パーフェクトホースセラピー

  • 1◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 17:35:02

    かつて、そう呼ばれたdice1d2=2 (2) (1:牡馬/2:牝馬)がいた。


    その馬はなぜ『パーフェクトホースセラピー』と呼ばれていたのか。

    何が完璧で、何を癒し、何を支えたのか。


    これは、別名『帯同名馬』と呼ばれた馬の、すこし変わった物語だ。

  • 2◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 17:35:23

    馬の父は>>5 で母父は>>8 だった。

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:36:42

    メイショウドトウ

    おかえり、待ってた

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:37:50

    ウインブライト

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:38:07

    タイガーチャンプ

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:39:36

    ダイタクヤマト

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:39:52

    ミホノブルボン

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:39:55

    Majestic Light

  • 9◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 17:48:42

    父はタイガーチャンプで母父はMajestic Lightだった。

    母は未勝利馬だったが、父のMajestic Lightは国内外で活躍馬を送り出した名種牡馬で、日本だとニシノフラワーがその代表格。晩年の産駒である母はそのニシノフラワーと類似する血統構成の持ち主で、タイガーチャンプとのクロスはRibotの4×4のみだった。


    そんな馬は

    dice1d3=1 (1)

    1:名もない小さな牧場で育ち

    2:母の出身牧場で育ち

    3:今はつぶれたある牧場で育ち


    デビュー前から

    dice1d3=2 (2)

    1:高い評価をされていた

    2:そこそこの評価をされていた

    3:まったく期待はされていなかった

  • 10二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:53:29

    安価もすぎたところでおかえりなさい
    今回も楽しみにしています

    名もないところの希望の星か

  • 11◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 17:54:10

    馬はそこそこの評価をされていた。

    その馬体は

    dice1d3=2 (2)

    1:父タイガーチャンプに似て鹿毛のやや小柄な馬体で

    2:母父にMajestic Light似て鹿毛のやや中柄な馬体で

    3:父にも母父にも似ずに大柄な馬体で


    dice1d5=2 (2)

    1:蹄はやや弱いがトモのハリが良く心肺機能に優れていた

    2:足腰は丈夫だが内臓がやや弱く、その分スピードに優れていた

    3:虚弱体質ではあったが根性があり物覚えがよかった

    4:臆病で馬馴れせず育成に苦労したが丈夫で我慢強かった

    5:気性が荒く自己中心的だったが身体が丈夫で我慢強かった

  • 12◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 17:54:44

    馬は2歳の春、

    dice1d2=1 (1)

    1:美浦トレーニングセンターに入厩した

    2:栗東トレーニングセンターに入厩した


    陣営は

    dice1d4=4 (4)

    1:2歳の早い段階から馬をレースに出した

    2:2歳の秋から馬をレースに出した

    3:2歳の終わりに馬をレースに出した

    4:2歳での馬のデビューをやめ、3歳からデビューさせた


    デビューしたのは

    dice1d2=2 (2)

    1:芝だった

    2:砂だった

  • 13二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:59:43

    待ってた、今回も楽しみです

  • 14◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 18:07:07

    「あのぉ、先生、如何で……」

    「優しく言われるのがお望みですかな」

    「いや……もう、バシっと……」


    夏というのに冷え込んだ風の朝。

    ある牝馬の馬房前で、男たちが話し込んでいた。

    馬房の隅で伺うように彼らを見る牝馬を尻目に、先生と呼ばれた老齢の獣医師が顎髭を撫でて唸った。


    「うぅむ……正直に申しますと、デビューは見送った方が良いでしょうな」

    「そ……っ」


    バシっと、と自分で言ったというのに、男は、調教師の男は言葉を詰まらせて宙を仰いだ。季節はまさにデビュー真っ盛りの夏。同世代の馬たちはターフへダートへと駆け出し、新世代の蹄鉄がファンの目に飛び込んでいる。

    牝馬の虚弱体質に関して、調教師は実のところそう重くは捉えていなかった。何せ牝馬は見栄えの良い馬体をしていた。大きすぎず、かといって小柄すぎず。走る馬というのはこういった見た目になるのだろうと、そう思わせる出立で現れたのだ。

    そりゃあ、血統はお世辞にも良いとは言えなかった。だがしかし、サンデー旋風がもはやただの風ではなくなった昨今。サンデーフリーと呼べるその血統構成は、いずれ来る繁殖のことを考えるとかなり有利と言える。調教師がオーナーから期待されていることといえば、この牝馬を走らせ、繁殖に足る戦績を積ませること。

    だというのに、デビューを見送った方が良いとは。

    スタートラインにすら立てない馬は数多くいるが、調教師としては一度期待した馬のことである。はいわかりました、と素直に頷けないのが正直なところだった。

    調教師のあんまりな嘆きようを哀れに思ったか、獣医師の男が肩を竦めて言った。


    「まあ、やりようはあります。ひとまず、来年を目指して立て直しましょう」


    絶望に歪んだ調教師の眼前に、光が射した瞬間だった。


    こうして牝馬は翌年一番。ダートの未勝利戦へと挑んだのである。

    その結果はdice1d99=20 (20)

    (55以上で勝利)

  • 15◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 18:19:13

    足腰が丈夫な牝馬は、多少荒れた馬場でもうまく走れた。

    だが体質の弱さはその丈夫さを打ち消していく。

    フラフラとした足取りで帰ってきた牝馬は全身にうっすらと発疹が出ていた。幸いにも熱発はなかったが、その日の夜、痛みか痒みか、牝馬は小さくいななきを漏らし、眠れない様子だった。


    そこから中7日後。牝馬は2戦目となるレースに出走した。

    発疹が出て間もないレースに厩務員は反対したが、体質を強くするため、と調教師が押し切っての出走だった。


    「先生、これでこいつ死んだら、恨みますからね」


    年若い厩務員にとって、牝馬は初めて担当する馬。これまで先輩厩務員の補佐をしながら学んできた数年を昇華させるがごとく、牝馬のケアには人一倍気を使っていた。


    「ま、まあでえじょうぶだって……」


    厩務員はそこそこの中年だが、気迫のこもった若者に気圧され、その腰は少しだけ引けていた。


    さて、雪解けの進むその日。厩務員は一抹の不安を抱きながら、牝馬が走り出すのを見守っていた。

    その結果はdice1d99=54 (54)

    (55以上で勝利)

  • 16二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 18:19:56

    まぁ血統がね‥

  • 17二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 18:24:19

    未勝利抜けられるかも?くらいにはなったかな

  • 18◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 18:28:34

    「くっそぉあと1歩!」

    「スミマセンね先生、僕がもうちょい、クビ押せてたらね」

    「いやいやいや、上手く乗ってくれたよ! でもなあ、だからこそ悔しいわ〜!」


    ハナ差まで追い詰めた。当時の牝馬は最低人気。勝ち馬が 1番人気だったことを考えると大波乱の掲示板だった。それを演出した牝馬は一発屋か、はたまたダークホースか。

    意見の分かれる予想家たちを横目に見つつ、その主戦騎手は冷静に分析していた。


    (馬は中盤までよく耐える。単純に言えば地力はちゃんとある方か。ただズブいわけでもない。反応すれば目一杯伸びるし、馬群を突き抜けていく根性もある。けどたぶん、ナカの反動がデカい)


    厩務員に馬体のチェックを受ける牝馬をちらりと見て、主戦は予想をたてた。


    dice1d4=1 (1)

    1:(おそらく牝馬は短距離が向いているのだろうな)

    2:(おそらく牝馬はマイルが向いているのだろうな)

    3:(おそらく牝馬は中距離が向いているのだろうな)

    4:(おそらく牝馬は長距離が向いているのだろうな)


    であれば。

    主戦は頭を抱える調教師に向き合うと、口を開いた。


    「先生、ものは相談ですが。>>20

  • 19二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 18:31:33

    短距離路線にいきましょう。短い距離であればこの子はもちます。

  • 20二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 18:59:28

    短い距離で行ってみませんか

  • 21◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 19:43:25

    当時、2歳から3歳初めからダートに出す、ということは、その馬が足腰に何かしらの難を持っていることを意味した。だが牝馬の足腰と言えば『丈夫』と呼ばれるほど確かなもので、問題はナカだったはずだ。
    だが調教師が彼女をダートに出すと決めたのは、その血統に由来していた。
    父タイガーチャンプは主に短距離を主戦場とした。競走馬生活の晩年には、かの有名なグラスワンダーやキングヘイローとも短距離の重賞レースで競ったこともある。芝馬である彼だったが、その父── 牝馬から見れば祖父に当たるアレミロードの産駒には、スーパーダートダービーやかきつばた記念を制したメイショウモトナリや、東京盃にTCK女王盃を制したベラミロードなどのダート馬も多数いるのだ。それに母父マジェスティックライトは現役時代、ダートG1の勝ち鞍もあるし、産駒にはダート馬も多くいた。
    激走させて内臓に負担を強いるよりは、血統的に有利だと思われる砂地で安定した勝利を目指す。そう言った方針の下でのことだった。

