わなかった。嬉しい……嬉しいな、とてもね」
眇めるような目つきで私を見つめたまま、彼は黙っているけれど、何を考えているかはわかる気がする。
瞳がかげる程度にまつ毛を伏せて、ほんの少しだけ首をかしげて、ああ、言いたいことはあるけれど言葉がまとまらないのだろう。
どういう表情も、昔の彼の表情に重なっていく。
少しの間があってから、僕は首を横に振って、
「わざわざ来たわけでは、ないよ。たまたま通りがかっただけだ」
「……ふうん?」
学園の中でも辺鄙な場所にある地球寮に、たまたま通りがかるなんてことはないだろう。
あの機密事項の多そうなペイル社周りには近づかないよう忠告を、そして、うかつにも近づいてしまった私たちに異常がないか、見に来てくれたんだろうな、とわかる。
彼はとっても優しくて、本ばかり読んでいるようでいて意外に行動力もあったな、そういえば。
懐かしさから、つい、ふふふ、と声に出して笑ってしまって
「せっかく足を延ばしてくれたんだ、寮に寄って行ってくれないか。紅茶を入れよう。美味しいぞ」 - 61123/01/26(木) 22:06:08
紅茶、という言葉に、一瞬、彼の眼差しが柔らかく溶けたのもわかったが、その目つきはまたすっと眇められて
「君たちに何事もなければそれでいい。じゃあ」
くるりと背を向けて帰ろうとするものだから、
「ちょっとだけ、ちょっとだけ待っていてくれないかな。茶葉を持ってくるよ、君の部屋で淹れてくれたらいい」
「…………」
帰りかけていた足が止まって此方を振り返ってくれたから、急いでラウンジに走って、未開封の紅茶葉の一袋を取り、また大急ぎで彼のほうに走る。
「待っててもらってすまない、はい、どうぞ」
「…ありがとう」
彼は、差し出した紅茶の袋ではなく、私の手を取ってそこに唇で触れた。
………………え?
「紅茶、いただくよ。じゃあ。」
一瞬で力の抜けた私の手からするりと落ちそうになった袋を流れるような仕草で受けとめて、今度こそ、彼は帰っていった……行ってしまったのだけれど、いや、ちょっと、ま、待ってくれないか!
こういうお友達の始め方って、あるんだろうか?
膝からも力が抜けて、多分真っ赤になってしまっているだろう自分の顔を覆って、私はしばらくそこから動け、なかっ、た……… - 62二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 22:10:00
このさりげなく流れるように自然すぎる王子様ムーブ…
さすが4号 - 63123/01/26(木) 22:21:49
軌道調整にアリヤパートを入れました
そしてご要望ありがとうございます。
そうかー完全に世界線を分けてティルアリ4アリ両方という手があるのか…
ただちょっと自分の力量的な意味で自信がないのと、22時時点でハート数も同数なので、ここでダイス振らせてください…
1. 4号ルート復活(災厄ルート復活ともいう)
2. ティルアリ4アリ両方、世界線は完全に別ルート
dice1d2=1 (1)
- 64123/01/26(木) 22:27:19
- 65二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 22:31:09
乙乙、どっちのルートも楽しみ
マイペースで頼む、応援してる - 66二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 05:47:55
乙
自分のペースでお願いしますね - 67二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 10:56:24
続きめちゃ楽しみ
とにかく厄いペイル社は草 - 68二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 15:57:33
なんだかんだでハッピーエンドならヨシ!
- 69二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:42:21
- 70123/01/27(金) 19:38:27
危うく飛び出さなかった自分を褒めたい。
さっき、アリヤがラウンジに走り込んできたと思ったら、此方には全く気付かず茶葉だけを取ってすぐまた出ていく。
もっとも、こっちも部屋の隅で背中を丸めてタブレット画面に見入っていたから反応が遅れたし、そのうえ、最近は髪を括り上げていないと誰かがそこにいるということにさえも気づかれなくなってきたようなので、仕方なかったのかもしれないが。
立ちまわりが遅れたが、見るべきものは見た。
エラン・ケレスがアリヤの手を取って、そこに…………、キスした。
飛び出して行きかけたが、二人の思い出の邪魔にするのは良くない気がしたし、割って入ろうとしたところで、もう、彼は立ち去っている。
そのまま、アリヤが立ち上がれなくなってしまっているのを支えに行きたいが、どうにも、行くに行けない。
いったいどんな顔をして行けばいいんだろう。
昨日、一年生たちがラウンジに入るに入れなかった気持ちまでちょっとわかって、腹立たしくさえある。
こんなことなら、皆に見られているとわかっていても、もう一歩先に進んでおくんだった。
対抗意識が燃えて、そうだ、別に今からだって遅くない。
彼のことが好きでいるなら、彼女は触れられるのも嫌がっただろうけど、腕の中で子猫みたいにおとなしく撫でられてくれた。
……よし。
「アリヤ」
「……ティル」
此方が一部始終を見ていたのを悟ったように目を見開いて、膝に両手をおいてぐいっと力を込めて立ち上がり、
「なあ……お友達の始め方って、難しいな?」
「お友達?」
「うん」
うん、と頷きながら、さっき彼が口づけた指で自分の唇に触れているのはどう考えたら良いのか。
だが、アリヤが彼を友達というなら、
「エラン・ケレスのことをちょっと調べてみた。部屋で説明するよ」
抱えていたタブレットを振って見せた。 - 71123/01/27(金) 19:40:45
間を開けてしまってすみません!
応援保守ご協力、ありがとうございます……って、めちゃめちゃ素敵なイラストまで!?!?!?
嬉しいです、今後も頑張ります
しばらくアリヤは二人の間で揺れ動くと思いますが、見守っていただければほんとにありがたいです - 72二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:20:08
いいぞ…いいぞ…
- 73123/01/27(金) 21:00:18
タブレット画面に表示させたのは、ここ最近の決闘オッズの推移グラフだ。
トップは常にグエル・ジェタークで、その後にグラスレー寮の女子最強チームが続く。
グラスレー寮長のシャディク・ゼネリは決闘数が少なくても高ランク扱いで、偶発的な要素が多い決闘のデータの他、公表されているパイロット科の成績表も加味されている。
エラン・ケレスは意外なことに、それほど強くはない。
入学以来、トップ10に入りそうで入らない、上位ではあるけどいつ落ちてもおかしくないあたりをふらふらしていた。
それが急に成績が良くなったのがここ数週間のことだ。
「ふむ……機体はペイルのザウォートで、少なくとも外見は同じだな。プログラムのバージョンアップが?」
「もちろんその要素は外せないけど、これがしばらく彼が成績を上げだすちょっと前の決闘で、負けてランクをかなり下げた時のペイルのパイロット。
アリヤは、どう思う?」
あえて、「エラン・ケレス」という名前を言わずにアリヤに尋ねた。
決闘の録画画面の中の彼は、負けた悔しさか、ヘルメットを地面に放り捨てているのだけれど、まず、その耳にタッセルピアスはない。
顔かたちは確かに同じだが、どういうわけか受ける印象がまったく違っている。学生なのに、なんとなく老人めいた雰囲気を漂わせて、ヘルメットの投げ方も力が入っていない。
まさに投げやりで、逆に言えばたかが学園内の決闘に負けただけで、命を取られるわけでもないだろうに項垂れすぎだ。
「……■■は、こんな怒り方はしなかった。物静かなのに意外と意地を張る男の子だな、と思うような、感情がもっとわかるような、怒り方をした。
何より……ただ、この人の表情も仕草も、■■とそぐわない。別人だ」
やはり、そう思うのか。
アリヤは、録画画面のカレンダー表示を確かめて、それこそいつものおっとりした彼女にそぐわない冷たい声で、
「入学の時から、エラン・ケレスはこの学園にいたのに、突然、占いが■■の存在を示した時と一致する。
……そして、たぶんいつか、突然この学園から消えるんだな。
消えても、誰にも気づかれず、エラン・ケレスは学園に居続けるんだな……」 - 74二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:33:39
するどい!
