サイレンススズカ「競輪……?」

  • 1◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 13:43:37

    ・サイレンススズカが『ウマ娘のレース=競輪の世界』に転移してしまうSSです
    ・このSSでのスズカは基本的にアニメ1期準拠です
    ・僕は競輪に詳しいというわけではないのでSS内での競輪描写に違和感があるかもしれません
    ・書き溜めてないので少しずつの更新になると思います
    ・それでもよろしければ、お付き合いください

  • 2◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 13:44:00

     すべてがこれまでで最高だった。
     コンディションも、気持ちも、なにもかも。
     風のように、ではなく、風になっていた。
     誰よりも速く。誰よりも先へ。
     大ケヤキの向こう側、今まで辿り着けなかった世界まであと少し。
     自分がレースに求めてきたもの、その先の景色が見えそうだった。
     そんな期待感と充足感の中、踏み込んだ一歩。
     その一歩は、明らかに何かが違っていて。
     私は、風ではなくなっていた。
     辿り着きかけた世界から引き剥がされたような感覚。
     手も足も、もつれそうになりながら、いや、もつれていたのかもしれない――私は、転がるように惰性で進み続け。
     やがて、見えない力で地面に引き寄せられるかの如く、倒れていった。
     
    「――さん! ……――スズ――……さん……!」
     
     誰かの声が聞こえる。ような気がした。
     足音が近づいてくる。……ような、気がした。
     
     ――――私の意識は、そこで途切れ。
     
     目が覚めたとき、私は、見たこともない場所にいた。

  • 3◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 13:49:15

    「ここ……は……?」

     私が目を覚ましたとき、私の両手には微かな重みがあった。
     ハッと反射的に視線を向けると、私は自分の体の右側に添えるように、自転車を持っていた。

    「えっ……?」

     思わず手放してしまいそうになり、それを踏みとどまったことでパランスを崩しかけ、前輪がぐるんと小回りする。
     そのとき私は、私の手の中にある自転車の、異様な感覚に気付いた。
     ――――軽い。
     私も自転車に乗ったことはある……あるけども、その自転車は明らかに軽かった。
     そしてよくよく見てみると、自転車に本来あるはずのものがない。
     具体的には、ブレーキが付いていなかった。
     
    「何やってるの?」

     話しかけられて振り向くと、そこには一人のウマ娘がいた。
     マゼンダのサンバイザーを被ったウマ娘。
     彼女もまた、私と同じデザインの自転車を傍らに持っていた。
     
    「う、ううん……なんでもないわ」
    「ふうん、そう。あんまり驚かせないでよね」

     そう言ったきり、彼女はそれ以上何も聞いてはこなかった。
     ……私がここにいることに、何の疑問も無い様子だ。

  • 4◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 13:51:59

    「……あなたは、私を知っているの?」
    「はあ?」

     私は、怪訝そうな顔をするさっきのウマ娘になおも訊ねていた。
     そのときには、私も『ここに来る前』の記憶をおぼろげながら思い出していた。
     秋の天皇賞、大ケヤキに差し掛かったところで私は、左足を、恐らくは骨折して――そして、勢い良く地面に倒れた。
     にも関わらず、今の私は、左足や、倒れたときに打ち付けたであろう頭の痛みどころか違和感すらない。
     まるで、『最初からそうだった』かのように、私はこの場所で、自転車を押している。
     
    「いいから答えて。あなたは、私を知っているの?」
    「え……ええ。知ってるわよ。一緒にレースで走るのは初めてだけど、同県だもの」
    「ドウケン?」
    「アタシが後ろ走るから、先行頼んだわよ」
    「えっ――」

     ドウケン、という聞き慣れない単語に混乱している間に、彼女に頼まれごとをされ、私はますますわけがわからなくなっていた。
     先行……は、分かる。
     私も『逃げ』だけで走るようになる前は、『先行』をしていたこともある。
     だけど、先行を『頼む』というのは、どういうことだろう。
     ……私や彼女が、今から自転車のレースに出るのだということは、なんとなく察しが付いていた。
     レース場にも似た、この狭く長い通路に漂う、独特の緊張感。
     それは、レース場にしか帯びることのない空気だったから。
     そして今さらながら、私自身の服装も、先ほどまで着ていたはずの勝負服ではなく、黄色い長袖のユニフォームと、レーサーパンツになっていた。
     さっきのウマ娘はというと、まったく同じデザインで、色だけが違う――緑色のユニフォームを着ている。
     これがレースでなくて、なんだというのだろう。

  • 5◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 13:56:59

    「あ、あの!」

     私は、私を追い抜いて先に進んでいた彼女に急いで追いつき、声をかけていた。
     彼女は、いい加減にしてよと言いたげに、小さく肩をすくめて振り返る。
     
    「まだ何かあるの? 気持ち集中させたいんだけど」

     そう言われると、私の疑問をぶつけることにためらいを覚えてしまう。
     レース前に集中を乱されることがどれだけ迷惑なことか、私にだって分かるからだ。
     だけど、聞かずにはいられなかった。
     私は、今ここにいる私のことを――何も知らないのだから。