    そんな中で主戦は言った。

  • 22◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 19:43:36

    「先生、ものは相談ですが。短い距離で行ってみませんか」


    主戦もまた、牝馬の血統構成を下地にして言っていた。

    前述通り、父は短距離馬だ。36戦6勝の内訳がすべて1600m以下に偏っていることでそれははっきりしている。母父マジェスティックライト自体はダート10ハロン、ターフ12ハロンで力強さを見せたが、ニシノフラワーの例をとっても、短距離馬輩出の実績があった。

    何より主戦が注目したのは、マジェスティックライトが属するレイズアネイティブ系の特徴だ。


    「この血統の最大の魅力といえば、やはり、スピードです」


    今でこそ『ミスタープロスペクターの父』とひとまとめにされがちなレイズアネイティブだが、ミスプロ以外にも優秀な種牡馬を多く送り出している。マジェスティックライトの父マジェスティックプリンスはもちろん、孫には三冠馬アファームド、そのライバルとして知られたアリダーなどの名馬が名を連ねた。

    ダート・芝を問わずに多種多様な馬がいたが、いずれの競走馬にも共通していることがある。それが主戦の言う『スピード』だ。


    「ここぞという接戦で活きるのは根性だけじゃない。後少し、もう少しという場面。その馬が生来持ち合わせるスピードが、最後の決め手になる」


    2戦目。牝馬が出走したのは1800m。おそらく牝馬には長かった。それでも残せたのは根性と足腰の丈夫さ以上に、牝馬の持って生まれたスピードの為せる技。


    「もしもっと短い距離を走らせることができたなら。この馬はきっと、今よりも上に行ける」


    ふと牝馬が振り返った。丸く透き通った目が主戦を射抜く。声なき声は何も語らず、しかし主戦は、解ったと言わんばかりに頷いた。


    そして3戦目。季節は桜の舞う頃。同世代牝馬のうち優れた乙女たちが花盛りを迎えた、その日。牝馬は自分だけのゴールに向かって、懸命に走っていた。

    dice1d99=88 (88)

    (20以上で勝利)

  • 23二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 19:50:42

    ちぎった

  • 24二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 19:51:35

    脱出だ

  • 25二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 19:52:33

    前回のあるなら貼ってくれんかのう…老いぼれの願いじゃ

  • 26二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 19:53:44

    なんか今までのよりさらに文章練り上がってない・・?
    俺はダイススレではなく競馬SSを読んでるのかもしれん

  • 27二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:16:16

    短距離でこれって化け物じゃね?

  • 28二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:30:44

    このレスは削除されています

  • 29二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:31:36

    >>25

    多分これで全部だと思われる(最後のは未完)

    その牝馬はやがて|あにまん掲示板dice1d4=@3 (3)@1:牝馬三冠に輝く名牝となる2:秋古馬三冠に輝く名牝となる3:春古馬三冠に輝く名牝となる4:春秋J・G1覇者に輝く名牝となるこれは、そんな彼女の物語だbbs.animanch.com
    その騸馬はやがて|あにまん掲示板dice1d5=@5 (5)@1:天皇賞・春/ 秋制覇に輝く名馬となる2:秋古馬三冠に輝く名馬となる3:春古馬三冠に輝く名馬となる4:春秋J・G1覇者に輝く名馬となる5:高松宮記念/スプリンターズS制…bbs.animanch.com
    そのサラ系牝馬はやがて|あにまん掲示板dice1d5=@3 (3)@1:天皇賞・春/ 秋制覇に輝く名牝となる2:秋古馬三冠に輝く名牝となる3:春秋J・G1覇者に輝く名牝となる4:春秋グランプリ覇者に輝く名牝となる5:安田記念/香港マイル覇…bbs.animanch.com
    その牡馬はやがて|あにまん掲示板dice1d5=@4 (4)@1:天皇賞・春/ 秋制覇に輝く名馬となる2:秋古馬三冠に輝く名馬となる3:春秋グランプリ覇者に輝く名馬となる4:安田記念/香港マイル覇者に輝く名馬となる5:ダートG1完全…bbs.animanch.com
    君の印が消える前に|あにまん掲示板dice1d4=@4 (4)@1:その覇道を2:その苦難を3:その数奇な生き様を4:その波乱の生き様を語り継いでいこうbbs.animanch.com
    君はきっと別れ際|あにまん掲示板dice1d4=@3 (3)@1:「さようなら」と言っていた2:「またね」と言っていた3:「嫌いだよ」と言っていた4:「ありがとう」と言っていたこれは君の。……君と、僕らの物語だ。bbs.animanch.com
    パーフェクトホースセラピー|あにまん掲示板そう呼ばれた馬がいた。馬はdice1d2=@2 (2)@ (1:牡馬/2:牝馬)だ。重賞はdice1d20=@10 (10)@ 勝。……この戦績ゆえに『パーフェクトホースセラピー』と呼ばれているのか?…bbs.animanch.com
  • 30二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:32:39

    >>29

    助かる、最後消されててよく分からないままだったんだ

  • 31◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:08:07

    果たして主戦の言うことはぴたりとハマった。
    砂の1400mに切り替えた3戦目で、牝馬は驚きの走りを見せた。
    それは多くの観客をどよめかせ、調教師の目にすら涙を浮かばせた。
    荒く息を吐く牝馬が戻ってくる頃。調教師は目を真っ赤にして、その頭を掻き抱いた。

    「お前、ちゃんと走るじゃんかぁ……!」

    ひしりと抱きしめてくる調教師に、牝馬は特に驚かない。
    しかし少しだけ薄い髪に鼻を寄せると、今度は顔を背けて身を捩った。


    それから1ヶ月ほどをした頃。
    季節は初夏を迎え、乙女たちは二冠目を間近に控えていた。
    まだ1勝クラスの牝馬には縁のない舞台である。しかし調教師たちにとっては違った。

    「準備できたか?」
    「はい。……それにしても、自分の馬が出るわけじゃないのに、なんか緊張しますね」

    小声でそうこぼした若い厩務員に、調教師は小さく頷いた。

    話は2週間ほど前に遡る。牝馬はつい最近まで生産牧場で束の間の休息を楽しんでいた。1勝目を挙げた牝馬のことを、牧場スタッフは我が子のように可愛がっている。彼らからすれば、牝馬は十数年ぶりの勝ち馬だったから。
    手厚くケアされ、何一つ不自由のない環境。牝馬を見舞いにはるばる北海道まで足を運んだ調教師は、のびのびと過ごす牝馬の様子に安堵の表情を浮かべていた。
    そこに、一人の男が声をかけた。

  • 32◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:08:47

    「もしかして、── の調教師さんですか?」
    「はあ……そうですけど……」

    見覚えのない男だった。ただ夏の生産牧場を見学しに来たと言うには、紺色のスーツはいささか重く感じられる。ちょび髭を生やした姿は印象的で、一度会ったら早々忘れなれない容貌だ。はて、どこかであっただろうか?
    そう首を傾げていると、男は被っていた帽子を素早く脱ぎ、軽く一礼した。

    「私、桜花賞馬── の馬主である── の夫です」
    「……あっ!」

    思い至ったように調教師が声を上げた。男と直接会ったことはなかったが、競馬新聞で取り上げられていたのをチラリとみたような気がする。あの時は馬主が注目されていて、夫である男のことにはほとんど触れられていなかったので覚えていなかったのだ。それに、写真に写る夫というのは、目の前の男のようにちょび髭は生えていなかったはず。
    そんな調教師の考えを見透かしたかのように、男は苦笑いを浮かべて顔をさすった。

    「これ、実はつけ髭なんです。私、童顔なのがコンプレックスでして」

    ちょい、と髭が取れる。それがなくなるだけで随分と雰囲気が変わった。調教師はなるほど、男が言う通り、髭がないと随分と幼く見えるのがわかって内心で頷いた。

    「ところで、私に何か」
    「ああ、そうでした。すみません、不躾に声をかけてしまって。いえ、でも、私は幸運でしたよ、ええ。実はね……」

    パン、と男が手を合わせる。調教師は目をパチクリとさせながら、男の言葉の続きを待った。

    「うちの馬に帯同してほしいんです」

    男の話をまとめると、こうだ。

  • 33◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:09:04

    桜花賞を制したあの牝馬は気性があまり良くないらしい。父も母も母父も、気性が難しいことで知られた血統構成ゆえか。幼駒の時分はずいぶんとおとなしい馬だったはずが、月日を重ねるごとに荒々しくなったという。
    騎手はベテランを選び、桜花賞制覇まではなんとか熟してきた。だがここにきてガタが出始めたのか、最近はうんともすんとも行かない。ついには調教相手だった僚友にすら危うく怪我をさせるところだったと聞いて、困り果てた馬主は方々知恵を募った。
    しかしどれを試してもうまくいかない。このまま恥を晒すよりは潔く引退して繁殖馬にした方が良いのか。そこまで思い詰めたところで、桜花賞馬の管理調教師が待ったをかけた。
    曰く、近隣厩舎の所属馬で、桜花賞馬が暴れずに最後まで並走できた相手がいるらしい。
    その話を聞いて、馬主は飛びついた。じゃあ、その牝馬に帯同をお願いしよう、と。