- 75二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 08:37:51
曇るアリヤは見たくねぇ…
- 76123/01/28(土) 10:03:10
もらった紅茶を、どうしようか。
ペイル寮に戻りながら考え込んでしまった。
今の部屋には、紅茶を入れられるようなポットも、飲むためのカップも、湯を沸かせる設備だってないんだ。
寮の厨房スタッフに言えば、ペイル社筆頭パイロットということになっている僕のために、紅茶は淹れてはもらえるだろう。
けど、MSパイロットの体調管理を担当する厨房は、学生が持ち込む食品は徹底的に検査したうえ、何かのサプリメントでも追加してくる気がする。
たとえ悪意のない加工でも、この紅茶にそれをされるのは嫌だ。
悪気がある場合は、見えないところで袋の中身を入れ替えられる可能性だってある。
もう、全てを管理されていることに慣れて、あらゆることを諦めていたはずなのに、「紅茶を飲みたい」というほんの小さな欲をかなえられないことにこんなに苛立つなんて。
そして不思議なことに、この苛立ちに、少しだけ、ふんわりと、何か、表現しがたく心地良いものが混ざっている感覚がある。
それはそれとして、本当にどうすればこの紅茶を飲めるだろうか。
「……そうだ、あそこがある」
決闘委員会のラウンジだ。
ここに参加しておくのもペイル社の命令のうちだけど、命令を喜んだのはさすがにこれが初めてかもしれない。
ラウンジを覘けば、幸いにして誰もいない。
そして隅には茶を淹れられる程度のキッチン設備もある。
湯を沸かしている間に、袋の封を切って、ティースプーンで二杯、ポットに落とす。
僕は紅茶の淹れ方を知ってる。覚えてる。
「美味しい紅茶の分量は、一人にひとつ、ポットに一つ。つまり、人数分にプラス一杯するんだよ」
耳奥でよみがえるのは、確かに、彼女の声だ。
せっかく、思い出した名前を僕は自分の選択でまた忘れた、そのはずだ。
巻き込みたくない、巻き込みたくないのに、どうしてまた記憶はよみがえってくるんだろう。
紅茶の香りが、味が、さらさらと、今の僕と昔の僕の間にある壁の厚さを削ぎ取ってゆく。
「……アリヤ」
僕は、再び彼女の名前を口にした。 - 77二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 10:07:19
この少女漫画のような切なさと甘酸っぱさ好きすぎる
- 78123/01/28(土) 10:08:44
非情な運命を前もって察知しちゃうのは占い師の宿命なので…
それにしても毎回読みづらい長文を読んでくださる皆様に感謝です
毎回、投稿してから「こんなはずじゃなかった」と思います、すみません… - 79二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 16:57:02
ボリューム感あってめっちゃ楽しんで読んでるぜ
- 80二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:55:50
それから特に事もなく、エランのことは気にかかりながらできることもなく、数日。
「はあああ!? 決闘だって? 地球寮がそんなことに巻き込まれるなんて、青天の霹靂もいいところだよ?」
授業から帰ると、同学年のマルタン・アップモントが絶叫しているところだった。
傍らではアリヤが占い盤の前でうずくまって頭を抱えているが、その上には石は振られていなくて袋の中にまとまったまま、占いの結果に悩んでいるわけではなさそうだ。
「………?」
不審顔をマルタンに向けると
「アリヤの占いが当たりすぎるのが悪いんだ。
決闘するのはグラスレー寮とブリオン寮なんだけど、勝った方がアリヤをそっちの寮に引き抜くっていうんだ。
決闘にはそれぞれ何かを賭けることになっているだろ? 金、謝罪、女、有能な経済アナリスト」
「経済アナリスト?」
「時々、他の寮の子らのことも占ってやってたのは知ってたけど、恋占いとか可愛いやつだと思ってたら、親会社の株価動向とか融資とかさあ……全部的中させてたらそりゃ経済アナリストだよ」
マルタンのあきれ果てたような声に、拗ねたような目でアリヤは顔を上げて
「占いは万能じゃない、聞かれたことにしか答えられないんだから全体像が見えないとか、専門的な考察なんかできないとか、いろいろ説明したんだが聞いてくれないんだ。
……どうしよう、ティル、地球寮から出られるのは出世だ、なんて言う人たちのところに、私は行きたくない……」
ここしばらく、彼のことを思い悩んでいるのか暗い顔ばかりしていたのが、今はこんな困り顔でも明るく見えて、ちょっとほっとした。
「とりあえず、グラスレーとブリオンには好きなようにさせれば?」
「ティル!」
「どっちが勝っても、その後で、アリヤのために決闘してほしいって頼みに行こう、エラン・ケレスに」 - 81123/01/28(土) 22:57:49
皆様のお言葉本当に励みになります、ありがとうございます
なんで自分の文章はこんな改行しにくい文章なのか…… - 82二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:00:45
アリヤ先輩は強キャラ(確信)
んでもって、会話からにじみ出る、マルタンティルアリヤの関係性の感じがすき - 83123/01/29(日) 00:03:09
今度はペイル社の整備車庫は避けて校舎から続く居住棟から入り、エラン・ケレスに取次ぎを頼んでみた。
今になって、最初にここに来た時もずいぶんアリヤが堂々としていた理由が分かった。
地球寮のメンツを、アーシアンというだけでさげすむ奴らもいるにはいるが、アリヤには好意的な女子生徒がちらほらいて、向こうから声をかけてくれさえする。
「あれ、アリヤさん、この前はありがとうね。こんなところに来るなんてどうしたの?」
「やあ、君か。あの結果は上手くいっているようで、私も嬉しいな」
などという会話から察するに、恋占いが上手く出た子たちなのだろう。
ペイル寮の来客ラウンジに通してくれて、呼び出しアナウンスをかけてくれた。
取り次いでくれた女子生徒は、
「最近のケレスさん、なんか人づきあいが悪いんだよね。
前からそんなに良い方じゃなかったんだけど、最近、ますます人を近づけない感じになってて。来てくれるかどうかわかんないよー……って、え?」
あまり待たずに、彼が部屋に姿を表したことに驚きつつ、ごゆっくりー、と去っていった。
地球寮から見れば、ペイル寮は広いし施設が整って充実しているのだけれど、どこか無機質な印象を受ける。
居住棟なのに、整備施設や研究室のような雰囲気で、そこに立っているエランはなんとなく外で会った時より儚く見える。
「突然すまない。でも、君しか……エランしか頼れる人がいなくってな」
アリヤが事情を話せば、彼はあっけないほど軽く頷いて
「いいよ、受けよう。グラスレーとブリオンの決闘の後でいいんだね。それなら時間もあるな」
顎に白手袋の指先を当てて軽く首を傾げ、いつもの眇めたような目つきで此方を見据えた。
「ティル・ネイス。君に、その決闘のスポッターを頼みたい。いいかな?」
……誰に、スポッターを頼むって? - 84二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 08:04:02
面白くなってきた
- 85123/01/29(日) 11:01:16
「会社命令の決闘の時にはペイル社から指定MSとそれに伴ったスポッターが付くけど、それ以外の時には量産機で、スタッフは自分で集めることになってる。
君はメカニック科だからちょうどいいと思ったんだけど、違ったかな?」
2年生だと座学と基礎実習をちょっとやった程度だが、そんなことは言っていられない。
さっき、彼が「時間がある」と言ったのはお互い練習の時間があることも見込んでのことだろう。
「わかった。でもこちらも授業程度でしか経験がない。合わせる時間はもらえるかな」
「これからでもいいよ。うちの寮のトレーニングルームが自由に使える」
「それは助かる。じゃあ、アリヤ、君には機体整備のほうを重点的に頼む」
「ありがとう、二人とも……ほんとうにすまない、私なんかのために。」
「「なんかじゃないから」」
二人の声が揃った。
目を見かわして、互いに頷いた。
そして後日、対戦相手になったのは、
1. グラスレー寮2年生女子
2. ブリオン寮3年生男子
dice1d2=2 (2)
- 86二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 12:54:17
- 87123/01/29(日) 13:42:23
決闘当日、第13戦術試験区域。
エランはパイロットスーツに身を包んで、ティルはピット最上階のスポッタールームへ。
私は1年生のニカに頼んで、一緒にザウォートのピットに機体整備に来てもらった。
「ふふふふふ嬉しいです! まさかペイルの機体整備ができるなんて! 資料を見るだけなのと、実際触れるのは全然違うわ」
「さすがニカ、1年生とは思えない知識量だよ。これまで、どういう勉強をしてきたのかな?」
「ふふっ」
ニカが秘密めかして笑ったところに、決闘委員会ラウンジのアナウンスが入った
「勝敗は通常どおり相手モビルスーツのブレードアンテナを折った者の勝利とする。
立会人はジェターク寮のグエル・ジェタークが務めてやる」
整備ピットからは肉眼でも見えるけど、私たちは多角モニターに見入った。
チーム内専用音声からはティルの声が聞こえてくる。
「戦術試験区域の環境設定情報入手、コリオリ補正正常。搭乗機のバイオインフォ識別完了。パーメットリンク良好」
それからエランの声で
「KP0002、エラン・ケレス。ザウォート、出る」
MSが発出されて、戦術区域内に砂埃が舞った。
オジェロたちの話では、今日のオッズはエランが1.1倍、ブリオン寮が2.8倍で、正直なところ非常に安心してみていられる決闘だ。
「でも、モテるって大変ですねえ。
今日はエランさんが勝つでしょうけど、そうしたら学園中、アリヤ先輩はペイル社筆頭パイロットの彼女扱いになっちゃいますよ。
……ティル先輩は、いいんですか?」
ニカには、この前、ティルにだきしめ…………だき、いや、慰めて、励ましてもらっているところを見られたのだった。
「いや! いやいやいやそそそそその事態を避けるためにも決闘の宣誓にはティルに出てもらったんだからな、魂の代償をリーブラに、とやるあれだ、あれだ、あれ、決闘者はティルでエランは代理決闘者なのを了承済みで、だから、うん、ハハハ、ブリオン寮は地球寮など簡単につぶせると思っていたようだったからな、エランがティルの後ろから出てきた時の顔を地球寮のみんなに見せたかったぞ!」
ブリオン寮の代表を、今の私は笑えない。
自分がどんな顔をしているか、恥ずかしくて考えられない。
「じゃあ、………あ!」
ニカが何か言いかけたところで、決闘終了のサイレンが鳴り、ドーム上空にエランの名前が表示され、勝利が宣言された。 - 88123/01/29(日) 13:46:03
- 89二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 21:43:59
- 90123/01/30(月) 00:13:04
ティル・ネイスの敵位置情報のタイミング送信は絶妙だった。
今日の相手はデミギャリソンの改良型、大型推進ユニットを積んでいて、もし地上戦から空中戦に発展していれば意外と危なかったかもしれない。
地上戦から空中戦へ、つまり2Dから3Dの戦闘に切り替わる際の操縦負担は自分自身の姿勢コントロールも含めて倍加する。
敵機がそこに引っかかっていたのを見極めてサインをくれたからこその秒殺だった。
もし、僕がほんとうに普通の、ただの学生パイロットなら、チームメンバーとして常に帯同を頼んでいたと思う。
もちろん、そんなことは叶わないけれど。
諦めるべきことばかり日に日に増えて、それでも、仮初の自由だけれどそんな空気が吸えて、一人でいる時間が耐えやすくなる。
戦術試験区域付帯の更衣室でパイロットスーツから制服に着替えて出ると、廊下で彼が待っていた。
ティルは僕と同じように無口だけれど、僕とは違って笑うことに屈託がない。
にこっと、軽く目じりを下げて片手を差し出して
「今日はありがとう。秒殺で、素晴らしかった。
アリヤも、引き抜きの話は取り下げられた。ずっと、僕…僕たちのアリヤだ」
僕たちの、アリヤ。
この手になら彼女を安心して預けて僕はいけるのだろう、などと考えていたのに、差し出されたそれを握れば、妙な野心めいたものが湧いてくる。
「こちらこそありがとう。彼女はずっと、地球寮のアリヤだね」
ぐ、と握手の手に力が込められたのが分かった。
しかし、アリヤの紅茶とはまた違うが、彼の握手にいろいろな感覚が呼び覚まされるのは何故だろう。
もしかして、彼も昔の知り合いだったりしたのだろうか。
「……?」
つい、顔をよく見てみたくて彼の顎に手をかけた。
眺めてみたが、特に記憶は刺激されない。
もっとよく眺めれば何かよみがえるかと顔を近づけてみたが、闘志なり感謝なりの感情はわくもののの、何らかの記憶につながるものは見いだせない。
「おや、二人とも、まだこんなところにいたのか。
今日はありが、と…………!」
整備庫ピットからやってきたアリヤが真っ赤になって絶句している。
アリヤに何らかの誤解をさせた気がする、けど、楽しい。
僕が送ってみたかった学生生活の一日、だった。 - 91123/01/30(月) 00:38:06
- 92二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 02:57:56
厄災きたー!!ダイス神は欲張り!!