    「あなたの、名前は……」
    「それ、マジで言ってるの? 一緒にレースする選手、それも同県の選手のことチェックしてないの?」
    「ごめんなさい」

     よく分からないけれど、謝るしかない。
     相変わらずドウケンという言葉の意味は分からないけれど、一緒にレースする選手のことを知らないのは、確かに失礼だと思ったからだ。

    「アタシはサンバイザーよ。アタシが準決行けるかどうか、アナタの走りにもかかってるんだから、しっかりしてよね」
    「え、ええ……」

     また、よく分からないのに頷いてしまった。
     ジュンケツ?
     純血……ではないだろうし、純潔……でもないだろう。
     レースで『行けるかどうか』というジュンケツ……準決勝の、略と考えればいいのだろうか。
     私は確認のため、彼女――サンバイザーに訊ねていた。

  • 6◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 14:09:12

    「ジュンケツって、準決勝……のこと?」
    「それ以外に何があるのよ。スズカさん、アナタ頭でも打ったんじゃないの?」

     実はその通りよ、と言いかけて、ますます怪訝な目で見られるだけなので思いとどまる。
     やはり準決勝を意味する略語だった。
     とはいえ、『私が知るレース』には、予選決勝という概念はない。
     メイクデビューや未勝利戦から、1勝クラス、2勝クラス、3勝クラス、オープン……と上がっていく制度自体は存在しているけど、一つのレースは一度きりの勝負で、予選や決勝に分かれてはいない。
     トライアルに指定されたレースで上位に入着することで、特定のレースへの優先出走権が与えられるシステムはあるけれど。

    「何位になれば準決勝に進めるの?」
    「何言ってるのよ……7車立ての一般競走だから、今日と明日二回走ってポイント上位21人があさっての準決勝に進むポイント制に最近変わったところじゃない」
    「え、ええ……そうだったわね」
    「しっかりしてよね、もう」

     話を合わせながら、私はサンバイザーから得られた情報を頭の中で整理していた。
     どうやら、予選といっても一回勝負ではなく、今日と明日の二回走るらしい。
     彼女は明言していなかったけれど、恐らく上位に入れば入るほどポイントが多く付くのだろう。
     仮に今日1着だったとしても、明日最下位だったりしたら、準決勝に進むのは厳しくなる……と考えてよさそうだ。
     
     わけがわからないなりに私は、とりあえず目の前のレースを走り切るつもりでいた。
     私の知る世界に戻る方法だとか、この世界での私や私の周りのみんな――トレーナーさんやスペちゃん、スピカのみんながどうなっているか、そもそもこちらの世界にもいるのか――それを調べるのは、その後にしよう。
     少なくとも私は、自分が出るレースを投げ出したくはないから。
     それがたとえ、未知の世界の未知のレースであっても。

  • 7◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 14:28:43

    「それで、サンバイザーさん。ドウケンって……どういう意味だったかしら」
    「ウソでしょ……そんなの競輪選手にとっては常識じゃない」
    「ちょっと度忘れしてしまって……」
    「ド忘れで済まされないわよ、それ――『同県』って、同じ県ってことじゃない。出身都道府県が同じ。アタシとアンタ、どっちも三重県」

     サンバイザーはそう言ってから、「えっとね」と天井を見上げ、順番に説明してくれた。
     
    「一番車のリボンマーチさんは石川。二番車のトンネリングボイスさんは山口。三番車のブリッジコンプさんは福井。四番車のシンプトンダッシュさんは島根。五番車アナタ、六番車アタシ。七番車のジャラジャラさんは宮城よ」
    「そう……?」

     知り合いのウマ娘の名前はなかった。
     それにしても、どうしてそんなに出身都道府県に詳しいのだろう。
     自分と同じレースに出るウマ娘の名前はもちろん知っておくべきだと思うけれど、出身地までは調べたことがないし、調べる必要性も感じられない。
     私がその疑問を口にしかけた矢先に、サンバイザーさんが言った。
     
    「だから、一番・三番の北陸ライン、二番・四番の中国ライン、五番・六番のアタシたち三重県ラインの三分戦ね。七番のジャラジャラさんはコメントによると単騎らしいけど、もしかするとアタシたち含めたどこかのラインの後ろに付けてくるかもね」
    「……! 出身地が同じだったり、近かったりする選手同士で、チームで戦うの?」
    「いよいよもって何言ってるのよアナタ……!? 単騎なんて断然不利なんだから、当たり前じゃない」

     私は、この世界に来て一番のショックを受けていたかもしれない。
     これから始まるレースは、自分の足ではなく自転車で走るというだけの違いしかないと思っていた。
     だけど、サンバイザーの話を信じるなら、チームに分かれて走る団体戦だ。
     元の世界にも、『チーム』はある。
     だけどそれは、一緒に練習をしたり競い合ったりするためのものであって、レースになれば真剣勝負。
     そのことが当たり前の認識としてある私にとって、サンバイザーの言葉はあまりにも衝撃的だった。

