- 1二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:04:56
- 2二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:06:06
健全かわいい
- 3二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:06:11
二人とも下手すりゃコウノトリやキャベツ畑レベル…
- 4二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:06:19
教育の機会えぇ…
神戸も凄い雪だし加古川線は止まってて寒いからねぇ - 5二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:13:12
地球が初めてのボブの寒さ耐性
dice1d100=55 (55)
- 6二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:14:43
- 7二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:15:49
ボブは鍛えてるから代謝よさそう
- 8二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:16:49
人間ゆたんぽは心もあったまるんだぜ
- 9二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:18:18
ボブが寝てるふとんの中に冷えっ冷えの身体のまま潜り込んで抱きつく二人
- 10二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:22:18
フロント育ちのお坊ちゃんにしては耐性あるな
- 11二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:23:13
- 12二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:24:14
- 13二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:42:50
抱きつかれて、小さい頃にヴィムに抱かれて昼寝した頃を思い出すんだよね……
- 14二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:45:39
- 15二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:46:24
普通に何事もなく3人で寝る
- 16二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:46:28
- 17二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:50:43
窓を段ボールで塞いでプチプチ貼ったりしてるのかな?
- 18二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:02:07
- 19二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:04:12
寒さをしのぐだけならパイロットスーツ着るかガンダムのコクピット居ればいいのにわざわざボブの布団に入ってくるのかわいい
- 20二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:48:35
「逆らったら殺すから」とか言って強引に布団に入ってくるんですね
そして抵抗と困惑の表情を見せながらも兄貴分精神が勝って結局二人を受け入れちゃうボブ
女として見られてないことにモヤる二人…ってのもアリだと思ったがダイスの健全度を見るにそれは薄いか - 21二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:49:34
只管割れた窓に木の板を張り付ける仕事してそう
- 22二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:51:38
「逆らったら殺すから」って言った後5分で寝付いちゃうんだな、このスレの健全度だと
- 23二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:52:29
地球の過酷な冬を過ごす中で人とくっつくのが習慣になってるんだ
たとえ捕虜だろうが命のためだから協力させるんだ
今まで感じたことのない暖かさにとろけてしまうんだ - 24二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:21:56
ソフィノレの二人…に限らず満足に食べれなくて身体細いアーシアンにとって冬は辛い季節だろうなぁ
環境からしてまともな暖房設備とかあるかも怪しいし
ボブの体温が身に染みる… - 25二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:22:53
加古川って気温普段どんくらいなん
- 26二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:25:33
ストーブの取り合いすごいことになってそう
- 27二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:27:45
瀬戸内海式気候で普段は温暖っぽそうだから余計にこの寒さは堪えちゃいそうね
- 28二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 22:33:12
「ボブ〜、一緒に寝るから詰めて〜」
「なんでだ?どうして俺がテロリストと寝なきゃならない?」
「うるさいな〜、スペーシアン様は知らないかもしれないけど地球には季節があって冬は寒いんだよ?私たちはいつもくっついて冬を凌いでるの!」
「男で体も大きいからちょうどいい。こんな穴だらけの部屋で寝たら凍死する。自分のためにも大人しく詰めて」
「そ、そういうことなら構わないが…お前らは嫌じゃないのか?」
「??何が?」
「いや……嫌じゃないならいい……」
(なんか…ボブの体、おっきくて、あったかいな……体だけじゃなくて心もあったまるような……頭、ふわふわ、す、る……)スヤァ
(ソフィ寝ちゃった……ボブも…寝てる。腕、太いな。いいもの食べてるんだろうな。私たちより…暖かくて…優しくて…そんな、場所で…)スヤァ - 29二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 23:46:55
- 30二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 00:30:07
次第に寒さとか関係なく一緒に寝るようになるんですね
- 31二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 07:52:25
ボブは懐かれたら、二人の頭を撫でそう
二人は猫になる - 32二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:42:09
可愛い
- 33二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 06:02:07
「ボブ〜、今日も寒いね〜」
「当たり前のように入ってくるな」
「いいから詰めて!早くしないと殺すよ?」
「はぁ…分かったよ…」
「寒い時に布団の中に潜り込むの大好き♪守られてるって感じがするから!」
「…俺はお前を守ってやれないぞ」
「何自意識過剰になってんの?私を守ってくれるのはこの毛布だから!」
「悪かったな!そういえば今日はもう1人はどうした?」
「ノレア?今日は1人で寝るって…」
ソフィ!どこいったの!ソフィ!!
「あ、やば」 - 34二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 11:04:05
ボ「なんで俺が手伝わされなきゃいけないんだ……」
ノ「ボブだって寒いの嫌でしょ。自分の寝床なんだから窓くらい自分で塞いでよ。はい、次の板」
ボ「半分お前らの寝床だろうが……ん?お、おい!何か降ってきてるぞ!!敵襲じゃないか!?それとも核降下物か!?」
ノ「は…?雪知らないわけ?」
ボ「雪?これがか……?知識としては知ってたが……」
ノ「やっぱりスペーシアンって常識ないよね。そんなんだから地球を汚してもなんとも思わないんだ」
ボ「なっ…俺だってわざと知らないようにしてきたわけじゃないぞ」
ドタドタ
ソ「ねぇノレア!雪だよ雪!!外行こうよ!!ほらボブもだよ、早く早く!!」 - 35二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 18:36:00
雪でテンション上がるソフィ可愛い。
- 36二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 19:27:28
ボ「これは……すごいな。こんなに一面が真っ白になるものなのか?」
ソ「そうだよ!これが雪!触ってみなよ、冷たいよ!」
ボ「お前ら寒いのは嫌だったんじゃないのかよ?」
ソ「それとこれとは別!冬だって嫌なことだけじゃないから!」
ノ「まぁ雪は地面が凍って車はまともに走れなくなるから、みんな迷惑してるけどね。ソフィは気楽だから」
ソ「ふ〜ん、ノレアは雪で遊んだりしないもんね?雪だるまなんて作らないもんね?」
ノ「はぁ?それは今関係ないでしょ……ほらボブ、これ食べな」
ボ「なんだこれ…?オレンジか?」
ノ「みかん。この辺で採れるオレンジみたいなやつ。手で剥いて食べる。今が旬だから。……旬って分かる?食べ頃ってこと」
ボ「うまいなこれ……小さくて食べやすいし」
ノ「地球にはさ、地域とか季節ごとに違う食べ物があるんだよ。スペーシアンは一年中なんでも食べられるから気にしないだろうけど」
ボ「お前はいちいち皮肉を……痛っ!?」
ソ「2人だけで話してるからだよ!くらえっ!」
ボ「痛っ!やめろ!痛ぁっ!?」 - 37二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 21:25:32
ボブくんはお父さん亡くして精神病んで一時的な不能なんだよね……
でも、ソフィノレと交流する内に性欲が復活してきて「俺にはスレッタ・マーキュリーが……!!それ以前にこんな何も知らない小さな女の子に欲情するだなんて……!!」となるんだよね……
そんなことは露知らず、性知識のない二人は離れるどころかますます密着しだすんだよね…… - 38二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 21:39:31
- 39二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 21:43:19
回数を重ねるごとにお互いを出し抜いて一人でグエたんぽを独占しようとするとソフィとノレアはいる。
- 40二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 21:53:25
……これがスペーシアンが捨てて逃げ出した地球の自然、その一面なんだよ
私達アーシアンは地球に生かされもするし、時に脅かされもする。それでもこの星で生まれて生きてきたの
こう思うのは俺がスペーシアンだからなんだろうが……
人間というちっぽけな生き物の都合を問題にしないという点では、宇宙も地球も変わらん
宇宙でだって、フロントに隕石ひとつぶつかっただけでも大勢の死傷者が出る事故に繋がるしな……
じゃあ……なんでスペーシアンは宇宙になんて住みたがったんだろうね
少なくとも地球だったら、ノーマルスーツの酸素残量とか気にしなくたっていいのにさ
……それは俺にもわからん。だが、スペーシアンの俺にとっては宇宙が生まれ故郷で、それが当たり前の環境で育ったからな
スペーシアンとアーシアンの感覚のズレ……常識とか呼ぶようなものはこうして食い違っていったんだろう
- 41二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 22:02:30
- 42二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 22:08:28
あにまん名物の高湿度ノレアだ
- 43二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 22:13:22
- 44前スレ99523/01/26(木) 22:15:48
- 45二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 00:09:28
敵意を抱いていた相手に絆されていくのはいつ見ても尊いからな…
- 46二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 01:18:42
ボブと仲良くなって、テロリストにガンダムパイロットとして使い潰されていく自分に後悔していってほしい、もっと時間が欲しいと!。
- 47二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 02:28:21
こたつだ
アーシアンがいくら悲惨な境遇だとて、こたつのひとつはあるはずだ
3人でこたつに入るんだ、そして長い夜を持て余した挙げ句ぽつぽつとお互いの身の上を語るんだ
「ねーボブ、教えたげよっか。実はあたしもね、昔パパを殺しちゃったんだよ」
「えっ…!?」
「危ないクスリでラリってはあたしを殴ってきてさ、もうサイッテーなヤローだったよ。だから11歳の頃、盗んできた銃で撃ってやった。あは、一発でそれきり動かなくなって、逆にあたしがビビっちゃったよ」
「そんな…そんなことが…」
「ソフィはまだ幸せよ、ちゃんと親を自分の手で殺せて。私は逆襲することもできなかった。はした金目当てに私を人買いに売った奴らにね」
「……」
「地球ではよくあることよ。ボブは知らなかったでしょ? スペーシアンには縁のない話だものね。どう? アーシアンの身の上話なんてもううんざり?」
「…いや、聞かせてくれ。俺は、何も知らなかった…学園の外を。この世界のことを。だから、知らなくちゃならない…」 - 48二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 02:39:28
こたつで語り合う3人…
何時の間にかボブに寄り掛かって眠る二人…
起こさないようにそっとそれぞれのベッドまで運ぶボブ…
優しく頭を撫でながら慈愛の表情で「おやすみ」って呟くボブ…
朝起きたら何故かボブの両サイドにいるソフィとノレア - 49二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 03:19:41
話し疲れたのか、ソフィはグエルの肩に頭をあずけて、目をとろんとさせている。
…彼女たちはテロリストだ。大勢の人を殺した。彼女らがテロを起こさなければ、グエルも自分の父を殺さずに済んだはずだ。グエルにとって憎んでも憎みきれない、敵だ。
だがその憎しみも、グエルの中で少しずつ揺らぎ始めている。
「むにゃ…」
グエルの腕を両手で抱きしめながら、ソフィがあくびする。その可愛い口から語られた地球の事実は、少年の想像をはるかに超えていた。
親から愛されること。親から充分な衣食住を与えられること。物心つくまでに親が生きていること。そのどれもが、この地球ではまるで覚束ない。グエルには当たり前に与えられたものが、ただアーシアンとして生まれただけで、想像することすら困難な贅沢になってしまう。
テロに走るほどのアーシアンの憎しみの理由が、ほんの少しだけ、理解できてしまった。
「…ん、ボブ、なに? なんか言いたいの…?」
こちらの視線を感じたのか、ソフィが眠たげに顔を上げた。水色の瞳を見つめながら、ボブは疑問の言葉を返す。
「なんで、そんなに俺になつくんだ。お前らにとって、俺は憎いスペーシアンだろ?」 - 50二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 03:45:26
「えー、まあ、そりゃそうだけど…でも、ボブと話してると、なんていうか、温かいんだよね」
「温かい…?」
「くしゅっ。…うん」
小さくくしゃみをしてから、ソフィは続ける。
「ちゃんと話を聞いてくれるし。怒るし。ツッコミ入れてくれるし。悲しむし。心配するし。あと、あたしたちのこと、ちゃんと見て…くれるし…」
とうとう力尽きたか、ソフィは少年の肩に頭を預けて目を閉じた。すぐに寝息が聞こえ始める。
戸惑うグエルの横顔に、もう一人の少女の声が響いた。
「貴方は…私たちを利用しようとしない。魔女だと言って怖がらない。嘘もつかない。私たちとまっすぐに向き合ってくれる。そんな人間は見たことがなかった。私も、ソフィも」
机の上でみかんを剥きながら、ノレアは淡々と語り続ける。
「ナジもオルコットも悪い人間じゃない。でも、私たちのことはどこか遠ざけて見てる。私たちはしょせん使い捨ての兵器、だから思い入れを持ちたくないんだと思う」
ノレアは皮を剥き終わった。だがみかんを口に入れることはせず、こちらに向き直る。いつも冬の空のように冷たく昏いその瞳に、ほんの一瞬だけ、僅かな熱が灯った。
「私たちの身の上話を聞いて…真剣に悲しんでくれたのは、貴方だけだったから」
そしてグエルの返答を待たず、ノレアもまた目を閉じ、少年の肩に頭を預けた。眠ったのかそうでないのか、ぴくりとも動かない。
戸惑いを深めたまま、グエルは天を仰いだ。
知ってしまった。この世界のことを。この少女たちの憎しみと、哀しみを。
知ってしまった上で、
「俺は…どうすればいい?」
返答のない問いを、グエルは天井に投げかけたのだった。 - 51二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 03:58:17
明日仕事だってのに>>48のシチュにビビッと妄想が走っちまったからやっちまったぜ! お目汚し失礼。
あと書いてる間は気づかなかったけど、このこたつ横に長いな!? まあこっちのほうが湿気が高くなるからヨシ!