    「実は一昨日、厩舎にお邪魔させていただいたのですが、そこで北海道にいると聞きまして」
    「えっ、もしかしてそれでここに……!?」
    「本当は妻が直々に願い出るべきが、本業が手放せませんで私がお話に参った次第です。お願いする側の勝手で、大変申し訳ありません」
    「いやいやいや、頭下げないでください……っ! 色々誤解を招いちゃうんで……っ!」

    頭を上げた男を前に、調教師は唸った。
    牝馬のオーナーは老齢の男で、競馬は趣味の延長線上だと言う。勝ち負けにはあまりこだわりがなく、馬が五体満足、元気に帰って来ればそれで良いと言ってくれた。ただゆくゆくは繁殖馬にすることだけを言い含められている。
    きっとオーナーに言えば二つ返事で許可を出してくれるだろう。
    しかし、牝馬はようやく1勝を挙げ、これからが盛りなのかもしれない。それを堰き止めて帯同に絞らせるのは、良くないのではないか?
    それが脳裏をよぎって即決できずにいた。

  • 34◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:09:30

    結局その日、調教師は何の返事もできず、悩みだけを美浦に持ち帰った。一人で選択するにはどうにも納得できないと思ったからだ。

    「と言っても、ここで一番偉いのって先生じゃないですか。先生に決められないことを、俺たちが決められますかね」

    調教助手の男がそう切り返してきた。疑問の体を成してはいたが、副音声を再生するならば「それくらい自分で決めんかい。何年調教師やってんだ」と言うところであろうか。
    出会った頃からやや厳しい男なのだ、調教助手は。

    「僕はいいと思いますよ、帯同。正直、3戦の間隔がかなり短かったのもあって、放牧を挟んだところで体調はまだ調整中。ここから次走に向けて走らせるより、帯同って形で徐々に慣らした方がいいとも思います」

    若い厩務員のいうことも一理ある。調教助手も賛成のようで、ひとまず、帯同を引き受けることになった。

    というのが、ここ2週間の出来事。
    あれから並走のスケジュールやら何やらを立て、実施し、今日に至るまで調整を続けてきた。
    桜花賞馬は激しい気性の持ち主、という評判の割には大人しく見えたが、驚いた様子の陣営を見るに、きっと稀なことだったのだろう。初の併せ馬が終わると、調教師は桜花賞馬の管理調教師に握手まで求められたし、牝馬は抱き締められていた。
    綿密な調整の甲斐あってか、桜花賞馬のその日の調子はパーフェクト。
    管理調教師が大口叩いても漠然とそれが許されるほどの仕上がりだった。

  • 35◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:09:55

    「後は走り切るだけ」


    オークスが開催される東京競馬場の空き馬房に、牝馬がころんと横になる。そのすぐそばでラジオを回した厩務員は、熱を帯びる実況に耳を澄ませていた。桜花賞馬は今、集団の中頃にいるらしい。

    まだ年若い厩務員は、耳を立てる牝馬の横で手を合わせた。祈る相手は牝馬じゃない。もっと遠く。桜の香りを纏わせる、あの馬に。


    「頼むから」


    勝て。勝て。勝ってくれ。

    このたった1勝しかしていない牝馬が寄り添ったことに、意味をくれ。


    その日、東京競馬場に桜が舞った。

    晴れ渡る空の下。吹く春の嵐に紛れる声援。

    桜花賞馬から二冠馬へと二つ名を変えたその馬が、後続につけた着差は── dice1d10=7 (7) 馬身差だった。

  • 36◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:25:25

    【東京に吹く衝撃の風】


    そう銘打たれた新聞が宙を舞う。

    厩務員も調教師も、桜花賞馬の素晴らしい走りに内心胸を撫で下ろしていた。


    「本当に、本当にありがとうございます!」


    感極まって涙を流す馬主に、調教師は引き攣ったように笑う。桜花賞馬の陣営は、まるで魔法にかかったかのようにキラキラとした表情を調教師に向けたが、彼はそれを素直に受け取ることができない。それもそうだ。

    牝馬がしたことといえば、ただ桜花賞馬に寄り添うだけ。言葉通りのことをしただけで、勝利自体は紛れもなく彼女らの陣営が鍛え上げてきた結果と言える。

    しかし桜花賞馬の管理調教は言う。


    「それでも君らがいてくれなかったら、この馬は力の半分も出し切れていなかった」


    だから決して大袈裟な参照ではないのだと、重ねていう。そこまで言われて初めて、調教師は小さく笑った。

    桜花賞馬の隣に佇む牝馬は、涼しげな横顔で小さくあくびをしていた。



    それから間も無く。牝馬も2勝目を目指してレースに出走した。

    あらかじめて決めていた通り、ダートの短距離レース。

    桜花賞馬との並走で身体も脚も温まっている。

    勝利を確信できるほどの仕上がりかと言われたら首を傾げてしまうが、それでも確実に少しずつ、強くなっているのだ。


    「気張れよ、──」


    牝馬は黙して、ただ小さく頭を揺らした。


    dice1d99=85 (85)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(7))

  • 37二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:30:29

    補正要らずの圧勝

  • 38◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:52:34

    2勝目を上げた牝馬は、そのまま夏休みに突入した。
    1勝した時もすぐに放牧に出されていたが、それは虚弱体質故に多くの休息を必要とする牝馬には、当然の措置といえる。
    今回も「ゆっくり休んでこいよ」という担当厩務員に見送られ、北海道へと帰っていった。

    そして2ヶ月後。牝馬の姿は阪神競馬場にあった。
    目的は神戸新聞杯。牝馬自身が出るのかといえば、それは違う。彼女は何せ、しがない2勝クラスの馬だから。
    では何をしにきたのかといえば、帯同のためだ。二冠牝馬となったあの桜花賞馬の帯同ではない。彼女と同じ厩舎に所属している、同世代の牡馬の、だ。

    話はまたもや前に遡る。今度は2ヶ月前── すなわち、牝馬が2勝目を挙げた直後のことだ。あの桜花賞馬の馬主から、また帯同の依頼があった。
    当初は二冠牝馬となった桜花賞馬の帯同を依頼されると思い二つ返事で引き受けた調教師だが、後々になってそれが牡馬だと判明した。馬主側はちゃんと伝えていたと言うのだから、調教師の怠慢と言える。
    しかし引き受けてしまった以上もう否とは言えない。
    夏真っ盛りの8月下旬。オープンレースを突破したその牡馬の帯同を、牝馬は受け持つこととなった。

  • 39◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:52:45

    牡馬はいわゆる良血だ。
    父、母、母父とG1ウィナー。兄姉も揃ってG1ウィナーで、誰もが期待せずにはいられない馬と言ったところか。母の胎の中にいる時から戴冠を切望されていた。
    そんな牡馬が今、世間でどう言う認識をされているかといえば、『夏の上がり馬』である。
    春クラシックこそ事情があって間に合わなかったが、灼熱にも負けずに脚を磨いてきた彼らの存在は、秋で大きく化けるものだ。
    ところで、春に間に合わなかった事情とやらが何かといえば、それは馬によってよりけりだ。中には脚元が弱くて調整が間に合わなかったパターンもあれば、気性が激しくて制御できなかったり、距離的性によって走れるレースがなくて活躍できなかったなど、本当に多種に渡る。
    この牡馬の場合はどうだろうか? ── 牡馬が春クラシックに間に合わなかった理由は単純で、調整が間に合わなかったからだ。

    牡馬の厩務員は、様子を見にきた調教師にこう言った。

    「こいつ、自分の鼻息すら怖いんです」

    究極とすら言いたくなるほどの臆病ぶり。それゆえ牡馬は調教が遅々として進まず、ついには初夏。皐月賞と日本ダービーへの道を諦めることに。
    そして陣営は残る一冠に神経の全てを注ぐこととなった。
    今日この日、この競馬場で開催される神戸新聞杯は、その前哨戦であった。

    「にしてもすごい懐き様だよなあ……出てねえよな?」
    「ちょっと先生。よその馬の股ぐら覗き込むのやめてくださいよ……むっちゃ恥ずかしいんですけど……」
    「好きで覗いてんじゃねーわっ! ……よし、出てないな。っはー、発情してたらどうしようかと思った」

    馬は2歳ごろから性的に熟すると言われている。馬っけ── いわゆる勃起状態になっていないかを危惧していたのだ。これは単に発情しただけで済まず、馬っけの出ている馬は集中力が欠け、勝負根性がまっさらになってしまう場合もある。
    大事なレース当日にそんなことになってしまって、牝馬がなんと言われるか。だがそうはなっていなかったことに、ほっと安堵の息を吐いた。
    しかし油断はできない。母馬に懐く子馬のごとく牝馬にするよる牡馬は、今後も要注意牡馬と言えた。