  • 8◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 14:50:35

    『第四レース、発走いたします』

     ……私は、スターターに自転車の後輪をセットした状態で、動揺覚めやらぬままレース場のスタート地点にいた。
     私の右隣にはサンバイザーがいて、首を左右に傾けたり肩を回したりしている。
     通路を抜けてレース場に出てきた直後には、観客席から向けられる数多くの視線を感じながら、その中にスピカのメンバーやトレーナーさんの姿を探したりもしたが、結局見つけることができなかった。
     この世界に、私の知っている人はいるのだろうか。
     トゥインクルシリーズではなく、サンバイザーが言うところの『ケイリン』というレースが行われている、この世界で。
     
    『この奈良競輪場は小さくて丸いから、逃げと先行が有利なの。だからアナタにはしっかり先行してほしいのよ』
    『直線は短いし、後方に置かれると挽回はかなり厳しいわ。六周もしなきゃいけないから、コーナーが重要ね』

     ――レース場に出る直前、サンバイザーからレースのルールやレース場の特徴を聞き出していてよかった。
     実際に目の当たりにすると、芝とは違う舗装されたトラックは、私の知るレース場のそれとはまるで別物だった。
     そして、もう一つ聞いていてよかったのが、『誘導員』という存在のこと。
     ケイリンでは、レースに参加しないウマ娘が先頭を走り、ラスト一周から二周になって誘導員がトラックの内側に退避するまで、選手は決して誘導員を追い抜いてはいけないというルールがあるらしい。
     自転車で走ると先頭は風をまともに受けて不利になるため、誰も先頭に行きたがらない。
     そんな事情があるため、誘導員は風除け兼ペースメーカーのような役目を担っているらしい。
     それもまた、私にとっては衝撃だった。
     つまりこのケイリンというレースでは、『逃げ』はあくまでも誘導員の後ろでしか出来ないのだ。
     最初から最後まで、先頭の景色を譲らずに走ることは、ルール上できなくなっている。
     
    (だけど……誘導員なんてものがあるなら、チーム……ラインを組む必要なんてあるの……?)

     サンバイザーから、ラインに関しては詳しく聞くことができていない。
     とにかく、『先行してほしい』としか言われていない。
     ということは、スタートで出遅れないようにして、誘導員のすぐ後ろに位置取りすればいい……と、いうことなのだろうか?

  • 9◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 15:01:13

     私は、空を見上げていた。
     この世界でも、きっと秋であることには変わりないのだろう。
     青々とした空に散り散りに浮かぶ、様々なかたちをした白い雲。
     時折吹く涼しい風が、肌を優しく掠めていく。

    (走りたい……)

     自転車ではなく、自分の足で。
     私は結局、あのとき辿り着きかけた景色に、辿り着くことができなかった。
     だけど幸い、今、ここにいる私の足は無事だ。
     だったら、もう一度、この足で駆け抜けてみたい――そんな欲求が、胸の奥からこみ上げてくる。
     ……だけど私は、その欲求をぐっと堪えた。
     『ケイリン』というもののルールには戸惑うことだらけだけど、私に――観客席から、たくさんの視線が注がれている。
     私は私が辿り着きたい景色のために走る――だけど、そんな私に、夢と期待を重ねてくれている人たちがいる。
     だったら、それを裏切るようなことは、できない。
     
    (一周333mって、サンバイザーさんは言っていた。なら、6周なら2000mくらい――私の得意距離)
    (大丈夫――最後まで、走り切れる)

     私は、顔を下ろし、自転車のハンドルを今一度ぎゅっと強く握り直した。
     左右の他の選手たちも、首や肩、腕を回したり傾けたりするのをやめて、同じように臨戦態勢に入っていく。
     そして、恐らく全員が同じ姿勢を取ったであろうことが気配で分かったその直後、パン、という乾いた音が響いていた。
     
    「……!」

     号砲の音。
     トゥインクルシリーズだとゲートが開いた瞬間がスタートだけど、この世界ではそれがスタートの合図なのだろう。
     私はハンドル、そしてペダルにグッと力を込めていた。
     スターターから後輪が外れ、一気に軽やかになる。
     その勢いで少しぐらつきながらも、私はペダルを思い切り踏み回し、すでに最初のコーナーを走っている誘導員の背中を追いかけた。

  • 10◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 15:21:55

     みるみるうちに誘導員の背中が近くなる。
     そこで私はハッとして、ペダルを漕ぐ速度を緩めた。
     この自転車にはブレーキがないので、スピードをグリップひとつで緩めることはできない。
     その理由はすでに分かっていた。
     この自転車――軽い分、かなり速度が出る。
     ウマ娘が自分で走るのよりも、ひょっとしたら速く。
     そんな自転車にブレーキが付いているほうが、かえって危険だということは感覚で分かった。
     
    『5番車サイレンススズカ、誘導員を追って上がっていきました。続いて1番車も後を追います』

     実況の声を聞いて、私は左側から振り返った。
     白いユニフォームを着た1番車、リボンマーチと呼ばれたツインテールのウマ娘が数メートル後ろにいる。
     その向こう、黒いユニフォームの2番車、トンネリングボイスも追走してきていた。
     サンバイザーはまだ後ろのほうだ。
     私は正面に向き直りながら考えた。

    (誘導員はラスト一周か二周になるまで離れない――ということは、それまでは一定のペースでレースが進むということ)
    (だったら、先頭を取りたい――先行したいラインは、ラインのうち一人が急いで誘導員を追いかければいい)