ボブが二人をベッドに運ぶシーンから後は、次なる有志に任せた! 頼んだぜ!
- 52二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 06:28:53
- 53二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 06:40:00
- 54二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 06:47:34
- 55二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 06:58:41
- 56二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 07:06:34
- 57二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 07:10:03
自分を被害者だと思ってるからこそ他者を加害者と見なして徹底的に攻撃するなんてよくある話さ……
- 58二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 08:54:35
被害者の目をした加害者なんて世の中には大勢いるさ
他ならぬグエルもその一人なんだから…… - 59二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 09:11:22
加古川のボブ
どんなシチュからでも重くなるし誰相手でも受けに回る男 - 60二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 09:17:21
上質なソフィノレボブスレには手練の文豪が集まると聞く
噂は本当であったか - 61二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:56:04
グエルは主人公補正ゼロどころかマイナスの男なので、仮に本編で地球の魔女と心を通わすことがあったとしても
彼の高潔さや優しさは世間知らずのお坊ちゃんの甘さ、弱さでしかないと突きつけられる展開がありそうなのが辛いんだ - 62二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:21:03
男ってのは自尊心と役割を与えれば文字通り死ぬほど、あるいは死ぬまで働ける生き物なんだ。自己犠牲と献身が男の本懐なんだ
ソフィやノレアが自分の守るべき対象になったなら、グエルは立ち上がり戦いに身を投じるだろうという信頼が加古川ボブスレの根底にあるんだ
まあグエルのそれが報われるかどうかというと……はい - 63二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:36:14
結果的にグエルの想いが報われず二人を失う事になってもその過程でソフィノレの心が救われて、最期の瞬間にグエルへの気持ちを零すとかあると非常に昂ぶる
- 64二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 22:00:01
グエル「なんで捕虜の俺の所に来るんだ?お前らのボスと一緒に寝ればいいだろ…」
ソフィ「やだよナジもオルコットも加齢臭するし」
ノレア「いびきもすごいしね二人とも」
グエル「言ってやるなよ可哀そうだろ二人が」 - 65二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 22:15:41
ナジもオルコットも態度には絶対出さないけどそれなりにソフィノレを大事に思ってると美味しい
- 66二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 00:12:01
- 67二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 03:10:26
「……スゥ」
「……ん」
「全く…眠ったか。炬燵で寝るのは止めておけとあれ程言ってるんだがな…」
(寝顔はこんなにもあどけない表情なんだがな…)
「いや、考えるのは後だ…まずはこいつ等を運んで…」
(軽い…二人揃ってこれとは…ちゃんと飯を食べてるのか…?いや、そんなはずはないか…ここの現状は嫌という程に思い知った。)
(こんな…俺よりも年下の少女達ですら戦場に身を置かねばならない世界があるとは…あの頃は考えもしなかった)
「俺は…俺は一体何をしてるんだろうな…」
(お前達が敵であることに、間違いは無いんだが…。多分、それだけじゃ駄目なんだろうな…)
「さて、ここか…」
「偶には自分のベッドで寝ろよ。……おやすみ」
「「………」」
(それは…その顔はズルじゃん…)
(あんな優しそうなボブ…初めて見た…)
「…ソフィ」
「うん…行こ、ノレア」
「今更独りで寝るなんて、寒くて無理だし」
「私達をこんな風にした責任、ボブには取ってもらわなきゃ」 - 68二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 03:44:07
「んんー、ボブあったかーい…」
寝ぼけ眼でグエルの腕に頬ずりするソフィは、猫とあまり見分けがつかない。グエルもうっかり顎の下を撫でしまうところだった。昼間に彼女から「武勇伝」を聞かされていなければ、だが。
「……」
彼女は、まごうことなきテロリストだ。何百人ものスペーシアンと、それに服従するアーシアンを殺めてきた犯罪者だ。
ドミニコス隊のパイロットを目指していた頃の、家も地位も持っていた頃の自分なら、問答無用で首を絞めて気絶させ、英雄気分で官憲に引き渡していただろう。
今の自分には、そんな力はない。あるのはただ――
眠りにつく寸前の少女の後頭部に、グエルは問いかけた。
「ソフィ。お前、学校に行きたいか?」
「…はあ?」
唐突な質問に驚いたのか。顔を上げたソフィの表情からは完全に眠気が吹っ飛んでいた。
「学校? あたしが? なんで?」
「昼間に言ってただろ、学校に行ったことがないって。それと、アスティカシア学園の学部紹介配信とかもよく見てた。体験してみたかったのか」
「あれは…! スペーシアンどもが舐めた生活してたから、ムカついて…!」
「ムカつく光景を何度も繰り返し見るのか?」
「うっ、うるさい…!」
顔を歪ませた少女の頬が紅潮する。図星を突かれた者のうろたえ方だった。グエルは畳み掛ける。
「ソフィ。お前はどっちがいいんだ? これからもムカつくスペーシアンを殺して回るのと、学校に行くのと。どっちのほうがやってみたい?」
「学校に行けるわけないでしょう、あたしはアーシアンで、地球の魔女で、テロリストなんだから! 行けるわけがない!」
激昂する少女に、グエルはあくまで静かに問いかけた。
「行けるかどうかじゃない。テロを続けるのと、学校に行くのと。ソフィはどっちがいいのかを聞きたい」
「ボブはあたしをバカにしたいの!?」
「真剣に聞いている。知りたいんだ。お前の望みを」
「……! あたしはソフィ・プロネ、地球の魔女よ! 学校になんか行けるもんか!」
叩きつけるようにそう宣言して、ソフィはこたつから飛び出し、外に出ていってしまった。 - 69二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 03:44:24
「…ボブ。どういうつもり? なんでソフィにあんなことを聞いたの?」
横から冷たいナイフのような言葉が飛んできた。ノレアの表情にはありありと疑惑の念が浮かんでいる。
「あの子を説得したいの? それとも手懐けるつもり? ここから出ていくために」
「いや、違う」
「結局、貴方もそうなの? 私たちを騙して、利用して。今までの優しさはすべて演技だったの?」
静かに激怒するノレアの瞳を、グエルは真正面から見据えた。俺はそんな真似はしない、と首を振り、
「知りたかったんだ。お前たちの望みを」
そう静かに語りかける。
「ソフィがスペーシアンを殺すことしか望んでいないなら、もうあとは戦争しかない。死ぬまでガンダムに乗り続けるしか無い。…俺には何もできない。
でもそれ以外のことを望んでいるなら、別の道を探せる。俺も協力できる。あいつがガンダムに乗り続けなくても、済むかもしれない」
ノレアの表情から怒りが消えた。こちらの言葉が本気だと悟ったのだろう。
代わりに浮かんだのは、呆れだった。
「本気で言っているの? 別の道があるなんて。私たちは地球の魔女なのよ?」
「お前は魔女であり続けたいのか?」
「それは…っ!」
「魔女であり続けるのが望みなら…俺はお前に協力できない。でもノレアが魔女をやめたいなら、別の望みがあるなら、俺は手を貸す」
そう言って、グエルは右手を少女の前に差し出した。宇宙にいたときから鍛え続けていた、力強く、大きな手。
今まで何度も抱きついて、温もりを受け取ってきた手の平を、ノレアはじっと見つめている。
「…何故? 何故そんなことに手を貸すの。どうしてボブは、私たちにそこまでするの?」
そこで初めて、グエルは笑みを浮かべた。自らの本心を、目の前の少女にさらけ出す。
「お前たちに笑っていてほしかった。泣いてほしくなかった。それだけだよ」 - 70二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 03:44:50
ふとグエルの脳裏に、数ヶ月前の光景がよぎった。はるか空の向こう、かつて少年が通った学園。今もきっとその場所に、初恋の人は通っているはずだった。
生まれて初めて、グエルを一個人として見てくれたあいつ。母を大好きだと笑っていたあいつ。
――父を殺めてしまった自分には、もう二度と顔を合わせることはできない人。
あの人に隣で笑っていてほしかった。その資格を得たかった。その一念で走り続けて、何もかも失った。家も、力も。あの人の隣に並び立つ資格も。
そうして地の底に転げ落ちて、狭い部屋に押し込められて。それでも残ったものがある。
自分の好きな人たちに、自分を好きになってくれた人たちに、泣いてほしくないというこの願いが。
地の底で膝をついていた少年は、願いを心に灯し、ふたたび立ち上がる。
「今の俺に大したことはできない。でも、お前たちと協力すれば、何かできるかも知れない。だから手を貸してくれ。代わりに俺はお前に手を貸す」
「……」
ノレアはしばし呆然としていた。その細い指が揺れ、グエルの大きな手のひらへ一瞬だけ向かいかける。
だがノレアはすぐに指を引き戻した。
「駄目。そんなこと、できない。私は地球の、魔女、だから」
そして彼女もまた、グエルに背を向けた。寒そうに自らの体を抱きしめ、独房の扉へと向かう。
「じゃあね」
「…ちょっと待て、俺を見張るんじゃなかったのか」
「貴方の監視なんて必要ない。どうせこの建物を抜け出たって、どこへも行けずに野垂れ死ぬだけだもの」
「さっきと言ってることが違わないか?」
「うるさい」
いつも冷静な少女らしからぬ雑な捨てセリフを吐いて、ノレアは独房を出ていった。
一人残されたグエルは、机に肘を付き、考えを巡らせる。
「俺一人じゃあ、何もできない…」
外の情報は、ここには殆ど入ってこない。けれど情勢が不穏な方向に動いていることは、ソフィとノレアの漏らす話からでも嫌というほど察せられた。
早く外に出なければいけない。ソフィとノレア以外にも、泣いてほしくない人は大勢いるのだ。
「俺一人じゃあ、外に出ることもかなわない。だが」
あいつのように、大勢の人間を味方につけたなら。想い人の笑顔を脳裏に浮かべて、グエルは決意を新たにする。
「これは俺の戦いだ。絶対に、負けてたまるか」 - 71二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 03:46:55
>>66の続きのつもりで書きました。長くなりすぎてすまぬ。
- 72二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:41:12
ボブの真っ直ぐさに困惑するソフィノレいいよね…
- 73二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 13:59:05
今日はこれを壊した、誰を殺したと語るソフィは、工場廃液の重金属が何なのか知らないし、環境にどんな悪影響があるのかもわかってない
スペーシアンの工場で働くアーシアンは同胞ではなくスペーシアンの奴隷になった奴らだから殺していいと、思考を停止して命じられるまま殺戮を行う
ソフィよりは理知的なノレアもその辺の矛盾は意図的に考えないようにしてガンダムに乗る。いずれガンダムの部品として磨耗して処分されることだけは知りつつ……
魔女狩り部隊の英雄を志していた青年に、お前が狩るべき魔女とはこんな子供なのだと突きつける側面があるから加古川ボブはどこか背徳的なんだ - 74二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 20:22:39
ボブ「へっくち!」
ノレア「寒いのに薄着でいるからだよ」
ボブ「ゔぇ……寒気がする……」
ノレア「コロニーはいつも快適だもんね。医者も呼べばすぐ来るし」
ボブ「うぅ……」
ノレア「…ほら、お粥食べな。熱いからね」
ボブ「テロリストに食べさせてもらうとはな…すまない…」
ソフィ「ボブ大丈夫?私が暖めてあげよっか?」
ボブ「やめとけ、風邪がうつるぞ」
