- 1文系タキオン21/11/10(水) 19:04:48
- 2二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:05:08
後もう1ターンだけ……
- 3二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:05:45
パパパパウワードドン
- 4文系タキオン21/11/10(水) 19:05:55
さて、蛮族にも言わずとしれたビッグネームが数多いが、今回は中でも最も古い蛮族『フンババ』から話を始めよう
え? フンババは怪物や神獣の類で蛮族ではないって?
……痛いところをついてくるじゃないか
確かにギルガメシュ叙事詩に登場するフンババはレバノンの森を守る番人であって、蛮族ではない
しかしね、記録には残っていないがフンババにも元ネタとなった史実が存在するはずだ
そしてこの、かつて実在したであろうフンババを考えることは、蛮族の本質を捉えるのになかなか適しているのだよ
ということで、ここからはメソポタミア文明の始まりと絡めてフンババが生まれた理由を考えていこう - 5二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:06:55
フンバハお前そういう由来だったのか…
- 6二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:07:08
ワクワク
- 7文系タキオン21/11/10(水) 19:07:16
文明の誕生は農耕から始まる
ギルガメッシュの治めるウルクも、ユーフラテス川の水を引いて灌漑を行うことで小麦の収量を増やしたことが繁栄の理由
しかし、この土地には問題もある
気候が乾燥しているため森林が存在しないのだ
また、鉱物資源もほとんど存在しないため、青銅などの金属を使うこともできない
これを補うために、シュメール人たちは交易に力を入れた
唯一豊富な粘土を使って土器を作り、それに穀物やビールを入れて輸出した
見返りに青銅器の原料となる銅や錫、燃料としても建材としても重要な木材を輸入したわけだね
こうして必要な資源を手に入れたシュメールはますます繁栄していった
しかし、人口が増え国が栄えれば栄えるほど、人々の暮らしに必要なエネルギーは大きくなる - 8文系タキオン21/11/10(水) 19:08:24
シュメールに森林はないから、どこか別の場所から輸入するしかない
そして、シュメール人が目をつけたのが怪獣フンババが守るレバノンの森、というのが神話の筋書きなわけだが
リアルな歴史を考えるなら、フンババとは怪獣ではなくレバノン地方の有力者だろう
しかし、怪獣に例えられたフンババの力の源とはいったいどこにあるのだろう?
森が豊富にあるということは、裏を返せば農地もほとんどない未開の地
こんな土地でどうしてフンババはギルガメッシュが怖れるほどの怪獣になれたのか?
その理由は、シュメール人の交易にある
シュメール人は木材の代わりに穀物やビールを輸出した
フンババはそれを部下に振る舞ってリーダーとして認められたのだ
さらに、穀物があればあるほど人手を増やして森の木を切り、交易でさらに穀物を手に入れられる
シュメール人にとっても、フンババが勢力を拡大すればより木材が手に入るので嬉しい
つまり、フンババとシュメール人はwinーwinの関係だったんだ - 9文系タキオン21/11/10(水) 19:09:33
しかし、長い間相互関係にあった両者の間柄は、ある日突然終わりを迎える
原因は、両者の力関係の変化
シュメールが大きくなりすぎたことで、フンババの扱うレバノン杉がなくては立ち行かなくなってしまった
期せずしてシュメールの生命線を握ったフンババが、これを生かしてギルガメッシュに交渉を仕掛けただろうことは想像に難くない
つまり、ギルガメッシュとフンババの対決は、現代でいうオイルショックのようなものだといえるだろう
その後、神話における結末ではギルガメッシュが勝利したが、史実のシュメールは木材の供給問題を解決できずに滅亡している - 10文系タキオン21/11/10(水) 19:10:20
さて、こうして文明は蛮族フンババの手によって滅亡したともいえるのだが、そのメカニズムを整理しよう
まず、文明は発展のために外部からの資源を必要とする
その供給のために外部で組織化が生じる
そして組織化された外部の力が、文明を危機に陥れる
ということは、文明を脅かす力の源は、文明を発展させる力の中に内在していることになる
つまり、蛮族とは【文明による自壊作用】に他ならない - 11文系タキオン21/11/10(水) 19:11:10
こうした構造は、他の蛮族による文明滅亡のなかにも同様に観測できる
例えば、西ローマ帝国を滅亡させたゲルマン人の傭兵隊長オドケアルは、人的資源の不足を補うために西ローマが雇用している
後にカール大帝を輩出するフランク属も
元はローマ軍団の不足を補うための補助兵制度をきっかけにローマ内に迎え入れられた
このように、蛮族とは文明とは無関係に現れる外部の破壊者では決してなく、むしろ文明との関係の中から現れる存在だということだ
よって、civのように暗闇からぽこじゃか湧きだしてくるような蛮族とは、断じて誤った蛮族観なのだよ - 12二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:11:58
なるほど…今まで仲良くしていたやつらが敵対的になると…
- 13文系タキオン21/11/10(水) 19:16:10
- 14二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:22:43
- 15二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:25:13
中華文明がそれほど優れてた或いは代替の文化が育つ余地が無かったか…
- 16二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:27:02
それこそギルガメッシュの時期のシュメールとかそうだった筈だけど、あの時代の神話は今でいう公文書みたいなノリで作られてるものも多いんだよね
よく読んだらこれ権力者の指示とかを神の言葉に見立てて書いてるだけじゃね?みたいなのもちょくちょくある - 17二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:30:13
面白いなぁこういう話大好きよ
- 18二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:34:31
- 19二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:35:37
- 20二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:38:56
ためになる話だった。
- 21二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:39:28
ここまで天ぷら
- 22二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:39:36
ちょっと話は変わるけどカリブの海賊とかもそんな面あるよなぁ…って
- 23二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:40:02
同化したがるというか支配するにはある程度文化を同化させる必要があったのもあると思う
支配者が匈奴になろうが支配を受ける連中の大部分は漢民族な訳で自分たちの文化を強制すればいらぬ反感を買うかもしれない
自分たちの文化を残しつつ反感を買わないように文化の違う民族を支配するってのは相当難しいからいっそのこと同化してまえ!ぐらいの感じなのかもしれない
まぁ全部根拠なしの妄想だけど
- 24二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:47:22
こういう神話と歴史の境目があいまいな時代好き
- 25二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:55:53
日本神話の外征の話もよくよく読んでみるとあっ…(察し)ってなるよね
- 26二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 03:14:46
今回も面白かった…