  • 11◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 15:23:46

    (各ライン一人ずつがスタート直後に位置取りをして、残りのメンバーは後からそれを追いかけてゆっくり上がっていく)
    (きっとこの『ケイリン』というのは、そういった展開で進むはずだわ)

     サンバイザーからそこまで詳しい話は聞けていないが、誘導員の存在というものを考慮すれば、きっとそのはずだ。
     実際、私がすぐに誘導員の後ろに付けたのを見て、一番車と二番車はペダルから足を離し、減速させていた。

    『今回のレースでは、どのラインも先行を狙ってくるはずだから、スタートが勝負よ』
    『アタシたちは外枠だから不利だけど、そこはアナタを信じてるわ』

     サンバイザーがそんなことを言っていたのを思い出す。
     恐らく、この世界に迷い込んだばかりの私とは違い、サンバイザーは他の選手の戦法も事前に研究していたのだろう。
     彼女の読み通りの展開となり、そして、私は彼女の期待通り、誘導員のすぐ後ろに付けることができた。

    『1番リボンマーチ二番手に下げました。その後ろに、三番ブリッジコンプ入ります。二番トンネリングボイスは四番手。最後方からサンバイザー、先頭に向かってペダルを踏んでいきます。七番単騎宣言のジャラジャラも続きます』

     実況のおかげで、後方の並びの想像が付いてくる。
     最初のバックストレッチを走りながら、私は頭の中で今現在の並びを思い浮かべていた。

            ←⑥⑦
     ←誘⑤ ①③ ②  ④
     
    (最初の一周から二周は、それぞれのラインが自分たちの並びを完成させるための時間)
    (ラインの一番手はラインを引っ張る役目ね)

     自転車のタイヤが回転する音と、舗装されたトラックを擦っていく音が、右後ろから近づいてくる。
     チラリと振り向くと、すでにラインを完成させている一番車と三番車のすぐ横を、サンバイザーが走って向かってきていた。

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 15:28:51

    支援

  • 13◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 15:39:51

    『6番車サンバイザー、サイレンススズカの後ろに入り、ここは三重ラインが先行する形。7番単騎のジャラジャラは、ここは追わずに三番車の後ろに付けました』

     単騎。
     先ほどから実況で時折触れられるその言葉に、私は不思議な感覚を覚えていた。
     単騎というのは、ラインを組まずに一人で戦う、ということだろう。
     トゥインクルシリーズでは、言ってしまえば全員が『単騎』だ。
     たとえ同じチームの仲間であっても、ルームメイトであっても、共に走る以上はそれぞれが1着を目指すライバル。
     しかし、ケイリンではラインを組んで戦うのが主流で、単騎というのはむしろ異端だという。

    (サンバイザーさんは、単騎は不利だと言っていた)
    (このレースの場合、七番車のジャラジャラさんの出身は宮城で、他に東北地方出身の選手がいないから、『仕方なく』単騎で走っている……ということになるのかしら)

     準決勝に進めるのは、ポイント上位21名だと言っていた。
     だとしたら、ラインを組んだとしても、最終的には一つでも上の順位を目指しての競い合いになるはずだ。
     にも関わらず、ラインを組むのが主流であるのは、どうしてなのだろう。
     私は未だにその疑問に対する答えが出せないまま、二周目に入っていた。

    (――確かに、直線はかなり短いわ)

     この自転車がいかに速度が出るといっても、直線一気で抜き去るには相当の加速が必要になる。
     サンバイザーの言っていた通り、追い抜くとしたらコーナー。
     しかしこのコーナーがなかなかの曲者だということにも気付いていた。
     
    (坂――はない代わりに、傾斜が付いている)

     トゥインクルシリーズのレース場のような坂はない。
     その代わり、トラックは外側が膨れ上がるような形に傾斜が付いていた。
     外側に行けば行くほど、登るのは大変だが、下る際にかなりの勢いを得ることができる。
     レースの終盤には、その傾斜を利用しての追い抜きが試みられることは明らかだった。

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 15:44:01

  • 15◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 15:50:18

    (私はこのまま先頭を走り続ければいい……そのはずだけど)
    (他の選手は、どういう風に動くつもりなのか、この『ケイリン』が初めての私にはまだ分からない部分があるわ)

     三週目に入ったが、未だに動きは見られない。
     私はチラリと振り返り、後ろの並びを確認した。
     
     ←誘⑤⑥ ①③⑦ ②④
     
     小刻みに息を吐きながら、ペダルを漕いでいるサンバイザーと一瞬、目が合った。
     
    『しっかり走りなさいよ』

     ……と、目で訴えられたような気がする。
     私は正面に向き直り、誘導員の背中を変わらず追い続けた。
     ターフの上を自分の足で駆けているときには、視界を遮るものなんてなかった。
     今は一人分の背中とはいえ、目の前に映り込むもののせいで、その先の景色がよく見えない。
     私はそれが嫌で、大逃げを選んだのに――
     私の脳裏に浮かんだのは、トレーナーさんのニヤリとした笑み。