- 93二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 06:38:29
エラン様はこういうことを思う―――かな?
よく知らんわからんが - 94二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 09:40:16
うおおお
絵に前後のストーリーが付いた…
ありがとうございます(成仏) - 95二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 17:05:02
ンモー読者もスレ主もダイス神も欲張りなんだからー
これは期待 - 96123/01/30(月) 23:18:14
いいな―――いい、実におあつらえ向きじゃないか?
ティル・ネイス、現在は地球寮、推薦企業はというと、ああ、これか、ベネリットグループ内のランキングは100位すれすれ、中の下にとどこうとして届かない、下の上あたり。
ペイルの声がかかれば平伏承諾してくれるだろう。
もちろん、移籍だよ。
メカニック科だけどまだ2年生で、本格的なスポッターの授業は進んでいなかったのに、ここまでの才能を見せれば大企業から引き抜かれてもおかしくはないと思うぜ?
そうだよ、こいつにはちゃんと地球に家族がいて、推薦企業にも、学園にもしっかり記録がある。
さすがに、戦時下の混乱地からそこらをふらふらしているガキを拾ってくるのとは訳が違うんだ、手順を踏もうじゃないか。
なあ、"俺"、強化人士4号。
知ってるぜ、お仲間が欲しいんだろう? 強化人士の仲間が。
こっちも欲しかったんだ、スポッターになる強化人士が。
宇宙空間360度での索敵と最低限の防御、MSの姿勢制御、ジャミングの発生と突破、時にはMS内部の環境調整、こういう戦闘以外の仕事も全部パイロットにおっかぶせるからデータストームなんて起きるのさ。
パイロットとスポッターとのパーメットリンクで、互いに干渉せず、なおかつスムーズな情報共有をもっての戦闘が可能になる。
それからこっちも……この子こそ掘り出しもんかもな。
アリヤ・マフヴァーシュ、石占いというのは本人も騙されてる目晦ましかもしれん。
この的中率と精度の高さは、今がアド・ステラじゃなきゃ「ニュータイプ」って呼ばれる人種かも、な……いいや、ここから先はお前の知ったことじゃない。
ま、この子も移籍交渉には苦労なさそうな企業の推薦だ。
どうだ、嬉しいだろう、彼女にしたかったんじゃないのか?
いつでも会えるようになるぞ、これから、な――― - 97二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 23:20:57
ニュータイプ知ってるとかエラン様何者…?
- 98123/01/30(月) 23:29:03
スレ主です。
最初から捏造幼馴染設定ですので、今更っちゃ今更ですが、今後また捏造設定が増えます
・エラン様は実は4BBAより、もしかしたらきっとたぶんアド・ステラの誰よりも年寄り設定を採用
・4号君は記憶の蘇り(という言い訳)とともにキャラブレ発生中、今後ブレ増大の見込み
・今後もティルアリ成立の可能性はありますが、このcpに求められる穏やかな雰囲気は減少の見込み
他にも色々出てきそう……
だいぶ本編と乖離した着地になりそうですが、それでもお付き合いいただければありがたいです - 99二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 05:41:00
これはガンド技術で本来の肉体を捨てた老人エラン様
- 100二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 13:17:50
やっぱペイル厄すぎる
- 101二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 19:49:17
ティル君意外と表情豊かで良いよねえ
幸せになってほしい - 102123/01/31(火) 20:48:35
保守ありがとうございます
所用でちょっと投稿できませんでしたが明日には必ず
代わりにという訳じゃないですが
二人の間で揺れてるアリヤさん
今のお気持ちは?
1. 二人にイーブンです
2. 針が2度くらいティルに振れてる
3. 天秤が3mmほど4号君に傾いてる
4. スレ主にも秘密だけど彼一人が好き
dice1d4=1 (1)
- 103123/01/31(火) 20:49:10
ああ、うん、まあそんな気はしてたよ
- 104二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 03:50:37
いい具合にトライアングラーしてきた
- 105二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 11:07:26
スレ主にも秘密は笑った
- 106123/02/01(水) 21:52:57
「ええー? 今度はペイル社? アリヤの引き抜きもだんだん青天の霹靂じゃなくなってきた感あるね」
地球寮のラウンジで、マルタンは今度は感心したように肩をすくめているところだった。
アリヤも、やっぱり占い盤の前でうずくまってはいるけど、前ほどダメージを受けている風ではなく、此方を見た。
どちらともなく、
「そっちにも、きた?」
「うん。二人同時ってことか」
マルタンはこの短い会話に首をひねって
「なになに? 二人ともペイル社から勧誘来てるの? 君ら、推薦企業は別々だったよね?
ま、そうか、この前の決闘じゃティルのサポートは完璧、そもそも決闘理由がアリヤの引き抜き、あーあ、地球寮も寂しくなるよ」
「「決めてない!」」
二人そろって大声を出したのにマルタンが息をのんだのが分かった。
「すまない、マルタン。
これは何かの間違い、そうでなければ、罠なんじゃないかな。
……私たちは、地球寮を出ることはないよ」
もしかしたら、学園からいなくなるかもしれないが。
不吉な考えが脳裏をよぎった瞬間、二人の生徒手帳から同時にコール音がして、思わずびくっと背筋が震えた。
二人で視線を見かわし、ただ小さな画面を見るだけのことに勇気を振り絞って手帳を取り出す。
画面に表示されていたのは、
「「……シャディク・ゼネリ?」」
さっきは多少うらやましげだったマルタンが、
「え、マジで? まったく二人ともモテすぎじゃない?」
今度は明らかに不信感たっぷりに
「ほんとに、二人とも僕の知らないとこには行かないでよ、ね?」
その頼みにこたえられるかどうか、誰にもわからない。 - 107123/02/01(水) 22:06:40
呼び出し名は確かに御三家の御曹司とみなされるシャディク・ゼネリだったが、呼び出された場所は決闘委員会ラウンジで、迎えてくれたのはエランだった。
「二人とも、驚かせてすまない。
けれど、僕の生徒手帳を使わず、なるべく奴らに感づかれないところで話をしようと思ったらこれくらしか思いつかなくて」
広いラウンジには、機密保持を要する会議もできる小部屋もある。
案内されながら、遠くの窓際から長い金髪のシャディクがエランに向かってひらひらと手を振って見せている。
アリヤが、本当にいいのだろうか、というように二人を見比べるが、エランは無表情で彼女の肩に手を置き、その小部屋へと促した。
ぱたり、と扉を閉じたところで、ふっと彼の背中から緊張が解けたのが分かる。
「アリヤ……アリヤ。
もう一度、僕の名前を、呼んでくれる?」
「なんだ、そんなことを言うためにこんな呼び出しをかけたのか?
いつも本を読んでいる大人しい子だと思ってたら、突然、やんちゃな男の子になる、■■」
二人で手を握り合って見つめあっている。
今度こそ二人の間に割って入ろうかと思ったが、エランは
「アリヤ、君の声で呼んでもらうと、色々なことを思い出す……僕の脳細胞はパーメットによって喰いつくされた、と思っていたんだ。
もう、記憶は壊れていく一方で蘇らないと思っていた。
けれど、本来、パーメットは互いに情報を共有しあう性質を持つものだ。
僕自身の記憶を奥底で保持していて、君の声がそれを……僕自身を蘇らせてくれるんだね」
「……何を思い出したんだ、■■?」
「君たちを、ここから逃がしたい。
すまない……巻き込みたくないと思っていたのに、結局、僕がアリヤの傍に居たくて、巻き込んでしまった」
「ここ、というのは学園から?」
「そうだね、学園から」
「待って、アリヤ……エランも」
なんとなく、アリヤ以外の人間が■■の名前を呼ぶのは違う気がして、あえて今の名前で彼を呼んで
「ペイル社は何をしようとしているのか、言い換えると、エランはいったい何の盾になって俺たちを守ろうとしてるのかな?