  • 40◆0y66DYsnuQ23/01/24(火) 22:52:59

    ──…… 数十分後。

    牝馬はまたもやたった1頭。空き馬房で帯同馬の帰りを待っていた。いつも同じく、そのそばにはラジオが置いてある。耳はピンと立ち、まるでラジオの音を聞こうとしているかのようだった。


    『……── さあ先頭は変わって──だ──が行く! これは圧倒的スピード! 誰にも前を譲りません! 夏の上がり馬! 8番人気! ここで大躍進の一撃だ! ……突き放して、今、ゴールイン!』


    その着差はdice1d10=9 (9) 馬身差だった。

  • 41二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 23:19:46

    これはグレートマザーって感じ

  • 42二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 23:39:37

    スレ主会いたかったありがとう

  • 43二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 07:58:23

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 09:04:08

    牡馬くん前回同様相変わらずの強さで草
    これは惚れてる(確信)

  • 45二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 19:28:06

    なんか鎮静作用のある何か出してるんじゃあ…

  • 46二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:50:50

    ほしゅ

  • 47◆0y66DYsnuQ23/01/26(木) 08:58:28

    (営業先で車内に長時間閉じ込められて今帰宅なのだ)
    (でも仕事行くのだ)
    (0時前には帰れるので深夜に続き書くのだ)
    (ごめんなのだ)

  • 48二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 09:13:32

    スレ主、長距離ドライバーか。体労って

  • 49二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 15:03:17

    リアル第一で

  • 50二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 23:03:59

    保守っときますね

  • 51二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 07:09:53

    ほしゅ

  • 52二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 12:54:02

    懐く理由にも色々あるっぽいけど、穏やかな馬の方が慕われやすいんやろか

  • 53二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 15:02:20

    大寒波の影響すごいから気を付けてくれ……
    ほしゅ

  • 54二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 21:57:46

    寒波の影響をモロに受けてるんじゃ…保守

  • 55二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 08:18:01

    仕事大変だろうな保守

  • 56二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 15:06:45

    とりあえず待つ所存

  • 57二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:32:02

    待機

  • 58◆0y66DYsnuQ23/01/29(日) 08:44:09

    (やるやる詐欺してごめんなさいなのだ)
    (2日間お休み貰えたのだ!!)
    (数時間寝たら今度こそ完走したいのだ)
    (保守ありがとうなのだ)

  • 59二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 10:00:58

    >>58

    仕事乙、ようやっとる、偉い

  • 60二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 10:38:30

    >>58

    ちゃんと寝てくれ

  • 61二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 10:51:43

    ええスレや

  • 62二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 18:32:45

    >>58

    >数時間寝たら


    もっと寝てもええんやで…ってか数時間で起きられなかったパターンかな

    こっちはギャラリーの我々が保守っとくから存分に寝てくださいな

  • 63二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:15:40

    待ってるぜ

  • 64二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 07:35:37

    👍

  • 65◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 13:06:54

    【ラスト一冠へ勝ち名乗り! 約4億円の高額馬が重賞初制覇】


    競馬場に木霊すその歓喜に馬主がたまらず小躍りをする。

    戻ってきた牡馬はそうそうに牝馬の影に隠れて縮こまっていたが、彼の担当厩務員はそれでも嬉しそうに笑った。



    その数日後。

    牝馬は砂の短距離レースへと出走した。

    オープン馬になるための条件はあと2勝。

    ここをものにできれば、翌年は飛躍の1年になるだろうと、調教師は確信していた。


    「気張って行けよ」


    調教師が牝馬の首を叩くと、まるで「まかせておけ」と言わんばかりに牝馬が鳴いた。


    dice1d99=24 (24)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(9))

  • 66二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 13:12:40

    補正分上回ったかな

  • 67◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 13:19:05

    クビ差凌いでゴールに飛び込んだ牝馬を見た時、厩務員はほっと息を吐いた。
    戻ってきた騎手も安堵の表情を浮かべて言う。

    「実は直線を向く前、ダメかもしれないと思ったんです」

    そのレースには一つ上の馬がいた。
    2歳時には重賞レースで2着に入ったこともある素質馬で、クラシック前に怪我をして長期離脱。今日は復帰のための大切な一戦目だった。
    レース前から明らかに格の違う馬がいるのは、わかっていた。それでも怯むわけにはいかない。止めるわけにも、逃げるわけにも。
    ここに至るまで鍛え合った馬は期待通り、重賞制覇を成し遂げた。
    1600万下のレースと重賞とではモノが違うと言われればそれまでだが、でも、目指したいゴールがあることは同じだ。
    牝馬の懸命の支えに応えて重賞馬となった僚友のため、牝馬にとってもここは負けられない一戦だった。

    ゲートが開き、3勝目をのぞむすべての馬が駆け出した。
    牝馬の最大の壁はその馬になったし、騎手が「もしや」と息を飲んだ相手もその馬になった。
    直線に入る少し手前。砂地に踊る一つの影。
    牝馬の前に滑り込んだその馬体は迫力十分で、騎手は手綱越しに牝馬が動揺していたことを悟った。それでも。そう、それでも諦めるわけにはいかないのだと、牝馬自身がわかっていた。
    実況の声に熱がこもる。競馬場全体が俄かに沸き立ち、誰もが素質馬の復活を望んでいたその瞬間に、牝馬が割って入った。

    『だがしかし──だっ! ──が負けじと首を伸ばして果敢に挑む!』

    その時、騎手は思った。
    きっと牝馬はもう限界で、でも、誰か、何かが、彼女の背中を押していた。

  • 68二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 13:43:32

    このレスは削除されています

  • 69◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 13:46:47

    3勝目になった牝馬は、再び京都競馬場に来ていた。

    今日の目的は秋華賞。もちろん、牝馬が出るわけではない。

    牝馬二冠を達成した、あの馬の帯同で来ているのだ。

    オークスぶりの帯同だったが、牝馬は相変わらず落ち着いた様子でいた。二冠牝馬も牝馬の隣にいる時だけは穏やかな表情だ。

    ここまでの併せ馬も問題なく進んだし、二冠牝馬の調子も良好。

    菊花賞1週間前ということもあって、実はあの牡馬からの帯同依頼も控えているのだが、そもそも馬主が同じと言うこともあってスケジュール調整も完璧だ。

    馬主としては、二冠牝馬の三冠達成を弾みに、牡馬の菊花賞制覇も狙っていると言ったところか。


    「二冠牝馬が1頭に前哨戦を制した良血牡馬が1頭……豪運というか、凄まじい相馬眼というか……やっぱ、持ってる人は持ってるんだなあ」

    「なにしみじみ言ってるんですか先生。……そんなことより、そろそろレース始まりますよ」


    アナウンスが響く。出番を今か、今かと控えていた牝馬たちが一斉に動き出した。


    「ここまでありがとう。あとは、こいつが結果を出すだけだ」


    二冠牝馬の管理調教師が、そう言って牝馬の首を撫でた。

    牝馬にこれ以上の出番はない。レースに出るわけでもない。

    どうしてここにいるのかと不思議に思う視線の中で、でも、牝馬は堂々と立ち、戦場へと駆け出す二冠牝馬を見送った。



    そして二冠牝馬は、三冠牝馬となった。

    彼女が後続につけた着差はdice1d10=6 (6) 馬身差だった。

  • 70◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 13:47:08

    (阪神と京都で間違えてたから修正したのだ)

  • 71◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 14:01:05

    その1週間後。牝馬はまた京都競馬場に来ていた。

    今日は牡馬三冠最後の1レース。春クラシックの舞台に上がれなかった素質馬たちが、ラストチャンスをモノにするため、淀の大地に脚を踏み入れた。


    「あいつは三冠牝馬になった。……お前も楽な道じゃなかったが、ここまで辿り着いたんだ。それに……負けられない理由もできちまったな」


    管理調教師が牡馬の横顔を撫でた。馬はそれを気をすることなく一点を見つめる。その先で微睡んでいるのはある1頭の牝馬。

    臆病な彼を支え、共に鍛え合い、ここまで歩んできた牝馬だ。

    自分の調教時間を割いてでも牡馬の併せ馬を務めた彼女が、今、牡馬が勝利へと向かういちばんの理由になっていることは、言葉の通じない人間にだってわかる。


    「さあ、格好良いところを見せてやろうや」


    牡馬は同意するように鼻息を鳴らし、いつになく頼もしい足取りでターフへと向かっていった。



    そうして良血とばかりもてはやされた高額馬は、秋、菊花の冠を手にした。

    彼が後続につけた着差はdice1d10=10 (10) 馬身差だった。

  • 72二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 14:07:27

    菊花10馬身差はバケモノでは…?