    『お前は逃げて逃げて逃げまくれ! 最初から最後まで、誰にも先頭を譲るんじゃないぞ』

     私が前にいたチームでは、大逃げは認められなかった。大逃げは勝ちの定石ではないと、そう言われて。
     それは分かる。分かるけれど、私が辿り着きたい景色に辿り着くためには、それ以外の方法はありえない。
     それを分かってくれて、後押ししてくれたのが――今のチーム、スピカのトレーナーさん。
     だから私は、どんなレースでも、どんな相手からでも、絶対に先頭の景色は譲らないと――
     
    「スズカさん!」

     ――ハッと意識が引き戻される。引き戻したのは、サンバイザーの声だ。
     すぐさま振り返ると、狼狽した表情のサンバイザーのすぐ横まで、最後方にいたはずの二番車と四番車が上がってきていた。

  • 16◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 16:11:44

    『残り三週の青板周回、最後方から二番トンネリングボイスと四番シンプトンダッシュの中国ライン上がっていく』

     黒いユニフォームを着た薄茶色の長髪のウマ娘、二番トンネリングボイスが、自転車を列から二メートルほど外に持ち出して、立ち漕ぎで前進してきていた。
     その後ろを、青いユニフォームを着た灰色の髪のウマ娘、四番シンプトンダッシュがぴったりと追いかける。

     てっきり、誘導員が離れるまで並びは変わらないものだと思っていた私は、少なからず動揺していた。
     それと同時に、いくつかの選択肢があることにも思い至る。
     
     一つは、このまま二番四番の二人を先に行かせた上で、後から追い抜く方法。
     これなら体力を消費しない代わりに、『後方に置かれると不利』だというこのレース場では致命的になる可能性もある。
     
     一つは、絶対に先頭を譲らないという方法。
     しかしそのために、体力を余計に使ってしまう可能性はある。

     …………。
     
    (私の答えは、最初から決まってるわ)

     私はペダルを今一度踏み込み、誘導員の背中ギリギリまで車体を進めた。
     それを見て、私の判断を悟ったのだろう、サンバイザーも同じように車体を進めたのが気配で分かる。
     
    『5番車サイレンススズカ、ここは突っ張るか!? 先頭譲らない構えです! 中国ラインは三重ラインにぴったり併走!』

       ②④
     ←誘⑤⑥ ①③⑦

  • 17◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 16:24:55

    『残り二周の赤板周回、ここで誘導員離れました! すぐさま外側から上がる二番車トンネリングボイス!』

     誘導員の離脱を今か今かと待っていたのだろう、私のすぐ右隣を走っていた二番車がペダルを踏みこんだ。
     四番車がそれを追うのを尻目に、私もまた同様に、背中が消えて広くなった目の前の景色へと車体を走らせる。
     ――ああ、この感覚だ。
     遮るものが何もない景色。
     自分の足で走りたかった、というのは否めないけれど。
     それでも、たとえ自転車に乗ってでも、走るのなら――私は、先頭がいい。
     
    『一番車サイレンススズカ徹底先行! 中国ラインを付け入らせずなおも先頭!』

     視界の端に映っていた黒いユニフォームが見えなくなる。
     私は、タイヤの駆動音と自分の吐息が一際大きく響き、混ざり合うのを感じながら、ひたすらにペダルを回し続けた。
     すぐ後ろに付けていた音が少し遠ざかる。
     サンバイザーが、私から離されそうになっているのだろう。

  • 18◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 16:25:15

    『アタシが後ろ走るから、先行頼んだわよ』

     そう言っていたサンバイザーの声が思い出される。
     それでも、スピードは緩めず、ペダルを漕ぎ続ける。
     背後からはハッと驚くような気配がした――ような気がしたけれど、私は走り続けた。
     
    『六番車サンバイザー少し離れたか! 残り一周半の打鐘です!』

     バックストレッチの終わりに差し掛かったところで、カーン、カーン、カーン、と鐘が鳴らされた。
     残り一周半、レースが最終局面に入ることを知らせる合図だろう。
     
    (風が、きつい……!)

     自転車はすでに、時速70km近く出ているだろうか?
     顔や肩を空気の塊で殴りつけられているかのような、重たい風に私は思わず目を細める。
     ――そのとき、視界の右端にまた違う色のユニフォームが見えた。
     白色のユニフォーム、一番車のリボンマーチだ。

        ①③⑦
          ②④
     ←⑤ ⑥

  • 19◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 16:39:16

    『北陸ラインと、それを追って単騎のジャラジャラ、三車が先頭に迫る!』

     私とサンバイザーを追い抜こうとしていた二番車・四番車が後退していったのと入れ替わるかのように、レース序盤では私たちの後ろに付けていた一番車と三番車、そしてそれに付く形で七番車が三人一列になって前進してきていた。
     折りしもコーナーに差し掛かったところ、一番車のリボンマーチは車体を外側に持ち出し、コーナーの傾斜を駆け上がる。
     直線ですでに加速してきていたこともあり、登り斜面をほとんど減速することなく登り切った一番車は、その勢いのままコーナートップに辿り着き――

    (……! このままじゃ、いけない――!)