それを、はっきり聞いておきたい」 - 108二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 07:32:54
ここで踏み込めるのがティルっぽい
- 109二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 08:39:15
一歩どころか二、三歩踏み出せる男達つよい
- 110二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 18:44:51
保守る
- 111123/02/02(木) 18:54:39
保守ありがとうございます
外から投稿しようとしたらIPの壁に阻まれた - 112123/02/02(木) 18:56:14
部屋の中にはワゴンがある。
その上には、私がこの前、■■にあげた紅茶の袋。
こんな時なのに、封が切られているのが嬉しくて、なんだか頬が緩んでしまうな。
ポットと、カップが三つ。
ポットの中に、落とされる茶葉はスプーン四杯。
私が昔、彼に教えた淹れ方を、これで合ってるよね?と問いたげな視線を向けて、私が「ああ」と頷くと安心したように目元が緩む。
記憶の再確認ができた、ということかな。
でもまだ笑顔を取り戻したようではないのだけれど。
静かに紅茶を淹れながら
「僕の、ペイル社内部での呼ばれ方は、強化人士四号、という。
君たちは、かなり昔に禁じられた、GUND-ARM技術というのを知っているだろうか。
パイロットの身体の延長としてMSを操縦するパーメットの利用技術だけれど、そのパイロットの身体には過大な負荷がかかるんだ。
情報を共有する性質のパーメットは、人体の情報の集積地である脳髄を侵食して廃人に追い込むし、場合によっては破壊、即死にも至る」
淡々と話す彼が大事な説明をしているのはわかるのだけれど、私は、彼の呼ばれ方に耳が打たれたような気がして、理解が追い付かない。
「君を、なんて呼んでるって?」
隣のティルも思いは同じようで、問い直す。
「強化人士四号。パーメットの侵食に耐え、GUND-ARM技術の実験に耐えうるよう調整された被験体のことだよ。人間のことじゃない。
侵食に耐えるといっても普通の人よりは、というだけだ。僕の前に、3人が使い捨てされた」
紅茶が注がれたカップを、私と、ティルの前に何でもないように置きながら、■■の表情は変わらない。
変わらない表情の横で揺れる、タッセルピアス。
房飾りは、邪気を払うお守りだから、と願いを込めたのにな。
私が、そう願って作ったのにな。
うつむいたら、涙が紅茶の中に落ちそうになる。
横からティルの手が伸びてきて私の目元を静かに拭って、ちょっとだけ抱き寄せられた。
ティルもそうしていながら動揺してるようなざわめきが腕から伝わってくる。
「つまりペイル社は、俺たちを、君の次の強化人士にしようとしてる?」
「次の、ではない。奴らは、MSと人体との連携から、人体同士の連携の実験に移ろうとしている。
僕がまだ機能している間に、君たちにも検体処理を施すつもりだろうね」 - 113二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 21:31:36
香ばしくなってきやがった…
あとティルの一人称って僕じゃなかったっけ? - 114二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 21:36:33
ラウダが有名すぎて隠れているけど、ティルもまだ一人称判明していないよ
- 115二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 21:39:04
何話か忘れたけど数少ない台詞で僕って言ってた記憶あるんだが…
- 116123/02/03(金) 01:44:16
ティルの一人称はまだ判明していないはず…というのと、4号君との差別化で「俺」にしました
一人称使わないで書き続ける限界がきてしまった……(ガクリ) - 117二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 01:51:49
本編開始前は俺だったのかもしれないから…
- 118二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 05:56:14
仕方がない仕方ない
- 119123/02/03(金) 08:06:56
私とティルが愕然としている間にも、■■は説明を淡々と続けている。
「だから、もう一刻でも早くこの学園から逃げてほしい。
そしてペイル社の追跡をかわすのに、個人は無力だ。別の御三家の手に頼らざるを得ないと思う。
アリヤ……アリヤ、ここで君自身に頼りたい」
■■は差し向かいに挟んでいたテーブルをぐるりと回って、ティルとは反対側の私の傍らに立つ。
私の髪飾りのタッセルに触れ、
「この点に関しては、どうも奴らが正しいらしいのが悔しいんだけど……君の能力は、発現形態を占いという形に託している、無意識が実存に接触するサイコ・コミュニケーション、じゃないかな。
少しでも、希望の確率が高いのはどの道か、占いを頼みたい」
据えたような、やっぱりエラン・ケレスが昔の■■だと思ったのは何かの間違いだったんじゃないかと思うような目つきで私を見る。
口を開きかけたけれども、私より早くティルが、
「ちょっと待った。グラスレーにしろジェタークにしろ、こんなことタダで、信憑性もなしに協力するはずがない。
エラン、君は今の話を、つまり君自身をそちらにも売るつもりなんじゃないのか?
君を売り渡す先をアリヤに占わせるのか?」
「違う。アリヤ自身の未来の、より希望がある方に進んでほしいだけだ。
ティル、君になら彼女を託せる」
「いやいやいや、ちょっと待ってくれないか、二人とも」
いつも無口な二人が口争う只中にいるのは精神的な圧が甚だしい。
私はわざと大げさなため息をついて、私の肩を抱いたままのティルの腕に触れて、
「二人とも、もしここで私が『私は■■と一緒に未来の道に進みたいぞ』とか言ったらどうするつもりなんだ?」
ティルがはじかれたようにその腕をひっこめて、■■は心なしか狼狽えて、ちょっと赤くなった。
うん、また少し昔の面影が表情に見えるようになったな。 - 120123/02/03(金) 08:07:36
「なあ、■■、ティルの言うことは正しい。
この先、■■一人が売られるようなことがあったら、たとえこの先ティルとの平穏な未来が待っていたとしても、ずっと君を見捨てた罪の意識で、本当には幸せになれないよ」
■■がほとんど聞き取れないような声で、アリヤの心の傷になるのならそれはそれで、というようなことを呟いたような気がしたが、それは無視して
「そもそもだね、占い師は自分自身のことを占えない。
自分で自分の顔は見られないようなものだよ。鏡に向かう顔は世界を向いてる顔じゃない。客観視ができないから正しい結果を読み取れないんだ」
「じゃあ、どうすれば……?」
「うーん、そうだなあ、何を占うかを占ってみようかな?」
私は二人を煙に巻いておいて、占い盤を広げ、石を振る準備をした。
「何を占うか占う」というのは方便だ。
占いも、自分が何についての答えが欲しいか、対象がはっきりしていればいるだけ石が示すものをはっきり読める。
私は、私自身のことは占えないけど、今、目の前にいる二人のことなら。
―――より光の強い方にもう一人を託そう。
未来に、より強い希望の光が見えるのは、二人のうちどちらだろう?
1. ティル
2. ■■
3. エラン・ケレス
dice1d3=2 (2)
……なんだ、これは。
私は二人のことを占ったのに、何故、石の選択肢が三つに増えている?
- 121二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 17:48:23
やはり幼馴染パワーは強い
- 122二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:23:21
保守
- 123123/02/03(金) 23:24:56
石を振ったアリヤの目線が、動揺で揺らいだのがわかった。
祖先から受け継いだ占い――エランの言うサイコ・コミュニケーションじゃなく――に絶対的な信頼を置く彼女は、今、きっと自分自身を信じられないでいるのだろう。
さっき、アリヤの言葉でつい引っ込めてしまった手を、また、なるべくそっと彼女の肩において
「アリヤ、何を占った?」
なるべくそっと聞いてみた。
アリヤは此方を見上げ、瞬き一つ。いつもの落ち着いた表情を取り戻して
「ティル、好きだぞ」
「………………ッ?」
意表を突かれすぎて言葉が出なかったが、彼女はすぐエランのほうを向いて
「■■も、とても大事で、大好きだ。
占い師が自分のことを占えないのは、客観視ができなくて、正確な読みがブレるから。
つまりだな、自分に近い人であればあるほど……好きな人であればあるほど、占いからは客観視が欠けてゆき、核心から外れてしまうんだ。
自分じゃなくて、二人のことなら……と思って占ったけれど、ダメみたいだな、私は、二人が好きすぎる。
ティルも、■■も、好きだ。……大好きだ」
泣きたいような顔で微笑む彼女に、何が言えるだろう。
エランも、俺が置いたのとは反対側の彼女の肩に手を置いて静かに屈み、
「……すまない。アリヤに無理を強いたんだね」
アリヤは、そのエランの手に自分の手を重ねて、首を横に振った。
近く寄せられた、その繊細できれいな顔を振り仰いで
「無理とかじゃない、■■。実は可能性がもう一つあるんだ」 - 124123/02/03(金) 23:32:22
アリヤは、エランの顔を静かに眺め入っている。
「なあ、■■。君があまりにも昔と同じ表情でいるものだから見過ごしてしまっていたよ。
今のその君の顔は、つまり、『エラン・ケレス』の顔なのか?」
アリヤの言葉に、エランは苦しそうに瞬いて
「……そうだよ。アリヤといると、僕もそのことを忘れていられた。
ペイル社の強化人士は、本物の『エラン・ケレス』の写しとしても作られる」
「じゃあ、やっぱり」
「やっぱり?」
「やっぱり、石の選択肢は間違っていなかったんだ。
だったら、私はもう一つの可能性を信じようと思う。
私は、大好きな二人のことを占って、正確に読み取れたんだ。
私たちの未来は、全部■■に託して進みたい」
「……アリヤ」
エランは彼女の手をそっと取って指先に口づけた。
今度のキスには、アリヤはただ嬉しそうにはにかんで頷くだけで、動揺してへたり込んだりはしなかった。
うん、前から分かっていた気はしたけどやっぱりそうなのか。
俺は、一つ深呼吸して
「二人とも。
今は、俺たちがろくでもない実験台に掛けられる瀬戸際の話をしてるんじゃなかったっけ?」
二人に無粋な割り込み方をした。 - 125123/02/03(金) 23:33:23
いつも保守ありがとうございます
ほんとに幼馴染パワー強かった - 126二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:02:46
ほ
- 127二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:23:40
2人の美男を惑わす魔性の女だなぁ()
- 128123/02/04(土) 14:56:24
感想ありがとうございます
「迷ったらダイス振ればいいかー」と思って書き始めたのに、結局ダイスの選択肢で迷うようになってしまった…
アリヤの意志をダイスで決めちゃっていいんですかね?