ソフィ「だ〜め!とんとんしててあげるから寝な!」
ボブ「お前ら…悪い奴じゃ、ないよな」
ノレア「良いとか悪いとか、そんなの立場の問題でしょ。少なくとも今のボブは病人なんだから、優しくしてあげる」 - 75二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:43:39
- 76二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:52:40
- 77二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:59:39
本編グエルも成長して前に進むにはソフィノレアとの交流が不可欠な気がしてきた(幻覚)
- 78二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:59:57
- 79二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:05:33
- 80二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:10:18
- 81二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:57:16
そんなこと言ってノレアもさぁ……
- 82二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 01:32:56
でもグエルとソフィ・ノレアの体格差を考えると熊かライオンと添い寝してるようなもんだよな……
- 83二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 09:45:36
魔女じゃなかったら一緒に生きられるかもしれないのに
魔女じゃなかったら出会ってさえいないんだよね
運命って残酷だね - 84二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 12:22:44
- 85二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 20:17:20
- 86二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 20:21:53
- 87二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:57:00
「ふう…雪かきってのはこんな重労働だったのか…」
玄関に腰掛けると、グエルは額の汗をぬぐった。鍛えたはずの両腕が鉛のように重い。明日は全身筋肉痛だろう。
ため息を付きつつ長靴を脱ぎ捨て、手早く手袋を外してから、上の防寒具を脱ぎにかかる。どこもかしこもびっしょりと汗まみれだ。さっさとシャワーを浴びて休みたかった。
そして右腕から袖を抜いたところで、背後から襲われた。
「うっわー超あったか~い、ていうか熱ーい!」
猫のように音もなく忍び寄ってきたソフィが、両手でグエルの腕に抱きついてきたのだ。
「ちょっ、何やってるんだ離せって!」
「何っていつものように湯たんぽ代わりに…ってちょっとボブってばベトベトじゃん、すごく汗臭いし~」
「シャワーも浴びてないんだから当たり前だろうが! こら、匂い嗅ぐなよ、臭いなら離れろって!」
「あー熱い熱いー。臭い臭いー。蒸れ蒸れボブー。ばっちぃー」
わざとらしく不快そうな顔をしながら、それでも少女はグエルの腕を離そうとしない。 - 88二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:57:22
無理やり振りほどくのも気が引けて、グエルは困り顔で語りかけた。
「…お前、免疫機能が弱ってるんだろ? 汗は不潔だから危険なんだよ。もう離れろって」
「最近出撃してないから大丈夫だよ。こっちはずうっとボブの帰りを待ってたんだよ―? もう寒くてさー」
「すぐにシャワーを浴びてくるから、もう少しだけ待ってくれよ…」
「やだー」
「ああ、もう……頼むから、たまには俺の話も聞いてくれっ」
駄々をこね続ける少女に手を焼くグエルに、横から助け舟が出された。
「さっさと離れて、ソフィ。そのままじゃまたボブが風邪を引くよ。それでもいいの?」
ノレアの正論に、ソフィも渋々といった表情で手を離す。
「わかったよ、仕方ないなー。じゃあねボブ、1分以内にシャワー浴びて着替えてこたつのトコに来てね」
「ああ、なんとか努力してみるよ。あと俺の汗はちゃんと拭っとけ、不潔なんだから」
「はいはいー」
頭の後ろで手を組んで去っていくソフィを、グエルは苦笑しながら見送ったのだった。 - 89二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:57:51
今度こそ防寒具を脱ぎ終わったグエルに、冷たい声が投げかけられる。
「ずいぶんと熱心に作業してたのね。少し前までテロリストに協力するつもりはないって突っぱねてたのに」
グエルはノレアに向き直り、肩をすくめた。
「協力を拒否するだけじゃ、外に出るチャンスなんて一生生まれそうになかったからな」
「協力するふりしてこちらの隙を伺うためってコト?」
「それだけじゃない。それもあるけど、…俺はもっと知らなくちゃいけないと思ったんだ。お前たちのことも、この地球のことも」
「…ふうん」
興味なさそうに相槌を打つノレアに、グエルはふと、疑問を投げかける。
「お前たちこそ、俺をこんな簡単に外に出してよかったのか? 建物の中から見張ってるとはいえ、不用心だと思うが」
「力仕事ができる人間が足りないから仕方ない」
「でもだからって、俺がもし逃げ出す気になったらどうするんだ? それなりに面倒なことにはなるぞ」
「貨物船の船長を見捨てるような人間じゃないから大丈夫って、ナジが言ってたわ」
「ずいぶんと信用されたもんだな…誘拐の主犯からそんな太鼓判を押されても困るんだが」
微妙な気分でグエルが首を傾げていると、ノレアが真顔で続けてきた。
「最近のボブは私たちと打ち解けてきてるしね。で、せっかくだから、お前たちでボブを篭絡してみろとも言われたわ」 - 90二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:58:27
「ろう、らく…?」
グエルは眉間にシワを寄せた。この二人から篭絡されるとはどういうことだろう。
そのまま5秒ほど思考し、結論を出す。
「俺と友達になれってことか…?」
「そうね。そうなのかも」
ノレアは真顔のままだ。グエルも真顔で続ける。
「だが俺とお前たちは年が離れてるしな。友達というよりは、先輩後輩か」
「わたしはそういうの詳しくないから判らない」
「ああそうか、すまん。…だがどちらにしても、テロに加担はできないぞ。食い扶持ぶん労働するくらいはやるが」
そう念を押すと、ノレアが少しだけ唇を尖らせた。
不機嫌そうな表情で、剥き出しになったグエルの首元を指差す。
「さっさとシャワーを浴びてきて。今の貴方、臭いし不潔」
「いや、俺を足止めしたのはお前なんだが」
「うるさい。1分以内に着替えて、こたつの部屋まで来て。でないと私たちが凍死する」
そう言い捨てて去っていくノレア。
少女の背を見ながら、グエルは一人つぶやく。
「友達、か…」
スペーシアンとアーシアン。テロリストとその被害者。その断絶に、そんな単純な単語で橋を架けていいものか。
だが、どういう形であれ、距離を縮めなければ何も解決しない。今の自分の戦いとは、そういうもののはずだった。
「まずは友達から、だな」
一人うなずき、グエルはシャワールームに向かったのだった。 - 91二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:04:33
ソフィ「へっくち!」
ボブ「だから言ったろ……」
ソフィ「へへ…このぐらい、どうってこと、ないし……」
ボブ「大体わざわざ俺の寝床まで寝にくるなよ。自分の部屋で安静にしてろ」
ソフィ「やーだ!病は気からって言うでしょ!」
ボブ「なんだそれ?」
ソフィ「ナジが教えてくれたこの辺のことわざ。ボブと一緒にいると心が元気だから頑張れるってこと!」
ボブ「はぁ……分かった、看病してやるから大人しくしてろ」
ソフィ「えへへ…これでしばらくは、ボブと一緒だね」 - 92二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 09:35:03
寒い朝はボブが効く…
- 93二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 11:00:46
犬のように真っ直ぐ懐くソフィと猫のように素っ気なく懐くノレアの対比が実に可愛いですねぇ
- 94二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 12:07:17
>>90の続き
「ちょっとソフィ、いつまで腕についた汗の匂いを嗅いでるの。いい加減拭いて」
「だってさー、なんか癖になってくるじゃんボブの匂いって。臭くはあるけどー」
「匂いフェチだったの貴方? さすがに理解できないわ。完全に変態。
汗を拭かないならこたつから出ていって、匂いが移るから」
「へいへーい。ノレアって相変わらず潔癖症だよねー。
…でもさー、ノレアだってボブにくっつくのは平気だよねー。ボブの身体はばっちくないのー?」
「ボブはきれい好きだから問題ないわ」
「スペーシアンなのにー? あんな奴らと同じ空気すら吸いたくないって、前ノレア言ってなかったっけ―?」
「……ソフィ。」
「はいはーい。そんな殺意ばっちしの目ぇ向けなくてもこれ以上意地悪は言わないよ。ボブはボブだから別なんでしょ?」
「……ええ、そうよ。私も貴方も今更じゃない。ボブは別。スペーシアンだけど、スペーシアンじゃない」
「うん。……でも、やっぱりスペーシアンなんだよね。ボブは。宇宙に帰りたがってたし」
「そうね。……スペーシアンよね、結局は」
「……」
「……」
「友達っていうのになれたら、違うのかしら」
「えっ? ソフィなんか言った?」
「なんでもないよ。まだかしらね、ボブ」
「そーだね。さっさと来ないかな、ボブ。ボブがいないとこたつがあっても寒いんだから」
- 95二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:33:29
もう既に二人ともボブがいないと寝れない体になっちゃったね…
- 96二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:39:04
- 97二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:43:24
- 98二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:47:56
- 99二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 18:55:51
- 100二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 19:10:18
- 101二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 19:38:54
ほう…加古川ボブですか…大したものですね
強い寒波という時事を取り入れてバランスも良い - 102二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:38:14
冬のボブノレは雨じゃなく霙が降ってるぜ…
- 103二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:04:22
ソフィ「おはよ!」
ボブ「1日ですっかり元気になったな」
ソフィ「だからなんともないって言ったでしょ?」
ボブ「まぁまだ安静にしておけよ」
ソフィ「……そうもいかないよ。元気になったら任務に戻らなきゃ。あーあ、もうちょっとボブと一緒にいたかったのにな〜」
ボブ「お前…」
ソフィ「じゃあねボブ!また来るから!」 - 104二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:14:42
俺の布団にもメスガキが来て欲しい…
- 105二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:30:57
- 106二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:35:55
- 107二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:41:11
- 108二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:49:36
- 109二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 07:01:08
- 110二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 17:35:19
おやすみのキスは?