     私はペダルを今一度強く踏み込んだけれど、斜面を勢い良く下りながら斜めに飛んできた一番車が、私を追い抜いた。
     三番車もそれに続き、少し遅れて七番車も続いていく。
     それ便乗するように、いったんは車を下げていた二番車と四番車も再始動しようとするのを捉えた私は、そこで正面に向き直った。
     姿勢を下げ、ハンドルを強く握り締め、キッと前を――七番車のオレンジ色のユニフォームを着た背中を見据える。

    (大丈夫――まだ脚は残ってる)
    (最後の一周で、絶対に――追い抜く!)

     私の覚悟が、後方にいるサンバイザーには伝わっただろうか。
     私はもう、ただただ全力で、車体が左右に揺れるのも構わずペダルを漕いで、漕いで、漕ぎ続けた。
     それに応えるように、自転車はその速度を増していってくれる。
     ホームの直線の終わり頃、私は一気にハンドルを右に切った。
     しかし、傾斜をフルで活用する余裕はない。あまりにも距離のロスが大きい。
     私は最小限のコーナリングで、七番車を右横から追い抜いていた。

     赤紫色のショートヘアのウマ娘――七番車のジャラジャラが息を呑んだのが分かる。
     私は、そのまま最後のバックストレッチになだれ込むように入っていった。
     私たちを追い抜いたところで最高速度に達していた一番車は、体力切れかすでに減速し始めている。
     それを見てか、その後ろに付けていた赤いユニフォーム、三番車のブリッジコンプが入れ替わるように前に出た。

                ②④
    ←③ ① ⑤  ⑥ ⑦ 

  • 20◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 16:41:04

    あと少しで一区切りですが、所用があるので少し投稿止まります。

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:58:43

    支援
    競輪は競馬を参考にして生まれたからな

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 18:07:11

    サンバイザーが教えなかったらスズカ絶対誘導員追い抜いて失格だったろうなw

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:40:22

    ガールズケイリンのほうは競馬と同じ個人戦だったな

  • 24◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 22:57:24

    『リボンマーチの番手ブリッジコンプ先頭に出て、ここにきて中国ラインも最後方から追い抜きにかかる!』

     私は目の前で入れ替わる北陸ラインを見据えながら、最終コーナーにどう進入するかを思案していた。
     
    (外目に進入して傾斜を目いっぱい使えば、ゴールまでに三番車を差せるかもしれない)
    (いや、でも直線が短すぎる……ここは中山レース場のようなコース、最終直線に過度な期待はできない)
    (傾斜を利用せず、最小限のコーナリングで三番車のすぐ外を通って、追い抜くほうが確実……!)

     私がそう思い、まずはすぐ前方で明らかに失速している一番車を追い抜きにかかろうとしたときだ。
     
    『二番車四番車ここで再び加速! 最終コーナーで勝負に出るか!?』

     実況がそう言い終わるよりも早く、私は後方から凄まじいタイヤとホイールの回転音を轟かせながらスパートをかける、黒と青のユニフォームに気付いていた。
     ハッと振り返ると、二番車と四番車はすでに七番車を追い抜き、私から少し離れたところにいる六番車、サンバイザーの横に差し掛かっていた。
     
    (このままじゃ、抜かれる……!)

     これから三番車と一番車を追い抜かなければならないのに、ここにきてさらに二車も加わってしまえば、もう残りの距離では追い抜けない。一車追い抜くだけでもその分余計な距離を走らなければならないのに、それが倍の数になれば絶望的なのは明らかだった。
     私の胸に焦燥が込み上げた、そのときだ。
     
    「スズカさん、走って!」

     サンバイザーの叫び声。
     彼女は、ハンドルをグンと右に振り、自分を追い抜こうとしていた二番車に対し、車体ごとぶつかりに行く形を取っていた。

            ②④
    ←③  ① ⑤ ⑥   ⑦

  • 25◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 23:13:00

    『ここはサイレンスズカの番手サンバイザーが横に出して二番車をブロック!』

     加速していくタイミングで至近距離に車体を出され、肩が触れ合ったことにより、それを避けきれなかった二番車は明らかによろめき、失速していた。
     それを見て、私はレース開始後も疑問に思い続けていた、『ラインを組む意味』にようやく気付く。
     ラインの先頭ではない選手の役目は、後ろから捲ってきた他のラインに対し、タイミングを合わせて体を横に張ることで、ブロックをすることだった……!
     
    (それなら、単騎が不利だというのも頷けるわ)
    (一人きりだとせっかく相手を抜かしても、逆に追い抜こうとしてくる相手を止めきれない可能性が大きい)
    (上手く止めることができても、その後から来た他の選手に抜かれてしまう)

     私はそこでようやく、ケイリンというレースを多少は理解できた――ように思う。
     腑に落ちた、というべきか、欠けていたピースがぴったりと嵌った、というべきか。
     私は、胸の内につっかえていたモヤが晴れたのを感じ――そのおかげなのだろうか。
     ペダルを漕ぐ足に、これ以上は込められないと思っていた以上の力を込めることができた。

