【SS】…わ、私とプリクラ取ってもらってもよいですか

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:37:13

     暖房がついて、暖かいトレーナー室でトレーニングメニューなど決める作業をしている時に、自分の担当ウマ娘であるゼンノロブロイが先程から彼女が本を読んでいる合間からチラチラとこちらを覗いては何時声をかけようかと耳をパタパタしながら、迷っている姿に可愛いなぁと思いながら、作業の手を休めて、

    「ロブロイ、何か話したいことがあるのかな」

     優しく微笑みかけながら、聞いてみた。
     彼女はビクッと体を震わせて驚いた様子で、少し言うか言うまいか少し迷っていたが、意を決して頬を染めながら、恥ずかしそうに伝える。

    「…あ、あの、……トレーナーさん、お願いがあります。…わ、私とプリクラ取ってもらってもよいですか」
     
     彼女のお願いに素直に驚いてしまう。女子学生の時にプリクラを撮ることは、俺の学生時代でも普通で、今も変わらずにあるのだが、大人しい性格の読書家であるロブロイの口からプリクラという単語が出るとは思ってもいなかったからだ。
     ロブロイも彼女自身、自分から言ったもののやはり恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俯いている。
     俯く彼女を立ち直らせるためにも、俺は彼女に返事をする。

    「……。もちろん良いよ。もう作業がもう一段落ついたら、行こうか」
     その言葉を聞いて、尻尾を振りながら、ぱあっと笑顔になるロブロイを見て、愛おしくなりながらも、

    「ロブロイ、何で俺とプリクラを撮りたいと思ったんだ?」
    と率直に疑問をぶつける。
     すると彼女はまた、耳をパタパタさせながら静かに語り始めた。

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:38:08

    「…は、はい!実はですね、今日、チケットさんとダービーウマ娘の物語に付いて、二人でお話しました。」
    「ウイニングチケットとね。うん、それで?」
    「その時に彼女が所持しているノートを見せて貰い、BNWのお三方と撮っているプリクラが貼ってあって、凄く楽しそうな写真だったので、私もトレーナーさんと一緒に撮って、ゼンノロブロイ英雄譚に貼りたいと思ったんです!」
     
     小さな握りこぶしを握りながら話すロブロイを見ながら、プリクラを撮りたい理由については納得した。確かにゼンノロブロイの英雄譚は彼女と俺で紡いで来た物語で、そこに二人で写った写真があれば嬉しいと思う気持ちはよく分かる。
     
    「そっか、それはいい案だ。…よし、じゃあ早く、仕事を終わらすから、ロブロイは読書しながら待っててね」
    「…は、はい!」

    と言って、再び作業に戻る。
     そして、作業を一通り終えてから、ロブロイと共にゲームセンターに向かう。
     
    「トレーナーさんは、プリクラを撮ったことはあるのですか」
     「学生時代のときは何度かクラスの打ち上げとかで撮ったことはあるよ。ロブロイは?」
     「私は影が薄く地味だったので、…今日が初めてです」
    「そうか。じゃあ、今度はライスシャワーやシンボリクリスエスなんかとか誘って撮りにいけばいいよ」
     
     そんな会話しながら、ゲームセンターに向かう道中は、次第にウィニングチケットと語ったであろうダービーウマ娘の物語の話題に変わり、尻尾を弾ませながら、それを楽しそうに話すロブロイを眺めながら、目的地まで歩いて行った。
     ゲームセンターに辿り着き、メダルゲームやクレーンゲームを横切りながら、プリクラ機のある場所まで歩く。

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:38:46

    まだ続くようだな
    楽しみ

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:39:07

    「…わぁ、こんなにいっぱい機種があるですね」
     
     ロブロイは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡しながら、感嘆の声を上げる。そんな彼女を見ながら、
     
    「ロブロイをどれで撮りたいか選んでみようか。迷宮のなかから、宝箱を見つけるような感覚でさ」
    ロブロイに提案する。

    「……わ、分かりました。やってみます。」
     彼女は俺の言葉を聞き、真剣な表情になりながら、機種に張り出された広告をみながら、吟味していく。……数分後。
     
    「トレーナーさん、こちらで撮りましょう。」
    選び終わったらしく、彼女の方を見ると指を指していた。
     
     そこには、大人数入れるプリ機から、美肌効果なプリ機など、様々な種類があるなかで選んだのは、出来映えが大人っぽくできる、落ち着いたプリ機だった。
     そのプリ機の前まで移動して、中に入り、お金を入れて、撮影モードなど設定しながら、
     
    「ロブロイは撮ってみたいポーズとかある?」
    「私は、英雄のようにカッコよよいポーズとか撮ってみたいです」
     彼女は目をキラキラさせながら、答える。

     ロブロイらしいなと思いながら、プリクラ機が音声案内してくれるのに従って、写真を撮っていく。
     まずは、無難に二人でピースサインをした姿、次にロブロイが英雄の決めポーズのような姿勢をして、その横に俺が寄り添うような姿勢で写り、最後にゼンノロブロイの英雄譚を出しながら、二人でニコッと笑った形を撮影した。

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:39:39

    撮影が終わった後に写真に文字やスタンプなどをかけるのだが、

    「ロブロイ、何か書いてみなよ」
    「…わ、私はいいので、トレーナーさん、書いて下さい。トレーナーさんの手でこの写真を完成させてもらいたいです。駄目ですか?」
     彼女は上目遣いで俺を見つめてくる。

     その瞳には、お願いしますという強い意思を感じた。こうなったロブロイは引く気がない。

    「分かった。書いてみるから、ロブロイは先に外で待っていてくれ」
    「…は、はい…!」

     俺は微笑ましく思いながらも、彼女の願いを受け入れて、ペンを手に取り、文章を考えてみる。英雄を格好良く描写する作者たちの気持ちを少しだけ理解できた気がした。
     考え始めて数秒後に、書きたい言葉が決まり、画面越しに文字を書き起こす。
     そして、出来上がったプリクラが排出され、プリクラを受け取ったロブロイはおれか俺が書いた言葉を見て、照れくさいのか顔が少し紅潮し、尻尾を横に振りながら喜んでいた。
     
     書いた言葉は、 〈ゼンノロブロイは俺の誇り〉 と〈―見よ、英雄が往く〉と二種類の言葉を彼女に捧げた。
     
    「トレーナーさん、ありがとうございます。このプリクラ、早速、英雄譚に使わさてもらいます」
    「ああ、そうしてもらえると俺も嬉しい」

     そうして、ゼンノロブロイの英雄譚に小さな挿絵が刻まれるのであった。

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:49:16

    メインストーリーのウイニングチケットのダービーノートを参考にしつつ、書いてみました。

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:52:51

    可愛いねぇ

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 20:57:26

    ロブロイは可愛い。可愛いです。

    が、このトレーナーやっぱりスパダリだな?
    『迷っている姿に可愛いなぁと思いながら』じゃねーんですよ。
    いたいけな少女にスパダリは劇薬だって古事記にも書いてある。

  • 9二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 21:04:34

    おつ!

オススメ

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