- 111二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 18:26:06
お互いに越えてはいけない一線を保つために銃を抱いて眠るノレアはとてもいい
- 112二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 18:30:23
「で、ここにこの式を代入すればいいってわけだ」
「んにゃー」
「…おい。」
やる気なさげにそっぽを向く少女に、グエルは頬を引きつらせる。
「いい加減にしろよソフィ。それが生徒の態度か」
「だあってー、なんかコレ思ってたのと違ぁう。超つまんなーい、もう飽きたー」
こたつにごろんと寝っ転がり、不良生徒は思いのままに暴言を吐く。教師役の少年は額を手で抑えて頭痛をこらえた。
先程からこの繰り返しだ。グエルは教科書を広げて根気強く教え、ソフィは事あるごとにいちいち不服を垂れる。
忍耐力を削りに削って成果らしい成果はほとんど無し。ホルダー時代のグエルであったなら、とうの昔に教科書を机に叩きつけていただろう。
それをしなかったのは、学園の外での社会経験と虜囚経験で磨かれた自制心のおかげであり――
「授業ってのを、してみたい」
少女からぽつりと告げられた、そんなセリフのせいでもある。
気まぐれか、長引く大雪のせいで出撃がなくて暇だったからか。理由は不明だが、ソフィは学園生活を体験してみる気になったのだ。
もとよりグエルは彼女に人殺し以外のことに目を向けてほしかった。この好機を逃すまいと、建物に残っていたぼろぼろの教科書を引っ張り出して教師の真似事を始めたのだが――
「学園生活ってこんなものー? 面白くなぁい。これならガンダム乗るほうが楽しぃい」
どうも、完全に逆効果だったようだ。ソフィは寝転がったままぶーぶーと文句を垂れ、早く出撃したいだのビームライフルをぶっ放したいだの放言している。ラウダやフェルシーたちにテスト勉強を教えた経験から割と自信満々だったグエルは、早々に己の無力さを思い知らされていた。
(くそ…っ! 俺の知識も経験も、しょせんは学園内でしか通用しないものだったというのか…!?) - 113二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 18:30:56
ひとり悪戦苦闘するグエルに、冷え冷えとしたツッコミが入る。
「よく飽きもせずに続けられるのね、こんな無益なこと」
頬杖をついて成り行きを見守っていたノレアが、冷たい視線をグエルに向けてきた。
「さっきから国語だの道徳だの、それって一体何の役に立つの? ナイフで効率的に人を殺す方法を学んだほうがよほど有益」
「例えが殺伐としすぎだろ…」
「地球はそういう場所よ。宇宙に築かれた温室の中と同じにしないで」
ノレアの声がいつにもまして冷たいのも、気のせいではなさそうだ。普通の子供の学校での勉強というものを、彼女は端から軽蔑していた。
「生きるために役に立つ知識も少しはあるんでしょうね。でも大半は無意味な雑学。時間の無駄もいいところよ」
「いや待て、そんな決めつけるな。確かに無駄な雑学も多いかもしれないが、思わぬところで使う知識だってある」
「そんなあやふやなコトのために時間を浪費するなんて、明日の暮らしを考える必要のない人間だけの特権だわ。成金ジジイが宝石に金をつぎ込むようなものね。やっぱりアーシアンとスペーシアンの溝は埋めがたいわ」
「だからそう決めつけるなって。役に立つ立たないだけの話じゃないんだ、こういうのは。たとえば人間関係を通じた人格形成を――」
ノレアに反論しようと学校経営方針めいたことを口にしかけたところで、グエルは黙り込んだ。
そもそも自分は、学園でそんな大層な人間関係を築けていたのか? - 114二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 18:31:31
父に褒められたくて、父に命じられるままに学園の頂点を目指した。近づいてくる人間は皆、自分の目的を阻む敵か、あるいはジェターク家の権威目当ての太鼓持ちだった。たくさんの賛辞と追従を得たけれど、それはすべて自分ではなくジェターク家に向けられたもの。
父の意に沿って学園の頂点に立っても、ホルダーの座に就いても、ただただ自分は、孤独だった。
そう、信じていた――
せりあがってきた悔恨を喉の奥に飲み込んで、グエルはノレアを真正面から見つめた。
口を、開く。
「たとえば、こうしてお前と話しているのは、楽しい」
「……は?」
眉根を寄せたノレアに構わず、続ける。
「いつもいつも全然言うことを聞かないソフィのわがままに振り回されるのは、まあ腹は立つが、楽しい」
「んえ?」
何もわかってなさそうな顔でこちらを見上げるソフィを横目に、さらに続ける。
「楽しい、だけじゃない。腹立つこと、悲しいこと、何度も思い出したいこと、思い出したくないこと。いろいろな人とそれを積み重ねるために、きっと学園ってのは存在してるんだ」
地の底に転がり落ちて、何もかもを失って、ようやく理解できた。孤独だと思いこんでいたから、何も手に入らなかったのだ。
父に褒められたい。認められたい。そんな狭まった視野の中で、自分はどれほど他人のことを真面目に見ていたのか。他人の話に真摯に耳を傾けていたのか。
ホルダーの位置にたどり着くことができたのは、自分の力だけではなかったのに。ラウダやカミルやフェルシーやペトラ、その他多くの人と笑い合い、力を貸してもらえていたのに。
「無意味に見えても、無駄に見えても、こうして話をするのが大事なんだ。俺とノレアとソフィで無駄話をできることが、それがいちばん大事で……学園ってのは、それを無数に繰り返すためにあるんだ」
真剣に、真摯に、そう告げる。 - 115二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 18:31:57
ノレアは眉根を寄せたままで、じっとグエルを見つめていた。
ソフィは相変わらず寝転んだまま、グエルをぼけっと見上げている。
数秒ほど経過して、ようやく沈黙は破られた。
「…ノレア、今の、わかった?」
「わかるわけないわ。理解不能よ」
「…そ、そうか」
二人の少女の返答に、グエルはやや気落ちする。真剣な回答だっただけに、全く受け入れられなかったのは悲しい。二人に理解してもらうには、自分はまだまだ力不足だった、ということなのだろう。
「まあ、いずれわかってもらえれば、と思う。俺も努力する」
「努力なんてしなくていい。そんな努力をしないで。頼むから、しないで」
「え?」
ノレアから返ってきた不明瞭な返答に、グエルは落としかけていた目線を上げる。
視線の先で、少女はぷいとそっぽを向いていた。
「ノレア?」
「黙って。もうしゃべらないで。もうわかった、いや、わからないから。絶対に、わからないから」
最後は、消え入りそうな声だった。
黙り込んでしまったノレアを、ソフィも不思議そうに見ている。しかし彼女は相方には何も言わず、上半身を起こす。
「ボブの言う事はよく分かんなかったけど…でもまあ、学園ってのはそう悪くなさそうってのはわかったわ。
ねえボブ、もうちょっと授業、続けてみてよ」
「あ、ああ…」
ソフィに促されるまま、グエルは次の教科書を開いた。
結局それから。
ソフィは授業のつまらなさにぶーぶーと不服を垂れ続け、ノレアはずっと口を利いてくれなかったという。 - 116二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 20:34:21
スペーシアンのボブを愛してしまったらもう魔女ではいられなくなると思って、ボブの心を理解することを拒むノレア……
- 117二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 21:17:40
このレスは削除されています
- 118二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 21:25:08
このレスは削除されています
- 119二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 21:31:46
ボブ「よく考えたら小学校レベルから教えた方がいいのか?四則演算からか?」
ソフィ「しそくえんざんって何?こーしきって何?だいにゅーって何?」
ボブ「そりゃそうだな。ソフィはどのくらい計算ができるんだ?」
ソフィ「うーん、ノレアにちょっとだけ教わったことあるよ。あ、さんかくかんすう?とかいうのはちょっとだけ派遣元でやらされた、意味分かんなかったけど」
ボブ「三角関数……実弾の弾道計算か」
ソフィ「あ〜なるほどね!やっぱり勉強って役立つんじゃん!」
ボブ「……三角関数だけいきなり教わっても分かるもんか。きっと本気で教える気なんかなかったんだな」
ソフィ「え〜馬鹿にされてたってわけ?ムカつく〜」
ボブ「それに、俺は勉強にもっといろんな使い道があることもお前に教えたい。そうだな、例えば……雪の結晶は必ず六角形だって知ってるか?」
ソフィ「へ〜、なんでなんで?」
ボブ「その仕組みを分かるようになるのも勉強だ」
ソフィ「う〜んでもボブは雪は見たことなかったくせに結晶の仕組みは知ってるんだ?なんか変だね?」
ボブ「うっ……俺もまだ知らないことだらけってことだ。お前らから勉強することだってある」
ソフィ「じゃあ私も先生だね!」
(グエルって呼んでたから修正したのだ) - 120二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 00:47:18
- 121二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 08:39:24
「加古川に大寒波」「ソフィもノレアも健全」ってだけでこんなにシチュが思い浮かんでくるとは思わなかった…勢い任せに長文連打して申し訳ない。たぶんあと2回か3回くらいで終了しますのでご容赦を。
ところでこの加古川スレ、掲示板一覧に表示されないようなのですが、皆さん如何ですか? 落ちてしまったのかと思って焦ったぜ… - 122二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:06:17
もっと続いていいのよ?せめて寒波が過ぎるまで…
ちなみに俺は更新順一覧にちゃんと表示されてるよ - 123二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:20:21
ありがとうございます。とりあえずキリのいいところで一旦終わらせます。その後別のシチュを思いついたら適当に追加していきます。
お次は是非ともやってみたかった、いや寒波が来たなら絶対にやらなければいけないシチュでございます。相変わらず長文ですがお楽しみいただければ幸いです。
- 124二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:20:36
「脱がすぞ、ソフィ」
「うん……」
弱々しい返答を確認してから、グエルは少女の服に手を伸ばした。
ずぶ濡れの防寒具、上着、ズボンを手早く身体から剥ぎ、少女の肢体を露わにする。
肉付きの薄い身体はかちかちと震えていた。乾いた布で水分を拭き取る。力を入れ過ぎたら皮膚が剥がれ落ちるんじゃないかと思えるほど、少女は細く、弱々しかった。
水分を拭き取り終わったグエルもまた、すぐに上着を脱いで上半身裸になる。少女を抱き上げ、その背中を自身の裸の胸に密着させる。
「へへ…温かい」
弱々しく笑うソフィを包み込むように抱きしめる。廃墟の中でどうにかかき集めたタオル類で、二人の体の上を覆う。これ以上の体温低下はこれで避けられるはずだった。グエルはほっと一息つく。
朝は太陽が見えていたから、完全に油断した。使えそうなものはないかと、フォルドの夜明けの拠点から数キロ離れた廃墟にソフィと二人だけで出かけてしまったのだ。特に収穫もなく帰ろうとしたところで急に天気が崩れて猛吹雪に襲われ、視界を失った状態でソフィが足を滑らせ、川に落ちた。
すぐさま引き上げたものの、ソフィの身体は完全に冷え切っていた。急いで帰ろうにもこの天候では何時間かかるかわからない。グエルは壁や天井がまだ無事な建物に急いでソフィを運び込み、そこで応急的に少女の身体を温めることにしたのだ。
「パイロット課のサバイバル訓練、真面目に受けててよかった…」
低体温症への対処法を受講したときは、まさか本当に実践する機会が訪れるとは思っていなかったものだが。 - 125二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:21:22
「ううっ…」
少女はカタカタと小刻みに体を震わせている。その身体をさすってやりながら、グエルは呼びかけた。
「ソフィ、つらいと思うが、眠っちゃ駄目だ。何か――楽しいことでも腹がたつことでもいいから、とにかく考え続けてくれ。声に出して話せればもっといい」
「んんっ…ねえ、ボブ」
「なんだ?」
「あたしが川に落ちたとき、逃げ出すチャンス、だったじゃん…。なんで」
「お前を置いて行けるわけ無いだろ」
そっけなく答えると、少女は薄く笑ったようだった。
「……んふ。そっか」
「とにかく眠るな。なんでもいいから……そうだ、スペーシアンへの悪口でいい。いくらでも考えられるだろ、な?」
そう提案してみるも、ソフィの返答は否だった。
「無理だよ…何も浮かばない」
グエルがこの地球で虜囚生活を始めたときにありとあらゆる罵声を浴びせてきたはずの少女は、弱々しく首を振る。
そして片手をグエルの右腕に絡ませ、ぽつりぽつりと語り始めた。
「ボブさあ、ここに来たとき、最初、ボロボロだったじゃん…お父さんを殺してしまったって、泣きはらしてさ」
「……ああ」
「それ見て、あたし、すごく愉快だったんだ…」
カタカタと身体を震わせながら、それでも少女は続ける。
まるで懺悔のように、頭をうなだれ。
「なんでも持ってるスペーシアンが、こんなボロボロで、何もかも失って、あたしたちより惨めな姿で。ざまあ、って思った。今まで威張っていた報いだ、って」
「ああ」
「なのに…」
グエルの右腕に絡む少女の手が、ぎゅっと握られた。 - 126二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:21:48
「ボブは、あたしたちみたいに…恨まなかった。不平を言わなかった。あたしたちより惨めだったのに、誰かのせいに…しなかった」
「それは――」
父を自分の手で殺してしまった自分に、誰かを恨む資格など無いと思ったからだ。
グエルがそう告げるより早く、少女は続ける。
「自分のほうがボロボロなのに、ボブはあたしの話を聞いてくれた。あたしの過去を悲しんでくれた。あたしを力づけてくれた。…なんで? なんでそんなに、優しいの?」
「……」
「ボブが優しいせいだよ。ボブがこんなに、温かいせいだよ。あたしもう、スペーシアンを罵れない。スペーシアンを憎めない……」
うつむく少女の表情は、背後のグエルからでは伺えない、
けれど少女はいま、泣いているのかも知れなかった。
「ねえボブ、スペーシアンって、ボブみたいな人たちなの? みんなボブみたいに優しいの? それだったらあたし、あたしが今まで殺してきたのは――」
「……スペーシアンにもいい奴はいるし、悪い奴もいる。アーシアンと同じだ」
「でも、それでも、あたしはボブを、ボブみたいな人を、あたしの手で、きっと何人も…そしてきっと、これからも」
「ソフィ」
混乱する少女を、グエルは背後から抱きしめる。
今にも折れ崩れてしまいそうな薄い身体を、つなぎ止めるように。 - 127二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:22:42
「今まではどうしようもない。お前はただ命じられてやっただけだ。そしてこれからだって止められる。魔女をやめればいいんだ」
これは欺瞞だ、と、口にしたグエル自身がよくわかっていた。
フォルドの夜明けから逃げ出す方法など思いついていない。首尾よく逃げ出せたとしても、ソフィの身体はすでにぼろぼろだった。特殊な薬物がなければ生きていけないし、その薬物はガンダムに乗り続けなければ手に入らない。ソフィはこれからも、魔女であり続けなければならないのだ。
それでも、欺瞞でも嘘でもいいから、凍える少女にぬくもりを与えてやりたかった。
「ソフィとノレアと俺と、三人で逃げよう。薬だって大丈夫だ、成分を分析してもらう。ラウダにでもミオリネにでもエランにでもシャディクにでも頭を下げるさ」
「誰、それ……」
「弟と、学友だ。まあ、話を聞いてもらえないかもしれないが……」
ラウダは父を殺した自分を決して許さないだろう。ミオリネとは許嫁云々の前から犬猿の仲だった。その他の二人も、決闘委員会の同僚とはいえ親しかったとは言えない。
「だが土下座してでも頼み込む。大丈夫だ、きっとなんとかなる。ソフィは魔女をやめて、ただのソフィとして生きられる」
「そう、かな…」
「大丈夫だ。俺がついてる。ノレアだって協力してくれる。三人なら大丈夫だ。きっと、大丈夫だ…」
「ボブと、ノレアと…」
少女の声に、ほんの少しだけ力がこもる。
冷え切った背中に、わずかに熱が戻る。
「そうだね、三人なら怖くないね。きっと大丈夫。どこへでも行けるよ…」
ソフィの容態は安定に向かい始めたようだった。
心の底からの安堵を覚えつつ、グエルはソフィに語り続ける。欺瞞と気休めでしかない、励ましの言葉を。
「一緒に俺の学園へ行こう。色んな授業があるんだ。そうだな、デミトレーナーの操縦なんてどうだ? 俺がスポッターを務める」
「へへっ、楽しそう」
「楽しいさ。それから決闘委員会のラウンジへ行こう。眺めが良いんだ、あそこは」
「うん、見たいなあ、それ」 - 128二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:23:22
ニカが加古川出身だと恵まれているアーシアン組と加古川テロリストから送り込まれたアーシアンとではカルチャーショックもあったろうな
すでにニカは考え方が地球寮のような平和思考に影響されている感じがするけど
- 129二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:23:29
「で、ボブ。ソフィに何をしてくれたの?」
「体を温める以外のことは断じて何もしてないぞ」
半眼を向けてくるノレアに、グエルも半眼で応じる。
猛吹雪が収まったのを見計らって、ソフィを背中に担いで本拠に戻ってから半日後。グエルはノレアからの執拗な追求を受けていた。
まあ、男女二人が裸で抱き合って暖を取っていたと聞けば、相棒の心配をするのも仕方のないことかも知れないが。
「二人とも寒さで死にそうになってたんだ。間違いなんて起こってたまるか」
グエルとしては憮然とせざるをえない。自分は最善を尽くしただけだ。むしろ労いの一つでも欲しいくらいだ。
しかしノレアはいつまでたっても納得してくれない。
「嘘。絶対に何かした。さっさと白状なさい」
「……ああ、もう。そこまで疑わしいなら、ソフィが目を覚ましたあとで直接聞いてくれ」
ベッドの上で布団にくるまる少女に首を向ける。
疲労困憊のソフィは、今はぐっすりと眠っている。時折にへら、と笑みを浮かべ、なんだか幸せそうだ。どう見たところで、乱暴された者の寝顔ではない。
だが。
「ソフィのこんな表情、見たことない。絶対何かした。絶対ボブのせいよ」
相棒の頬をぷにぷにと突きながら、ノレアは唇を尖らせる。
いつまでも終わらない追求に、グエルは胸中で嘆息せざるを得なかった。 - 130二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 17:29:48
あれだけ荒廃した加古川にこの寒波が来たらめっちゃ人死にそうだよな……生きててよかった
- 131二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 18:52:49
裕福な家庭、子供に高等教育を受けさせる意思のある親、大人の保護下で教育を受けられる環境、どれひとつとしてソフィやノレアにはないからね
実家が太そうなオジェロ、チュチュ、マルタン、リリッケ辺りはもとより、里親に恵まれたか奨学金にありついたかしてアス高に通えてるヌーノだって別世界の人間だろう。同じアーシアンなのにね
- 132二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 21:27:10
- 133二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 21:38:12
- 134二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 21:47:56
- 135二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 22:04:57
- 136二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 22:09:24
あにまんのボブとノレアは本当にしっとりしてて良い…胸が締め付けられる…
- 137二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 22:15:37
- 138二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 22:18:55
- 139長文の者23/02/01(水) 22:56:22
- 140二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 23:33:41
(いつのまにか湿度が高いよ!ここは一つ軽めのを)
ボブ「なんだよこのガキどもは!?」
ノレア「この雪なのに子供をテントで寝かせとくわけにはいかないでしょ。だから連れてきた」
ボブ「だからってなんで捕虜のところに連れてくるんだよ!」
ソフィ「私たちがこの子たちの面倒見てるでしょ?私たちの面倒はボブが見てるでしょ?そういうこと」
ボブ「どういうことだ!?おい走り回るな!」
ソフィ「ほらみんな寝るよー!ボブにくっついてー!」
ボブ「さすがにこの人数は暑いだろ!離れろって!」
ノレア「あ、こらガキンチョども、ボブの隣は私たちだから。それは譲れない」 - 141二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 00:01:12
シリアスもほのぼのもいける加古川ボブの可能性は無限だぜ!