    『二番車に代わって四番車も前に出ようとするが、すでに五番車は最終コーナー! 六番車なんとか続くか!?』

     勢いを失い切り、最終コーナーの傾斜も辛くなっている様子の一番車リボンマーチを追い抜き、私は三番車めがけて駆け続けた。
     実況が言っていたように、二番車をブロックしたサンバイザーも、私の後を追いかけてきているようだ。
     恐らく、ケイリンのラインが協力関係を維持するのは、最終コーナー前後まで。
     三番車ブリッジコンプが失速した一番車リボンマーチの前に出たように、四番車シンプトンダッシュがブロックされた二番車トンネリングボイスに代わって前に出たように、終盤になると全員が少しでも上の順位を目指してラインに見切りを付けたりする。
     この競技は、より有利にレースを進めるためにチーム戦の形式を取るが、それでもやはり、個人戦なのだ。
     それが分かった私に、もうこのレースに対する迷いは無かった。
     
           ④  
    ←③ ⑤ ⑥   ②  ①⑦

  • 26◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 23:30:25

    『サイレンススズカが先頭捉えるか!? 続くは番手サンバイザー、外側から四番車シンプトンダッシュ追い上げる! 少し離れて二番車!』

     レースも最終局面に突入し、実況はより早口に、より熱を帯びた調子になっていく。
     それに呼応するように、観客席からの声援もより一層大きくなっていった。
     三番車のブリッジコンプが振り返り、私を、あるいは私とサンバイザーを見て一瞬目を見開き、僅かに外側に車体を持ち出した。
     すでに最終コーナーの真ん中辺りまで達しているが、ここにきて少しでも傾斜を利用して突き放そうとしたのだろう。
     しかし、その結果として――私の進路が、少しだけ広く空いた。
     
    『サイレンススズカ内側から強襲! これは凄まじいスピードだ!』

     私が内側から突き抜けようとするのを見て、ブリッジコンプが慌てて車体を内側に戻し、進路を塞ごうとした。
     しかし、結果的に言えば、ブリッジコンプの前輪が私の後輪に触れるか触れないかくらいのところまでしかいかなかった。
     ブリッジコンプは私を止めようと内側に戻ってきたその動きで勢いを使い切ってしまう。
     それを予期していたように、サンバイザーと四番車のシンプトンダッシュは、あらかじめ外側を走っており、失速した三番車ブリッジコンプを追い抜いていく。
     普通に私の後を同じルートで追っていたら、ブリッジコンプが壁になっていただろう。
     ブリッジコンプが私を止めようとすることを、二人ともが読んでいたのだ。
     
    (トゥインクルシリーズのレースと同じ、位置取りやコース選択での駆け引きも必要なのね……!)
     
     しかし、すでに私は最終直線に入っている。
     ここまで来たら、後はもう、残された力がどれだけあるか――体力と気力の勝負だ。
     後ろにいる選手たちは、私を差そうと末脚を振り絞るだろう。
     それに対して私ができることは――差されないように、最後まで全力でペダルを漕ぐことだけ!
     
         ⑦    ④
             ⑥ 
     ① ②  ③    ⑤→

  • 27◆tuGRi/cUNE21/11/11(木) 23:44:24

     スピードの向こう側。
     その景色を見るために、私は走り続けてきた。
     そして何の因果か私は、私のいた世界とは明らかに違う場所で、自転車を走らせている。
     だけどその謎も、不思議も、今だけはどうでもよかった。
     私は先頭を駆けている。
     凄まじい勢いで私の走りを阻もうとする風の壁を、体ごと打ち崩すように、速く、強く。
     ハンドルを握っていることも、ペダルを漕いでいることも、心臓や肺の苦しみも、意識の外へと追いやられていき、そして――
     
    『サイレンススズカ先頭でゴール! 最後は信じられない追い上げでブリッジコンプを捉えました! 二着は四番車シンプトンダッシュ! 差の無い三着に六番車サンバイザー!』

     ゴールを突き抜けた私は、そこで一気に肩から力が抜けていくのを感じる。
     危うくバランスを崩しながらもなんとか立て直し、そのまま減速しつつ惰性でコーナーまで走っていた。
     外側から、二着でゴールしたシンプトンダッシュがスイスイと追いついてくる。
     その後で、息を切らしながらサンバイザーが走ってきて、私の右横に並んだ。
     
    「おめでとう、スズカさん……ハア、ハア……途中ちょっとカマしすぎよ……! 離されるかと思ったわ……!」
    「ごめんなさい……あなたは、追いついてくれると思ったから……」
    「ハア……ハア……! まあ、三着には入れたからいいけどさ……」

     それだけ言って、サンバイザーもまたスイスイと私を追い抜いていった。
     見ると、バックストレッチの真ん中にある入場口に、シンプトンダッシュもサンバイザーも向かっていた。
     退場も同じ場所からする決まりなのだろう。
     私は二人を追いかけていきながら、掲示板のほうに視線を向けていた。
     まだ確定表示は出ていない。
     だけど――私は、勝ったんだ。

  • 28◆tuGRi/cUNE21/11/12(金) 00:48:32

    (これがケイリン……トゥインクルシリーズとは違う競技……)

     最初は、自分の脚で走らないなんて、とばかり思っていた。
     今でも、出来ることなら自分の脚で走りたいという気持ちに変わりはない。
     だけど――不思議と、そんなに悪い気分ではなかった。