  • 73◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 14:14:23

    クラシックシーズンが幕を閉じた。とはいえ、レースの全てが終わったわけじゃない。

    間も無く天皇賞・秋やジャパンカップが行われ、年の暮れには有馬記念が待っている。

    牝馬にはまだまだ遠い舞台だが、いつかそこにたどり着く日を、牝馬の調教師は願っていた。


    しかしそのためにはまず、オープン馬にならなくては。

    ということで牝馬は4勝目を目指して出走することになった。


    「最近調子いいな」


    そういうと牝馬がフルルと鼻を鳴らす。機嫌が良いのは本当のようだ。調教師が目尻を下げて微笑むと、扉の隙間から厩務員が顔を出した。


    「ここんところはあまり熱も出してませんし、飼い葉食いもいいんですよ。帯同とかで関西輸送を繰り返しているからかな。輸送負けもしなくなって、精神的にもさらに成長した気がしますね」


    言葉の隙間に期待が滲む。

    調教師も厩務員も、彼女がオープン馬になることを楽しみにしていた。


    そうして迎えた舞台。牝馬はいつもの騎手を背負い、気合を滲ませた足取りでゲートから飛び出した。

    dice1d99=9 (9)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(16))

  • 74二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 14:15:04

    またギリギリ…
    ダイスがすげえ空気読んでる

  • 75◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 14:24:43

    牝馬はオープン馬になった。

    それは完璧な勝ち方とは言えなかった。

    まるで死力を尽くすような走りは、外から見ていた調教師に悲惨な最期さえ覚悟させたほど。

    連勝中の他馬が必死に首を頭を伸ばしてくる中、必死に脚を回す牝馬の姿は痛々しい。

    明らかに力負けしていた。3着まで食い込めれば御の字だったのだ、きっと。

    だけど牝馬は勝った。いけ、おせ、踏ん張れ、と。追い込む騎手の執念と、それ以上に牝馬の根性が栄光を掴ませた。


    しかし代償はあった。

    dice1d4=1 (1)

    1:レース翌日、熱発した牝馬の体調はなかなか回復しなかった。

    2:牝馬は落鉄していた。脚は血みどろだった。

    3:レース当日から大きく体調を崩していた

    4:牝馬は肩を痛めていた。レース終盤、他馬と競り合っていた影響だった。

  • 76二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 14:41:53

    このレスは削除されています

  • 77◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 14:42:29

    「下がらんなぁ……ごめんな、辛いよな」


    ぶる、と牝馬が小さく鳴いた。


    牝馬の高熱はなかなか下がらなかった。

    無理したのが祟ったのだろう。ここまで連戦連勝。

    いける、まだやれる、もっとできる。

    そう思ってレースに出していたが、きっと無理をさせていたのだ。

    調教師は後悔を滲ませながら、しかしどうすることもできない。

    今更過去になど戻れないのだから。

    できることがあるとしたら、ここから先の未来をどうするか、だけだ。


    「オーナーからは長期休養でもいいと言われたし……しばらく休ませようかな」


    季節は冬。牝馬はもう4歳だった。

    牝馬が帯同を務めていたあの2頭はといえば、

    三冠牝馬はあの後 dice1d4=3 (3) に出走し、

    1:エリザベス女王杯

    2:マイルCS

    3:ジャパンカップ

    4:有馬記念

    dice1d99=41 (41)

    (55以上で勝利)


    牡馬は dice1d3=2 (2)

    1:マイルCS

    2:ジャパンカップ

    3:有馬記念

    dice1d99=91 (91)

    (55以上で勝利)

  • 78◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 15:00:16

    三冠牝馬と菊花賞馬は共にジャパンカップに出走した。
    どっちも帯同を務めた馬だから、牝馬の調教師はどちらも応援してみていた。
    結果として、このレースは牡馬が制した。
    菊花賞で見せた強さが本物であることを証明するような末脚。
    年上のG1牡馬を蹴散らした彼に、終盤まで追い縋った馬はただ1頭。
    それが三冠牝馬だった。
    激戦の末、彼女は2着。最後まで失速しなかった牡馬の方が、少しだけ彼女を上回っていた。

    ジャパンカップには牝馬は帯同しなかった。
    体調不良から回復しなかったのもあるが、オーナーが帯同もなしで休養させるよう調教師に言ったからだ。
    僚友たちの華々しい活躍を、牝馬はテレビ越しに見守った。

    そんな僚友2頭は共に有馬記念を回避し、年明けの今。
    牝馬が休養から戻って来るのを首を長くして待っていた。

    「やあやあ、おかえり!」

    2頭の管理調教師が牝馬の元に駆け寄る。
    牝馬の調教師は苦笑いを浮かべ、それを見守っていた。

    「体調はもう大丈夫なのか? ん?」
    「牧場からはずいぶん良くなったと聞きましたよ。熱発も収まって、今は身体も軽くなったみたいですから」
    「そうかい……引退させるかもと聞いた時は残念にも思ったが、まだリスタートできるようでよかったな」

    優しげな顔で振り向いた管理調教師に、牝馬の調教師も頷いた。
    本当に、リスタートできそうでよかった。
    牝馬は調教師が伸ばした手に擦り寄りながら、ただ静かな目で、じっと見つめ返してくる。
    そのいじらしい姿が、また調教師の胸をくすぐった。

  • 79◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 15:00:28

    しばらくすると、4歳になった牝馬のスケジュールが決まった。

    そこには当然のように帯同の予定も組まれている。

    まず三冠牝馬だが、dice1d2=1 (1)

    1:引退することが決まり、次走がラストランとなった

    2:今年も変わらず現役続行が決まり、次走の帯同を担当することになった


    彼女の次走は dice1d4=4 (4)

    1:フェブラリーS

    2:高松宮記念

    3:天皇賞・春

    4:ヴィクトリアマイル


    一方の牡馬はdice1d2=1 (1)

    1:引退することが決まり、次走がラストランとなった

    2:今年も変わらず現役続行が決まり、次走の帯同を担当することになった


    彼の次走は dice1d4=1 (1)

    1:阪神大賞典

    2:ドバイシーマクラシック

    3:天皇賞・春

    4:サンクルー大賞典

  • 80◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 15:08:12

    僚友はどちらも引退が決まった。

    三冠牝馬は生まれ育った牧場で繁殖牝馬に。

    菊花賞馬は有名なスタリオンで種牡馬になる。


    「寂しくなるなあ」


    調教師がそう言って牝馬の横顔を撫でると、か細い声が、小さく空気に溶けていった。



    そして3月。阪神大賞典が開かれる阪神競馬場には、例年になく大勢の観客が詰めかけていた。

    史上最高の良血と謳われた菊花賞馬のラストラン。

    本来ならG1レースを選んで花道とするところを、あえてG2レースを選んだのにも理由があった。


    「足がな、多分持たん」


    菊花賞馬は足に爆弾を抱えていた。いつ破裂するかもわからないそれが、果たして5月まで持つだろうか。それを不安に思った調教師は、まだ耐えれるうちに彼に花道を用意してやりたかったのだろう。


    「一緒に入れたのは1年もなかったけど、こいつのこと、支えてくれてありがとうな」


    管理調教師がそう言って牝馬に頭を下げると、それに倣うように、牡馬が嘶いた。


    そしてゲートが開く。牡馬のラストランへと、栄光に続く道へと、彼の未来に幸あれと息吹くように。

    その背中を、牝馬はじっと見つめていた。


    dice1d10=5 (5) 馬身差のそのさきで、牡馬が振り返る。

    潤んだ瞳が何を伝えたがっていたのか、人間にはわからない。

    けれど牝馬だけが、彼が託した何かを、大切そうに抱えていた。

  • 81◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 15:19:54

    5月。その年のクラシックシーズンが幕を切って1ヶ月が経った頃、今度は三冠牝馬がラストランを迎えた。

    去年のジャパンカップから約半年ぶりのレース。

    詰めかけたファンの多くが、涙をいっぱいに浮かべてその姿を待っていた。


    牝馬はパドックに出る時間まで、目一杯彼女に寄り添った。

    いつも以上にうるさい競馬場で彼女が驚かないよう、その心の隙間にそっと足跡を残し、短くても優しい時間を演出する。

    牝馬に期待されていたもの全てを熟したあとは、三冠牝馬の走りを応援するだけ。


    「終わっちまうな」


    そう調教師が小さくつぶやいたが、牝馬は返事をすることなく、ターフへと遠くなる三冠牝馬を静かに見守っていた。



    そして彼女のラストランは、後続にdice1d10=4 (4) 馬身差つける走りで幕を閉じた。

    十数年ぶりの三冠牝馬が歩んだ道としては、もしかしたら短いものだったかもしれない。

    でも彼女が競馬史に残したものは大きく、これから先、彼女を目標に育つ牝馬たちも多く生まれるだろう。

    偉大なその蹄跡が消えることなく続いていくことを、調教師は切に願った。

  • 82◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 15:46:56

    4歳の夏。美浦にはもう、あの三冠牝馬も菊花賞馬もいない。

    だが牝馬の日常が変わることはなかった。

    今日も調教を受け、オープン馬となって初めてのレースへと備えていた。


    そして真夏のその日。牝馬は5勝目を目指して、初の重賞レースへと出走した。

    dice1d4=3 (3)

    1:プロキオンS(砂)

    2:アイビスサマーダッシュ(芝)

    3:北九州記念(芝)

    4:キーランドカップ(芝)


    結果はdice1d99=98 (98)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(9))

  • 83二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 15:50:26

    休んだ間に成長してる!