- 142二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 07:47:15
加古川の冬に終わりは来るのか
- 143二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 15:25:50
加古川の冬は終わらないし
加古川のソフィは可愛いし
加古川のノレアは湿度高いし
加古川にボブはいまぁす! - 144二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 16:15:26
また日本海側に寒波来てるみたいだけど今回は加古川は大丈夫そうだね
流石にこの前積もった雪で作った雪だるまや除雪した雪も無くなっちゃったかな - 145二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 20:29:19
冬の話ってことは最後には春が来るってことやん
- 146二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 20:53:44
いつしか雪は止み、そこには花が咲くんだよなぁ…
- 147二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:00:06
- 148二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:05:26
- 149二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:17:48
- 150二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:28:20
- 151二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:40:04
- 152二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:45:01
- 153二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:15:12
此処じゃない何処かへ、“進む”のか“逃げる”のか……
- 154長文の者23/02/03(金) 01:00:58
ソフィがまだ低体温症から回復しきっていないのは、実に好都合だった。彼女がベッドに横になっているのを確認し、独房へと向かう。
「ボブ、ちょっと来て。ゴミを捨てるから」
「ん? ああ、了解だ」
鍵もかかってない独房からボブが出てくる。
彼を建物の外に停めた荷車へと案内する。廃棄物が満載されたそれを見つめながら、告げる。
「そういえば、輸送船の連中が近々解放されるそうよ。船主との交渉がついたんだって」
「! …そうか、それは良かった。やっとみんな、家に帰れるんだな」
ボブが満面の笑みを浮かべた。間違いなく、心の底から喜んでいるのだろう。
ガッツポーズをとる彼の横顔に、ふと憂いが浮かぶ。
「……あー、でも」
「何?」
「その、ちゃんと解放してくれるのか? 身代金だけをふんだくって、その」
「人質全員皆殺し? バカ言わないで、テロリストだって信用商売よ。身代金が支払われたなら人質は返す。そのルールを守らないテロリストと交渉する阿呆はいないわ」
「…ああ、そうだよな」
「無駄口叩いてないで、さっさと運んで」
「わかった」
重そうな荷車を、ボブはさして苦もなく引き始める。彼を連れ、ゴミ捨て場となっている建物へと向かった。
あそこなら、少々血で汚れたところで問題はない。分厚い壁に覆われているから、銃声を聞かれることもないだろう。
「わかってると思うけど、貴方の解放は別の話よ。ジェターク社との話がつかない限りはね」
「ああ、承知の上だ。…父さんがいなくなって、どうなったんだろうな」
ボブは、自分の会社が今どんな状態かを知らない。知らされていない。だからこれから起こることについて予測はできないはずだ。
彼は荷車を引いて建物の中に入っていく。ノレアは一定の距離を保って、その後ろをついていく。 - 155長文の者23/02/03(金) 01:01:26
建物の中央、ゴミを集めた場所にたどり着く。ボブは荷車を適当な位置に停め、廃棄物を下ろし始めた。
力仕事に関して、彼は決してこちらに手伝わせようとしない。そういえば以前「そんな細い腕で重いものを持つな。折れないか心配になる」なんて言っていた。
失礼極まりない話だが、彼のそういうところも、今は好都合だった。
彼がこちらに背を向けて作業していることを確認し、ジャケットの下から静かに銃を取り出す。
「あのね、ボブ」
「なんだ?」
ボブは作業に集中している。
ノレアは弾倉内の銃弾の数を確認した。6発きっちり。問題ない。
「テロリストは信用商売。交渉がまとまれば人質は必ず解放する。でも、まとまらなかったときは」
「……うん?」
不穏なものを感じ取ったのか、ボブの動きが止まる。
構わずノレアは安全装置を外す。スライドを往復させ、薬室に弾丸を送り込む。
「交渉が決裂したときは、必ず殺すの。それも大抵は、この上なく惨たらしい方法で」
「……!」
銃の動作音でさすがに気づいたのだろう、ボブが驚愕してこちらに振り向く。
その彼の額に、ノレアはぴたりと狙いをつけた。
「ジェターク社は最近CEOが代わった。以前の若いCEOは人質解放に熱心だったけど、新しいCEOは、かつてのトップの息子に金を払うつもりはないそうよ。交渉は決裂したの」
呆然と立ち尽くす彼に、続ける。
「貴方は殺される。見せしめのために、この上もなく惨たらしい方法で。
でも、そうなったらきっと、ソフィが悲しむ」
引き金を引くべく、トリガーガードから指を剥がす。
「だからせめて、私が楽に殺してあげる。安心して、処刑なんて手慣れたもの。撃ち損じて苦しませることはないわ」 - 156長文の者23/02/03(金) 01:02:10
狙いは完璧だった。頭に二発、腹に二発。何の問題もなく、ボブはあの世に行ける。
「貴方は逃亡を図って、私が貴方を撃ち殺した。そういうシナリオよ」
引き金に指をかけようとして、指が動かないことに気づく。
「恨まないで。こうするしかなかった。私たちは、こうするしかないの……」
――声が震えていることに、気づく。
そういえば今の自分は、ボブの顔を真正面から見ていた。ここ最近ずっと顔を突き合わせ、会話し、寄り添って暖を取っていた相手を。
彼がこちらに振り向く前に終わらせるべきだった。己の迂闊さに内心で歯噛みしつつも、ノレアは自分を鼓舞するために声を張り上げる。
「貴方はスペーシアンで、私はアーシアン。貴方はジェターク家の御曹司で、私は地球の魔女。なら、命の取り合いになるしか無い。結局はこうなる定めだったのよ!」
ノレアは指を必死に動かす。
引き金をほんの1センチ引けば、すべて終わる。ボブは物言わぬ死体になる。冷たい、血の通わぬ物体に成り果てる。そうなればあの声はもう聞けない。あの温もりはもう味わえない。
でも、それでも。
「こうするしかなかった。こうなるしかなかった……!」
「本当に?」
ボブが口を開いた。
彼はこちらをじっと見据えている。命乞いをするでもなく、彼はただ、こちらに真剣な眼差しを向けていた。
「殺し合う定めなんてあってたまるか。それ以外の道は、きっとある」
「そんなものはないわ。
貴方はスペーシアンの御曹司。私たちから全てを奪っていく者。
私は地球の魔女。貴方たちに復讐する者。
なら、結局は命を取り合うしかない。そういう定めでしょう!」
「でもお前はノレアだ。ノレア・デュノクだ。ソフィ・プロネの友達で――俺の友人の」
静かな声で指摘され、虚を突かれた少女は黙り込んだ。 - 157長文の者23/02/03(金) 01:03:11
ボブが続ける。
「お前はテロリストで、ガンダム乗りで、魔女だったかもしれない。でもそれでも、お前はノレアだ。皮肉屋で心優しい、自分の相棒のことを常に気にかけている子だ」
ボブが自分の胸に手をやる。
「俺はグエル・ジェタークだ。スペーシアンで、ジェターク家の息子。お前たちから収奪する側。……だがそれでも、俺はお前の友人のつもりだ」
「……」
言葉が出ない。否定の思いはいくらでも浮かんだけれど、声にならない。
引き金にかけていた指は、もう動かせそうもない。
「短い間だったけれど、俺はボブとしてお前たちとともに暮らした。俺はテロリストであるお前たちのことが憎かったけれど、お前たちのことを知った。知って、好きになった」
「……」
「もう俺には憎しみはない。だから、俺はノレアともソフィとも殺し合いたくない。そして、お前らにこれ以上人殺しをさせたくない」
「……」
「だから俺は、ここで死 ねない。死にたくない。殺し合う以外の道を見つけるために、どんなに可能性が低くても、生き延びる方法を探したい」
「……だから、私に見逃せというの?」
「無理か?」
憂いを帯びた瞳で、ボブがそう問いかける。
ノレアが無理だと断言すれば、きっと彼は、抵抗もせず撃ち殺されるのではないか。こちらに迷惑をかけないために。
そんな確信があった。
ノレアは視線を落とす。引き金にかけていたはずの指は、いつの間にかトリガーガードへと戻っていた。
深々とため息を付き、銃口を床へ向ける。銃の安全装置を戻して、ボブを見つめる。
「ここから逃げ出しても、ただ野垂れ死ぬだけ。貴方は宇宙には戻れないわ」
「それでも、俺は……」
「いいから黙って聞いて」
銃をジャケットに戻し、ノレアは話し始めた。 - 158長文の者23/02/03(金) 01:03:32
玄関に座り込んでいると、ナジがむこうから歩いてきた。
ノレアは彼を見上げ、問いかける。
「そろそろ人質が出発する時間じゃないの? こんなところに来て大丈夫?」
「なに、肝心な部分は終わった。入金は確認したし、解放場所に不審な物影はない。もうあとは流れ作業だ」
辺り一帯を襲った寒波も、ようやく緩み始めていた。雲の間から暖かい日差しが降り注いでいる。
あくびを噛み殺しながら、ナジが続ける。
「ボブはいるか?」
「いるよ。ソフィと一緒に独房の中」
「ほう?」
「ずっと二人でいちゃいちゃしてる。居たたまれなくなって、私だけ外に出てきたの」
「ほほう。そうか、やっと男女の仲になったか。二人で身体を温めあったのが功を奏したかな」
愉快そうに笑うナジ。どうも彼はボブのことを高く評価しているようで、何かにつけて組織に取り込みたがっていた。「俺にはわかる。アイツはMS乗りとしての適性がある」とか何とか。眉唾だったが。
「でもね、ナジ。きっとボブは人殺しはしない。きっとテロに加担はしないよ」
「そうか? そう決めつけるものでもないと思うが」
「父親を殺したことがトラウマになっていたでしょ? あれじゃあ人は殺せない。MSに乗れたとしても役に立たないわ」
「……む、確かにな。となると、やはりアイツには死んでもらうしか無いか……」
心底から残念そうに。しかしテロリストのルールにあくまでも忠実に、ナジはそうつぶやく。
と、噴射音が鳴り響いた。
「時間だな」
人質を載せたシャトルが、煙を引きながら上昇していく。船主と約束した解放場所まで飛んでいき、そこで人質の入った無動力の救命ボートを放出するのだ。あとは船主が救命ボートを回収して終わり。
ノレアはナジに気づかれないよう、安堵の吐息を漏らす。
「ジェターク社との交渉もまとまりかけてたんだがな。あの内紛劇さえなければ……ボブも可哀想になあ」
言葉ばかりの同情を述べるナジを無視して、ノレアはシャトルを見上げる。
着実に宇宙へと向かう機体のその中、救命ボートの貨物室に、ボブとソフィは隠れ潜んでいるはずだった。 - 159長文の者23/02/03(金) 01:03:51
作戦は単純極まりなかった。
「救命ボートにあらかじめ潜んでおく、だって? そんな雑な方法で……?」
「大丈夫よ。どうせ私たちテロリストはいつも人手不足。警備体制さえ把握していれば、監視の目をごまかすなんて造作もないわ」
出発当日の人質を乗せる瞬間ならともかく、出発前日にシャトルやボートの機材チェックをしているときであれば、人の出入りの激しさの割に監視体制は甘い。ソフィに先導させれば、作業員に化けたボブをシャトルに忍び込ませることは簡単だった。ついでに、魔女の薬剤の予備を大量に運び込むことも。
それより大きな問題は、救命ボートの放出の時間までボブとソフィの不在を誤魔化し続けることだった。ボブ本人への監視体制は完全に緩みきっていたが、勘の鋭いナジや用心深いオルコットに気づかれる可能性は低くはない。
「だから、私が残る。残っていればいくらでも誤魔化しは利くから」
「ちょっと待て、俺はお前一人だけ残していくつもりはないぞ。行くなら三人で」
「三人で行けば三人まとめて拘束されるだけだって言っているのよ。そのくらい判りなさい頭単純ボブ」
頑固なボブを説得するのは手間だった。
別れるのは嫌だと駄々をこねるソフィを黙らせるのは、もっと手間だった。が。
それらも全てクリアして、冬の空に、シャトルは無事に舞い上がった。 - 160長文の者23/02/03(金) 01:04:07
彼方へと消えていく機影を見上げ、ノレアは思いを巡らす。
ボブは無事にジェターク社に戻れるのか。戻れたとして、会社の主導権を取り戻すことはできるのか。
予備が尽きるまでの間に魔女の薬剤の成分を分析し、製造にこぎつけることはできるのか。
不安要素は尽きない。成功の見込みはそれほど高くない。それでも自分たちがそんな危険な賭けに乗ってしまった理由は、あまりにも単純。
――私もソフィも、貴方を殺したくなかったから。貴方の温もりを、消してしまいたくなかったから。
あの大きな手のひらに触れ、その温もりを受け取ったときに。
自分たちは魔女でいられなくなったのだろう。
凍える世界を抜け出て、人に戻りたいと、思ってしまったのだろう。
二人を載せたシャトルが、完全に見えなくなる。
「じゃあね、ボブ。私も貴方が、好きだったよ」
自分を人へと引きずり戻した人に、
恐らくはもう、二度と会えない人に、
ノレアは小声で、そっと別れを告げたのだった。 - 161長文の者23/02/03(金) 01:05:24
私のSSは残りあと1回の予定です。
土曜あたりに投下できればと思います。
それではまた。 - 162二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 12:23:42
逃げたからソフィだけしか連れ出せなかったのか
進んだからボブとソフィの2人を送り出せたのか - 163二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 19:44:56
- 164二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 19:51:05
- 165二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 19:59:50
- 166二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 20:07:09
- 167二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 21:22:09
実際ガンダムは生命倫理問題を20年以上解決できてない欠陥兵器なんだよなぁ……
- 168長文の者23/02/04(土) 00:24:38
人質が一人と魔女が一人行方不明になったことは、意外にも、さほど大きな問題にはならなかった。
人質にはもう利用価値がないことが明白だったし、魔女のほうもガタが来ていた。使えなくなった魔女は廃棄処分にするしかない。
たった二人の子供が逃げ出したところで、この寒さの中で森と廃墟を抜けて宇宙港までたどり着けるはずもない。二人は野垂れ死んだと判断され、捜索はわずか2日で打ち切られた。
「惜しいな。こちらに転向してくれれば、命を散らすこともなかったものを」
そうぼやくナジだけは、ボブたちが輸送船の人質とともに宇宙に逃れた可能性に気づいていたかもしれないが――深く詮索しなかったところを見るに、案外本当にボブのことを気に入っていたのかもしれない。
壊れかけの魔女が人質に絆され、人質とともに逃亡し、死んだ。そう結論付けられて、この件は終わった。
終わらせざるを得なかった。
何しろすぐに、それどころではなくなったからだ。
ベネリットグループの解体と、それに伴う戦乱の予兆。冬の終わりとともに、地球と宇宙が揺れ始めたのだ。
秩序の崩壊と戦乱の訪れは、社会の裏に潜んでいたテロリストたちにとって表舞台に躍り出る絶好の機会だ。フォルドの夜明けも、その同志たちも、増員と組織の再編に追われ始めた。主力機であるガンダムに乗るノレアも、地球に巣くうテロ組織の間を転々とする日が続く。ゆっくり食事をとる暇もない中で、それでもどうにかボブとソフィの消息を知ろうと、ノレアは宇宙のニュースを拾い続けていた、のだが。
「ジェターク社、事実上の消滅、か……」
最後の希望が消え去ったことを、知っただけだった。
先々代のCEOがテロに遭遇して死亡した後、ジェターク社は内紛続きで株価を落とし続け、ベネリットグループ解体で追い打ちをかけられ、最終的には身売りを余儀なくされ、どこかで聞いた覚えのあるふざけた名前の会社に吸収合併。
ソフィが救われる可能性は、これで0になった。 - 169長文の者23/02/04(土) 00:25:47
それから後は、虚無にとらわれる日々だった。自分が今どの部隊に配属され、誰の部下になり、何のためにどこへ移動しているのか、よくわからない。
ただ、寒かった。
ノレアは無言で、モニターに映った景色を眺める。
「……」
何度目の移動かは忘れた。護衛を二機従えて、なんとかとかいう組織の拠点へと飛行している最中、のはずだ。
冬はすっかり過ぎ去っていて、眼下には綺麗な桜の花も見える。
ノレアの好きな、地球の春。でもその眺めも、少女の心をいっこうに照らしてくれない。寒波の只中にいるような感覚に、ノレアはひとり身震いする。
……そんな風に腑抜けていたのも、原因だったかもしれない。
「敵襲!」
「え?」
我に返ったときには、護衛ともども電子的な眼を潰されていた。反射的に操縦桿を引いて離脱しようとしたところで、機体に衝撃。慌てて周囲を見回してみれば、ガンダムの両腕と両足に赤い剣が一本ずつ突き刺さっていた。そしてすぐ背後には赤色の、見たこともないMS。
「……捕縛、された?」
パーメットリンクを活性化させるどころか、戦闘態勢をとる前に無力化されてしまった。その事実に気づいた直後、接触回線で通信が入る。
「ノレア!」
「……ボブ?」
よく見知った顔が、モニターに表示された。
「ノレア! お前はノレアだよな! そう言ってくれ、頼む!」
相手が必死な表情だったのは、このガンダムのパイロットが別の魔女に代替わりした可能性もあったからだろう。ノレアも通信を開き、相手のモビルスーツにこちらの映像を送る。無事な姿を、お互い見せ合う。
「ボブ、私だよ。ノレア・デュノクだよ。大丈夫、まだ生きてる」
「ノレア……」
相手の瞳に涙が浮かんでいたのが、見えた。
それだけで、お互いについては、何も言う必要がなかった。なぜボブがここにいるのか、なぜ見たこともないMSに乗っているのか。そんな疑問も、今はどうでもよかった。
満たされた胸を抱えて、ノレアはうなずく。
「良かった。本当に、良かった」
「ああ……」 - 170二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 00:26:04
開発凍結されたからね
- 171長文の者23/02/04(土) 00:27:25
永遠にも等しいほどの一瞬を過ぎて、ノレアは我に返る。
もう一人は。あの娘はどうなったのか。
「ボブ。ソフィは」
「無事だ。予備が底をついて危ないところだったが、どうにか薬剤の製造が間に合った。ペイル社のガンダム部門を買い取っていたのが幸いしたよ。強化人士の医療記録が……ああ、いや、それは今はいいか。まだ病院で療養中だけど、ともかく命に別状はない」
「……そっか」
こくんとうなずき、そして改めて周囲を見渡す。
護衛の二機は、ディランザとおぼしき機体数機に、自分のガンダムと同じように四肢を破壊されて無力化されていた。隊長機らしき緑色のディランザに巨大な斧を突き付けられ、降伏勧告を受けている。
「私のガンダムの動向を掴んで、待ち伏せして、ジャミングをかけて奇襲したわけか。……私一人を捕まえるのに、とんでもなく手間をかけたんだね」
「ああ、おかげで会社に残った資産を全部捨て値で売る羽目になっちまった。弟と俺は御曹司から転落して、今やただの一従業員だ」
冗談めかして、ボブが笑う。
……が、それはさすがに、ノレアにとっては笑える内容ではない。
「ボブ、それは本当? 私のために、また何もかも失ったの?」
「あー、いや、今のは誇張だ。
ジェターク社は戦争推進派の役員に乗っ取られかけてて、強引に身売りするくらいしか人事権を取り戻す手段がなかったんだ。お前たちのことがなくても、どのみち俺たちは御曹司ではいられなかったさ」
ボブが気にするなと手を振っていると、新たな通信が割り込んできた。
「グエル! 終わったんならさっさと報告入れなさいよ!」
銀髪の、ちょっと言葉では形容しがたいほど整った容姿の少女が、とんでもなく恐ろしい形相でこちらを――いや、ボブをにらみつけている。 - 172長文の者23/02/04(土) 00:33:14
モニターに映った憤怒の美少女を見ながら、ノレアはボブに問いかけた。
「ボブ。この人、誰」
「…………ミオリネ、だ。俺の今の上司。ジェターク社を買い取った株式会社ガンダムの、社長」
「……社長? えらく若いんだね」
「……ああ。俺の一歳年下」
「……美人だね、ボブ」
「…………そうだな。美人であることだけは否定しない」
ボブの表情がげっそりとしている。その原因は――まあ、なんとなく察せられた。この社長、なかなかに強烈な人物のようだ。
「さっさと報告入れろっつってんでしょうが! 燃料はタダじゃないのよ戦場でゆっくりくっちゃべってんじゃないわよ! あと今その娘、アンタのことボブって言ったの!? ボブって何よアンタそんな仇名で呼ばれてたの!? そんな話は聞いてないわ詳しく聞かせなさい!」
こちらの返答も待たず、銀髪の美少女は速射砲のように畳みかけてくる。今やボブの顔は、ソフィの駄々に付き合わされた時の5割増しの無力感で満たされていた。もう声を出す気力も残ってなさそうだ。
なので、ノレアは代わりに応えることにした。
「初めまして、ミオリネ社長。私はノレア・デュノク。ボブの友人です」
「……あら、初めまして。私はミオリネ・レンブラン、株式会社ガンダムの社長です。よろしく」
さすがの社長も我に返ったか、勢いが止まった。こちらを見つめ、礼儀正しく頭を下げる。
しかし礼儀正しさもそこまでだった。なにやらニヤニヤとしながら、ボブに聞こえているのも承知で、こちらに質問してくる。
「……ところで、ボブって何? 貴女、グエルのことそういう風に呼んでたの?」
――言われてみれば。
ボブがジェターク社の御曹司であることは割とすぐに判明した。グエル・ジェターク。それが彼の本名だった。
なのに地球では誰も、彼のことをグエルとは――宇宙の温室育ちの御曹司の名では呼ばなかった。ノレアにとってもソフィにとっても、ボブはボブであってグエルではない。
だからノレアは、温室育ちであろう社長に、こう返答した。
「彼はボブよ。グエルという名前でもあるかも知れないけれど。でも、彼はボブ」
「……へえ~~?」
社長のニヤニヤが深まる。たとえて言うなら、弱みを握った(Lv.1)から弱みを握った(Lv.6)くらいになった感じの。
なんとなく、この人は強敵になりそうだと思った。気が合いそうだとも思えたが。 - 173長文の者23/02/04(土) 00:35:45
ガンダムごと連れていかれた先には、ボブたちが仮の本拠としている空軍跡地があった。待ち構えていたミオリネにブリーフィングルームへ案内される。
ノレアはモビルスーツから降りてパイロットスーツを脱ぎ、社長から状況説明を受けていた。
「社長の花婿を、取り戻す?」
「そう。この会社の次の目標はそれよ。で、貴女もそれに協力してもらう」
同じくパイロットスーツを脱いで同席していたボブに、ノレアは目で問いかける。
彼が補足説明を始めた。
「スレッタ・マーキュリーっていう娘だ。水星生まれの凄腕のパイロットで……普通の田舎娘だ。少し前にミオリネと婚約したんだが、今は誰かに操られて、魔女をやらされてる」
そう話す彼の顔がどことなく辛そうだったのは、気のせいではなかったと思う。
そしてノレアは、その少女の名に聞き覚えがあった。
「スレッタ・マーキュリー。そういえば一度だけ交戦したことがある」
「あるのか!?」
「うん。私とソフィの二人がかりでも対抗できなかった。あの人を無力化するなんて、相当難しいよ」
「……ああ。だが、やらなければいけない。あいつに魔女なんか続けさせたくない」
ボブがこうまで悲痛な表情を浮かべる理由を、知りたくもあったが。
今は深入りしないことに、ノレアは決めた。代わりに、笑みを浮かべて力づける。
「大丈夫よ。私も協力する。ソフィだって回復すれば協力できるわ。三人で戦うなら、問題ない」
「え? いや待て、俺たちはお前らにMSパイロットを続けさせるつもりは……」
慌てるボブに、ノレアは首を横に振った。
「三人でないと、あのパイロットには勝てない。ましてや無傷で捕縛するなんて、ボブ一人では絶対に無理」
「だが……!」
「心配しないで、魔女として死ぬつもりはない。人として生き抜いてみせる。私も、ソフィもね」
力強く、そう請け負う。
その表情を見て、ボブは根負けしたようだった。
「すまん。力を借りる」
「……ええと、話はまとまったかしら?」