だいぶ4号君に傾きましたが100%傾き切ったわけじゃないと思う - 129二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 15:02:07
ダイス神の御心のままに
ハーレムエンドでもいいのよ…? - 130123/02/04(土) 15:30:45
はーれむ…
もうだいぶ本編には立ち戻れないところまで来ちゃったし、タイトル詐欺になってきたし、今更ですかねー
ダイス神の御心のままにはっちゃけようかと思います - 131二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 21:01:23
祝福で埋め尽くしてRIPまで逝こうぜ
- 132二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 21:02:53
3人エンドでも許される
- 133二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:26:00
嫉妬してしまうティルにニヤニヤしているw
ダイスがどう荒ぶるか分からないけど盛大にはっちゃけてくれ - 134123/02/05(日) 00:40:26
「わかっているとも、ティル」
アリヤの、俺に向ける笑顔は前と一切変わっていない地球寮のアリヤだ。
けれど、何かを吹っ切ったように背筋を伸ばして、石を集めなおして真剣にまた盤に見入る視線はこれまで見たことがない。
俺の知らないアリヤが、生まれてしまったのかもしれない。
「二人とも、いいかな?
私は、私たちの未来を全部■■に託する。
■■、ペイル社の追撃をかわすのに御三家に頼ると言ったが、君の計画をもうちょっと詳しく教えてくれないかな。
ジェタークかグラスレーか、君の胸の内では勝算があるんだろう?」
「……わかった、アリヤ。きっと君たちは反対するだろうと思って、黙っていたことも全部話すよ。
僕がほんとうに頼ろうと思っていたのは実は御三家ではなく、ベネリットグループ総裁令嬢のミオリネ・レンブランなんだ」
「あの温室の令嬢だな? 理由は?」
アリヤはすっかり冷静になってしまって、何を聞いても驚かない。
すでにエランの方すら見ておらず、占い盤をじっと見つめているままだ。
そういえば、さっきエランが彼女を評して「無意識が実存に接触するサイコ・コミュニケーション」とか言っていたか。
危機に際して、ほんとうにそんなものに目覚めてしまったのかもしれない。
「彼女はホルダーのトロフィーになるのを嫌がって、もう何度も学園脱出を試みている。
試みては失敗ばかりしているようだが、それはやはり、バックアップする味方がいないからだ。
学園から出てしまえさえすれば、彼女は地球行きの逃がし屋に伝手がある。
彼女に交渉して、次の脱出行の時に彼女をバックアップしつつ、僕たちも同時に脱出する」
「なるほど、良い手だな」
続いてエランはポケットを探り、何かのデータチップを俺に差し出した。
「これは君に、ティル。
ペイル寮のメカニック用データルームに出入りできるIDと、逃走に使う予定MSのサポート用スペースランチのデータが入っている。
一刻でも早く逃げてほしいが、準備は必要だ。
このデータに則った訓練を積んでおいてほしい。
……僕が、ホルダーになる決闘に名乗りを上げれば、花嫁を獲得せよというペイル社からの指示は守りつつ、少なくとも決闘当日までの時間稼ぎもできる」 - 135123/02/05(日) 00:47:38
「わかった。かなり用意周到だな。俺が他に準備することは?」
「無い。大丈夫だ」
瞬間、ちらりとアリヤが俺を見たのが分かり、俺も瞬き程度の頷きを返した。
エランは、いざとなったら俺たちだけを逃がして自分は盾になるつもりだ。
だが、今はそれは口にしないでおこう。
アリヤも素知らぬ顔で盤面を見つめなおし
「■■に託すのがもっとも希望がある、というのは確かだったな。私もまた自信がついたよ。
一応聞くが、ミオリネ嬢の協力がもらえなかった場合は?」
エランは、今度は親指の爪ほどの割れたデータチップを取り出し、テーブルの上に置いた。
「紅茶ポットのワゴンの天板裏についていた、盗聴器だね。
シャディク・ゼネリがただでこの部屋と、君たちの呼び出しに協力してくれる訳がないと思ったら案の定だ。
だけれど、それでいいと思う。
ミオリネ・レンブランがダメならグラスレーに真正面からこの情報を売るよ」
「なるほど、承知した。それでは……」
石を振る前のアリヤの身体が、かすかに発光したように見えたのは気のせいではないと思う。
1. ■■の計画通りミオリネ・レンブランを仲間にし、ホルダーとトロフィーを装って脱出せよ
2. ■■の計画通りミオリネ・レンブランを仲間にし、決闘を待たず速攻脱出せよ
3. ミオリネ・レンブランを仲間にしている猶予がない。速攻脱出せよ
4. ミオリネ・レンブランを仲間にはできない。グラスレーへ行け
5. 「エラン・ケレス」が来る。
6. 「エラン・ケレス」がここにいる
dice1d6=3 (3)
石を振ったアリヤがはじかれたように立ち上がった。
「アリヤ?」
「ああ、■■、さっきもそうだったんだ。
私は、ミオリネ嬢の協力の可否だけを占っているのに、どうしても『エラン・ケレス』の干渉が入ってくる。
■■、今の君と同じ顔をしているその人は、本当は誰なんだろう?
- 136123/02/05(日) 00:52:36
わー!
いっぱい応援コメありがとうございます、めっちゃ励みになって嬉しいです
タイトル詐欺ですみません、ティルアリ…というよりカプSSとして崩壊してしまいましたが、何らかの決着はつけようと思います。
そして今回のダイス神の思し召しは少年少女の冒険活劇っぽい。わーい。 - 137二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 02:02:30
これはこれでよいぞ
ダイスと主の意志の赴くままに - 138123/02/05(日) 11:11:22
ありがとうございます
人の情けが身に染みる - 139二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 11:20:26
やったー冒険活劇だー!
ダイススレは大変でしょうが頑張って下さい - 140二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:11:51
冒険活劇(CERO-Z)
- 141123/02/05(日) 23:13:31
「……わからない。僕のことを"俺"と呼んで、今の僕と同じ顔をしていて、僕は彼の代わりに学園のホルダーとなってトロフィーの花嫁を獲得することをペイル社に要求されている。
だけど、正体は、と改めて聞かれると……本当に、『エラン・ケレス』は何者なんだろう?」
エランは……いや、もうこうなるとややこしい。俺も、アリヤの幼なじみだった彼のことはもう■■と呼んでもいいかと思う。
■■はパーメットに食われているというその記憶を探るように目を閉じた。
アリヤは首を横に振って
「聞いてすぐにわかることではないなら、時間が惜しい。
その正体がわからないエラン・ケレスは、私たちに花嫁を味方にする時間をくれなかった。
一刻も早く、私たちは逃げるべきだ……御三家も、花嫁の助力がなくても」
石の散った占い盤に目を落とした。
「ミオリネ・レンブランに助力を求めている時間はないということ?」
「そうだな、そうできていればよかったが、猶予がない」
「……君を信じる。行こう、決闘委員会ラウンジから、直接格納庫に行ける。
ティル、さっき渡したスペースランチのデータは持ってるね?
稼働キーも同梱だ、すぐ、フロント外宙域に出るよ」 - 142123/02/05(日) 23:14:36
「おいおい、この俺が"俺"の―――自分の考えていることが分からないとでも?
……いや、まあ、賭けの一種ではあったかな。
お友達と、惚れた女と、差別対象のアーシアンから二人を御三家のペイル社に救いあげてやって、これからも一緒に付き合えるんだ、誰にとってもいい話だったはずだからな、喜ぶと思ったのに」
決闘委員会ラウンジと、ペイル社格納庫を結ぶ通路は限られた人間しか入れない。
■■の説明で直通エレベーターに乗り、以前、地上から行ったことのあるペイル社格納庫を目指した。
当然、通路はただの一本道と、■■の説明ではそうだったはずだが、突然、壁面パネルの一部が開き、人影が現れる。
通路にまばらな間接照明ににじむように照らし出したその顔は、
「……あんたか」
■■とそっくりの顔をした男が現れて、アリヤと俺とは息をのんだ。
話には聞いていたけれど、実際目の前に同じ顔が二つ、対立して並ぶと不気味さが際立つ。
「いずれ廃人になって死ぬことがわかってる被検体になる話で、誰が喜ぶと?」
■■が俺たち二人をかばうようにして一歩前に出たが、アリヤが鋭い声で、
「待って、■■」
アリヤが彼を制し、エラン・ケレスに迫るようにその顔を見上げて
「私には、わかる……あなたは、私と同類なんだな?
ここのところ、わざわざ占わなくても、なんとなくそういうことが感知できるようになってきたんだ」
「へえ、そこまで解るようになってきてたのか。再教育の必要もないかな?」
ニヤニヤ笑う表情は、■■と造作は同じはずなのにどこか弛んだ気配があって、それでいて底知れず、ぞっとする。
「再教育、か……あなたが、本当に欲しいのは私だけだろう?
■■はいずれ消耗してしまうし、■■がいなければペアを組ませるティルに手を出す必要もない。違うか?」
「自分を売るから、男どもを見逃せっていうのか?」
エラン・ケレスがアリヤの顎に手をかけてくいっと上を向かせる。
瞬間、頭に血が上ってそいつを殴り―――
1. ティルも■■も同時にエラン様を殴り倒して気絶させた
2. ティルが殴ってエラン様を拘束した
3. ティルの殴打直後に■■が足払いをかけ、拘束した
dice1d3=3 (3)
- 143123/02/05(日) 23:48:16
「ティル、アリヤ、早く、今のうちに! ドックはすぐそこだ、行ってくれ!」
「あーいててて、乱暴だな、まったく……」
エラン・ケレスの片腕を背中に捻り上げて組み伏せた■■が俺たちに向かって叫ぶ。
しかし、エランが自由の利く方の腕を服の下で動かして、何かのスイッチを押した風な動きをするのも見て取れた。
組み伏せられつつ、うすら笑いまで浮かんでいる。
「一人だけ置いていけない、そうだ、こいつを人質に使えば……」
「ティル、同じ顔の人間を人質にとる効果がどこまであるかわからない。
■■! 必ず、必ず迎えに来る、待っててくれ!」
アリヤが先導するように通路出口に向かって駆け出していく。
走りながらアリヤは
「私たちの未来は、全部■■に託して進みたい、と決めた。
■■がいちばん希望の光を持っているから、だから……今は、急ごう」
アリヤは自分に言い聞かせるようにして、ドックに1台だけ出ていたスペースランチに向かう。
■■からもらったデータチップでそのハッチは開いた。 - 144123/02/05(日) 23:50:08
応援コメ嬉しいです
ダイスSSって、cpラブラブものより冒険活劇向きなことに今更気づきました… - 145123/02/06(月) 09:23:38
脚本の都合ダイス
二人の行手は、
1. モブペイル社員に阻まれそうになる
2. ランチには乗れるけどドックで阻まれそうになる
3. 無事にフロント外宙域に出られる
dice1d3=3 (3)
- 146二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 18:27:06
ダイス神やさしい…
- 147二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 00:06:16
神はハッピーエンドを望んでいる…
- 148二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 09:01:29
ほ
- 149二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 16:23:18
SFファンタジーラノベ感出てきたな!
- 150123/02/07(火) 22:33:45
エラン・ケレス―――僕は、彼をなんと呼ぼう?
僕と同じ顔と存在を分かち合うこの男。
曲がりなりにも、僕を戦災孤児からエリートと呼ばれるパイロット科のトップランカーに引き上げた男。
パイロットの実力は僕のもののはず、でも、結局はこいつが「本物」のエラン・ケレスとして通っていくのだろう。
今までに、知らずに捨てさせられたものも多かった、と気づいた時には遅かったけれど、アリヤ、君はティルと一緒に逃げられたね?
出口の気配を伺っていれば、何か警備チームの怒声めいた響きが聞こえた後、宙域推進エンジンを積んだランチの振動が響いて、二人は無事にフロント外へ出たらしい、とわかった。
その安心に、僕の力が弛むのを解っていたらしい「本物」が
「やれやれ、まんまと逃げられたな、お前のしていることにもうちょっと早く気づいていれば間に合ったのになー」
「う、あっ!」
こともなげに僕の腕を背中側に捻り上げて姿勢逆転、あっという間に額を床につけさせられた。
アリヤがくれたタッセルピアスが床を掃くのが視界の端に見える。
「まあ、いいさ、逃げたってペイル社のランチだ、航路を見失うことはないし、その上、あのこ目覚めたね。ますます"俺"に近くなった……」
アリヤのことを言っているのだとわかった。
彼女が、誰に、近いって?
「何でもする」
「なんだって?」
「あの二人を見逃してくれるなら、どんなモルモットになったっていい。
耐パーメット最大流量とか、全身GUNDのMS操縦とか、あんたらがやりたい実験はまだまだあるんだろう?
何をされてもいいから、二人は、あの二人のことは見逃してくれ」 - 151123/02/07(火) 22:34:28
懇願したけど、「本物」は僕の襟首から胸倉を掴み上げて、二人、まったく同じ顔をぐっと寄せ、
「とりあえず、強化人士4号は脳から壊れていってるらしいな?
わざわざ頼まれなくてもお前は元からモルモットだし、だいたい、ベネリットグループ御三家っていう大企業ペイル・テクノロジーズが、そんな倫理に悖る実験に走るとでも?
今までだって、どうすればGUND-ARMがパイロットを消耗せず稼働するか、言い換えればお前を長く生きさせられるかって実験ばかりだったはずだろ?
ほんっとに心外だよ、あの二人をお前の同僚にするのはがんばったご褒美のつもりだったんだけどなあ」
「今じゃ自分を呪ってるさ、結局、僕の道連れに、巻き込んでしまって…」
「まきこんだ、だって………?」
せせら笑いを含んだ沈黙、だけどそれはチャンスだった。
僕の胸倉を掴んでいる「本物」の手首を真下から掴み上げると同時、足払いから体重反転。
床に相手を叩きつけた。
「……ッッッ!」
「本物」の声にならない悲鳴があって、どうやら気絶してくれたらしい。
1. この隙に自分もペイル社ドックへ
2. この隙に脇通路からペイル社奥の格納庫へ
3. 逆走して決闘委員会ラウンジへ
dice1d3=2 (2)
- 152123/02/07(火) 22:37:48
保守ご完走いただいております皆様、すみませんすみません、うちのミオリネさんが…じゃなくってスレ主本人がすみません!
4号君が本物エラン様のことなんて呼ぶかわからなくて丸一日迷ってました… - 153二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:39:48
「大企業ペイル・テクノロジーズが、そんな倫理に悖る実験に走るとでも?」
大企業への深刻な風評被害ッ…! - 154123/02/07(火) 23:11:28
決闘委員会ラウンジからすぐ決闘に出られるように、各社のドックに通してある一本道……のはずの通路。
確かにメインの出口はペイル社のドックだったが、「本物」がふいに現れたこの通路は、この方向は。
確信はありつつ不安も抱えて走り抜けたけど、やっぱり思った通り、僕はペイル寮の一般生徒は立ち入り禁止の格納庫に行きついた。
僕のことを本社から特別待遇されて、この格納庫に出入りできると信じているらしい整備士たちが軽く会釈してくるが、通路を走って走って走りぬいて、息を乱している僕にやっぱり違和感があるのか、いぶかしげに整備の手を止めた。
僕は首を横に振り、
「緊急事態だ、実験機で出る、準備を頼む」
「実験機はかまいませんが、緊急事態ですか?」
「さっきあちらのドックから出たランチは企業間スパイだ。ペイルの機密データを掴まれた。
追撃する。」
顔色の変わった整備士たちが踵を返して実験機の発出準備に入り、僕はパイロットスーツに着換えて実験機のコクピットに乗り込む。
「射出準備完了。権限をパイロットに」
「ファラクト・ベータ、出る!」
まだ開発中の機体に乗って、僕は二人の後を追った。 - 155二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 08:09:26
ラスト爆発炎上するペイル社を背にクールに去っていく4号で締めてくれるって信じてる
- 156二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 17:28:35
ハッピーエンドしか勝たん
- 157123/02/08(水) 19:40:41
4号君が鹵獲したファラクトは本編前の実験機なので、
1. ビームライフルを持っていない
2. つま先のビーム砲を持っていない
3. コラキがいない
4. コラキはいるけど本編よりデータストーム2割増し
5. 全装備ついてるけど全体的に出力が弱い。本編の60%程度なのでモブでも相手が集団になると無双するのはちょっと厳しい
dice1d5=3 (3)
前の投稿の時に一緒にダイス振っておけばよかった…
とりあえずガンプラファラクト欲しい
- 158二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 19:49:14
- 159123/02/08(水) 20:04:07
- 160123/02/09(木) 02:11:11
「どこに行こう、ティル、逃げる先は?」
ペイル社のスペースランチのコンソール席に二人並んで座って、取り急ぎプラント外宙域に出るまでの操作ならできる。
けど、その先は?
いつもの通り、アリヤの占いで決めた方が良いんじゃないか、精度がどんどん高くなってるし、と言いかけて隣に目線だけ走らせてその言葉は飲み込んだ。
厚手の布地に円陣を描いた占い盤と、色々な形をした石。
アリヤが大切に袋にまとめてここまで持ってきたそれらは、学園の低重力域から更に宇宙に近い微小重力に移動するに従い、ゆらりとアリヤの傍らに浮いている。
宇宙では石を振っても、それらはどこに落ちることもなく、ただ揺蕩うだけで何の指針も示しはしないのだろう。
それでもアリヤはなんでもないように落ち着いて、サブエンジンを起動させ、各パラメーターを確認して、ランチを宙行モードに移行させてゆく。
「……うん」
俺は頷いて宙域マップをモニターに表示させる。
まず、逃亡先としてそれぞれの出身地なり推薦企業なりはダメだ、先回りされたりとばっちりを恐れてかえって排除される危険がある。
かといって本当に誰も知ってる人間のいない、例えば水星みたいな僻地に行ったってその先がない。
月、火星、小惑星帯……ベネリットグループほか、様々なプラントが形成されている宙域。
俺たちが今乗っているのはペイル社のスペースランチで、おそらく、一般航行船としてそのまま通るだろう。
俺はモニターの一点をアリヤに示して見せて、
「プラント・クエタ。ベネリットグループ各社の開発施設が集まっていて、MS一般の修理施設も多い」
「なるほど……ドミニコス隊の中継基地も近いな。これは良い」
「なるべく早く■■を助けに戻ることを考えると、宇宙議会連合ともこの周辺なら接触できる可能性は高いと思う」
「……ティル」
モニターに集中していたアリヤが、少しまなじりを下げて此方を見ている。
「?」
「ありがとう」
…………いや。ここは礼を言われるようなところではないよ、違うぞ、アリヤ。 - 161二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 11:43:47
wktk
wktk - 162二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 19:49:13
保守待機
- 163123/02/09(木) 19:56:11
「そういうんじゃない」
これは矛盾かもしれない、でも。
■■が現れる前の俺なら、ここでアリヤの視線を吹っ切って船の航行操作に戻ったと思う。
アリヤなら、言葉に出さなくてもこの気持ちを汲んでくれるから。
でも、■■がいる今は、それは信頼じゃなくて甘えになったのかな、と思う。。
「■■がアリヤの幼なじみだからとか、アリヤの、好きな奴だからとかそういうんじゃない」
アリヤの表情は変わらず、目元がほんのり染まる。
「だから礼なんか言わないで欲しい。俺は■■と友達だと思ってるから助けたい」
「……うん、そうだな、ごめん」
「…………それはそれとして、アリヤ、好きだぞ」
「!!!」
ほんのりだった染まり方が顔全体にぱっと広がった。
この前は、こっちがが言われた方だったからな、こういうことを突然言われる方の気持ちも解ってほしい。
それこそ俺の思ってることが解ってしまったのか、アリヤがふくれっ面を作ろうとするけど照れのほうが先に来てしまうのか怒った顔になっていない。可愛い。
いつまでもその顔を眺めていたかったけど、コンソールからコール音が鳴った。
一瞬、ペイル社からの捕捉か、と俺は身構えたけど、アリヤは逆にそれで少し落ち着いたみたいで、ためらわず、
「■■からだな。今の私は、そういうことがどんどん分かるようになってきてるんだ」
通信回路を開いてすぐに聞こえる声も、
「アリヤ! このままもうすぐ追いつける。後部ハッチから受け入れ準備を頼む」
受けるのはアリヤだと最初から分かっていたような、明るさのある声。
「わかった……待っている。気を付けてな」
通信を切ったアリヤは、どういうわけか後ろめたそうな上目遣いで此方を見て、
「……ハッチの方を見てくるよ。設備確認もしないとな」
ふよふよと微小重力空間を泳いでいった。
なんだろう、何に対してかわからないけど、勝った、ような気がする。ふよふよ。
現在のアリヤの気持ちの傾きは、1に近いほど■■に、100に近いほどティルに、50付近は均衡
dice1d100=88 (88)
- 164123/02/09(木) 20:03:46
回り道して戻ってきたか、うん
- 165二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 03:47:22
さらにゾロ目とは…
- 166二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 10:59:01
待機
- 167123/02/10(金) 20:55:25
スレ主は年度末残業の嵐に襲われ中です、今日はむり
- 168二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:57:11
お疲れ様です
- 169二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 05:04:09
嵐の中で輝いてスレ主
- 170123/02/11(土) 10:45:26
保守ご協力ありがとうございます
い、いま目が覚めた……
これだけじゃなんなので、脚本の都合ダイスを振っとこう
4号君の記憶の蘇り度は?
アリヤの紅茶を飲んだ時点で、ペイル社に強化人士改造されるまでのことを50%程度思い出してるものとする。
50+ dice1d50=40 (40)
- 171123/02/11(土) 10:46:45
4号君のオリキャラ化が激しくなるけど、今更か…
- 172二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 19:22:43
それが個性で二次創作ってもんよ、ガンガンいこうぜ
- 173123/02/11(土) 22:32:36
僕はファラクト・ベータを駆る。
今まで、僕自身が被験体になっていろんなテスト機や実験コクピットに乗せられてきたけれど、このテスト機が一番いい。
アスティカシア学園の試験区域宙域を抜けて探査レーダーを飛ばせば、すぐに僕より一歩先に宙域へ出た二人のスペースランチの航跡は見つかり、ブラストブースターの軌道もそちらに向けられる。
機体が反転する反動も心地いいほどの機動制御、さすがペイル・テクノロジーズの技術だよ。
戦闘に注力しなければGUND-ARMの負荷はほとんど無い。
テスト機は主にビームライフルと推進力の連携のための実験機で、これにガンビットを搭載すればほぼロールアウトだ。
もし、戦闘になれば――きっとこの先、避けられないだろうけど――オールレンジ攻撃のできるガンビットがないのは不利は不利だけど、パーメットスコアは低いままにしておける。僕の寿命も少しはもつだろう。
その間に少しでも遠くまであの二人を逃がせればいい。
先行していたスペースランチが目視できるほどに迫り、ハッチ受け入れのサインが点滅している。
あそこでアリヤが待っていてくれる。
サインの点滅のリズムは、まるでアリヤがこっちに向かって手を振ってくれているようなリズムで……ああ、そうだ、これもやっぱり昔、アリヤの家を目指して走っていた時、彼女は山の斜面の少し高いところに山羊と一緒に風に吹かれていて、そこから僕を見つけて手を振ってくれた、そんな記憶も蘇ってくる。
僕は開かれたハッチにファラクト・ベータを滑り込ませてすぐコクピットを開けた。
内部ドア側のコントロールパネルでハッチを閉める操作をしているアリヤは、宇宙船内のノーマルスーツ姿なのがなんだか新鮮だ。 - 174123/02/11(土) 22:33:21
彼女は、学園の制服でも、地球にいたころの民族衣装でも、いつもゆったりとしたものを着ていた。
漆喰で塗り固められて閉じ込められていた記憶がどんどん剥がれ落ちていく感覚も嬉しくて、僕の声は弾んでいたと思う。
「アリヤ、よかった、すぐに合流できたね」
「■■のおかげだ、ありがとう」
僕の嬉しさに反して、どことなくアリヤの声が上の空な感じがする。
少しかがんで彼女と目線を合わせてみた。
「……ティルと何かあった?」
「ああ……いや、まあ、そうだな」
その返事は何かあったのかなかったのか、どちらなのか。更に踏み込んでも良いのだろうか。
「その話もしたかったのだけれど、■■のMSが入ってくるのをここから見てて、なんだか全然関係ないのに昔のことを思い出していたんだ」
「MSは…特にペイルの実験機は操縦者の動作をよく拾うよ。僕のこと?」
「そうだな。疎開地キャンプからうちの農場に向かって走ってきた時の■■と、このMSと、本当にそっくりで、私は君を待っていて、でも……、でもな、私、私はティコを、一緒に君を待っていた山羊たちを、全部地球寮においてきてしまったんだな、とな」
「……ごめん」
「■■が謝ることじゃない。いつか、地球寮に帰れる、■■も一緒に。それまではきっと、ニカやマルタンが面倒を見てくれると信じてる」
「そうだね、帰ろう。」
「行こう、ティルが待っている。これからプラント・クエタを目指そうって…………あああっッッッ!」
突然、悲鳴とともにアリヤが頭を抱えて仰け反った。
この悲鳴、只事じゃない。
微小重力であらぬところに飛んでいきそうになる細い身体をとっさに抱きしめて
「アリヤ? どうしたの、頭が痛い? 僕が分かるか?」
「なに……なんだ、これ、この、頭が……■■、私の頭の中に、誰かが、脳みそに直接手を突っ込んで、かき回してる、ティル、ティル、助けて、このざらっとするもの、私から、引きはがして、頼む、いやだ……!」
脳髄に直接手を突っ込んでかき回される、ざらっとした感触。
言葉にするとそう表現される痛みを僕は知っている。
だが、GUND-ARMに触れてもいない彼女に、なぜこんなに強烈にパーメット流入の反応が現れている?
苦しむ彼女をなるべくそっと抱いて、僕は管制室へと走った。 - 175123/02/11(土) 22:36:15
ガンガン行きます!
書ける時に書かないと二次創作の前に立ちはだかる嵐は多種多様ですな… - 176二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 05:55:41
終盤か?
- 177123/02/12(日) 13:31:30
やあ、先ほどはどうも、アリヤ・マフヴァーシュ。
俺だよ、「本物」のエラン・ケレスさ。
ああ、すまない、なるべく穏便にと思っていたけど、実は俺もこんな力の使い方をするのは初めてなんだ。
アド・ステラはめんどくさいな、パーメットをかませないといけないし、君にはかなりの負荷を掛けてしまっているようだ。
君と俺とは同類――この宇宙で俺が初めて見つけた本物の同類――なのが嬉しくってさ、つい、柄にもなくはしゃいでしまった、悪いね。
何? 同類は同類だよ。
この宇宙、アド・ステラの人類にはサイコ・コミュニケーションって言葉で説明するのが通じやすいかな。
俺のいた宇宙ではニュー・タイプって言われてた。
自分の精神で直接相手の精神を感じ取れる能力、地球の重力に囚われなくなった新しい人類が持ちうる能力で……ははは、今、君の反発を思いっきり感じたぜ?
この能力にアーシアンだとかそういうことは関係ないのさ、この意識があるから、本当にアド・ステラはめんどくさいな。
おっと、だらだらしゃべってるのは君を苦しませるだけだな。
こっちの要求を端的に言おう。
強化人士4号が乗って逃げたファラクト・ベータの返還だ。
ただし操縦はアリヤ・マフヴァーシュ、君だよ。
君の身柄と、ペイル・テクノロジーズの最新MS試験機を要求する。
それで、男二人は見逃してやるさ。
良い取引だろう?
わかってると思うが、君たちが乗ってるのはペイル社の登録ランチだよ。
どこに逃げても、捕縛・拘束・攻撃ができる―――カテドラルに訴えようと、宇宙議会連合に訴えようと、今の君たちはペイル社のランチを強奪して逃走した犯罪者だ。
いいね、アリヤ・マフヴァーシュ。
俺の大事な同類の君――― - 178123/02/12(日) 13:32:15
アリヤは、「本物」に精神感応で語りかけられたことを
1. ティルだけに話す
2. ■■にだけ話す
3. 二人に話す
4. 誰にも話さず一人で「本物」に対峙する
dice1d4=1 (1)
どっちかというとアリヤの感情整理のダイスで、ルート的にはあんまり影響ないです
終盤でルート分岐させてたらマジで収集つかない
あ、ここのエラン様はなんらかの事情でガンダムの宇宙世紀時空から飛ばされてきた人ということでよろしくお願いします。
- 179二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:51:26
量子ワープするラスボス概念のエラン様!?
- 180二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 07:02:21
エラン様何モンだよ…
- 181二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 15:07:17
いつのまにかSFファンタジー小説になってる…だと…?
- 182二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 15:53:01
このエラン様きっとフラナガン機関とかオーガスタ研でだいぶ弄り回されたんだろうな…
- 183123/02/13(月) 19:34:12
- 184二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 06:06:39
(残業)嵐の中で輝いて その(完結させる)夢を諦めないで
- 185二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 17:04:10
傷ついたスレ主のスレそっと保守して保守してあげたい
- 186123/02/15(水) 00:13:01
スレ主です
嵐がちょっと緩和されました
ありがとうございます!
明日には続きが書けます
でもこのスレは俺の投稿じゃなく、みんなの優しさで出来ている…… - 187二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:30:19
俺が俺達がバファリンだ!
- 188二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 15:40:23
マイナーCPというかニッチ向け特殊設定SSスレは手厚く保護しないとすぐに息絶えてしまうからな…希望の火を絶やすな
- 189123/02/15(水) 23:07:20
とりあえずペイル社の追手さえ攪乱できればいい、ということでスペースランチが発信する識別信号の書き換えと操縦を■■に任せて、俺は休憩室のアリヤに付き添った。
このスペースランチはせいぜいMSを2機程度格納して、宙域活動をサポートするだけの小型ランチだ。
休憩室といっても、ノーマルスーツと普通の衣服を着替える少し広めの更衣室に、ソファがあるだけの場所だ。
ただ、激しく苦しんでいた頭痛はもうおさまっているみたいで、ソファに横たわって目を閉じているアリヤの顔色はそれほど悪くもない。
眠っているのか起きているのかはよくわからなくて、顔を近づけてみた。
鼻先、口元の呼吸音はなだらかに聞こえて、多分、これなら一人で寝かせておいても大丈夫か、と顔を上げかけた瞬間、アリヤの目がふっと薄く開いた。
「……近いぞ、ティル」
言われて初めて、アリヤの顔に近づきすぎている自分に気づいたけれど、なんとなく、その目を見ていたくて俺はそのまま、
「ごめん。でも、心配だったから。アリヤが一人で寝ていたいなら出てる」
「いいや」
俺が、見つめていたいと思った目をアリヤはまた閉じてしまったけど、その代わりみたいに手を伸ばしてきて
「もう、頭痛はしていないし気分も悪いわけじゃない。起きようと思えば起きられる。
でも、……でも、ティル、手を握っていてくれないかな。
いろんなものが一度に見えて、なんだか、なんだか……とりとめなく流れていく。
自分でも何を話したいのだかよくわからない。
でも、それをティルに聞いていてほしいんだ」
わかった、と返事をする代わりに、のばされた手を握った。
アリヤは目を閉じたまま微笑んで、話し始めた。 - 190123/02/15(水) 23:09:12
■■にそっくりな、もう一人のエラン・ケレス――多分、あちらのほうがペイル社にとっての「本物」なんだろう――その「本物」に、頭の中で話しかけられたんだ。
私のことを、「本物」の同類で、直接、相手の意識を読んだり、精神感応ができる人種のことをニュータイプと呼ぶんだと言った。
「本物」がその言葉を口に出した瞬間、全然知らない女の人が「本物」の後ろに見えた。
肌の色とか、こういう色の髪を二つに分けて、丸く結っている感じが私に似ている。
多分、遠い遠い祖先が同じだったとか、生まれた土地が近いとか、そんなようなことはあったのかもしれない。
「本物」がその女の人を、すごく強い能力者だと思ってるのもわかって、なんとなく似ている私に同じような能力を期待しているのもわかった。
でも、それだけかな。
私にはそんな力は…………ない、と思いたいよ。
石がないと占いもできないからな。
でも、やっぱり、いろんなことを感知してしまうのは、うん、ないわけじゃない、ってことなんだろうな。
ニュータイプって、地球人類が宇宙に飛び出すことで発現する能力、らしいのも見えた。
私の力も、多分、これから大きくなっていってしまう……
私は、■■を守ってあげたいだけなんだ。
昔みたいな、いじらしい可愛いだけの男の子じゃなくなって、すごく強いパイロットになったのはわかってる。
でも、それって、そうなる代償の方が大きくて、ずっと、ずっとずっと苦しんだままだなんてあんまりだ。
守ってあげるために、私は「本物」の言うとおりにした方が良いと思う?
■■が乗ってきたMS、ファラクト・ベータ。
あれを私が操縦して返しに来いって言われたんだよ。
そうしたら、■■も……それからティルも、このまま見逃してくれる、らしい。
おかしいな、古今東西、悪役がそんな約束を守ったためしはないと思うんだけど。
なあ、ティル、助けてくれるかな?
ティルに、私のガンダムになって欲しい。
…………ガンダム? - 191123/02/15(水) 23:11:04
皆様のおかげで生きながらえております…
その甲斐あって、ティルアリらしくなってきた(気がする) - 192123/02/16(木) 07:56:51
アリヤが見たのは伝説のニュータイプ、ララァのイメージだけど、本人が言ってる通り、繋がりは見た目以外無しです
しかしそろそろ2スレ目のことを考えないとというコメ番になってきた
こうなるはずじゃなかったw
2スレ目はタイトル詐欺にならないタイトルにしたいです
良い案あったら募集 - 193二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 16:07:36
乙乙、スレタイはそのまんまここだけ〜でいいと思う
幼馴染CP捏造ダイスとか注意さえつけときゃヨシ! - 194二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 23:44:12
保守
- 195123/02/17(金) 01:18:55
ええと、ガンダムっていうのは何だったっけ。
MS概史の授業で少しだけ習ったことがある、呪いのモビルスーツだった。
機動性、伝達系は抜群に素晴らしかったけれど、その情報量の膨大さこそが操縦者の命を奪った。
脱出前にも■■が説明してくれたよな、「僕の、ペイル社内での呼ばれ方は強化人士四号。パーメットの侵食に耐え、GUND-ARM技術の実験に耐えうるよう調整された被験体のことだよ。人間のことじゃない」って。
そんなものに、俺になって欲しいって、いくらアリヤの頼みでも聞けることと聞けないことがある。
そもそも、俺たちだってその実験体にされそうになって逃げてるところのはずなんだが。
まじまじとアリヤを見返している俺の顔があんまり可笑しかったのか、アリヤが、ふふふふ、と声を立てて笑って
「いや、悪い、あんまりな言い方だったな。
ティルに命を食われる実験台になれと言っているわけではないよ……でも、命を預けてほしいって頼みだから、同じことになってしまうかもしれない」
言いながら起き上がり、あたりを見回して何かを探している。
すぐ、石占いの石の袋だとわかって、アリヤの代わりに持っていたのを宙に飛ばすようにして渡した。
「そう、これだ、ありがとう。……不思議だな、ティルにはあの『本物』のエラン・ケレスや、今の私みたいな能力があるとは感じないのに、でも、ティルは私のことをこうしてわかってくれる」
「わかるのはアリヤのことだけだし」
マルタンや、他の地球寮のみんなとはこうはいかない。
アリヤは袋の中から、いつもの石を掌の上に取り出してじっと見つめたまま、いつものようには振ろうとはしない。
掌の上に転がして見つめながら
「これは、私の家に先祖代々伝わる石。それだけ。今までそれがどういう石か、何の疑問にも思ったことはなかったけれど、この石はパーメットの結晶だったんだな。
この石を触媒にして、私の意識とティルの意識をつなげることができる」 - 196123/02/17(金) 01:20:39
「……そんなことが本当に、できる?」
「エラン・ケレスはそうして私の意識に接触してきたんだ。これまでも、私の占いに、私が意図しない選択肢が入り込んできてたのはそういう接触を試されていたんだな」
「あ、ミオリネ・レンブランの協力を占った時の?」
「そう、あれだ。そして多分、あちらが媒介にしているパーメットは結晶化されていないか何かで、純度が低いんだと思う。
だから、占いに介入するとか、私の過剰な頭痛を引き起こすとか、満足な接触にはならないんだな。
もしかしてパーメットの問題ではなくて、エラン・ケレスのサイコ・コミュニケーション能力が低いせいなのかもしれないけど、そこまではよくわからない」
そこまでわかるのがむしろすごいと思ったけど、そこは黙っておいた。
「なあ、ティル。
ガンダムというのが、人の精神感応力でモビルスーツ……拡張された自分の身体の機動性と多機能駆動を容易にするものなら。
ティルのスポッターの才能を私に拡張させてくれないか。
行く先のプラント・クエタにはきっと、ペイル社の私兵MS隊が待ち構えている。
■■はそれと戦う気でファラクト・ベータで出ると思う。
その時、最大限に拡張された盾の力で、■■を守ってあげたい。
ティル、私のガンダムになってくれないだろうか?」
ここまで来ておいて、断る理由はない。
そっとアリヤを抱き寄せて、うん、と頷いたのを頬ずりで知らせた。
アリヤも同じように、頷く動きで頬ずりを返してくれた。 - 197123/02/17(金) 01:23:17
一回分のちょうどいい区切りになる話を1投稿の文章量に納められないのも想定以上にコメを使ってしまった要因ですな…
タイトル案ありがとうございます。
明日には2スレ目を立てさせていただきます。 - 198二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 10:44:08
保守りたいスレがある
- 199二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 20:42:34
最近日付が変わると朝までIP規制される事が多くて保守れないかもしれない…有志を募る
- 200123/02/17(金) 21:08:10
次スレが無事に立ちました
いつも保守ありがとうございます