  • 84◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 16:03:09

    芝1200mの舞台で踊った牝馬の姿に、調教師は眩しそうに目を細めた。

    ダートを主戦場としていた牝馬がどうして芝に出ることになったのか。
    これには主戦騎手の一言があった。

    「芝に出てみませんか。例えばアイビスSDとか、北九州記念とか。短い距離はもちろんですが、この馬は芝でも走るとは思います。足腰に異常はありませんし、内臓が弱いので間隔は開けた方が良いとは思いますが、試して無駄になることはないでしょう」

    こうして芝の短距離に出ることになった。
    北九州記念を選択したのは、これまで砂地で勝っていたレースが1200m戦が多かったことに由来する。
    後は新潟の芝千直よりも小倉芝の方が足にあっていると判断したからだろう。

    「ここを勝てたら、芝路線へと切り替える」

    レース前、そうオーナーと確認しあって決めた。
    ただでさえ砂の重賞レースは少ない。
    しかし砂地へと活路を見出す馬は、そのレース数以上に存在するのだ。
    ただのオープンレースだったとしても、レースによっては「重賞クラスの馬がなんでここに?」というメンバーになることもあるくらい。
    3勝目、4勝目のレースで牝馬が苦戦した理由の一つに、その層の厚さもあった。
    そしてもう一つ、大きな理由があった。
    それは牝馬の世代が、近年稀に見る『ダート馬の戦国時代』と呼ばれるほど、優秀なダート馬が揃っていたことだ。
    砂地に舞う優駿たちと戦うには、牝馬にはあまりにもチャンスが少なかった。
    だからこその路線変更。だからこその芝への挑戦。
    もし北九州記念で好走できたら、活路が見えて来る。

    そうして迎えた運命の日。
    牝馬は想定以上の走りを見せ、芝への適性の高さを調教師たちに叩きつけた。

  • 85◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 16:45:16

    牝馬に新しい帯同馬ができたのは、その年の秋だった。

    「あの牡馬の弟、ですか」

    牝馬の目の前に佇む馬は、あの菊花賞馬の全弟だという。
    臆病で知られた兄とは真逆に、弟はとんでもない気性難で知られた。
    どちらかといえばあの三冠牝馬と似たようなタイプだろうか。
    同厩舎の馬を追いかけ回したと聞いた時は頭を抱えた調教師だが、実際に顔合わせをして、牡馬の様子を見たらそんな心配も吹き飛んだ。

    「おとなしい、な」
    「ですね……」

    牡馬は暴れる様子もなく、牝馬の側で佇んでいたのだ。
    その様子は、いつも牝馬の側でまどろんでいた兄を幻視させた。
    しかし戦績は兄と違って、春クラシックは順調な出だしだった。
    ここまでの通算成績は7戦5勝。無敗で皐月賞を制したのち、日本ダービーでは勝ち馬に2馬身差の惜敗。
    夏の間も休養せず、宝塚記念5着に札幌記念1着と戦績を積んだ。
    そんな彼の次走はニエル賞。フランスのレースだ。
    ここを制したその次は、凱旋門賞が控えていた。

    「菊花賞には行かないんですね」
    「そうさねえ。それも考えてたんだが、気性が荒いもんで、長い距離だと精神的に持たないって話になったんだ。……ま、この様子を見てるとどこが荒いんだって話かもしれないが」

    苦笑いでそう語る管理調教師は、遠い目をした。
    いつもの暴れっぷりがまるで嘘のようにおとなしい牡馬。
    これがいつもだったら、苦労せずに済むのになあ。そう思いつつ、頭を横に振った。それは今考えても仕方のないことだ、と。

    「改めてだけど、こいつの帯同、よろしく頼むよ」

    牝馬はまるで言葉を理解したように、短く頷いた。

  • 86◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 16:45:37

    そして9月。牝馬はその牡馬と共に渡仏した。

    渡航費は全て牡馬の馬主── つまり、あの三冠牝馬と菊花賞馬の馬主が拠出した。

    帯同してくれるんだからせめてこれくらいは、という気持ちの表れだったようだ。

    牝馬はニエル賞と同日に行われるG3の芝1000m・プティクヴェール賞に登録した。


    牡馬は前評判の高さ通り、ニエル賞を勝利した。

    彼が後続につけた着差はdice1d10=8 (8) 馬身差だった。

  • 87◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 16:51:46

    牡馬をニエル賞に送り出した後、牝馬もプティクヴェール賞に出走した。

    芝1000mに出るのも初めてだが、何より陣営が気にしていたのは洋芝であることだ。

    日本と海外、特にヨーロッパの芝とではかなり質が異なる。

    良馬場であることが基本の日本とは違い、雨の多いヨーロッパの芝は良馬場発表でも重いことが基本だった。

    今まで不良馬場で走ったことのない牝馬に、この芝1000mがこなせるかどうか。

    送り出す調教師は息を飲んで、そのレースを見守った。


    dice1d99=74 (74)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(8))

  • 88◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 16:57:51

    そこから約1ヶ月後のフランス。凱旋門賞当日。

    ロンシャン競馬場は熱狂に包まれていた。


    「いよいよか……自分の馬が出るってわけでもないのに、ほんと、なんなんだろうなこの緊張感は……っは〜! こんな場面でも普通にいられるなんてお前くらいだよ、──」


    牝馬は飼い葉桶を揺らし、静かに佇む。

    年下の牡馬を熱戦に送り出した彼女に、躊躇いも不安も何一つないようだった。

    むしろ確信すらしているようだった。あの暴れん坊の、牝馬の側でだけはおとなしい牡馬が勝利を掴む、そんな結果を。


    果たしてレースは、そんな牝馬の堂々たる佇まいを映し取ったかのように、堂々とした幕切を見せた。

    初っ端から最高のスタートを切った牡馬は、逃げ馬にぴたりと張り付いて追走。

    番手につけたまま虎視眈々とゴールを狙い、そして勝ち切った。

    彼が後続につけた着差はdice1d10=2 (2) 馬身差だった。

  • 89◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 17:04:43

    パワー勝負、適性決着となりやすい凱旋門賞は、それまでの日本馬にとってまさに高く高く聳え立つ門だった。
    多くの優駿が挑んでは跳ね返される。
    しかし多くの人間が憧れてやまないヨーロッパ最高峰の芝レースは、いつまでも魅力的で、挑まずにはいられない舞台だ。
    いつか。いつか。いつかいつか。いつか、── 必ず。
    そこにたどり着いて見せる。そこを制して見せる。
    もはや夢想などではなく、ただ一つの戦績として残して見せる。
    そんな気合と願いを伴って挑む多くの優駿たちの隙間で、牝馬は佇んでいた。
    その視線はただ1頭を見つめている。暴れん坊のただ1頭を。
    馬は深く沈む芝を蹴り上げ、大歓声の縫い目を突き進み、そして至る。
    見上げるだけとなっていたものを、制覇可能なレースへと引き摺り込んで、今、その勝ち馬として牝馬の元に帰ってきた。

    「おめでとう」

    牝馬がそう言っていたかなんてわからない。
    でも、当たり前のように牝馬の横まで駆けて、ぴたりと離れないように息を落ち着けた牡馬の、その穏やかな表情が全てを語っているようだった。

  • 90二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 17:05:15

    嫁通り越して母親の風格

  • 91◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 17:11:52

    それから間も無く2頭は帰国した。

    牡馬は一休みしたのち、ジャパンカップに出るらしい。

    一方の牝馬はというと、早速重賞3勝目を目指して調教再開。

    次走はG3・京阪杯。芝1200mだ。


    「いい顔つきだな、──」


    主戦騎手がそう言って牝馬の鬣を撫でた。

    前走から約2ヶ月。内臓の弱い牝馬は間隔を詰めてレースに出れない。

    十分な期間を空けて挑むレースは、普通は不安が付き纏うものだが、牝馬の陣営は彼女を信じていた。

    勝ちを確信しているわけではない。大楽勝と思っているわけでもない。

    そんな次元じゃなくて、ただ深く信じている。この牝馬が諦めず、最後まで駆け抜けることを。


    「よし、行こうか」


    秋の風が吹いて牝馬の鬣を揺らす。

    その日は、美しく晴れた日だった。


    dice1d99=11 (11)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(2))

  • 92◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 17:38:37

    京阪杯で牝馬は6着。
    勝ち馬となった牝馬は5歳で、牝馬より1つ上だった。
    長い長い下積みを経ての重賞初制覇。感動に咽び泣く調教師を見て、牝馬の調教師も彼女が初めて重賞を制した北九州記念を思い出した。
    どんなレースであろうと、初制覇に勝る喜びはない。
    それだけに、勝利会見で泣くその涙の重みが痛いほどわかった。

    「惜しかったな」

    道中はよかった。騎手と牝馬は上手く折り合えていたし、コース選択だって悪くなかっただろう。
    しかし素質馬が足並みをそろえたこのレースは、今の牝馬にはまだまだ難しかったらしい。
    懸命に足を回したその先で、前5頭の馬の執念が、牝馬を上回った。

    けれど、絶望するほどの惨敗ではない。
    ここからならまだ立て直せると、調教師は前向きだった。

    「……さあ、まだまだ次がある。そうだろ?」

    飼い葉桶をふるりと揺らして、牝馬は空を見上げた。

  • 93◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 17:53:57

    京阪杯の翌日。牝馬は京都から東京に急行した。

    ジャパンカップに出走する牡馬の帯同を務めるためだ。

    だいぶ距離はあったし、淀から府中の旅は決して楽ではなかったが、府中の大地で待つ牡馬が元気に暴れ散らしていると聞いては、行くしか選択肢はなかった。

    牝馬はレース終わりの長時間輸送にも耐え切って、牡馬の帯同を熟して見せた。


    「すまんね、付き合わせてしまって」

    「いえ……オーナーにも許可をもらっているので。それより、落ち着きましたか?」

    「ああ。あの子がきた瞬間にピタッと。びっくりするくらい。……あいつの時も思ったが、相性が良いのかもなあ」


    牡馬は牝馬の横に張り付いて、穏やかな表情で目を閉じていた。


    そして午後。ゆっくりと陽が落ちる空の下。

    牡馬は完璧な状態で府中の大地を蹴り上げた。


    彼が2着馬につけた着差はdice1d10=1 (1) 馬身差。

    凱旋門賞制覇の実績がフロックでもなんでもないことを、証明して見せた。

  • 94◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:25:13

    「着差は確かに圧倒的ではなかったかもしれません。けど、誰もこいつの影を踏めなかったことが、全ての答えではないでしょうか」

    牡馬の管理調教師がそう言って胸を張った。
    去年の勝ち馬はこの馬の全兄である菊花賞馬。
    兄弟続けての制覇に湧き立つファンは、管理調教師の言葉にさらに盛り上がっていた。
    一方の牡馬は主戦を芝に振り落とし、鼻息荒く暴れている。
    あいつマジ気性難な、と囁き合うファンたちを、牡馬の厩務員は苦笑いで眺めた。

    「次走は有馬記念です!」

    フラッシュが焚かれる。誇らしげな調教師が一面を飾ったのは、その次の日だった。

  • 95◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:25:32

    そして1ヶ月後。中山競馬場の大地。

    牝馬は今回も牡馬に付き添い、その場所に来ていた。


    「……そーいや、ジャパンカップもだったけど、有馬記念に付き添いで行ったのも初めてだったよな。去年は休養中だったもんなあ」


    1年経った今でも話題になっている、去年のジャパンカップ。

    世代の三冠牝馬と菊花賞馬の3歳馬同士の一騎打ちとなったあの名レース。牝馬は帯同できなかった。体調不良による休養中で、テレビ越しに見守っていたからだ。

    でも今年は、菊花賞馬の全弟に帯同する形でジャパンカップを現地観戦し、そして有馬記念も寄り添うことになったのだから、縁というのは不思議なものだ。


    ぶるるん、と牝馬が鳴く。すると牡馬が控えめに鳴き返して、アナウンスが響いた。


    「お、始まるな」


    鞍をつけた牡馬が厩務員に手綱を引かれて進む。

    牝馬はその姿をしっかりと最後まで見送ってから、飼い葉桶に顔を突っ込んだ。


    「毎回思うけど、お前、その落ち着きっぷりだけで言ったらG1馬並みだからな……どうなってんだお前のメンタルは……」


    牝馬はうるさいと言わんばかりに鳴いた。


    それから十数分後。牡馬が帰ってきた。

    その首から、青い優勝レイを下げて。


    彼が後続につけた着差はdice1d10=3 (3) 馬身差だった。

  • 96◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:29:05

    年の暮れ、中央最後の芝G1が幕を閉じると、新年まであっという間に時間が過ぎていった。

    牝馬も5歳。有馬記念を制したあの牡馬も、今年から4歳だ。

    オーナーからは年内での引退を願われている牝馬だったが、調教師はそれまでの間にまたいくつかの重賞に出すつもりでいるらしい。

    一方の牡馬はといえば、dice1d2=1 (1)

    1:引退することが決まり、次走がラストランとなった

    2:今年も変わらず現役続行が決まり、次走の帯同も牝馬が担当することになった


    彼の次走は dice1d4=1 (1)

    1:阪神大賞典

    2:ドバイシーマクラシック

    3:天皇賞・春

    4:サンクルー大賞典

  • 97◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:34:41

    牡馬も全兄同様、4歳で引退することが決まった。

    そしてこれまた兄と同じく、阪神大賞典を引退の花道とすることが決まったのだ。

    これに関して牡馬の管理調教師は、dice1d3=3 (3)

    1:菊花賞馬の体調があまり良くなく、まだ産駒もデビューしていない中で、早くに後継となる全弟の種牡馬が欲しいから

    2:牡馬が早熟傾向にあり、馬主が4歳から種牡馬にすると決めているから

    3:牡馬が有馬記念後に体調を崩していたことを挙げ、元々そこまで体質が強くないから

    と言っていた。


    そして彼のラストラン前。牝馬は3ヶ月ぶりにレースに出た。

    2月はまだ肌寒かったが、淀で開かれた芝1200mのG3レース・シルクロードSが5歳の初戦。

    ここで牝馬は前目につける競馬を選び、果敢に奮闘した。

    その結果、dice1d99=31 (31)

    (25以上で勝利/帯同した馬がつけた着差合計が補正値(4))

  • 98◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:42:34

    牝馬はこれで重賞3勝目。

    寒空の下、粘り強く前を追った牝馬の執念は、勝利という形で見事に実った。

    そして1ヶ月後の3月。阪神競馬場。

    1年前も菊花賞馬のラストランに付き添った牝馬にとっては、初めての光景ではなかった。

    そして別れすら、初めての体験ではなかった。

    しかし牡馬にとってはそうではない。

    初めての3000mに初めてのさようならを、今日、全て体験する。

    この大地で何もかもを知り、そして、何もかも置き去りにしていくのだ。


    「調子はどうだい」


    牡馬の管理調教はそう牝馬に尋ね、返事もない横顔を撫でた。

    馬は人間に何も言わない。

    ただ黙して語る。

    その馬体で、その背中で、その走りで。

    人間が求める答えの全てを、教えてくれるのだ。

    だから管理調教師は、沈黙の中でもやわらい表情で、小さく頷いた。

    頷いて、牡馬の横っ腹を小さく、撫で上げた。



    それから十数分後。阪神競馬場を大歓声が埋め尽くした。

    春は皐月賞、秋になれば凱旋門賞にジャパンカップ、有馬記念を制し、強くあるがままターフを去る1頭の牡馬。

    その牡馬だけに贈るにはあまりにも盛大な拍手は、遠く馬房で寝転がる、ある牝馬の耳にもしっかりと届いていた。


    牡馬はラストランで後続にdice1d10=2 (2) 馬身差をつけた。

    無音の末脚に魂が宿る。

    その魂は果たして牡馬か、それとも──……。


    どちらにせよ確かなことは、牡馬が戻ってきた時、牝馬はいつも通りの表情を浮かべたまま彼の前に静かに立っていた、ということだけだ。

  • 99二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:48:44

    >>無音の末脚に魂が宿る


    めっちゃええやん

  • 100◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:54:51

    牡馬が引退した後、牝馬はdice1d10=5 (5) 頭の馬の帯同を務めた。

  • 101◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:55:22

    牝馬が帯同を務めたのは、

    dice5d10=3 10 3 7 5 (28)

    1:同世代で最近勢いが落ちてきたダート馬

    2:年下の世代でクラシック前の牡馬

    3:年上の世代で初めて海外遠征する牡馬

    4:今年デビューを控えている外国産駒の牝馬

    5:怪我で長期離脱していた同世代のダービー馬

    6:海外から移籍してきたばかりの同世代牝馬

    7:地方から移籍してきたばかりの年下の牝馬

    8:年下の世代で海外ダートに挑戦する牡馬

    9:年上の世代で砂から芝路線に切り替える牝馬

    10:同厩舎で今年デビューを控えている牝馬

  • 102◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 18:55:51

    (数字が被った場合はその下の馬になるのだ)

  • 103◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:02:57

    年上の世代で初めて海外遠征する牡馬に、怪我で長期離脱していた同世代のダービー馬。地方から移籍してきたばかりの年下の牝馬と今年デビューを控えている外国産駒の牝馬、それから同厩舎で今年デビューを控えている牝馬の帯同馬を務め上げた。


    たった1年の付き合いではあるが、牝馬できうる限りの時間をその馬たちと過ごしたのだ。

    そして彼ら、彼女らの遠征先が外国である時、牝馬は必ずその国の重賞レースに出た。

    残念ながら最後までG1レースでは勝てなかったが、現地のG2やG3レースで勝つことだってある。

    いずれも芝の短距離で、牝馬は合計dice1d10=3 (3) 戦に出走した。


    牝馬の引退レースは阪神カップ。

    結果はdice1d99=52 (52)

    (25以上で勝利)


    競馬場で引退式、なんて華やかなことはしなかったが、厩舎に戻った時、その1年間帯同を務めた馬たちが出迎えてくれた時のことを、調教師はよく覚えていた。

    それと同時に、牝馬が目を丸くしていたのも。

    まるで喜びを分け合う馬たちを一枚の写真に収めて、厩務員は涙を拭いた。

  • 104二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 19:07:19

    体質弱いし重賞複数取ったらそりゃ引退するわな…

  • 105◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:13:10

    年上の世代で初めて海外遠征する牡馬はその後、海外レースをdice1d10=5 (5) 勝した。イギリス、フランス、アメリカにドバイ。走れるとこならどこでだって走る。脚の強さを持っていた。牝馬はこの馬に寄り添う形で海外重賞を3戦した。


    怪我で長期離脱していた同世代のダービー馬は、国内重賞レースをdice1d10=5 (5) 勝。その見事な復活劇に、誰もが目を丸くした。落ち目だ、と言われていたのは幻だったのか。牝馬が寄り添うたびに活力が戻り、衰えを感じさせない見事な走りに、人はどこまでも夢を見た。


    地方から移籍してきたばかりの年下の牝馬は、ダート重賞をdice1d5=2 (2) 勝、芝重賞をdice1d5=2 (2) 勝した。地方出身から生まれた新時代の名牝は、戦場を選ばない競走の女神として、今後忘れられることはないだろう。


    今年デビューを控えている外国産駒の牝馬は、特にこの牝馬に良く懐いていた。誰も知り合いのいない場所で、随分と心細い思いをしていたのかもしれない。牝馬と共に過ごすうちに気性は穏やかになり、その高い操縦性はやがて国内重賞dice1d10=2 (2) 勝するほどの活躍へと繋がった。


    そして最後。

    同厩舎で今年デビューを控えている牝馬は無事に新馬戦を好スタートさせ、やがては重賞dice1d10=7 (7) 勝する名牝へと育った。ほとんどの時間を牝馬と過ごしてきたから、雰囲気は牝馬に似て落ち着きのある性格。競走馬生活の終盤には同厩舎の若駒の帯同を務め上げるほど、穏やかな牝馬となった。

  • 106◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:15:05

    引退後の牝馬は、dice1d2=2 (2)

    1:繁殖牝馬

    2:リードホース

    となった。

  • 107◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:52:27

    牝馬は引退するまで、やはりそこそこの知名度しかなかった。
    いや、正確には引退した後も取り上げられることはそうなかったが、状況が変わったのはその数年後。
    最初に帯同を務め上げたあの三冠牝馬の馬主がインタビュー時に牝馬の名を挙げたことで、彼女の帯同歴が話題になったのだ。
    三冠牝馬はもちろん、菊花賞馬に、その全弟に、同世代のダービー馬に、と、あげればキリがないほどの名馬たちがその履歴に連なる。
    加えて、彼らの調教師や馬主が牝馬の存在がいかにプラスだったかを語ることで、牝馬はのちに『帯同名馬』と呼ばれるようになったのだ。
    牝馬自身はG2勝ち止まりの馬だった。レコードホルダーでもないし、新聞一面に取り上げられるほどの大活躍はしていない。
    それでも彼女の存在が、あの日の名馬を作り上げる欠かすことのできないピースだったのだと、世間は知った。

    「彼女や彼の心を支えるのに、あれほど完璧な馬はいなかった」

    三冠牝馬と菊花賞馬の馬主が、そうしみじみと語る。
    ただ寄り添うだけ。それが簡単だと思えるのは人間だからだ。馬というものを知らないからだ。ただそこにいて、寄り添うという物事の難しさ。相性。タイミング。
    馬と息が合うのではない。馬と息を合わせるということ。それをごく自然にやってのけたことを指して、馬主は『完璧』だと言っていた。

    「馬たちが彼女に懐いたのは、きっと、彼女の隣だと、自分らしいタイミングで呼吸ができるからでしょう」

    それを大勢が知る頃には、牝馬はリードホースになっていた。

  • 108◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:52:44

    当初は繁殖牝馬にする予定が、検査の結果、子供が産めない身体だということがわかった。
    繁殖入りを考えていたオーナーはもちろん、いずれは牝馬の仔を管理したがっていた調教師も、主戦騎手も厩務員も、みんなが残念に思っていた。
    関係者以外で特に嘆いていたのは、菊花賞馬とその全弟の馬主だろうか。
    いずれは2頭のうちどちらかと配合したい、と前々から牝馬のオーナーに打診していた分、嘆きが深かったのかもしれない。

    「……なあ、ひょっとしてお前は、知っていたのかな」

    牝馬は今、ある牧場でリードホースをしている。
    国有数のビッグファームとあっては、そうそう会える場所ではない。だが調教師は現役時代の縁もあって牝馬に会うことができた。
    ここでの牝馬の仕事であるリードホースは、母馬の下を離れた子馬たちの保育士、と言ったところか。
    現役時代、多くの馬に寄り添ってきた牝馬にとっては、もしかしたら天職なのかもしれない。
    それだけに、調教師は思わずにはいられないのだ。

    牝馬は全部知っていたのではないか、と。

    「産めない分、お前はみんなに寄り添ってくれてたのかな?」

    そんなまさか。

    きっと誰かに話せば一蹴されるとわかっていたから、調教師は誰にも話してこなかった。
    けど、やはり思うのだ。
    牝馬は全て知っていて、だからこそ、まるで我が子に接するように全ての馬に寄り添えたのだ、と、そんな夢のようなことを。
    その無条件に近い親愛を一身に浴びていたからこそ、馬たちは牝馬の前だと大人しくできていたのではないか。
    答えのない問いに、牝馬はやはり何も言わない。
    しかし凪いだ目は遠くを見ているような、でも近くを見ているような、そんな曖昧な目線で瞬く。
    彼女の半分ほどしかない体格の子馬たちが鼻息荒く駆け出すと、牝馬はふいと視線を逸らして、その後を追った。

  • 109◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:54:07

    「あのでかい流星の馬が見えますか。あれが、ほら、彼女と同世代の菊花賞馬の仔で、その隣が三冠牝馬の仔で──……」

    牧場長がそう説明するのを横目に、調教師は目を細めた。
    牝馬は背を向けている。
    けど、そう、馬というのはその行動の全てが言葉だから。

    (幸せか、なあ、──)

    大きな流星を持つ仔馬が、そっと牝馬に近づく。
    すると牝馬はその横顔を舐め上げ、優しい母の顔で、空を見上げた。

    〜 完 〜

  • 110二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 19:54:58

    ここで育った子も気性よくなりそう

  • 111◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 19:57:08

    (牝馬はリードホースの他にも、初めて仕事する牝馬の付き添い役もしているのだ)
    (あるとき面倒を見ている若い牝馬が配合されることになって、その牝馬の付き添いで繁殖場までついて行った時、なぜか相手牡馬にガン見される事件が発生するのだ)
    (血を繋ぐ儀式中も若い牝馬に跨りながらガン見してくるその牡馬は、かつて牝馬が寄り添っていたあの菊花賞馬だったりするのだ)

  • 112二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 19:59:06

    完結お疲れさまです
    菊花賞馬くんの性癖歪みそう

  • 113◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 20:01:09

    (ここまでお付き合いいただきありがとうなのだ)
    (このネタはたぶんダイスというよりも完結まで全部書き切る、いわゆるSS向きだったと終わってから気づいたのだ)
    (盛り上がりにくいネタだったと思うけど、最後まで見守ってくれてありがとうなのだ)
    (待っててくれてるおかげで書き切れたのだ)
    (本当の本当に、心からありがとうなのだ!)

  • 114二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:05:24

    お疲れさまでした!
    今回は無事完結を見られて嬉しい

  • 115◆0y66DYsnuQ23/01/30(月) 20:20:14

    (他にもやりたいネタはあったけど、なんだかここ最近は架空馬スレも乱立気味みたいだから立てるの怖いのだ)
    (でもまたやりたいので立ったら見守ってほしいのだ)
    (みんなも寒さに気をつけて元気に生きててほしいのだ!)
    (今回もお疲れ様なのだ!!)

  • 116二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:31:32

    また気が向いて余裕がある時にでも立ててくれれば

  • 117二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 21:04:48

    とても面白かったです、またどこかで

  • 118二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 21:42:36

    エピローグの調教師さんの牝馬さんに向けた言葉でちょっと泣いた

    過去スレも含めて読み返してくるわ

  • 119二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:09:04

    いつもありがとうございます。今回もとても楽しかったしずっと泣いてました。牝馬ちゃんの子供が見てぇなぁと思いつつリードホースの理由がめちゃくちゃしっくりきてやっぱりブンゴウウインディちゃんはすごい……。
    新作来たらまた追いかけます。

  • 120二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:13:30

    マジェスティックライト投げ込んでしまってすみませんでした
    ふと母目当ての母父だとどうなるのか気になったら当たってしまって……
    それだけに一捻り加わった対応を見せてくれたのが面白かったし、今回のお話も素敵でした
    子供が産めないぶん、帯同することで名馬たちに何かを与えてたんだろうなあ

オススメ

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