途中から蚊帳の外に置かれていた社長が、こほんと咳払いした。じろりとボブをにらみつけてから、こちらを見やる。
「私の話は以上よ。母港につくまでは自由時間だから、ゆっくりグエルと、……いえ、ボブと過ごしなさい。積もる話もあるでしょうし」
一つ目配せして、社長はブリーフィングルームを出ていった。
強烈な人物ではあったが、根は悪い人ではなさそうだ。 - 174長文の者23/02/04(土) 00:36:13
そして、二人きりになった直後。
ノレアとソフィの命の恩人は、沈痛な面持ちで、こう告げてきた。
「……本当に、すまない。俺の勝手で、こんなことに巻き込んでしまって。
お前たちはもう、MSになんか乗りたくないだろうに」
見当はずれの謝罪に、思わず吹き出しそうになる。なぜこの少年は、こうも他人の心の機微に疎いのか。こんなだから損ばかりの人生を歩んでいるのだ。
「貴方は相変わらずね、ボブ」
相手の手のひらを、両手で包み込む。
無謀で、頑固で、怖ろしく責任感が強く、そして無責任なまでに優しい。他人の心など知らず、身勝手に一人で突っ走る。
難儀な性格だ。その性格のせいで、家を失い、父を失い、テロリストに捕らえられ、虜囚生活を送る羽目になった。せっかく地球から解放されて宇宙に戻ってからも、こうして御曹司の身分を失い、今や敏腕社長にアゴでこき使われる立場だ。
これだけの損金を積み上げているのに、当の本人は一向に懲りていない。これではこの性格は、今後も直りようがない。
きっと死ぬまで、直らない。
だからこそ。
「私とソフィはね、そういう貴方を助けたいの」
ボブがこんな、欠点だらけの性格だったからこそ。
ソフィと自分は、救われたのだろう。
手のひらから伝わるこの温もりが、きっともう一人の魔女をも、救い出すのだろう。
「……で、水星の魔女を捕まえたら、次は戦争を止めたいんでしょ? 地球と宇宙の、戦争を」
「ああ。殺しあう以外の道を、どうにか見つけたい」
本当に、無謀で、頑固で、責任感が強い。周囲の人間はたまったものではないだろう。こんな無責任なまでに心優しい少年に、ついていかざるを得ないのだから。
自らの胸の前でボブの手のひらを握りしめ、ノレアは微笑んだ。
「仕方ない。ついていくわ、一生ね」
ブリーフィングルームの窓の外で、桜が満開に咲いていた。 - 175長文の者23/02/04(土) 00:36:42
春が来たのでおわり。長文にお付き合いいただきありがとうございました!
>84の魔女全員救うボブをどうしても実現したかったのでやってしまいました。
でもたぶんこのボブはスレッタには再告白しない。ソフィノレEND。
- 176二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:54:33
- 177二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 09:00:54
転落人生の御曹司とモビルスーツの部品扱いの少年兵
マイナスにマイナスかけたらプラスになるんだ
最底辺から駆け上がるんだ - 178二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:20:07
素敵な物語をありがとうございました。
地球の二人もこんなふうに幸せを掴んでほしいと心から感じさせてくれる素敵な作品でした。 - 179二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 17:23:04
マジで映画一本見たかのような満足感あるSSだった
あったかいっていいね…乙でした - 180二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:33:06
- 181二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:41:26
- 182二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:47:13
- 183二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:52:37
- 184二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:57:55
- 185二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:06:33
- 186二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 00:01:36
フェルシーとペトラも株式会社ガンダムに入社してそう
- 187二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 01:32:00
フェルペトは入社してるだろうねー
あと一番の苦労人は間違いなくラウダ - 188二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 01:43:06
グエルが作業しててもお構いなしに、猫のように気まぐれに“構え、構え”ってまとわりついてくるノレアとソフィに対して、ラウダは少し思うところありそうだね。
グエルは多分妹分二人増えたくらいの考えて、なんだかんだで構ってるんだろうな。 - 189二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 02:13:48
地球寮+ベルメリア+ジェターク組+地球の魔女の株式会社ガンダム強すぎるww
加古川SSは本当名作揃い - 190二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 02:50:27
「「あっ、あ、ああ〜〜〜!!!!」」
三人で寝息を立てている様子を見てフェルペトが叫んだ。
「な、なんだお前ら!?今何時だと…」
「こっちのセリフっすよグエル先輩!」
「なんで女の子と一緒に寝てるんですか〜!?」
叫び声に気づいてソフィとノレアも目を覚ました。大きな音には生まれてからずっと敏感だ。
「なんなのこいつら!人の睡眠の邪魔するとか信じらんないんだけど!」
「知らない。ボブの知り合いなの?」
「あ、ああ、お前らには紹介してなかったな。ちっちゃいのがフェルシーで、でっかいのがペトラだ。久々の学園の様子はどうだった?」
「んなこと関係ないっすよ!何誤魔化そうとしてんすか!誰っすかそのガキどもは!」
「うるさいのがソフィで、静かなのがノレアだ。ほら挨拶しろお前ら!」
ソフィとノレアはそう言われてもそっぽを向いてグエルにくっついたままだ。
フェルペトはちょっと見ないうちにすっかりグエルの妹分ポジションを奪われてしまっていることに危機感を覚えた。
「ででで、出て行けガキンチョども!グエル先輩はお前らなんかちーっとも興味ないんだから!」
「ボブ〜、ちっこいのがうるさいよ〜」
「お前の方がちっこいだろガキンチョ〜!」
「いくら喚いたってボブは私たちのだもんね〜、地球にいる間ずーっとこうやって湯たんぽにしてたんだからさ」
「「ずっ、っ、っと!?」」
なんということだ。こいつらは完全に子供という立場を利用してグエル先輩を籠絡している。このままではまずい、完全に立場を奪われる。
「わ、私も一緒に寝るっす!」
「私も!」
「何言ってんだよお前ら!?気をしっかり持て!」
「知らないっすよ!私たちだって恥ずかしいんす!こんなロリコンみたいな絵面で誘惑されてるグエル先輩が悪いんじゃないっすか!おら詰めろよちびっ子!」
「駄目。ボブは私のだから」
「あっノレア今私たちじゃなくて私って言ったね!ずるい〜!!」
「三人ともどいてよ!私が1番でかいんだから私だけでいっぱいいっぱいなの!」
「おい待て五人も入るわけないだろ!フェルシーとペトラは本当にまずいだろ!」
「なにそれ私たちのことは女として見てないみたいな言い方じゃん!!」
「はっ!見たかちびっ子ども、お前らなんか最初っから眼中にないんだよ!!」
その後騒ぎを聞きつけたミオリネが駆けつけガキンチョ4人は連行、あえなく御用となった。 - 191二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 05:14:42
- 192二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 06:35:37
ちょっと時間を冬に巻き戻して、SS投下。
某日某日、加古川の独房にて。
「ねえノレア」
「何? ソフィ」
「最近ボブの待遇が緩すぎるってオルコットから文句を言われたんだけどさぁ。どうすればいいと思う?」
「確かに少しばかり緩くしすぎたかもね、私たち。…ボブ、餅をストーブの上に乗せておいて。一個でいい」
「部隊内への示しがつかないとか言われちゃってさー。でも具体的に何をやれってのさ。…ボブー、みかん一個取ってー。あとついでに剥いといて」
「ボブをもっと厳しく扱えってことでしょ? 拷問でもしておけば?」
「拷問かー。爪を剥ぐとか? …え? なにボブ? そんな事やったらもう二度とお前のみかんを剥かないというか剥けないって?」
「身体に後遺症が残るのは駄目よ。ボブは今や、加古川に不可欠な労働力だもの」
「あー、灯油の補充とか、ボブがいなかったら大変だもんね。となると精神的に来るタイプの拷問か。うーん、どういうのがいいかなぁ」
「精神的、か。首輪をつけて、庭を犬みたいに引きずり回す?」
「あ、いいね面白そう! ほら、ボブもむっちゃ嫌がってるというかドン引きしてるし! 効果ありそうだよコレ!」
「人としての尊厳はズタズタになる。我ながらいいアイディアだわ」
「あー、でも駄目だノレア」
「どうして? ソフィ」
「外は寒い。出たくなーい」
「そうね、盲点だった。どうしたものかしら」
「…ん、なあにボブ? こたつとストーブを撤去して独房に鍵でもかけてろって? ちょっ、そんなことしたらあたしたちがボブで暖まれないじゃん!」
「私たちからボブの温もりを奪おうというの? スペーシアンには人の心すら無いのかしらね」
「そーだ非道だぞぶーぶー。…ほらほらボブ、頭なんか抱えてないで、剥いたみかん寄越してよ」
「やはりスペーシアンは収奪者。私たちから何もかも奪っていく。…ボブ、そろそろ餅が焼けるわ。持ってきて」
「さぁて、どうしようかなー。ボブの待遇」
「難問ね。ボブの待遇」
おわり。 - 193二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:00:32
本当に乙乙、はやく加古川に春よ来い
- 194二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:13:07
「甘える行動」と「(甘えたい)人を痛めつける行動」がシームレスで出てくるあたり、暴力がすぐそばにあった環境で育ってきた感が強い。
今まで甘えさせてくれる大人がいなかったからひっきりなしで我儘言うけど、同時に傷つける行動にも(今までの経験から)躊躇いがないというか。
ほのぼのしてるけど、バックボーンが過酷なのが分かる素敵なSSだと思いました。 - 195二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:34:02
ソフィとノレアに「結婚してくれ」をめちゃくちゃ擦られて煽られて「私にも言ってよ」と迫られるボブ……
「早く応えてあげたら?」とミオリネ社長にニヤニヤしながら言われるボブ…… - 196二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:38:49
- 197二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:08:25
ボブ…というかグエルが、自分の親父が二人の妻を娶っていたことをどう捉えているかがポイントだなあ>ボブが重婚を承諾するか否か
ただラウダには良くしているところを見るに、本人的には案外抵抗がないかもしれん
- 198二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 00:02:31
嫁が二人いたスペーシアンの息子が敵だった二人のアーシアンと結ばれるってのも美しいと思いますですよ
- 199二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 04:12:04
ここまでの関係なら「そうだな。するか、結婚」って感じでサラッと受け入れそうな気もする
ソフィとノレアを救いたい、幸せにしたいという想いで頑張ってきたんだから - 200二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 08:08:39
200ならボブとソフィとノレア御成婚