    (左足に痛みを感じたあの瞬間――きっともう見られないと一瞬で悟った『先頭の景色』を、もう一度見れたからかしら)

     元の世界に戻る方法は探さないといけない。
     この世界のことも、もっとよく知らないといけない。
     だけど今は、今くらいは――この充足感を、素直に受け入れていていいはずだ。
     そんなことを思いながら、選手通路へと戻って自転車から下りた辺りで、場内放送がレース結果を正式に告げた。
     
    『発表します。1着、5番。2着、4番。3着、6番』

     私は、深く息を吐いた。
     今日はルールに戸惑いながらも、サンバイザーの助けもあってなんとか1着でゴールできた。
     しかし明日も同じように上手くいくとは限らない。

    (元の世界に戻る前に、今回のレースにはしっかり決着を付けないと、この世界の人たちに失礼だわ)
    (サンバイザーさんにも、他の選手にも、観に来てくれていたファンの人たちにも)
    (だから明日の予選二日目も勝って、私は準決勝に進むわ。もちろん、決勝にも)
    (だからもう少しだけ待っててください――トレーナーさん。スペちゃん。みんな)

     私はそう決意していた。
     この先にこの世界で、何が待ち受けているのかは、まだ分からないけれど。

  • 29◆tuGRi/cUNE21/11/12(金) 00:52:09

    ここで第一話終わりです。
    第二話は予選二日目になります。
    ニッチなテーマな上に拙い文章なのでどこまで読んでいただけるかは分かりませんが、よろしければお付き合いください。
    ではまた!

  • 30二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:58:25
  • 31二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 01:54:12


    競輪知らない俺にも熱さが伝わってきた

  • 32二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 04:54:50

    乙でした
    同じく競輪を全く知らない人間でしたが、あまりの面白さに引き込まれ、一日中更新を楽しみにしておりました。

    続きも楽しみにしています!

  • 33二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 07:41:34

    保守!

  • 34二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 12:26:41

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:23:01

    保守

  • 36◆tuGRi/cUNE21/11/12(金) 20:35:53

    こんばんは。
    今夜も続きを書けたら書いていきますが、ひとつ注釈。
    SS中で予選はポイント制での勝ち上がりと紹介されてますが、競輪は一部のレースとガールズケイリンを除き基本的には着順での勝ち上がりです。
    話の都合ということでここはひとつ。

  • 37◆tuGRi/cUNE21/11/12(金) 23:29:26

    すいませんが、今夜は時間の都合上投稿お休みします!

  • 38二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 07:25:10

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 12:17:10

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 17:30:53

    ほしゅ

  • 41◆tuGRi/cUNE21/11/13(土) 23:09:41

    今夜も引き続き更新無しです……保守してくださっている皆さんすいません!

    16日が休みなのでその日なら一気に更新できるんですが、さすがに日にちが空くので明日には更新できたらなと思ってます。


    更新の代わりに少しだけこのSSに関する話をしますと、

    >>28の番組(レースのこと)だと恐らくスズカ・サンバイザーのワンツーフィニッシュが車券としては売れていると思います。

    奈良競輪場は関西なので関西(東海に括られることも多いですが)である三重ラインを応援する人が多くなるでしょうし、

    直線短く逃げと先行が有利な奈良競輪場では、徹底的に先行するスズカの評価が高くなるかと。

    ちなみにスタートしてすぐ誘導員の後ろに付けた選手は結果表の『SB』欄にSが付きます。

    シーズン中に獲得したSの数は番組表にも載るので、予想の参考にも使われます。

    Bは最終バックストレッチで先頭だった選手です。


    以上の理由から二車単(競馬でいう馬単)は5-6のライン決着が売れているかと。

    6-5の差し目は、スズカとサンバイザーの力関係次第で変わります。

    今回の場合はスズカのほうが強い選手なのであまり差し目は売れてないと思われます。


    三連単は、逃げる三重ラインをいずれかのラインが追走しての5-6-1、5-6-2などが考えられますが、作中であったようにラインの番手が飛び出しての5-6-3、5-6-4も売れそうです。もちろん着狙いなら単騎も可能性少なくないので5-6-7も売れるかと。


    ただ、スズカのような強い自力タイプの選手がラインを引っ張る場合、「ツキバテ」といい、番手が追走することに脚力を使い果たして離れてしまうことも割とあります。

    作中でもサンバイザーが少し離れましたが、完全にバテてリボンマーチくらい後退することもあります。


    作中のように番手サンバイザーが少し離れ、別ラインがそこを突く、5-全-6もよくある買い方です。


    ちなみに競輪はその特殊な競技性からか単勝は販売されていません。

  • 42二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 06:58:05

    ほしゅ

  • 43二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:02:56

    >>41

    単勝が無いの面白いな

    協力プレーが完全に前提なんやね

  • 44二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 19:26:31

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 22:28:50

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:05:43

    保守
    この世界の歴史とかも気になるな

  • 47二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 15:22:14

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:01:07

    保守

  • 49◆tuGRi/cUNE21/11/16(火) 00:05:31

    皆さん保守本当にありがとうございます!
    結局16日になっちゃいましたが、本日の午後更新予定です。
    今しばらくお待ちください!

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています